老怪 - (2008/08/29 (金) 03:25:24) の編集履歴(バックアップ)
老怪 ◆JsK8SvgrFA氏
神威秀峰は憤慨していた。
殺人ゲームだとぉ?!
‥‥‥くだらん、実にくだらん!
そんなもの、わざわざゲームにしなくとも、この世はすべからく殺し合いではないか。
強者が弱者からぶんどる。金も権力も命すらも。当たり前ではないか。
むろん、肉親とて例外ではない。
それを、なまぬるい馴れ合いの世界のみに生きてきた阿呆どもが、
残酷だの非情だのと騒ぎおって。
そんなことだから、愚図は勝てないのだ。
愚図はどうやっても愚図!!
わしは違う。
わしはそうやって、この人生を勝ち抜いてきた。
勝ち抜いてきたのだ。
‥‥‥なんで今更こんな児戯に等しいゲームに参加させられなくてはならないのだ。
‥‥‥くだらん、実にくだらん!
そんなもの、わざわざゲームにしなくとも、この世はすべからく殺し合いではないか。
強者が弱者からぶんどる。金も権力も命すらも。当たり前ではないか。
むろん、肉親とて例外ではない。
それを、なまぬるい馴れ合いの世界のみに生きてきた阿呆どもが、
残酷だの非情だのと騒ぎおって。
そんなことだから、愚図は勝てないのだ。
愚図はどうやっても愚図!!
わしは違う。
わしはそうやって、この人生を勝ち抜いてきた。
勝ち抜いてきたのだ。
‥‥‥なんで今更こんな児戯に等しいゲームに参加させられなくてはならないのだ。
まあいい。
年老いたとはいえ、このわしの実力というものを見せつけてやる。
年老いたとはいえ、このわしの実力というものを見せつけてやる。
秀峰は、さっそく妙にかさばる支給品の確認にあたった。
まず出てきたのは、スコップ。
秀峰は少し失望し、考え込んだ。
‥‥‥これは‥‥‥武器としては少し扱いにくいか‥‥‥。
続いて出てきたのは、箕(農作業用の笊)。
ある閃きが、秀峰の頭をよぎった。
‥‥‥ほう‥‥これは、使えるやもしれん‥‥‥‥。
まず出てきたのは、スコップ。
秀峰は少し失望し、考え込んだ。
‥‥‥これは‥‥‥武器としては少し扱いにくいか‥‥‥。
続いて出てきたのは、箕(農作業用の笊)。
ある閃きが、秀峰の頭をよぎった。
‥‥‥ほう‥‥これは、使えるやもしれん‥‥‥‥。
ククク‥‥、こんな手に引っかかるのは、よほどの愚図くらいかもしれぬ‥‥‥。
‥‥‥しかし、他に使えそうな道具も無し‥‥‥。
とりあえずは、これでいくとするか‥‥‥。
なに、どんな世界にも愚図は一定の割合でいるものよ‥‥‥。
‥‥‥しかし、他に使えそうな道具も無し‥‥‥。
とりあえずは、これでいくとするか‥‥‥。
なに、どんな世界にも愚図は一定の割合でいるものよ‥‥‥。
そして坂崎も、他のついていない参加者達と同様に、このゲームに参加してしまった身の不運を嘆きながら歩いていた。
「‥‥‥美心‥‥‥。かぁちゃん‥‥‥‥。
うぇぇぇぇぇん‥‥‥‥」
せっかく。やっとの思いで。
カイジ達とパチンコ「沼」に勝ち、親子三人の穏やかな生活を取り戻した矢先だったのに。
こんなわけの解らない殺し合いをしなきゃならないなんて。
一応、手には支給されたチェーンソーを構えながら歩いている。
しかし、こんな凶暴な凶器で他人を殺さないと、自分の命さえも危ういとはなんということだろう。
殺されることも怖いが、自分がチェーンソーで人間を切り刻む様を想像するだに恐ろしい。
あと生き残る方法としては、一億円稼いで棄権するという手段があるが、果たして自分がそれだけの金を手に入れる方法があるだろうか。
ギャンブルではあと9人分、いやギャンブルルームの使用料もあるから実際には10人以上を破産させないと、一億は無理だ。
しかし、自分はともかく美心だけでも助けてやりたい。そうすると、あと八千万円強。
「そんなツキが‥‥カイジと一緒ならともかく‥‥わし一人にあるか!」
お金お金お金‥‥‥また金かよぅ‥‥‥結局金かよっ!
