2スレ目131

その一言を聞いた瞬間、私は氷付いた。

「な、なんですか……それ……?」
「あれ知らなかったんだ?高坂さんと親友の新垣さんなら知ってるかなと思ったんだけど」
「――――ッ!?」

朝、私が学校に登校してくると、普段は殆ど喋ったこともない男子、見肉井 陽士がいきなり話しかけてきた。
眼鏡で、しかも小太りで暗そうな印象からクラスの中、特に女子からは気持ち悪がられている男子だ。

「そ、そんなアニメ……聞いたことありません」
「あ、そう。メルル可愛いのになぁ。あ、ごめんね」
「…………いえ」

見肉井が自分の席に戻る。その後姿を見ながら、私は胸中で密かに毒づいた。

(どうして、何で知ってるの……?)

相変わらず桐乃は学校内ではオタクであることを隠している。ならば何故、桐乃がオタクな事を見肉井は知っているのか?
と、思考がぐるぐるとループしている間に桐乃が登校してくる。

「おはよう、あやせ」
「う、うん。おはよう」
「どしたの?元気ないんじゃない?」
「え?そ、そんなことないよ。大丈夫」

鋭い桐乃の質問に内心でドキドキしながら、私は一瞬だけ見肉井の方に視線を向けた。
が、見肉井に別段変わった様子は見えない。顔を下に向けて読書をしている。桐乃にさっきの話をする気はなさそうに思えた。
とりあえず私は安心して、自分の席に着いた。


そのとき、見肉井が確かに嗤っていたことに、私は気付かなかった。


ようやく放課後になる。正直、今日の授業はあまり頭に入らなかった。朝の事が気になって集中出来なかったのだ。
部活に行くのか、見肉井は鞄を手にして教室から出ようとしていた。私は桐乃や友人に挨拶を済ませると、見肉井の後を追った。
と、言っても学内であまり堂々と話すのは気が引けた。桐乃の耳に入れば不信に思うだろう。しかし、やらなければいけない。
もし、見肉井が桐乃の事をばらしてしまえば、かつて自分がしたように桐乃は傷付くことになる。あのときはお兄さんの力でなんとか
仲直り出来たが、それは私だからであって、他人から見た桐乃の印象が大きく損なわれるのは間違いないだろう。

(それだけは……避けなきゃ!)

私はあくまで気付かれないように、見肉井から適度に距離を取って後を追った。

「……第2科学室……?」

正確には第2科学準備室だ。学校内でもっとも端に位置するこの場所は人通りが殆どない。
そもそも、現在殆ど使われていないのだ。そしてこの準備室には危険な薬品が保管されているため、鍵が掛かってるはずだった。
その鍵を見肉井が開けているのを確認し、ここなら他に誰もいないだろうと、私は意を決して中に入った。

「おやぁ……新垣さん、どうかしたの?」

中に入ると意外とキチンと整理されている。もっと雑多な感じを予想していただけに少し驚いた。
その所為だろうか部屋を広く感じる。静かで人もこない。快適そうだ。ただ咽かえるような薬品の臭いだけが鼻に付く。


「み、見肉井君は……部活ですか?」
「そうそう。と言っても他の部員は幽霊部員なんだけどね。フヒヒ」

科学の本だろうか……萌える元素記号と書かれた本を閉じて見肉井が椅子ごと振り向いた。
もっとも、私はこんなことを話に来たのではない。私は単刀直入に切り出した。

「あの、朝の事です。ど、どうして見肉井君は桐乃がそうだって知ってるんですか……?」
「ん?ン?んー?なんのことかなぁ?」
「桐乃は学校内ではそんなそぶりは全然見せてません。それなのに何故、桐乃がアニメを見てるって知ってたんですか?」
「なんとなく……かな」
「とぼけないでくださいっ!」

思わず私は声を荒げてしまう。しかし、これは私にとっては大切で譲れない問題なのだ。もう親友の泣いてる姿を見るのは絶対に嫌だったから。

「そうは言っても、なんとなくだしなぁ……」
「そんな!だって桐乃はそんなそぶりは一度も――ッ」

と、そこで初めて見肉井が顔を歪ませて嗤った。それは実に醜い笑顔だった。

「だって新垣さん。君はこれまで僕の事を気持ち悪いオタクだと思ってきたでしょう?そんなそぶりも見せてないのに」
「なっ……!?」

思いがけない発言に驚愕する。言われてみればその通りだった。見肉井は別に学校内でアニメの話をしているわけでもなければ、
エロっぽい漫画だのを読んでるわけでもなかった。にも関わらず自分達はこれまで見肉井のことをキモイオタクだと思っていたのだ。

