Hotline

 ジーザスが電話に出ているぜ。

 欲しいものを言ってみな。



「ひ、っぎぃっ!? う、うああぁあああぁああぁあっ!?」

 暗黒の中に、若い娘の悲痛な叫びが木霊した。

 氷のように冷え切った、石造りの牢獄。
 明り取りの窓は、そう呼ぶことさえ憚れるほどに小さく、空気は淀んで濁りきっていた。
 腐敗した肉の臭い。汗と垢、脂の混ざった体臭。長く放置された糞尿。そして淫臭。

「い、いやあ……っ! もう、やめて……ッ! やめて、くださ――う、ぎいぃいぃい……ッ!?」

 獄に繋がれているのは、一人の娘だ。
 この世全ての悪意が煮詰まったその空間に、似つかわしくないとも、相応しいともいえる――白い花。
 その柔らかな稜線は、彼女の肢体が陶磁の人形を思わせる完璧に近い美しさを持っていることを教えてくれる。
 だが日にきらめいていただろう短い金髪も、宝石のように美しい碧眼も、今は光を失ってどんよりと沈んでいる。
 戦傷によるものだろう首筋と太腿に残る醜い傷、一糸纏うことも許されず、重さと冷たさで彼女を苛む首枷と手枷、鎖。
 明らかに、娘は虜の身であった。

「ひッあぁ!? わ、わかり……まし、たァッ! や、ァッ!? み、とめ、ます……ッ! 認め、ます、からぁ……っ!」

 牢獄には、およそ人間の想像力の賜物である、おぞましい形状の器具がいくつも並んでいた。
 そのいずれもが赤黒く汚れ、鉄錆を纏い、あるいは幾度となく熱されたことが伺える。
 娘の白磁のような体に刻まれた痕の数を見れば、そのいずれもが使用された事は明白。
 ならばその美しい容貌が整ったままなのは、奇跡などではなくどす黒い欲望によるもの。
 男たちは哀れな娘を慰み者にするために、面白半分に彼女の顔を傷つけなかったのだ。

「わたし――悪い子です……ッ! 魔女です……魔女なんですぅっ!!」

 まるで童女の如く啜り泣きながら、娘は自らの罪を告白する。
 身悶え、悲鳴をあげ、哀願する度にその豊かな胸はふるりと震え、加虐者の目を楽しませた。
 だから、その言葉に耳を貸す者はいない。

「だからどうか、どうか……もう許してください……ッ う、あぁ……っ おね、が……おねがい、します……っ」

 ――そう、娘は決して許されることはなかった。

 囚われてから一年もの長きに渡って尊厳を踏みにじられ、彼女の心は粉々に砕かれた。
 やがてこの書類に名前を書けば解放してやると言われた娘は、大喜びしてその手にペンを取った。
 そして彼女は無学故にそれと知らず自らの処刑執行書にサインをし、炎に包まれて焼かれて死んだ。

 これはそういった、救われない、どこにでもあるような結末の物語だ―――――……。



 暗闇の中、男はゆっくりと目を開き、ベッドから身を起こした。
 深夜0時前。サイドテーブルに置かれた時計のデジタル表示が教えてくれる。
 男の覚醒はいつだって唐突だった。電源を切るように眠りに落ち、電源をつけるように目覚める。
 はたしてそれが戦争に行く前からそうなのか、行った後からなのかは、もう覚えてはいない。

「お前はいつだってそういう奴だったからな」
「――――――」

 頭から血を流している髭面の友人の言葉を無視して、男はベッドから立ち上がろうとした。
 と、その手が柔らかく暖かな感触に包まれる。
 見れば傍らで眠っている娘の手が、彼の手に――まるで縋るように重ねられていた。
 男の口元が僅かに緩む。
 裸身にシーツだけをまとった娘は、傷つき、疲れ果て、ようやっと眠ることができたように思えた。

「――――――」

 男は無骨な手でそっと娘の手を外すと、今度こそベッドから起き上がる。
 闇に慣れた目で見回す彼の部屋は――ひところとは大きく変わっていた。
 散乱していたピザの空き箱、散らばっていた新聞、放り出されたままの衣服――その全てが消え失せていた。
 この娘が彼の元に来て以来、そうだ。荒れ果てていた空間は、徐々に落ち着きを取り戻しつつある。

「――――――」

 掃除の行き届いた部屋を横断し、洗濯機の傍に置かれた籠から衣服を取り出す。
 シャツにジーンズ、それから愛用のスタジアムジャケット。道具は車に放り込んであるから荷物は無い。
 身支度を整えて仕事に向かう前に、男は娘の顔を見ようとベッドの方へ目を向けた。僅かな衣擦れの音。

