ふたば系ゆっくりいじめ 559 てんことれいむとフィーバーナイト 後編

てんことれいむとフィーバーナイト 後編 39KB


虐待 愛護 自業自得 飼いゆ 野良ゆ 希少種 現代 虐待人間 愛護人間 anko654の続き 作者暴走中



 ・この話は「ふたば系ゆっくりいじめ 548 てんことれいむとフィーバーナイト 前編」の続きとなります。やっぱり既読推奨です。
 それ以外の注意事項は前編を参照してください。

 では、ゆっくりしていってね!!!







こうして見事にハットトリックを決めた(てんこ談)俺は、
一匹減ったれいむ親子と共に、自宅前へと帰ってきた。

「ゆわぁ…おっきいおうちだにぇ、おかあしゃん!」
「しゅごいにぇ!ここがきょうかられいみゅたちのおうちににゃるんだにぇ!!」
「やっと・・・やっとここまでこれたよ……」

なにやら感動している。そんなに大きいか?確かに一戸建てではあるが。

「ここで『なんで一人暮らしの若者が一戸建てとか持っとるん?』とか言っちゃダメだよ!
 今回そういうのは考えてないからね!ご都合主義で片付けといてね!!」
「てんこ…どうしたんだ?・・・誰かいるのか?それに言葉が・・・」
「え、なにいってるの?てんこはいつもどおりだよ!それにみればわかるでしょ。
 ここには、おにいさんとれいむたちとてんこいがいにだれもいないよ?おにいさんだいじょうぶ?」
(えぇー…なにこのここわい…)

てんこに軽く戦慄を憶えながらも、家に入る。感動で固まっていたれいむたちも急いでついて来た。

「ただいまー」

返事は返ってこない。
「帰ったぞー。…寝てるのか?」

「ゆわぁ~、とってもきれい!きょきょをれいみゅのおうちにしゅるにぇ!!」
「れいみゅもれいみゅも!」
「お、おちびちゃん!なんてこというの!ちゃんとおしえたでしょ!!?」

れいむたちが何か言っているようだが、俺にはよく聞こえなかった。
汚いれいむたちを家に入れる為の準備を始めようとすると、近くのドアの奥から足音が聞こえてくる。
ドアを開けたのは、ヒラヒラがついた服と布を纏った、紫色の髪の胴付きゆっくりだった。

「おや、おかえりなさいませ。ゆっくりできましたか?」
「なんだ起きてたのか、いくさん。何かしてたのか?」
「いえ、おにいさんと『そうりょうむすめさま』のかえりをまってただけです。
 なぜかふくものがひつようなきがして、ばすたおるをとりにいってたのですが」
「・・・なんで分かったんだよ」
「いくはくうきがよめるゆっくりですから……」
「もうそれ空気を読むっていうより予知能力に近くないか?」 「まさか」

「ただいま、いく!きょうもたくさんけられたよ!きもちよかった~」
「そ、そうですか・・・よかったですね」 「うん!!」

この子は『ゆっくりいく』。てんこと一緒にペットショップに行ったときに出会ったゆっくりだ。
一目でてんこが気に入ってせがんできたのだが、どうやらこの二種は気が合いやすいらしい。
ペットショップの店員さんが言うには、ちぇんとらんや、おりんとさとりと同じようなものなのだとか。

凄まじいてんこの押しに負けた俺は、結局いくさんを飼う事になった。

が、いくさん(何故かこう呼んでしまう)は自分の事を『空気が読めるゆっくり』と言うだけのことはあり、
凄く気が利くゆっくりだ。俺も何度もお世話になっている。
主にてんこを諫めたり、てんこの行き過ぎを止めたり、興奮したてんこの気を逸らしたりする方向で。
後、愚痴を聞いてもらうことで少し気が楽になった。今やウチにはなくてはならない存在だ。

ちなみに散歩にはついて来ない。
「おふたりでゆっくりしてきてください」との事。
多分てんこと一緒だと思われたくないんだろうなぁ。言ってる時に目を合わせなかったし。

「およよ?そちらにいるのはどなたで?」
「ああ、こいつらは今日からウチに住むことになったれいむ一家だ。一匹少ないけど…」

「「「ゆっく(きゅ)りして(ちぇ)いって(ちぇ)ね!!!」」」
「はあ、ゆっくりしていってね。それでまたどうして」 「かくかくしかじか、ということだな」
「まるまるうしうしですね。なるほど。・・・あいかわらず、おひとよしですね」
「ハハッ。よせやいよせやい、照れるぜ!」「ほめてませんよ」

「まったく、そうかんたんにしんじるのも「いく?」・・・まあいいでしょう」
「ほら、おにいさん。いくもこういってるし、そろそろいえにあがろうよ!
 てんこちょっとつかれちゃった!…それともえんちょうせん、いっとく?」
「さて、さっさと家に入れるようにしないとなー!いくさん、タオル」 「はい」

「もう、いじわる・・・でもそれはそれでこうふんするよ……」
「どんだけ万能なんだ、お前……」





――――――――――


タオルで綺麗になって居間に通されたれいむたちが目にしたのは、正に桃源郷だった。

いい香りがする広い部屋に、ふかふかのカーペットが敷かれた床。
部屋の隅には大きなクッションが置かれており、窓からはカーテンを挟んで、柔らかな日差しが差し込む。

れいむは感動のあまり、言葉が出なかった。
赤ゆたちもつい先程姉妹が殺されたショックで出してなければ、
確実にしーしーを漏らしていたところだろう。

「こ、ここにほんとうにすんでもいいの?」
「れいみゅこんにゃにきれいなおうちみちゃこちょにゃいよ!」
「ゆめみちゃい…」
「そりゃウチで暮らすんだからそうだろ。ちょっと待っててくれな。
 お前ら風呂に入れてちゃんと綺麗にしたら、予備のクッションで寝床作ってやるから」

―――やっぱり諦めないで正解だった。

れいむはあの惨めな生活を思い出して、幸せを噛み締めた。
まだこれ以上綺麗になれて、こんなに豪華なところに住めるなんて。
これに比べれば、汚れて腐臭のする場所で小汚いダンボールハウスに住みながら、
毎日命の心配をしながらビクビク過ごすあの生活など、クソもいいところだ。

やはりこれでよかったのだ。あのてんこの言う事になど耳を貸す必要はない。
れいむはここで今まで苦労した分、存分にゆっくりする。そして幸福なままゆん生を終えるのだ。

「さて、その前に晩御飯にするか。今日もちゃんと用意してあるぞ。
 れいむたちは・・・てんこと一緒のメニューでいいのか?」
「うん。てんこはかまわないよ!!」
「れいむたちもそれでいいよ!!」
「ごはんしゃんっちぇあまあましゃんかにゃ?」「にんげんしゃんにょあまあましゃんちゃべちゃ~い♪」
「そっか。甘いの沢山用意してあるからな。じゃ、持ってくるから待ってな」

