俺と妹の近親相姦は文学 04


俺と妹の近親相姦は文学4:俺と妹の蜜室

おかしいなぁ…どうしちゃったのかな
愛し合っているのわかるけど、実妹じゃ結婚できないんだよ
エロゲのことだけ言うこと聞いてもらうふりで、本番まで無茶するなら
エロゲ黙認の意味、ないじゃない。ちゃんと、常識の通りやろうよ
ねぇ、私の言ってること
私の主張、そんなに間違ってます?
少し、土に埋まりましょうか……お兄さん


がばっ

「っはぁーー、夢か……」
高坂京介は顔に浮いた汗をぬぐった。
自分にエグい得物を突きつけてなじるメルルの姿が、いつのまにかあやせに変わっていた。
メルルの抱き枕を前にして妹と情事にふけり、あやせには日頃から近親相姦を疑われていることが
こんな夢を見てしまった原因かもしれない。
「どうしろってんだ……」
身体を丸めて、すやすや寝息を立てる桐乃を横目で愛でながら、京介はつぶやいた。
「ぅ……あにき」
眠り姫の口から甘ったるい寝言が漏れる。兄は妹を、ぎゅっと優しく抱き締めてあげた。


親の目を盗んだ兄妹の関係は続いていた。
人前では互いに気持ちをセーブしている反動で、深夜に互いの部屋を行き来しては
兄妹じゃなくても人様に見せられないレベルでイチャついた。
変なタイミングでキスをして相手の機嫌をそこねたら、キスで機嫌をなおすような真似が、
二人の間では横行していた。
偽装を意識しすぎた口論――そこに半分は本心が混じってしまうのが高坂兄妹クオリティ――があった日の夜には
しおらしく昼のことを謝る妹の姿と、思わず口付けで慰めてしまう兄の姿があった。
そこまでがお約束の流れなので、最近では罵倒の最中に唇の感触を思い出す始末。
性的興奮を覚えるまでになったら、性癖的な意味でも末期である。
自宅で、ラフな格好でいるときほどコンドームを手放せない男子高校生、
こんなに贅沢で罪深いヤツは自分だけかもしれない。
京介はそう思うことがあった。


高坂兄妹の変化について、付き合いの深い沙織と黒猫は流石におぼろげながら勘付いている様だった。
あえて何も言わないのは「紳士協定」というヤツなのだろう。
京介は内心感謝しつつ、彼女たちとの付き合いを続けていた。
もうひとり、妹を持ち仲間である赤城浩平にもヒントを与えてしまっているはずだ。
こんな一幕があったから。

「やっぱ、俺の妹は天使だわー」
「……じゃあ俺の妹は大天使だな」
「なら、私の妹は熾天使と言わざるをえないわ」
「おわっ!?いつからいたんだ、黒猫!!」

……黒猫にはバレているのは絶対か。
このときは後輩をハンドルネームで呼んだことに男友達が食いついたおかげで追求を受けずにすんだが、
ベルフェゴールの続編がでた日には自分たちの本当の仲が赤裸々に描かれるのではないかと、
京介は戦々恐々としていた。

――戦々恐々とすることばかりだった。
今だって何かの間違いで母親が息子の部屋に突撃してくれば悲惨な事態になるのは確定的に明らか。
早朝には起きるようにしているからそんな事態はありえない、と常識を頼るには、
自分たちのやっていることは非常識にすぎた。
思わず妹を抱く腕にも力がこもってしまう。桐乃はむずがると、目をこすった。
「ん……おはよ、兄貴」
その微笑みに胸を締めつけられつつ、シスコンは呟いた。
「俺の部屋にも鍵がいるな……」
「?」


そんなのさっさとやっておけ、というのも尤もな意見だが、
嘘を見抜くのが得意な親父が相手では下手に言いだすと藪蛇になりかねなかった。
鍵の掛かる桐乃の部屋だけを使えばいいのだけど、後ろめたいことをしているせいか、
最近の京介は視線恐怖症気味で妹の部屋のぬいぐるみに情事を毎晩見られるのは落ち着かない。
(ま、鍵が付くまでは我慢して桐乃の部屋で寝かせてもらうか)
それぞれ自分の部屋で寝るという考えは彼の脳裏に存在しない。
イルカでもないかぎり、右脳と左脳は別々に眠らないものだ。


