undyne the undying


手足をもがれたアンドロイドを見た。それを殺せない自分を見た。

心を奪われ、しあわせに暮らす人々を見た。それを見逃す自分を見た。

尊厳を奪われ、激痛に悶え苦しみながら死に行く自分を見た。
そして今、それを見ていた自分がここにいる。


「……なんや、嫌な夢やったなあ」皮膚を切り裂くような1月の冷気に耐え、布団から這い出ながら彼女は呟いた。
青い髪にブラウンの瞳。顔立ちは端正で、やや垂れた目元や豊かな表情が彼女を年齢より幼く見せる。
紛うことなき美人である彼女だが、しかし彼女を初めて見た者は、美しい顔立ちよりもまずその身体に目を奪われるだろう。
布団から起き上がり、着替えを取りにタンスに向かったところで、彼女は頭……どころかもはや額を通り越して鼻筋の域にあるような部位を天井の梁にぶつけた。
「いったぁ~! なんでこんなところに天井があんのや!」
明らかに梁は視界に入っていたにも関わらず、頭をぶつけたことによくわからない悪態を吐く。
やはり年齢に比して少し幼い気もするが、彼女は20代をとうに越した大人の女性で、ついでに言うなら身長も195センチ以上はある。
もはや女性の平均より高いどころではない長身。彼女はこれと20年以上付き合っていながら未だに持て余していた。
少し赤くなった鼻筋をさすりながら、彼女は服を脱ぎ始めた。
少しずつ露わになる肉体には女性らしいふくよかさがまるで無く、代わりによく鍛えられた刀を思わせる引き締まった美しい筋肉があり、すらりと長い体躯には、裂傷、打撲、骨折、火傷。ありとあらゆる加虐の詰まった箱をぶちまけたような傷痕が刻み込まれている。
彼女はとうにそれを見慣れているのだろう、特に気に留めるでもなく鼻歌交じりで黒いインナーに袖を通し、上から道着を羽織る。

「カズ! 来たでー!」ちょうど着替えを終えた頃、玄関から少年の声がした。
「カズはやめろ! せめて和那姉ちゃん呼べや!」
カズと呼ばれた彼女……大江和那は快活な笑顔を浮かべて少年の呼びかけに応えた。
彼女は今、鞍馬山の麓に居を構える由緒ある槍術道場の師範として生活を送っている。
このご時世、合気道や空手などの素手で行使できる護身術ならともかく、長物を用いる槍術など、よほどの物好きしか習いに来ない。
カズの道場も2、3人の少年と昔を懐かしんだ高齢の男性がふらふらとやってくる程度で、正式な門下生は今日訪ねてきたこの少年しかいなかった。

広間の中央に向かい合って正座し「おはようございます」と挨拶を交わしてから、カズはぽりぽりと頭を掻いて切り出した。
「わざわざ早うに来てもらってすまんけどな、実は今日寝坊してまだ朝飯食っとらんのよ。せやからちょっと待っといてくれんか?」
「俺は食ってきた! やから今は、メシ食ってる分俺が有利ってことやな!」少年の強気な発言にカズは思わず頰を緩ませる。
「ほほお、言うやんけ。キミにも兵法っちゅうもんが分かってきたみたいやな。……よっしゃ! その成長に免じて相手したる!」そう言ってカズは壁に掛けられていた練習用のタンポ槍を手に取り、もう一本を少年に手渡した。
「いつも通り、キミがウチの体か槍にでも攻撃を当てれたら勝ち、キミが諦めたらウチの勝ちや」
と、割と無茶苦茶なルールを提示するカズ。しかしカズと少年では50センチほども身長差があり、それに加えて、例えるなら富士山と砂場のお山くらいには本質的な実力差もある。
まともな形式でやればそもそも練習にすらならないのだ。それは少年自身にも分かっていることで、だからこそ少年は、万に一つほどは勝ち目のあるこのルールを承諾した。
「よっしゃ! 来い、少年!」タンポ槍を構えてカズが叫んだ。それに呼応して少年も一歩踏み出し、真っ直ぐに初手を繰り出した。