「分かるんですよぉ。オタクは。理屈じゃなくても分かるんです。臭いがするんですよぉ。臭い臭い。貴方も僕がオタクだって疑わなかったでしょう?」
「そ、そんなこと……」
「嘘は駄目ですよぉ。いえいえ確かに僕はオタクですから新垣さんは正しい。貴方達が嫌悪しているオタクです。
 でも、それがどうかしましたかぁ? 親友の高坂さんも貴方が大ッ嫌いなオタクってだけじゃないですかぁ?」

じわじわと見肉井の言葉が心を侵食していく。何故だろう聞いてだけで心を縛るようなそんな声がゆっくり私に絡み付いていく。

「そんなっ! 桐乃は違う……」
「何が違うんですかぁ?いったい何処が違うんですか?高坂さんもオタク。僕もオタク。ただそれだけでしょう?」

言われてみればその通りだ。けれど、とても桐乃と目の前のこの見肉井が同一とは思えない。
桐乃の友達だという、2人のオタク友達や桐乃のお兄さんをこんな風に思ったことはない。なのにこの見肉井に感じる――。

(この嫌悪感は……なんなの……?)

その正体が掴めない。けれど生理的に頭が、身体が受け付けない。
が、いまはそれより優先することがある。私はいよいよ本題を切り出した。

「あ、あの、お願いがあります。桐乃がオタクだってことは他の人には黙ってて欲しいんです」
「んー? そんなことですか、分かりました」
「あ、ありがとう!」
「なーんて、嘘m9(^Д^)プギャーーーッ ダメダメ駄目駄目ダメダメ駄目駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目ダメ駄目っ!!」
「――ッ!? どうしてなんですか!?」

見肉井はまるでわかってないというような嘲りの表情で言ってきた。

「なんで、新垣さんに僕が話す内容まで決められなくちゃならないんですかぁ?貴方何様なんですかぁ?」
「で、でもそれくらい……聞いてくれても!!」
「傲慢傲慢傲慢傲慢!!醜い見肉井醜い見肉井!!様姿は綺麗なれど、心のなんと、うす汚く醜いことか」
「どーしてですかっ!?」
「それが分からないから醜いんですよぉ」

実際には私にも理解出来ていた。当たり前だが見肉井は別に何もしていない。むしろ責められるべきは、迂闊だった桐乃であって、
相手の話す内容まで干渉しようなどとというのはおこがましい。ただ、この見肉井の言う事を素直に受け入れられないのもまた事実だった。



「ど、どーすればいいんです?どうすれば桐乃の事を黙っててくれるんです?」
「不思議なことを言いますねぇ。どうもしなくても僕は好きに好きな事を話します。気持ち悪いオタクでもそれくらいの権利はありますからねぇ」
「お願いします!それだけは止めてください!私がなんでもしますから!!」

いま思うとそれは禁断の台詞だったのかもしれない。いや、むしろ全てはその台詞を私から引き出すためだけの――。

「と、言っても金銭なんて要求したら犯罪ですし、それにそんなもの欲しくもないですし。そもそも、新垣さんに何が出来るんですかぁ?」
「それは……だけど……」

このときの私は頭がいっぱいで、そんなことを考えるような余裕なんてなかった。むしろ、そう追い込まれたのかもしれない。
何故だろう状況が悪いようにしか進展しない。桐乃のお兄さんもこんな感じだったのだろうか?

いまになって、ようやく初めて私は自分がどれだけ人を傷つけていたのか知った。何故桐乃のお兄さんがあんなに必死だったのか?
自分達のただの偏見で、どれだけの人が傷付いて来たのか。その相手は何もしていない。ただ好きなものがあるだけで。
にも関わらず、ただ自分達が受け付けないという理由だけで、馬鹿にし、嘲り、嘲笑する。
それはきっと、誰にも許されない権利だ。誰も踏みにじってはいけない権利だ。
幼稚だった。愚かだった。そして何より傲慢だった。その自責の念が、私の心を逃げ場のない袋小路へ追い込んでいく。

(お兄さんなら、上手く切り抜けられたんでしょうか……?)

