全て俺のせいだ。
あの時俺が急かしていなければ、親友の誠やあいつの友達を巻き込むことはなかったはずだ。
そう言って乗った電車が人身事故を起こし俺たちは閉じ込められた。
最初のうちは先頭車両に行けば死体が見れるなんてはしゃいでいたけれど、
眼を離した数秒の隙に浮かび上がっていた血文字のをきっかけに、
好奇心は恐怖へと変わっていった。
窓ガラスを割ろうとした駅員が黒コゲになって、
座って休もうとした誠の中学の時の同級生の友達、加奈が爆発に巻き込まれ、
その間にも沢山のわけの分からない化け物に襲われた。
それでも脱出できると信じ電車の最後尾まで進み現実を突きつけられる。
―――出られないという事実を
誠はもう一回前の車両から調べなおそうと言ってきたが、
面倒くさくて嫌だった。
そして俺は梃子でも動きたくないとその場に座り込んだ。
誠はそんな俺に一緒に行こうと言ってくれた。
だけど、俺は意地を張ってその手をはねのけてしまった。
そして俺を置いたまま誠たちは前の車両へと行ってしまう。
思えばあの時一人で扉があいているかを見に行ったのも、
プライドを捨てたくないために一人でトイレに向かったのも、
全ては悪口を言われたくない、『お前のせいだ』と責められるのが嫌なだけだった。
責められる方がマシだったとどこか頭の中では分かっていたのに……。
そんな思いを誰に言うともなく吐き出した後に聞こえた言葉
――ボウガイは……罪である
気がついたら目の前に見知らぬ女がいて、今から殺し合いをしてもらうとか言われた。
ルールはバッグの中の端末を見ろと言われた後、見せしめとして尾崎の奴が殺された。
いつの間にか俺にもつけられている首輪、
それをあの女は迷いなく爆発させ、いとも簡単に…。
この状況に俺の足は震え、その場にへたり込む。
今の俺の顔、真っ青になってるんだろうな…
(確かにあいつは嫌な奴だけど、目の前でこう死なれたら…)
そうこう考えているうちに気がつけば、見知らぬ山の麓にいた。
あの女はいなくなっている。
余りにつながりがない場所にワープしまくっているので夢だと思いたかった。
しかし、首輪とデイパックが夢ではないと告げている。
「……!!」
何を思ったのか俺はデイパックを開け、その中から端末を取り出し電源を入れていた。
どうして最初にこんな事をしたかは分からないけど、何故か嫌な予感がした。
機械を操作し『名簿』のところを見る。
「な、みんなも……どうしてだよ」
嫌な予感は当たっていた。
名簿には俺だけではなく誠の名前もあったからだ。
それどころか綾乃、亜深、あの時死んだはずの加奈までいる。
そうなれば俺のやることは一つ…
「謝ろう、誠に…」
未だに震える足で何とか立とうとした時、後ろから声が掛けられる。
「どうした!お前、大丈夫か?」
「え、…あ、……ぁぁ」
振り向いた先にいたものを俺は信じたくなかった。
……そいつが何者であるかということは分かる。
だけどあいつは……『ゲームの中のキャラクター』のはずなのに…
俺の目の前にいるのは赤い翼に青い体を持つ凶暴な性格のドラゴン
ボーマンダと呼ばれるポケモンだった。
◇
突然のことに俺は戸惑っていた。
確かウリアに犯されてたヘヴゼウスを倒した後、
フロールと共に保育園の仕事をしながらリオウに再び会うため水晶の研究をしていた。
確か昨日のことは覚えている。
フロールと一緒に夕陽を見ながら、一緒にリオウに会いに行こうと約束した。
その後、まだまだ遊び盛りな子供たちを寝かしつけ、
キリのいいところまで水晶の研究をした後に寝たんだっけ。
ふと目を覚ますと人間の女が底抜けに明るい笑顔で俺を見ている。
周りはウリアを連想させるには十分すぎるほど黒が広がっていた。
その人間の女、チェルシーは俺をからかいたいのか見下したいのか分からない口調で
最後の一人になるまで殺し合いをするように言ってきた。
当然俺はもうそんな殺し合いなんかはしたくない。
そう言うとチェルシーは……
ベルナール、保育園を作ろうと言いその願いをかなえた彼女から……
いとも簡単に命を奪い去っていった。
「なっ、ベルナール、……お前、生きて帰れると思うなよ」
俺は爪を紅色に光らせチェルシーを引き裂こうとする。
フロールが今の俺を見たらボーマンダとしての真の姿を現したというだろう。
しかし彼女にはあたることがなく身体が黒へと落ちる感覚に襲われる……
…気がつけば俺は見覚えのない山の麓にいた。
これは夢ではない、彼女は確実に俺たちに殺し合いをさせようとしている。
とにもかくにも俺はそばにあったデイバッグを開け、
その中から端末を取り出し名簿を確認しある違和感に気づく。
「ん、なんで俺の名前が載ってないんだ?」
名簿に俺の名前はどこにもない。
ふと嫌な予感がよぎる。
もしここに俺の知り合いがいても俺がいることが分からないのではないか?
