抜刀出陣 - (2009/05/16 (土) 07:15:08) の1つ前との変更点
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**抜刀出陣 ◆uBMOCQkEHY氏
ひろゆきはギャンブルルームのドアの前で立ち止まると、手に収まっている首輪探知機の電源を入れた。
ひろゆきは先程までカイジとチップ全額を賭けて、麻雀勝負を行い、
結果、カイジの四つ目のカンを利用した、四槓子によって、ひろゆきに軍配が上がった。
しかし、カイジは田中という連れの女に持ち物を全て持ち逃げされたと言い張り、その支払いを反故してしまった。
(大方、どこかで合流しているんだろ・・・)
二人がどこかで落ち合えば、持ち金は再びカイジの手元に戻ってくる。
リスクを最小限に留める為のカイジの戦略。
現実世界では、明らかに詐欺であるが、今いる場所は殺人を容認するゲームの中である。
詐術も許容の範囲であるのは間違いない。
(こんなことが日常茶飯事じゃ、参加者の中には誰も信用できなくなって暴走する者も現れるだろうな・・・)
正直、そんな参加者にギャンブルルームの外で待ち構えられていたのでは堪ったものではない。
ひろゆきがギャンブルルームから出る前に首輪探知機を確認したのも、カイジと沙織の動向を確認すると同時に、
主催者に踊らされている参加者に遭遇しないようにするためでもあった。
首輪探知機の画面が起動した。
しかし、その画面には光点はまったく映し出されてはいない。
(二人とも、100メートルの範囲から外れたか・・・)
ひろゆきは首輪探知機の範囲設定を1キロメートルへ変更した。
首輪探知機の反応範囲は広くなればなるほど、その表示が大雑把なものになっていく。
そのため、ひろゆきは通常、その範囲を100メートルに設定していたのである。
やがて、画面に光点が浮かび上がった。
この直後、ひろゆきは思わず、失笑を漏らしてしまった。
中心付近に二つの光点が浮かび上がっているが、合流するどころか、
それぞれ北西と南東に別れて移動しているのである。
画面は常に持ち主を中心に映し出されるため、この光点がカイジと沙織のものであるのは間違いない。
(まさか・・・本当に裏切られるとはな・・・)
屁理屈としか言いようがない理由で、賭け金を踏み倒した男である。
連れの女がカイジを信用できなくなってしまっても無理はない。
(まあ・・・自業自得だな・・・)
その時だった。
画面の左端に南から北へ一直線に移動する一つの光点、そして、それを追いかける二つの光点が目にとまった。
これらの光点は一定の距離を保ちながら移動しているようである。
(何かあったのか・・・)
考えられるとすれば、追いかけている二人は、まさに主催者に踊らされている参加者であり、
その人間から狙われた参加者が命辛々逃げているというシチュエーションである。
このゲームであれば、容易にありうる状況と言える。
また、カイジのように賭け金を踏み倒す、若しくは参加者の重要な持ち物を奪ったなどの理由により
怒りを買ってしまい、追いかけられている、そんなシチュエーションも考えられる。
どちらにしろ、この光点の先にある状況に接触すれば、厄介ごとに発展することは火を見るよりも明らかである。
ここを生き残るのであれば、進むべきところと引くべきところを見極めねばならない。
この光点は、当然、引くべきところ、近づくべきではないところである。
(こういう状況を避けるために、これがあるんだよな・・・)
ひろゆきは地図で光点の位置を確認すると、首輪探知機のバッテリーの消耗を避けるため、電源に触れた。
(けど・・・)
ひろゆきは再び、画面に目を向けた。
目の先にあるのは北西へ向かっている光点である。
おそらく、北西へ向かっている光点は、三つの光点の存在を知らないであろう。
あまりにも不自然な三つの光点の移動。
(このまま進めば、いずれこの三つの光点と接触するだろうな・・・
その先に待っているものは揉め事・・・いや、殺し合いの可能性もある・・・
この光点がカイジのものなのか、田中という女のものなのかは分からないが・・・
不利な状況に陥ったとしても、賭け金を踏み倒すようなことをしでかす奴らだ・・・
何とかするばず・・・)
ふと、カイジと交わした言葉が頭を過ぎった。
『ひろゆきさん、出来ればあんたを仲間にしたかったが・・・残念だ』
