――異形の何かが群れていた。
機械のようにのっぺりとした無機的なフォルム。
にも関わらず、挙動や姿形に宿る有機的なもの。
生物の真似をする非生物。そんな形容句こそが、これらを称する上では相応しいだろう。
見る者に生理的嫌悪感すら与えるこれらは、紛うことなき人類種の敵である。
名称をバーテックス。その意味は頂点。
全ての生命の頂点という意味を、この白き侵略者(インベーダー)達は与えられていた。
ある者はこう言った。これは、天の神が人類を粛清する為に遣わした存在だと。
侵略者(インベーダー)にして粛清者(パニッシャー)。
かつてこれらは、人類に対しおぞましい殺戮の限りを尽くしていった。
その結果、人類は一部の地域を残して絶滅の淵へと追いやられることとなった。
バーテックスには鉛弾も爆炎も通じない。ひとえにこれが、常世の法則に依るものではない為だ。
空より来る頂上種を人は恐れた。
地球上に残る数多の生物の中から人間のみを選んで殺し尽くす存在を前に心を壊した。
そしてまたも、バーテックスは無情に押し寄せる。
今度は人の世界を壊すのではなく、それを見守る存在を破壊することを目的として。
されど。
世界を壊す者があるのなら、世界を守る者があるのもまた道理。
大いなる存在は人の手に世界の防衛を委ねた。
年端も行かぬ純真無垢で希望に溢れた少女達に、世界と人の営みを守る力をもたらしたのだ。
――少女達を指して勇者と呼ぶ。
勇者。それは勇気を以って武器を執り、我が身を顧みず敵へと向かう救世主。
そして今。
一人の勇者が、死地に立っていた。
押し寄せるは破滅の軍勢。
視界は半分欠けて、片腕は動かず、全身には決して少なくない疲労感が蓄積している。
いや、疲労感を感じてくれるならばまだ救いがある。
少女の総身には、既に何の感覚もしない部位が複数存在した。
まるでその部分の身体機能が、まるっと抜け落ちてしまったように。
戦いの中で機能の欠落は増えていった。逆境を打破する勇者の切り札。それを使う度に、一箇所ずつ。
この戦いは破滅的であった。
勇者と呼ぶには、彼女の戦い方はあまりに悲惨だった。
身体を失いながら敵を貫く。感覚を失いながら敵を砕く。
その有様は壮絶すぎて――故に、見惚れるほど美しい。
仮に此度の激戦を制したとしても、少女が元通りの日常に戻れる可能性は絶無だ。
機能欠損の数は、最早人間らしいまともな生活が送れない領域にまで達している。
大の大人でも涙を流して絶望するような有様。年端も行かない少女であれば、尚更心の痛みは大きいだろう。
勝利を収めたとしてその次は? その次は? 次の次の次は、どうなる?
決まっている。後は失うばかりだ。人らしいものを全て失って、それでも戦い続けるしかない。
まっとうな価値観の持ち主ならば、少女の置かれた境遇を称して地獄と呼ぼう。
世界を防衛する為、永遠に失い続ける非業の勇者。
奇跡でも起きない限り、その行く末に救いはない。
当の彼女も、この時点で既に、それに気付いている。
――それでも。
それでも少女は退かない。
膝を突かない。泣き言を溢さない。
自分の背中、その遥か先には守りたいものがある。
誰かの守りたかった景色がある。あの子の愛した、日々がある。
欠けていく身体とは裏腹に、少女の勇気は微塵も翳らない。
それどころか、戦いが進むにつれ、失うにつれどんどん増していく。
天井知らずに。絶望的な戦いの趨勢をなんとしても覆してやると、奮起しているから負けはしない。
その姿はまさしく勇者。そして、英雄だった。人類史に名を刻んだ益荒男達と比べても遜色ない、偉大なる希望に他ならなかった。
そうして少女は、勇者は勝利する。
たった一人で全ての敵を撃退し、世界を見事に守ってみせた。
だが、バーテックスが木端微塵に弾け飛んだことで押し寄せた粉塵が晴れた時。
そこに、勇者の姿はなかった。髪の毛一本残さず、完全に消失してしまっていた。