どうしても、歩く姿が俯きがちにならざるを得ない坂崎であった。
うぇぇぇぇぇん‥‥‥‥」
せっかく。やっとの思いで。
カイジ達とパチンコ「沼」に勝ち、親子三人の穏やかな生活を取り戻した矢先だったのに。
こんなわけの解らない殺し合いをしなきゃならないなんて。
一応、手には支給されたチェーンソーを構えながら歩いている。
しかし、こんな凶暴な凶器で他人を殺さないと、自分の命さえも危ういとはなんということだろう。
殺されることも怖いが、自分がチェーンソーで人間を切り刻む様を想像するだに恐ろしい。
あと生き残る方法としては、一億円稼いで棄権するという手段があるが、果たして自分がそれだけの金を手に入れる方法があるだろうか。
ギャンブルではあと9人分、いやギャンブルルームの使用料もあるから実際には10人以上を破産させないと、一億は無理だ。
しかし、自分はともかく美心だけでも助けてやりたい。そうすると、あと八千万円強。
「そんなツキが‥‥カイジと一緒ならともかく‥‥わし一人にあるか!」
お金お金お金‥‥‥また金かよぅ‥‥‥結局金かよっ!
どうしても、歩く姿が俯きがちにならざるを得ない坂崎であった。
そんな時だった。
「お? 何だ、ありゃあ‥‥‥」
「お? 何だ、ありゃあ‥‥‥」
歩いている先の地面の少し先の茂みの脇に、見覚えのあるものが落ちている。
「あれは‥‥‥まさか!?」
落ちているのは、喉から手が出るほど欲しい、一千万円分のチップである!
坂崎は思わず駆け寄った。
しかし、それを手にすることはできなかった。
「あれは‥‥‥まさか!?」
落ちているのは、喉から手が出るほど欲しい、一千万円分のチップである!
坂崎は思わず駆け寄った。
しかし、それを手にすることはできなかった。
「ぐあっ‥‥?!」
坂崎が小走りで踏んだある一歩は、硬い地面ではなかった。
地面を踏んだ足が、そのままぐにゃりと柔らかく吸い込まれていく。
あわてて、もう一方の足を踏みしめる。
しかし、その足が踏んだ地面も同様であった。
坂崎は両足を、その柔らかい地面に絡め取られてしまい、身動きができなくなった。
地面を踏んだ足が、そのままぐにゃりと柔らかく吸い込まれていく。
あわてて、もう一方の足を踏みしめる。
しかし、その足が踏んだ地面も同様であった。
坂崎は両足を、その柔らかい地面に絡め取られてしまい、身動きができなくなった。
「なんだ、こりゃぁ‥‥‥‥!」
いくら身もだえしてもどうにもならない。
両足は、冷たく柔らかく重い何かにがっちりと絡め取られてしまった。
しかもそれは、坂崎の体重の重みによってどんどん、より深く彼の体を吸い込んでいく。
そして、もがけばもがくだけ深みにはまって行く。
坂崎が居るのは、もはや地面ではなく、まるで底無し沼。
自分いる、そのすぐ周りは普通の地面なのに。
なぜ、この足元だけが。
何故‥‥‥!!
両足は、冷たく柔らかく重い何かにがっちりと絡め取られてしまった。
しかもそれは、坂崎の体重の重みによってどんどん、より深く彼の体を吸い込んでいく。
そして、もがけばもがくだけ深みにはまって行く。
坂崎が居るのは、もはや地面ではなく、まるで底無し沼。
自分いる、そのすぐ周りは普通の地面なのに。
なぜ、この足元だけが。
何故‥‥‥!!
「ククク‥‥‥やっと獲物がかかったようだの‥‥‥」
秀峰は茂みの影から姿を現した。
「やれやれ‥‥‥、年寄りにはいささか重労働だったが、
まあ、その成果は有ったようだ‥‥‥」
坂崎は、やっと自分が罠に嵌まったことに気づいた。
「じ‥‥爺さん‥‥、
まさか‥‥‥、あんたが‥‥‥!」
「そうだよ。
その底無し沼はわしが作ったのだよ。
まあ、底無し沼とは言っても、底は有るが‥‥。
スコップで穴を掘り、掘った土を箕で細かく篩ったのを、
近所の民家から汲んできた水と混ぜ合わせての。
これが適当な固さにする塩梅がなかなか難しい。
それを穴に戻して‥‥‥カモフラージュに上から乾いた砂をかけておいた」
「頼む、助けてくれぇっ‥‥‥!!」
「ククク‥‥‥助けたいのはやまやまだ。
わしも用があるのはお前の金と道具だけだしの」
話しながらも、秀峰は坂崎が落としたチェーンソー、デイバッグを拾っていく。
当然、囮の為に置いた自らの一千万円分のチップも忘れずに。
「ほう‥‥‥なかなかの武器だ。
お前さん、こんなに使えそうなチェーンソーを貰えるだけの運が有りながら、
こんな簡単なトラップに引っかかるとは。