だが、答えてくれる高坂京介は此処にはいない。代わりに答えたのは見肉井だった。

「あぁ、そうだ。なら、新垣さんが僕のモノを慰めてくれたら、僕は絶対に口蓋しません。誓っても良い」
「……えっ?」

その言葉に一瞬、救いを得る。それほど私は追い込まれていた。が、一体ナニを慰めるというのだろう?
カチャカチャと、見肉井が急にベルトを外し始める。

「な、な、なにやってるんですかっ!?」
「おやぁ、慰めてくれるんでしょう?」
「何を……ってまさかっ!?」
「さすがぁ、新垣さんは賢いですねぇ」

そのときに既に見肉井はズボンを脱いでパンツ姿になっていた。この姿を見れば見肉井が何をさせようとしているのかくらい誰でも分かるだろう。
が、見肉井はパンツを脱ごうとはしなかった。そのまま再び椅子に座る。

「でもねぇ、勘違いしないでください新垣さん。別に僕にとっては全てどうでもいいんですよ。貴方にこんなことなんてさせたくありません。
 後から無理矢理させられたなんて言われても困るだけですしね。それでも、あなたがもし、自主的に自分でやるというなら――」

「…………」

「貴方が自分で私のパンツを下げて、その誠意を見せてください」

「――――ック!!」

見肉井は何処までも残酷だった。そして狡猾だった。私に自分でさせることで私から逃げ道を奪うつもりなのだ。
私からするまで、きっとこの男は自分からは絶対に何もしないだろう。でも、こんなこと出来るはずがない――!!

「さぁて、僕もこのままでいても寒いだけですし、間抜けな格好なんで時間を決めましょう。10秒以内に決めてください。では、10」

「そんなっ……!!」

今度は考える時間さえも奪っていく。答えなどでないというのにカウントだけは非情にも過ぎていく。

「3、2、1。ふむ、それでは止めましょうかぁ。当たり前です。新垣さんもこんな望まない事はしない方がしない方がいい」

「ま、待って!!…………やります」

か細い声で、私はたったそれだけを搾り出した。


膝まずいて見肉井のパンツに手を掛ける。そしてゆっくりと降ろしていく。

「――ッ!! く、臭い」

鼻の奥を蹂躙し尽すような臭いが辺りに充満する。私は思わずそのグロテスクなモノに顔をしかめずにはいられなかった。
幼い頃、お風呂で父の男性器を見た以来だ。しかし、その赤黒く生々しいペニスは当時の記憶のモノとまるで違う。

「あの……これを、どうすれば……」
「おやおやぁ、遊んでそうに見えてウブなんですねぇ。可哀想ですし、貴方も手っ取り早く終らせたいでしょう。
 いいですか。そっと手で握って、口に咥えるんです。そしたらそれを吸ったり刺激したりしてくれればいい」

見肉井の言葉は優しいようでいて、残酷だった。
恐る恐る触ると、ペニスが脈動していて熱かった。何度か口に運ぼうと逡巡するも、中々実行出来ない。
と、いきなり鼻を摘まれた。当然、私は酸素を求めて口を開けてしまう。その瞬間――、

「おぶっ、あぶっ! んあぁ……、おぇ、うぶっ! んちゅっ……気持ち悪い、いやぁ!」

勢いよく口の中に捻じ込まれる。一気に喉の奥まで突かれて吐きそうになる。
涎で解けた恥垢が舌先にネトネト絡み付いた。

(汚い……!!臭い……!!もういやっ!!)