彼女が守ろうとした、大いなる〝神樹〟。
それを破壊すべく押し寄せ、蹴散らされたバーテックス。
勇者システムを統括し、管理する〝大赦〟という組織。
そのいずれも、勇者の消失には誓って関与していない。
では何故、偉大な少女は消えたのか。
守った世界をその目で見ることもなく、居なくなってしまったのか。
その答えは――異界の聖杯。世界の救済を夢見る男が望んだ願望器だけが、知っている。
▼ ▼ ▼
むせ返りそうな血と汗の匂い。
戦場の端では既に、朽ちた兵士に蝿が集り始めている。
それを払ってやる余裕など、このロンスヴォーに結集した如何なる人物にも存在しない。
それほどの激戦であった、此度の戦争は。人が、人の殻を脱ぎ捨ててしまうほどに。
白銀の刃が敵兵の腕を断つ。
開いた口の奥から聞き苦しい悲鳴が這い出る前に喉を貫き、脈を斬る。
同胞を殺され怒り狂った者と、今こそ好機と睨んだ者とが左右から同時に斬り掛かるが。
見え透いた手だと嘲笑うようにワンステップで回避して、返しの薙ぎで二人纏めて首を飛ばした。
その光景に、懲りもせず義憤に駆られた阿呆が突っ込む。
振るった剣は受け止められるが怯まない。
仲間の仇をなんとしても取るのだと力を込める。
が、そこで、彼は見た。
フルフェイスの白兜の下から覗く、瑠璃色の瞳を。
感情の見て取れない淡白な瞳の真の恐ろしさは、実際に相対した者にしか分かるまい。
少なくともこの彼は、そこに戦神の威容を見た。
百万の軍勢を鎧袖一触に薙ぎ払う、戦争の化身を見た。
瞬間、剣に込めた力が一瞬緩む。
それだけで敗北の条件としては十二分。
白兜の綺晶剣が、真横から彼の頭部を切断した。
戦は続いていく。
同胞が散り、敵が散る。
されども止まぬ鋼の音色、飛沫の調べ。
罪深く惨たらしいはずのそれに、不思議な充足感を覚えている己が居ることに、白兜のパラディンは最初から気付いていた。
この戦場に来た瞬間から、ではない。
パラディンとなって初めて敵を討った瞬間より、女は己の居場所が戦場にしかないことを自覚していた。
心が高鳴るわけではない。もっと強い敵を求めたことはない。
ただ、一番強く生の実感を得られるのは戦場だ。
同胞と語らい、酒を酌み交わす時よりも。
師父と過ごし、郷愁の念に浸る時よりも。
こうして大地を駆け、敵を斬り、或いは斬られている時の方がより強く〝生きている〟と感じられる。
もっとも、その感覚は女にとって甚だ不本意なものであったが。
彼女はただ全力を尽くしているだけだ。
勝利する為に必要な策を絞り出し、策のみでどうにもならないのならこうして肉を使う。
敵を倒すことに常時全力で取り組んだ結果返り血を浴びることになるだけであり、戦闘はあくまでも手段でしかない。
手段を愛するなど愚の骨頂。重要なのは、結果だ。勝つか負けるか、ただそれだけ。
――戦は佳境へと入る。敵も味方も目減りして、白兜のパラディンも無事とは言い難い状態だった。
砕け綻んだ鎧。
血液は垂れ、兜も右目の部分が砕けて、顔が一部露出している。
負傷は既に、誰の目から見ても撤退が最善と思えるレベルのそれだ。
このまま戦闘を続行すれば、死ぬ。そのことを理解出来ない彼女ではない。
だが、退くことは出来ないと彼女の聡明な脳髄は弾き出した。
此処で自分が退けば、残軍の兵力と士気は大きく落ちる。
彼が……ローランが居る以上心配無用と考えるのは早計が過ぎるだろう。
彼と誰より永く過ごした戦友として、親友として――此処は退けぬと闘志を更に燃え上がらせる。
目指すは勝ちだ。ただそれだけだ。
その為に、多少の損耗は度外視しよう。
剣を握る力は決して緩めない。
最後の一瞬まで、この生命は我が友と、我が同胞の為に。
そうして女は力尽きるまで駆け抜けた。
その魂は英霊として世界に召し上げられ、やがて異界の聖杯に見初められる。
英雄は英雄と。勇者は勇者と。その本質はどうあれ、相応しい者同士が偶然にも結び付く。
