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過ちは、取り戻すことはできない。
そんなことは、自分が一番わかっているはずだ。
あの日、僕は皆を助けることができなかった。
隼人は下敷きになって、綾乃さんを一人にして、加奈さんを追わず、殺した。
それだけじゃない、僕はこの手で、亜深さんを殺した。
間違いなく、僕は人を殺したんだ。
正当防衛とかそんなことは関係ない。
僕は取り返しがつかないことをしたんだ。
どうしようという気にもならない。
このまま死んでしまってもいいとも思える。
もうどうとでもなればいい。
これ以上、僕に何をしろというのだ。
助けはもう求められない。
自分以外、みんなみんな死んでいった。
そして今僕はここに立っている。

「何が頑張ってくださいねだよ、まったく訳が分からないしさ……。
 テレビのドッキリかなんかだったら、どれだけいいのか」

チェルシー、そう名乗る女性から突如言われた殺し合いをするという宣言、僕はそれを聞いて何も思わなかった。
今までの自分だったらどう思うだろうか。
殺し合いなど許せないと言って逆らおうとでもしただろうか。
それとも、人殺しをボクは許容したのだろうか。
まぁ、どちらにしろ僕には関係ない。
だって僕はもう、この世に絶望しきってるのだから。
殺し合いも何も関係ない。

「……さてそれじゃあ「喋るな」、え?」

首筋に、何か冷たいものが触れる。
気配とか、そういうのはなかった。
いつの間にか僕の首には鉄の塊のようなもの、刃が、僕の命を奪える場所にあった。

「安心しい、そう殺そうだなんとは思ってへん……ちょいと質問に答えてくれればいいだけの話や」

安心しろとかいうのは馬鹿げた話だ。
こんな下手すれば即死の状況で落ち着ける人間がいてたまるか。
そんなのがいたらよほど死線を潜り抜けてきた奴か命知らずの馬鹿だ。
残念ながら、僕はどちらでもない。
せいぜいできるのは、動揺をできる限り隠すことだ。
下手に相手に不快感をもたらすと、殺されるかもしれない。



(――――あれ?)



何で僕は、死ぬのを怖がったんだろう。
もう死のうと思ってたのに。
そう、僕はあの時……カッターナイフを自分の喉につきたてようとしてた。
それは自分でも意識してやったことだから覚えている。

「――――どしたん?」
「いいえ、何でもありませんけど……」
「ま、ええわ……銀髪にガスマスク被った奴見ぃへんかったか?」
「――――僕が会ったのは貴方が初めてですが」
「そうか、ならええわ……それじゃあ最後に一つ聞くけれど」
「何でしょうか?」



「ウチが今この場で、アンタを殺す言うたらどうする?」



本当に、なんというか面倒だった。
これが俗にいうあれか、知らないならば用済みだとかいう映画でも見る奴か。
そうか、僕はこれで死ぬのか。
なんというか、やっぱり人生短かったな。

「――――いや、殺すわけちゃうで……? あくまでどうするって聞いただけや」

というわけではないらしい。
考えすぎるのが僕の悪い癖だからか。
いや、でもさっきの言い方だとマジで殺されそうだったからな。
まるで殺し屋から言われてるような、そんな気分だった。
……まぁ、さすがに殺し屋なんてこのご時世にはいないだろうけどさ。

「そうですね、殺すなら殺してくれていいですよ」
「――――ほぉ、面白いこと言う餓鬼じゃあないの」
「まぁ、死のうと思ってたところでここに呼ばれたわけですし」
「――――――――そか、なるほどな」



ぞくり



今までに感じたことがない、寒気、威圧感、恐怖、それが僕に襲いかかった。
抵抗しなければそのまま押し潰されてしまいそうなほどに。

「巫山戯るな、この餓鬼が――――死にたいなんて、ウチの前で二度と言うな」
「なんだよ、僕のことを何も知らないのに……」
「知らんよ――――知る気もあらへん、でもな……まだ先があるのに、そんなこと言うやつが許せんかっただけや」
「――――?」

なんだ、この引っかかる感じは。
自分にはもう先が無いような、そんな言い方だ。


――――そう、まるで自分にはこの先がないかのような。


◆              ◆


自分らしくない、そう思ったのは先ほどからだった。
目の前の正面が言い放った言葉、それに自分は強く反応してしまった。
死のうとしていた、という言葉に。
生きたくても生きることができない人間もいるのに、なのに死ぬ。
少し前の自分なら、きっとこの場で彼を殺したのだろう。

「……それ、寄越しぃ」

いつの間にか自分は、突き当てていたナイフをしまい、少年のデイバッグを奪う。
何か言いたげではあったが、無視でええやろ。
食料や何かの機械のようなもの、自分のバッグの中に入ってたものが同じく入っていた。
――――だが

「――――ッ」

バッグの中に入っていたのは、刀だった。
それも、ただの刀ではない。
奴と特訓をする際に作った、「捨丸」という刀だ。
神、そう言われた少年と対峙した際も彼が使っていた。
言ってしまえば、遺品のようなもの。

