神の支配する箱庭に、少女は生まれた。
◆◆
目を覚ました時、最初に思ったのは"ここはどこだ"だった。
記憶が連続していない。さっきまでいた場所と今いる場所とが、どうやっても頭の中で結びつかない。
復讐のために足を踏み入れた未来の島。科学の粋を詰め込んだ、憎き怨敵"だった"男のラボラトリー。
エッグヘッドと名付けられたその島で、少女はついにすべての真実を知った。
垣間見た、父の記憶。
父が仇に、いや友人に託した大事な思い出。
温かいと呼ぶには痛みの多すぎる、その生涯のメモリー。
それを、少女は長い時間をかけて咀嚼し、受け止めた。
まだ幼い内から両親と引き離されて、奴隷に落ち。
聖地とは名ばかりの穢れた大地で、主人に傅いて世話をする日々。
それが終わったかと思えば、迷い込んだ先はまたしても神の娯楽で命が消費される狂気の島。
そこで希望を見出し、鎖でつながれた日々と袂を分かち……子を成し。
それでも少女の愛する父は、神の呪縛から逃れることができなかった。
この世界に迷い込み、冥界の土を踏んだ瞬間に、頭の中にたくさんの情報が流れ込んできた。
冥界。魂。雫。聖杯。蘇生。葬者。聖杯戦争。そして、サーヴァント。
そのどれもが少女――ジュエリー・ボニーにとっては知らない知識である筈だったが、それが何故だか"理解できる"。
知識ではなく感覚として、流れ込んだ知識の全部を驚くほどするりと咀嚼することができた。
つまるところここは死後の世界というやつで、聖杯を手に入れなければこのまま冥界に消えることになる。
そして生還のための鍵である聖杯とは、願いをかければそれを叶えてくれるという夢のような代物でもあるらしい。
であれば、ボニーに取って取るべき選択肢は言うまでもなくひとつしかなかった。
死者の世界などという陰気な場所に骨を埋める気もなかったし、何より――"どんな願いでも叶える"宝なんてものが存在するのなら。
ジュエリー・ボニーは、自分は、どんな手を使ってでもそれを手に入れなければならない。
聖杯とはボニーにとって、夢枕に思い描いた救いの光そのものだった。
自分を守るため、そして救うために神の玩具に堕ちた優しい父。
今も奴隷として酷使され続け、それでも文句ひとつ言わずに前へ進み続けるあの人。
彼を救うすべは、この世にない。
どの科学も、どの奇跡も、打つ手なしと白旗をあげていた。
だが。だが――聖杯ならば。
かけた願いを必ず叶えるという、まさに極上の"お宝"ならば。
もう戻らない、消えてしまったはずの父を救うことも、きっと可能なはず。
また、希望は絶望に塗り潰されてしまうかもしれない。
ボニーの知る限り、世界とはどこまでもひたすらに残酷なもので。
信じたものに裏切られることなど、彼女にとっては日常茶飯事だった。
だが、だとしても、縋るのをやめることは彼女にはできなかった。
それだけが、置いていかれてしまった、守られるばかりだった少女にできる唯一のことだったから。
聖杯を、手に入れよう。
そして願いを叶えよう。
今度こそ、お父さんを救おう。
少女は無垢なる願いを胸に、立ち上がる。
右腕に刻まれた刻印をしっかりと確認して、死者ながらに活力を灯して顔をあげた。
――そこで。息が、止まった。
「お初にお目にかかります、我が主。哀れなる、ジュエリー・ボニー」
そこに。
誰かが、いた。
されどひと目で理解する、彼女こそが自分のサーヴァントなのだと。
自分を聖杯のもと、そして父の許へ運んでくれる相棒なのだと。
理解はしたが、それでもボニーは背筋を這う鳥肌を抑えることができなかった。
ボニーも海賊だ。新世界の海、時には聖地まで駆け回ってきた。
