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虐待-普通 理不尽 調理 ツガイ 現代 独自設定 バレンタイン
贈り物
※虐待薄め
※視点がころころ変わって読みづらいかも
1 虐チョコ
同じ職場にずっと気になっている人がいる。
しかしなかなか親しくなるきっかけがない。
そこでバレンタインデーに俺から彼女にチョコを渡すことにした。
ゆっくりを使った逆チョコならぬ虐チョコだ。
休日を利用して、材料集めに向かう。
ちぇん種は準通常種として比較的安価でペットショップなどで扱われているが、味は個体差が激しい。
通常野生のゆっくりは衛生面や未消化物の混入などの問題があるため、食用に使うのは避けられている。
その点実ちぇんのチョコレートは野生でも癖がなく、
独特のすっきりした甘味があるためお菓子の材料などによく使われている。
一説では、生まれた直後に実ゆが食べる茎に雑味成分が入っているとも言われ、
純粋な実ちぇんのチョコレートは茎に成っている時期にしか採れない。
このため通常のゆっくりに比べてコストが高くなり、
工場などで大規模に生産する以外の方法が難しい。
個人がちぇんを繁殖させて実ちぇんを採ろうとしても
一回に採れる量が5~6匹で少なすぎるため、
お菓子屋さんなどで買い求めるのが普通になっていた。
俺の場合、渡す人は彼女だけなので、実ちぇんは少なくていい。
野生のちぇんを捕まえてきて、適当なゆっくりとすっきりーさせる。
できた実ちぇんをチョコの材料に使えばいい。
夜、冬眠に失敗した野生のゆっくりたちがいる森に俺は来ていた。
おそらくその群れは春を待たずに全滅するだろうが、
その前に少しちぇんを拝借することにした。
懐中電灯で辺りを照らしながら進んでいくと、
獣道の途中で二匹のまりさが喧嘩をしていた。
「まりざがじゃまするからおぼうしがとんでっちゃったでしょぉ~!」
「まりざわるくないのぜ! あのおさがわるいのぜ!」
二匹とも帽子をつけていない。
野生にしては珍しいが、仲間割れで失ったのだろうか。
おさげで相手を叩いたりかみついたりして取っ組み合っている。
一匹のまりさのおさげをつかんで持ち上げた。
「おそらをとんでるみたい!」
「にんげんはじゃまするなだぜ! このまりさはまりさがこらしめるんだぜ!」
手に持ったまりさを地面のだぜまりさに振り下ろす。
「ゆべ!」
「ゆぎゃあ!」
二回目で餡子が飛び散り、
三回目で歯が折れて目が飛び出した。
四回目で手に持ったまりさのおさげがちぎれて、二匹とも虫の息になっていた。
「いぢゃいぃ……」
「ばりざのおめめざんどこいっだの……ででぎでねぇ……」
とどめに二匹を潰すと、冷たい風が吹いて、くしゃみが出た。
出来る限り厚着をしてきたが、気温は下がる一方だ。
早めに用事を済まそう。
しばらく歩くと大きな梅の木が見える場所に出た。
ここに来るまでは見なかったが、この場所にだけ生えているのだろうか。
梅の花が一輪だけ咲いていた。
近くの巣穴を覗くと、ゆっくりのつがいがいる。
れいむとまりさのつがいだった。
二匹ともぐっすりと寝ていて、その側には赤ゆが四匹いる。
赤まりさと赤れいむが二匹ずつだ。
れいむの頭にはなぜか茎がついていた。
この時期にすっきりをするとは、無計画にも程がある。
そのまま放置してもいいが幸せそうな寝顔が妙にムラムラきたので、
周りの土を集めて巣穴の入り口を塞いだ。
上に大きな石を転がして乗せれば冬篭り用結界の完成だ。
ただし内側からはどうやっても開けられない。
俺はその場を去った。
梅の木の根元に近づくと、二匹のゆっくりが眠っている。
ちぇんとみょんのつがいだった。
ちぇんの頭にも茎がついていて、実ちぇんが成っている。
この群れはすっきりしまくっているのか? と俺は不思議に思った。
しかしまあ、丁度いいや。
そっと手を伸ばして茎をもぎとる。
するとみょんが目を覚ました。
