ああ、それはワテクシが上京すること若者の如しなソウルで社長とこんにちはした頃───
 ええ、誠心誠意お願いしましたとも。この会社ギブミー? つって。
 答えはNO。嫌だって言われましたとも。
 だから僕は仕方なく妥協案を出しましたよ。じゃんけんポンで勝てたら頂戴って。
 ええ。勿論。当たり前じゃないですか。断られました。
 も~~~仕方がないなァ~~~って考えて考えて考えてですね? 嫌々ですよ? つらいったらありゃしない。

 実力行使、しましょ★なんつって。

 こうして僕は今の地位についた訳なのです。
 涙あり友情あり血肉ありスプラッタありの波乱万丈でしたとも。
 仕方ないのです。
 ええ、こちとら胸が微妙に痛みましたとも。

 ───警備■社『? ?』所有の防■カメ■から抜■。社■室にて、■話。
 ■■■■■。
 記録消却済み。社長室の防犯カメラは故障。
 修理の予定。新社長の進言により、再設置の予定は無し。


○ ● ○

 ねえ、知ってる? あの消えた社長、行方不明だって。
 まあ、警備会社だもんね。普段から『俺はから恨みを買ってるから~』って笑ってたし。案外いつ雲隠れしてもおかしくなかったのかも。
 それよりも…見た? 見た!? 新しい社長!
 前社長の一人息子らしいけど…社長にあんなイケメンの息子がいるなんて知らなかったわ。一ヶ月前にもう就任してたけど、私初めて見た!
 こう、ニコニコ笑って、素朴なイケメン? って感じ。
 この一ヶ月で会社も二回り大きくなって人も増えたし、新社長様様だわ。
 四月から給料も上がるって。人も増えたし、ただの事務でもやる気が出るってものよね。
 名前? ああ…なんだっけ…新社長って呼んでたから…忘れてる訳じゃないのよ!?
 ほら、ほら…『宗太』。名字は…ごめん、忘れた。

 ───警備会社『CCG』の食堂、防犯カメラの記録より抜粋。記憶を再現された冥界の住人同士の会話から。
新社長の意向により、関連会社とその周辺の街に防犯カメラを増設。
社長室の防犯カメラ、取り外し完了。


○ ● ○

「あー、もしもし。もしもしィ? こちらプリテンダー、応答願います! まさか…繋がらない…!?」
「…その遊びはやめてくれ。鼻につく」
「あらやだ。シャンプーは良いもの使ってるんですが」
「…匂いの話じゃない」

 警備会社『CCG』。元警官などの腕に自覚のある人間を中心に集めた警備員五十人が売りの警備会社。
 その他にも防犯カメラなど多くのデジタル製品だけでなく、防犯システムサービスの提供など幅広く手を伸ばしている新進気鋭の企業。
 それを。
 プリテンダーは、そっくりそのまま頂いた。
 故に高層ビルの上階、無駄にシックなデザインで統一されながらも月の光を取り込み淡く演出される社長室の中で。
 我が物顔で胡座を描く、少年が一人。

「つまらないな」

 黒髪の毛先が少し廻る、少年。野暮ったい眼鏡に、白のシャツ。チェックのズボンが特徴の制服。上着は少し暑いのか、ソファにかけられている。
 眼鏡を外せば大層整った顔なのだろうが、野暮ったい眼鏡がその顔を幾らか隠している。

「んー? 漫画でも読みます? 男のお古ですけど、嫌じゃなければ」
「…そういうことじゃない。この世界だ」

 軍服のような制服を身に纏ったプリテンダーに、少年は話しかける。
 ソファから立ち上がり、窓へと手を伸ばす。高層ビルの窓、高い位置から見下ろしたその世界は、灰色だった。
 光はある。亡者共の営みがある。しかし、足りないものが、ある。

「この世界は歪んだ欲望がない。右を見ても左を見ても、見下ろしても。何処から見ても、死んでいる」
「死んでいるとはこれまたこれまたおやおや。なんでやねんと突っ込みたいところですが───わからないでもないんですよねえ」