「……行かれるのですね」

 娘がベッドの上、シーツを巻きつけて身を起こしていた。力ない碧眼が、じっと男の方を見つめている。
 カーテンの隙間から差し込むネオンの明かりに照らされ、娘の美しい体がぼんやりと浮かび上がった。
 彼女の汗ばみ、先程まで乱れ、しかしそれを健気に耐えて隠そうとしていた白い肌には、薄く痕が浮かんでいる。
 男はその一つ一つがどこにあるのかを確かめ、彼女以上に把握していた。

「――――――」

 男が頷くと、娘は何かを堪えるようにぎゅっと唇を噛み締めた。
 彼女はしばらくそうして俯いていたが、やがて意を決して顔を上げ、震える声で途切れ途切れに呟いた。

「……あの、信じて……頂けるかは、わからないのですが―――――」

 男は頷いた。彼女の言葉を聞かない理由も、信じない理由も無かったからだ。



「キョートってのは良いとこだって言うぜ。オリエンタルだし、綺麗な女の子も多い。サクラも綺麗だって聞くしな」

 髭面の友人がそう言ったのは、いつの事だったろう。
 鈍い銀色に輝く愛車を走らせながら、男はぼんやりと思い返す。
 あの頃は楽しかった――少なくとも良き上司と、良き仲間と、良き友に恵まれた。血まみれではあったけれど。

「――――――」

 やがて男は目当ての建物にたどり着いた。大きく、清潔で、綺麗な、オフィスビル。
 入り口に貼られたプレートを確かめる。この国ではこういった奴らは堂々とカンバンを掲げているので楽で良い。
 男は助手席に放り出した荷物をあさり、バットを手にし、顔にゴム製のマスクをしっかりと被った。
 愛車のガルウィングドアを開けて外に降り、肩を回すようにして体を解す。対して緊張することはない。いつもの事だ。
 まるで友人の家でも訪れるかのようにぶらぶらとした足取りで、男は無造作に扉に近づき――――

「ぎゃっ!?」

 無言のままにドアを蹴破り、その向こうにいた連中へと扉を叩きつけた。
 悲鳴を上げて吹き飛ぶのは、画一的な黒のスーツにサングラス、手には銃、カタギではない。ヤクザだ。
 打ちのめされたヤクザどもが床に倒れるのを前に、男は手にしたバットをゆらりと構えながら、のんびりとその時を待った。
 やがてヤクザ二人がよろよろと立ち上がろうとした瞬間、男は容赦なくバットを見舞う。

 ――――入り口の扉の向こうには警備が二人います。奇襲を仕掛けて下さい。

「おぇッ!?」
「げぼッ……!?」

 頭蓋骨ごと脳味噌を叩き潰す感触を二回ほど味わって、しっかりと息の根を止める。
 きっと彼らは何が起きたかもわからなかったに違いない。それで良い。
 血にまみれたバットを死体と共に床へ転がし、男はヤクザどもの手から零れ落ちた銃を拾い上げた。
 抑制器がついた黒光りする拳銃。目立たないのは素晴らしい。ロシア製なのは頂けないけれど。

 ――彼らの武器を回収してください。きっと役に立つはずです。

 男はゆったりとリラックスした動きで死体を超えて、オフィスの奥へと入っていく。
 ふとパーテーション越しに、歩き回っているスキンヘッドがちらりと見えた。ぴたりと狙いをつけて三連射。

「あが……ッ!?」

 太ったヤクザがどさりと通路に倒れ込み、その体から血が滲むように広がっていくのが見える。まだ誰も気がついていない。
 男はさらに音もなく突き進み、通路の角でぼんやりと立ち尽くした。ひたひたとした足音が近づいてくる。それを待つ。

「ギャウンッ!?」

 出会い頭に黒い犬の頭を撃ち抜く。引き金を絞る度、ぷしゅ、ぷしゅと気の抜けた音がして弾が飛び、命を奪う。
 それに誰も気づかない――気づかれないように動いているから、当然なのだけれども。

 ――番犬の類が室内に放たれています。壁際をめぐるので、来るまで待ってから対処してください。

 そうしてオフィスの廊下をうろつく連中を全て片付けた男は、ぶらりと奥の会議室へと向かった。
 先ほどと同じように思い切りドアを蹴破ると、中のヤクザどもががたりと席を立つ。
 そいつらにちらりと姿を見せ、男は扉の影へと引っ込んだ。