れいむが感動の余韻に浸っていると、人間が大きなお皿を持ってきた。皿の上には小さな山が出来ている。
人間が皿をテーブルに置くと、テーブルの上にいたれいむたちは、皿に蟻のように群がる。

「さあ、プチシューだぞ!皿いっぱいにあるから
 お前たち皆で食べてもきっと足りるはずだ。ケンカせずにゆっくり食べろよ!!」
「しゅ、しゅごい…」 「きょれじぇんぶちゃべちぇもいいにょ…?」
「しゅーくりーむさんがこんなに・・・」
「まあ、今ある分全部出してきたからな」

シュークリーム。ケーキと並ぶ、野良ゆっくりの中では最高の食べ物の一つだ。
れいむも人間が食べている所しか見たことない。ましてや野良が食べれた話など聞いたこともない。
話でしか聞いたことがない夢のお菓子。それがこんなに沢山、
しかも奪われる心配をせずに思う存分ゆっくり食べれるなんて…

「ゆっ?いくしゃんはちゃべにゃいにょ?」
少し離れているいくに聞く赤れいむ。勿論、心配する点は自分の取り分が減るのかどうかにある。

「いえ、わたしのぶんはほかによういされていますので…
 ぞんぶんにめしあがってください。・・・やめておいたほうが「いく?」おいしそうですねー」
「じゃあおにいさん、てんこたちおさきにいただくね!」
「ああ。俺達は後で食べるから気にするなよ!」

「おちびちゃん。おぎょうぎよく、みんなでいっしょに、ひとつずつたべようね!」
「わかっちぇるよ!」「なんでみょいいきゃらはやくしちぇにぇ!!」

「「いただきまーす!!」「「いちゃぢゃきまーしゅ!!」」

一斉にかぶりついた。


「むーしゃ、むーしゃ………し、し、し…し・あ・わ・せー!!!」
「むーちゃむーちゃ、ち・あ・わ・ちぇ~!!!」
とんでもなく美味しい。こんなもの食べたことがない。
少し前に食べた、あのクソまりさたちよりも断然美味しい。

思わずれいむは行儀も何もかも忘れて貪りたくなった。
「がひゅ!がひゅがひゅ!うっみぇ!きょれめっちゃうっみぇ!!」
おちびちゃんも我を忘れて、自分も周りも汚れるのをかまわず食べ散らかしている。
体が小さいので、プチシューでも一つ食べ切るのに時間が掛かるみたいだが、凄い食欲だ。

「むーしゃむーしゃ、ごっくん!おいしいよ、おにいさん」
一方てんこは、言葉とは裏腹に何故か少し残念そうに見える。
なんて奴だ。食べ慣れているから、もう飽きたとでも言うのだろうか?
あんな贅沢者は放っておいて、自分とおちびちゃんで全部食べてしまおう。

「どんどんたべようね、おちびちゃん!」
「ゆん!ちょっちぇもおいちいよ!ね、れいみゅ!!……れいみゅ?」
もう一人のおちびちゃんが固まっている。どうしたのだろうか?

「おちびちゃん?おいしくなかったの?」
心配してれいむが近寄ると、赤れいむは


「ゆ、ゆげぇぇぇ!!かりゃいぃ!げぇぇ、ゆげぇぇぇぇ!!!」
餡子を吐き出した。
「お、おちびちゃん!どうしたの!!?あ、あんこはいちゃだめぇぇぇ!!」

「お、当たったか」
「うかつですね…だからいったのに」
「あははははは!!!」

人間達が何か言っているが、そんなことは今はどうでもいい。このままではおちびちゃんが…

「えれれれれ…も゛っ!え゛っ!も゛っも゛っも゛っも゛っも゛っも゛っ」
「れいみゅぅぅぅ!!ゆっきゅりしちぇぇぇぇ!!」
「あ…あぁ…あぁぁ……」

「おい、なんかヤバくないか?」
「あははははは!!…はぁ…はぁ……だいじょうぶだよ。まだなれてないだけだよ、きっと。
 しんせんなはんのうだね。てんこもさいしょはあんなかんじだったしうらやましいよ!!」
「そ、そうか?…そう言われればそうだっけな……」

「ゆひぃ…ゆひぃ…おかーしゃん…もっちょ……ゆ…っ…きゅち………」
やがて、餡子を吐くだけ吐いた赤れいむは大人しくなった。

「お、おちびちゃん・・・?」「ちょっとどいてください」
いくさんが近寄って何度か触れてみる。



「しんでますね。」

「やっぱりか・・・」
「う゛わぁ゛ぁ゛ぁ゛!!またでいぶのおぢびぢゃんがゆっぐりしぢゃっだぁぁぁ!!!」
「ゆんやぁぁぁ!れいみゅにょいもうちょにょれいみゅがぁぁぁ!!!」
「あはは!!あははははは!!あははははははは!!!・・・ゲホッ、ゲホッ!あははははは!!!」

れいむたちは嘆き、てんこはとうとうテーブルをバンバン叩いて爆笑し始めた。むせてんじゃねーよ。

「どぉいうごどな゛の゛ぉぉ゛ぉ゛!!?
 どおじでしゅーくりーむさんたべでおぢびぢゃんがじんじゃうのぉぉぉ!!?」
「多分当たりを引いたんだろ。…おっかしいな。
 そんなに簡単に死んじゃうような量は入れてないのに…」
「わげわがんないこといっでないでざっざどせつめいしろぉぉ!!!」

「ああ、分かったからそう怒鳴るなって。近所迷惑だろ。
 今日のご飯は自家製ロシアンプチシュールーレットでな。
 プチシューの中に得製ワサビクリームが入ってたやつが混ざってるんだ。
 それを食べちまったんだと思う」
「ど、どおじでぞんなごどずるのぉぉぉ!!?
 からからさんがゆっくりできないこともわかんないのぉぉぉ!!?」

「え?だってお前たちがてんこと一緒でいいって言ったんだろ?」
「ゆっ!?」
「だから出す前に聞いただろうに……俺も普通ならこんなもの出すわけないって。
 お前たちが虐められたいって言うからこそ、てんこと一緒のものをと思ったんだが…
 結構なスリルが味わえるって好評なんだぞ?・・・てんこにだけな」
「え…じゃあ、いくがたべなかったのは・・・」
「いくさんはお前たちみたいにドMじゃないからなぁ。
 それとは違う、ちゃんとしたまともなやつを用意してたさ」
「さすがにあれをたべるのはちょっと……」