私は早く終らそうと、一生懸命に舌を使い始めた。

「あむ、んちゅ! ちゅ、ちゅびびっ! んふぅ、ふぅふぅ! ちゅぱ、ちゅばっ! んふぅ、んふぅ!」

唾液に濡れた舌の上を先端が滑り、上あごとの間で挟まって止まる。
犬歯に茎部がかすめる。痛くないのだろうかと思ったが、見上げて表情を確認するとそんなことはないようだ。

「じゅっ、ぴちゃっ、れるぅ……れら、ちゅぷ、ん、んん~……んふぅ、ふぅっ、はぁ」

自分の舌の押し付ける強さ、動かす速度ともに上昇していくのが分かる。まる摂りつかれたように、
唇で竿を包み込み頭を前後に動かし始める。

「んぷっ、ちゅっ、んぽっ、んんん~……んふっ、ふっ、んふあっ、むぅ、硬い、硬くなってる……はむむぅ」

最初に咥えたときより、遥かに硬くなっている肉棒に軽い衝撃を覚えた。それが私の口内を掻き回し、
卑猥な音を立てる。羞恥、恥辱、いまはただ感情を消して、目の前の行為に没頭する。

「フヒヒ。初めてにしてはぁ、なかなか上手いですねぇ。ひょっとしたら資質があるのかもしれませんよぉ」
「んむっ、んむっ、ちゅるぅぅ……ちゅばっ、そんなこと、ありません……はむっ、んぉっ、んんん~……」

いつ間にか味が変わっているのに気がついた。先っぽの方から、しょっぱいものが出てきてる。
それを味わうように、私の鈴口に細めた舌先を押し当てる。

「ちゅ……うっ、んぐっ、んっ、ちゅぱっ、ちゅっ、あふ……これ、んんっ、おい、ひぃ……」

(私は何を言っているの――!?)

いったいいつから麻痺してしまったのか。既に私は私でなくなってしまったかのような、そんな感覚に襲われる。

「く……っ、そろそろ出しますよ」
「んむぅ、れるるぅっ、出る? ……ふむぅ、なに?なにが出るんですか? ……はむぅ、あむむぅぅっ、んむっ、じゅぽっ」

頭を抱えられる。私は動くことも出来ずに、肉棒が咥内で急速に膨らんでいくの感じる。
そして、爆発するような衝動が肉棒から迸った。

「んぶっ!? んぐ! んんんっ、んっ、んぉっ、んん~~!」


決して広いとは言えない私の口内でペニスが跳ね回り、白濁した体液をぶちまけてゆく。
放出の最中も、頭を抑えられたままの私は、吐き出すことも出来ずに嚥下していく。

「そうです、そのまま飲んでください」
「んふーっ、んんっ、じゅ、ちゅうぅぅっ、ふうっ、んぷっ、んく……ごく……飲みき……れない……あむうっ」

どうしようもなく喉に絡み付いて離れないそれに、胃液が逆流しそうになるのをなんとか堪える。
飲みきれなかった白濁が、口の端からまるで涎を垂らすかのように零れ落ちる様子は実に卑猥だった。

「どうですかぁ? フヒヒ。初めての精液の味は?」
「んぁ……生臭くて、さ、さっきの汁よりも、すごい、濃くて……ちゅるぅ、粘り気もあって……あぁ……」

いまもまだ喉には生々しい精液の味がこびりついている。しかし、あれだけ口の中に吐き出したにも関わらず、
見肉井のペニスは、隆々と硬くそびえ立ったまま私の目の前ヒクついている。

「こ……これで、終わりですか……?」
「おやぁ、見てください。まだとても慰めてもらってるようには見えませんがぁ?」
「そ、そんな!?く、口でしてあげたじゃないですかっ!?」

思わず抗議する。必死だった。これほどの思いをして、私に他に何をやらせようと言うのか?
私はそんなにも悪いことをしてきたのだろうか? しかし、いまの私は自問自答する気力さえも失いつつあった。

「ふぅむ。そうですねぇ。とはいえ、新垣さんも頑張りましたし、何か事情もありそうだ。高坂さんには黙っていましょう」
「ほ、ほんとうですか! 良かった……」

ホッと胸を撫で下ろす。この何時までも続くかのような淫宴。一刻も早くこの狂騒の中から抜け出したくて、
私は歓喜の声を上げる。と、急に見肉井が薬品棚だろうか、何らかの小瓶が並べられた棚の方へ歩いていく。