「な、なんだァ、あいつァ!?」
「どこのカチコミだ!?」
「構わねえ、やっちまえ……!」

 ドタドタと音を立てて此方へと走ってくる一人目が扉から出てきた瞬間、男は無造作にそいつを撃ち殺した。

「アバッ!?」

 胸から血飛沫を上げて崩れ落ちるそいつの手から、男はカタナを奪い取る。

「ンダ、ッテメ!!」
「ザッケンナゴラーッ!!」

 続けて扉から飛び出し此方へカタナを振りかざすヤクザ二人。それへ素早く近づき、先手を取って首を叩き切る。
 喉笛を切り裂かれたヤクザどもは声も上げられずに血を噴き出し、ほどなく血溜まりに沈んだ。
 その死体へ一瞥もくれず、男は滑るように会議室へと足を踏み入れる。

「な、な……な、なあ……ッ!?」

 部屋の奥には賢いのか臆病なのか、一人残っていたヤクザが慌てて此方に散弾銃を向けようとしている。
 男は無言のままにカタナを振りかぶり、ひょうと鋭く投げつけた。

「うげえッ!?」

 腹をカタナで貫かれたヤクザが、どたりと床へ倒れ込む。
 這いずるように床の上で藻掻いているが、どうせそう遠くへは行けまい。

「な、なんで……なんで……お前……」

 男が気安い足取りで最後のヤクザの元へ向かうと、急速に死へと近づきつつある瞳が男の方を向いたのがわかった。
 ヤクザは血反吐を溢れさせる口をぱくぱくと開閉させ、恐怖に押しつぶされた声を、なんとか絞り出そうとする。

      ・ ・ ・ ・ ・ ・
「なんで、ニワトリの顔、してるんだ……!?」

 男は物も言わずにそいつの頭を掴むと、繰り返し床に叩きつけて仕留めた。頭が砕け、脳漿が飛び散る。

 ――会議室には、きっと四人か五人は詰めているでしょう。一人ずつ誘い出して、片付けてください。

「―――――――」

 これでフロアは制圧した。後は2階と3階。別に大したことではない。
 男はヤクザの死体の傍から散弾銃を拾い上げ、ポンプをがしゃりと動かして初弾を装填し直した。

 いつも通りにやれば、済むことだ。



 男があの娘に出会ったのは、マイアミでのいつもの"仕事"の途中だった。

 いつものように"間違い電話"の留守電、暗号で指示された邸宅へ踏み込み、ロシアン・マフィアどもを皆殺し。
 しかしその日、片っ端からマフィアを始末して奥へ向かった男が見たのは、いつもと違った光景だ。
 怪しげな機材に囲まれた、手術台の上――拘束されている、金髪の少女。
 スナッフフィルムかなにかを撮影していたのだろうか。男にはわからなかった。これからもわからないままだろう。
 少女はすでに事切れていて、男は何もすることもできなかったからだ。
 ずたずたに切り刻まれ、その血で奇妙なマークが描かれたその中央に、少女は横たわって死んでいた。
 だから――たぶん、それは気まぐれだったように思う。
 青白く輝く銀の環。
 少女の死体の傍に転がっていたそれに、彼は何の気もなく手を伸ばし、触れて、そして――。

「……もう、いやあ……やめて、ください。痛いの、も、や……なんです。しんじゃ……ぅ……やめて……助けて、ください……っ」

 ――――そして、運命に出会った。

 光が消えると共に現れたのは、男を縋るような瞳で見つめる、傷つき打ちひしがれた娘だったのだ。
 男は彼女を救い出した。裸身を抱き上げ、愛車へ運び、散らかった自宅へと連れ帰った。
 右手に浮かび上がった紋様も、脳裏に浮かぶ聖杯戦争も、そのときは瑣末ごとのように思えた。
 少なくとも彼がマイアミからキョートへと飛んだのは……聖杯戦争のためではなく、娘のためだったからだ。
 いったいぜんたい、他に何の理由があるというのだ?

