ゆっくりとお預かり 17KB
虐待-普通 理不尽 飼いゆ 野良ゆ 現代 虐待人間 飼いゆっくり(金バッチ)が酷い目に遭う描写ありです。
『ゆっくりとお預かり』
私はしがない虐待お兄さん。
今日は二連休最終日となる日曜日である。
だが私は敢えて朝寝坊はせず、まずは朝のスーパーアニメタイムを一通り満喫した。
アニメ鑑賞中には朝食も済ませる……この流れはもはや私の日曜の恒例行事となりつつある。
そして、アニメが全て終わった後のもう一つの恒例行事……愛犬・ミニチュアダックスのポチと散歩する時間となった。
平日は仕事がある為に散歩が不十分な事が多い分、休日はかなり時間をかけて散歩をするのだが……
「ゆっ! じじい、おそすぎるんだぜ! まりささまはまちくたびれたんだぜ!」
……ポチの横で偉そうに跳ねるバスケットボール大のこの糞饅頭は、どこにでもいるごく一般的なゆっくりまりさ。
強いて違うところをあげるとすれば、お隣さん一家の飼いゆっくりで、しかも金バッチってことかナー。
……そう、今私はゆっくりを預かっているのである。
この糞饅頭を私に託したお隣さん一家は、先日から一泊二日の温泉旅行に出かけている。
本来虐待お兄さんの家に飼いゆっくりを預けるなど「こいつ殺っといて」と言うようなものだが、悲しいかな私は小心者だ。
今まで虐待は人目に付かない所でしかやっていないので、お隣さんは私が虐待お兄さんである事を知らないのだ。
また、ポチとの散歩中に糞饅頭と散歩中のお隣さんと会う事も多く、ポチがゆっくりに友好的な犬である事を向こうは知っている。
それでお隣さんは私にゆっくりを預けても大丈夫と判断したらしい。
ゆっくりフードなど必要な物品は全て渡されているし、何より常々お世話になっているお隣さんの頼みは断れず、現在に至るのだ。
「じいい! はやくまりささまをおさんぽさんにつれていくんだぜ!」
……こんな糞同然の喋り方しか出来ないようだが、確かに奴のお帽子には本物の金バッチが光輝いている。
お隣さんの話では、この糞饅頭はペットショップでうん万円で売られていた、由緒正しき金バッチだったらしい。
しかしまあ購入後の躾けはお世辞にもうまくいっているようには見えず、お隣さんの息子・健太君(10)とはいい喧嘩仲間だ。
まあ健太君からしてみれば糞饅頭くらい生意気な方が遊び相手として丁度いいのだろうが、傍から見ている私はブチギレである。
先日から預かっていたもののその言動、態度に苛立ち何度虐待しようと思った事か。
糞饅頭は私がご近所付き合いを考え踏み止まる程度の理性を有していた事を感謝するべきなのだ。
「まりさ、まずはポチと散歩に行ってくるからな。お前は帰ってきてから連れて行ってやる」
「なにいってるんだぜ! まりささまはげすとさんなんだぜ! そんないぬさんはあとまわしだぜ!」
「昨日から言っているが、飯も散歩も古参からやるのが我が家のルールだ。ゲストだろうが新入りは後からなんだよ」
「まりささまのほうがいぬさんよりえらいんだぜ! じじいはそんなこともわからないなんてばかなんだぜ!」
「しばらくしたら戻るからゆっくり待ってろ」
……言い聞かせようなど考えるだけ無駄だ。私は自分がキレて虐待に及ぶ前に糞饅頭を残し、ポチを連れて散歩へと出かけた。
本当なら二時間はじっくりとぶらぶらしたかったのだが、糞饅頭の散歩もあるので僅か三十分で自宅へと帰り着く。
ポチには本当に申し訳ないが、お詫びに今度の休日にはドッグランに連れて行ってあげよう……
「まりさ、戻ったぞ。散歩の準備は出来たか?」
リビングに入り、ポチの首輪からリードを放してやると、ポチはダッシュでリビングの奥へと消えていく。
そして次は糞饅頭に首輪とリードを付けようと準備をするが……おかしい、静か過ぎる。