恐ろしい強者や、忌まわしい世界の真実など……文字通り、腐るほど見てきたものだ。
けれど――それでも。
それでも、ボニーは"恐ろしい"と思った。
目の前に立つ、ごく小柄な少女。
暗い、まるで暗雲のような不吉さを感じさせる娘。
淀み落ち窪んだその瞳がまた、その印象に拍車をかけていたが。
だが、根本はそこじゃない。
彼女の放つ、あまりに色濃い負の色彩(オーラ)。
世界のすべてを呪い、憎むような。
その色こそが、大喰らいのジュエリー・ボニーを怯ませていた。
もしも彼女の"負"が、主(マスター)に対する敵意だけでできていたならば事態はまだ幾分か易しかっただろう。
しかし現実として。ボニーのサーヴァントたる彼女は、哀れな少女に対して敵意どころかむしろ友好と同情をこそ示していた。
「我が名はライダー。ライダー・丑御前。此度、あなたの願いに呼応し推参いたしました」
柔和に笑って頭を垂れる姿は、まさに従者然としたものである。
だというのに、何故にこうまで心が落ち着かないのか。
ボニーが口を開く前に、ライダー……丑御前を名乗ったモノは、言葉を重ねた。
「何故、己が名を識っているのか……と問いたげな顔ですね。
これに関しては申し開きのしようもありません。実は先ほど、ボニー。あなたの記憶を垣間見てしまったのです」
「……あたしの、記憶を――?」
「ええ。端的に言って……この丑御前、悲哀の涙を零すのを堪えるのに苦心しました」
ボニーの眉間に、厳しく皺が寄る。
過ぎた不幸に対し、生半な同情はむしろ油でしかない。
お前に。あの世界に生きたこともないお前に、何が分かると。
少女の心を八つ当たりじみた怒りが震わす。
父の記憶を垣間見、元凶を知った矢先に冥界へ落とされたことで蓄積していたストレスは今にも爆ぜようとしていた。
だがその怒りも。続く言葉で、やり場を失ってしまう。
「辛かったでしょう。さぞや、口惜しかったことでございましょう。あのような歪に腐り果てた世界で生き、その理に翻弄されるのは」
女武者の紡いだこの言葉は、まさにボニーが"大海賊時代"の世界に対して抱いていた感情を代弁していたからだ。
「神を謳う屑が……いや、虫と呼ぶべきでしょうか。そういうものが我が物顔で蔓延り、不幸を振り撒く。
あまつさえ幼子から父を奪い、その尊厳を陵辱して跪かせる。ええ、ええ――この上ない非道でございます。
ボニー。あなたの憤懣は、実に正しい。間違っているのはあなたではなく、世界の方だ」
「……、驚いた。ホントに全部見たんだな、お前」
天竜人という存在を、あの世界では神としていた。
聖地とは名ばかりの、搾取と傲りに溢れた天空都市に身を置く醜い豚どもだ。
そしてその上には、五老星を名乗る愚者の賢者達が君臨していて。
世界の歪みを正そうとすることもなく、我が物顔で世界を俯瞰し続けている。
まさに、神を謳う屑であり。
下々の民の幸福を食って肥え太る、虫だ。
そんなおぞましく醜いものたちに、ボニーの世界は支配されていた。
ボニーの父は、そんな救い難いものにすべてを奪われた。
ボニーが憤り、憎むのも当然だろう。
そんな少女の想いを、感情を、恐ろしき女武者は一寸たりとも否定することなく肯定していた。
「……ああ、そうだよ。あたしは世界に怒ってる。
あんな世界、大嫌いだ。お父さんを弄んで、穢し尽くして、挙げ句見せしめの人形にした。
見たんだったらお前も知ってるだろ、ライダー。あたしのお父さんはな、"無敵奴隷"なんだってさ。
何度刺しても殴っても壊れないから、予約がひっきりなしに入ってあの天竜人(ゴミ)どもの間でさえ順番待ちが出てるんだと。
笑えるよな。はははは、あはははははは――」
ボニーは、笑った。