「・・・仲間・・・か・・・」
ギャンブルで仲間を作るというのは、信用できない人間でも従わせる強制力に目を付けてのことだろう。
おそらく、カイジの目論見は脱出、もしくは主催者潰し。
助かりたいがために安易に相手を殺そうとする人間が溢れているこのゲームの中で、
カイジはそれに逆らうかのように、ギャンブルによって、仲間を集めている。
なぜ、利根川という男がカイジを疎ましく思っているのかは分からない。
しかし、カイジが社会の中でも、その流れに逆らって生きてきたであろうことは、容易に想像がつく。
「流れに逆らうか・・・」
ひろゆきに神域、赤木しげるの後姿が心に蘇る。
「えっ・・・」
ひろゆきは首輪探知機画面の異変に気づいた。
今、三つの光点が北へ向かっているが、それを追うように、更に二つの光点が北へ向かっているのである。
(一体、どういうことだ・・・!)
ここまで光点が増えると、どんな事情が発生しているのか、推理することすらできない。
とにかく、ややこしい状況であることだけは確かである。
再び、ひろゆきは北西へ向かっている光点へ目を向ける。
少しずつだが、確実に北へ向かっている光点へと近づいている。
(五人対一人か・・・分が悪すぎる・・・)
ひろゆきはギャンブルルーム内にある時計に目をやる。
(21時に平山とアトラクションゾーンの事務所で落ち合う約束をしているが・・・)
ひろゆきの最終目的は、アカギとギャンブルで勝負をする、一億円を集めて、この島から脱出するという2点であり、
個人としては、カイジの生死がどうなろうと構わない。
むしろ、カイジに何かあれば、平山の仕事が減って、楽になれるのではないのかという予感さえある。
しかし、それを平山本人の前で口にすれば、利根川から生かされる理由がなくなると・・・
「・・・泣きつかれるな・・・多分・・・」
神域、赤木しげるが20歳近く若ければ、そういう顔をしていたであろうという容姿を持ちながら、
その顔で涙をぼろぼろ流されると思うと、
赤木からでは考えられない滑稽さに、ひろゆきは思わず、噴き出した。
「まだ・・・カイジに死んでもらっては困るな・・・」
北へ向かう光点と北西へ向かう光点はC-3エリア辺りでぶつかるであろう。
平山と落ち合う事務所はC-4エリアにあり、今からであれば、
C-3エリアの様子を見に行ってからでも間に合うはずである。
ひろゆきは日本刀を鞘から抜いた。
日本刀は鉄で出来ているにも関わらず、清流のごとき瑞々しい光沢を放っている。
「寄り道の寄り道か・・・それも悪くないかもしれないな・・・」
ひろゆきはそう呟くと、ドアノブに手をかけた。
【D-3/アトラクションゾーン/夜】
【井川ひろゆき】
[状態]:健康
[道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0~2(確認済み)
村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
[所持金]:1500万円
[思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う
ギャンブルで脱出資金を稼ぐ
極力人は殺さない
自分の進むべき道を見つける
北西へ進む光点を追う
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※平山と21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※ひろゆきが追う光点はカイジのものなのか、沙織のものなのかは分かりません。
※南から北へ向かっている光点は先頭の一点は涯、その後を追う光点は赤松と石原の首輪、さらに後を追う光点は零と沢田のものです。
|077:[[闇]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]||
||COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]||
|075:[[四槓子]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:井川ひろゆき||
**抜刀出陣 ◆uBMOCQkEHY氏
ひろゆきはギャンブルルームのドアの前で立ち止まると、手に収まっている首輪探知機の電源を入れた。