「みょんのおちびちゃんになにするみょん!」
「いてっ」
小さな枝をくわえて、必死に俺の手に突き立ててくる。
冷えた指に固い枝の感触が少し痛かった。
俺は小枝を掴んで、みょんの口の中に押し込んだ。
「むぐっ!」
みょんの後頭部らしき場所から枝の先が突き出る。
人間で言えば延髄を貫かれた状態だが、
中枢餡を傷つけるには至らなかったらしくまだ生きている。
「おちびちゃんとちぇんはっ、みょんがまもる、みょん……」
中身を吐きながらこちらをにらみつけるみょん。
死にかけの体でなお人間に抗おうとする姿は勇ましいが、
串刺しにされて宙吊りになっている状態では滑稽なだけだった。
手首をひねってみょんの口の中に指を入れる。
五本の指を全て押し込むと、中で握りこぶしを作った。
みょんの口が目いっぱいまで広がり端が裂ける。
「ゆぐふぐごぉぉ!!」
そのまま手を広げると伸ばした指が皮を突き破った。
口の端の傷口が広がり、みょんは真っ二つになった。
下半分がぼとりと地面に落ちる。
ちぇんも目を覚まし、周りの惨状に気付いた。
つがいのみょんは上顎から下がなくなっており、
頭の茎は人間に奪い取られている。
「みょおおん! どぼじでぇぇ! わぎゃらないよぉ~!」
ちぇんの帽子で手を拭く。
「やべでね! ちぇんのおぼうしがぁ~!」
帽子がなくて寂しがっているようなので、
帽子の代わりにみょんの上半分を頭に乗せてやった。
「ゆわ゛あ゛あ゛ぁぁ~!!」
半乱狂になっているちぇんを軽く殴って大人しくさせる。
チョコを吐いて苦しがっているが、死にはしない。
家に持ち帰り、野良まりさとすっきりーさせた。
ちぇんは拒んだが、ハッスルしているまりさに押しかかられて、
結局実ゆを実らせてしまった。
「みょん、みょん、どこいったの……わからないよ……」
まりさに後ろからすっきりをさせられている間、ちぇんはずっとみょんの姿を探していた。
巣穴で起こったことがいまだに信じられないようだ。
見て見ぬふりをして茎をもぎ取ると、実ちぇんをいただいた。
お菓子屋さんで買ってきたものも含めて、これで材料は揃った。
グラニュー糖と水飴に水を加えたものを鍋で充分に熱し、
ブランデーの入ったボウルに注ぐ。再びボウルから鍋に移す。
むやみに攪拌しないよう、容器を移し替える過程で自然に混ざるようにする。
できあがった液体をスポイトに入れて、足焼きした実ちぇんの中にひとつひとつ詰めていく。
「おちょーしゃん、おきゃーしゃん、どこぉ~!?」
「にゃんでうごけにゃいにょぉ~! わきゃらにゃいよぉ~!」
そのうち、もともとろれつの回らない赤ゆの口調がさらに怪しくなってきた。
「にゃ、にゃんだかきもちよくなっちぇきちゃよぉ~」
「おちょら! おちょ! とんぢぇる!」
ブランデーが中のチョコと混じって、実ちぇんは正常な活動ができなくなっていた。
そのうち中枢餡が溶け出して、実ちぇんたちは静かに永遠にゆっくりした。
冷蔵庫で冷やせば、即席ブランデーボンボンの出来上がりだ。
お菓子作りなんてやったことがないのでこれが精一杯だが、
無事に気持ちが伝わればいいのだが。
完成したちぇんを箱に詰めて、俺は当日を待った。
2 バレンタインですっきり
時間は少し戻り、男が群れを訪れる前。
長のぱちゅりーはない頭を抱えていた。
保存のきく食料が集まらなかったこの群れは冬篭りができず、
今まで全滅こそしなかったものの、凍死するゆっくりは後を絶たない。
次にもう一度気温の低い日が来たら全滅する可能性もある。
そしてもう一つ深刻な問題が群れにはあった。
深刻な食糧不足である。
2月も半ばにさしかかろうとするこの時期、山でとれる餌は少ない。
「むきゅ~ん、どうすればいいのかしら」
ぱちゅりーは群れのゆっくりたちを集めて、意思統一をはかることにした。
森の木々が開けた場所に様々なゆっくりたちが集まる。
「かわいいれいむのおちびちゃんにゆうっせんってきにごはんをあげてね!
