桐乃と黒猫と俺の萌え 02


「………………黒猫……かな」
「なっ!?」「……ッ……!」
本当はどっちが興奮したかなんて選べようもないんだけどな。
だって、んなこと考えていなかったし、言われてから初めて勃っちまってるのに気づいたわけなんだしさ。
それでも黒猫と答えたのは、返答を迫られる短い時間で考えた二つほどの理由からだ。
一つは「どっちも」なんて答えを言おうものなら両方から張り手が飛んできそうだということ。いや、きそうじゃねえな百パーセント飛んでくる。そんな痛い答えは言いたくない。
もう一つは。
言うまでもねえ、桐乃は妹だからだ。妹相手に興奮したなんて言ってみろ。ぜってえこの先、顔を合わせるたびにシスコンと罵倒してくるだろうぜ俺の妹は。
なわけで俺は黒猫と答えた。別に嘘ついてるわけじゃあないよ? 俺のチキンハートが跳ねまわっていたのはマジなんだし。
「ま、まったく……。先輩には困ったものね。フ、フン。いやらしい」
「あ、あはは。す、すまん。だってよ、おまえがあんな風に。か、可愛い顔見せてくるもんだから、ついな」
「……!? お、お世辞なんて言われたって嬉しくはないわっ」
「いやお世辞じゃないって! ほんとだって黒猫」
「ば、莫迦っ。知らない」
黒猫は顔を赤くしてそっぽを向いてしまった。
恥じらっているしぐさがまた俺の心臓を打つ。
そういや俺ってコイツにキスされたこともあるんだよな。やっぱりこれは好意を持っていると受け取っていいんじゃね? うん、いいはずだ。やっべ、さっきより超ドキドキしてきた。
そして俺はさっきから別の意味でもドキドキしていた。冷や汗もかいていたりする。
どうしてかって? そりゃ……決まっているだろ。
さっきから俺にグサリと刺さっている恐ろしい妹様の眼が気になるからだよ。
「き、桐乃さん。あの、ほら? おまえの胸がイヤってわけじゃなくてさ、やっぱ俺に妹属性つーのは……」
「どういうことよアンタ――ッ!」
ぎゃああああああああ!
怒りを鎮めてもらおうと言葉をかけたのが逆効果。怒れる俺の妹は首をぐいぐい絞めつけてきた。
つーか死ぬ、死ぬってば! 桐乃さんやめて!?
「あ、あんた。あたしのむ、胸に触ったくせにコイツの方がいいなんてどういうこと!」
「ぐぇ~。お、俺が自分からやったみてえに言うなよ!?」
「しらばっくれんなっ。 あ、あたしの胸にもぞもぞ顔擦りつけてたくせに!」
「おまえが無理やり押し付けたんだろ!? 俺は離れようともがいてたダケだっつの」
「それにしては随分締まりの無い顔をしていたみたいだけど?」
おいコラ、黒猫! どうしてそこで桐乃を援護するようなことを言うの!?
「やっぱり! このスケベ! 変態兄貴!」
黒猫の後押しを受けて桐乃は更に俺の首を掴んでがっくんがっくん振り回してくる。
おまえら、数秒前まで対立してるような雰囲気だったのに、いつの間にデタントしたのよ?
特に黒猫、
「俺が苦しんでるの喜んでるだろ! この鬼畜!」
「お世辞じゃない褒め言葉として受け止めておくわ。ありがとう、先輩」
お世辞でもねえし褒めてもねえよ!
性悪そうな笑みが無駄に可愛いなあ、くっそう。いかん、さっきからずっと首振り回されてるのも手伝って頭が真っ白になってきた。
危険を感じて桐乃の腕を掴んでなんとかひっぺがす。
「やめろって桐乃! だから誤解だ、服の上からで感触なんて良く分かんなかったしさあ!?」
「だ、だから黒いのの方に興奮したってこと?」
まだこだわってんのかよ、負けず嫌い過ぎだろおまえ。
「そ、そういうことだ。 てか比べようもねえよ、こんなん」
「む……分かった」
桐乃はようやく納得がいったのか、口をふさいだ。
あー疲れた。
ふぅっと息を吐きかけようとしたら、桐乃は凄いことを言い出した。

「服の上からじゃ分からないってんなら……。ちょ、ちょくせ……直接触ってみればいいじゃない!」
「はヒィ!?」
喉まで出かかった息が逆流して、声音が狂う。
こいつ、今なんて言った? 直接触ってみろって言ったのか? 何を? おっぱい? おっぱい触れって? 誰が? 俺? 俺が触るの? 誰の? 妹の、桐乃のおっぱいを――ッ!?
