山吹色に満ちた砂漠の上に、七体の巨大ロボ…否、神像たちが集団を成して聳え立っていた。
――両手両足を持たぬ宝石のような胴体に、自らの傲慢と虚飾を誇示するかのように黄金を散りばめた神像が中心に浮かんでいた。
――占星術で強欲の原罪を指し示す土星を想起させる平らな外見の下部に、舐め回す様な眼差しを浮かべる頭部をぶら下げた神像が浮かんでいた。
――怠惰に現世を彷徨う骸骨武者を想起させる、双剣を携えた灰色の神像が立っていた。
――暴食の原罪を象徴する蝿の悪魔を想起させる、腐食と汚辱をそのまま形にしたかのような臙脂色の神像が立っていた。
――右斜め前に立つ同胞に向けて、嫉妬の眼差しの如く光る右手の銃口の照準を合わせる鳥人型の神像が上空に浮かんでいた。
――自らに狙いをつける背後の鳥人の神像に目もくれず、憤怒の如き激流を形にしたかの様に隆々とした両腕をぶら下げている蒼色の神像が立っていた。
――そして背後に聳え立つ純白のウェディングドレス型の神像の大きさは他のそれと比べて五倍であり、まるで世界全てを己の肉欲の糧とでも見做しているかの様に見下していた。
やがてこの七つの神像と対峙する、たった一体の神像が前方に姿を現した。その神像は前方のそれらとは対象的に人間味と神聖さを兼ね備えていた。
同時にその神像は剣であった。破邪の聖銀とも形容できるその肌は無垢なる刃であった。その頭部から光る真紅の眼差しは無垢なる憎悪であった。
七つの神像はまるで魔物の様に悍ましい造形であった。ならばこれと敵対する穢れなき神像は、『魔を断つ剣』とでも形容できるのではなかろうか。
魔を断つ剣を前にして、神像たちは束になって襲いかかる。それは戦いですらなく、単なる一方的な集団暴行でしかなかった。魔を断つ剣はなすすべもなく蹂躙されていく。
しかしその度に魔を断つ剣は立ち上がる。手足をもがれて地面に這いつくばろうとも、その度に肉体の自己修復を完遂した後に姿勢を正してファイティングポーズを取る。
奇妙なのは七体の神像の中で唯一、巨大なウェディングドレス型の神像の攻撃が魔を断つ剣をすり抜け、逆に魔を断つ剣もウェディングドレス型をすり抜けながら戦っていた事だった。
まるでウェディングドレスだけが、この戦いにおいて蚊帳の外であるかのように。魔を断つ剣を打倒することを拒絶するかのように。
やがて激闘の中で遂に、魔を断つ剣はウェディングドレスを除く全ての神像を打ち倒した。六つの神像の姿は悉く抹消しており、何れも渇かず飢えず無に還っていた。
しかし魔を断つ剣も決して無傷でこの激闘を制したわけではない。その全身は満身創痍であり、如何程に彼が苦痛に耐えていたかを如実に示していた。
その間、ウェディングドレスは当事者のふりをしていた傍観者であった。しかしたった今の瞬間を以てして、ウェディングドレスは物語の当事者として舞台に立たされた。
ウェディングドレスの細い腹部の中から、赤黒い鋼鉄の手刀が出現した。まるで卵の殻を破ろうとする雛鳥のように。
鋼鉄の手刀は続いてもう一本、腹部から出現した。そして扉をこじ開けるかのように、母鳥であるはずのウェディングドレスを内側から引き裂いたのだった。
親殺しの原罪を以てウェディングドレスの中から姿を現したのは、紅の神像であった。その紅の肌は如何なる闇よりも禍々しく、紫色の眼差しは虚無と絶望に満ちていた。
紅の神像はまるでコートを脱ぎ捨てるかのように自らの生みの親である母胎を放り捨て、魔を断つ剣と対峙する。
ウェディングドレスの神像は最後の力で、目前に映るものに手を伸ばす。その小さな眼に写っていたのは親不孝者の息子ではなく、魔を断つ剣の方であった。
◆ ◆ ◆
本来ならば人型の生物が住むことが叶わないであろう月面にて、八体の巨大ロボ…否、神像たちが集団を成して聳え立っていた。
――純白の翼を背中より生やした、両面宿儺の如く禍々しさと雄々しさを兼ね備えた黒き神像が中心で羽撃いていた。
――八大龍王の加護を想起させる八つの龍の如き触手を光背より蠢かせる、観音の様な外見を有する蒼き神像が立っていた。
――蒼き神像の前方には家族を慈しむアシナヅチの様に、掛け替えのない同胞を庇おうとする岩の如き神像が立っていた。
――嘗て常世の神として数多の人心を惑わせたアゲハチョウの幼虫にどこか似た、多足類の如き下半身を有する神像が立っていた。
――前からは火雷神の如く火を放ち、後ろからは淤加美神の如く雹を放つ火焔型土器の如き神像が立っていた。
――かの対馬銀山が空中浮遊しているかのような深緑色と巨大さを兼ね備えた、巨大な珠の如き神像が上空に浮かんでいた。