「なんでそれだしてくれなかったのぉぉ!!」
「れーむのいもうちょかえちぇぇぇ!!」
れいむたちはもみ上げ(?)をわさわさ、ピコピコ振り回している。どういう原理かは知らない。

「いや、だから悪かったよ。にしても、何で死んじゃったんだろ?てんこは大丈夫だったのに…」
「やだな、おにいさん。わすれちゃったの?
 てんこがあれじゃもうたりないっていったから、わさびさんのりょうをふやしてくれたんでしょ?
 ほとんどわさびさんだけになってたから、なれてないれいむならいちころだね!」
「何でもっと早く言ってくれなかったのぉぉ!?助けるの間に合ったかもしれないでしょぉぉ!!?」

「あれくらいはふつうなんだから、どえむになさけはむようだよ!てんこにはそのきもちよくわかるよ…」
「お・ま・え・が基準になったら、この世のゆっくりは9割方虐死しとるわ!!」
「いひゃい!いひゃいよおにいひゃん!もうひゅこひゆびをひねっへもいいよ!!」
ダメだ。いくらつねっても、こういうのはこいつにはご褒美だったんだ。
そろそろ千切れそうだしやめとこう。不毛にも程がある。

「・・・いくさんも知ってたのか?」
「はい。でもくうきをよんだけっか、いわないほうがいいとおもいまして…」
「何の空気を読んだのぉぉぉ!?誰も喜ばないでしょぉぉぉ!!?」
「およよ、もうしわけございません」「おにいさん、ごめーんね☆」
「可愛く言っても誤魔化されないからな……」

もう我慢の限界だ!
「なんでもいいから、おちびちゃんをいじめたにんげんはもうゆるさないよ!!」
「おかーしゃんがしぇーしゃいしゅりゅよ!ちーちーもらちてあやまっちぇにぇ!!」


「・・・なんかお前たちおかしくないか?」
「「ゆ!!?」」
「いや、自分の子供が死んじまったら怒るのはわかるんだ。誰だってそうする。俺だってそうする。
 でも問題はそこじゃなくてな。お前たちの反応が一々おかしいんだよなぁ」
「れーみゅたちなにみょおかちくにゃいよ!!ゆっきゅりごりょちのくちぇにしちゅれーだにぇ!」
「いやいや、おかしいってのは少し意味合いが違うんだ。
 お前たちの反応見てるとさ。人の家や暮らしに感動して、虐められるのを嫌がる、
 普通のゆっくりみたいだよなーって事。ドMだってんなら、それじゃおかしくないか?」

「そ、そ、そんなことないよ!?れいむいじめられるのだーいすき!!」
「にゃにいっちぇるにょぉぉ!!れいみゅはこんにゃじじいに「おちびちゃんはだまっててね!」ゆびぇ!!」
「うおぃ!自分の子供に何してんだ!!
 わかった!わかったからやめろって!!潰れて死んじまうぞ!!」
「ゆふー、ゆふー…わかってくれた?れいむたちこういうのがだいすきだから、きにしないでね!」
「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っ」
残り一匹となった最後の赤れいむは、実の親の手にかかって虫の息だ。

「(うわぁ……マジかよこいつ…)ハッ、引いてる場合じゃない。てんこ、いくさん、ジュース!!」
「およよ、きんきゅうじたいですね。いきましょう」
「てんこのきゅうきゅうしゃがとおるよ!ひさんなこうつうじこもだいかんげいだよ!」
「それはきゅうきゅうしゃのいみがないのでは…「はよ行け!!」…おこられちゃいました」


結局赤れいむはオレンジジュースのおかげで一命を取り留め、
快復した頃には赤れいむもすっかり大人しくなっていた。
横で親れいむが睨んでいた様な気もするが、別にそんなことはなかったぜ!!

「いやー。疑って悪かったな。
 てっきり単にウチに住みたかったから嘘ついてたのかと…」
「そ、そんなわけないよ!かっこいいにんげんさんをだまそうだなんて、おもいもしないよ!」
「しょ、しょうだよ!あんにゃにかんちゃんにしんじゃった、いもうちょたちがばかにゃんだよ…」
「いや、その言い草もどうかと……」

「ところでおにいさん。うそついてたら、どうするつもりだったの?」
「うん?……どうって、普通に出て行ってもらうけど。
 あんな欲求が本当に無いならウチに住む必要もないんだしな」
「おにいさんのばか!!」ガスッ!  「あ゛いだぁ!!?」

てんこに向こう脛をカカトで蹴り抜かれた。体重が乗ってて凄く痛い。
「いってぇぇ!!てんこ、いつの間にこんな技術を…恐ろしい子・・・」
床を転がりながら言っても雰囲気もクソもあったもんじゃない。
「どえむはどこをどうすればいたいのかも、よくしってるんだよ!こんどてんこにもやってね!!

 …それよりも、そのままおいだすっていうのはよくないよ、おにいさん」
「な、なんでさ?別に楽な暮らしがしたいって気持ちは分からないでもないし、
 なにも嘘吐いたくらいで殺さなくても…」
「あまいよおにいさん。ゆっくりのうそつきは、げすのあかしだよ。
 げすはこりないからせーさいしておかないと、またひがいがでるよ!あくのめはつまないとね!!」
「そうなのか?・・・でも嘘くらい誰だって吐くし、殺すなんて…」
「だめですよおにいさん。そこはくうきをよんで
『なら足焼いて、目ん玉くりぬいて、飾りボロボロにしてから追い出してやるぜぇ!!ヒャッハーー!!』
 とでもいっておかなければ」

 ・・・・・・

「・・・いくさん。一応聞いてみてもいいか?」
「さっきのはくうきをよんだことによる、ふくさんぶつです。
 ふだんはあんなふうにはなせませんよ?」
「そっか。…空気読むって便利ですね」  「それほどでもないです」

「で、どうするの?おにいさん。てんこもいくのいけんにさんせいだよ!
 わるいゆっくりにはばつをあたえないとね!」
「・・・・・・じゃあ思い切って、やっちゃおうかなっ!」

「どおじでぞんなごどいうのぉぉぉ!!?」
「れいみゅちゃちにゃんにもちちぇにゃいよぉぉぉ!!!」
「え?分かってるよそんなこと。やだなぁ、もしもの話だって!
 お前たちがそんなやつじゃないって事ぐらい解ってるさ!
 さーて、さっさと片して風呂の用意でもしてくるわ。仲良くしてろよ!」
そう言ってお兄さんは居間から出て行った。後味の悪い空気だけが残る。


