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焦燥 - (2009/04/27 (月) 12:01:39) のソース
焦燥 6lu8FNGFaw◆氏 「…ぅあ…、あああっ…!!」 佐原はその場に崩れ落ち、頭をかかえて蹲った。 取り返しのつかないことをしてしまった…その後悔、焦りっ…! 佐原にはわかっていた。失ったのは…「仲間」だけではない… 同時に「信頼」も失ってしまった…! 板倉と…板倉がかばい、連れ去った女…そいつらの心にはっきりと刻まれたであろう… 俺が非情な裏切り者だと…! 俺自身が『殺人鬼』であれば、この状況、別段どうということはない… だが…俺はそんなにあっさり人を殺せるようなタマじゃない…! 今後、殺し合いで人数が減り、そんな中…もし悪い風評を流されれば… 板倉は『対主催』の同志を集めている…あの男ならうまく人数を集めるに違いない。 もし数日経ち…『対主催』と『殺し合いに乗っている者』との戦争にでもなれば… 俺は『対主催』の仲間に入れない…!「裏切り者」だから…! むしろ…危険人物として、命を狙われる…! ましてや、『俺が狙撃手としての腕がない』ことは今の発砲で板倉にばれてしまっているっ…! 警戒されない…あっさり殺されてしまう…! 佐原は頭を抱えたまま呻き声をあげた。 実際には、佐原の考えは悲観的にすぎる。 掠めただけとはいえ、弾は命中しているのだ。もちろん佐原はそれを望んでいなかったわけだが。 的になった方からすれば、『狙撃手としての腕がある』と認識するだろう…。 だが…佐原はそこまで頭が回らない…。 初めて銃を使ってみて…こんなに扱いにくいものだとは思ってもみなかったから…! その現実に縛られる…! もう一つ…、「裏切った」ことにより自分が排除されるという幻想…恐怖… その恐怖も、この『殺し合いゲーム』という舞台…特殊事情から考えると、被害妄想に過ぎるといえる。 どこで誰に襲われるかわからない…他人を信用できない…。 『日常』と切り離されたこの島…、舞台では、「裏切り」などよくあること…。 異常こそが正常…! だが…、佐原は、一般人としての正常な感覚を持ちすぎていた。 ゆえに…孤立することへの本能的な恐れがあった。 今までは意識したこともなかった。が…、今は縛られる…その幻想に…! 「……あ、ああっ…!?」 恐怖に支配され、蹲っていた佐原だが…、もう一つ思い当たることがあり、再び大声をあげた。 ここにいたら危ない…!!板倉…そして仲間になった女が…俺を狙ってくるかもしれない…! 板倉は銃の類は持っていなかったようだが、あの女はわからない…! もし奴らが…『不穏分子…危険な芽は早いうちに摘んでしまおう』などと考えたら… 襲ってくるっ…!?今にも…こうしている間にも…! 心が恐怖に侵食され、過敏になった神経は窓の外の風の音にも反応する。 自身がたてる足音にも怯える…世界が音を立てて歪む………。 いてもたってもいられなくなり、考えもなしに佐原はホテルの部屋を飛び出し、外へ… 玄関から外へと飛び出し、板倉やしづかのいた方向とは逆の方角へと走り去った。 とにかく少しでも安全なところへ…!少しでも見つかりにくいところへ…! できれば身を隠し…長時間待機できそうな建物の中に…! どれくらい走ったろうか。 ふと木々の向こうにショッピングモールの建物が見えた。 【E-6/道沿い/夕方】 【佐原】 [状態]:恐慌状態 首に注射針の痕 [道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×29 通常支給品 [所持金]:1000万円 [思考]:己のミスに対する深い後悔と絶望、板倉としづかに自分が狙われていると妄想 一条を血の痕から見て危険人物と認識 |055:[[魔弾]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[投下順>本編投下順]]|057:[[手足]]| |055:[[魔弾]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:[[時系列順>本編時間順]]|057:[[手足]]| |055:[[魔弾]]|COLOR(#FFFFFF):BGCOLOR(#a9a9a9):CENTER:佐原|071|[[それぞれの試金石(前編)]]|