破滅へ向かいながらも、生かされ続ける少女。
戦死を越え、悔いなく生涯を終えた白兜。
二つの英雄譚は、京の都へ――。
▼ ▼ ▼
「おいしいねえ、これ」
「ええ、美味ですね。品のある味がします」
黄昏時の梅小路公園。
遊具で遊ぶ子供達の姿も疎らになってきた頃。
ベンチに隣り合って座り、京都名物の生八つ橋を頬張る少女達の姿があった。
双方、髪は金色。強いて言うなら、背丈の低い方はやや山吹色に近い髪色をしている。
そんな似通った身体的特徴を持つ彼女達だったが、姉妹のようにはとても見えない。
というよりも、事情を知らぬ者が見れば、そもそも〝少女達〟という認識をしない可能性すらある。
背の高い、日本人離れした顔立ちの少女。彼女は、男装に身を包んでいたからだ。
タキシードのようにぴっちりとしたものでこそないが、男物のラフな服装を纏っており、何か違和感を覚えている様子もない。
男装の麗人と呼ぶにはいささか俗すぎて。
しかし、ちゃんとした服装さえすればそうなれる資質は十分にあるだろう娘。
彼女は、背の低い少女の下僕であった。
少女が何かを成すために、遙かなる座から呼び出された、人類史の影法師であった。
「それにしても良い街だ。出来ることなら、ローラン達と共に練り歩いてみたかったものです」
「またその名前。セイバーさんは、〝ローランさん〟のことが好きなんだねえ」
その名を聞けば、歴史に聡い者は何らかの反応を示すだろう。
ローラン。シャルルマーニュのパラディンの筆頭とされる、勇猛果敢な大英雄。
こうも気安くかの英雄の名を口にするとなれば、少女の出身はある程度推測できる。
即ち、ローランの同胞。パラディンの一人にして、かの英雄譚に名を連ねた英雄。
「恋愛感情の類は誓って欠片もありませんでしたが、気心の知れた友ではありました。
単純に付き合いが長かったというのもありますがね。……まあ、百人が見れば百人が狂人と断言するような男でしたよ」
聖騎士ローランの幼馴染にして、親友だった騎士。
ローランが勇猛一辺倒の勇者ならば、彼女はそれを支えて導く賢者。
だがその一方で、死地となったロンスヴォーの戦いにおいては、ローランを凌駕する撃破数(スコア)を見せたという血鬼。
――オリヴィエ。それが、勇者・乃木園子が召喚した剣の英霊の真名だった。
「……セイバーさんは、いいの?」
「何がです?」
「だって、その――セイバーさん達は、最後に負けちゃったんでしょ?」
オリヴィエやローランの物語は、勝利で締め括られたわけではない。
彼女達は戦った。最後まで勇敢に戦い、騎士の名を穢すことなき生き様を貫いた。
その果てに、彼女達は敗死した。
全ての敵兵を斬り払うこと敵わず戦場に散った。
無念であったことだろうと、園子は思う。
そして今。この京には、その結末を覆し得る奇跡が降臨しようとしているのだ。
聖杯。それは、万能の願望器。
あらゆる願いを叶える至高の聖遺物。
聖杯の力があれば、ロンスヴォーの結末は容易に覆るだろう。
オリヴィエ達は全ての敵を討ち、見事勝利を収めて大帝の下に凱旋した。
そういう風に、歴史を書き換えることが可能であろう。
そのことは、オリヴィエ自身分かっている。
分かっているが――。
「……確かにあの戦いで、わたし達は敗北しました。
それを無念でないと、悔しくないと言えば嘘になります」
ですが、とオリヴィエは続ける。
「少なくとも、あれは意味のない玉砕ではなかった。
わたし達の死は大帝と本隊に未来を与え、最悪の結果を遠ざけることが出来たのです。
もう一度やり直せるというのなら、もちろん全力で勝利を勝ち取りにいく所存ですが――
屍の上の願望器を奪い取ってまでそうしたいとは、正直思えませんね。それならむしろ受肉して、当代の戦争にでも名乗りを上げたいところです」
さらっととんでもないことを口にしたのは、一先ず置いておいて。
