変わり続ける関係 03別ルート


桐乃。
俺の妹。容姿は淡麗で、兄の目から見ても美人で、少し丸顔の、妹。
生意気で、くそむかつく女で、我儘で、自己中で、それで、
とても素直じゃない、妹。

そんな妹の姿を何故か後ろめたい気持ちが邪魔をして見る事が出来ない。

「……なんで、あやせがここにいるわけ?」
その妹が、じろりと俺を睨む。
「な、なんでって……」
なんでだ? 特に理由は無かった。いや、俺と桐乃が二人きりだから?
それを邪魔、しにきた、と説明したら、なんで邪魔をしにくる訳、となるよな?
そうすると、こうあやせが俺の事を好きだと告白して、とかそういう説明になる訳で。
「……」
「なに黙ってんの?」
俺の後頭部にひしひしと視線を感じる。
これを真っ向から受けてたら、苛々度数が一気に高まる事は確実だが、
幸いにして俺は背を向けている。お陰で、落ち着いて思考が出来るってもんだ。

「あやせがここにいたら、何か不味いのか?」
そう俺は冷静に切り返す。
「ま、不味いに決まってるじゃない。何考えてんの?」
お、少し動揺してるようだ。その動揺が俺を更に冷静にする。
「なんで不味いんだ?」
「それは……」
ついに桐乃が口籠る。勝った。ふふん、と笑みを浮かべてやりたくなる。
よし、ここに勝利宣言を告げよう。
「キスしたりとか抱きあったりとか、そ、そういう破廉恥な事が
起こる可能性を心配してるんですよね、桐乃は」
「「ぶはっ!」」
言っておくが、破廉恥云々は俺の台詞じゃないぞ。寧ろその台詞を聞いて、
俺と桐乃が同時に口を抑え頬を赤らめるなんていうシンクロをしてしまった。……やっぱ兄妹だな。

「だ、だだだ、抱きあうって!」
桐乃がめちゃくちゃ動揺している。
「は、破廉恥だなあ、ああ、実に破廉恥だ!」
俺も色々動揺している。

「因みに聞いてたとは思いますけど、わたし、お兄さんとキスしました」
「「なっ!」」
「更に舌まで入れました」
「「えぁっ!?」」
い、入れさせてませんよっ!?

いかん、あやせの独壇場になりつつある。
ここは止めねば。流れを我が手に。

「え、ええええ、えっちは?」
「ぶっ!」
桐乃から予想外の爆撃発言。
聞いてどーする!

「こ、これからです!」
「マジでっ!」
驚く俺。
驚いてどーする!

「え、えええ、えええと、あの、その、え、誰と誰が!?」
少なくとも俺とお前じゃねえ事は確かだ!
「お、おお落ち着け、桐乃」
俺を落ち着かせてくれ!

「わたしと、お兄さんが」
ここで冷静にあやせが、とんでもない事を言い切る。
「あ、あたしは!?」
え、そこ台詞違くね!?
「近親相姦をわたしが許すとでも?」
ですよねー。というか、何か色々とズレてねえ?
この部屋の中、世界の常識と凄い勢いでかけ離れていってね?

「ず、ずるいっしょ。あたしだってその、権利ぐらいあるし」
「ねえよっ!?」
何いってんだこの女。これがエロゲ脳か。

「じゃ、じゃあ見る。見るだけでいいから!」
なんだその食いつきは。おい、妹、本当にお前は桐乃か?!
妹スイッチがよく分からない方向に入っちゃったみたいだな。
まあ、しかし桐乃がここまで混乱していると逆に俺は冷静になれる。
あやせもきっと、冷静さを取り戻してるだろう。

「仕方ないですね。親友だから特別に許可しちゃいます」
しちゃいますじゃねえよ!?

駄目だ、こいつら何とかしねえと。

ガチャ。

ん?

