京介x桐乃 秋葉原ツアー



京介x桐乃 秋葉原ツアー
桐乃が帰国してしばらく経ち、落ち着いた頃
「明日 アキバに行くから」
いつものごとく、言い出した。まあ沙織たちとはこの前あったばかりだが。
秋葉原で会うのは久し振りだし、皆で秋葉原ツアーも楽しいだろう。
「わかった、で何時に待ち合わせだ?」
「へっ?」
「いや、だから沙織や黒猫も来るんだろ?何時に待ち合わせしたんだ」
「あいつらは呼んで無いけど。」
「じゃあ誰と行くんだ。まさかあやせと行くわけじゃないよな」
「はぁ? ばかじゃん。まだアキバにあやせを誘えるわかないじゃん。」
「だよな」
というか "まだ"って あやせもだんだん引きずり込まれているのか?
「行くのは、あんたとあたしだけ」
二人だけ? 何で?
「前に言ったでしょ、留学中に発売されたゲームを買いに行くって。売れ切れてる
店も多いだろうから、たくさん店まわるし あいつらに付き合わせるのは悪いかなって」
おいおい俺には悪くないのかよ。沙織たち居ないんじゃ、こいつと二人で行っても
楽しくないだろ
「それって俺も行かなきゃならんの?」
「当たり前でしょ、あたしが店頭で18禁のエロゲー買えるわけないじゃん」
やっぱエロゲーかよ、妹と二人でエロゲー買いに行くってどんなシチュエーションよ
「キモ あんた今 変な想像したでしょ。あくまでも あんたは買い出しと荷物持ち
だかんね。18歳になったし堂々とエロゲー買えるっしょ」

秋葉原に到着して、すでに数件まわって
「おいおい、まだ買うのかよー」
すでに手提げ袋 二つがパンパンんな状態だ。せめてパッケージが小さければ
もっと楽なのに
「残り1本どうしても欲しいのがあるの」
「それって、回ったどの店にも無かったぞ」
「もう残ってないのかなぁ」
桐乃が悲しそうな顔をする。おいおいエロゲー見つからないからって落ち込むなよ。
「仕方ねえな、こうなったらシラミつぶしで行くか」
「えっ」
何で驚くんだよ、俺がエロゲー探しに本気になるってのが意外か?
「いったん荷物コインロッカーに預けてから回ろう。そっちの方が早く回れる」

10店以上回った後
「この店ならあるかも」
桐乃が指を差したのは、急な狭苦しい階段だった。この上ってことか
「よしわかった、で何階だ?」
「4階」
桐乃を外に待たせて、俺は一人階段を昇った。
「2階はBLかよ」
ふといやな予感がしたが、気のせいだと思い登り続けた。
4階の店は思いのほか、混雑していて探すのに手間取ってしまったが運よくお目当ての
ゲームを見つけられた。
「これでミッションコンプリートだな」
この後に起きる悲劇も知らず、俺はこんなことつぶやいていた。

階段を降りる途中、2階の店から出てくる男と軽くぶつかった。
『あっ すみません』
相手と俺は同時に謝りながら、お互い相手の顔を見て驚いた。
そこにはよく知った顔、そう腐女子の妹を持つ俺の級友 赤城がいた。
『何で、お前が』
またもや、ハモってしまった。
考えれば、聞かなくてもわかるんだが。こいつと俺は秋葉での深夜販売に並んだ仲だし
ただし俺はエロゲー、こいつはホモゲーだ。
俺の方がましだな。フッ 何と低レベルの争いだろうか 悲しくなってくるぜ。
「まあ、出てきた店見れば、聞かなくてもわかるか」
「上の階だってエロゲーしかねぇだろ」
「まあそういうことだな」
「そういうことだ」
こいつとは、なぜか言葉が無くても伝わる。境遇が似ているからか

「そろそろ降りようぜ」
赤城が後ろを見ながら急かすので、振り返ると 降りてくる人影が見えた
「そうだな」
階段を降りはじめて思いだした、外に桐乃を待たしていることに
このまま降りたらまずい。桐乃は当然エロゲーを買えたか、俺に確認しにくるはず
それを聞けば同じ境遇の赤城なら桐乃がエロゲー買ってるのに気づくかもしれない。
桐乃が俺の妹とは、ばれなくても俺の知り合いの女の子がエロゲー買ってるなんてのが
赤城にばれるのは防ぎたい。しかし どうやって・・・
後ろも詰まってるし、もうすぐ外だ、うまくいくか分からんが
「俺 高坂京介は親友の赤城耕平とこんなとこで偶然出会うなんて超 うれしいぜ」
大声で叫んだ。
「おいおい、高坂 恥ずかしいな 何でかい声で叫んでんだよ」
うるせぇ、こっちだって恥ずかしよ。
気づいてくれよ桐乃 ここに俺の知り合いがいる 話しかけるなよ。