桐乃の発言を脳内に伝達する作業にいくつ疑問符を使ったのか自分でも分からない。
「お、おま……バッ! な、なっなな――ッ!? 触るってそんなこと! ゴックン。で、出来るわけねえだろ!」
「どうしてよ?」
「どうしてって、その……」
俺は助けを求めるように黒猫に顔を向けた。が、その黒猫は( ゚д゚)とした表情で石化。
当たり前だろう、いきなり友人が自分の兄に向かって胸を触れと言い出してんだからその心中は推して知るべしである。
「こっち見なさいよ」
桐乃が俺の顔を掴んで再び兄妹で対峙する。
「き、桐乃、俺とお前は兄妹だぞ? そ、そんな妹のおっぱ……胸触るなんて。お、おかしいだろ?」
「その妹の胸に顔埋めてたくせに……何言っちゃってんの、シスコン」
「だから俺の意志じゃ――」
「嘘ばっか。あ、あんたが妹の胸でも興奮する変態だってこと証明してやる!」
「そ、そんなこと証明してどうしようってんだよ。お、俺は出来ねえかんな!」
「意気地なし……ヘタレ」
憎まれ口を叩きながら桐乃は口を尖らせて俺の顔を睨めつける。
意気地がないという問題なんだろうか? いや違うだろ!? どう考えても妹のおおお、おっぱいに触る(しかも直接)なんてことを、どこの兄貴が平然とするよ?
しかもおまえ、自分だって恥ずかしがってるじゃねえか。顔が燃えてるみたいになってんぞ。
「桐乃、自分で分かってんだろ? も、もしかして俺に出来るわけねえって、またからかってやがんのか?」
「意気地なし」
もう一度、桐乃が同じ台詞をぼそりと呟いた。嘘ではないという意味も含まれているような声色。
ぐ……、やっぱり本気なのか桐乃?
ヤバいって、俺チョーヤバいって!
俺にだって人並みの理性というやつは備わっている。頭のどこかでそれは働いていて、しっかりと俺の行動を制御してくれている。
だけどさ、今の桐乃を見てそれを保てというのは――む、無理だ。
メチャクチャ可愛いんだよ。耳までを赤く染めている顔、キメ細かい肌、プルンと柔らかそうでみずみずしい唇、そしてさっきから俺の目を釘付けにしている二つの膨らみ。
認めたくもねえが、可愛げのねえことを口にする態度も……。全部が全部、俺を惹き寄つけてしまう。
その桐乃がおっぱいを触れと言ってきている。
股間に血が行き過ぎて思考が変になっているんだろうか、それとも知らない間に頭でも打ってどこかおかしくなったのか、
「桐乃、本当にいいんだよな? い、イヤだったら今の内に言えよ?」
さっきから開けっ放しで乾いてる口内からそんな言葉が漏れてしまった。
「も、もうどうなっても……し、知らんからな」
「ハ、ハン! く、口が回ってないくせに強がっても……い、意味ないっての」
おまえだってそうじゃねえかよ。
心の中で独りごちながら、俺は桐乃の肩を抱き寄せて、ゆっくりと桐乃の服を脱がせていった。
もしかしたら鉄拳か張り手か蹴りが飛んでくるかもと身構えたが、そんな気配を桐乃は見せなかった。抱き寄せたときにピクンとからだを竦ませただけで、俺に身を任せている。
徐々にあらわになっていく桐乃の素肌、目を焼かれてしまいそうだ。

「ほ、ほら。手ぇ上げろ」
「…………ん」
素直に俺の言うことを聞いて、桐乃は手をあげる。ゆるゆるとシャツは頭から脱ぎ去って。
あとはブラジャーを、俺が外すんだよな?