自傷するような、笑いだった。
ひどく痛ましい笑顔が、そこにはあった。
人生を憂いて、不理解を恨んで手首を切るような。
そんな幼い自傷を、彼女は笑顔で繰り広げていて。
「――ふざけるな。あいつら、いつか全員ぶっ飛ばしてやる。
あのマリージョアから引きずり下ろして、お父さんの味わった苦しみを1%でも味わせてやりたくてたまらない!」
「ええ、ええ。まったくもってあなたの想いは正しい。その怒りのすべて、恩讐のすべて。
この私は肯定する。私は、あなたの一切を否定しない。ですから、そう」
女武者は、ボニーの憎悪と憤怒のすべてを肯定するとそう言った。
あなたの世界は歪んでいる。あなたの世界は、狂っている。
こわし
「ただしてしまいましょう? ボニー。あなたと――――この私で」
ならば、ただし/こわしてしまおうと。
女武者は、笑顔のままでそう言った。
「……、……え?」
「過ちは正さねばならない。歪みも然りです。それは誰かがやらねばならないこと。誰かが果たさねばならない、宿願なれば」
無論、ボニーとてそこに異存があるわけではない。
あんな世界は、壊れてしまって当然だと思っている。
神を気取って天に立つ"まがい物"たちは引きずり下ろされ。
当たり前としてまかり通っていた常識が崩れ、破綻して意味を失う。
それは、父を追う旅路の中でボニーが何度となく思い考えてきたことだ。
だがそれでも、今ここにいる武者の言葉に一二なく頷くことには躊躇いがあった。
断じて、父を穢した神々に同情しているからではない。
彼女が自分にかける言葉。
それに頷いてしまったら、なんだか。
なんだか、とんでもないことに。
取り返しのつかないことになってしまう、ような。
そんな予感がしたから、ボニーは言葉を詰まらせたのだ。
「私もまた、あなたと同じですジュエリー・ボニー。無念の内に生を閉じたこの身は英霊の座に召し上げられ、そして世界の破壊を願った」
ライダーは、人の形をしている。
見てくれだけなら麗しい少女のように見える。
あの海で出くわした、船を丸飲みにするような恐ろしい海王類。
かつて戦い、そして敗北した、黒ひげの大海賊。
そして世界は自分達の庭だと信じて疑わない、憎たらしい神々。
海賊ボニーがその航海の中で見、対面し、恐ろしいと思ったものは数ほどあった。
だがこのライダーは、丑御前というサーヴァントは、そのどれとも違って見えた。
同じ"恐ろしい"という形容でも、意味合いが違うというか。
その恐ろしさがやがてもたらす結果の形が、絶望的なほど自分の常識とはかけ離れているような――。
そういう存在(モノ)に、見えたのだった。
「……私は過去にも一度、この"聖杯戦争"と形を同じくする儀式に参じています」
「え? ……に、二回目ってことか?」
「ええ。残念ながら前回は仕損じてしまいましたが、二の轍は踏まないと約束しましょう。
それに――ボニー。どうやらあなたは、正雪よりも私の根源に近い。
今はまだ戸惑い、臆病風に吹かれることもありましょうが……それでもいずれは必ず共鳴が起きましょう。
そうなれば我らは、必ずやこの冥界に吹く一陣の風となる。数多連なる願いを切り崩し、世界をただす(こわす)恩讐の風に」
ジュエリー・ボニーは、世界に絶望した。
教会の外に、島の外に出て見た世界は知れば知るほど醜かった。
こんな世界は、間違っている。
人が人として、幸せに暮らすことも。
あるがままに誰かとして生きることも。
何かを守りたいと願い、行動することも許されないのなら。
それなら、こんな世界は。
こんな世界で、生きる人間は……
「死んだ方がいい世界。幼子がそう思ってしまう世界が、正しい形のはずがない」