――神々の使いの道案内を任された八咫烏を想起させるかの様に、鳥型の神像が最前方で羽撃いていた。
――そして黒き神像の白き翼に包まれているかのように後方には、かのタケミカヅチの如き強壮さを秘めた紺碧の神像が立っていた。
やがてこの八体の神像と対峙する、たった一体の神像が前方に姿を現した。その神像は前方のそれらとは比較にならないほどの神聖さと巨大さを秘めていた。
同時にその神像は剣であった。まるで歩く聖剣とでも形容できる程に大剣の如き意匠が全身に散りばめられていた。まるで高天原より天降った十拳剣が手足を手にしたかの様だった。
ならば、この歩く十拳剣は『剣神』とでも形容できるのではなかろうか。下界で悪さを働いている神々を懲らしめるために天が遣わした剣神であると。
八つの神像は束になって剣神に襲いかかるが、悉く返り討ちにされていく。剣神は日照の如き光線で神像を焼き払い、全身の刃で神像を斬り裂く。
それは戦いですらなかった。神罰を執行するための作業であり、神剣を以て邪神を祓うための儀式であった。神聖なる刃は神々の鋼の肌を布の如く引き裂き、動かぬ鉄屑へと変えていく。
奇妙なのは八つの神像の中で唯一、紺碧の神像の攻撃が剣神をすり抜け、逆に剣神もまた紺碧の神像をすり抜けつつ戦っていた事だった。
まるで紺碧だけが、この儀式において蚊帳の外であるかのように。自らが生贄に捧げられるのを拒絶するのではなく、神々がその存在を認知していないかのように。
唯一の例外は黒き神像であった。黒と紺碧を残した全ての神像が斃れた後も黒き神像は剣神に立ち向かう。しかしその翼も、武器である刀剣もナマクラ同然であるかのようにへし折られる。
翼をもがれて地面に這いつくばりながらも黒が必死に手を伸ばした先にあったのは、紺碧の神像であった。まるで何かを追い求める様に、黒は紺碧に向かって必死に鋼鉄の手を伸ばす。
やがて黒の神像は暗雲の如き漆黒の闇へと変じ、紺碧の神像の全身にへばり付き、拘束する。それに続いて他の神像の残骸が次々に六色の光の玉に変じていく。
紺碧の神像は自らを縛り付ける漆黒の闇によってもがき苦しみながらも上空に浮上させられる。それを囲むような軌道に乗って六つの光の玉が紺碧を包み、覆っていく。
七色の光に包まれる中で紺碧は剣神を上空から見下ろす。しかし敵であるにも関わらず、その眼差しからは決して憎悪など一縷も感じさせられなかった。
七色の光が止んだ後に出現したのは、紺碧の神像ではなかった。剣神を遥かに上回る大きさを有した闇黒の邪神であった。
宿敵たる邪神と向き合った剣神は左目から光の涙を流し、左手の大剣で自らの腹部を斬り裂く。腹部から余剰エネルギーが吐き出されるとともに、右目からも涙が流れ出す。
やがて右目の光の耀きは消失し、それに伴って右目からは涙も消え果てた。そして剣神は左目から涙を流したまま割いた傷の自己修復を完遂した後、金色に光り輝くのだった。
◆ ◆ ◆
重く昏い路地裏の闇の中で、全身を黒い仮面とレザースーツに包んだ、まるで戦士の様な出で立ちの少女が建物に腰掛けていた。
既に深い重傷を負っていた少女の魂の灯火は既に消えつつあった。生命の温もりは血となって流出していく。
しかし少女にとってこの死は救いであった。少女は、死を幾千も越える程にまで経験してきた。それも、この様な最期が安らかに思える程の死を。
幾度も純潔を喪失した。幾度も貪られた。そして用済みとでも見なされるように、残酷な死を迎えた。
だが今回の死は極めて例外であった。今迄自らの死に場所であった愛機が破壊されたことで、少女は自由の身となった。
何れ、幾度も少女を殺めてきたあの獣は配下からの造反によって死に絶える。そして螺旋は破壊される。
そして自分はこの永劫の牢獄から解放され、本当の意味での死を迎える…しかし、それなのにも関わらず少女は恐怖に苛まれていた。
「死にたくない…死にたくない!!」
家族と言える家族も持たず、真っ当な人間として生きることもなく死んでいくことへの悔恨と、死への恐怖が突如少女を包んでいく。
今迄自覚すらしていなかった生への執着が、少女の精神を支配していく。自分が生き物であることが恨めしく思えていく。
寒い。苦しい。痛い。寂しい。何より、自分が何も残せぬまま逝ってしまうことが虚しい。
やがて、自分が最も望んでいなかった見送り人がやってくる。あの金髪の少年が。耀く虚無をその金色の瞳に宿した忌まわしい少年が。
少年は見下ろす。自らの恩人である少女を。何もない瞳で。その瞳に映る煌めく絶望は、少女を支配する恐怖を全て取り払い、代わりに虚無を押し込んだ。