今までのパターンだと「おそいんだぜ!」と悪態をつきつつも出迎えてきていたのに、何の反応もない。
「ワン! ワンワン!」
そしてリビングの更に奥、台所から響くポチの叫び声……心の底から嫌な予感しかしない。
「まりさ、どうした? まりさ……」
「ゆ゛っ……」
台所に入って、私は全身から血の気が引いていく感覚を久しぶりに感じた。
そこには、ひっくり返った台所のゴミ箱の前で、口から多量の餡子を吐いて痙攣する糞饅頭の姿があったのだ。
「やりやがったな、糞饅頭が!」
糞饅頭を台所の流し台に置き、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出し、あるだけ全部ぶち撒ける。
「ゆ゛っ……あばあば……」
……気持ち回復したようだが、本当に気持ちだけだ。
ひっくり返ったゴミ箱の傍にある奴が吐いた餡子の量は、致死量に限りなく近い。
ここ数日の私の食事はかなり辛い物が多く、当然ゴミ箱の中の残飯もそうだったのだ。
そんな物をもろに食べてしまっては、温室育ちの金バッチでは多量に吐くのは当然の事。
かといって吐いた餡子を口に戻そうものなら、餡子の中の辛味で今度こそ絶命必至だ。
「くそっ、今まで悪さをしてないからって信じた俺がバカだった!」
言い訳がましいが、この糞饅頭は確かに言動こそゲスそのものだが、我が家に来てから一度も粗相はしていなかった。
入るなと言った場所には悪態をつきつつも入らず、物を壊したり、食べ物を勝手に食べたりもしない。
体格的に自分よりずっと劣るポチをいじめたりもしない。本当に悪いのは口だけだったのだ。
幾ら言動が酷くなろうと本質的には金バッチなんだ……私も言動にはブチギレだったが、内心認めていないでもなかったのに……
……そうだ、きっと糞饅頭もストレスがマッハだったのだろう。
大好きなお隣さん一家と一日以上会えず、我が家では一番下扱い……我慢の限界を超え、ついに暴挙に出てしまったのだ。
思えば奴も被害者だ。お隣さんには、不幸な事故としてよく謝って……
「ワン! ワン!」
ポチに吼えられハッとする。
糞饅頭はまだ生きている。今はお隣さんへの言い訳を考えている場合ではないのだ。
お隣さんにとっては大切な家族である糞饅頭。
良好なご近所付き合いを続ける上でも、死なせる訳にはいかない。
「よ、よし、こいつは餡子を多量に吐いて死にかけているから……必要なのは、新しい餡子! だな、ポチ!」
「ワン!」
……飼い犬に同意を求めるとはテンパリすぎにも程がある。
まあ、ゆっくりを死なせたら大変な事になるなんて状況は滅多にないせいだが。
しかし糞饅頭を助ける為にするべき事は決まった。要は新しい餡子を糞饅頭に補充してやればいいのだ。
私はポチに糞饅頭を見守るよう託し、近所の公園へと走った。
「ゆっくりしていってね!」
「「ゆっくりしていってね!」」
公園に足を踏み入れ、開口一番に叫ぶ。
するとどうだ、以前殲滅したというのにいつの間にか公園に住み着いていた、新たなゆっくり共が声を返してくる。
がさがさと茂みから姿を現したのはバレーボール大のれいむと……ビンゴ! まりさの番だ。
「ゆゆっ! じじい、ここはまりさとれいむのゆっくりぷれいすだよ! ゆっくりでていってね!」
「あまあまもちょうだいね! いっぱいでいいよ!」
「ゆっ! あまあま!? じじい、まりさはけーきさんがほしいよ! ……ゆわーい!おそらをとんでるみたい!」
相変わらずこの公園はゲスが住み着くことに定評がある。
しかしながら今は非常事態。ゲスといえども立派な餡子供給源になって貰わなければならないのだ。
万が一拒絶反応とかがあったら嫌なので、糞饅頭と同じ種族であるまりさを掴んで持ち上げる。
野良であるまりさはもの凄く汚いがこれもお隣さんの為。我慢である。