そんな中、てんこはニヤニヤしながら軽い足取りでれいむ達に近寄って来た。
「ねぇ、今どんな気分?逃げ場塞がれてどんな気分?」
「ゆぐぐぐ・・・」
「わっかりやすいわねぇ、あんた達。あれで気付かないのお人好しのお兄さんくらいよ?
 も少しうまくやりなさいよ。…まああの死に様には笑わせてもらったけど。ねぇ、いく?」
「まあ、かなりむざんなかんじになってましたね。あわれにおもいました。むーざんむーざん」
「いいのよ、こいつらそれが仕事みたいなもんなんだから。あなたも余計なこと言っちゃダメよ?」
「はぁ。そんなものですか・・・まあかまいませんが」

「ゆ…ゆ…ゆっぐりじね!ぱーふぇくとなでいぶをばがにじだやづはゆっぐりごろじでやるぅ!!」
「れーみゅたちはいもーちょがちんじゃっちぇきゃわいしょうにゃんだよ?
 やしゃしくしゅるにょがあちゃりまえでちょ!?」
「パーフェクト(笑)」「かわいそう(笑)」
「うがぁぁぁぁ!!じ「そんなこと言っていいの?」ゆ゛っ!?」

「あーあ、死ねだなんて言われて傷ついちゃったなー。ショックでなんだか叫びたい気分。
 ・・・おにいさーん!!やっぱりこのれいむたちうそ「やべでぇぇぇぇ!!!」・・・なにが?」
「ばらざないで…でいぶだぢじにだぐないんでず。ここにいだいんでずぅ」
「なら、何か言う事があるんじゃないの?てんこ、そう口が硬いほうじゃないんだけど」

「じねだなんでいっでごべんなざい…」「聞こえなーい」
「もうなまいぎなごどいわないからぁ…」「なに?あんた達口の利き方もわかんないわけ?」
「てんごやいくさんにさからいばぜんがら…」「…まだわかんないのかしら」
「ど、どうずればいいのぉ!?ごれいじょうなにがあるのぉ!!?」

「あのね、“てんこ”じゃないでしょ? 様を付けなさいよデコ助野郎!」
「ゆ゛っ!?・・・てんこさまにはさからいばせん。なまいぎなごどもいいばぜん。
 だがらうそついでだってばらざないでくだざい、おでがいじばずぅ・・・」
「…仕方ないわね。そこまで言われちゃ黙るしかないわ。てんこだって鬼じゃないんだし。
 ・・・あ、そういえば忘れてたわ」
「な、なにをでず「一発!」ぶげぇ!!」
てんこの黄金の左を喰らったれいむが、部屋の端まで飛んでいった。

「おがーじゃぁぁん!!!ゆわ゛ぁぁぁ゛ぁ゛!!」
「うでをあげましたね…そうりょうむすめさま……」

「ど、どおじでぇ…?ゆるじでぐれだんじゃ……」
「だから言ったでしょ、忘れてたって。聞いてなかったの?
 あんた達、さっきお兄さんにえらくふざけた事言ってたじゃない。許さないとか、ジジイだとか。
 その分よ。今の一発でそこのチビの分も許してやるんだから、感謝なさいな」
「う゛う゛…いだいよお…なんででいぶがこんなめ゛にぃ……」
「これからはお兄さんにも舐めた口利かないことね。次はバラバラに引き裂くわよ」

「どおじでごんなごどするのぉ…?いじめられるのがずぎじゃなかっだのぉ…?」
「ええ、確かに好きよ。でもそれは、あくまでも『人』に対しての話。
 何が悲しくて、あんた達みたいなクズにまで低く見られなきゃならないのよ。
 まあそういうプレイだっていうなら喜んで受けるけど。

 それにね、これは言い忘れてたんだけど。
 私、あんた達みたいなバカが苦しんで、のた打ち回る姿を見るのも大好きなの。
 だから、沢山苦しんで、てんこに見せてね!」
「ぞ、ぞんな゛ぁ゛…でいぶたぢごんなにかわいそうなのになんでもっとやさしぐ…」
「だからぁ、それが良いっていってるんじゃない。バカなの?死んでよ」
「ゆ゛んや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!ぞんなひどいこどいわないでよぉぉぉ゛!!!」


「おい、なんかさっき呼ばなかったか?」
「うん!れいむがはしゃぎすぎて、けがしちゃったの!なおしてあげてね!」
「えぇ? うわ、ほんとだ。何したらこうなるんだ?
 まるでハンマーで殴られたみたいじゃないか…」
「おうごんのひだりのいりょくがどんどん「いく?」かべにでもぶつかったのでは?」

「れ、れいむはだいじょうぶですから、おちびちゃんをおふろにいれてあげてくだざい…」
「そうか?…まあ餡子も出てないみたいだし、大丈夫か。
 じゃあチビれいむ。風呂に入れてやるからついてきな」
「ゆん……」
こうして人間は再び、おちびちゃんと一緒に居間を出て行った。

部屋に残ったのは、「何日もつかな~♪」と鼻歌を歌うてんこ。
れいむに可哀相な物を見るような、哀れみの視線を向けるいく。
そして部屋の隅っこで、どうしてこうなったのかと静かに泣き続ける、体をヘコませたれいむだけだった。



部屋を出て風呂場へ向かう途中、俺は歩きながらずっと考え込んでいた。

どうにも調子が狂っているような気がする。
普段なら赤ゆを、てんこを基準にした力で蹴ったりすれば、死ぬ事ぐらいわかるはずなのに。
シュークリームの時だってそうだ。俺はそこまでうっかりしてない。
なのにどうしてこんなときに限って都合が悪く抜けてしまうのか。

まさか・・・いや、そんなはずはない。

もう深く考えるのはよそう。俺がすべきは、こいつらを満足させてやる事だ。
「なぁ、れいむ。この後また『する』んだけど、なにがいい?
 できればお前達の意見も聞いておいた方が失敗も少ないかもしれないだろ?」
「うるしゃいよ」
「…れいむ?」
「うるしゃいよ!!きゃわいいれーみゅをいじめようとしゅるじじいはだまっちぇちぇにぇ!!」
「おい、どうしたんだ?れいむ…」

また出てくる虐待の話に、とうとう赤れいむの不満が爆発した。
自分や母親がこんなにゆっくりできない気分なのも、元はといえばこの人間のせいだ。

「どうもこうもにゃいよ!じじいはことばがわからないにょ?おお、おろきゃおろきゃ!
 じじいはよけいなこちょかんがえにゃいでれーみゅのいうこちょきいてればいいんだよ!ぷきゅー!!」
「・・・」
「ぷひゅるるる。どうちたの?れーみゅのぷきゅー!がしょんなにこわかっちゃの?
 れーみゅがちゅよいっちぇわきゃったらおちょなちくどれいになっちぇにぇ!!」
騒いでいる赤れいむの声は思考に遮られて、途中から全然耳に入ってこなかった。

