飼い主の責任と義務 23KB
悲劇 飼いゆ 現代 独自設定 ぺにまむ 一般家庭でのお話
居間に置かれているテレビからは、赤ゆっくり対象にした教育番組が流れている。
『両手を上に突き出して、の~びのび♪』
画面に映っているのは活発そうなお姉さん。
元気いっぱいに両腕を上に伸ばしながら満面の笑顔で声を張り上げた。
「のーびのびっ!」
それを見ながら伸び伸び体操をしているのは、この家庭で飼われている成体れいむ。
胴を長く伸ばしながら元気良く叫んでいた。
『次は、ぷりんぷりん体操ーっ! お尻を突き出して、ふーりふり♪』
「ふーりふりっ!」
『仰向けになって、左右に体を振りましょーう! はい、こーろころ♪』
「こーろころっ!」
『お腹の底から声をだしましょう! ゆーゆーゆ~っ♪』
「ゆーゆーゆっ!」
『はいっ! 深呼吸のあとで、ゆっくり出来る決めポーズっ』
「きめっ!」
完璧なゆっくり体操を終えたれいむは、喉を潤すために台所に移動する。
お水をごくごくと美味しそうに飲んだあとは、すーぱーおひるねタイムの時間だ。
長い廊下を滑るように進んでいく。
その途中で、このれいむの飼い主が目の前に立ちふさがった。
片手にキャリーバックを下げた青年は、れいむの頭を掴んで離さない。
これから青年は、飼い主としてあたりまえの処置をれいむに行う。
「お? ここに居たのか。出かけるぞ」
「ゆっ! れいむはいそがしいんだよっ。あとにしてねっ!」
「良いもの買ってやるから、さっさと入れ。ほら、…ほらっ!」
「らんぼうにじないでねっ!? あんござんがでじゃうよっ!」
俺はキャリーケースにれいむを無理矢理詰め込んでいく。
入るのを嫌がってはいたが、それでは何も始まらない。
大きな体を箱に詰め込んだ後、黒い布でケース全体を覆った。
「ゆっ? なにもみえないよっ!?」
「日焼け防止さ。気にするな」
「いまは、ふゆさんなんだよっ? ひざしはつよくないんだよ」
「……チッ。…余計な事は覚えていやがる」
「ゆ? なんか、ゆっくりできなさそうな、ひくいおこえがきこえたよ?」
「空耳だ。気にするな」
俺は適当な言葉を話ながら玄関を出る。
寒い外の気温は、れいむを黙らせるのに丁度良い。
がたがたと揺れるケースを小脇に抱えながら、駐車場に置いてある車のキーを回す。
ヒータを最大にして室温を上げた。
多少、暖気運転をしなければ、冬場は動くことが出来ないからな。
助手席に置かれた黒い箱に、足元から舞い上がってきた暖気が周囲に広がりだす。
「ゆっ? なんだか、あたたかくなってきたみたいっ!」
「そうか。良かったな」
隣の席で、ゆんゆんと楽しげな声を上げるれいむ。
真っ暗なことは気にならないのだろうか?