「あ、そうそう。知ってましたか新垣さん? この部屋って実はこういうものが置いてあるんですよ」
「そ、そんな……い、いやぁ!……嘘でしょ……?」

そういって、見肉井が手に持って見せたのはビデオカメラだった。カメラの上部に赤いランプが点灯している。

「おやぁ? 知らなかったんですかぁ? そういえば、新垣のご両親って、PTAか何かじゃありませんでしたっけ?」
「なんで……そ、それをどうするつもり……なんです?」
「いえいえ。別にぃ、何もしませんよぉ。ただ、PTAのご両親の娘さんが、こんなところで自分からペニスを求めてるなんてねぇ?」
「―――ッ!?」

その一言が私を絶望の淵へ落とす。そのビデオには、さっき私が自分から咥えにいった様子がありありと映っている……。

「や、やめてください! そ、そんなものを見られたら私……」
「そういえば、読者モデルでしたっけぇ? それもやられてるんでしたよねぇ。きっと高く売れるかなぁ」
「やめてっ! そ、そのもう一度口でしますから、お願いです、本当にやめてください!」

必死に懇願する。こんなものが流出しようものなら、自分はもはやこの学校にもいられないだろうし、家族関係も崩壊するだろう。
読モが出来なくなるくらいは、構わないが、桐乃とは二度と会えなくなる。それだけは絶対に避けたかった。

嫌らしい笑みで見肉井が囁きかける。まただ。この男はいつだって自分からは何もしない。相手を屈服させるように楽しんでいる。
そして、なにより相手からさせることで、自分が加害者にならないよう絶妙に立ち回っている。

「……私と、エッチしてください……」
「あれぇ~? 気のせいですか、いま何か聞こえたようなぁ……」
「私と、セックスしてくださいっ……!」

きっと、そう。もう私の心は壊れているのだ。この部屋に入った瞬間、いや、朝の時点でこの男の罠は始まっていたに違いない。
そして、緩やかに、真綿で絞め殺すように婉曲に婉曲に。私の心を壊して、犯して、晒して。逆らえない。この男から逃げられない。

(ごめんね、桐乃。……私、もう駄目かもしれない)


言われるがままに服を脱ぐ。最後の1枚、水色のストライプ柄のパンツを脱ぐ時はさすがに抵抗があったが、
なにより絶望感に支配されている私は、結局、それも脱いでしまう。
身を守る布がないだけで、恐ろしく心細い。男の前で、胸と大切な秘所を晒して、隠すことも出来ずにただ俯いてた。

「さすがモデルなんてビッチなことを、やってるだけあってイヤラシイ身体をしてますねぇ。そんなに我慢出来なかったんですかぁ」
「ち、ちがっ――んぅ!!」

言葉が途切れたのはキスをされたからだった。いつかは好きな人とするだろう、なんて夢見ていたファーストキスが、こんなにあっさり奪われる。
そのことが、悲しくてぽろぽろと涙が零れた。そして、まだ自分に悲しいなどという感情が残っていることに驚く自分が酷く惨めに思えた。

「んちゅ、んんっ! んふぅ……んちゅ、ちゅ、ちゅっ……はぁ、ちゅぱっ!」

見肉井の舌が私の中にまで侵入して、口内を犯していく。口の中に溜まった唾が私の中に入ってくる。

「んふぅ――、んっ! だ、だめぇ、はふぅ……あっ、んふぅ……むね、揉んじゃ……いや」

ぐにぐにと指を動かして、乳房を揉んでいく。そしてもう一方の手は、秘裂に伸びていた。

「んくっ! ……ああっ……胸とアソコを触られてる……はああっ……」
「気持ちいい?」
「……わたしは……んあっ……別に……」

その声が色気づいてきていることをハッキリと感じ取れる。それを私は仕方がないで無理矢理納得させていく。
男の手が敏感になっている乳首に触れ、軽く電流のような刺激が走った。

「んはっ! 乳首こりこりしちゃ……ダメ……んふぅ……」
「中学生にしては、大きくて弾力のある胸だ。乳首もピンク色ですし、では味の方はどうでしょう」
「いやぁ、舐めないで、舐めないでよぉ……そ、そんな風に舌で刺激しないでっ……」

押しては引いていく波に次第に身体が火照っていく。相手をどれだけ嫌悪していたとしても、感情とは裏腹に相手を受け入れ始める。

(本当は……嫌がってないのかな……)

