位相深度

レベル




龍血濃度によって六段階で分けられる環境区分の総称。
龍霧の状態や位相深度計によって判断できる。
龍血濃度が極限へと近付くにつれ、白夜の匡の様相は大きくその姿と脅威度を変化させる。ここでは区分の基準となる指標及び各位相深度段階の環境変動・特記事項について記述する。

なお、龍血の濃度は檻(ケース)内部の値を1とした比の値である『漿値』で表される。






〈位相深度 1〉
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檻(ケース)及び標(ビーコン)の近郊、罅縫軌跡(ネルフ・ライン)の軌道上の大半がこの段階に区分される。龍血の状態は極めて薄い霧、可視限界付近。
漿値が100〜500付近で安定しているこの領域では、マスクの装着を行うことで外界活動を行うことが可能である。マスクの耐久限度は数週間ほど、マスク無しでの生存限界は三時間程度。
白夜の匡(イルミナ)において檻(ケース)を除けば最も安全な領域であり、ヤコウの出現も極めて稀であり、基本的には比較的対処が容易な個体しか出没しない。ただし、これらの説明は全て、人類種の生存圏たる檻(ケース)の近郊を除いた領域におけるものである。
人類種の殺戮を行動原理とするヤコウの中には檻(ケース)から出てくる人間を捕食する目的で檻付近の比較的漿値が高いエリアを回遊している場合があるため、檻(ケース)近郊での突発的なヤコウとの遭遇事例は後を絶たない。
尤も、ヤコウは 基本的には 龍血濃度によってその脅威度を大きく変動させるため、位相深度1の近郊では銃火器による対処が可能とされている。
【追記】四番監房郊外の最新調査において指定個体の出現を確認。早急な対処及び対抗策の立案が待たれる。





〈位相深度 2〉
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罅縫軌跡(ネルフ・ライン)を外れ、檻(ケース)郊外から数キロメートル。この距離を超えた時点で、まず間違いなくこの位相深度に直面することだろう。
龍血の状態は薄い霧、朧気ながらも可視。
漿値は500〜1000程度。
安定な位相深度ではあるが、漿値が急激に上昇することで位相深度3へと突発的に昇華することが稀に存在する。マスクの装着による外界活動が可能だが、余程の事情が無い限りは防護装備の装着が推奨される。生身での滞在限度は一分程度。
白夜の匡(イルミナ)において遭遇する確率が二番目に高い領域。ヤコウは上位個体を見かけることは稀でこそあるものの、出現するヤコウの脅威度は位相深度1に比べ非常に高く、遭遇率も高い。《淵越の釣舟(ヴェルーリヤ)》の有する車輌であれば対処は十分に可能であるものの、位相深度2の単身での踏破は限られた実力者であれど生還率が半分を切るとされる。それなりの規模の集団であればヤコウを誘き寄せる贄を複数用意することで踏破は可能。
運が良ければ文明の遺産と邂逅する機会があるため、一攫千金を求めて探索を行う自殺志願者はこの位相深度を目指すことが多い。一方で標(ビーコン)が設置されている位相深度は主にこの段階であるため、檻間での争奪戦が後を絶えない。各檻の内部を除けば、崩壊以来最も数多くの人間が死亡している領域である。