ひろゆきは先程までカイジとチップ全額を賭けて、麻雀勝負を行った。
結果、カイジの四つ目のカンを利用した、四槓子によって、ひろゆきに軍配が上がった。
しかし、カイジは田中という連れの女に持ち物を全て持ち逃げされたと言い張り、その支払いを反故してしまった。
(大方、どこかで合流しているんだろ・・・)
二人がどこかで落ち合えば、持ち金は再びカイジの手元に戻ってくる。
リスクを最小限に留める為のカイジの戦略。
現実世界では、明らかに詐欺であるが、今いる場所は殺人を容認するゲームの中である。
詐術も許容の範囲であるのは間違いない。
(こんなことが日常茶飯事じゃ、参加者の中には誰も信用できなくなって暴走する者も現れるだろうな・・・)
正直、そんな参加者にギャンブルルームの外で待ち構えられていたのでは堪ったものではない。
ひろゆきがギャンブルルームから出る前に首輪探知機を確認したのも、カイジと沙織の動向を確認すると同時に、
主催者に踊らされている参加者に遭遇しないようにするためでもあった。
首輪探知機の画面が起動した。
しかし、その画面には光点はまったく映し出されてはいない。
(二人とも、100メートルの範囲から外れたか・・・)
ひろゆきは首輪探知機の範囲設定を1キロメートルへ変更した。
首輪探知機の反応範囲は広くなればなるほど、その表示が大雑把なものになっていく。
そのため、ひろゆきは通常、その範囲を100メートルに設定していたのである。
画面に光点が浮かび上がった。
この直後、ひろゆきは思わず、失笑を漏らしてしまった。
中心付近に二つの光点が浮かび上がっているが、合流するどころか、
それぞれ西と東に別れて移動しているのである。
画面は常に持ち主を中心に映し出されるため、この光点がカイジと沙織のものであるのは間違いない。
(まさか・・・本当に裏切られるとはな・・・)
屁理屈としか言いようがない理由で、賭け金を踏み倒した男である。
連れの女がカイジを信用できなくなってしまっても無理はない。
(まあ・・・自業自得だな・・・)
その時だった。
画面の右側――ひろゆきを示す中心と東へ移動する光点の間に目にとまる。
南から北へ一直線に移動する一つの光点、そして、それを追いかける二つの光点があった。
(何かあったのか・・・)
考えられるとすれば、追いかけている二人は、まさに主催者に踊らされている参加者であり、
その人間から狙われた参加者が命辛々逃げているというシチュエーションである。
このゲームであれば、容易にありうる状況と言える。
また、カイジのように賭け金を踏み倒す、若しくは参加者の重要な持ち物を奪ったなどの理由により怒りを買ってしまい、追いかけられている、そんなシチュエーションも考えられる。
どちらにしろ、この光点の先にある状況に接触すれば、厄介ごとに発展することは火を見るよりも明らかである。
ここを生き残るのであれば、進むべきところと引くべきところを見極めねばならない。
この光点は、当然、引くべきところ、近づくべきではないところである。
(こういう状況を避けるために、これがあるんだよな・・・)
ひろゆきは首輪探知機のバッテリーの消耗を避けるため、電源に触れようとした。
「えっ・・・」
ひろゆきは再び、画面に目を向けた。
今まで、東へ向かっていた光点がなぜか方向を変え、北へ進路を変更したのである。
(なぜ・・・)
ひろゆきはその場で地図を広げて、理由を知った。
(このまま、東へ行けば、禁止エリアD-4に入ってしまうからか・・・だが・・・)
今、北へ進路を変更した光点は、南から北へ進んでいる三つの光点と並行して進んでいる状態である。
おそらく、北へ向かっている光点は、三つの光点の存在を知らないであろう。
(このまま行けば、三つの光点と接触するのはC-3エリア・・・
C-3エリアは特に障害物もなく、見通しがよい・・・
北へ進路を変更した光点は今、林の中を走っているが、
何も知らずに、林を抜けてしまえば、
その三つの光点の人物に、姿を晒してしまうことになってしまう・・・
その先に待っているものは揉め事・・・いや、殺し合いの可能性もある・・・
まあ、この光点がカイジのものなのか、田中という女のものなのかは分からないが・・・)
ふと、カイジと交わした言葉が頭を過ぎった。