やはり、世の中には愚図がおるもんだの‥‥‥ククク‥‥‥」
そうこうしている間にも、坂崎の体は足から脚、腰、胸‥‥‥と、どんどん泥沼に飲み込まれていく。
坂崎は、自分の体が下から順にゆっくりと確実に冷たい泥に捕らわれていく感覚に心底恐怖した。
「やれやれ‥‥‥、年寄りにはいささか重労働だったが、
まあ、その成果は有ったようだ‥‥‥」
坂崎は、やっと自分が罠に嵌まったことに気づいた。
「じ‥‥爺さん‥‥、
まさか‥‥‥、あんたが‥‥‥!」
「そうだよ。
その底無し沼はわしが作ったのだよ。
まあ、底無し沼とは言っても、底は有るが‥‥。
スコップで穴を掘り、掘った土を箕で細かく篩ったのを、
近所の民家から汲んできた水と混ぜ合わせての。
これが適当な固さにする塩梅がなかなか難しい。
それを穴に戻して‥‥‥カモフラージュに上から乾いた砂をかけておいた」
「頼む、助けてくれぇっ‥‥‥!!」
「ククク‥‥‥助けたいのはやまやまだ。
わしも用があるのはお前の金と道具だけだしの」
話しながらも、秀峰は坂崎が落としたチェーンソー、デイバッグを拾っていく。
当然、囮の為に置いた自らの一千万円分のチップも忘れずに。
「ほう‥‥‥なかなかの武器だ。
お前さん、こんなに使えそうなチェーンソーを貰えるだけの運が有りながら、
こんな簡単なトラップに引っかかるとは。
やはり、世の中には愚図がおるもんだの‥‥‥ククク‥‥‥」
そうこうしている間にも、坂崎の体は足から脚、腰、胸‥‥‥と、どんどん泥沼に飲み込まれていく。
坂崎は、自分の体が下から順にゆっくりと確実に冷たい泥に捕らわれていく感覚に心底恐怖した。
「爺さんっ!! いったいこの泥沼はどれだけ深さが有るんだ!!」
「まあ、 この老いぼれが掘れる穴くらいだから、たかが知れておる。
お前さんの頭くらいまでか」
「何だとぉ! このクソ爺!
助けろ! 助けるんだ!!」
今や坂崎の体は、首元まで泥沼に沈んでいた。
両手を挙げて、秀峰に助けを請う坂崎。
「そうだのう。
だがしかし、その泥は、もう人の力でどうこうできるほどの固さ重さではない。
一旦その沼に嵌まってしまうと、わしでもどうやって助けていいかわからんのだ。
まあ、とどのつまりそれがお前さんの運命。
わしは、そろそろ行くぞ‥‥。
愚図に生まれてきた自分をせいぜい呪うことだ‥‥‥」
「まあ、 この老いぼれが掘れる穴くらいだから、たかが知れておる。
お前さんの頭くらいまでか」
「何だとぉ! このクソ爺!
助けろ! 助けるんだ!!」
今や坂崎の体は、首元まで泥沼に沈んでいた。
両手を挙げて、秀峰に助けを請う坂崎。
「そうだのう。
だがしかし、その泥は、もう人の力でどうこうできるほどの固さ重さではない。
一旦その沼に嵌まってしまうと、わしでもどうやって助けていいかわからんのだ。
まあ、とどのつまりそれがお前さんの運命。
わしは、そろそろ行くぞ‥‥。
愚図に生まれてきた自分をせいぜい呪うことだ‥‥‥」
坂崎は、もうその言葉に答えることは出来なかった。
泥沼は更に坂崎の体を飲み込んでいき、ついに坂崎の顔を捉えようとしていたのである。
「うがぁぁぁぁぁっっ!!」
ついに、坂崎の口に鼻に耳に目に、泥は侵入して行った。
泥沼は更に坂崎の体を飲み込んでいき、ついに坂崎の顔を捉えようとしていたのである。
「うがぁぁぁぁぁっっ!!」
ついに、坂崎の口に鼻に耳に目に、泥は侵入して行った。
秀峰は断末魔の叫びを上げながら泥沼に沈んでいく坂崎を、振り返ることなく立ち去って行った。
坂崎は体を頭まで泥沼に沈めたまま絶命した。
坂崎は体を頭まで泥沼に沈めたまま絶命した。
あとには、泥沼から天に向かって突き出された坂崎の二本の腕だけが残った。
【D-6/道路沿い/午後】
【神威秀峰】
[状態]:健康
[道具]:スコップ 箕 チェーンソー 不明支給品1~3 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:優勝する
【神威秀峰】
[状態]:健康
[道具]:スコップ 箕 チェーンソー 不明支給品1~3 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:優勝する
【坂崎孝太郎 死亡】
【残り 38人】
【残り 38人】
018:試験 | 投下順 | 020:野望の島 |
014:装備 | 時系列順 | 023:情報 |
初登場 | 神威秀峰 | 031:束の間の勝者 |