「いやあ、少年もだいぶ上達したなあ」白米とたくあんを頬張りながら、カズは上機嫌で少年に声をかけた。
「どこがやねん。また今日も1時間遊ばれてただけやん。しかも俺、卑怯な手まで使って……」対する少年は不満げな表情で、出された朝食に手を出さず頬杖を突いてむくれている。結局少年は今日もカズに一撃さえ加えられなかったのである。
1時間絶え間なく動き続けて腹が減っていないわけもなく、自分だけ万全の状態で勝負を仕掛けて、なおかつ完敗したことに負い目を感じているのだろう。
カズはそんな少年を見て、一層機嫌を良くして彼の頭をゴシゴシと荒っぽく撫でた。
「あんなあ。さっきも言うたけど、自分に都合よくて相手に都合が悪い条件で戦うんは兵法の基本や。卑怯でもなんでもない」
「でも、もしさっきので俺が勝ってても、それは俺が姉ちゃんより強いって証明にはならんやろ。やからな、えーっと……」頭を揺さぶるカズの大きな手を払いのけて少年が呟く。
そこで、またもカズの顔が綻んだ。この少年は愚直だが、馬鹿ではない。彼我の実力差を理解し、埋められないと分かって、今朝いつもより早くに来て勝負を仕掛けて来たのだろう。だが。
「勝つ勝たんやなくて、かっこいいかかっこ悪いかで言ったら、かっこ悪いやろ?」そうだ。この少年には矜持がある。あるいは根性と言い換えてもいい。
自分より小さい者が、誇りと知恵と持てる全てを掛けて自分に挑んでくる。彼女はそういった人間の気合、根性、プライドといったものが堪らなく好きなのだ。
「……そうやな。キミのそういうところ、ウチはめっちゃ好きやで!」カズは満面の笑みで少年に語りかける。
「えー、気持ち悪う」
「なんでや! こんな美人が好きやって言っとんねん! ありがたく受け取らんかい!」カズはバシバシと少年の背中を叩いた。
「もう、朝からイチャイチャせんといてえや」
ふと、彼らの背後からお盆を持った女性が歩み寄ってくる。身長はカズほどではないがかなり高い。紅い瞳がなんとも言えない妖しい色気を醸し出しているが、淑やかな表情や落ち着いた仕草が、彼女を妖艶というよりはむしろ清楚な美女として印象付けている。
「ひ、瞳子さん! おはようございます!」少年は慌てて立ち上がり、瞳子と呼ばれた女性にお辞儀をする。瞳子は笑顔で少年に会釈を返し、食卓の上に温かいお茶を並べていく。
「お姉ちゃんもこんないい男おったんやったら私に紹介してえよ。先に食べてしまいたかったわあ」かなり品の無い冗談だが、何故だか花の話でもしているような爽やかさがあるのは、やはりこれも瞳子の清楚な印象があるからなのだろう。
「アホ、あんまりふざけたこと言うな」くすくすと笑いながら二人をからかう瞳子を、カズは厳しい口調で諌める。
「はあい、ごめんなさい。……そうそう。今朝あなたらがやり合ってる間にお山の方の様子を見て来たんやけどな、『鳥が一匹、引っかかっとったわ』」
一瞬、カズの瞳がギラリと動き、射殺さんばかりの視線を瞳子に送った。瞳子は明らかに楽しんだ様子で、嫌やわあ、男取られそうで怒ってるんかなあ。などとのたまっている。
カズは瞳子を不思議そうに、しかし憧憬の念を持って見つめる少年と、この意地の悪い『妹』を見比べて大きくため息を吐いた。
「早よ来てもらったのにすまんけど、今日はこのくらいにしよか。ウチらちょっと用事ができたわ」