だがその直後に少年が口にした言葉が、少女の虚無を消し去り、消えかけた魂の蛍火を閃光へと変える。
「願いは叶ったかな?■■」
魂を燃やす憎悪の閃光に支配された少女は少年に襲いかかり、返り討ちにされた。心身を支配する寒さはより一層強まった。
やがて、少年の次に望ましからぬ送り人がもう一人やってきた。豊満な肢体を紺碧のスーツに包み、眼鏡の奥から赤い眼を光らせる女性の送り人が。
その直後、少女は絶望に苛まれる。しかしその絶望の引き金は死への恐怖でも、況してや怨恨でもない。スーツ女が冥土の土産に押し売った一言だった。
「今回みたいなケースは初めてじゃない」
これ以上の絶望があるのだろうか。仮にこの事実が正しいとするのならば、何らかの形で獣は再誕を果たす。そして無限螺旋は続いていく。
例えば、失敗作であったあの先輩を代替品にするなど。仮にそれを阻止したとしても、また何かしらの手段で無限螺旋は再開されるだろう。
即ち、自分は幾らでも替えがきくと言うのだ。自分という心臓が無限螺旋から摘出されたとしても、それを補うためのドナーは星の数ほどいるというのだから。
◆ ◆ ◆
新たに冥界でサーヴァントが召喚された場所は、お台場の浜辺であった。3月の深夜という、8月の真昼の対義語とも言える時期の海辺には人気などほぼ皆無と言って良い。
そんなうってつけの場所に召喚されたのは、白い斎服を身に纏った十代半ばの少年だった。黒髪のアジア系で、その顔立ちは人目を引くには十分なほどに端正であった。
(東京、か)
少年のサーヴァントは、生涯の過半を田舎で過ごしてきた。都市部の記憶は殆どないと言って良い。だからこそ、東京のビル街の明かりは中々に新鮮であった。
そして砂浜と言えば、あの最愛の少女と一緒に過ごした思い出の場所でもある。だがそんな思い出に浸る余裕を、サーヴァントは持ち合わせていなかった。
特に、少年に充てがわれたクラスがバーサーカーともなれば尚更である。少年の眼は充血し、狂化スキルによって自らの理性を剥奪される。
理性を失った少年…バーサーカーの全身は、黒紫色の呪詛にみるみる内に包まれていく。生前において自らを蝕んだ、あのタタリの象徴である鱗の如き呪詛が。
やがてバーサーカーの肉体を完全に呪詛が覆い尽くした時、後方から巨大な石像が出現する。その石像の真名は武夜御鳴神(タケノヤミカヅチ)。彼の宝具にして神霊である。
バーサーカーの肉体は空中に浮かび、やがて武夜御鳴神の胸部の水晶に吸収されていく。自らの主を取り込んだ武夜御鳴神はその肌を岩石から紺碧の鋼へと変えていく。
「■■■■■!!」
雄叫びを上げる武夜御鳴神…バーサーカーを遠方から見上げる幼い少女がいた。その少女の格好は黒い仮面にレザースーツという、なんとも奇妙な出で立ちであった。
その右手の甲にはマスターの証である刻印…令呪が浮かんでいた。令呪の模様はヒュドラを想起させる多頭竜である。
バーサーカーを召喚した少女の名はネロ。魔術結社ブラックロッジの幹部アンチクロスの中でも最凶の名を欲しいがままにする暴君。
本来ならば死と生を永劫に繰り返していく宿命にありながら、死と生の間に冥界に偶然訪れた迷い人。
◆ ◆ ◆
とある高級ホテルのエコノミークラスの客室。そこがネロの一先ずの拠点であった。だがそこに黒い仮面とレザースーツの少女はいなかった。
代わりにいたのはフリルのワンピースを身に纏い、淡紅色の猫耳の様な髪型をした美少女であった。これが仮面を外したネロの素顔であった。
「♪~」
鼻歌を歌いながら、ネロは客室に備え付けてあったキッチンで昼食を一人盛り付ける。献立は椎茸と鰹出汁を含んだクラムチャウダーである。
ネロの生まれ育った街…アーカム・シティはマサチューセッツ州に属しており、州の伝統料理であるクラムチャウダーも一般的であった。
アーカム・シティはある日系アメリカ人の大実業家が小さな田舎町から発展させた街で、その影響からか和食も極めてポピュラーであった。
そのバリエーションは西海岸のジャパンタウンにも劣らない。当時北海道で発明されたばかりのジンギスカン料理を出しているニグラス亭などが有名どころだろう。
そんな環境で生まれ育ったからか、ネロにも日本の食文化に関する知識はある程度備わっていた。少なくとも食材や出汁の扱い方を熟知している程度には。
盛り付けて早速ネロは、スプーンで椎茸とスープを掬って口に含んだ。食前の祈りもいただきますの挨拶も、罪人の彼女には大変無縁の慣習であった。
椎茸を咀嚼し、「うん」と満足気に笑顔を浮かべる。もっともその笑顔が本物なのかどうか、知る由もないが。
「もしかしてバーサーカーも、これ食べたかったりする?」