ごはんが足りないならまりさがとってくるよ!」
「どぼじでそんなこというのぉぉ~!」
「んほぉぉぉ! すっきりできるならごはんなんていらないわ! んっほおぉ!」
「わからないよ~!」
「ちーんぽ」
ゆっくりたちは各々の主張を繰り返すが、有意義なものは一つとしてない。
見かねたぱちゅりーが宣言した。
「しょうがないわ、すっきりーをきんしします」
群れが一瞬静かになったかと思うと、あちこちから悲鳴があがった。
「どぼじでぇぇぇ~!?」
ぱちゅりーが諭すように話し始める。
「むきゅ、あかちゃんが生まれるとそのぶんごはんもひつようになるわ。
でも、いまはわたしたちが食べるぶんだけでせいいっぱいなのよ」
「そんなのまりさがとってくればいいでしょっ!
れいむはりっぱに子育てしなきゃいけないんだよ! りかいしてね!」
れいむは群れの状況を理解せず、自らの子供を増やし育てることだけを主張した。
ぱちゅりーがたしなめる。
「あなたが子育てをしても、むれ全部がゆっくりしてしまったら誰がえさをとってくるの?
あなたはえさをとれないし、おちびちゃんもまだかりはできないでしょう」
「ゆうう! なにをいってるのかわからないよ!?」
「……そうね、あなたにはむずかしかったかもね」
ぱちゅりーは諦めて話を進めた。
「とにかく、すっきりーはきんし。けっこんっもだめよ。わかったわね」
「は~い……」
「どぼじでぇ~!」
消沈した雰囲気の中で、れいむの叫び声だけが空しく響く。
木の陰からその様子をうかがっている人間がいた。
男が群れを訪れる前に、同じように群れに来たもう一人の人間だった。
その手には手袋がつけられている。
人間は離れたところからじっとゆっくりたちの様子をうかがっていた。
やがて集まったゆっくりたちが各々の巣穴に帰りだすと、人間はその後を追った。
森には、一本だけ梅の木があった。
ここ数日の暖かさで花を一輪だけ咲かせているが、それ以上は増えていない。
夜になり、昼間に騒いでいたれいむとまりさは巣穴の中にいた。
それは、梅の木の近くの巣穴だった。
まりさは赤ゆたちを寝かしつけている。
「ゆぴ~。ゆぴ~」
幸せそうな顔をした赤ゆの寝顔が横に四つ並んでかすかに上下している。
赤まりさと赤れいむが二匹ずつだった。
「おちびちゃんたち、やっとす~やす~やしたのぜ」
「ゆふ~ん、ま・り・さ。すっきりしよぉ~」
「ゆゆ? なにいってるの? おさがすっきりしちゃだめっていってたでしょぉ!?」
「れいむは今すっきりーしたいんだよ! どぼじでそんなこというのぉ~!?」
れいむが自分の言い分を通そうとするが、まりさは拒んだ。
体を押し付けて迫るれいむを何とか避ける。
れいむが迫るとまりさが避ける、の繰り返しだった。
二匹がぬとぬとと揉めているところへ、巣の外から声が聞こえた。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆゆ! だれなの?」
まりさたちが入口をみると、そこには一匹のゆっくりがいた。
いや、それは先ほどの人間だった。
人間は、ゆっくりの姿を模した手袋をつけていた。
ゲームセンターの景品にありそうな安物だった。
その手袋をつけた手だけを、小刻みに動かしながら声色をつかう。
巣の中のれいむたちには、まるで手袋が喋っているかのように見えていた。
「ゆっくりしていってね!」
「ゆぎゃぁぁ! こないでねぇ~! まりざはおいじぐないよぉ~!」