階段を降りると、談笑してる女の子が二人そして
「お兄ちゃん」「あれ、高坂せんぱい」が同時に聞こえた
「はっ!?」
瀬菜が居たことにも驚いたが、何より桐乃の口から"お兄ちゃん"だと・・・ありえねぇ
桐乃も瀬菜が俺を知っていたことに驚いている。何でお前ら談笑してたんだよ。
俺の恥ずかしい叫びも届かなかったようだし、だいたい二人は知り合いだったのか?
状況が全く分からん。どうする?
と瀬菜が
「えっ、もしかして雑誌に書いてあった、桐乃ちゃんの大好きなお兄ちゃんって
高坂せんぱいなの?」
雑誌に書いてあった、何それ? こいつなんて事書いてんだよ、俺たちはそんなん
じゃねぇだろ
そう言えば 以前 桐乃が載ってる雑誌見せてもらった時、妹キャラで載ってたな
さっきのお兄ちゃんといい、もしかしてそう言う設定なのか、とにかくここは
話し合わせるしかねえ。

桐乃は動揺して黙ったままだ、ああやっぱり緊急時はダメだなコイツ。
しょうがない。桐乃の隣に立ち、桐乃の肩を抱く。びっくりして桐乃がこっちを
向くが 構わず
「そうだよ、俺達 すごく仲が良いから」
「そうなんですか。仲が良くて、うらやましいな」
いやいや これは演技だから。お前んとこの方がずっと仲が良いだろ
「俺たちだって負けていないだろ」
と いつの間にか、降りてきた赤城が瀬菜の隣に立ち瀬菜の肩を抱こうとすると
瀬菜が軽く肘鉄を赤城に食らわせ
「恥ずかしいから、やめてよね。お兄ちゃん」
フッ バカだな赤城。待てよ・・・俺って今 その恥ずかし事してんのか
桐乃を見ると、耳まで真っ赤にしてうつむいていている。
こいつ無茶苦茶 怒ってんのか? しょうがねぇだろ話の流れでこうなったんだから
とりあえず桐乃の耳元で 物を確保できたことをささやく。怒りも少しはおさまるだろう
「本当に仲が良いですね」
ニヤニヤしながら、瀬菜が言ってくる。だから違うって。
「てっきり、高坂せんぱいはお兄ちゃんと・・・と思ってたのに。さっきもなんか
叫んでたし」
「それは、ねぇから」
ああー、一番聞かれたくないやつに聞かれたよ。赤城もそんなこと言われてヘラヘラ
してんな、お前の妹だろうが 注意しろよ。
「そうだ、高坂せんぱい、桐乃ちゃん せっかくだからどこかでゆっくりお茶しません」
状況がわからないまま、こいつらといるのは危険だ。
「いや、俺たち用があるから・・・」
「少しくらいいいじゃないですか? 桐乃ちゃんもいいよね。」
桐乃もなんか言えよって、おいおい 顔も赤いし まだこいつ動揺してんのか?

すると瀬菜は俺のそばまで来て桐乃に聞こえない様に
「先輩がエロゲー買ってたの桐乃ちゃんにばらしちゃいますよ」
はぁー何言ってんのこいつ。ばらすとかじゃなくて、これは桐乃のだから。
だが、この一言で状況がだいたいわかった
どうやら
瀬菜は桐乃が載ってる雑誌を知っていて、偶然店頭で桐乃と出くわした
桐乃は外ヅラいいから、瀬菜に対して雑誌の設定通り兄妹仲の良い可愛い妹を
演じようとしたら相手は俺のよく知る後輩だったと
で俺はそんな仲の良い妹をエロゲー買うのに付き合わせる兄貴
これじゃまるで俺 変態じゃねぇかよ
だからと言って、この設定をぶち壊すわけにもいかず
「分かった、桐乃には黙っててくれ」
小声で瀬菜に伝える。
「じゃ行きましょう」と瀬菜があるきだす、赤城が後に続く
桐乃には
「バレは防げたと思うけど、しばらくその可愛い妹を演じててくれ」
「わかった」
さすがに肩を抱きながら歩くのは恥ずかしいので、肩から手を離すと
なんと桐乃から腕を組んできた。驚いて桐乃を見ると、俺を見て小声で
「演技よ!演技」
こいつも設定な忠実なやつだな。

歩きながら、桐乃が不審そうな顔して小声で聞いてくる
「ねぇ、さっき あの娘に何ささやかれてたの?」
「ああ、エロゲー買ってたの妹にばらすと脅された」
「えっ」
さらにクスクス笑い出した。
機嫌悪くなさそうだな。今のうちに情報交換。桐乃に赤城兄妹の情報伝える
兄シスコン、妹 外ヅラは委員長,実はホモゲー大好き腐女子,黒猫の友達,ゲーム一緒に作った
「うん大丈夫そう。あたしのファンで偶然出会って驚いてた、兄貴の妹なのも知らなかったみたい」
そんなやり取りをしていると振り返った瀬菜から
「ラブラブだねぇ、仲の良い兄妹というより恋人同士みたい」
いつもなら完全否定するところだが、今日は笑ってごますしかない。
桐乃は俺の方にさらに体を寄せて
「はい、大好きなお兄ちゃんだから」
おいおい お前の演技あからさま過ぎるだろ・・・