『ひろゆきさん、出来ればあんたを仲間にしたかったが・・・残念だ』
「・・・仲間・・・か・・・」
ギャンブルで仲間を作るというのは、信用できない人間でも従わせる強制力に目を付けてのことだろう。
おそらく、カイジの目論見は脱出、もしくは主催者潰し。
助かりたいがために安易に相手を殺そうとする人間が溢れている、このゲームの中で、カイジはそれに逆らうかのように、ギャンブルによって、仲間を集めている。
なぜ、利根川という男がカイジを疎ましく思っているのかは分からない。
しかし、カイジが社会の中でも、その流れに逆らって生きてきたであろうことは、容易に想像がつく。
「流れに逆らうか・・・」
ひろゆきに神域、赤木しげるの後姿が心に蘇る。
「なっ・・・」
ひろゆきは首輪探知機の異変に気づいた。
今、三つの光点が北へ向かっているが、それを追うように、更に二つの光点が画面に現れたのだ。
(一体、どういうことだ・・・!)
ここまで光点が増えると、どんな事情が発生しているのか、推理することすらできない。
とにかく、ややこしい状況であることだけは確かである。
再び、ひろゆきは北へ進路を変更した光点へ目を向ける。
(五人対一人か・・・分が悪すぎる・・・)
ひろゆきはギャンブルルーム内にある時計に目をやる。
(21時に平山とアトラクションゾーンの事務所で落ち合う約束をしているが・・・)
ひろゆきの最終目的は、アカギとギャンブルで勝負をする、一億円を集めて、この島から脱出するという2点であり、
個人としては、カイジの生死がどうなろうと構わない。
むしろ、カイジに何かあれば、平山の仕事が減って、楽になれるのではないのかという予感さえある。
しかし、それを平山本人の前で口にすれば、利根川から生かされる理由がなくなると・・・
「・・・泣きつかれるな・・・多分・・・」
神域、赤木しげるが20歳近く若ければ、そういう顔をしていたかもしれないと
思わせるような容姿を持ちながら、その顔で涙をぼろぼろ流されると思うと、
赤木からでは考えられない滑稽さに、ひろゆきは思わず、噴き出した。
「まだ・・・カイジに死んでもらっては困るな・・・」
平山と落ち合う事務所はC-4エリアにあり、
光点同士が接触すると思われるC-3エリアの様子を見に行ってからでもまだ、間に合うはずである。
ひろゆきは日本刀を鞘から抜いた。
日本刀は鉄で出来ているにも関わらず、清流のごとき瑞々しい光沢を放っている。
「寄り道の寄り道か・・・それも悪くないかもしれないな・・・」
ひろゆきはそう呟くと、ドアノブに手をかけた。
【D-3/アトラクションゾーン/夜】
【井川ひろゆき】
[状態]:健康
[道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0~2(確認済み)
村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
[所持金]:1500万円
[思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う
ギャンブルで脱出資金を稼ぐ
極力人は殺さない
自分の進むべき道を見つける
北へ進む光点を追う
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※平山と21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※北へ進路を変更した光点は沙織のもの、西方面を走っている光点はカイジのものです。
しかし、ひろゆきはそのことを知りません。
※南から北へ向かっている光点は先頭の一点は涯、その後を追う光点は赤松と石原の首輪、さらに後を追う光点は零と沢田のものです。
|077:[[闇]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|079:[[天恵]]|
||COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]||
|075:[[四槓子]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:井川ひろゆき||
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