夢現 - (2009/03/17 (火) 13:12:32) の最新版との変更点
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**夢現 ◆wZ6EU.1NSA氏
夢の中で――。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は「殺し合いをしてもらう」と言われた。
目の前で首輪を爆破されて少年が死んだ。
そして三好は人を殺した。いや、人殺しを殺した。
人殺しは人ではない。鬼だ。鬼は人ではない。鬼は鬼である。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は劣悪な環境下で過酷な労働を強いられていた。
まるで家畜のように扱われた。
陽の射さない地の下で、粉塵の中で。
怪我どころか命をも落としかねない危険な条件で来る日も来る日も。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
その夢から三好を救い出してくれた人がいた。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は鬼を殺した。
棒を持った男の鬼を撃って殺した。
包丁を持った男の鬼を刺して殺した。
マシンガンを持った女の鬼を撃って殺した。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
しかしこの夢からもきっと救い出してくれるのだろう。
カイジさんが。
▼
西日の差し込む別荘の一室。
鮮やかに赤い染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
こそこそかさかさ
こそこそかさかさ
煩い。五月蝿い。騒がしい。喧しい。
「うるさい」
声に出してみるが音は一向に止まない。
ああ、堪らない。なんて厭な音なんだ。
この不快な音は一体どこからしている?
くすくすけらけら
くすくすけらけら
これは音なんかじゃない。
そうじゃない。声だ。
そう気付いた刹那。
いくつもの壁の染み達はぐにゃりと歪んで一斉に――笑った。
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
げらげらげらげらげらげらげらげらげらげら
笑った。笑った。笑った。
点々と散っていた染みは分裂し増殖し肥大し千切れて繋がって喰い合って、
壁を覆い、
床を覆い、
天井を覆い、
部屋を覆い、
別荘を覆い、
島を覆い、
海を覆い、
空を覆い、
世界の総てを覆い尽くして、
世界の裡を真っ赤に染め上げた。
げらげらげらげらげらげらげらげらげら
げら らげらげ らげらげら げら げらげ げ
いつの間にかボクも染みの一部になって、笑っている。なんだあの声もその声もボクの声だったんだ。
見ればカイジさんもいる。カイジさんもボクと同じように染みの一部となり、楽しそうに笑っている。
45組のメンバーも、班長も、首を爆破された少年も、安藤くんも、鬼たちも、皆楽しそうに笑っていた。
楽しい。とても楽しい。楽しくて仕方ない。楽しいたのしたのたしいのたいいたのしいしのたしたのしい。
▼
薄暗い別荘の一室。
茶色の染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
時が経ったせいで変色してはいるが、それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
床に横たわる青年の上を淡々と放送は流れてゆく。
打ち所が悪かったのだろう。脳内出血を起こした彼はぴくりとも動ない。
そして、放送が終了を告げるとほぼ同時に三好の心肺機能もまた一切の活動を停止した。
――現には一つの死体があるのみ。
【D-5/別荘/夜】
&font(red){【三好智広 死亡】}
&font(red){【残り 28人】}
**夢現 ◆wZ6EU.1NSA氏
夢の中で――。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は「殺し合いをしてもらう」と言われた。
目の前で首輪を爆破されて少年が死んだ。
そして三好は人を殺した。いや、人殺しを殺した。
人殺しは人ではない。鬼だ。鬼は人ではない。鬼は鬼である。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は劣悪な環境下で過酷な労働を強いられていた。
まるで家畜のように扱われた。
陽の射さない地の下で、粉塵の中で。
怪我どころか命をも落としかねない危険な条件で来る日も来る日も。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
その夢から三好を救い出してくれた人がいた。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は鬼を殺した。
棒を持った男の鬼を撃って殺した。
包丁を持った男の鬼を刺して殺した。
マシンガンを持った女の鬼を撃って殺した。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
しかしこの夢からもきっと救い出してくれるのだろう。
カイジさんが。
▼
西日の差し込む別荘の一室。
鮮やかに赤い染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
こそこそかさかさ
こそこそかさかさ
煩い。五月蝿い。騒がしい。喧しい。
「うるさい」
声に出してみるが音は一向に止まない。
ああ、堪らない。なんて厭な音なんだ。
この不快な音は一体どこからしている?
くすくすけらけら
くすくすけらけら
これは音なんかじゃない。
そうじゃない。声だ。
そう気付いた刹那。
いくつもの壁の染み達はぐにゃりと歪んで一斉に――笑った。
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
げらげらげらげらげらげらげらげらげらげら
笑った。笑った。笑った。
点々と散っていた染みは分裂し増殖し肥大し千切れて繋がって喰い合って、
壁を覆い、
床を覆い、
天井を覆い、
部屋を覆い、
別荘を覆い、
島を覆い、
海を覆い、
空を覆い、
世界の総てを覆い尽くして、
世界の裡を真っ赤に染め上げた。
げらげらげらげらげらげらげらげらげら
げら らげらげ らげらげら げら げらげ げ
いつの間にかボクも染みの一部になって、笑っている。なんだあの声もその声もボクの声だったんだ。
見ればカイジさんもいる。カイジさんもボクと同じように染みの一部となり、楽しそうに笑っている。
45組のメンバーも、班長も、首を爆破された少年も、安藤くんも、鬼たちも、皆楽しそうに笑っていた。
楽しい。とても楽しい。楽しくて仕方ない。楽しいたのしたのたしいのたいいたのしいしのたしたのしい。
▼
薄暗い別荘の一室。
茶色の染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
時が経ったせいで変色してはいるが、それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
床に横たわる青年の上を淡々と放送は流れてゆく。
打ち所が悪かったのだろう。脳内出血を起こした彼はぴくりとも動ない。
そして、放送が終了を告げるとほぼ同時に三好の心肺機能もまた一切の活動を停止した。
――現には一つの死体があるのみ。
【D-5/別荘/夜】
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