ファーストフード店に入り4人でテーブルを囲んだ。
瀬菜は桐乃にファッションの話を しはじめた、桐乃も饒舌に語りだす
腐女子系の話始めたらどうしようかと思ったが、そっちの話なら大丈夫だな。
「高坂 お前 妹と喧嘩してるような事言ってたくせに、すごく仲良いじゃねぇか」
そうそう、こいつには桐乃と仲悪かったことばれてるんだよな
「まあ、色々あったのさ」
「そうか 色々あったんだな」
って、これで納得するのか さすがシスコン兄貴

30分ほど談笑して店を出た。
赤城兄妹は まだ買い物の途中だったらしく、まだ店を回るというのでここで別れた。
「ふー、とりあえず ばれなくて良かったぜ。さあ、どうするか。時間まだ早いけど帰るか?」
「買い物は済んだけど、せっかく来たんだから他の店も回りたい」
「ああ、そうだな」
「じゃあ、あの店から」
と言いながら、桐乃は自然に腕を組んできた。おいおい
「赤城兄妹はもういないから、もう演技しなくてもいいんだぞ」
そう言うと、桐乃は少し顔を赤くしながら
「あ、あっちもまだ秋葉にいるみたいだし、出くわすかも知れないじゃん」

その後 桐乃の言われるがままに、いろんな店を連れまわされた。
いつもは四人で回る所をこいつと二人で回って面白いか? とも思ったが。
桐乃が、演技なんだろうけど すごくうれしそうにしているので、なんだか
俺もすごく楽しかった。本当に仲の良い兄妹ならいつもこんな風に楽めるんだろうな。
しかし、周りの視線がいつも以上に厳しかったぜ
とある店で桐乃が からかい気分で『お兄ちゃん(ハート)』と言った瞬間、店内にいた全員が
俺達に注目し、その後 俺への突き刺さる視線が痛い事、痛い事

結局 仲の良い兄妹ごっこは地元の駅に着くまで続いた。逆にいえば、仲の良い
兄妹ごっこは地元の駅で終わった。
改札を出たところで桐乃が
「あれ、荷物は?」
「荷物? ゲームとその後に買ったフィギュア以外に何かあったっけ?」
そう言えば何か忘れているような
「最初に買った分」
「あー、コインロッカーに入れて取ってくるの忘れてたー」
「バカー 今すぐ、取ってこい」
いきなり罵倒された、さっきまでの仲の良い兄妹はどこに。
「今からか、明日じゃダメか」
「今すぐ って言ってんでしょ」

俺は一人、秋葉原まで往復するはめになった。門限をオーバーし夕食も抜きだ。
まあしょうがねぇか、俺がコインロッカーに忘れたのが原因だし。
カップ麺も買ってきたし、親父たちが寝静まってからこっそり食おう。
とりあえず、とってきたゲームを渡すため。桐乃の部屋を訪ねた。
桐乃はゲームを受け取ると、俺を部屋に招き入れた。
てっきり罵倒の続きが待っているかと思ったが
「さっきは、ごめんなさい。今日はあたしの買い物に付き合ってくれたのに」
どうしたんだ、こいつは
「いや、忘れたのは俺だし 気にしてねぇよ」
「ほんとに?」
「ああ本当だ、信じろよ」
「よかった」
可愛らしい笑顔にちょっとドキっとしてしまった。
「最後に買ったゲームのインストール終わってるんだけど、一緒にやらない」
カップ麺が食える時間というか親父たちが寝静まる時間までまだあるな
「じゃあ、少しだけな」
桐乃はうれしそうにゲームをスタートさせた。そして桐乃が
「次も、一緒に行こうね」
ゲームの効果音と重なってよく聞き取れなかったが、たぶんそう言ったと思う
桐乃が顔を赤らめて、こっちをわざと見ない様にしているのを見ると
聞き返すのは野暮だと思い
「ああ、一緒にな」
と答えておいた

翌日、部室に顔を出すと黒猫が
「先輩 昨日はずいぶんとお楽しみだったようね。」
「なんだよ、それ。まるで俺がいかがわしいことしてたみたいじゃねぇか」
「先輩が妹とずいぶんと仲良さそうに秋葉原めぐりしていたようだけど。」
「瀬菜に聞いたのか。あれは桐乃の読者モデル用の演技に付き合っただけで・・・」
「二人だけで秋葉原に」
「回る店が多くて、お前らに迷惑かなって・・・」
「仲良く腕まで組んで」
演技だと反論しようと思ったが、その後の二人だけの時も組んでたんだよな。
「まあいいわ。じゃあ、私のお願いも聞いてくれるかしら。コスプレの材料を
買いに行くのだけどちょっと荷物が多くなりそうなの、買い物に付き合って
くれるわよね、先輩」
「お、おう もちろんだ」

 -----終わり-----





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最終更新:2010年12月12日 13:23
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