「これが……使い魔っちゅうやつか?」カズが掴んでいるそれは、まぶたを針金で縫い、嘴を針で留められた一羽の烏だった。
大怪我をしているにも関わらず、大きくもがいてカズの手から逃れようとしている。
抜け落ちる真っ黒な烏羽を眺めながらカズは言葉を続けた。
「ウチには普通のカラスにしか見えんけどなあ」
「まあ、普通のカラスっちゃカラスやからなあ。その辺におるカラスの五感を潰して、代わりに魔力の糸で操って飛ばしてる感じ。
式神とかわかりやすうい感じの使い魔やったらどんなタイプの魔術師かもわかったやろうけど、これやとなんとも言えへんわ」
瞳子が言葉を返す。彼女の左手の爪は異様に伸びていて、まるで刃物か何かのように鋭く変化している。
瞳子は腰に下げたポーチからウエットティッシュを取り出し、爪の間にこびり付いた血を拭きながら続けた。
「やけどこいつ、今夜には仕掛けてくると思う」
「なんでや? ウチやったらわざわざ罠仕掛けて待ってるようなとこには行かん。一旦ほっといて他を探し回るけどな」
「罠があるからこそ行くんよ。私は妖術はあんま得意ちゃうし、このカラスを捕まえたことで、敵には多分私の結界やらのレベルがバレてもうた。
一流の魔術師やったら、魔力の糸をたどって逆に相手を探すこともできる。でも私らが今日の夜になってもそれをせんかったら、相手はどう考えると思う?」
「キャスターのくせに逆探知もできん、カモにできそうなヘボにカチコミ掛けに来るんやな」カズが拳を鳴らし、闘牛のように獰猛な笑みを浮かべた。
「表現が下品やわ、『お姉ちゃん』。もっと私みたいに上品な言葉遣いを心がけな」カズの笑みに合わせるように、瞳子も口を押さえてコロコロと笑い始める。
鈴の音のように澄んでいてよく通るそれは、なぜか極めて不吉な響きを伴っているように聞こえた。
「殺して、裂いて、奪って、食ろうて――ああ、ほんま楽しみやわぁ」

「はっ、はっ、はっ、はっ……!」その夜、鞍馬の山を駆け廻る一人の男の姿があった。
なにかを探している、という様子でもない。探索にしては男の視線はまっすぐ前を向きすぎていて、目的のものを見つけられるはずもないからだ。
なにかを目指している、という様子でもない。男の体はもはや千切れんばかりに疲労していて、目標を目指すのならば休息を入れて然るべきだからだ。
まして、なにかを狩っているという様子では決してない。必死に手足を動かす男の姿はあまりにも惨めで、狩っているというよりはむしろ――。
「あははははは! あんた、よりにもよって私の方に鬼ごっこ仕掛けんのかいな。おもろい人やなあ」
走る男の後方から、紅い女が身を露わにする。長身痩駆を風に躍らせ、魔術で走るスピードを強化しているはずの男との距離をあっという間に縮めていく。
女はよく見れば一糸纏わぬ裸体で、そしてなにより、全身を血まみれにしながら、明らかに人のそれではない牙を露わにして哄笑していた。それは、まぎれもなく瞳子だった。
「はあい、捕まえたぁ」彼女はまるで恋人にするように、軽やかに男の背中に抱きついた。バランスを崩した男は転倒し、そして気づく。
女に触れられた背中の肉が、ごっそり剥ぎ取られていることに。
「いぎゃあああ! 痛い、いたいいいい」男がゴロゴロと転がる度に草木が背中の傷に突き刺さり、男はその刺激に耐えられずまたのたうちまわる。
地獄のような光景を、瞳子は楽しげに、むしり取った背中の肉を食いながら眺めていた。