ネロはもう一つ掬った椎茸ののったスプーンを小さく掲げつつ、霊体化しているバーサーカーに呼びかける。まるでからかうような口調で。
バーサーカーの本体はれっきとした人間だが、その肉体は鱗のような呪詛に包まれ、宝具である神像の中枢部にある球状のコックピットの中に固定されている。
その神像の大きさは鬼械神(デウス・マキナ)ほどではないものの約20mほど。当然部屋の中での食事は無理だろう。
<<別に構わないよ。出されたら食べるしかないけど、今はサーヴァントの身だから食事には困らないし>>
「なーんだ、つまんないの。」
口調に抑揚がなく真面目さしか窺えない。もう少し残念がるような返事を期待していたのだが。つくづく朴念仁すぎて面白みがない男だ。
ひとりきりでネロは匙を進める。やはり食事は手作りに限る。レストランやルームサービスはどうにも窮屈すぎる。
そもそも高級ホテルを根城に選んだのも、家具が予め揃っていることや警備が敷かれているのが理由でしかない。
にしても食事を美味くするには何か一味ほしいとばかりに、霊体化したままのバーサーカーに話を持ちかける。
「バーサーカーからみたらどう?クラムチャウダーに椎茸ってさ。」
<<椎茸、か……>>
「へー、やっぱり椎茸好き?それとも嫌いだったりする?」
<<いや、俺の幼馴染が椎茸苦手だったのを思い出してさ。小学校の頃、給食で椎茸が出てくると凄く嫌な顔してて、俺が代わりに食べてていたなあって>>
「……そういうノロケ話、独り身の女の子に向けて話したら嫌味って思われるかもよ?」
突如、ネロの笑みの色が変わり、彼女の内から邪気が溢れ出す。その邪気は、嘗てバーサーカーが戦ったヤマタノオロチにも匹敵しうるほどであった。
<<……済まない。君を傷つけるつもりはなかったんだ>>
「ふーんだ!!」
バーサーカーの謝罪の念話を受け取ると、さっきまであった邪気は瞬時に消滅し代わりにネロはふくれっ面で匙を口に運ぶスピードを早める。
やがて食事と後片付けを終えたネロは、次の日の献立を考えるべく冷蔵庫の中を覗き込み仰天する。
「うっわー、流石に買い出しに出かけなきゃ……。」
冷蔵庫を閉めてメモ帳を取り出し、ペンを回しながら何を買えば良いか考える。
「ねえバーサーカー、次の昼ご飯はやっぱり……。」
<<葬者、もしかしてまたあのお金で買うのか?>>
バーサーカーの言う「あのお金」とは即ち悪銭。そもそも、何のロールも持たずに砂浜に打ち捨てられ、円どころかドルすらも持たぬネロがこんな豪勢な生活が出来るはずがない。
幸いにもネロは裸一貫というわけではなく、寧ろ魔人としての異能という千金にも勝るほどの資本があった。だがその資本を生活費に変える為の手段は、決して真っ当なものではなかった。
ましてやネロは逆十字(アンチクロス)の名を冠する罪人。溜め込んだ大金が流血と窃盗の果てに手にしたものであることは容易に想像できる。
「へー、この期に及んでドロボーカッコ悪いって言えるんだ―。」
再びネロの顔に、あの恐怖と邪気を撒き散らす昏い笑みが浮かぶ。
「……葬者に向かってさあ!」
<<ぐあああああああああああ!!>>
ネロが令呪を頭上に掲げた途端、バーサーカーが苦しみだす。バーサーカーがこれまで会話が出来ていたのは、ネロが意図的に狂化スキルのランクをE-にまで下げていたお陰であった。
その狂化スキルのランクを、ほんの一段階だけ上げた。今のバーサーカーは、自らの狂戦士たる所以である邪神の因子によって苦しみ悶えているはずであろう。
「そこまで優等生ぶることに拘るのなら、なんでネロと一緒に戦うことを誓ったのかなあ?」
ネロの下に降り立ったサーヴァント。クラスはバーサーカー。その真名は七ノ首・ソウマ。
全てを滅ぼさずにはいられない邪神ヤマタノオロチの八つの首たる神官…オロチ衆の一員となる運命を持った少年である。
だが、バーサーカーはその宿命に抗った。必死にオロチの因子を抑え込んでオロチとの戦いに挑んだ。
「ネロは背徳に生きるアンチクロス、君は不浄を司るオロチの神官。意外とお似合いだと思ったんだけどなあ。」
<<ぐっ……>>
死の直前まで自分自身を蝕み、バーサーカーとして召喚されたが為に活性化させられていたオロチの本能が再び覚醒しかけてきた。
欲求不満や飢餓状態によく似た、抗い難い破壊衝動。葬者はこれでも加減しているのだろうが、それでも暴走が一歩手前まで見えて来ている。
そしてネロは全てを知っている。バーサーカーの能力も、素性も、その過去さえも。
「姫子ちゃんを自分のものにしたいとか、お兄ちゃんともう一度やり直したいとか、てっきりそんな願いがあるのかなって想像しちゃったよ。」