桐乃と打ち合わせた京介は夕食の席でそろそろと切り出した。
「あのさ……俺の部屋にも鍵がほしいんだけど」
両親の顔は(もっともだけど、めんどくせー)と語っていた。
「ほら、最近は桐乃も友達を連れてきたりして、人の出入りが激しいじゃん?
 間違って着替えを見せたりしちゃうかもしれないしさ――」
「アンタの友達が来ているときに鍵を使われる方が、私は心配だけど~?」
友達にアクセントを置いて母が冷やかした。
妹は黙々とカレーを口に運びながら机の下で思いっきり足を踏みつけてくる。
眉の動きを精神力で制御している兄に、父は重ねて言う。
「突然ドアを開けられても、恥ずかしくない生活をしろ」
京介は天井をあおいだ。素敵に理不尽である。
留学中の桐乃だって2人部屋で暮らしていたのだから、と言われると一理は認めざるをえないが。
助け船は――両親にとっては――意外なところから出た。
「いいんじゃない。鍵を付けてあげても」
上から目線で妹様がつぶやいたのだ。
「兄貴も年頃だしさー。あたしがドアを開けたときに、その、変なコトしてたら……困るじゃん」
「それは、ノックしろ!!」
打ち合わせ通りの言い草なのに、京介は心の底から突っ込んでしまった。
驚いた桐乃はアクシデントに弱いせいもあって、必要以上にもじもじしている。
そんな二人を見て、母は何かを悟ったように声を挙げる。
「アンタ達、まさか……!」
『!?』
「既にそういう事があったのね!?」
「ちげーよ!」
そう、違うのである。兄は叫び、妹はぷいっと顔をそむけた。親父の目が怖い。マジで怖い。
こうして本人のためというより妹のために、突貫工事で京介の部屋にも鍵がつくことになったのであった。
めでたしめでたし。


「はぁ~親父に一時間も説教されちまったぜ……」
妙にさばさばとした口調で愚痴りながら、京介は妹の部屋に入った。
親に叱られて当然の生活を毎日つづけているせいか、
別件とはいえ叱られたことでかえって罪悪感が和らいだ心境になっている。
同時に、また一つ嘘を重ねてしまったことは、チクチクと彼の良心を責め苛んでいたけれど……。
そんな兄が鍵を掛けて視線を室内に向けると、ベッドの上でえろかわいい部屋着を乱し、
手を股間に持っていっている妹と目が合った。
「え……?」
「……ッ!!?」
京介は混乱しつつも、あわてて目を逸らす。
互いの性器をドアップで見合った仲だから、もはや見られて恥ずかしいことなどあるまい。
そんな考えが勘違いだったことを彼は知った。
「……ノックしてよ」
「すまん!」
散々ノックしろと繰り返してきた自分が、逆にノックを忘れてしまうとは……
京介は恥じ入りつつも言い訳がましく思う。
「こういう時くらいは、鍵を使えばいいじゃねーか……」
妹は兄が男として部屋に来るのを拒まない意思表示として、部屋に鍵を掛けないと一方的に約束していた。
しかし、これはいくらなんでも律義すぎた。
「それは!……その」
京介が横目でみると桐乃は真っ赤になって俯いていた。
着衣は乱れたままで、健康的な白いブラジャーが目に眩しい。
「ぁにきが、来るかもって……想像して、してたの……」
消え入りそうな言葉に、京介は耳を疑った。
しかし、どんなに小さくても妹が発する「あにき」の三音を自分が聴き逃すわけがない。
(マジか……)
妄想していた通りに兄が来てしまう巡り合わせの悪さ(良さ?)が実に桐乃らしかった。
それとも、見つかるくらい毎日していたのか。そして、見つかったらどうなることを――
京介はそこで妄想を打ち切って、変な空気を打破することにした。
ベッドに乗り込み、改心の笑顔をつくって妹に語りかける。嘘から出た誠メッタ刺しとはこのことか。
「桐乃、俺のも見せてやろうか?」
「…………キモ」