それに俺自身も他に誰がいるかなんて分からない。
…いや、むしろここに俺の知り合いはいないのではないのか?
俺だけであればありがたいが、俺の知り合い
……特にリオウやフロール、シュラー、スフォール、ナレイズが巻き込まれている可能性は高い。
となると俺がやるべきことはいる可能性が高い知り合い達を探すこと
――な、みんなも……どうしてだよ
ん?何処からか叫び声がする
声のした方へ行くと赤い帽子をかぶっている人間の男の子がいた。
ということは、最低でもここはシスティアではないみたいだな。
とりあえず今俺がすべきことは…
「どうした!お前、大丈夫か?」
「え、…あ、……ぁぁ」
俺は少年の方に向かい声をかけた。
俺の方を向いた人間の男の子は俺を見て怯えているようだった。
まあ、俺はボーマンダだし仕方ないか…
◇
「……ぁ…ぁぁ…ぁ」
目の前に突然現れたゲームの中のキャラクターに少年、風見隼人は怯えきっていた。
声にならない声をあげ動けなくなっている。
さしずめ蛇に睨まれた蛙といったところだろう。
そのまま数分はたっただろう。
彼はおかしいことに気づく。
(なんで……襲いかかろうとしないんだ?)
彼の知る限りボーマンダは無差別に獲物を攻撃するほど凶暴なポケモンだ。
それなのに目の前の奴は襲いかかる気配すら見せない。
「立てるか?」
彼をずっと見つめていたボーマンダ、サラスは隼人に尋ねる。
その声はボーマンダには似合わないほど優しい声だった。
「え、ボーマンダが……喋った!」
「あ、ポケモンが喋るのはそんなに珍しいのか?」
隼人は首を大きく縦に振る。
「そうか。まあ、そんなことよりも1人で立てるか?」
「ああ、なんとかな。おわっと」
「おっと、大丈夫か?」
隼人は何とか立ちあがろうとするが、
まだ足が震えていたためかよろめいて再び倒れそうになる。
サラスはそんな隼人に腕を差し出し、身体を支える。
咄嗟に自分を支えてくれたこともあり、気づいたら彼の足の震えは止まっていた。
「あ、……えっと、…あ、ありがとな。なあところで…」
「なんだ?」
「なんでボーマンダなのに俺をすぐ襲わなかったんだ?」
「え?まあ、そう思われるのも仕方ないかもしれないが……最低でも俺はそんなことはしたくない」
サラスは目を点にして少したじろいだ後、少し悲しそうに呟く。
その様子に隼人も戸惑っている様子だった。
「じゃ、じゃあ、お前は信用してもいいんだな?」
「ああ、お前を殺すつもりはない」
サラスは爽やかな笑顔で答えた。
◇
「なんでお前これに載ってないんだよ」
「俺だってそれは誰かに聞きたいんだ。それに他に知り合いが連れて来られてるカノウセイもあるわけだし…」
その後、軽い自己紹介として知り合いの確認をすることになったのだが、
当然のごとくサラスは名簿に名前が載ってないことを突っ込まれる羽目になった。
「じゃあさ、ここにいる可能性の高い知り合いって誰だよ?」
「えっと、リオウ、フロール、シュラー、スフォール、ナレイズだな」
サラスは5人の大まかな特徴を伝える。
出来ればここにいて欲しくないという言葉と共に…
「大体こんなところかな。隼人、俺も聞きたいことがあるんだが」
「何だ?」
「死んだ人が名簿に載ってるっていうのは本当なのか?」
「ああ、この加奈って奴は俺の目の前で確かに…うぷっ」
隼人の脳裏のあの時の光景がよぎる。
焼けついた空気、飛び散った肉片、むせかえる血の匂い、
惨状を思い出した隼人は思わず吐きそうになる。
「おい、大丈夫か?」
「……む、無理」
思い出した光景が強烈だったためか、