「ゆゆっ! まりさいいなあ! じじい、れいむもおそらをとばせてね!」
「……まりさ、よく見ていろよ?」
「ゆ?」
「なにいってるの!? まりさだけじゃなくてれいむもぶっ!?」
きょとんとするまりさを尻目に、私は足元で喚くれいむの顔面を蹴り上げた。
歯が八本は吹っ飛び、口から餡子を垂れ流して木に激突するれいむ。
「ゆっぎゃあああああああああああ!?」
「ゆわああああああああああ!? じじい、れいむになんてことするのおおおおおおおおおお!?」
蹴り飛ばされたれいむの叫びと、呆然と見ていたまりさの叫びは、れいむが木に激突して数秒後に見事にシンクロした。
「い、いだいいだいいだいいい! はなせじじいいいいいいいいい!」
これまでの抱えるような持ち方から一転、まりさの薄汚い金髪を左手だけで掴んで持ち上げる。
髪の毛から垂れ下がるまりさの胴体……まるでネットに入れたスイカを持っている気分だ。
まあ、スイカはぐりんぐりん動いて暴れたりはしない訳だが。
「はなぜはなぜはなぜえええええええ! ……いだっ! いだい! かみのけざんいだいいいいいいいいいいいい!?」
私から逃げようともがく程に自分の髪の毛が引っ張られて痛いだろうが、かわいそうなので黙っておいてあげよう。
「……ぼう……やだ……でいぶ……おうぢがえる……」
まりさを宙ぶらりんにしたままれいむの元へ向かうと、案の定れいむからおうちかえる宣言が飛び出した。
もちろんそんなものは無視してれいむを仰向けに寝せる。
多少じたばたと暴れたが、空いた右手でれいむの左目辺りを殴ったら大人しくなった。
「どぼ……じで……ごんなごど……」
「もうやめでねええええええ!? でいぶをいじめないでねえええええええええええええ!?」
ズタボロになったれいむをまりさに見せ付けてやると、まりさはもうやめてと懇願する。
ゲスにしてはなかなか番思いなものである。もしその思いやりをほんの少しでも人間に向けられれば違っただろうに。
「なあまりさ、お前がもし餡子を貰えるとしたら、甘い方が嬉しいか?」
「いまぞれがんげいないでしょおおおおおおおお!? でいぶをだずげでよおおおおおおお!」
……足元にあった木の枝を拾い、無言でれいむの陥没した左目に突き立てる。
「ぴぎゃあああああああああああああああああああああ!?」
「ゆんやああああああああ!! でいぶのおべべがあああああああああ!?」
「質問に答えろ、まりさ。餡子を貰えるなら甘い方が嬉しいか?」
「う、うれじいでず! だがらでいぶをだずげでえええええええええ!」
うむ、思ったとおりの答えを得る事が出来た。
これから糞饅頭用の餡子を確保する訳だが、どうせなら少しでもクオリティの高い物を用意したいと思うのは人情だ。
ゆっくりが何よりも大好きなのは甘い物……それは例え食べ物としてではなく、体内に直接補充するとしても変わらない筈。
そこで餡子供給源になってもらうこのまりさには、出来るだけ多くのストレスを与えて甘くする事にした。
まりさが番を即座に見限るゲスならば今のれいむのポジションにシフトしていたが、珍しく仲間思いな奴だったので好都合だ。
ここはこのれいむを徹底的に虐待し、まりさには無傷のまま甘い餡子を体内に備蓄させる。
「……なあ、まりさ。お前が生まれてから何日経つかわかるか? お日様が何回昇った?」
「ゆ、ゆ!? い……いっぱいでず!」
いっぱいです……まあ、私だって同じ質問をされたらそう答えるだろう。
質問が悪かった気もするが、野良が三より大きな数字を数えられない事など百も承知だ。
「とりあえず百日という事にしよう。じゃあまりさ、お前の所望したケーキ……生誕百日を祝うバースデーケーキをあげよう」
まりさを左手で掴んだまま屈み込み、地面を見渡す。
そして私は大きいもの、小さいもの、太いもの、細いもの……様々な木の枝を空いた右手で拾い、足元に集めた。