―――こいつ無理矢理湯船に沈めたら、どんな反応するかな…

「…おわぁ!!何を考えてんだ、俺は!
 いかんいかん。なんて恐ろしい事を考えるんだ。
 考えるな…普通に風呂に入れるんだ。沈めちゃダメだ…」
精神統一しながら風呂場へと向かう。勿論赤れいむの声など聞こえない。

「まっちゃく。はんろんもできにゃいにゃんちぇ、よわよわなくしょじじいだにぇ!
 こんにゃのこわがりゅにゃんちぇ、おかーしゃんもちゃいしたこちょにゃいにぇ!
 これきゃらはれーみゅがこきちゅかっちぇやりゅきゃら、よろこんでよにぇ!!」

調子に乗った赤れいむは際限なく罵倒する。赤れいむの中では、早くも自分が頂点に立ったらしい。
実際人間は(赤ゆから見て)逃げるように歩いているので、馬鹿が勘違いするのも仕方が無いのだが。

「きゃわいいれーみゅにきゃきゃればにんげんなんちぇひちょひにぇりだよ!
 しぇかいはれいみゅのものだにぇ!!ゆゆーんゆーん♪ゆゆゆにょゆー♪」
「俺はノーマル。俺アブノーマル……ちがうんだ、父さん。母さん。これには訳が……」
双方共に妙な幻想(幻覚?)を見ている様だが、この際それは気にしないでおこう。





――――――――――


親れいむの心配を余所に、入浴はつつがなく終わった。
不審な点といえば人間の様子が少しおかしかったくらいか。

さっぱりしたゆっくり一同は、殺風景な部屋につれてこられた。
壁にベルトのようなものが四つ埋め込まれてる以外は、押入れと冷蔵庫しかない。

ここは通称「てんこのどきどきしーくれっとるーむ」(てんこ命名)である。
要するに虐待専用の部屋だ。もちろんダサいので、その名前では誰も呼ばない。
用意されているのは虐待用の道具や、回復用のジュースのみである。

「さて、今日も虐待のお時間がやってまいりました。
 充実した虐待ライフをお届けする、お兄さんです」
「まってたよ!おにいさん!」
「いえーい、どんどんぱふぱふー」
「れいむしにたくないよぉ…」
(なしゃけないおやだにぇー。れーみゅをみならっちぇほちいよ)
てんこはノリノリで、いくさんは仕方なくといった様子で乗ってきた。
…もう少し快くしてくれよ。俺だって好きでやってんじゃないんだぞ。

「本日は土曜。それでもって新しい仲間を歓迎する意も込めて、
 サタデーナイトフィーバーを開催しようと思う!いくさん、頑張ってくれ!」
「おまかせください。じかはつでんとか、できますから」

そう。いくさんの最大の特徴として、電気を発生させる事ができるというのがある。
これも空気を読むことによる副産物、との話だが、自分でも原理はよくわかってないそうだ。

しかしそんなことは、てんこには関係ないらしい。
いくさんが電気を出せると知った瞬間に、興奮のあまり床一面がネクターでびしょびしょになった。
泣く泣くカーペットをクリーニングに出す俺を余所に、てんこはいくさんにしがみついている。
当のいくさんは俺に助けを求めるような視線を送っていたが、見なかったことにした。

結局、放っておいたてんこが一人で勝手にヘブン状態になり始めたので、
流石にヤバイと思った俺達が折れて、週に一回電気を思う存分浴びせる事になった。
てんこはともかくいくさんに負担が掛かるので、それが限度なのだ。
名前についてはある理由があってのことで、別に語感がいいから云々というわけではない。
土曜に設定したのは、まあ狙ったからなのだが。


「さたでー…ない……?」

「説明するよ!サタデーナイトフィーバーっていうのは、
 週に一回、土曜日に開催されるお祭りの事だよ!
 でも内容はてんこがいくの電撃を受けるってだけだよ!てんこによし、だね!」
「…なあ、いくさん。これも空気を読んだ副産物か?」
「いくはくうきをよむゆっくりなので、あえてここはなにももうしません…」
「大変だな。お前も……」
「およよよ、おにいさんほどではありませんよ」 「哀れむなよ…」

「じゃ、じゃあもしかしてれいむたちもでんきさんを…」
「まあそうなるな。でも安心してくれ。
 今までの失敗を生かして、まず最初にてんこに手本を見せてもらうことにする」
「まかせといてね!ひさしぶりでよだれがとまんないよ…じゅるり」
「(気持ち悪いなぁ…)それかられいむ達にやってもらうからな。
 なに、いくさんは空気が読めるゆっくりだからちゃんと加減してくれるさ。
 俺もこれには慣れてるから、ギリギリのところで痛めつけてやれる。問題ないぞ!」
「うぅ・・・」

今までとは違って、何をするか、どれくらいのものなのかをしっかりと話されている。
適当な言い訳で逃げることはできない。唯一の救いは、今度は死ぬ心配がないことくらいだろうか。

今から降りかかるであろう災厄を思って体を震わせているうちに、
てんこはすでに壁に貼り付けにされていた。準備万端だ。

「じゃあいくさん、やってくれ」
「はい。では……ふぃーばー!!」
足を開いて片足に重心を寄せて、片手を腰に、もう片方をあげて、天を指差す。
名前にサタデ~を付ける理由にもなった、例のポーズだ。
するとどこからともなく起きた雷のように強烈な電撃が、てんこを襲った。

「ゆきゃぁぁぁぁ!!ぎもぢいい゛よぉぉ!いだくてしびれあばばばばばば!」
早くも泡を吹き始めた。最初から全開だ。
「キャー、イクサーン」
未だによく分からないが、何故かあのポーズを見ると言わなければならないような気がしてならない。
実際にこの台詞を聞いた後のいくさんは、俄然やる気に満ちている。おまじないみたいな物だろう。

「も、もうすこしいけますよ!ふぃーばー!!」
「あばばばば・・・ふぃ、ふぃーばばばばばばばば!」
これでもてんこにとっては致命傷になりえない。
が、れいむたちなら簡単にはじけ飛ぶだろう。馬鹿でもそれくらいはわかる程の威力だった。

「あ…あぁ…やめて、れいむこんなのされたらしんじゃうよぉ……」
「ゆんやぁぁぁ!びりびりしゃんきょわいよぉぉ!!
 くしょどれいはちゃっちゃちょやめちぇにぇぇぇぇ!!」チョロチョロチョロ
あまりにも凄惨な光景に、自分がされているわけでもないのに錯乱するれいむたち。
実際に自分達がされるものとは、出力が段違いだと言う事も頭にはないようだ。