 少年…雨宮蓮は、歯噛みする。あの『存在』は誓った。取引。トリックスターとしての永遠の栄光。
 歪んだ成功者の足を払い、世間に罪を晒し上げ、心の怪盗団が脚光を浴び続ける。
 その為に仲間も犠牲にした。無論、あの状況ならば生きていたかはわからない。それでも、探すことを諦めた。
 ベルベットルームを支配していた『存在』に提示された二つの道は、魅力的だった。反抗するか、永遠の栄光か。
 『ふざけるな』。その一言が口から飛び出すには、少し仲間との絆が足りなかったのだろうか。あり得もしないもう一つの道を嗤いながら、蓮は栄光を選んだ。
 トリックスター。世界を変える、トリックスター。
 望まれるのならば、変えてやろうじゃないか。この俺が、一から、何もかもを盗み去り。
 怪盗の世界を───

 ───その始まりで、冥界へ落ちた。

 サーヴァントに聖杯戦争。冥界。死。願い。何もかもが怒涛のように脳内に溢れ。
 自らが呼んだサーヴァントには、事の経緯を説明すると、腹を抱えて笑われた。五分ほど笑ったあと、プリテンダーと名乗ったサーヴァントは高らかに宣言した。

『超・最・高』
『どうせ死んだ身、これから君は死ぬ身。どうせ短い命なら、派手に愛され憎まれ「暇つぶし(おままごと)」、しましょ⭐︎』
『そしてもし願いが叶ったなら。楽しくやり直そうじゃあーりませんか』

 それが、プリテンダーの思想。
 どうせ死ぬなら。どうせ短い命なら。その分だけ、凝縮した愛憎を。
 ───面白い。素直に、そう思った。
 どうせ足掻いたってすぐには怪盗には戻れない。ならば、亡者相手になら奪っても問題ないだろう。

 この世界には。亡者の中に、まだ生者がいる。
 ならば、頂いていこう。
 貰っていこう。
 この身はジョーカーなれば。心を盗む怪盗なれば。
 欲しいものは、栄光と歓声と信頼と───あと一つ。
 冥界から生きて出る為の、『ソレ』。

「遊ぶ為の足場作り。砂のお城も土台が必要でしょう?
 いいじゃあないですか。ダンジョンは1階ずつ堪能しないと、面白くないでしょ」

 プリテンダーは立ち上がり、蓮と同じ高さから街を見下ろす。
 灰色の街。欲望のない街。それを見下ろしつつ。

「さあ」
「さて、まずは」


「「───何をしようか」」

 ドミノマスクで顔を隠した怪盗と、赫い右目で世界を狂わせたピエロが、冥府の街で嘲笑う。

【CLASS】
プリテンダー

【真名】
旧多二福@東京喰種:re

【ステータス】
筋力 A 耐久 A 敏捷 B 魔力 E 幸運 E 宝具 A

【属性】
混沌・悪

【クラススキル】

陣地作成:B
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 プリテンダーの場合、自らの戦場を有利な方面へと創り上げる。ある程度の組織程度なら手中に収めることなど造作もない。

単独行動:C
 マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。
 ランクCならば、マスターを失ってから一日間現界可能。
【保有スキル】
白日庭:A+
寿命の代わりに超人的な反射速度と力を手に入れるための人体実験。ある組織で生まれた人間が持つスキル。
『半人間』と呼ばれる人間を大きく超えた実験体。俊敏と筋力に補正がかかり、どの武器でも問題なく扱える。
このランクを持つのは有馬貴将とプリテンダーのみ。

半喰種(リゼ):A
人間を捕食する人間の形をした怪物───喰種の臓器を移植した者。
中でもプリテンダーは「リゼ」と呼ばれる個体の赫胞を移植しており、再生力に特化している形態。人肉を食すことで性能が上昇する。
腰あたりから『赫子』と呼ばれる液状の筋肉とも例えられる触手を自由に扱う。彼の場合、一撃の威力に特化した「鱗赫」。

仮面、お一つどうぞ?:B
大学生、ピエロ、宗太、旧多二福、和修旧多宗太、和修吉福。
どの仮面でも、お好きなのをどうぞ。
プリテンダーとしてクラスを得た理由のスキル。
複数の名を持ち、複数の仮面を持ち、真名を理解しても逸話がバラバラのため弱点にならない。
そして、非戦闘時は一般人と変わらないほどの魔力反応しかないため、サーヴァントと判別がつかない。
天性の詐欺師。

道化:B
いつでも何処でもふざけましょう?
愛してくれればそれもまた。
憎んでくれればそれもまた。
全ては彼女のためだけに。
そのふざけた態度が、敵サーヴァントの気力を削ぐ。
攻撃力をダウンさせ、敵の強化の幅を落とす。