「これ、貰うけどええ?」
「――――いいですよ、別に……僕にはどうだっていですし」
「そか……ありがとな、それじゃあ依頼料は貰ったよ」
「依頼、料?」

本当に自分らしくないと思った。
1ヶ月も経たない、短い間に変わった。
誰が原因かなど考えずともわかる。



「アンタを守ってやるっちゅー話や、もう一度生きる気を起こさせたる」



少年は唖然としていた。
何を言っているんだ、そういう顔だった。
正直自分も何を言っているんだと思ってはいる。
他人を助けようとするなど、自分らしくない。
だからこそ、依頼料としてこれを貰ったのだ。
だから、理由としては十分以上である。

「――――わかりました、よろしくお願いします」
「思ったより承諾が早くて助かるわ、ウチはサラ……皿井戸菊や、よろしゅうな」
「諦めただけですよ……水野誠、よろしくお願いします」

水野誠、そう名乗った少年はウチが持ってた彼のバッグからよくわからない機械を取り出した。

「――――なんやそれ?」
「説明受けてませんでしたか? ルールとか参加者とか乗ってるらしいですよ」

そう言いながら操作を続ける。
機械などまったくわからない自分からすればある意味心強いものだ。
ミネルバくらいしか機械関連に詳しい人間はいなかったから。
だがこの少年は上層階級ではないはずだ。
黒い髪からしても、下層階級で間違いない。
こんな機械を操る技術などどこで手に入れたのか。
そう考えていると、少年の顔色が悪くなっているのに気づく。

「――――え?」
「どしたんや、そんな腑抜けた声出して」
「う、嘘だ……こんなことが、あって……」

どういうことか、そう思いその画面を覗く。
字だ、よくわからないが彼はこれを読んだのだろう。
残念ながら自分は字を読めるわけではない。

「どうしたんや、簡単に言ってくれへん?」

少年が、真っ青な顔をこちらに向ける。
震える唇から放たれた音は、確かにこう聞こえた。



「――――――――死んだ皆が、いる」



◆              ◆



冗談だろ、それが最初に感じたことだった。
隼人は下敷きになって死んだはずだ。
綾乃さんを一人で行かせた結果死んだ。
一人で走っていってしまった加奈さんを追わず、死なせた。
狂った亜深さんを、この手で殺した。
全員間違いなく死亡したはずだ。

(これが、罰だっていうのか?)

同姓同名の別人、なのだろうか。
いや、そんな偶然があり得るのだろうか。
でも彼らは死亡したはずだ。
この場にいていいはずがない。

「――――なぁ、アンタはどうしたいんや」
「え?」
「その同じ名前の奴に会いたいか、聞いたんや」

だが、もしもだ。
彼らが偽物でもなんでもなく本物の彼らならば。
僕は――――どうすべきなのか。
謝っても、許してもらえるはずがない。
僕だけが悠々と生き延びているんだから。
でも、それでも……。



「会えるなら、会いたい……本当に隼人たちだったら、言わなければいけないことがあるんだ」



許してもらえなくてもいい。
それでも、謝らなくてはならないから。

「なら、ウチはそれに協力する……それからはアンタの好きにしぃ。
 目的を果たしても死にたいのならウチはもうどうもせぇへんよ」
「――――ありがとうございます」

サラさんは歩き出した。
僕はそれを追いかける。
生きる気はまだない――――だけど。

皆で、また平和な日常に戻りたい気が、僕の心にある。
その小さな小さな『カノウセイ』を僕は追いかけたいのかもしれない。


【一日目/朝/G-7】

【水野誠@カノウセイ】
[状態]皿井戸菊に対する若干の恐怖、生きる意味を見失い中
[装備]なし
[所持品]基本支給品の端末
[思考・行動]
基本:どうだっていい、けど……
1:サラさんと行動する
2:本当に皆かはわからないけど、会いたい。
[備考]
※DEATHEND2「疑心暗鬼」にて自殺寸前の時からの参戦です。
※名簿に載っているカノウセイ勢については一応本物と考えました。
※見せしめは両親のようです

【皿井戸菊@D.】
[状態]健康
[装備]捨丸@D.
[所持品]基本支給品×2、不明支給品0~4、ナイフ@寄生ジョーカー
[思考・行動]
基本:自分の好きにさせてもらう
1:マコトと行動する、彼を変える――――?
2:本物ならば、もう一度彼(主人公)に会いたい
[備考]
※主人公がいなくなってから、個別エンドまでのどこかからの参戦です。
※水野誠が下層階級の人間なのかどうか疑問を抱いています。
※見せしめは不明ですが、彼女にとってはあまり動揺するに値しなかったようです。


支給品説明
【ナイフ@寄生ジョーカー】
皿井戸菊に支給。
晴香の初期装備。攻撃力と攻撃範囲に難あり。攻撃力1。
世の中にはこれだけでボスを倒す猛者もいるとかいないとか。

【捨丸@D.】
水野誠に支給。
主人公が特訓イベントでサラと初めて特訓するときに作られる刀。
攻撃力80と高めである。


sorry, I'm leaving now 時系列順 このボウガイに贖罪を
sorry, I'm leaving now 投下順 このボウガイに贖罪を

START 水野誠 [[]]
START 皿井戸菊 [[]]

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最終更新:2013年02月11日 12:00