ガチャガチャ。

そうだった。俺、手錠を掛けられているんだった。
……あれ? 何か、あやせと桐乃の目が怖いんだけど。
待って、おかしい、おかしいだろ。ヤバい、なんか泣きそう。
美少女に貞操の危機を狙われているのに何か泣きそう。

「……お兄さん、気持よくしてあげますね」
ひぃっ!
あやせは、淫靡な笑みを浮かべると、動けない俺の首筋へ舌を這わせた。
ぞくぞくとする感じ。頭の後ろの方がピリピリと痺れる。
これが快感という奴なのか。全身に力がはいるようではいらない感覚。
「ぁ…あ」
ぬめり、舌の感覚が直接的に肌を刺激する。生暖かい。息が間近で聞こえる。濡れた箇所に息が当たりひんやりと。柔らかい唇の感触。ぬめり。

ヤバい、と俺の脳内で警鐘が鳴る。
この状況になって、俺の愚息はまるで立っていない。
怯えてるのか、違う、言うなれば嵐の前の静けさ。分かる、本能的に。
こいつは来るべき時に備えてやがる。

俺に覆いかぶさるようにあやせ。
耳たぶをはむり、くわえる。背筋がぞくぞくとする。力が抜けていく感じ。もどかしい。身体が変な動きをしてしまう。俺キメエ。
「ん…きょうすけぇ」
桐乃が悩ましげな声を出す。お前、何をし……がっ!み、見てないぞ。俺は見てない!!
「ふふっ」
あやせは、俺に覆いかぶさった状態で、ブラウスのボタンを外し始める。
月明かり。あやせの白い肌が、綺麗に映し出される。
胸元の露出度が、…あがった。
「……綺麗、だ」
たったそれだけで、動悸が激しくなる。控えめな胸。ただ、少しボタンが
外れていくだけ。それなのに、なんて、綺麗なのだ。
「…な、何を言ってるんですかあなたは」
あやせが照れたようにそっぽを向く。
よく見ると白い肌が少し赤みを帯びている。それが、とても扇情的で。
「……!」
俺の愚息が、のそりと起き上がった。
上に覆いかぶさっているあやせにはそれがすぐ分かったようだ。
そしてあやせの反応を見て、桐乃にも分かったようだ。

「うぁ…兄貴変態馬鹿死ね」
人の営みを視姦してるてめえには言われたくねえよ!

「……」
ここで何かコメントをすると思いきや、あやせは顔を真赤にして、俺を見たり下の愚息が当たっている当たりを見たりしている。
「お、お兄、さん」

白い肌。美少女。頬を上気させ。肌蹴たブラウス。月明かり。ベッドの上。俺の愚息。そこに当たる彼女の躰。太もも。湿った。熱い。

「……あやせ」
世界が嫌に鮮明に見える。けど、思考はまるで浮かされたよう。
「お……にいさん」
呼びかけに静かに答え、る。あやせ。

手錠がモドカシイ。興奮が不規則。鼓動がウルサイ。
あ、ああああ、あああ!
がちゃがちゃがちゃがちゃ
飢えた獣の様に。

「見て、ください」
止まっていた手。動き出す。ゆっくりと。時間が止まったような。でも動いていて。
肌が、肌が、肌が。白い、赤い、下着、ずれて。
美しい? そんな言葉など。
ただただただただ。触れたい。触れたい。触れたい。

「あ、やせ」
俺の静かな慟哭。だが内心が崩壊したような欲求。
あやせは静かに笑うと、その控えめな白い胸を。
俺の顔に。触れさせ。触らせ。そして、舐めた。
柔らかい、しっとりとした。月明かりは確かな色は分からない。
だがそれはあやせの、あやせの間違いない、色で。
含み、舌を、転がし。吐息。あやせの吐息。
「あやせ、気持ちいいの?」
イモウトの言葉。あやせは首を振る。そして頷く。俺の頭を腕で抱き寄せて。


「気持ち、良いです、よ?」
しっとりと。少し汗ばんで。柔らかくて、いい匂い。甘い、女性の匂い。
がちゃがちゃがちゃがちゃ
拷問だ。褒美だ。

あ、ああああ、ああああ!
気が狂いそうになる。目の前のもの触れたくて、触りたくて。もどかしい。
舌じゃ駄目だ、手で感じたい、抱きしめたい、触れたい。

「まだ、駄目です」
あやせは言う。
わたしが先です。
あやせが言う。

いたずらっぽく笑って、あやせは少し躰をずらす。
愚息が擦られる。たったそれだけで、凄く気持ちよくて。漏らしてる錯覚すらした。

「まだまだ、焦らしてあげますね?」





+ タグ編集
  • タグ:
  • 新垣 あやせ
  • 高坂 桐乃

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2012年06月24日 12:36
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。