〈位相深度 3〉
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龍血の状態は濃霧。肉眼での可視距離はおおよそ十メートル。
漿値は1000〜10000。
生身での滞在は数秒で致死圏内である。
この位相深度に遭遇した時点で、遭難の可能性が急激に上昇する。
罅縫軌跡(ネルフ・ライン)の軌道上でこの位相深度が観測された例は存在しない。言い換えれば、罅縫軌跡(ネルフ・ライン)はこの位相深度を必ず迂回する軌道を通っている。
『龍血嵐(エーテルストーム)』と呼ばれる、あらゆる龍血の働きを妨害する力場が存在することが最も大きな特徴。生体内部においてはその限りではないが、あらゆる龍血を駆動力に用いた機器はその機能の大半を喪失する。そのため、超高性能の位相深度計を持ち合わせていない限りはこの位相深度に遭遇した瞬間に遭難が確定する。
位相深度の突発的な昇華は共通して『ブラッドアウト』と呼称されるが、位相深度2におけるこの現象は一般の探索者にとって死の象徴である。
最も広く白夜の匡(イルミナ)に分布している位相深度はこの段階である。漿値変動は安定しており、位相深度2や位相深度4へと突発的に変化することは極めて稀。
この位相深度におけるヤコウの脅威度は非常に高く、《淵越の釣舟(ヴェルーリヤ)》の有する一般車輌では踏破は困難である(そもそもこの領域を通過することが想定されていない)。個人での踏破は偉業として讃えられるレベルであり、各檻の最高レベルの戦力であってもその成功率は低い。一方で文明の遺産は数多く存在しており、多くの過去文明の遺物はこの位相深度から回収されている。
なお、《淵越の釣舟(ヴェルーリヤ)》は度々この位相深度に調査隊を派遣している。



〈位相深度 4〉
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『指定領域』。
龍血の状態は濃霧、一部の龍血は結露を行い液体として固体に付着する。通常の位相深度の中では最上位の段階であり、漿値はおおよそ10000以上。
龍血の結露が発生するため、通常のマスクは使い物にならない。現状開発が完了されている全ての位相深度計は使い物にならなくなる。また、大量の結露に曝露された装備は龍血に汚染されるため、対策が成されたもの以外は再利用が困難となる。
白夜の匡(イルミナ)での遭遇例は位相深度1〜3に比べて非常に少なく、現状探索可能な位相深度において最も未知の領域と言っていい。一般に公開されている調査記録は《淵越の釣舟(ヴェルーリヤ)》の首魁である白夜卿による数例の報告を除けば、殆ど真偽不明な記録のみである。
基本的にこの位相深度は特定座標に固定されており、位相深度2や3の様に深度変化が生じた例は過去に存在しない。また、この位相深度が分布している地点はそれぞれ個別の名称が与えられている『指定領域』であるのも大きな特徴。領域内には過去文明の巨大都市(メガロポリス)跡地が存在することが多く、調査に成功すれば大きな成果が約束されると言っても過言ではない。
情報が不足しているため多くが未知に包まれた位相深度だが、どの領域もヤコウの脅威が想像を絶する規模であることは想像に難くない。



〈位相深度 5〉
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又の名を『龍雨』。
龍血は実体を持ち、降りしきる雨として白夜の匡(イルミナ)の大地に降り注ぐ。雨の支配する移動領域、漿値極大の位相深度。白夜の匡(イルミナ)において最大の脅威、それが位相深度5、『龍雨』である。
この位相深度は白夜の匡(イルミナ)を移動し続け、各地に死の雨を降らせ続ける天災である。イルミナを遊泳する龍雨の総数は確認されている限りは十前後だが、生成と消滅、拡大と縮小を不規則に繰り返しているため総数は変動する。
位相深度計の回転針が一方向に固定された場合は、龍雨の襲来を意味する。この災害への対処法は遮蔽物に退避して龍雨の通過を待つ以外に存在しない。
降りしきる濃度百の龍血はあらゆる物質を汚染し、龍雨の通過後も蒸発する龍血によって一時的にその土地の漿値を上昇させる。また、龍雨と共に移動するヤコウの群体による被害も甚大であり、基本的にこの位相深度との邂逅は死を意味すると考えていい。
幸いにも罅縫軌跡(ネルフ・ライン)は龍雨が通過しない軌跡を辿っているため、一般人がこれらの被害に遭うことはない。




〈位相深度 6〉
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夜行第七號に関する情報は秘匿されています。
最終更新:2025年04月26日 12:44
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