「無し……だと?」
そう告げると、いきなり軌殺の目の前のレイジが花びらとなって散った
(……これは!!)
「だぁぁぁぁっ!!」
いきなりレイジが後ろから突撃してきた
ランドルは半回転して、レイジの槍を受け止めた
「…させるか」
槍を弾き返し、距離を得るため後ろに下がった
「まさか『幻影』まで使えるなんてな。参ったな」
「……」
「舞陣、黒桜、刹那、日野院…4家の槍技を使う人間は伊達じゃねぇな。親父が言っていた『守槍技の聖者』は貴様か」
「まぁね…」
「長年探していた聖者をようやく見つけた……」
「死ね」
レイジに襲いかかった
「殺せるものなら……殺してみろよ!!」
レイジがまた花びらになって消えた
「くっ……またか」
ランドルは全神経を研ぎ澄まし、気配を伺う
しかし何も感じない
「こっちだよ!!」
ランドルの右側から突然現れ刺される
「ちっ…生意気な…」
負けじと切り返すが、またレイジは花びらになって消えた
その後も上や後ろからと攻めては消え攻めては消えを繰り返していた
「このままじゃ話にならんな……何か目印となるものがあれば…」
とふと床を見た
あるものが見えた
~~~~~~~~
(これは……)
ランドルはにやけた
レイジがまた現れ突撃する
ランドルは今度は切り払い構える
レイジはまた花びらになって消えた
ランドルは急いであるものを探し見つけた
~~~~~~~~
(次で終わりだ)
ランドルは構えて目を瞑った
静かに時が過ぎる
レイジがランドルの背後に現れた
ランドルが剣を振り下ろす
「『舞陣幻影』敗れたり」
レイジの振り下ろす槍を避け、レイジの腹部を深々と斬り裁いた……
レイジは一瞬何が起きたかわからなかった
しかし数秒後、腹部に激痛が走り倒れてしまった
「…うっ…うぅ…」
「…貴様の舞陣幻影は目印がある。一枚の花びら…たった一枚の花びらが貴様の死を招いた」
「うっ……あっ…」
「もう長くはもたない。あばよ、日野院レイジ」
立ち去ろうとしたときレイジが立ち上がった
腹部から血がボタボタと垂れる
「……しぶといぞ。……放閃華」
レイジの傷口をえぐる
「はくっ……」
激痛が走るが、必死に耐える
「……去ね。神昇華」
「一閃……払い」
キィンッ
レイジは受け流す
「うざいんだよ!!黒蓮華!!」
レイジの体を襲う剣戟
(痛い…体が寒い…)
泣きながら思った
(……あれ…あれをやれば…名も無き技を…)
剣戟が止み、レイジは構えた
「死に損ないが……無駄なていこ…」
「一撃…一撃であなたは……負ける…」
強気にランドルの言葉を遮った
「戯れ言を……くたばれ!!黒蓮華」
剣戟を耐えるレイジ
(行くよ……)
レイジは矛先を上に構えた
いきなり部屋に羽が散り、ランドルの剣戟が無効化される
「!?なんだこれは…馬鹿な…」
レイジが浮いたのだ
部屋には羽と桜が溢れ散り、レイジは目を瞑っている
「貴様!!なんだこれは!?」
「舞陣流最終奥義……」
ー桜羽ー
全ての羽が刃となり、ランドルを切り刻む
「ぐああっ!!」
凄まじい攻撃の嵐に襲われる
攻撃の嵐の中、レイジを見た
その光景に目を疑った
「は……羽が生えて…」
その瞬間レイジがランドルに飛んできた
「人は……幸せを願うんだよ…ランドル」
ランドルの腹部を斬り裁いた…
羽がいきなり消え、ランドルが倒れた
「…幻術……だったのか……羽刃は…」
腕をさすりながら呟いた
「痛みは…本物だよ…」
「俺の負け……か…ふはは…………悔いは…ない…」
「お前は…一つだけ…間違ってた」
「愛しちゃいけない人なんて…いないんだよ…」
泣きながら告げた
「…『守槍』……悪くないものだな…貴様とは…もう少し早く会っていたかっ…ゴホッゴホッ!!」
咳と同時に血が飛び散る
「ランドル…」
「愛する桜で死ねるのなら……本望…」
「ごめん…なさい」
「貴様の守る槍……しかと…見届けた…その槍で…守れ……桜は……無敵だ…」
「あの世で・・・・・また一手願おう・・・」
ランドルは笑いながらこの世を去った
―――桜の花びらは華麗に舞い、地面に落ちる
それが花の宿命
レイジはしばらく動かないランドルを見ていた
いくらにくい相手でも同じ人間
同じ道に走った同士だからだ
情けはなく、ただ一人の男として見ていた
(安らかに眠れ…)
数分祈り、視聴覚室を出ようとした
しかし足が動かない
歩くことができない
「行かなきゃ……約束……白雷達に…会わなきゃ……」
激痛が容赦なく襲い、頭の命令を体が聞いてくれず、とめどなく涙が溢れる
「兄貴ぃ……痛いよぉ…苦しいよぉ…」
一人寂しく嗚呼をあげる
「助けて……助けてよぉ兄貴ぃ……」
涙が止まらない
そして
レイジは必死に立ち上がり、視聴覚室を出た
レイジは放送室に戻り、ドアを閉め、ペタンと座り込んだ
すでに夜は明けていて、優しい朝日が放送室の窓から差し込まれていた
「……綺麗だな……」
と呟いた
レイジは近くにあった写真を取り、見つめた
その写真は
フレイと
レイムとレイジの三人で映っている写真だった
「……ふっ兄貴、面白い顔してるなぁ…」
微笑みながら写真を見ていた
その写真の上に雫がパタッパタッと落ちる
もうわかってたのだ
既に限界は目の前にあるということを
だがその写真で精一杯消そうとした
レイジなりに……耐えていたのだ
「ひっ……くっ…兄貴ぃ……
ミョー兄ぃ…」
とめどなく雫が雫に落ちる
彼は怖かった
「死」という存在
もうすぐ訪れる死が
そして……
皆に二度と会えなくなる悲しみが
「ひっ……くっ……ひっ……嫌……嫌だ……ゲホッゲホッ…」
咳と同時に大量の血が飛び散る
目の前がかすんできた
レイジは涙を拭い、覚悟を決めた
レイジの脳裏に思い出が走る
教室…体育祭…修学旅行…文化祭…放送室…友達との思い出
最後に浮かんできたのは
皆の笑顔だった
レイジは誰かに伝えるように告げた
「皆………
レイジは目を瞑った
そして動かなくなった
桜の花びらが一枚、儚く散った…
最終更新:2008年11月07日 19:51