分からない。答えなんて出せるはずがない。とっくに自分の中の壊れたものさしでは何もかもが。

「さて、そろそろ時間がありません。充分濡れているようですし、本番に入りましょうか。そこの壁に手を付いてください」
「は、はい。こう……ですか?」
「そう、そのままお尻をこっちに向けて」

私のオマ○コにペニスが宛がわれたのがハッキリ感触で分かった。いよいよ私はここで処女を奪われるらしい。
その事実がまた重く心を縛っていく。もう戻れない。そう自覚させられてしまう。

「では、行きますよぉ。大丈夫、優しくしますから」
「あそこにあたって……く、ふぅ……んぅんんんんんううううっ!?」

ぷつり。
肉が切れる小さな音を、私は呻き声の中で聴いた。

「く、あ……あ、あああ……っ、痛い……こ、こんなに痛いなんてぇ……!」

破瓜の痛みの激痛が全身を襲ってくる。それは予想よりも遥かに凄いものだった。
ギチギチとまだ男を受け入れたことのない膣腔を押し広げていく。

「動かすからね。あ や せ 」
「へ……っ? ひぁぁっ! きゃあっ! や、いた、痛ぁぃっ!」

一気に最奥部まで刺し貫かれる。亀頭の先端がこつんと何かあたって、そこが子宮なんだとなんとなく分かった。
結合部から処女の証の赤い血が太股を伝って床に落ちた。


「くふっ、ぐ……うぅうう……いた、助け、て……あはぁあああああっ!!」
「少し我慢すればだんだん慣れてくるから、心配いらないよ」
「ひぁっ! ひんっ、んぅっ、いやぁぁっ!……もうや、だぁ、やらぁ……」

突き込むたびに、膣から溢れ出てくる愛液が、潤滑油変わりとなって、挿入をスムーズなものにしていく。
そして、それが徐々にだが、痛みを軽減させ始めていた。その後に襲ってくるのは快感だった。
痛いだけだった行為にゆっくりとだが、快感が混ざり始めてくる。

「ひぁっ、もう、わかん……ないぃ……これ、きもち、い……の? きもち……い……?」

「かはぁっ! こんな、あ、ぐぅ……こんなの、きもち、よく……く、んぐぐ……うぁあぁあっ!」

膣内の肉がブルブルと震え、一層狭くなった膣洞が苦痛と快楽を同時に与えてくる。
ペニスが蠢く肉壁を掻き分けて窮屈な膣内を蹂躙していく。いつからか淫猥な音が響き始めていた。

「うぁああ……あっ、はぁぁ……いやっ、あっ、んはぁああ……っ」

膣奥へ向かっていた肉璧をカリのエラで引っかき、強張った膣壁を抉りながら徐々に穴の入り口から肉棒を露出させる。

「んぁあああっ……ひっ、んっ……やぁ……あっ、なかっ、動いて……ひぃいいいんんっ!」

「はぁあああっ!? やぁああっ! 奥っ、またっ……あぁああああんんっ!」

一度開いたせいか、膣洞からは始めの頃の重い抵抗感が薄れ、ピストンの速度がどんどん上がって行く。

「くっ、あっ……はっ、うっ、あっ、いっ……あっ、あぁっ、うあぁ、やっ、やぁあっ!」

腫れているように盛り上がる膣璧を何度もかきむしり、ペニスが私の膣内を乱暴に往復する。
破瓜の血は膣内から染み出る愛液によってすっかり薄れ、強張っていた肉もペニスの抽送によって
だんだんほぐれていく。

「んんっ……ふぅ、あっ、はぁぁっ……いやっ……ダメェ、もうっ……もううぅぅ……っ!」
「僕もですよ! 僕ももう我慢出来そうにありません。このまま精液が出そうですよ」

「えっ……やぁ、いやぁあああああっ!?」

そこでわずかばかり残っていた理性が、その言葉に反応する。
さっきは飲んだが、今度はそういうわけにはいかない。そんなことになれば――

「ひぃっ、いやぁ、やめてぇ、中にはっ……はぁ、いやぁっ! やめてぇ!」
「なんと、中に出して欲しいんですかぁ? そうですか。だったら中にたっぷり出してあげますよ」
「出来ちゃうっ! 子供っ、出来ちゃいます……! あぁ、いやぁ、中はっ……お願いですっ、中はっ……」