「これ百本もあるのか? ……まあどうでもいいが」
「じじ……お、おにいざん! ぞのえだざんどうずるんでずが?」
「あれだ、ローソクがないから代わりにな。ソイッ」
「ゆぎゃああああああああああああああ!?」
「でっ……でいぶあああああああああああ!?」
ぷすりという間抜けな音を立て、仰向けにされたれいむの右頬に一本の枝を突き立てる。
長さにして十センチもない実に細々とした枝なのだが、饅頭の皮相手ならばロンギヌスの槍みたいに軽々と貫通してくれるのだ。
「やべでぐだざい! でいぶのほっぺさんささないでえ!」
「いやいや、とりあえず今拾った分は全部刺すから。ソイッ」
「ゆぎい!」
「でっでいぶううううううああああああああ!」
バランスが良くなるように今度は左の頬にも一突きしてやる。
そしてそこから円を描くように、れいむの口の周りにも次々と枝を突き刺してやった。
バースデーケーキのロウソクに見立てているつもりなのだが、れいむ自身が球体なせいか、どちらかというとウニに近い。
「やべで……ぼうやべでぐだざい……」
別の生物へと化しつつあるれいむを直に見せ付けられ、まりさの声に段々ハリが無くなってきた。
ここまで番思いな野良は本当に久しぶりである。今日は実に虐待日和ではないか。
「ゆぎっ……」
そして刺されているれいむだが、こちらの反応もどんどん鈍くなってきている。
まあかれこれ三十本以上は体中に枝が突き刺さった状態なので、無理も無いが。
「ばりざ……だずげで……ゆぎゃあああああああああ!?」
潰さずに残しておいた右目に枝を突き刺してやる。おお、頑張ればまだ叫べるようだ。
「でっでいぶううううううう! おにいざん! もうゆるじであげでぐだざい!」
「いやいや、これからがいい所だろ……あ、でももう枝がこれだけか」
久しぶりの上玉に私の心も躍っていたのだが、残念ながら枝が最後の一本になってしまった。
だが、これがまた長くて太い。名付けるならグングニルである。
「……おにいざん! ごべんなざい! それだげはやべでぐだざい!」
「よし分かった、これで最後にしてやる。その為におでこにはまだ一本も刺してないからな」
れいむの眉間に照準を合わせ、右手で力一杯突き刺す。
「ゆ゛っ……」の一言を残し、れいむはそのまま一切の活動を停止した。
どうやら無事中枢餡に直撃したようだ。きっちり最後の一本で死んで何よりである。
「ゆっ……ゆわああああああああああ! でいぶっ! でいぶあああああああああああああああ!!」
流石にまりさもダメージが致命的であると察したのか、今までに無い力でばたつき、そして号泣してしまった。
これだけでも付近の枝を拾い集めた甲斐がある。休日のよいストレス解消だ。
「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおおおおおおおお!?」
物言わぬれいむを見つめながら訴えるまりさ。どうしてと言われても、虐待お兄さんが虐待を行うのは当たり前である。
……だが待てよ、考えてみれば私は糞饅頭の餡子を確保する為に虐待をしていたのではないか。
途中からまりさの反応が楽しすぎてすっかり忘れていた。ていうか糞饅頭はまだ生きているだろうか?
「まりさ、お前には今から家に来て貰う。そしてお前の餡子を死にかけている糞饅頭の為に全部使ってやる」
「いやだああああああああ! ばりざのあんござんどらないでええええええええええ!」
「お前みたいな糞同然の野良の餡子でも飼いゆっくりの役に立てるんだぞ? 光栄に思って死ね」
「だずげでえ! ばりざのあんござんはおいじぐないよおおおおおお!?」
「不味いのは分かってる。はっきり言って店売りに比べたら野良の餡子なんて……ん?」
……待てよ。今私は何と言った?