口では貶しつつも桐乃は京介がパンツを脱ぐのを止めなかった。
ただただ熱い視線を彼の股間にそそいでいる。
手を要所を隠すのに使っていなければ、顔を覆って指の隙間からしっかり見ていた。そんな様子だ。
兄は兄で理想のオカズが目の前にあることに気付き、リヴァイアサンを猛らせていた。
取りだしたるそれをまずは二度、シュッシュとしごいてみせる。
「……っ!」
妹の目に瞬間的にあらわれた嫌悪に、京介の興奮はもっとも煮えた。
一世一代の物凄いオナニーを見せてやろうと、亀頭が踊るように激しく手を上下させる。
「すごっ……」
それを見た桐乃は、胸と股間を隠す手に、知らず知らずのうちに力を込めていた。
「んくっ」
上気したマル顔が、皿をつつかれたプリンのように震えて見える。
(うおお!あの頬っぺたに押しつけてえ!!)
京介はそう望み、実際にその感触を味わっていることを思い出す。
妹の各所にも視線を走らすたびに、恐ろしい勢いで快感が蘇ってきた。
いつもより距離を取ったことで、桐乃の全身を一望できる。それゆえの愉しみだった。
そして、見た中にはまだ知らない場所、知ってはいけない場所があって――
京介は狂おしく肉棒をしごいた。

そのころには桐乃も淫靡な雰囲気に呑まれていた。
振り子のように動く先端ばかり凝視していたものだから、軽い催眠状態に陥ったのかもしれない。
隠すのに使っていたはずの手を、そのまま自分を慰めるのに用いてしまう。
「ふぁ……っ」
浮遊感を口から漏らして、兄の来室で中断していた行為に没頭していく。
その姿が京介を興奮させ、興奮した京介の動作が、今度は桐乃を興奮させる。
合わせ鏡の恐るべき連鎖反応によって、粘液が奏でるエロティックなカノンが、
たちまちのうちに少女趣味的な部屋を満たした。
ふたりの耳の中で血液が脈打つ音が轟く。
「ハァ……ハァ。兄貴、ここイイっ。イイ――!」
ぐちゅぐちゅと淫らな音を立て桐乃は、第一関節を曲げた指をパンツの隙間から、
スリットに差し入れていた。
「!……うぉっ、桐乃ぉ!!桐乃っ!!」
妹の痴態を前に京介の目は釘付けになってしまう。
視覚と聴覚から得た情報を触覚に変換しようと、脳のエロゲ野がフル稼働する。
事情は桐乃も似たようなもので――もっと発達したそれを持っている分、タチが悪かった。
兄妹は非常に良く訓練されたオタクが二次元にダイブするように、
目前の立体を意識の中で自分自身に組み込んでみせる!
「あああっ来る!来ちゃうぅ!!」
親が起きている時間だからというよりは、いつもの癖で桐乃は絞った悲鳴をあげた。

「ぐっ、俺も゛っ!」
遅れじと兄も射精感をトップギアにぶち込む。
膝歩きで間合いを詰め、一足先にエクスタシーを迎えた妹の腹部に――
「うは、ぁああっ、熱ぃい……」
桐乃は今宵はじめて兄の実体を感じて、うっとりと呻く。
二度目の絶頂が余震のように彼女の身体を駆け巡った。
もっと激しい揺れはこれから訪れるのだから、二つとも予震と捉えた方がいいのかもしれない。


京介が快感の余波と挿入の欲望に狂った罪悪感にさいなまれている間に、
桐乃はお腹に掛かった精液を指ですくい取り、黙々と口に運んでいった。
「……お前、俺の飲むの好きだな」
ちょっと呆れた感じで言われて、妹は気分を害した。
「――ふんっ」
睨まれた兄は大急ぎで頬を膨らます頭を撫でてやった。
「変なティッシュを残すわけにもいかないんもんな。助かるぜ」
むすっと首を縦に振りながら彼女は精液をこくりと呑み込んだ。