漫画などでホックが外せなくてしどろもどろになるシーンを思い出して緊張したが、背中のホックはなんなく外すことができた。
大銀行の地下金庫並みに堅牢かと思ってたが。はは、なんだ結構簡単なんだな。ふぅ。
ブラは桐乃のからだから離れ、ベッドにぱさりと軽い音を立てた。それを聞くだけで、心拍数が上がった気がした。
「じゃ、じゃあ触るから手をどけろよ桐乃」
「あ、あんまやらしく触ったら許さないからね」
おっぱいを目の前にした男に無理言うな。
これでも鷲掴みにして揉みくちゃにしたい衝動と必死に戦っているんだぞ?
「……ごくり」
唾を飲み下しながら、桐乃が手で隠している膨らみへと腕を伸ばして、ゆっくりと手を差し入れていく。
桐乃の腕にはさほど力は無く、侵入を拒んでいるわけではなさそうだ。
嫌がってない……よな。それを裏付けるような手応えに心なしか嬉しくなった。
おもいきって俺はもう片方の手で、胸を隠している桐乃の腕を解かせた。今度は少し抵抗を感じたが、おっぱいを触りたいから力を入れて引き離す。
さっきまでのやめろと言っていた俺はもういない。いるのはただ、おっぱいへ引き寄せられている男が一人。
やがて、俺の手は桐乃の腕を解けさせて。
「……んっ」
「……おっ」
おおぉぉぉおおぉお! おっぱい柔らけえええぇぇぇぇええ!?
すごい、何これ柔らかい! 脂肪なんだから当たり前なんだけど、鳥肌もんだよ!
マシュマロ、ゼリー、ゴムボール、低反発枕、水風船。
くぅぅ~~どれも比喩に当てはまらねえよ、もうおっぱいはおっぱいで良い!
桐乃のおっぱいはおっぱいのような柔らかさだ。
手の平から指先から全神経を使って俺は桐乃のおっぱいの感触を堪能しだした。
「ゃ、ゃだ。触り方エロい! ひゃっひぃ……ちょ、ちょっと……鼻息がキモいんですけどォ」
「し、仕方ねえだろ。エロいのはおまえのおっぱいがエロいからだ」
胸とかオブラートに包んで言う配慮も既に無くなっているくらい、俺はおっぱいの感触に夢中になっていた。
話している最中も俺の両手はグーとパーを繰り返すようにおっぱいを握り締めたり、手に乗せてボールを転がすようにしたり、指の先で乳首の周りを撫で回したり、乳首を摘んだりと目覚しい仕事ぶりを発揮している。
手に桐乃の乳房を感じたびに俺の鼓動がどんどこどん。
「あっあっ……や、ヤダ! ち、乳首は……ぃんんぅ……ひふゅん」
桐乃は俺が今まで聴いたことが無い声を出しながら、俺の腕の中で身をよじっている。
か、かわいいじゃん……。
思わずこいつのクソ生意気な態度を忘れてしまいそうになる。
「ちょっと、はぁはぁ。ぃっ……うっひぁん……アンタいい加減に……。あっ……はぁ……やっぱアンタ変態じゃないの!?」
文句を言われても、悩ましげな吐息が目に見えるようで、むしろ俺は興奮をかき立てられるだけだ。
いっそう二つのおっぱいを揉みしだいていると、先端に違和感を覚えた。
ん? あれ? 乳首がなんか固くなってきたような気がする。もしかして桐乃のやつ、感じているのか?
そう思った瞬間、からだが熱くなった気がした。
だがそこで、

「もう……もうダメ! ここまで」
桐乃は俺から離れてしまった。
「こ、ここまでだからね。はぁはぁ。さっきからお尻にあんたのが当たってて。もう充分だって分かったから」
充分だと? 何が?
「フ、フンッ! このシスコン。あ、あんたがアタシに興奮するってのがよっく分かったわ。だ、だからもうおしま……な、何よその目は? ちょ、ちょっと兄貴? なんでシャツ脱いでんのよ!?」
そうだったな、おまえ俺が興奮するか証明したかったとか言っていたな。
くやしいが、確かに俺はおまえのおっぱいに興奮した。はっきり言って、興奮しすぎた。もうシスコンと嘲られようがなんだろうが、仕方は無い。甘んじて受け入れよう。
だから――ッ!