【宝具】
『貴女と私の超平和(ラブ&ピース&サーカス)』
ランク:C 種別:対関係宝具 レンジ:? 最大捕捉:?
 ラブ&ピース&サーカス。
 人心を掌握する心の仮面。時には部下であり、時には上司であり、時には司令塔であり、時には無力な一般人。人心・組織・儀式を掌握する対関係宝具。
 常時発動型の宝具であり、あらゆる場面において『信頼』や『憧れ』といったプラスの感情を対象に抱かせる。上述のスキルと合わさり『欺く』ことにおいてもプラスの補正がかかり、これらの能力は接する時間が長いほど強固になる。生前、その立ち回りと笑顔の仮面で国を守る一つの組織を手中に収めたという、その再現。
 しかし一度本性がバレた相手には二度目は効かず。剥がれた仮面は着け直せない。

『おいでよおいで、赤ん坊(re・バース・ドラゴン)』
ランク:A 種別:対都市宝具 レンジ:0~999 最大捕捉:999人

かつて東京の都市に生まれた『竜』。その再誕。
竜とは名ばかりの肉の塊であり、複数の目玉を持つ巨大な触手が作り上げる塔に似た百足の怪物が完成し、人間を喰らいながら成長する。
時間経過と共に『落とし児』と呼ばれる、顔には口しかなく人の形をした肉の塊が生まれ落ち、人を襲う。これは死と共に破裂し、喰種化を招くガスを撒き散らす。
発動した段階で既にプリテンダーの制御を離れ、自由に成長段階を進めていく。
混沌を産み落とす化け物でしかないが、もし竜の一部として生き残れたのなら───人類でも喰種でもない、『何か』として新たに命を得る可能性がある。
壊すためには、竜の一番上に位置する核───『彼女』を破壊する必要がある。

『ぼくがほしかったもの』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ: 最大捕捉: 

ぼくがほしかったもの。
てにはいらないとりかいしているもの。
このからだになったじてんで───もっとまえから、りかいしているはずなのにね。

詐欺師・ペテン師としてのプリテンダーの仮面を全て取り払った姿。
赫子の鎧に身体を包み込み、筋力・耐久・俊敏に大きなボーナスを付与する。
その代わり、プリテンダーとしての流暢な言語能力は失われて。
ほしい、寄越せと叫ぶだけの怪物と化す。

【weapon】
  • 赫子(鱗赫)
  • ツナギ<custom>(尾赫Rate/C)
クインケ。刀状の武器。
  • ロッテンフォロウ(鱗赫/レートS)
チェーンソー型のクインケ。高い攻撃力を持ち、プリテンダーはこれを片手で振り回す。
  • 黒刀
最終決戦で使用した武器。
以上のこれらを自由に呼び出せる。

【人物背景】
人々に希望と死を与えた道化。
常にふざけた態度を取り、短い寿命で悪戦苦闘。
楽しく楽しくやりましょう。
私と貴方が崩れるその日まで。
貴女に会える、その日まで。

多くの人を騙し、利用し、弄んだ加害者であり。
また、彼も運命の被害者であった。

【サーヴァントとしての願い】
好きに暴れましょうよォ。
もし生き残っちゃったら?
それはそれで───リゼと二人で、人間として生まれるとか。

【マスターへの態度】
好感触。
色々使えそうだな、何して遊ぼうかなと考え中。
とりあえず現在成り行きで警備会社の社長を務めている。

【マスター】
雨宮蓮@PERSONA5
【マスターとしての願い】
元の世界に変える。そのためなら、人ぐらい、まあ。
【能力・技能】
  • 『ペルソナ能力』
 反逆の力。たとえ地獄に繋がれようと全てを己で見定める、強き意志の力。
 その中でもワイルドと呼ばれた複数のペルソナを操る能力を持ち、この冥界では怪盗服にも変われるようだ。
 戦闘技巧、身体能力も大幅に上がる。
 精神力を使うが、ペルソナによるスキルの使用も可能である。
  • ナイフや拳銃の心得
しかし現在はナイフしか所持していない。

【人物背景】
堕ちたトリックスター。
かつての仲間はおらず。
鎖を断ち切ることができなかった、哀れな道化。

『PERSONA5』悪神との取引後より参戦。

【方針】
生きて帰る。
その前に、この街で遊ぶのも悪くない。

【サーヴァントへの態度】
好感触。
考えた作戦を遂行できるだけの能力を持っているプリテンダーは、仲間として助かっている。
───それは。
かつての仲間に抱いた感情と同じなのか、どうか。

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最終更新:2024年04月18日 19:28