「ゆうぅ~、れいむたちのあいのいとなみをじゃましないでね!」
「おきゃーしゃん、ねむれないよぉ~」
突然現れた、よくわからないゆっくりに、思い思いの反応をするゆっくりたち。
赤ゆたちもその騒ぎに起き出してきた。
人間は、わけもわからず騒ぐまりさに問いかける。
「すっきりしたくないの? れいむはすっきりしたがってるよ?」
「ゆ……でも……おさが」
「これでも?」
人間がまりさの体を後ろから掴んで揺すぶる。
目を見開いてぽかんとした表情のまま揺られていたまりさの顔が、
次第に緩み、目がとろんとしてきた。
「ゆゆゆゆゆぅっふ~ん」
「素直になっちゃえよ、ほらあああ」
「ゆふぁ~ん、れいむ、まりさなんだかきもちよくなってきたよぉ~」
「まりさ、すっきり! すっきりしよっ!」
振動によって興奮状態になったまりさは、もはや自制心を失っていた。
れいむの求めにも素直に応じる。
そして濃密な餡子の絡み合いが始まった。
「んほぉぉぉ~!」
「すごいよ、れいむぅ~!」
「ぴゃぴゃ……みゃみゃ……?」
「なにやってりゅにょぉ~! きょわいよぉ~!」
赤ゆたちは親達のあられもない姿を目の当たりにしてぷるぷると小刻みに震えている。
赤まりさの一体はおそろちーちーを漏らした。
やがてすっきりを終えると二匹は眠りに落ちた。
れいむの頭には茎が生えて実ゆが成っている。
赤ゆも泣きつかれて再び寝ている。
その頃には人間の姿は見えなくなっていた。
梅の木の根元。
ちぇんとみょんが寄り添っている。
冷たい風が二匹の肌を撫でて、思わずちぇんは声をあげた。
「ゆひゃ~さむいよぉ~」
「けっこんっすればふたりでいっしょのおうちでねられるみょん」
「おさがけっこんっはだめだっていってたんだよー」
「そんなのかんけいないみょん……!
みょんはちぇんといっしょにもっとゆっくりしたいんだみょん!」
「ちぇんもだよー……でも、おさのいうことはきかなきゃいけないんだよーわかってねー」
ここでもゆっくりたちの問答が繰り返されている。
まだつがいになっていない若いゆっくりのようだ。
ぱちゅりーの出したおふれによって、二匹の間にすれ違いが生じていた。
そこへ再び人間が現れた。
「何でもいいから、早くすっきりしていってね!」
人間は木の陰に体を隠し、手袋だけをちぇんたちに見えるように動かしている。
二匹にはそれが、宙に浮かんでいるように見えた。
「ゆわぁぁぁ~! おそらをとんでるゆっくりがいるよぉ~!」
「ち、ち、ちぇんをきずつけたらゆるさないみょん! あっちいけ!」
みょんが小枝を口にくわえて振り回しながらその場で飛び跳ねる。
当然人間の持っている手袋には届かない。
「落ち着いて聞いてね! けっこんっしたいんでしょう?」
「ゆゆゆ、どうしてしってるの?」
「自然とわかるんだよ」
「す、すっごいよー!」
(まあ、さっきから木の裏にいたんだけど)
人間は内心をごまかして続ける。
「好き同士なら、問題ないよ。いっぱいすっきりしていってね!」
「そうだみょん! いいこというみょん!」
「わからないよー、おさとどっちがただしいのー?」
みょんは無責任に賛同し、ちぇんは悩んでいる。
(面倒くさいな、早くやってしまえ)
人間は木の陰から出した足の爪先でちぇんを軽く揺らした。
潰さないように気をつけながら細かい振動を与えていく。
「わわわわからないよよぉぉー」
「ちぇん、どぼじだのぉ~!」
「ゆひゃぁん、み、みょん、みにゃいでぇ~」
「ちぇん、な、なんだか、すっごくかわいいみょん!