「よし、そこら辺でやめとこう!」
「は、はい!…ぜぇ、ぜぇ……」
「お疲れいくさん。ホレ、ジュース。
 今日はまだあるからな。まずは早めに切り上げよう」
「んっくんっく・・・ぷはぁ。だいじょうぶそうですか?」
「まあ、まず大丈夫だろうな。なんせてんこだし。
 一応ジュースかけにいってくるわ」

冷蔵庫からパックを取り出し、中身をてんこにぶちまけた。
風呂に入ったのが台無しになるがどうせこのあと疲れて、
全員入る気力がなくなるのだから先に済ませとこうという事だ。

磔のままぐったりしているてんこは、気を失ってもずっと小声で笑い続けている。
「ゆへへへへぇ…お兄さん…そんなところに突っ込んじゃ、てんこ壊れちゃうよ…」
「…起きろ!夢でも人に妙な事をさせんなっつーの!!」
「う……お兄さん?・・・おにいさん?あれ、みきさーさんはどこ…?」
予想より、恐ろしく嫌な意味で上を行っていたようだ。
が、これも毎度の事だ。冷静な自分に少しうんざりする。

「さて、次はお前達の番だな。どっちからにする?」
「ゆ…あ…れ、れいむは…」
「・・・・・・」
双方共に名乗りを上げない。当たり前だ。
あんなものを見せられて、誰が好き好んで名乗り出るものか。…一人を除いて。

れいむはもう、恐怖で我慢の限界だった。
少しでもいいから生き延びたい。おちびちゃんを犠牲にしてでもだ。
「お、おちびちゃんを「こいちゅをしゃきにしちぇにぇ!」 お、おちびちゃん!!?」
「こんなれいみゅをゆっきゅりしゃしぇないくしょおやはもういらにゃいよ!
 じじいたちははやきゅこいつをびりびりしゃんでころちて、
 きゅーとなれいみゅにあまあましゃんちょーらいにぇ!!
 はやくちろ、このくしょどれい!!でないとまちゃぷきゅー!しゅりゅよ!!」
「どおじでぞんなごどいうのぉぉぉ!!?」

この土壇場で裏切られた。あんなに優しくしてやったのに、このクソチビ…
「それなら、もうおまえみたいなげす、れいむからおことわりだよ!!
 にんげんさん!はやくこいつころして、かわいそうなれいむをゆっくりさせてね!!」
「にゃにいっちぇるにょぉぉ!!?このゆっきゅりでなちぃぃぃ!!」
「うるさいよ!おまえがさきにいったんでしょ!そんなこともわかんないの!?ばかなの!?しぬの!?」
「ゆがぁぁぁ!!もうゆるしゃにゃいよ!おいくしょどれい!はやきゅこいちゅころちぇ!!」

自分を棚に上げた二匹の醜い争いが繰り広げられるが、こちらにとってはそんなことは関係がない。
呆然としているお兄さんを余所に、てんこといくの二人は、標的を決めた。


「じゃあ、おちびちゃんいってみようか」 「そうですね。それがいいとおもいます」

「ゆっ!!?にゃ、にゃんでぇ……?」
「お、おい、二人とも…」
「ちいさいこにたのしみをゆずってあげるれいむはいいゆっくりだね!
 てんこもそうおもうからさきにおちびちゃんからやろうね!!」
「いろんはありません。そうりょうむすめさま、もうしわけありませんが…」
「わかってるよ!さ、おちびちゃん。てんこがしっかりしばってあげるからね!!」
「あ、それなら俺が…」
「いいからおにいさんは、そこでしじをおねがいします。
 かげんがむずかしいので、まちがいがおきないともかぎりませんから。」
「…ああ。わかったよ」

てんこはお兄さんから離れて、赤れいむを黙々と固定している。
「なにしちぇるの!れいみゅじゃなくちぇあいちゅをころちぇっていっちぇるんだよ!!?」
「黙りなさい」
「だりぇにむかっちぇくちきいちぇるにょ!?ゆっ・・・きゅち・・・」
「黙れと言っているのが聞こえないの・・・!」
「あ・・・あ・・・」
「言ってくれるもんね。クソ奴隷?誰のことかしら」
「じじ…「じじ?」…にんげんしゃんでしゅ…」

赤れいむは殺気を叩きつけてくるてんこを前に、一瞬で悟った。
こいつには勝てない。何があっても、どんなことをしても。
なら、こんな化け物を虐める事ができる人間は…?

「ご、ごめんなしゃい!れいみゅがわりゅかったでしゅ!」
「心のこもってない謝罪ほど意味の無いものもないわね。・・・ああ、あんたらの存在くらいかしら。
 安心なさいな。私はアンタに何しようとか考えてないわ。殺しもしないしね」
「ほ、ほんちょでしゅか…!?」
「本当よ。・・・ただし、死ぬよりも辛い目には遭ってもらうけど」
「ゆっ!!?」

「怒ってるのは、私だけじゃないってこと。
 いくは絶妙の加減を持って、アンタを苦しめるわ。覚悟しときなさい」
「しょ、しょんな・・・」
「万が一の事故も期待しない事ね。だって、今回はお兄さんも万全の態勢だもの。
 お兄さんは、これにかけては本当に達人級よ。ギリギリの所を見極めるわ。あんたは絶対に死ねない」
「た…たしゅけちぇくだしゃい!もうなまいきいいましぇんかりゃ!
 みんにゃにしゃからいましぇんかりゃ!かわいきゅなきゅちぇもいいきゃられいみゅをたしゅけちぇ!!」
「それはもうあんたの親の口から聞いたわ。二度目はないの。
 ゆっくり己の愚を悔やみなさいな。―――電撃地獄でね」

「ゆんやぁ!!ゆんやぁぁぁ!!!ごめんなしゃいぃ!おかーしゃん!だれきゃぁ!!」
親れいむは、当然ながらそっぽを向いていた。良い気味だとでも言わんばかりの顔だ。

「さ、おにいさんはじめようね!」
「え?ああ…でも助けてって」
「あんなにふんいきづくりまでするなんて、そうとうきたいしてるんだよ!」
「ならきたいにこたえなくてはいけませんね。……ふぃーばー!!」

先ほどのそれとは規模が大違いの、電撃というよりも電流が赤れいむを襲った。
「ゆんぎゃぁぁぁ!いぢゃいよ!あぢゅいよ!!れいみゅぢんじゃう゛よぉぉ゛ぉ゛!!」
「どう?いく」
「だいじょうぶです。よわくしてるのでつかれませんし、かげんもしやすいですね」
「よかった。じゃあおにいさん!ここからはまかせるね!」 「おねがいします」