結論から言えば彼女のマスターである園子は、聖杯を取ろうとは考えていなかった。
むしろその逆。園子の狙いは、聖杯戦争そのものを止めることにある。
「貴女が気兼ねする必要はどこにもありませんよ、園子。
此度のわたしは大帝のパラディンでもなければ、ローランの頭脳でもない。
わたしは今、乃木園子というマスターに仕えるサーヴァントなのです。貴女には、わたしを自分の目的の為に〝使う〟権利がある」
聖杯戦争を、願いの為に戦うにしろ。
聖杯戦争を、打ち砕かんとするにしろ。
オリヴィエはそれが道義に悖る外道の戦いとならない限りは、全面的にマスターの賛同者になる。
それがサーヴァントの役目であり、正しい姿と信じるが故に。
「……そっか。ありがとね、セイバーさん」
園子は彼女の言葉に、ほんのりと笑みを浮かべた。
咲いて散る大輪の花のように、可憐さと儚さが同居した笑顔。
「私ね、やっぱり聖杯戦争は止めなきゃいけないと思うんだ。
聖杯を手に入れた人は救われるかもしれないけど、手に入れられなかった人達は、この
ルールじゃ絶対に救われない」
聖杯戦争。その趣向自体は、ほとんど殺し合いと言ってもいいものだ。
本来の聖杯戦争ならば棄権の自由も存在するのだろうが、この京都聖杯戦争にはそれもない。
呼ばれてしまえば最後、後は勝つか死ぬかのどちらか。
救われるのはたった一人。
あとは全員、救われない。
聖杯を望むかどうかなど関係なく、負ければ死ぬ。
乃木園子はそれを看過出来ない。
まして――舞台となるこの京都は、張りぼてのバトルフィールドなどでは断じてないのだ。
此処は誰かの日常。誰かが愛した世界。聖杯戦争は、それを自分勝手に奪い去る。
現に、既に被害は出ているのだ。異世界からやって来た来訪者達のせいで、誰かの平穏が崩されている。
それを仕方のないことと見過ごしてしまうのなら、それはもう、勇者の在り方ではない。ただの、偽善者だ。
「友達が居たの。日常を守る為勇敢に戦って、死んじゃった友達が」
脳裏に浮かぶ、愛しい親友。
もう二度と会えない、遠い世界に行ってしまった彼女。
その最期と生き様を思えば尚更、聖杯戦争を認めることは出来なかった。
「その子ならきっと、止めると思う。
わっしー……もう一人の友達もおんなじ。
だったら私も、そうしないと。あの子達の友達として――勇者として。
誰かの日常を守る為に、一肌脱がなきゃ嘘だと思うんだ」
遠くを見て、園子は思い返す。
楽しかった日々。愛しかった時間。
もう戻らないかの日に想いを馳せながら、なおも貫く勇者の道。
年端も行かない身体で苛酷過ぎる運命と向き合い、屈さず進むその姿に、オリヴィエは紛れもなく英雄のそれを見た。
「一つだけ、忠告させていただくなら。
園子、貴女の先に待つのは茨の道ですよ。
後戻りの利かない英雄の道。それを貫く覚悟はお有りですか」
「……もちろん。これでも私、勇者だからね」
「ならば、わたしから言うことは何もありません」
勇者。
それは勇気を持って前に進む者の総称。
たとえ進んだ先に破滅が待っていようとも。
たとえ、誰からも評価されることのない戦いだったとしても。
勇者は、進み続ける。ただ――護るべき何かの為に。
「共に往きましょう、園子。
どうか貴女の進む道の果てに、輝く未来があらんことを」
「――うん。往こう、セイバーさん。
勇者らしく、格好良く決めちゃおうね」
【CLASS】セイバー
【真名】オリヴィエ
【出典】ローランの歌
【性別】女性
【身長・体重】152cm・51kg
【属性】秩序・善
【ステータス】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力A 幸運D 宝具A+
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:B
騎乗の才能。
大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