「っが、あ、はあ、クソ、キャスター! キャスターは何をやってんだッ! 早く助けに来いッ!」
ようやく動いても苦しむだけだと察したのか、あるいは蠢く体力も無くなったのか。うつぶせに丸まりながら男は己のサーヴァントを罵り始めた。
「あんたのキャスターさんなあ……ああ、丁度ええとこに転がってくれとるわ。あんた、ちょっと月でも見てみいひん?」
瞳子は男のわき腹を蹴飛ばして上を向ける。
こんな美人と月見できてよかったなあ、役得やなあとしみじみつぶやく瞳子の声を聞き流し、痛みに耐えながらなんとか瞼を開いた男の目に映ったのは、空中でサンドバッグの様に打ちのめされている己のサーヴァントと、月夜を泳いでいるかのように舞い、漆黒の鎧を輝かせて槍を振るう、美しい人魚の姿だった。
「が、え、なんで、お前、サーヴァントじゃ」困惑した男は思わず瞳子に問う。
「そうやでえ、サーヴァントやでえ。ほら、令呪もないやろ?」瞳子は左手をひらひらと動かして男に見せつける。真っ白な肌には傷一つない。
問いに素直に答えられたにも関わらず、男はさらに困惑を深めることになった。
「じゃああいつは、あの黒いモノは」男は焦点の合わない目で虚ろにつぶやきを重ねた。
「ああ、あの子はなあ」瞳子が男の顔を覗き込む。紅い瞳が男を射抜き、男は思考が蕩かされていくのを感じた。
「私の孫なんよお」
瞳子がひょいと立ちあがり、男の瞳はもう一度空を映し出す。彼が最期に見たものは、ぼろ布のようになった自分のサーヴァントと、その上から高速で空を落ちてくる、黒いヒーローの姿だった。


「……なんで殺した」そういう魔術を掛けていたのか、あるいはこの聖杯戦争の性質なのか。煙のように消滅していった男の死体があった場所を見つめながら、カズは背後にいる自分のサーヴァント――茨木童子に尋ねた。
「それはこっちのセリフやわ。他のサーヴァントのこと聞けるかと思って、せっかく半殺しで置いとったのに」
「あいつの顔見たか。あそこまで苦しんでる人間に慈悲をかけようと思わんのか」カズは肩越しに茨木童子を睨みつける。
並みの人間ならそれだけで殺せそうな鋭い視線を、茨木童子は受け止め、睨み返した。
「奪って、殺して、食う。私ら鬼が人間にすることなんかそんだけやんか。余計な情なんかいらん。あんたも鬼の末裔……私の子孫やったらわかってるやろ?」
茨木童子は嘲笑を浮かべた。
「向こうのキャスターを切り刻んでる時のあんた、ほんっまに楽しそうやったで?」



下山し、道場への帰路を歩きながら、カズは聖杯戦争について考えていた。
万能の願望機というのはなんとも馬鹿らしいものだが、彼女の前に現れたサーヴァント、茨木童子のことや、
何よりジオット・セヴェルスのドリームマシン――大気中のマナの濃度を増加させ、人の願いを具現化する願望機――によって一度生き返ったことがある身としては、この京都で行われるバトルロワイアルについての一切を、
敵の超能力者に見せられた幻覚かなにかだと切り捨てることはできなかった。
「まためんどくさいことになっとるなあ」
諦観の入り混じった苦笑を浮かべながら、カズはまだ思考を巡らせる。次は自身のサーヴァント、茨木童子についてだ。
彼女が召喚するサーヴァントとして茨木童子よりも適任である者はいないだろう。なぜなら彼女の本名は茨木和那、茨木童子の子孫を標榜する一族の出身である。
実際のところ、カズは茨木童子のことは単なる山賊かなにかだと考えていて、本当の鬼であるなどとは思ってもいなかった。
それが実際に目の前に現れ、自分は間違いなく鬼であり、お前はその子孫だと断言する。
生きることに絶望し、戦いの中でしか充足感を得られない自分が、どうして鬼ではないと言い切れるだろうか。
「おーい、カズ!」
ふと、自分を呼ぶ声がした。顔をあげるとそこはもう道場の前で、門下生の少年が、胴着のままで自分に手を振っていた。
「こんな時間になにしてんねん」思わず、カズは少年の頬に手を当てる。ほんのりと赤い肌の冷たさが、彼がどれだけの時間ここで待っていたかを証明していた。
「もう一回勝負してもらおう思って待っててん!」
と、屈託のない笑顔を浮かべる少年。カズはふと、もしも見境なく人を襲うサーヴァントが現れた時、誰がこの人たちを守るのかということを思いついてしまった。
彼らは確かに生きた人間だ。例え並行世界の住民だとしても、ヒーローである自分が、無辜の人々を守らなければ、自分は本当に鬼になってしまうだろう。ならば。
ほんまに貧乏くじひいてばっかやなあと、カズはまた苦笑した。
「でもなあ、やっぱりハッピーエンドが一番やもんなあ」