「あ、ああ……あと一割、上げてみてくれ」 「はい。…ふぃーばー!!」
「あががががが!!だべが!おがーぢゃんば!?おどーぢゃんばぁ!!?」

「まだいけるな。あと二割」 「ふぃーばー!!」
「あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!あ゛っ!でっ!い゛っ!びゅっ!じっ!ん゛っ!・・・」

「ここらへんが限界か。いくさん、いけそうか?」 「はい。あとごふんはかるいです」

「い゛っ!ごべん゛なざい゛!でいびゅも゛うげんがいな゛ん゛でじゅ!!!」
赤れいむは無様に、泡を吹きながら命乞いをしている。
その姿を見て、俺は―――胸が高鳴ってしまった。


そうか。そういうことだったのか。
「・・・もう少し、いっとこうか」 「え?おにいさん、それでは…」
「かまわない。一瞬だけで良いから、全開にしてくれ」
「・・・?はい、わかりました……ふぃーばー!!!!」

「ゆ゛っ!!?ゆ゛っ!!ぎっ!!ゆびぇぇ゛!!!」『バン!!』
瞬時にいくの全力の高圧電流を流された赤れいむは、
一瞬腐りかけたトマトのように赤黒く膨れて、あっけなく破裂してしまった。
「ど、どおじで!?ころさないんじゃなかったのぉ!!?」
「なっ!?おにいさん、どういうことな…!?」

予想が外れたてんこは慌ててお兄さんを振り返った。
問い質そうとしたてんこが見たお兄さんは、 笑っていた。

「ははっ。そうだよ。こうすればよかったんだ。
 何でもっと早く気がつかなかったんだろう。
 ・・・そうか、そりゃてんこ相手じゃ無理だよなあ」

てんこには見えていた。お兄さんから噴き出す、圧倒的なオーラがっ・・・!!
「あ、あれはもしかして、愛虐(めぎゃく)鬼意山・・・なの・・・?」
「しってるのですか?てんこ!」
「ええ。以前、前のお兄さんの所にいたときに、少しだけ聞いたことがあるわ。
 ゆっくりをストレス解消の為だけでなく、愛をもって虐待をする、究極の鬼意山の事だと…」

「そんなものが・・・しかしそれは!」
「ええ。当然虐待と愛護は相反するもの。決して相容れないものよ。
 …でも、お兄さんは決してストレス発散の為に虐待をしていたわけではないわ。
 むしろストレスの種になっていたはずよ」
「あ、わかってたんですか。「何よ?」いえ。…ならばどうして・・・」
「これはてんこの推論だけど…きっとあのでいぶ一家のせいね。
 ゆっくりのことをよく知らなかったお兄さんは、だからこそゆっくりに優しくいられたのよ。
 でもあのゲス饅頭と接してる内に、きっと真の虐待心が芽生えてしまったんだと思うわ」
「はぁ・・・」

「自分で言うのも恥ずかしい話だけど、お兄さんは本当にてんこを愛してくれてたのね…
 お兄さんは今まで虐待を、てんこをゆっくりさせる手段としか見ていなかったんだわ。
 それじゃ虐待鬼意山としては目覚めないわ。虐待心なんて欠片も無いんだから。
 でもあのクソ生意気で、腹が立つでいぶ達を潰す事で快感に目覚めてしまったのよ。
 愛でお兄さんとしての穏やかな心を持ちながら、激しい虐待鬼意山へと変貌した者。それが愛虐鬼意山よ…!!」
(のってみたはいいものの、どこからつっこめばいいんでしょうか……)

「まさか本当に会える日が来るなんて、これなら・・・」
―――てんこの全てを、捧げる事ができるかもしれない。


「てんこ!」 「は、はいっ!」

「今まで随分と溜まらせていたみたいだな。済まなかった。
 …とても良い気分だ。まるで生まれ変わったような・・・
 これからは本気で、お前が嫌だと思えるほどに虐待してやる!
 心配する必要はない。安心しろ、俺の心は折れはしない。

 なぜなら俺の目的はゆっくりが苦しむ姿を見るのと同じくらいに、
 愛するお前の悦ぶ顔を見る事なんだからな! ついて来い、てんこ!!」

「お、お兄さん・・・「ご主人様だろ?舐めてんのか!!」はい!ご主人様!!
 もう隠さなくてもいいんですね!!てんこを・・・てんこを思いっきり虐めて!!!」

限りなくボルテージが上がる二人とは別に、冷静な者が一人。
(はてさて、どうしゅうしゅうをつけたものでしょうか…)

場の空気に流されずに止めた方がよかったのだろうか?とも少し考えたが、
(まあほっときましょう。しあわせそうですし、そういうのはやぼというものです)
すぐ諦めた。空気が読めるというのも、良いことばかりではないのだ・・・。


「任せとけ!!・・・と言いたい所だが、その前に、やる事があるな」
「そうですね、ごしゅじんさま!」
そう言って一斉に見た先には、 話についていけずに呆然としているれいむがいる。

「ゆ、ゆっ!!?なに?なんなの!?」
一匹だけ残った親れいむは、いきなり視線を向けられてオロオロしている。

「いや?用意されたゆっくりをちゃんと最後まで虐待しないのは、鬼意山の名折れだろ。
 ちゃんと済ませてからじゃないと次に行けないよなぁ?」
「そうですね!・・・ちゃんとゆっくりさせてあげないとね。えいえんに!!」

「ゆ、ゆわ…うぞでしょ…?ころさないっていったじゃない!」
「それはお兄さんの話だろ?今の俺は鬼意山だからなぁ。それはナシだ!」
「さあ、れーいーむちゃん、あーそびーましょ♪」

違う、れいむが憧れていたのはこんなものじゃないのに……

「い゛や゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!びりびりやだぁ゛!」
「ハッハッハ!安心しろ、ビリビリ以外にも沢山用意してあるぞ!!」
「いく、準備いい?今夜は長くなるわよ!!」

「…もうとまらないんでしょうね・・・わかりました!いま、まいります!」

彼らにとって今までの虐待は前座のようなものだ。
「「ヒャッハー!!虐待だぁぁァァ!!!」」
「やれやれ、もうひとがんばりしますか。・・・れっつ、ふぃーばー!!!」
「ゆ゛んや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!やべっ!いだいぃぃ!!びりびりじゃんあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」

真のフィーバーナイトは、これから始まる。







そして、一ヶ月が経った―――




人気がない公園の片隅に、破れた帽子をかぶった野良まりさがいた。
「ゆぐぅ…なんでかいゆっくりのまりささまがこんなめに…
 あのじじい、まりささまのばっじをとるなんて、いつかせーさいしてやるんだぜ!」