「――――――」

 前にもこんな事があったような既視感を覚えた男は、ゆっくりと首を横に振りながら、自分の殺戮の跡を辿った。
 死体を踏み越え、血溜まりを蹴散らし、武器を投げ捨て、扉を開ける。
 寒い夜だった。
 オフィスビルを出た男はゆっくりと愛車に歩み寄り、ガルウィングドアを開けて中に潜り込んだ。
 警察が来る気配はない。通報された様子も無い。いつも通りにやれば、追求されることもないのはわかっていた。
 脱いだマスクを助手席へ放り投げると、返り血に濡れたニワトリがぱくぱくと嘴を開け閉めしてさえずった。

「他人を傷つけるのは好きか?」

 男は答えないまま、無言でキーを回して車を走らせた。
 答える必要は無かった。答えはもうわかっていたから。
 だから聖杯はいらない。自分には必要ない。
 必要なのは―――――あの娘に対する、わずかばかりの救済だけだった。



「あ、あ……っ」

 自分の体に満たされていく確かな魔力に、娘はひざまずいて喘いだ。それは紛れもない罪の証だった。
 娘の生は――望みは――いつだって、誰かの死によってしか叶えられないのだ。

「主よ、どうか……どうか、許してください……。お許しください……」

 生まれ故郷の村が焼かれなければ、故郷を飛び出すことはできなかったろう。
 敵兵を殺さなければ、故郷を救うことはできなかったろう。
 味方を殺さなければ、勝利を勝ち取ることはできなかったろう。

 娘はその罪の重さに啜り泣き、ベッドがまるで祭壇であるかのように両手を組んで、祈りを捧げる。
 こんな自分が、聖女であるわけがない。だからこそあれほどに責め苛まれ、誰も助けてはくれなかったのだ。
 魔女だ。悪魔の声に耳を貸し、それに惑わされ、多くの人々を死に追いやった、救いがたい魔女だ。

 だから、そう――こんなに救われていて、良いわけはない。

 血溜まりの中、傷ついた自分を救いあげてくれる人には、もう出会えた。
 助けてと乞うた自分を、彼は確かに助けてくれたのだ。

 それはまるで、奇跡のように。

 彼は――彼女を救い出してくれた。

「――――主よ、この身を委ねます……っ」

 だから、どうか、神様。
 聖杯はいりません。私はもう救われました。
 愚かで欲深く、ふしだらで浅ましい、こんな自分にはもう十分過ぎます。

 必要なのは―――――彼に対する、わずかばかりの救済だけだった。




 二人は受話器の前で待っている。

 ――まだ電話はかかって来ない。



【クラス】
 キャスター

【真名】
 ジャネット・ドゥ・アルク

【ステータス】
 筋力:B 耐久:A 敏捷:A 魔力:C 幸運:A 宝具:B+

【属性】
 秩序・善

【クラススキル】
  • 陣地作成(真):B
 魔術師の工房としてではなく、野戦において自らに有利な陣を敷くスキル。
 このランクならば歴史に名を残す名将としての才を発揮できる。
 ジャネットの布陣は、守勢より攻勢を好んだものである。

  • 道具作成(真):C
 魔術師の道具ではなく、ごくごく普通の日用品などの扱いに関するスキル。
 このランクならば民家一つの家事全般を滞りなく行うことができる。

【保有スキル】
  • 啓示(偽):A-
 "天からの声"ではなく、目標の達成に関する事象全てを直感的に予見する軍事的才能。
「カリスマ」「軍師の指揮」「軍師の忠言」「軍略」の複合スキルであり、それぞれBランクの習熟度を発揮できる。
 兵を統率しその実力を大いに高め、彼女の助言は正確に的中し、対軍宝具の行使および対処に有利を得る。
 ただしジャネット自身はこれを「魔術」系統のスキルだと誤認しているため、他者に理論だてて説明することができない。

  • 信仰の加護:A
 一つの宗教に殉じた者のみが持つスキル。
 加護とはいっても最高存在からの恩恵ではなく、自己の信心から生まれる精神・肉体の絶対性。
 ランクが高すぎると、人格に異変をきたす。

  • 被虐体質:A+
 集団戦闘において、敵の標的になる確率が増してしまうスキル。
 加えて攻撃側は攻めれば攻めるほど冷静さを欠き、このスキルを持つ者の事しか考えられなくなる。
 このランクになると一国をも動かすほどの恐ろしい衝動を引き起こしてしまう。

【宝具】
『主よ、この身を委ねます(パース・クエ・デュ・ア・コマンド)』
 ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大捕捉:9400人
 ジャネットが戦場に立って旗を揮う限り、常に敵の損害は最大となり、味方の被害は最少となる。
 わずか九日間でイングランドの包囲を打ち破り、オルレアン解放を成し遂げた才能の発露。
 厳密には宝具ではなく的確なスキル運用であり、因果逆転のような「奇跡」を起こすことはできない。
 よって最少の被害の中に、彼女自身を含む重大な要素が含まれる可能性は常に存在する。
 ――――ある意味ではジャネットの宝具は、彼女が率いる「兵士」だと言える。