――死んだ方がいいじゃないか、と。
そう思ってしまったとして、それを誰が責められる。
丑御前は、それを責めない。
責めるでなく、嗜めるでもなく、ただ静かに肯定する。
その想いは正しいと。
間違っているのは徹頭徹尾、この歪み果てた世界の方であるのだと。
彼女は嘘偽りのない言葉と瞳で、幼い大海賊にそう語っていた。
「改めて名乗りましょう、ボニー。私はライダー。我が真名は、丑御前。
誉れも高き源頼光から分かたれ、そして望まれるままに生き、棄てられたモノ。
あなたと同じように、この歪みたる世界をただす(こわす)ことを御旗に掲げた復讐者」
この聖杯戦争は、ジュエリー・ボニーにとって紛れもない希望だった。
正道ではならない願いを、邪道で叶えることを許す土壌。
科学をも超えた神秘、奇跡でならば、もう戻ることのない父を取り戻せる。救えるのだと、冥界は彼女へそう告げた。
しかして彼女が巡り合った運命は、忘れえぬ炎を燃やす復讐者。
世界の歪みを知り、それを糾する平安の、封じられたる狂気。
彼女は、ボニーに願い以外の可能性を提示する。
ある種母性にも似た柔らかな肯定で、ボニーの手を優しくその方向へと引くのだ。
世界は間違っている。
世界は病んでいる。
世界は、歪んでいる。
であれば、共にただそう/こわそうと。
歴史の彼方からやってきた鬼は、手を差し伸べてきた。
未だ幼い少女の身でありながら、誰より世界の無情を知る彼女へ。
最大の理解者として、久遠の果てから現れた。
少女は。運命に、出会った。
「――――あなたの願いを、真に叶えるべく罷り越しました。どうぞ末永く、共に歩んでゆきましょう?」
死んだ方がいい世界。
そんなものは、間違っている。
子どもでも分かる話だ。
であれば。
であるのならば――――
【CLASS】
ライダー
【真名】
丑御前@Fate/Samurai Remnant
【ステータス】
筋力A 耐久B+ 敏捷C 魔力A+ 幸運C 宝具B
【属性】
秩序・悪
【クラススキル】
対魔力:B
魔術に対する抵抗力。Bランクでは、魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。
例え、大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、丑御前を傷付けるのは困難である。
騎乗:EX
乗り物を乗りこなす能力。EXランクであれば、竜種にすら騎乗が可能となるレベル。
規格外の能力であり、超大型の神獣すら乗りこなす。後述する宝具の要ともなる。
【保有スキル】
狂化:EX
本来はバーサーカーのクラススキル。理性と引き換えに驚異的な暴力を所持者に宿すスキル。
後述する『鬼神の顕』スキルの効果によって自身のマスターにも隠蔽されている隠しスキルとなっている。丑御前は狂気に捕らわれており、例え理性的に言葉を交わしたとしても、本質的な相互理解には程遠い。
鬼神の顕:A
鬼やその混血が持つ「鬼種の魔」スキルに似て非なるスキル。
本来は『神性』スキルや『変化』スキル、『怪力』スキルなどから成る複合スキルである。生前、頼光から「分離・成立」した時にはあくまで頼光と瓜二つの姿であったものの、本スキルによって自ら容姿を少女期のものに変化させている。
独武者:C
ひとりむしゃ。
自身のクラスを隠し、偽りのパラメーターによって自らの正体を隠蔽する。自分自身の破壊衝動を抑え込む為の、枷にして檻でもある。
今回のライダーは『盈月の儀』で由井正雪にしたように、名そのものを偽ってはいない。
ジュエリー・ボニーというマスターを連れる上ではその方が都合がいいので、彼女には明け透けにしている。