崩壊に歩んだ世界があった。血反吐を吐きながら、必死の思いでそれを繋ぎ止めた。

大切な人ととの別離があった。それでもまだ、いつかはまた会おうと約束した。

尊厳を奪われ、激痛に悶え苦しみながら死に行く自分を見た。
そしてそれでも自分を応援してくれる、あの野球帽の少年を見た。

たとえどれほどの苦難があろうとも、彼女は最後にこう言って笑ってきた。心配掛けてごめん、ウチのことは大丈夫やから、と。
そんな彼女の物語が、バッドエンドであるはずがない。


【マスター】大江和那@パワプロクンポケット14
【人物背景】世界を滅ぼす大災害を引き起こそうとしたツナミ社の敵。世界最強の男に一度は敗れながら勇気ある少年の願いに応えて蘇り、世界を救ったヒーロー。
千本槍(スピア・ア・ロット)、ダークスピアなどと呼ばれることもある。重力を自在に操作し、手足が如く槍を操る戦闘の達人。
自身に戦闘狂の気があることを自覚しており、不殺の誓いを立てている。
敵対組織からはそのような評価を受ける彼女だが、高校生の頃は少しばかり身長が大きいだけの、いたって普通の内気な女子高生だった。
軽い気持ちから超能力者になってしまい、超一流の戦士となった今でも、修羅の殻の内側は普通の生活に憧れる一人の女性である。
普段は明るく振舞ってはいるものの既に生きることに絶望しており、戦う以外に生きている実感を持てなくなっていた。
それでもなお「ハッピーエンドが好きだから」という理由で戦い続けることができる正義の味方。
「また会おう」と約束した、プロ野球選手の恋人だけが彼女の心の支えとなっている。

【能力・技能】
茨木流短槍術:祖父から受け継がれた槍の技術。
短槍術と言いながらあくまで槍は敵に見せつける囮で、態勢を崩した後に内臓や関節への打撃を狙う実践的な戦闘術。
カズの場合、後述する重力操作により触れるだけで相手の手足や胴を捻り破壊することができるため、能力と噛み合っている。

重力制御:5m以内の無機物、または触れた生物にかかる重力の方向を自由に操ることができる。
自分にかかる重力の方向を変化させることで自由に空を「落ちる」、数tの海水の塊を「持って来て」敵の集団に投げつける、山を持ち上げて落とし周囲に地震を起こす、高度1万メートルまで上昇した後に自然落下して体当たりするなど、シンプルな能力ゆえに非常に汎用性に富んでいる。
方向を変えるだけなので燃費も良く、あらゆる動作に重力操作を加えることで高速移動、攻撃の強引な軌道変化、相手にかかる重力の方向を変えることで重心を崩して体術に繋げるなど、対人戦闘において圧倒的な強さを誇る。