『供犠の聖女(ラ・ピュセル・ド・コンピエーニュ)』
 ランク:B+ 種別:対軍宝具 レンジ:50 最大捕捉:400人
 自らが殿として最後まで踏みとどまって戦い続けることで、他の友軍全員を安全に戦場から離脱させる。
 軍人ジャネット・ドゥ・アルクが最後に繰り広げてみせた壮絶な撤退戦、その極めて高度な再現。
 厳密には宝具ではなくスキルを最大限に発揮した結果だが、それは固有結界にも似た「奇跡」を成し遂げる。
 使用しても消滅することはないが、彼女個人の敗北は約束され、その後の運命は悲惨なものとなるだろう。

【weapon】
『百合の軍旗』
 百合の花と天使の姿が描かれたジャネットの軍旗。
 あくまで指揮を執るためのもので、武器としての使用には適さない。

『無銘・長剣』
 何の変哲もない、ありふれた普通の鉄剣。

【マテリアル】
 身長/体重:159cm・44kg
 出典:史実 地域:フランス
 属性:秩序・善・人 性別:女性
 スリーサイズ:B85/W59/H86

 ドンレミーの村娘、オルレアンの聖女、ルーアンの魔女、フランス王国の軍人ジャンヌ・ダルク。
 13歳で「神の声」を聞き、17歳で旅立ち、18歳でフランスを救い、19歳で火刑に処されて死んだ少女。
 その事績について、改めて詳しく述べる必要はあるまい。

 だがしかし―――はたしてジャンヌ・ダルクが聞いた「神の声」とは、いった何だったのだろう。
 精神的な病によるものか、傍付きの傭兵の入れ知恵か、あるいは本当に最高存在からの声があったのか。
 ただひとつはっきりしているのは、ジャンヌ・ダルクが采配を振るっていた間フランス軍は勝ち続けたという一点のみ。

 無学な農家の娘が絶望的な劣勢を覆し、さらに勝利を掴んでのけるなど、「奇跡」以外の何だというのか。
 フランスが、イギリスが、民が、僧が、兵が、将が、貴族が、そして王さえもがそれを信じたのは当然だったろう。
 なにせその娘本人すら、それは「奇跡」によるものだと心から信じてしまっていたのだから。
 そして信じていたがゆえに裏切られた彼女は魔女裁判で心砕かれ、それは魔術なのだと認めてしまった。

 ジャンヌ・ダルクとは死後に広まった名であり、彼女自身は「ドゥ・アルク家のジャネット」と呼ばれることを好んだという。
 フランス軍の大敗を予見し、自ら指揮を執ってそれを覆し、劣勢となれば殿を務めて友軍を逃がした偉大な指揮官。
 結局、彼女は、「奇跡」のような才能を持ちながら自らを聖女と思い込んだ、哀れで愚かな娘に過ぎなかった。
 ――つまりジャネット・ドゥ・アルクは他でもない自らの意思で、どこかの誰かの明日のために立ち上がった娘だという事だ。

【外見】
 肩ほどで髪を切って短髪にし、地味で薄汚れた甲冑をまとった、軍人としての装いのジャンヌ・ダルク。
 ルーラーとアヴェンジャーの中間のような姿だが、その碧眼には輝きがなく、表情は弱々しく、どこか怯えている。
 また首と右太腿に矢を受けた大きな傷跡がある他、全身には苛烈な拷問の痕がくまなく刻まれている。

【聖杯にかける願い】
 マスターの救済を


【マスター】
 Jacket@Hotline Miami

【人物背景】
 北米マイアミ市でロシアンマフィアを次々と惨殺した「ニワトリ頭の殺人鬼」として知られる殺し屋。

 かつては米国特殊部隊「GhostWolfs」の一員として対ロシア作戦で凄まじい戦果をあげた精鋭であったが、
 親友の無惨な死によってPTSDを患って以降は、無為な日々を過ごすようになった若者に過ぎない。
 しかしある日HotlineMiamiという伝言サービスから奇妙な「間違い電話」を受けたことで、その生活は一変。
 電話に従って仕事をこなし、ロシアンマフィアを標的に殺戮を繰り返す殺人鬼としてマイアミを震撼させるようになる。

 無関係な目撃者を殺害しただけで嘔吐し、スナッフフィルム撮影現場にいた女性Hookerを自宅へ匿うなど、
 ロシアンマフィアへの過剰な攻撃性とは裏腹に、精神を病みかけながらもJacketは人間性を保ち続けていた。
 JacketはHookerとの奇妙な同居生活の中で交流を重ねることによって、徐々に荒廃していた心を癒やしていく。
 しかしその一方で、Jacketは死んだ友人や殺した犠牲者の幻覚を見始めるようになっていく。
 彼らは死体となってJacketの周りに現れ、時には動物マスクの人物の姿を取ってJacketへ問いかける。

 ――他人を傷つけるのは好きか?