店売り…… 店 売 り ……
……そうだ、最初から買えば早いじゃないか……
大体野良の餡子の品質はすこぶる悪い。そんな物を金バッチを取るようなゆっくりに移植したら、激しく品質が落ちてしまう。
嗚呼、テンパるとこんな当たり前の事に気付くのにこんなにも時間がかかるものなのか……
呆然とまりさを掴んだ左手を離すと、まりさは私に振り返る事なくれいむの傍に駆け寄り、すすり泣く。
「……えーと、まりさ……おつかれ」
とんだ無駄足に付き合ってくれたお礼に、私は一踏みでまりさを絶命させてやった。
まりさが弾けた瞬間、周囲はとても甘ったるい餡子の匂いに包まれた。
公園備え付けのゴミ箱にまりさとれいむを片付けた後、私はその足で近所のペットショップに来ていた。
普段はポチ関連の餌や遊具を買う店なのだが、今日は普段見向きもしないゆっくりコーナーへと直行。
一kg五千円(!)のゆっくり用高級餡子を始め、治療用オレンジジュースや小麦粉を手に取り、そそくさと買い物を済ませた。
……糞饅頭が金バッチじゃなければ全部安物で済ませたのだが。
そんなこんなで我が家に帰宅。ポチが心配そうな顔をして出迎えてくれる。
……さすがに絶命してしまったかという不安が頭を過ぎったが、流し台では半死半生の糞饅頭が佇んでいた。
さすがに半端ではない生命力を誇るゆっくりである。
オレンジジュースを大量にかけておいたとはいえ、よくぞ生きていたものだ。
「まりさ、しっかりしろよ。今から治療してやるからな」
「ゆ゛っ……」
私は糞饅頭をまな板の上に移動させると、糞饅頭をうつ伏せにさせた。
台所用はさみで後頭部の一部の髪を切り、大匙で直径十cm程度の穴を空けるようくり貫く。
糞饅頭は呻いたが、瀕死の状態なので殆ど抵抗はされなかった。
続いて買ってきたゆっくり用高級餡子を大匙で一杯ずつ、くり貫いた穴から糞饅頭の体内へと放り込む。
その際に中を覗いて見ると結構空洞が目立っている。吐いた餡子の量を考えれば当然ではあるが。
一袋を入れ終える頃には、糞饅頭は吐く前とほぼ同じ大きさにまでなっていた。
あとはオレンジジュースで溶かした小麦粉で空いた穴に栓をし、アフターケアはばっちりである。
穴が開いた場所の上からは糞饅頭の髪が垂れているので、跡が見つかる事はないだろう。
「……ポチ、糞饅頭を見守っていてくれてありがとう。手術は成功だ……!」
「ワン! ワン!」
私の表情に糞饅頭の生還を読み取ったのか、ポチは尻尾を限界まで左右に振って喜びを露にしてくれた。
そして夜の七時過ぎ、我が家のインターホンが鳴り響いた。
「ワン! ワンワン!」
「帰って来たんだな、お隣さん」
ポチが真っ先に玄関へ走り、次いで私が、更に後に糞饅頭が玄関へ向かう。
「只今戻りましたー。まりさの面倒を見て頂いてありがとうございました。これ、温泉のお土産です!」
ドアを開けるとお隣のご主人と奥さん、それに健太君のお隣さん一家が揃い踏みで待っていた。
そして渡されたのは温泉饅頭やご当地の漬物……結構な量である。
まあ、ペットを預かって貰ったからだろうが。
「まりさ、元気してた!? 温泉すっげー気持ち良かったよ!」
「まりさ、あなたへのお土産もちゃんと買ってるからね!」
「ああ、まあ、その……ほらまりさ、ちゃんと挨拶しなきゃ」
「ゆゆっ! おかえりなさいおとうさん、おかあさん、けんたくん! ゆっくりしていってね!」
……シーンと静まり返るお隣さん一家。
あれ、まりさって語尾に「だぜ」とか付けてなかったっけとか、そもそもこんなに礼儀正しかったっけとか、そんな顔を浮かべている。
「……ま、まりさ、ただいま。……あれ? まりさってこんなキャラだったっけ?」
「まりさはまりさだよ! けんたくんたちがかえってきて、まりさうれしいな!」
「え……?」
まずい、どんどん困惑するお隣さん達。
だがそれも当然である。治療を終えて意識を取り戻した糞饅頭は、性格が"リセット"されていたのだから。