無論逆恨みである。単に素行不良で飼い主に見限られただけだ。

そんなまりさの前に現れたのは、一人の人間と、二匹のゆっくり。
ゆっくりは、世にも珍しい胴付きの、美しいゆっくりだった。

「ゆ…すごい……おいじじい!じじいはそこのゆっくりたちのどれいなのかぜ?
 なら、かいゆっくりになってやってもいいんだぜ!まりささまにばっじさんをあたえるんだぜ!」
「・・・」
「きこえないのぜ?まあそんなおろかなじじいもちゃんとつかってやるからかんしゃするのぜ!
 そこのびゆっくりたちは、まりささまのめかけにしてやるのぜ!!まりさのすっきりはすごいんだぜ!
 ついこのまえもばかそうなれいむをてんごくにつれてってやって、こどももくれてやったんだぜ!!」
「・・・キモッ」
「あ~ん?なにかいったのかぜ?まりささまはもともとかいゆっくりさまだったんだぜ?
 さからうととってもゆっくりできないことになるんだぜ!・・・きいてるのかぜ!?
 う゛がぁぁ!!むじずるなぁぁぁ!!!」

人間達は何も言わない。ただ、まりさの方に駆けて来た。
「な、なんなのかぜ!?そんなことしてもまりささまはおどろかないんだぜ!
 …とまらないといたいめみるんだぜ! ぷくー!「シュート!!」っひゅべぇぇ!!!」

「びぎゃぁぁ゛!!おぞらをとんでる……ゆ゛っ!?ばでぃざのすてぎなおぼーじがぁぁ゛!!」
ぷくー!と同時に人間に頬を蹴り上げられたまりさは、凄まじい勢いで回転しながら飛んだ。
飛んでいる最中に帽子は何処かへ行き、蹴られたときに開いた穴からは餡子が漏れ出し、ぐらついていた歯が軒並み抜け飛んだ。

「やべで!かぜざんがえじで!!おぼーじないどばでぃざ……ゆ゛え゛!?」
そのまま遠くへ飛んでいくと思われたが、軌道が急に変わり、まりさは直滑降する。
その先には当然地面があって、勢いよく地面に突き刺さったまりさは「びゅべぇっ!!」 潰れる事となる。


「ついに完成したか、怒雷舞シュート・・・!」
「怒雷舞シュート。お飾りやゆっくりの膨れた部分を取っ掛かりにして
 強烈な回転をかけて、ありえない軌道を描かせる強烈なゆっ殺シュート。
 成功すれば必ずゆっくりが死ぬという幻のシュートだよ…」
「…まあ、それはすごいですけど……」

「これを最初に喰らわせるのは、もちろんお前だ!てんこ!!」
「いいよ、ごしゅじんさま!まぼろしのゆっさつしゅーとのいりょく、みせてもらうよ!」
「フン、いくら強がっても体は正直だな。
 お前の足元、ネクターでびしょびしょだぞ!随分とはしたないじゃないか?」
「これはこわいんじゃないよ、うれしいんだよ・・・!
 さあ。きてね、ごしゅじんさま!これまでのしゅぎょうのせいか、てんこにぶつけてね!!!」
「うおぉぉぉぉ!!いっけぇ、俺の怒雷舞シュートぉ!!」
「うきゅぅぅ!ご主人様、素敵よ!!てんこのネットが突き破られりゅル゛ル゛ル゛ル゛ル゛ル゛!!」
「どうだ……『ゴズッ!』「ぶぎゅん!!」よっしゃ!見たか、てんこ!!」



俺が愛虐鬼意山として目覚めてからというもの、いくつものゆっくりを糧に、俺は鍛えぬいた。
だが、それでもきっとてんこの限界には届かないだろう。「うぐぅ…今のは効いたわ、ご主人様…」ほらな。
俺の技と共に、てんこのマゾッ気と耐久力も成長しているのだ。

正直あのまま虐待に目覚めないまま過ごすのと、今の生活を送るのと、
どちらが幸せになれたのか、俺にはまだ分からない。

が、今はそんなことを考えるよりも、やるべき事は沢山あるのだ。
さし当たっては、改良版の“風羅印愚怒雷舞シュート”の完成を目指すことにする。
どちらが良かったのか、判断するのは全てが終わってからでも十分間に合うだろう。

なぜなら

「まだまだ、俺の限界はこんなもんじゃないぞ!!」
「いいわ、ご主人様!てんこもう立ってられない!もっと激しく叩きつけて!」
「うおらぁぁぁ!!」 「むぎゅん!・・・ごひゅじんしゃま、次はあの木に」「うおらぁ!!」 「きゃいん!!」


この長く険しいゆ虐道を、俺はまだ登り始めたばかりなんだから!!



「・・・とりあえず、ふぃーばーいっときます?」


                                                 めでたしめでたし





 ・あとがき

 長えよ!あと、タイトルあんまり関係なかった。
 でもたまには何も考えずにバカな物書くのも良いなーって思いました。

 あと、台詞だけで書くと内容の割にすごく長くなる事に、今更気付きました。要精進です。

 では、ここまで読んでくださった方々に感謝を。

 どうも、ありがとうございました!

                                                 小五ロリあき





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感想

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  • デイブのくそちびあれイラってくる -- 2023-08-19 21:14:20
  • キャーイクサーン -- 2017-06-13 22:08:52
  • でいぶざまあみろ笑 -- 2016-08-28 20:38:01
  • イイハナシカナー? -- 2014-07-31 11:38:16
  • これはイイオチ -- 2014-07-20 10:44:16
  • なんかいいね。俺、SMとか心痛んで嫌いだけど、これはなんか面白い。 -- 2013-03-17 21:16:35
  • なんという幸せな2人www -- 2013-01-29 01:37:56
  • 最初の虐待鬼意参がかわいそうとおもったのは、おれだけ
    か?
    -- 2013-01-28 23:27:38
  • 怒雷舞シュートが無駄にかっこイイ -- 2012-09-17 16:33:46
  • 愛ゆえに・・・・・/// -- 2012-08-18 12:13:36
  • お兄さんキャラ変わりすぎwww -- 2012-07-19 22:18:42
  • てんこかわいい -- 2011-08-08 07:59:02
  • 幸せそうで何より -- 2011-05-11 17:45:12
  • てんこ可愛いなww 何と言うSMカップルw
    19さんも大変で御座るなwww -- 2010-10-16 14:59:40
  • てんこかわいかった。いくさん大変だなあ
    でいぶざまぁw -- 2010-09-11 18:36:33
  • ゆっくりって、ちょっとした事ですぐ損傷するから、このてんこちゃんみたく頑丈なのはいいな。 -- 2010-07-07 07:48:54
  • どMで腹黒なてんこがかわいかったです。次回作も期待してます。 -- 2010-06-06 15:08:43
最終更新:2009年12月11日 07:30
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