はずかしがってるかおが、たまらないみょん!
みょんのはくろーけんがのーびのーびしてきたみょん!」
(単純だなぁ、こいつら)
人間が後ろから軽く爪先で押すと、ちぇんは体ごとみょんにぶつかり、
待ち構えていたみょんの固く尖ったぺにぺにがそのまむまむに潜り込んだ。
「ゆぺ! だめぇ~」
「ちぇんっ! もうがまんできないちーんぽ!」
二匹は折り重なるように倒れ込み、そのまますっきりーを始めた。
ちぇんの頭には、もう茎が生え始めていた。
くっつきあう二匹を残して、人間はその場を離れた。
その後も人間は群れのいたるところですっきりを勧めて回った。
その様は、かつてのローマ帝国で士気が下がるとして兵士達の結婚が禁じられたとき、
ひっそりと彼らと若い娘を結婚させた聖ウァレンティヌスのようであった。
ただし、こちらの人間は半強制的にすっきりをさせていたが。
人間の目的は、すっきりで生まれる実ゆだった。
聖ウァレンティヌスのご利益かどうか、ゆっくりたちはかつてなくすっきりを繰り返した。
群れには大量の実ゆが生まれている。
後はそれを回収するだけでよかった。
しかし、その目論見は一匹のゆっくりによって暴かれようとしていた。
「そこまでよ!」
人間は懐中電灯を手に森の中の獣道を歩いていた。
そこへむきゅーんという音とともに、人間の前にぱちゅりーが躍り出る。
「わるいにんげんさんのたくらみは、ぱちぇがみやぶったわ!」
人間は立ち止まった。
ぱちゅりーの側には二匹のまりさがいる。
ゆっくりたちにすっきりをさせている姿を見て先回りをしたようだ。
「ゆっへっへ、おさにさからうとはばかなにんげんなのぜ」
「まりさたちがやっつけてやるよ! こわがってね!」
だが人間はぱちゅりーの帽子をいとも簡単に奪ってしまった。
「ゆんやぁぁぁ! ぱちぇのおぼうしがえじでぇ!」
「おさぁぁ! どぼじでぇぇ!?」
「こいつ、群れの長かな? ちょうどいいからこれ借りてくよ」
人間は帽子を被ると、二匹のまりさに向かって言った。
「お飾りのない、ゆっくりできないぱちゅりーがいるよ?」
「ゆゆ? おさ、いつのまにそっちへいったのぜ!?」
「ゆっ、こんなところにゆっくりできないぱちゅりーがいるよ!」
まりさたちは、長が急に消えて現れたので少し戸惑った。
なんだか高い所にいるし、声も違うみたいだ。
しかし、長は長。その言葉の意味するところに従った。
「ゆっくりできないくずはせいっさいっなのぜ!」
「むぎょ!」
ぱちゅりーは押し飛ばされて木の根元にぶつかった。
クリームを少し吐いた。
「ゆべ……わだじはおざよっ……ばりざぁ」
「おさはあっちだぜ! なにいってるんだぜ!」
「ゆぎゅぷぁっ!」
まりさがぱちゅりーの上に乗ると、中身が全て口とあにゃるから飛び出す。
ぺちゃんこになった皮を踏みにじりながら、まりさは誇らしげに言った。
「おさ、ゆっくりできないぱちゅりーをせいっさいっしたのぜ!」
「えらいえらい」
人間は関心が無さそうに言うと、二匹のまりさの帽子をとりあげた。
「なにするのぉぉ~!?」
「かえすんだぜ、おさでもまりさのおぼうしとったらしょうちしないんだぜ!」
人間はまりさの帽子のほつれを見つけた。
おそらく木の枝か何かにひっかけてできた傷が走っている。
そこに指を突っ込んで、一気に引き裂いた。
人間はただの布切れになったそれをもう一つの帽子と共に地面に落とす。
「ゆんやぁぁぁ~!」
「バイバイ、仲良く分けなよ」
「おまえなんておさじゃないぃぃ! むこういってね! ぷくー!」
「ぷくー! だぜぇぇ!」
人間は森の中へ消えた。
残された二匹のまりさは、泣きながら人間が消えた方角にぷくーを繰り返していた。