<<俺に、叶えたい願いなんかない……>>
既にバーサーカーは、自分自身の結末に納得してその生涯を終えた。あの最期に最早、後悔と言える後悔など有りはしない。
<<でも、これだけはハッキリ言えるよ…っ、俺は君のために戦う…それはオロチ…だからじゃない…俺自身の…っ、選択なんだ>>
「……ふーん。」
それまで蔓延していた邪気は消え、バーサーカーの狂化ランクは再び最低にまで抑制された。あのオロチの破壊衝動は再び霧散した。
息切れ声が念話を通じてネロの脳内に響き渡る。
「なら、ネロの退屈しのぎに付き合ってくれる?」
<<退屈しのぎ…なのか?>>
「そうだよ?ネロは君がいなくても十分強いし。何より聖杯を手に入れたって、ネロの願いは決して叶いはしない。
だから退屈しのぎ。これまで味わったこともない殺戮を味わって、ネロは元通りの日々に戻る。万が一負けたとしても、ね。」
その言葉に、バーサーカーは何も言い返せなかった。あの諦観に満ちた眼差しに、どうしても既視感を感じ得なかったからだ。
そしてその眼差しこそが、バーサーカーが彼女とともに戦うことを決意した理由である。
情報収集を葬者の力で十分賄えたのもあってバーサーカーは一時期眠りに落ち、そこで葬者の過去を垣間見たことがある。
それは幾度も続く人生のループであった。真っ白な部屋で生まれ、真っ暗な牢獄で囚われ、真っ赤な閨で犯され、そして死ぬ。
死に至った次の瞬間に、再び彼女は生まれる。そして囚われ、犯され、死ぬ。生まれ、囚われ、犯され、死ぬ。生まれ、囚われ、犯され、死ぬ。
延々と、延々とこれを繰り返し続けてきたのが彼女である。家族は持たず、寄越された婚約者は怪物で、生んだ赤子は親不孝者。
果たして、これほどにまで悲惨な運命を背負った少女がいるのだろうか。
だが、終わりなき死と生の輪廻に囚われ続けた少女が他に二人いることを、バーサーカーは知っている。
それは伝承であった。天火明村(あまのほあかりむら)という村に伝わる、生と死の輪廻を繰り返す二人の巫女の悲しい物語であった。
遥か古、人々の負の情念の化身として出現した邪神ヤマタノオロチがこの世界を滅びに導き、数多の国々と神々を塵芥へと変えた。
神々によって遣わされた剣神アメノムラクモは、人間の中の清らかなる二人の剣の巫女…陽の巫女と月の巫女の力を借りてヤマタノオロチを討滅した。
そして剣の巫女は片方の巫女の魂とオロチを月の社に封じ、生き残ったもう片方は八つの世界の内の一つを再生する儀式を執り行った末に転生した。
その気になれば、オロチのいない世界を選択することは出来たはずだった。だがそれと引き換えに片方の巫女は永遠に月の社で一人きりになってしまう。
剣の巫女はその運命を否定した。何故なら陽の巫女と月の巫女は互いを深く愛し合っており、離れ離れになる選択肢をどうしても取ることは出来なかったのだ。
そして二人は誰も知らない月の社で二人きりになる選択肢を選ぶが、その魂の結びつきの強さ故に月の社の封印は何れ解かれ、陽の巫女と月の巫女は現世にて転生を果たす。
二人はどうあがいても出会いを果たし、どうあがいても惹かれ合う。そしてその運命を否定するがごとくオロチの封印もまた解かれ、世界は再び闇黒に包まれる。
剣の巫女は前世と同様に剣神アメノムラクモを降誕させて、最愛の女性の生命と引き換えにオロチを封じ、再び二人きりで月の社に籠もり、また転生と封印を繰り返す。
(姫宮がここに呼ばれたのなら、きっと葬者と同じ様なことを言っていたんだろうな)
あの月の巫女の、諦観と憎悪に満ちた昏い眼差しを思い出す。月の巫女は実質的に16年の時しか生きていないが、あの眼差しは葬者のそれによく似ていた。
「聖杯を使ったって願いは叶いやしない」と葬者は言ったが、それはバーサーカーも同じだ。本音を言うのならば、剣の巫女が幸せに添い遂げられる未来を願いたい。
だが、聖杯の力だけではヤマタノオロチには到底及ばないだろう。例え黄泉比良坂の力の結晶であろうとも、八百万の神が授けた剣神アメノムラクモを凌駕する力があるとは思えない。
きっと葬者が終わりなき輪廻に囚われているのも、オロチに匹敵しうる強大な神々の存在が関わっているのだろう。だとすれば、葬者の願いもまた叶わない。
(……それでも)
あの見覚えのある昏い眼差しを、どうしても放っておくことは出来なかった。きっと、あの眼差しに惹かれるが如くバーサーカーは召喚されたのだろう。
それはきっと、誰よりもあの陽の巫女を愛し、誰よりも陽の巫女を想って自らの魂を捧げた彼女の…月の巫女の真意に気付けなかった事への負い目なのかもしれない。
