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「ちょっと待ちなさいよ!」

階段を登ろうとしていた俺はその妹の威圧的な言葉に振り返った。
階段の下にいる、腕を組み、踏ん反りかえるかのような俺の妹の「高坂桐乃」だ
「なんだよ……」
俺「高坂京介」は面倒臭いとばかりに振り返る
「え~っとね……、その~……」
なんだコイツは、自分から言ってきたんだろう…
「あのね……」
「何にもねぇなら行くぞ」
そう言って俺はまた階段を上がる
「いっ…、いいからあたしの部屋まで来て!」
階段を一段上がらないうちに桐乃の声が響く。先に二階に上がろうとしているのに
その言葉は変だったがなんとなく普通じゃねぇなとは思った。
「わかったよ、行きゃーいいんだろ、行きゃーよ…」
俺が階段を歩き出すと桐乃は少し距離を置いて登ってくる。それは昔のように俺を「生理的」に
嫌っての距離ではなく、何か別の意味の距離だと思った。
まぁ、もう俺たちは「普通の兄妹」じゃないからな

桐乃の部屋に入る、俺の脇を桐乃が通り越していき、自分のベットの下にある座布団を俺の前に出した
以前は不躾に俺に投げつけていた事を思うと大した進歩だと思うよ、俺は…
「座って……」
桐乃にそう言われて俺は座布団を床に置いてゆっくりと腰を降ろした。
「……」
前を視線を移すと桐乃は正座をして座っている、ちょっと異常な光景に思えた
高坂家では年賀での親戚の集まりなんかだと家の親父が躾に厳しいように正座をする。
俺はあの足にじんじん来る痺れは正直苦手だけどあの空気がピンっとするようなのは嫌いではない
ただ今はそんな事はどうでも良かった……
「でなんだよ?…、話があるんだろ?」
別に正座の事を問いただすわけでもなく俺は桐乃に尋ねる。
「あの……、その…」
相変わらず桐乃は何かぎこちなくしどろもどろだ、時たまあるんだよね、こいうのこういう少女みてえな
一面がさ、別にいまさらなんとも思うわないけどな。
「また例の人生相談ってやつか?俺にできる事なら…」
「………来ないの………」
俺の言葉を遮るというよりかはやっと吐き出した様な桐乃の小さな声だった。
「今、なんて言った?」
「だから…、来ないの…」
数秒は時間は立っていたと思う。今こいつの口から出たのは「来ない」という日本語だ
「来ない」ってのはどういう意味だ?あれか?学研のおばちゃんか?あれ良く家で待っていたよな!
付録とか楽しみでさ、すげー楽しみに待っていたのは覚えているし。あ、後はあれか!UFOとかさ!結構
念じれば来るとかいう話だしさ!ただ俺の妹はもうそんなガキでもないし、そんなUFOを信じる奴でもない
俺の脳が今、少なからず今働いているとすればもっとしっくり来る単語があるはずだ…
「……生理……」
桐乃の泣きそうなというか苦しそうな顔をしながら放った言葉。俺の脳が勢い良く○マークを出しやがった
そうだよな、その単語が今、この状況の中で一番しっくりくわるわ!見事なまで合致しやがった
「…どうしようか?」
たどたどしい台詞を言った桐乃の言葉に俺は秋葉原で赤木がラブドールのパンフを妹の瀬名に見つかった時の
事を思い出していた、「すっげーくだらなねぇな」とか「修羅場だな」なんて赤城の事馬鹿にしてたけどさ!
今この場を考えればもうほとんどエデンなんじゃないかと思うな、本当に……
「やっぱり俺なの?…」
5分の3ぐらい抜け出ていた魂を元に戻して桐乃に質問する
「……あんたしかいない…、というかあんたとしかH…して…いないし…」
少し考えてから桐乃はしっかりとした口調で答えた

俺の頭の中には前にお願いされた「人生相談」ってのが懐かしく思えた
というか前の人生相談っていつだったけ?それさえも判らないぐらい混乱をしていた。
知っているか?人間って本当に困るとほっぺを自然とつねるんだぜ!……


俺の妹がこんなに可愛いわけがない





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最終更新:2010年11月17日 02:29
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