ここで兄は話題を変えて、セクハラを続けることにした。優しく問いかける。
「ところで、桐乃が想像した俺は……オナニーしているお前を見つけた後、どうしたんだ?」

ザーメン気管支入った。

撫でる場所が頭から背中に移動する。その手になだめられて機嫌を持ちなおしたらしい。
「そりゃあ……」
妹は真っ赤になりながら、言葉を選ぶ。
「……ルパンダイブじゃん?」
「ルパ……」
想定外の単語がでてきて京介は混乱した。様々な考えが浮かんできて最後に収斂したセリフは、
「桐乃お前……レイプ願望あるだろ」

ザーメン肺胞犯した。

見ている兄さえ余裕を無くすほど悶絶する。それでも、彼女はあまり声を出さなかった。
京介はティッシュを取ってようやっと落ち着いた妹の鼻をちーんさせてやる。
「大丈夫か?」
「ん……」
2枚目のティッシュで涙を拭わせて、桐乃は頷いた。ポツリと零す。
「あたしが想像するの――兄貴だけだし」
今度は京介が顔から火を吹く番だった。
「あああ、当たり前だっ!!」
常軌を逸したアタリマエに桐乃は笑ってしまう。
思わぬところで主導権が転がり込んできたのを幸い、照れ顔で反撃に出た。
「うん。普通、妹って兄でオナニーするものだからね?」
非常識がこの密室にかぎっては常識。狂気の波状攻撃に京介は頭をかきむしる。
「ああもう!お前みたいな妹を持って俺は!……とんだ幸せ者だ!!」

ルパンダイブ


そのダイブは瞬間的に脱ぐのではなく、装着しているところが本家とは違っていた。
押し倒された桐乃は不安と期待の入り混じった目で、兄の顔を見上げる。
その顔に一度しっかりとキスをして身を起こすと、京介は妹に下をみるようにうながした。
「……ッ」
純潔に突きつけられた凶器に目を見開き、息を震わせる桐乃。

京介自身はその恥丘にむけて、ゆっくりと胴体着陸を――
『つあッ!!!』
接触の瞬間、二人の間に甘いパルスが通電し、兄妹はそろって歓喜の悲鳴をあげた。
それから京介は禁断のタッチアンドゴーを何度か繰り返す。
「ああっ、あああああンッ!」
肉柱が全長を使って、滑水面を何度も擦っていく。
ついには先端が肉芽を押しつぶし、
「きゃふッ!?」
反応の良さに手ごたえを覚えた京介は、そこに集中攻撃をはじめた。
「やっ、だめ……そこばっか、ぐりぐり……しちゃっ!らめ!!」
非弾性衝突が起こるたびに桐乃は悩ましげな表情と声を披露して、兄を愉しませた。
妹の美貌はどんな角度からどんな表情で何度見ても飽きない。
感覚的には接触と同じ回数だけ射精しているはずなのに、まだ勃起が維持されていることが彼には不思議だった。
妹も似た感覚で――こちらは実際に何度かイっていた――声がどんどん大きく高くなっていく。
流石にマズいと判断した兄は、妹の身体に再度覆いかぶさり、自らの口で嬌声の出口を塞いだ。
その体勢のまま、ピンポイント攻撃を放棄して、乱雑に腰を振りはじめる。
「ん゛っ!ぐ……う゛ッ!!」
反射的に生じた悲鳴も動きも京介はすべて身体の下に封じ込めた。
愛する女性を屈服させている実感に彼は雄たけびをあげそうになる。
それすら二人の間に圧縮して、性器同士の摩擦熱に変換していった。

桐乃は半分パニックに囚われ、我が身を組み敷く兄の身体という現実だけにすがった。
すがることで、溺れていた。必死になって京介の腰に華奢な腕をまわす。
そして、いまにも事故が起こって最後の一線を超えてしまいそうな状況が兄妹の興奮に拍車をかけた。
ペニスがクリストスを軸に円を描くように動き、最大の圧力を中心にかけた瞬間、

二人は上の口で繋がり合って果てた。


けだるくベッドに身体を投げ出し、横に抱きあう余韻の時間。
しばらくして彼女は囁いた。
「どうして……?」
それだけで、挿入しなかったワケを尋ねられていることを、彼は理解した。
頭をガシガシしたくなるが、それもだるい。感覚的なものを一度に説明できる言葉を探した。
「なんというか……けじめみたいなもんだな」
「けじめ……」
神託を受ける巫女のように真剣なまなざしで桐乃は繰り返した。
「やっぱり家にいる間はできねえよ……」
「…………じゃ、じゃあ、またラブホ行く?」
「そうじゃなくて……行くけど……自立もできない内か――

突如!