やがて無駄だと気付いたまりさが落ちている帽子を拾おうと歩き出す。
そこへ、だぜまりさがまりさに軽く体当たりして、邪魔をした。
「なにやってるんだぜ?」
「なにって、おぼうしさんひろうんだよ、ばかなの?」
「……それはまりさのだぜ、まりさにわたすんだぜ」
「なにいってるのぉぉ~!? まりさのはそっちにあるでしょぉ!」
「おぼうしさんがこんなになっちゃったらゆっくりできないでしょぉ~!まりざのをよこしてね!」
二匹は帽子をそっちのけにして喧嘩を始めた。
やがて梅の木を揺らした強い風が吹いて、ぼろぼろになった帽子の切れ端と、
まだ無事な帽子が両方飛んで行った。
「……あ」
帽子のない二匹は固まったまま呆然としていた。
取っ組み合いになるまで時間はかからなかった。
翌日、長の招集で集まったゆっくりたちの中には、頭に実ゆの成った茎をつけた個体が目立った。
昨夜の人間が巣穴にいたゆっくりたちのほとんどにすっきりーをさせたためである。
本来なら巣穴の中で休んでいるのだが、長が全てのゆっくりにわけ隔てなく
集まるように言ったためこうして広場に集まっているのだった。
長は辺りのゆっくりを見回すとこう言った。
「おちびちゃんを頭につけている人は、こっちに来なさい」
何匹かのゆっくりはびくっと震えた。
長の言いつけを守らずにすっきりーした結果、
群れのゆん口は一気に増えてしまった。
そのことで長に怒られると思ったからである。
昨夜の不思議な訪問者のことは群れの誰もが知っていたが、
長に話しても信じるとは思えなかった。
「あ、やっぱりちぇんだけでいい」
何故自分たちだけなのかわからないまま、ちぇんが長の前に並んでいく。
長はちぇんの頭についている茎を毟り取っていった。
「ゆああぁぁ~! ちぇんのゆっくりしたあかちゃんがぁ~!」
「どぼじでこんなことするのおぉ~!」
「わぎゃらないよぉ~!」
長は実ゆを潰さないように気をつけながら、茎をまとめて集めていく。
そして全ての茎をちぎり終わると、クーラーボックスに実ゆだけを丁寧に収めていく。
一匹のちぇんが疑問に思って尋ねた。
「おさ、おちびちゃんをいったいどうするの? わからないよー……」
「ん? そうか、もう帽子はいらないんだ」
長は帽子を脱ぎ捨てると、立ち上がってクーラーボックスを背負った。
そこにはさわやかな笑顔のお姉さんが立っていた。
「じゃあね。実ゆくれて、ありがとう」
昨夜からゆっくりたちをすっきりさせまくり、無事に目的の
実ちぇんを手に入れたお姉さんは、山を下りて行った。
後には、呆然とするゆっくりたちだけが残されていた。
3 当日
バレンタイン前日の夜、お姉さんは台所にエプロン姿で立っていた。
「ふんふ~ん」
台所には所狭しと調理器具が並べられている。
誰かのために手作りチョコを作るようだ。
お姉さんはクーラーボックスから大量の実ちぇんを取り出した。
「わきゃ、わきゃらにゃいよ~」
「ぶるぶるしゅるよぉ~」
何匹かは辛うじて生きているが、ひどく衰弱している。
お姉さんは一匹一匹からチョコを搾り出し、ボウルに入れた。
「ぷぎゅ!」
「やめちぇにぇ! やめちぇ……ぴきゅっ」
尻尾をつかみしごき上げるようにして中身を押し出すと、
飛び出したチョコがボウルの中に落ちる。
お姉さんは苦労して全てのちぇんの中身をボウルに入れた。
取り出したチョコを二つに分け、片方を湯せんにかける。
店売りのぱちゅりー種の生クリームを煮たものをもう片方のボウルに注ぎ、泡立て器で混ぜる。
しばらく涼しいところにおき、ちょうどよい固さになったら絞り袋に入れて搾り出す。