無論、これは自己満足でしかない。何より、愛する彼女…陽の巫女がいない以上、戦う覚悟が出来ているわけでもない。
(それでも、俺は葬者の召喚に応じたのだから)
例え願いが叶わくとも、英霊の座の自分自身が取った選択に嘘はつけない。
一度決めたら何も見えなくなるほどに一直線。それがバーサーカー…いや、大神ソウマという大馬鹿な男なのだから。
【CLASS】
バーサーカー
【真名】
七ノ首・ソウマ@神無月の巫女
【ステータス】
筋力A++ 耐久B++ 敏捷C 魔力A 幸運D 宝具A(武夜御鳴神の戦闘力をパラメータとして換算した場合)
【属性】
混沌・善
【クラススキル】
理性と引き換えに自身のパラメータを底上げする能力。
バーサーカーの場合は理性を無くすことで生前にはあったブレーキを奪い、その並外れたオロチの本能を最大限にまで引き出す。
普段は魔力消費を抑えるためにマスターが狂化スキルのランクを意図的に下げているが、マスターが枷を外せば瞬く間にバーサーカーは理性を喪失する。
その時のバーサーカーは最早ただのオロチでしかない。その有り様は、アメノムラクモによって陽の巫女と惹かれ合うよう仕向けられなかったifの姿とも言える。
【保有スキル】
オロチの眷属として選ばれた者。並外れた身体能力を発揮し、己の分身として与えられたオロチ神を操ることが出来る。
1ランク下の「魔力放出」とEランクの「神性」に加え、1ランク下までの精神干渉系の魔術・能力に対する高い耐性を有している。
この高い精神的耐性の原理はある世界線ではオロチ因子の精神汚染に起因するが、別の世界線ではオロチを調伏せし強靭な意志によるものだとされている。
バーサーカーはどの世界線でもオロチの影響を他のオロチ衆よりも強く受けており、生前から理性を喪失しオロチの本能のままに暴走するリスクを秘めている。
狂化スキルの抑制を解除した場合にはブレーキが効かなくなり、生前以上にランクが向上する。そのランクは最強のオロチたる一ノ首をも凌駕する。
バーサーカーは他のオロチ衆とは異なり自らの宿命について知らされずに育ち、オロチとして覚醒した時にはヤマタノオロチの操り人形へと成り果てた。
すなわち、仮に七ノ首がアメノムラクモの介入によって陽の巫女を愛することがなかった場合、彼はオロチの荒御魂をその身に宿した一種のシャーマンの様な存在になり得たと言える。
陽の巫女を守ろうとする七ノ首の愛がクラススキルで無効化されるバーサーカークラスでの召喚のみ付与される特殊なスキル。
本来であれば、このスキルはバーサーカーに邪神ヤマタノオロチの意志に従って活動する様に仕向ける効果があるはずだった。
しかし邪神ヤマタノオロチに巣食う悪性腫瘍であるバーサーカー自身の在り方と拮抗した結果、単に彼のオロチ化を加速させるスキルへと変質した。
召喚された瞬間にバーサーカーの全身をオロチの祟りの象徴である黒紫色の鱗で包み込み、その状態で武夜御鳴神を召喚し搭乗させる。
このスキルによりバーサーカーは召喚された時点で武夜御鳴神と完全に融合し、生前以上にその性能を発揮する。
剣神アメノムラクモがヤマタノオロチの内に埋め込んだ悪性腫瘍。バーサーカーは如何なる世界線においても陽の巫女に惹かれ、彼女を守るためにオロチに反旗を翻す運命にある。
本来であればオロチの力が最も強いバーサーカーは、剣の巫女の16歳の誕生日に覚醒して巫女を殺める筋書きになっていたが、剣神が先んじて運命に介入したことでこれは阻止された。
陽の巫女への愛によりバーサーカーはオロチの使命に離反した。その存在により月の巫女はオロチ調伏の儀式を達成するためにオロチに寝返り、武夜御鳴神を強奪する。
バーサーカーは月の巫女の代わりに剣神アメノムラクモに陽の巫女と共に搭乗し、陽の巫女を月の巫女の下へ引き合わせるとともに自らの命と引換えにオロチ討伐を代行する。
こうして如何なる世界線においても七ノ首の存在は陽の巫女が月の巫女を殺め、オロチ封印の儀式の完遂を成功させる様にアメノムラクモに仕向けられる様になる。
陽の巫女の剣としてオロチと戦うバーサーカーの存在は、宛らオロチの命脈を断ち切る天羽々斬にも形容できる。この逸話により神性スキルを持つ敵に対して特攻が掛かる。
そして、彼は例え聖杯の力を用いようともヤマタノオロチとアメノムラクモの繰り広げる終わりなき戦いの輪廻を終焉に導くことはできない。
【宝具】
「武夜御鳴神(タケノヤミカヅチ)」
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:1~30 最大捕捉:1000人