隼人はその場にうずくまり胃の中にあるものを吐き出す。
サラスはそんな隼人の背中を不器用ながらにさすっている。
「…なあサラス、頼みがあるんだ」
「ん、何だ?」
何とか吐き終えた隼人は唐突に頼みごとをしてくる。
「俺を乗せて飛んでくれ。早く誠を見つけて謝りたいんだ。」
「謝りたいって……どういうことだ?」
「俺、責任を問われたくなくて意地張ったんだ。
あんなことになったのは俺のせいなのに…
俺が死体を見に行ってなければ、
化け物だらけの電車に閉じ込められるなんてことにはなってなかった……
だけど俺はそれを認めたくなくて……」
「落ち着いてくれ、俺の一緒に探してやるから、な?」
「だけど何処にいるかなんてすぐ分かるのか?」
「そ、それは…」
サラスは今にも泣き出しそうな隼人をなだめようとする。
それでも感情を爆発させていたため、
落ち着かせるのに20分ほどの時間を要することとなった。
「落ち着いたか?」
「ああ、なんかすまん」
「いやいや、隼人が謝ることじゃないって、
あとさっきの話の続きなんだが……すまん、俺は飛べないんだ」
「え、サラスはボーマンダだからそれくらい余裕なはずだろ?」
「……俺の翼の付け根のところを見てくれ」
隼人はサラスの言われるままに付け根を除くと、
痛々しい傷痕を見つけ思わず息をのむ。
「なっ、この傷一体何なんだよ!?」
「大きな戦争から逃げ出す時にやられたんだ…。」
「お、大きな戦争?」
「話すのはつらいが仕方ない。確か俺はあの時……」
サラスの話によると、戦場の中1人でうろついていたフロールと共に
戦争を棄て別の大陸に逃げるときにつけられたものだそうだ。
「とまあ、そんなわけだ。歩いて探すしかないな」
「そうするしかないか。ところでさ、こん中に入っている支給ひ……」
「ぅぐふっ」
「はぁ!?」
バッグの中の支給品について聞こうとした隼人は
歩き出そうとしていたサラスの横っ腹をつんつんと突く。
その途端呻き声にも似た笑い声がサラスの口から漏れる。
隼人が口をポカーンと開けたのは言うまでもない。
【一日目/朝/C6・山麗】
【風見隼人@カノウセイ】
[状態]健康、責任から逃げたことによる罪悪感、口内の苦み
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1~3、未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:誠にあって謝りたい
2:自分やサラスの知り合いを探す
3:なんで加奈は生きているんだ?
[備考]
※「座り込み」での死亡直前からの参戦です
※見せしめは尾崎でした
※サラスの知り合いの情報を聞きました
※彼の視点では加奈は「優先席」で死んでいます
【サラス@この翼に誓いを~フライゴンの羽~】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品、ランダム支給品(1~3、未確認)
[思考・行動]
基本:殺し合いには乗らない
1:隼人と一緒に誠を探す
2:知り合いがいれば合流したいけど…
3:なんで俺の名前が名簿にないんだ?
[備考]
※本編終了後からの参戦です
※見せしめはベルナールでした
※カノウセイ勢の情報を聞きました
| START |
風見隼人 |
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| START |
サラス |
[[]] |
最終更新:2013年02月11日 12:03