魔力放出(迅雷):A
魔力放出の一種。電撃を伴う。
源頼光が持つ帝釈天由来の力と同じメカニズムだが、頼光のものよりも攻撃に特化している。故に、迅雷。
魔性鬼神:EX
荒ぶる鬼神、異形としての力。自身に対して短時間のブーストをかける。
【宝具】
『牛王反転・迅雷風烈(ごおうはんてん・じんらいふうれつ)』
ランク:A 種別:対城宝具 レンジ:0~20 最大補足:500人
丑御前が操る、巨大乗鬼である土蜘蛛とも牛鬼ともつかない大型怪異───大神使が、牛頭天王の力をほんの一時的ながらも爆発的に増幅させ、強烈な叩き付け/踏みつけを行う。
巻き起こる大質量、大雷撃、大旋風により、世の悉くを粉砕する。
『牛王反転・悪逆無道』
ランク:B++ 種別:対都市宝具 レンジ:1~90 最大捕捉:800人
ごおうはんてん・あくぎゃくむどう。
丑御前が操る巨大乗騎である大神使が、牛頭天王の荒ぶる力を受け、高まりきった魔力のために自壊しながらも激走。
纏った雷を周囲に放ちながらの超高速突撃を行うことで、幅1km、長さ十数kmの広範囲に渡って大破壊を巻き起こす。
聖杯戦争にあってはまず真名解放することが難しい、対英霊ではなく対都市規模の攻撃が優先される無差別広域破壊宝具である。
『童子切安綱(どうじぎりやすつな)』
ランク:B 種別:対神秘宝具 レンジ:− 最大補足:1人
平安最強の神秘殺し・源頼光が酒吞童子を退治する際に用いたとされる太刀。常時発動型の宝具。
普段は頼光のものと同じく一振りの刀として扱われるが、もしも彼女の中に燃える"恩讐"が表出化したならば……?
【weapon】
『童子切安綱』
【人物背景】
牛頭天王の子。平安の都に生まれ落ちた鬼子、源頼光に備わっていた魔性の側面。
この歪な世をこわす/ただすために剣を抜く、人界の復讐者。
丑御前は『盈月の儀』の仔細を忘れていない。
よってその霊基の内側では忘れえぬ恩讐の炎が燃え続けている。
従って、必要とあらば自らのクラスを"そちら"に切り替えることも恐らくは、可能である。
かの盈月をめぐる戦いと今回の現界ではその点が異なっている。
【サーヴァントとしての願い】
この歪なる世をただす/こわすこと。
【マスターへの態度】
愛らしく、そして哀れな童。
正雪よりも幼いが、だからこそ盈月の儀の二の轍は踏まないと踏んでいる。
ライダーはボニーの怒りをすべて肯定する。
――そして、世界への復讐へと誘う。
【マスター】
ジュエリー・ボニー@ONE PIECE
【マスターとしての願い】
お父さんを元に戻す。そして……?
【能力・技能】
超人系悪魔の実『トシトシの実』を食べている。いわば年齢自在人間。
自分を含めたあらゆる物体の年齢を操ることができる。
とはいえ生物に対しては永遠の効力を発揮することはできず、本質的に不老や若返りを実現することは不可能。
またこの聖杯戦争では、マスターとなりサーヴァントを抱える身になったためか、他者に対する年齢操作の効果時間が更に短くなっている。
【人物背景】
死んだ方がいい世界に生まれ、神に運命を翻弄され続けた少女。
その心には、愛する父をもてあそんだ世界に対する怒りが燃えている。
【方針】
聖杯を手に入れるつもりだが、無益な殺生は気乗りしない。
【サーヴァントへの態度】
恐ろしい奴だと思っている。
しかし同時に『聖杯を手に入れる上ではこれ以上の戦力はない』とも思っており、心境は複雑。
彼女の語る言葉に、自分の中の何かが共鳴しようとしていることにも気付いている。
――その感情の名を、幼いボニーはまだ知らない。
最終更新:2024年04月22日 02:53