バーサーカーその物とも言える神像。見た目はどう見てもメカニックな巨大ロボだが、その正体は邪神ヤマタノオロチが分身の一体。ヤマタノオロチの前胴体部分を担う。
固有の武器を持たず、変形機構を利用した格闘戦を主体とした戦闘スタイルが特徴。両腕を変形させてビームを発射する他、刀剣等の武器を自在に発生させて戦う事も出来る。
バーサーカーの本体は胸部にある武夜御鳴神のコックピットに固定されており、操縦桿を握らずともバーサーカーの意思に従って稼働する。
月の巫女がこの機体を操って一ノ首以外のオロチ衆を殲滅した逸話と、ある世界線でバーサーカー自身がこの機体でヤマタノオロチの本体を討伐した逸話から神殺しの特性を持つ。
バーサーカークラスで召喚された場合は常時発動型の宝具となっている上に燃費が通常より増えているため、一般人レベルのマスターであれば短時間程度しか実体化させられない。
日輪光烈大撃破と日輪烈光飛天鳳凰脚を除く兵装はアニメ版5話に全て登場するのでそれ一本と漫画版だけでも把握可能。
【武夜御鳴神の兵装】
『刀剣』
バーサーカーの意思により出現させて振るう。ただしバーサーカーは格闘戦を好むのであまり使うことはない。
『飛光斬盤』
武夜御鳴神の肩部分から射出する円盤状のエネルギー波。主に牽制用の遠距離武器として使用する。
『射魔破弾』
武夜御鳴神の両手を引っ込めた両腕部から発射するビーム砲。
『日輪光烈大撃破』
七ノ首を象徴する必殺技。両拳を合わせた姿勢で両肘から展開した光柱より巨大な光弾を生成し、それを敵めがけて投げつける。
この技の発動は実質的に武夜御鳴神の真名解放であるため、マスターに対して膨大な魔力を要求する。
ある世界線ではヤマタノオロチの本体を消滅せしめていることから、正真正銘の神殺しの光とも言える。
『日輪烈光飛天鳳凰脚』
日輪光烈大撃破の応用技。光弾を両手で投げつけるのではなく、サッカーボールの如く蹴飛ばす技。
アニメ版3話で、両腕が塞がれている状態で使用した。
【人物背景】
人の負の情念が形となって生まれ、この世に災いを齎す邪神ヤマタノオロチの眷属であるオロチ衆の一人…になるはずであった少年。
オロチ衆はオロチの神官としてヤマタノオロチの分身を駆り、オロチを滅ぼす剣神アメノムラクモを駆る二人の剣の巫女である陽の巫女と月の巫女と戦う宿命にある。
七ノ首・ソウマは幼き日に陽の巫女に恋をし、自らの宿命を知らぬまま育ち、やがてオロチに覚醒し、その並外れたオロチの力により理性を侵食され陽の巫女を殺めようとする。
――しかし、七ノ首は陽の巫女の力とソウマ自身の陽の巫女への愛によってオロチの本能を抑え込み、陽の巫女を守るためにオロチに反旗を翻すことを決意するのだった。
陽の巫女の為に戦う彼の存在により月の巫女は嫉妬の感情を刺激されて前世の記憶を取り戻し、陽の巫女を殺めることとなる自らの運命を呪う。
彼の分身である武夜御鳴神は自らオロチとなって陽の巫女に殺される事を願う月の巫女の下に跪く。月の巫女は武夜御鳴神の力でオロチ衆の過半を滅ぼして邪神ヤマタノオロチを復活させる。
同時期に陽の巫女も土壇場で剣神アメノムラクモを復活させることに成功し、七ノ首は月の巫女の代理として剣神アメノムラクモに陽の巫女と共に搭乗する。
七ノ首は戦い慣れしていない陽の巫女に代わってアメノムラクモを駆り、陽の巫女を月の巫女のいる所へ送り届けた後、ヤマタノオロチの討伐に成功する。
そして七ノ首の献身によって陽の巫女は月の巫女を殺めてオロチ封印の儀式を完遂し、オロチのいない世界を創生した後に剣の巫女は来世で再会するのであった。
世界線によって差異はあれども、七ノ首・ソウマの立ち回りは一貫して上述の通りとなる。彼の行動は常に邪神ヤマタノオロチの討滅とオロチ封印の儀の完遂に繋がっていく。
彼の選択は常に剣神アメノムラクモにとって都合の良い結末へと世界を導き、剣の巫女はどうあってもオロチを月の社に封じるために最愛の人を殺める運命からは逃れられなくなる。
即ち、七ノ首の運命もまた剣神アメノムラクモの掌の上であったとも言える。彼自身はそれを自覚していないが、如何なる世界線においても剣の巫女の選択を祝福する道を選んでいる。
バーサーカーのクラスで召喚されているため、全身がオロチの呪いである紫色の鱗に包まれて硬直した状態で武夜御鳴神のコックピットに搭乗している。
服装はかつて剣神アメノムラクモに搭乗した際に身に纏った斎服。なお、この七ノ首・ソウマがどの世界線から召喚されたのかは定かではない。
【サーヴァントとしての願い】