 やがてJacketは自宅を突き止めた殺し屋にHookerを殺され、自身も撃たれて昏睡状態に陥ってしまう。
 だが夢の中で自問自答したJacketは、二ヶ月後に現実へ覚醒、復讐を果たすため一直線に走り出す。
 病院を脱走したJacketは警察署を強襲、警官を皆殺しにした上に殺し屋を絞め殺して、事件の捜査資料を入手する。
 そしてJacketは全てに決着をつけるため、マイアミを支配するロシアンマフィアの本拠地へ一人乗り込んでいく。

 ――たとえ真実が何もわからないとしても、その行いに無駄なことは何もないのだと信じて。

【能力・技能】
  • 精神汚染
 ソシオパス、後天的な社会病質者。恐怖を感じず、敵に対して感情移入せず、過剰な攻撃性を発揮する。
 精神干渉を高確率でシャットアウトし、Jacketの戦闘行為を目撃した者は高確率で恐怖のBSを付与される。
 また同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。
 ジャネットは「信仰の加護」スキルによってJacketとの意思疎通を可能としている。

  • 失語症
 Jacketは過去のトラウマから声を発することができない。ジャネットとは念話によって意思疎通を行っている。

  • 戦闘能力
 元特殊部隊員としての極めて高度な戦闘能力。
 格闘技、白兵武器、銃火器類の扱いに精通しており、隠密行動や潜入行動なども得意としている。
 さらに背後組織の支援があったとはいえ、長期間に渡って警察やマフィアの追及を逃れ続けるだけの周到さも持っている。

 非武装状態でマフィアの拠点に乗り込んで構成員を虐殺、重傷を負っていても警察署へ正面から突入して皆殺しなどの他、
 ゲーム中では事実上たった一人でマイアミ市を支配するロシアンマフィアに壊滅的打撃を与えることに成功している。
 続編ではJacketのフォロワーたちがマフィアの拠点に乗り込むも最終的に全滅、さらに警察にも活動を把握されており、
 他にも単身でマフィアを蹴散らした男は頼ったドラックで破滅し、殺戮を繰り返した殺人鬼はその正体を掴まれるなど、
 一対多を基本としている作中においてさえ、Jacketは異常なほどに強く優秀な人物であるという風に描かれている。

 特筆すべきは「超人的な身体能力」の類は一切有しておらず、あくまで鍛えた軍人程度の身体能力しかないという点。
 Jacketの戦果は高度な状況判断能力と的確な行動に由来しており、ある意味では「鍛えた軍人の強さ」の極限とも言える。

  • 宝具
 Jacketがジャネットと共に戦う兵士である限り、その戦闘行為全ては武器に関わらず宝具としての性質を帯びる。

【weapon】
  • Richard
 ニワトリのマスク。ゴム製。
 他にも多数の動物マスクを所持しているが、Jacketの内的世界における彼の象徴である。

  • Bat
 何の変哲もないバット。木製。
 基本的に武器は全て現地調達だが、頻繁に入手できる代表的な武器。

  • Acado GT
 Jacketの愛車。ガルウィングドア、リアウィンドウシャッターを持つ銀のスポーツカー。
 DMC-12デロリアンや1985年製トヨタ・スープラに似た外観をしている。

【方針】
 ヤクザを殺して魂喰いを行い、キャスターの維持と強化を続ける。
 他参加者に対してはマスター狙いの暗殺、奇襲、強襲を中心に。

【聖杯にかける願い】
 キャスターの救済を

【参考資料】
  • Hotline Miami ノーデスプレイ
ttps://www.youtube.com/watch?v=y65YBb2lPwE

  • ストーリーを教えてもらうスレ暫定Wiki Hotline Miami
ttps://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/1934.html

  • ゲームPayDay2 キャラクター追加DLC PV
ttps://www.youtube.com/watch?v=-_5RKK1vBIw
ttps://www.youtube.com/watch?v=kHeETQUd2W0

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最終更新:2017年12月25日 16:12