【固有スキル】
戦闘続行:A
往生際が悪い。
瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す〝戦闘論理〟。
逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
軍略:B
一対一の戦闘ではなく、多人数を動員した戦場における戦術的直感力。
自らの対軍宝具の行使や、逆に相手の対軍宝具に対処する場合に有利な補正が与えられる。
ロンスヴォーの血鬼:A+
かのロンスヴォーの戦いにて、セイバーは視力を失いながらも懸命に戦い、勇猛なるローラン以上の敵を切り伏せた。
ダメージを負えば負うほど筋力、敏捷のステータスが向上し、弱体化するどころか強くなっていく。
また消耗が一定域に達すると、ステータスアップに加えて〝直感〟〝勇猛〟を始めとする各種戦闘スキルをランダムに獲得。
精緻な洞察力から成る真の心眼と第六感から成る偽の心眼を併用し、全ての敵を掃討するまでセイバーは綺晶剣を振るい続ける。
【宝具】
『穢れなき綺晶の剣(オートクレール)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1
セイバーの主武装であり、黄金の鍔と水晶の柄頭を持つ優美な両刃の片手剣。
美術品としても非常に上等な代物だが、武装としても超の付く一級品で、〝穢れ〟を切り裂く効果を持つ。
穢れたる者――悪魔、死徒、魔獣、殺人鬼など、人倫と交わるべきでない存在へ与えるダメージが大きく上昇する。
真名解放を行うことで、切っ先から空色の魔力光を放ち敵単体に強力な刺突ダメージを与えることが出来る。
これ自体の威力も結構なものだが、真価は次に記述する第二宝具による〝追撃〟。
『不浄を祓え、穢れなき綺晶の剣(アンチキャンサー・オートクレール)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~5 最大捕捉:1
『穢れなき綺晶の剣』の真の運用法。腫瘍のように世界を冒す穢れを祓う、救い/滅びの光。
刀身を敵に突き刺した状態であらん限りの魔力を注ぎ込み、敵の体内で浄化の特性を持った魔力光を炸裂させる。
その性質上、一度敵にどうにかして剣を突き刺す必要があるが、逆に言えば彼女に貫かれることはこの宝具の直撃を許すことに等しい。
体内からの攻撃であるため防御力は無視され、穢れを持つ者は浄化特性によって即死級の大ダメージを受けることになる。
また、『穢れなき綺晶の剣』の真名解放で敵を貫いた場合も、この宝具をその状態から発動させて追撃可能。
当然ただ突き刺して発動するよりも総合的なダメージ量は大きくなるため、これが彼女の最強の〝必勝パターン〟となる。
文句なしの超強力な攻撃宝具だが、その分魔力の消費は激しく、故に外すことは許されない。
【マテリアル】
オリヴィエ。ローランの歌などに登場するパラディンの一人。
ローランとは幼馴染にして親友であり、彼の為に知恵を絞る優秀な知将でもあったとされる。
彼女はローランのことを信頼しているし、ローランの方も彼女に信を置いていた。ちなみに妹のオードはローランとの婚約者だったりする。
ローランが勇猛な戦士として知られるのに対し、オリヴィエは冷静沈着に的確な判断を下す知将としてのイメージが強い。
……が、実際の彼女は確かに知将ではあったものの、根っこの部分はローラン以上の脳味噌筋肉人種(バカ)。
策を練って戦場をコントロールしつつも、自分の損耗を一切恐れずに突貫して敵を斬る。
その側面が最も色濃く表れたのが、彼女達の死地となったロンスヴォーの戦いである。
この戦争で彼女はローラン以上の敵を討ち、凄まじい戦功をあげた。その激しさたるや、うっかり敵と間違えてローランの頭を叩き斬ってしまったほどである。ちなみに本人曰く「あの時のことは反省していますが、それはそれとして、あれだけ強く叩いて血の一滴も出なかったのは何かムカつきましたね」とのこと。