剣の巫女の選択を尊重しているため、彼自身が願う未来はない。
【マスターへの態度】
罪のない人々に危害を加えることには同意できないが、基本的にはマスターに従う。
嘗て自分と対立し、その実共通の目的を有していた月の巫女に似ているのでどうにも放って置けない。
【マスター】
ネロ@機神咆吼デモンベイン
【マスターとしての願い】
本来ならば無限螺旋からの脱却を望みたいが、恐らく聖杯の中身は邪神と比べれば雀の涙程度のものでしかないと踏んでいる。
そしてそれが事実だとするのなら、せめて一度だけ、たった一度だけ普通の人間としての人生を歩んでみたい。
それもダメならせめてマスターテリオンに一発ぶちかましてやりたい。
【Weapon】
『無銘祭祀書』
ネロを選んだ魔導書。1839年にフォン・ユンツトによって書き記された初版。本物そっくりに活動するダミーの作成や、自分自身の姿の偽装などの術を内包している。
しかし最も恐ろしいのは、術者に触れた部分を世界から消滅させる術である。例えば右手で触れれば、その右手の部分だけが世界から消滅する。
ただしこの最凶の術の行使にはある程度の溜めが必要となることから、そう容易く多用することは出来ない。
神の模造品たる鬼械神(デウス・マキナ)の記述も含まれており、本来ならば最強の魔術師たるネロに相応しい最強最大の『ネームレス・ワン』が招喚できるはずだった。
しかしネームレス・ワンはネロが聖杯戦争に招かれた時点ではデモンベインに破壊され失われている。
【能力・技能】
人外の力を振るいし者。人的に生み出された最強の魔術師。神代の魔術師に匹敵しうる身体能力と魔術回路を有する。
銃弾を弾き返す防御結界や他者の口腔を介した会話などはお手の物で、一度見た魔術を容易く解呪(ディスペル)する順応性も持ち合わせている。
その実力は最強最悪の魔術師マスターテリオンに比類しうるほどだと言われ、作中ではアンチクロス筆頭のアウグストゥスを赤子のようにあしらっていた。
炊事洗濯掃除、なんでもそつなくこなす。
【人物背景】
米国最大の都市アーカム・シティに巣食う魔術結社『ブラックロッジ』の七人の幹部アンチクロス最強最悪の魔術師。与えられた皇帝の名前は『ネロ』。
最強最大の鬼械神『ネームレス・ワン』を駆り、ブラックロッジの大首領マスターテリオンに唯一匹敵しうる程の実力を誇る。
幼女のような容姿とは裏腹にその本性は凶暴極まりなく、ブラックロッジの中でも『暴君』と呼ばれ畏怖されていた。
それ故、裏切り者のアンチクロスとして長きに渡ってブラックロッジの本拠地無幻心母の奥で拘束されていた。
その正体はブラックロッジの最終目標である大儀式『C計画』の生贄に必要な『Cの巫女』を生み出すムーンチャイルド計画の最高傑作ナンバー09。
暴君ネロはC計画の生贄として理性と魔力を貪り尽くされた後に息絶える。そしてネロの断末魔と同時期に産声が上げられて間もなく、世界は無限螺旋の起点へと回帰していく。
そして彼女は振り出しに戻った後の世界で誕生し、儀式の生贄として殺められ、また誕生し…という終わりなき死と生の輪廻を繰り返していく宿命にある。
今回は幾度となく続く無限螺旋の内、ブラックロッジに仇なす覇道財閥が擁するデモンベインとの戦いでネームレス・ワンを破壊され自らも絶命した直後からの参戦。
結末としてはライカルートにだいぶ近い。なお、例え自分の死の形を変えようとも無限螺旋が終わらないのは今際の際になって漸く知らされた。
少女の様に無邪気に振る舞っているが、その実残忍且つ冷酷。他者を殺戮することに何の呵責もなく、常人のSAN値を大幅に剥奪する程の邪悪さを内に秘めている。
同時に愛することも愛されることもないまま、Cの巫女としてその生命を無限に弄ばれるだけの自らの在り方に対する虚無感と孤独感、そして果てしない絶望に苛まれている。
【方針】
ブラックロッジも金髪男も眼鏡女もいない世界でストレス発散の代わりに好き勝手暴れる。
鬼械神を喪失したとは言え単騎でもサーヴァントに匹敵しうる程の戦闘力を発揮できるので基本的には自分が前線に出てサーヴァントと戦う。
普段は魔力消費を抑えるためにバーサーカーの狂化スキルを下げているが、いざという時には狂化スキルを上げた状態で全力で暴れさせる。
【サーヴァントへの態度】
鬼械神に匹敵する戦闘力を有し、それでいて神の模造品ではなく正真正銘の神という点では評価している。
普段は燃費を抑えるために狂化スキルを下げている。唐変木がすぎるのが玉に瑕だが、話し相手としてはちょうどいい。
最終更新:2024年04月21日 13:44