中出しの恐怖に懸命に拒む。膣内に出されてしまえば、もしかしたら妊娠してしまうかもしれない。こんな男の子供を。
どうして最初にコンドームを確認しなかったのか、後の祭りだった。

「いやっ、中はっ……妊娠っ、いやぁぁぁあっ!やめてっお願いですから、だめっ、許してぇっ!」
「お願いはさっき聞いてあげましたよ。それに誘ってきたのはそっちじゃないですか」
「そ、そんなっ……!? いやぁ、お願いですからっ! 赤ちゃん産みたくないっ!……あっ、はぁ……っ!」
「さぁ、ほら出しますよ。あやせに種付けするからねぇ。しっかり子宮の奥で受け止めるんだ」
「いやっ、ダメッ、膨らんでるっ! 膨らんでるからっ!? 妊娠したくないっ!だめ、いや、だめぇぇええええ――」

膣内でペニスがはち切れんばかり膨張する。子宮の奥まで達したペニスに絶望に包まれる。

「んぁああぁあああぁあああっ!」

強烈に締まる膣璧を押し退けるようにペニスが大きく跳ね上がり、極限まで膨らんだ亀頭の先端から、止めどない量の精液が噴出する。



「いやぁああっ!? 出てっ……やぁ、ダメッ!はぁ、やぁぁ、熱いのっ中にっ……入ったらっ、あ、あぁぁああっ!」

「あぁあ、奥までっ……入ってっ……やぁっ! こんなの、嫌です……あぁ、はぁああああっ!」
「フヒヒ。さぁ、そらっ、チンポに残っている精液を全部あやせのオマンコの中にぶちまけますよ!」
「いやっ、やぁああああっ……あぁ……あ、ダメッなのにぃ……熱いのどんどん……流れて、きて……」

ビュクビュクと勢いよく子宮を叩きながら精液がお腹の中に溜まっていく。膣内に入りきらなかった精液が、
こぽこぽと泡を噴きながら結合部から逆流してくる。

「あぁ……あ、精液が……な、中に……っ、妊娠……」

ずるっとペニスを引き抜くと、赤い血と白濁が混ざり合って、イチゴミルクのような色をした精液が、くぱぁっと開いたままの
オマ○コから溢れ出してくる。

「どうですかぁ? あやせさん、初めての精液は……?」
「あは……、あはは……」

昇天の合わない虚ろな目で、ぼんやり天井を眺めながらただ、乾いた笑いだけが零れる。
それはあまりにも悲しい笑いだった。悲痛な笑い声。

「まいったなぁ。ちょっとやりすぎちゃいましたかねぇ……。これからも楽しむためにも、気を配った方がいいでしょうか」

見肉井が窓を開けた。部屋に充満していた淫臭と不快だった薬品の臭いが外へ逃げていく。
換気された部屋には新鮮な空気が流れ込んできていた。

「あぁ、そういえば気付いてましたか? この部屋に充満していた匂い、あれクロロフォルムなんですよぉ?
 いい匂いだったでしょ。頭がどんどん、ぼーっとしてきませんでしたかぁ?」

私は声を上げる事さえ出来ない。

「そうそう。教えといてあげますよ。なんで貴方がこんな目にあったのか。簡単です。それはこの世界で、貴方がこうされるのを
 望んだ人がいるからですぅ。文句はアチラの人に言ってくださいねぇ。もっとも、貴方には知覚出来ないかもしれませんけどぉ」

何を言ってるんだろう? 望んだ? 誰が? 私がこうなることを? こうされることを?
いつの間にかそんな怨みを買っていたんだろうか? それともただ私が、私が――

「おっと、あの陸上の練習をしてるのは、高坂さんですねぇ。成る程、あの性格に勝気そうな態度、
 いったいどんな風に泣いてくれるんでしょうねぇ?」

やっぱり、コイツは桐乃にも手を出すつもりなんだ。最初から約束なんて守るつもりなかったんだ。

「もっとも、これからもあやささんが、身代わりになってくれるのなら、話は別ですがねぇ」

あぁ、そうか。それでいいんだ。私にはもう、何もないのだから。全部奪われた。
だったら、そんな私でも親友を守れるのなら――。

「もう、好きにすればいい。何処でも良いですよ。口内でも膣内でも好きな所に出せばいいでしょ」

この狂った世界は、次に目をさましたらきっと、元通りの平和な世界になってるはずだ。
そう願って、私の意識は深く暗い闇の底へと堕ちていった。

(助けて……お兄さん……)