棒状のチョコを冷蔵庫で冷やし、固まったら包丁で一定の大きさに切っていく。
団子のような塊を手のひらで丸め、きれいな球にした。
湯せんにかけて溶かしたチョコレートを手につけ、
チョコレート球を転がしてコーティングしていく。
表面がまんべんなくチョコで覆われたら、
バットの中に入れたシナモンパウダーと粉砂糖を混ぜ合わせたものの上で転がす。
お姉さんが8個の生トリュフを作り終えたときには、深夜になっていた。
「よしっ! 間に合った!」
手で汗を拭うお姉さんのおでこにチョコが少しついた。
達成感がお姉さんの胸を満たした。
お姉さんはどきどきした気分で眠りについた。
翌朝、お姉さんが出勤すると、午前中なのになぜかみんな出払っていて二人きりだった。
お姉さんは意を決して、目的の男にチョコを渡すことに決めた。
「あの……」
男に声をかけると、わずかに肩を震わせて振り向いた。
「あっ、き、今日バレンタインですよね」
声が裏返った。
「これ、よかったらもももらってください」
「じゃあ俺からも……」
男が、箱を取り出して私に見せた。
お姉さんはぽかんとしていた。
「ただのブランデーボンボンだけど、一応自分で作ってみたんだ……もしよかったら」
お姉さんはこくこくと頷く。
「あ、嫌いだった?」
ぶるぶると首を横に振る。
「あーよかった。いらないって言われたらどうしようかと」
「私も……貰ってもらえてよかったです」
その後お姉さんと男は一緒に昼食に行った。
同じ群れに実ゆを採りに行ったことなどで盛り上がった。
どちらも楽しそうに笑っていた。
その日は数日前からの暖かさから一転、過去最大の冷え込みを記録した。
二人を祝福するように、例年より遅めの雪が降ってきた。
雪は街も野山も白く染めて、ゆっくりたちの群れにもやって来た。
「じゃぶいよぉ~!」
「ゆきしゃんきょわいぃ~! まりちゃのうえにこないでにぇ!」
「おざぁ~! どごいっちゃっだのぉ~!?」
群れのゆっくりたちは長を失い、どうすればいいかわからないままうろたえていた。
寒さで動けなくなるもの、巣にこもったまま凍死するもの、
全ての上に平等に雪は覆い被さった。
冬篭りに失敗した群れは、こうして全滅した。
その後二人はいい雰囲気になったところで、食後に男から貰ったボンボンを食べて
酔ってぶっ倒れたお姉さんを男が慌てて介抱したが、それは別のお話。
終わり
前作に感想くれた方、どうもありがとうございました。
小ネタのつもりが長くなってしまいました。
感想や指摘などいただけると幸いです。
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このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
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そのうち人殺しそう -- 2023-05-27 02:21:27
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お姉さんの「すっきり誘導」しているときの格好が滑稽www -- 2018-02-25 00:32:33
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- 面白かったよー
ちぇんはかわいいねー -- 2012-07-06 20:25:22
- リア充爆発しろ -- 2010-11-24 17:40:08
最終更新:2010年03月02日 20:06