『ローランの歌』では男性とされているが、その理由は、オリヴィエ自身が不当な偏見を受けるのを嫌ってごく一部の信が置ける同胞以外には性別を隠していたから。
もちろん思いっ切り顔立ちが女性なので中にはこいつ女じゃね?と疑問を抱いた者も居たが、そういう者達は彼女の鬼神の如き活躍を見て、「これは〝ついて〟ますわ(確信)」という感想に行き着いたという。
ローランはもちろん彼女の性別について知っていたが、彼との間に恋愛感情のようなものは存在しない。あくまで付き合いの長い親友/戦友として戦場を共にし、離別へ至った。
性格はやや天然寄りな敬語女子。頭は切れるが根っこは脳筋。回復手段が確立された日には、いよいよ後先の一切を考えなくなる。
聖杯を狙うか否かは、基本的に自身を召喚したマスターの方針に依る。
聖杯狙いのマスターであれば同調して聖杯を狙い、適当に受肉して現代の戦地でも練り歩こうとなるし、
反聖杯派のマスターであれば現世への未練をちょっぴり抱きつつも聖杯戦争の破壊に向けて動く。
しかし道義に適わない行為には嫌悪を示し、マスターがそういう方針を選ぶのなら何の迷いもなく反目するだろう。
【Weapon】
『穢れなき綺晶の剣(オートクレール)』
【外見的特徴】
長い金髪の女騎士。背は小さいが体は引き締まっており、顔さえ隠せば男を名乗っても通用する。胸は見事なまでの絶壁。
肌の露出が少ない白銀の鎧を着用し、兜で女の顔を隠して戦闘する。『穢れなき綺晶の剣』は普段は背負っている。
瞳は瑠璃色、肌は白い。戦闘時以外は当代風の服装に身を包んで行動するが、その際も男装を好む。
【聖杯にかける願い】
園子と協力し、聖杯戦争を止める。
【マスター】
乃木園子@鷲尾須美は勇者である
【マスターとしての願い】
聖杯戦争を止める
【Weapon】
浮遊する穂先をいくつも備えた槍。
傘のように展開することで盾としても使えるなど攻防一体で、戦闘スタイルは中距離攻撃型となっている。
【能力・技能】
神樹に選ばれた勇者として、スマートフォンを介した変身によりその力を扱うことが出来る。
烏天狗と呼ばれる精霊が彼女の戦闘をサポートし、バリアによる攻撃からの防御などを行ってくれる。
■満開
勇者の切り札。
勇者コスチュームに搭載された花弁のマーク、通称『満開ゲージ』が全て点灯することで発動可能となる。
満開の際には普段の勇者を超越した強大な力を得られ、満開を経ることで勇者はより強力な存在にレベルアップしていく。
満開ゲージの増加は敵に与えたダメージの大きさと必ずしも比例するというわけではなく、精神的な要素も深く関わっている。
その為、勇気に溢れた攻撃をすれば、一撃で満開ゲージがゼロから最大になることもある。
■散華
勇者の切り札、その代償。
満開とは神の力を得ること。そしてその対価として、花開く度に勇者は身体機能の一部を神樹に捧げることになる。
つまり満開を使えば使うほど勇者は強くなるが、体はどんどん不自由になっていく。
本来であれば散華の度に精霊が増えるのだが、本作ではオリジナル要素が強くなってしまう為、精霊増加はしない。
【人物背景】
名家、乃木家の少女。
天真爛漫かつふわふわとした性格の持ち主だが、有事における頭の回転はとても速い。
バーテックスから世界を守る勇者としてクラスメイトの鷲尾須美、銀と共に選出される。
友を喪っても挫けることなく敵へ立ち向かい、二桁回数もの満開を経て――少女は世界を守り抜いた。
参戦時間軸は本編第八話『瀬戸大橋跡地の合戦』終了後。
満開の連打によって失った身体機能はどういうわけか回復しているが、満開を経て強化された力も元に戻ってしまっている。
【方針】
聖杯戦争を止め、元の世界に帰る
最終更新:2018年01月21日 21:55