「ここまでってそんなんアリになるかよ! 俺はもう――! きっ桐乃ッ!」
「きゃっ! あ、兄貴やめッ!?」
ガバっと勢いよく俺は桐乃に飛びついた。
そのままおっぱいにダイブを決めて、顔を埋める。
「ひゃ、このシスコン! やめろって言ってんでしょうがぁ――!?」
「どうなっても知らんと確認したじゃねえか!」
髪を引っ張られたり頭を叩かれたりするがそんな痛みは知ったことじゃねえ。
俺は手に変わって今度は口で桐乃のおっぱいを味わい始めた。
「あっ、やっ……ひぅんん~!? ちょっと舐め、舐めんなバカァ! ひぅん……ゃあん、はぁうん。そ、そこ噛むなぁぁ変態ぃぃ!」
「変態って、おっぱい触れとか言ってきたのはおまえじゃねえか」
「うるひゃ、はひぃん、あん! ひゃへっ……へ、変態はアンタだっつの! ひゃふぅ……あっあっあん」
舌で舐めまわしながら乳首を甘噛みすると、桐乃はさっきと同じように甘い息を吐き出し始めた。
やっぱこいつ感じてる。乳首もピンと勃ちあがりコリコリとした弾力が歯に伝わる。
自分の舌で感じている桐乃を俺はたまらなく愛おしいと想った。
顔や舌もそうだが、素肌に伝わってくる桐乃の体温がその想いを加速させているみてえだ。
こいつは普段つっけんどんで生意気で、兄貴の俺をアゴで使うクソアマだが、それでも時折見せる桐乃の可愛いしぐさや声、顔が、俺は実はキライじゃなかったりする。
でも、イラっとくることの方が多いし、なにより照れ臭いから「まあ、かわいいんじゃん?」とか言ったりするくらいだ。
そういうわけで次の台詞は、膨らみすぎたスケベ心で頭のネジが二、三本飛んでったせいだとしておこう。
じゃねえと俺の自我が保ちそうに無い。
「桐乃、可愛いぞ。すっげえ可愛い! 赤くなってる顔も、声も。可愛すぎだろおまえ!? ちゅろ。おっぱいも綺麗だしよ。乳首も、ぺろぺろ」
ビクンと桐乃のからだが一瞬跳ねた。
「……ッ!? い、いいいいきなり変なこ、こと! はっひゅ……あっん……。言うなぁシスコン! ス、スケベ!」
「んむっ、れろ。 マジだって! 嘘なんかじゃねえ、掛け値なしでそう思うんだから仕方ねえだろ? もっとそういう顔が見てみたい、もっと声も聴かせてくれよ桐乃!」
「ウザッ……ひぃうん……あっんん。ウ、ウザい! 死ねっ、マジで死ねバカ兄貴!」
「イヤだね。せっかくおまえがそんな顔してんのに死ねるか! もっと良く見せてくれよ、ほら?」
顔を上げて桐乃の顔を覗き込むと、茹で上がったように頭からケムリを噴いていた。
おっぱいを触られたせいだろうか、桐乃は上気して「はぁはぁ」と荒げている。
息が顔にかかるが、それを俺は甘いと感じた。
そんな変態のような嗅覚が自分に備わっているなんて信じたくはねえが、今はおいておこう。桐乃が何か言いそうだ。
「ば、ば~か、キモいんだよシスコン」
数秒ほどで息を整えると、桐乃は俺の顔を見たままそう言った。
勢いでクソ恥ずかしい台詞を吐いて返ってきたのは罵詈雑言。それでも充分に元は取れてる気がするかな、俺が見たい顔だったから。
へっ。や、やっぱ可愛いんじゃん? まあ元々こいつはかなりの美少女だし? 誰もが認めるところで、俺もそこに異議はねえよ。
「キモい顔いつまでも向けんなシスコン!」
……口は悪いけど。
でも、不思議とムカつかない奇妙な精神状態に陥っている俺。言われるとおりキモい気がしないでもない。まあいいや。

で、再び桐乃のおっぱいに顔を埋めようとしたとき、
「あっあっあなた……ああああなたたち、ななっなっなっ…………?」
それまで石化していた、もう一人の可愛い顔をした美少女が動き出した。
からだと声をぶるぶる震わしながら俺たちを指差す。
どうやら今しがた強制停止していた思考が再起動して、俺と桐乃のあられもない姿を認識したみたいだ。
「あ、ああああり得ないわ。わ、私はいつ淫魔の巣窟に迷い込んでしまったの?」
「淫魔の巣窟って……」
まあ桐乃の爆弾発言を聞いて、追い討ちのように上半身裸の俺たちを見たんじゃあ、超恥ずかしがり屋の黒猫からすれば、当然のことで仕方無いのかもしれない。
「黒猫、これには色々と訳があってだな――」
訳も何も見たまんまなんだが、それでも俺は黒猫の心身を落ち着かせようとした。
「こ、これは違うんだからね!? こいつが妹で欲情する変態だってのを確かめようとしただけで――」
桐乃も同じ考えなのか、口を揃えて黒猫に言い訳をしゃべりだす。
……まあ欲情しちゃったけどさあ、した結果こうなってんだから言い訳になって無いって気付いてないんだろうかね?