【weapon】ツナミ社が開発した変身スーツと槍。
変身スーツはかつてとある高校に現れたヒーローと呼ばれる超常存在を解剖、研究して制作されており、高度1万メートルからの落下や16インチ砲の直撃にも耐え、更には宇宙空間での活動も可能など驚異的な耐久力を有している。
詳細は省くが、ヒーローとはある少年の願望がマナによって具現化した存在であり、それを研究して制作されたこのスーツには一定の対魔力が兼ね備えられていると考えられる。
槍にはそういった超常的な能力はないただの頑丈なスピアだが強度は高く、カズ本人の技量によって、神秘さえ付与できれば英霊に致命傷を与えることも可能。

【マスターとしての願い】無事に元の世界に帰る

【方針】不必要な犠牲は避けつつ聖杯戦争に優勝、あるいは聖杯を破壊し、速やかに聖杯戦争を終了させる。


【クラス】キャスター
【真名】茨木童子
【出典】史実
【性別】女
【身長・体重】174cm・59kg
【属性】混沌・悪
【ステータス】
筋力:B 耐久:B+ 敏捷:C 魔力:A 幸運:E 宝具:C
幸運はマスターの影響で最低ランクまで低下している。
【クラススキル】
陣地作成:B
魔術師として自らに有利な陣地「工房」を作成可能。
茨木童子の場合、目を付けた山を自らの縄張りとして定義することで、英霊にも効果のある罠や妖術による高度な結界を張ることが可能となる。
いくらかの妖術は使えるものの、茨木童子は魔術師ではなく、本来であればキャスターとして召喚されることもない。
しかし、聖杯戦争が自分たちの根城であった大江山のある京都で行われるという、これ以上ないほど抜群の好条件により陣地作成スキルが大幅に強化され、キャスター適性を得るに至った。

道具作成:E 特に道具を用いた逸話が無いためスキルランクは低い。強いて言うなら丸太を切り出すなど、木から資材を作り出すことが上手いが、本人はあまりやりたがらない。

【固有スキル】
変化:A+
文字通り「変身」するスキル。見た目を自由に変化させることができる。
茨木童子の場合、相手の最も好む顔、肉体、体質を察知し、瞬時に作り変えることができる。
皮膚や体毛を変化させることで服やアクセサリーも形成可能。

鬼種の魔:B++
鬼の異能および魔性を表すスキル。天性の魔、怪力、カリスマ、魔力放出、等との混合スキル。
魔力放出の形態は「熱」にまつわる例が多いが、茨木童子の場合は「美」となっており、自らの美しさを魔力に乗せて強調する一種のフェロモンのようなもの。
強い魅了効果があり、普通の人間なら男女問わず即刻彼女の言いなりにすることができる(サーヴァントと契約しているマスターは例外)
サーヴァントが相手の場合でも、対象は彼女の美貌を傷つけることを躊躇い、筋力・敏捷のステータスが1ランク低下する。

仕切り直し:A
戦闘から離脱、あるいは状況をリセットする能力。機を捉え、あるいは作り出す。
また、不利になった戦闘を初期状態へと戻し、技の条件を初期値に戻す。同時にバッドステータスの幾つかを強制的に解除する。
頼光四天王の鬼退治から唯一逃げ延びた逸話、渡辺綱に腕を切り落とされても逃げ延びた逸話が昇華されたもの。
茨木童子の場合は低ランクの情報抹消スキルとしての効果もあり、茨木童子が変化の達人であると知られながらも渡辺綱の家に変化して侵入できたのは、このスキルによって彼女の情報が曖昧になっており警戒が緩んだ為。

【宝具】
『大江山山賊団』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1~30
大江山を拠点としていた巨大山賊団の長としての宝具。かつての自分が籠絡し、利用した山賊たちを30名まで召喚し従えることができる。
山賊たちはそれぞれが人格を持っているように見えるがあくまでも宝具によって生み出される幻想で、茨木童子の記憶が曖昧な部分はかなり適当に形作られている。
そんな緩い宝具であるためか、非常に燃費が良く、聖杯戦争の期間中全員を出しっぱなしにしていても大した負担にはならない。
戦闘能力は人並みで、消滅すれば補充は不可能。