私が糞饅頭の治療に使った餡子は、正真正銘金バッチ用の高級餡子だった。
基本的にゆっくりの質は中の餡子の質と言っても差し障りは無い。
元々ペットショップで金バッチとして売られる程の糞饅頭は、飼われて以降の甘やかしでゲス化していただけで元の品質は高かった。
そんななかで体内の言わばゲス餡子が排出され、高品質な餡子が代わりに補充された結果、糞饅頭の性格は一気に改善されたのだ。
……多分、そんな理由だろう。ゆっくりだし。
しかし、今になってこの状況がまずいのではないかと気付く辺り私はやはり抜けている。
預けている間にゲスになっていたらブチギレだろうが、かといってここまで性格が変わってしまってお隣さんは何を思うのか。
こんな事なら、せめてだぜ口調になる程度に教育しておいた方が良かったのでは……
「まりさ! そうかそうか、このお兄さんに躾けて貰ったんだな!」
……おや? 今ご主人がいい事を言ったような気がする。
「本当ね! まるでまりさが初めて家に来た時みたい!」
おお、奥さんもいい事を言ってくれている。
「すみません、まりさを預かって貰っただけじゃなくて、躾けまでして頂いて!」
「最近まりさはちょっと態度が気になっていたんで、本当に助かります!」
「あ、いえ、私は別に大した事は何も……」
いい事言う所か感謝されまくりである。さすがにちょっと申し訳なさすら感じてしまう。
元はといえばこっちの不手際で死なせかけ、性格だって変わってしまったというのに。
「ありがとう、お兄さん! まりさがとっても賢くなったよ!」
やめてくれ健太君。今日一日の行動を知られた日には私はこの一家には顔向け出来ないのだが。
「おにいさん、まりさのめんどうをみてくれてありがとうございました! いぬさんもゆっくりしていってね!」
「ワン!」
ああ、糞饅頭にお礼を言われた上にポチも仲良くしている……いいのだろうか? 本当にこれでいいのだろうか?
「よし、じゃあ皆、家に帰ろうか。まりさ、帰ったら温泉饅頭を食べような!」
「まりさには温泉卵もあるからね!」
「ゆわーい!」
……だがまあ、糞饅頭の性格がクズだったのも元はといえばお隣さん一家の甘やかしが原因である。
多分この後散々甘やかされるのだろうし、案外近いうちに元通りの糞饅頭が出来上がるのかもしれない。
「それでは、私達はこれで」
「またいつか預かっていただけたら助かります」
……最後に何か凄く恐ろしい一言が聞こえた気がしたが、聞こえなかった事にしてお隣さん一家に別れを告げる。
「……ポチ、散歩行こうか」
「ワン!」
そして、最後まで尻尾を振ってお隣さん一家を見送るポチを連れて、夜の散歩へと出かけて行った。
【完】
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 事実を伝えても平気では?
こちらの被害&対応(レシート付き)を教えれば、「一般教養のある人間」ならば、
飼いゆのゲス行動で迷惑を掛けてしまったとわかるはず。 -- 2018-01-07 13:43:53
- 無限ループするんですねわかります -- 2014-03-21 00:20:56
- …百均の餡子でいいんじゃね?とか思った。百均の餡子意外とめちゃ美味いし。…美味いだけじゃだめか -- 2012-11-11 20:32:34
- 面白いwww
-- 2011-09-21 14:49:40
- 野良のあんこを入れなくてよかったね、もし入れてたら、悲惨な目に会ってたかも -- 2010-12-13 01:29:51
- 面白かったwww
人様の飼いゆっくりが悲惨な目にと書いてあったから警戒したが、
良い話じゃねぇのww -- 2010-11-22 22:34:15
- 面白かった -- 2010-06-15 00:24:53
最終更新:2010年02月28日 20:12