「――ん? あれ?」
「きょうちゃん、どうかしたの?」

幼馴染と一緒に帰ってる途中、俺はふと誰かに呼ばれた気がして後ろを振り向いた。
と、言っても別に何があるわけでもないんだが。

「いや、なんか誰かに呼ばれたような気がしたんだが」
「ん? 私呼んでないよ」
「わかってるっつーの。お前だいたい横にいるだろうが。まぁ、きっと空耳だろ」
「ふーん、なんか凄いね。本当に誰か困ってて、きょうちゃんを呼んだのかも」
「馬鹿言え。俺はスーパーマンじゃねぇ。やっかいごとは妹だけで充分だ」

空耳なんて、エロゲーのやりすぎだろうか。最近、特に桐乃の奴が俺にエロゲーをプレイさせようとするので、堪らない。
ま、なんにせよ気はなるが、気にしたところでどうにもならないだろう。そうさ、どうにもならない。
世の中にはそんなことで溢れてる。だいたい、誰がこんななんの取り得もない俺を呼ぶんだ? 
心当たりがないだろ。と、言うわけで俺はさっさと忘れることにした。

「さ、帰ろうぜ。それともどっか寄り道してくか?」
「え? いいの?」
「あぁ。早く帰ってもとくになんもないしな」
「えぇっと、じゃあねぇ――」

そうして、俺達はだんだんと学校から離れていく。
きっと、そう明日はまた変わらない日々が始まるのだと思って。




「って何で私がこんな目にあってるんですか!死ねェェエェェェエェェェェエエ――!」

あやせの放ったスイクルデスが俺の延髄にヒットする。マジで死ぬかと思ったぜ……。
桐乃の趣味を理解しょうとしてくれてる、あやせから話を聞いたのは先週だ。
桐乃に内緒で同人誌即売会ってもんを体験することにしたらしい。
もともと、あの騒動のきっかけも即売だったから、ちょうど良かったのかもな。
俺は二つ返事で了承して、いまこうして即売会に来ているわけだが……。

「しかも、なんで私が、『お兄さん……助けて……』なんて言ってるんですか!キモッ」
「俺に言われても知らねーよっ!」

ブースを回っていたら、偶然あやせの本を見つけて、とりあえず買って2人で中身を確認した結果がこなった。
しかし、あやせの気持ちも分からなくもない。なんつーか、あやせとかそもそも中学生だしな。

「っていうか、この見肉井くんって、実際に内のクラスにいますし……」
「マジかよっ!」

あやせの話によると、見肉井君は、なかなか整った顔をして、爽やかで人懐っこい笑顔が素敵なんだそうだ。
昔、名前で苛められたことがあるせいか、細かい気遣い、男女分け隔てなく接する為、人気があるらしい。
何より、運動部に所属しながら漫研にも所属していて、オタクであることを隠さない態度に、桐野も羨ましがってるとかなんとか。
そういや、さっきこの本売ってた人、あれが見肉井くんか? 同人誌を買ったら、凄く嬉しそうにお礼されたけど。

「ちょっと待ってください。お兄さん、この同人誌まだ売ってるんですか!?」
「え? そりゃ売ってるだろ」
「か、買占めなきゃ……」
「い、いやおいちょっと、待てってあやせ!」

『完売しました』

「帰るか……」
「そうですね……あ、その同人誌は没収します」
「いやいやいや……そいつはちょっと横暴ってもんだぜ」
「死ねエェェェエェェェエエエ――!」



「フヒヒ」

  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
            O 。
                  , ─ヽ
 ________    /,/\ヾ\   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 |__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったとサ
 |_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
 ||__|        | | \´-`) / 丿/
 |_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
 |__|| 从人人从. | /\__/::::::|||
 |_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
 ────────(~~ヽ::::::::::::|/        =完 =









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最終更新:2010年02月24日 21:48
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