『紳士万猿・身辺帰属(しんしばんえん・しんぺんきぞく)』
ランク:B 種別:対男宝具 レンジ:20m 最大捕捉:1
あらゆる男を魅了し、堕落させ、大江山に酒池肉林を築いた茨木童子の宝具。
視線が合った相手を、如何に高潔な英霊であろうとその情欲を掻き立て、霊基を人間の肉体へと堕落させる。
ステータスこそ変化しないが、霊体化やマスターの魔力を消費しての急速な肉体の回復などは不可能となり、魔力の上限が著しく低下するほか、神秘の付与されていない武器でもダメージを与えられるようになる。
この宝具に抗うにはAランク以上の精神耐性が必要となる。
受肉させるというわけではなく、言うなれば英雄属性、サーヴァント属性を人間属性で上書きする宝具。
この宝具の影響を受けたからといってマスターとサーヴァントの契約が切れるわけでも、ましてや英霊の座から消去されるわけでもない。
茨木童子の前では獰猛な戦士も、潔癖な僧侶も、男なら等しくその魅力に抗えず、ただひたすら彼女に恋い焦がれる猿に成り下がる。
渡辺綱はこの宝具に一度は抵抗し茨木童子の腕を切り落としたものの、二の太刀を加えるには至らず、目を閉じてその場を離れるのが精一杯だったという。

【weapon】素手。もしくは爪をナイフのように変形させたもの。またいくらかの妖術。
キャスターのクラスで現界しているものの、元々が鬼であること、知名度補正が強く働いていることからステータスもそれなりに高く、鬼種の魔などのスキルも相まって並みの三騎士相手なら互角以上に戦うことができる。

【マテリアル】御伽草子などで有名な大江山に巣食った鬼の一人。
Fate/Grand Orderにも同名のサーヴァントが登場するが、今回は聖杯戦争の開催地が京都ということで「かつて実際に都を混乱させた脅威」としての側面が強調されており、ほとんど別人のようになっている。
享楽的な性格で刹那主義者。両親に捨てられ、拾われた床屋でしばらくは平穏に暮らしていたが、ある時剃刀で傷つけた血を舐めてしまってからその味が癖になり、しばしば客を傷付けて血を舐めるようになる。
見かねた床屋に厳しく叱られた彼女が小川のたもとでしくしく泣いていると、水面に映った自分がすっかり鬼の顔になってしまっていたことに驚き、以後は村を抜け出して大江山に居を構える山賊となる。
そこで絶世の美少年であった酒天童子と出会い、二人は美貌を利用して着々と勢力を広げた。
悪評は都まで轟き、見兼ねた朝廷が源頼光らに酒天らの討伐を命じる。
頼光は酒天を酔わせて討伐するも、討伐隊のほとんどが男であった幸運から、茨木童子は腕一本の犠牲でなんとかその場を逃げ切った。
後日自身の腕を切り落とした渡辺綱の家へ出向いて腕を取り返した後、京都を離れて楽しく暮らしたという。
現在はカズの妹として大江瞳子(ひとみこ)を名乗り、生前の頃から随分と様変わりした京都を楽しんでいる。

【外見的特徴】顔や体格は気分でコロコロ変わるが、カズと話すときは生前の自分が基本としていた姿……長身痩躯に青髪の美少女の外見に変化することを好む。
服装は主にベージュのダッフルコートに赤いベレー帽。スレンダーな体型や美貌と相まって一見するとただの育ちのいい女子大生といった風に見えるが、コートの下には昔話の鬼が履いているパンツのような柄の下着のみを着用しており、シャツやスカートなどは一切身に付けていない。
本人曰く「こういうカッコが一番楽に落とせんねん」とのこと。

【聖杯にかける願い】受肉して(鬼としてではなく、人間の体で)遊びまわる。でもまあ英霊の身も楽しいっちゃ楽しいので別にカズが聖杯を破壊するならそれでいい。

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最終更新:2017年12月18日 19:38