「破廉恥よっ。こ、こんな。けがっ汚らわしい……は、裸でいるなんて……ッ」
そうとうテンパってしまっている黒猫。
無表情が多い顔は、というか首から上全部が赤くなってしまっている。
目も涙を湛えて、呂律の回っていない口はパクパクと小動物のように小刻みに動いている。
「……くっ! か、可愛い!」
横にいた桐乃が黒猫の様子を端的に述べた。
うん、すごい可愛い。黒猫も桐乃とはタイプが違うが、すごい美少女であることには変わりは無い。
俺には無表情、桐乃には邪悪な笑みを浮かべるその美少女が、恥じらいの感情をおおいに発露させている。
極めつけは頭につけているネコミミのカチューシャ。今も装着した人物の心情など理解せず愛らしくピコピコと動いている。
俺と桐乃は言い訳も止めて、それに見とれた。
「か、かか可愛いとか、変なこと言わないで頂戴(ピコピコ)」
「くはぁ~~~! 顔赤くしてピコピコしてるよぉぉ! 超可愛いぃぃ!?」
桐乃はなんだかテンションが上がっているのか、本心では思っていても黒猫相手に口には出さないようなことも何故か言っている。
どうしたんだおまえ?
「ふっ、ふざけないで。(ピコピコ)い、いいっいいから……さっさと二人とも服を着なさいッ(ピコピコ)」
「はぅぅぅわあぁぁああッ! あ、あたしもう、ダメ……ガ、ガマンできない……ゴク」
「ダメなのは知って――ってあなた。そ、その手をどうする気……?」
「裸が恥ずかしいなら、一緒に裸になれば恥ずかしくなくなるよ?」
桐乃がスケベ親父のような手つきで黒猫ににじり寄りだした。
「あんた恥ずかしがってコスプレしたときも隅っこの方で着替えてたしィ、肌出さない服も着てるしィ。たまには……ゴクン……薄着したっていいっしょ?」
「い、いいい今も充分薄着にされてるわよっ。」
そう、萌えを探求するために桐乃は黒猫の上着を剥いでいた。
黒猫の今の姿は半袖とミニスカート、あとは丈の長い靴下。ニーソって言うのか?
この姿を薄着にするっていうことは。
「や、止めなさいっ。冗談にしても……タチが悪すぎよあなた(ピコピコ)」
「はぁ……はぁ……。だ、大丈夫。冗談じゃなくて…………本気だから――ッッ!」
叫ぶと同時に桐乃は黒猫に襲いかかった。
陸上部エース様の加速力はダテじゃねえ、瞬き一つする間に黒猫を捕まえてベッドに二人して倒れこむ。
「や、やめ――止めなさいッ、殴るわよこの変態女」
「問答無用!」
ジタバタと暴れる黒猫、それを押さえつけようとする桐乃。両者の力は拮抗していた。
「人間が、ゼロ距離戦闘で私に、勝てるつもり――」
「か、可愛いぃぃぃ! アンタの厨二ゼリフがここまで萌えたの初めてかもおおおぉぉ!?」
おいおい、桐乃よテンションが完全におかしくなってるぞ? 確かに黒猫は超可愛いけど、可愛い友達を無理やり脱がすっていうのはどうなのよ?
黒猫は超恥ずかしがり屋さんなんだからさあ、女のおまえでも裸見られるのは……。
ったく、しょうがねえなこの妹は――、
俺はもつれあう二人に近づいてこう言った。
「桐乃、俺も手伝おう」





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最終更新:2010年10月03日 23:10
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