ドアをノックする音が室内に響いた!!
兄妹は探信音を浴びたUボートクルーのように目を白黒させ、あわてふためく。
「桐乃ー。京介知らない?コンビニまでおつかい頼みたいんだけど~(ガチャ)あら?鍵が掛かっているわ」
(うわー!うわー!うわー!)
(う…うろたえるんじゃあないッ!クンカーはうろたえないッ)

どたた、ばさばさ、ぎしぎしあんあん

内部でひととおりの擬音が立った後に、妹部屋のドアは開かれた。
顔に汗を張りつかせながら桐乃が応対する。
「し、知らないにょ?」
「そぉ?」
いぶかしげに小首をかしげた母は視界の端に、極彩色に染まったバベルの塔を発見してしまった。
硬直した母に、娘は追って聞く。
「あ、あたしが行ってこよっか?」
「い、いや、いいわ……アンタは勉強大変だろうし」
むしろ母の方が会話を切りあげたがっていた。
訓練された主婦として、息子の現場をおさえたなら、ひそみ笑いのひとつもできるのだが、
優秀な娘のゴッドハンドさえ召喚しかねない暗黒行為に遭遇したと感じれば話は別だ。
「どこ行ったのかしらね、あの子――いっつも暇そうにしているのに」
あくまでもエロゲタワーには触れず、きびすを返そうとした。
しかし、妹からは逃げられない。所定の戦果をあげたのに、彼女は母を呼びとめる。
「あ、あッ!兄貴もがんばっていると思う!!」
そんなことを叫んでしまっていた。母は少し驚いたような顔をしてから、慈愛のある笑みを浮かべた。
「そうね……。買い物は私が行ってくるわ」
タンタンタンッとリズミカルにスリッパが階段を打つ音。それが小さくなって行くのを確認して桐乃はドアを閉めた。
鍵を掛け、その場にへたり込む。心臓に悪いなんてもんじゃない。いっそ一階と二階の間に鍵がほしかった。
妹は呼吸を整えてから秘密の収納スペースをこじ開ける。
「よ!親愛なる兄貴をコレクションに加えた気分はどうだ?」
「はーーっ。バカ……」
押し入れの中から緊張感なく手を挙げる兄に、力なく悪態をつく。
すぐに目を伏せたせいで彼女は、兄の手が小刻みに震えていることに気付かなかった。


肌を往復する戦慄の伝播を抑えるため、京介は無駄に大きな箱を手に取る。
まったくエロゲー様々だった。
桐乃のいかがわしい趣味を薄々知っている母親は、その気配を感じて踏み込むのを止めた。
娘たちが遥かにいかがわしく危険なことをしていたとも知らず、違和感に一人合点を与えて。
そして、兄は母が部屋に踏み込んできた場合に備え、エロゲーが収納されていた空間に
タヌキ型ロボットよろしく潜んだのだ。

こんな誤魔化しが、いつまで続くことやら……。
もし母ではなく父が来襲したら、アクシデントに弱い桐乃に任せるには及ばず、
鍵を掛けて一緒にエロゲーをやっていたと開き直るしかなかっただろう。
先行きへの不安と、親をあざむく罪悪感に、京介は陰鬱な溜息を吐いた(その横顔を妹は惚れ惚れと見つめていた)。
今の生活は良心にできた塞がらない傷口から、血を垂れ流しつづけているようなものだ。
酷く消耗する。
この感覚を分かってくれるのは同じ境遇の妹だけなのではないか。
そう思って同意を求めた兄だが、意外にもかぶりを振られてしまった。
「そうか……桐乃はずっと前から家族に趣味を隠していたもんな」
寂しげな声に、妹は真剣な面持ちで答えた。
「それもあるけど……あたしは、ずっと自分の気持ちに嘘をついていたから……」

好きな人に好きと言える今が幸せ。

そう告げて、高坂京介の恋人は微笑んだ。





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最終更新:2010年10月28日 09:15
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