それとも、こんなにれいむはお馬鹿さんだったのか……、軽くへこむ。
「れいむ、でぱーとさんにいきたいなっ!」
「デパート? 何を買うんだ」
「しんぴんのおはらいぼうがほしいよっ!」
確かにお祓い棒はボロボロだった。
紙の部分のしゃぶったり、踏みつけて転がして、ベットで一緒に寝てきたれいむの相棒。
その小さな頃から宝物として肌身離さず使い続けていたお祓い棒は、先日、めでたく真っ二つに裂けて御臨終を迎えた。
れいむは、俺におねだりをしているらしい。
「いいぞ。新品を買ってやる」
「おにいさんっ! ゆっくりありがとうっ!」
「ただし、大事な用件が終わってからだ。理解したか?」
「ゆっくり、りかいしたよっ!」
れいむの良い返事を貰った俺は、暖まった車をスタートさせる。
路面はアイスバーン状態には変化していないので、快適な短いドライブを楽しむ。
「ゆんゆ~ん♪ ゆっくりのひ~っ♪ とっても、わくわくさんだよーっ」
俺は、助手席から聞こえてくるご機嫌な声を耳に入れながら、白い息を吐く。
その程度の要求でよかったと心底思う。
「良かった良かった」
ハンドルを右に切りながら呟く。
もし、あのお願いをされていたら面倒くさい話になってしまう所だった。
れいむが油断している隙に、さっさと用件を済ましてしまおう。
目的地に速やかに向かうため、アクセルを豪快に踏み込んだ。
少しスピード増した車体が道を滑るように走っていく。
真っ白い部屋に連れて来られたれいむは、ケース内でそわそわと落ち着きなく足を動かす。
包まれた黒い布で外界の視界はゼロ。しかし、臭いは別だ。
れいむが感じている香りは、つ~んとした嫌な事を思い出させる刺激臭。
徐々に餡子脳にあの時の記憶が蘇ってくる。
1度目は、子ゆの時に頬を切った際に傷が悪化して、カビを生やしてしまった時。
2度目は最近だ、前歯が取れた時に治療したのを覚えている。その時にもこの香りを感じた。
間違いない。ここは……病院さんだ。
「いやぁーっ! やだあぁぁぁっ゛!?」
「うわっ!? 気づかれたっ」
「れいむ、どこもわるくないよっ!?」
「動くな! 大人しくしてろっ」
「ゆんやぁあああっ゛! おうちかえるぅうぅぅぅっ゛!?」
「アレだよ! 前歯の治療経過を見てもらいに来たんだよっ」
ケースの中で暴れていたれいむは、俺の発した声を理解して少し冷静になった。
大きく揺れていた箱の振動が緩やかに治まる。
「……ほんと?」
「本当本当」
「それだけ? いたいこと、れいむにはしない?」
「うんうん。検査だけ」
「ゆっくりあんしんしたよっ!」
憑き物が落ちた良い表情だ。
これなら、黒い布は取っても大丈夫だな。
「ゆんっ! くさいくさいな、はなにつくにおいがするよっ」
「鼻あったっけ?」
れいむは、病院の消毒臭い空気を吸って、ゆはーっと大きく息を吐いた。
箱の中は窮屈そうなので、れいむを持ち上げてひざの上に置く。
そして、俺は黒髪と頬を優しく撫でる。
「ゆーんっ! なでなでは、とってもゆっくりできるよ~っ。
おにいさんっ! びゅびゅーんをしてほしいっ」
「はいはいっと、あれ? 結構重いな…」
「びゅびゅびゅーんっ! かわいいれいむが、おそらをとぶよっ」
「こりゃ、ダイエットだな」
最近、れいむに餌を与えすぎた事を大反省。
今日の夜からは、餌箱裏に記載されている一日のユッキロカロリー摂取量を守ろうと天に誓った。
「さいこうだよっ! びょういんさんはゆっくりできるねっ」
「まあ、検査次第では……どうなるか解らんがな」
「ゆん? なにか、ゆっくりできなさそうな、おこえがきこえたよ?」
「幻聴だ。気にするな」
遊んでやってリラックスしたのか、れいむは看護士に呼ばれた後、自ら進んで診察室へと歩いていった。
俺もその後に続く。これからお前にする事は辛いことになるが、ゆっくりと理解して欲しい。
ずっと、飼いゆとして暮らすならば、受け入れなければいけないのだ。
薬の香り増した診察室で、検査結果を俺達に伝える医師。
「切りましょう」
「ゆえっ!?」
その不意打ちに告げられた切ります発言は、れいむを固まらせる破壊力は十分備わっていた。
対して、俺は超冷静。やっぱりなー、と考えていたからだ。
「既に去勢をするべき大きさに成長しています」
「早急な手術を希望します。あ、契約書はこれですか?」
「はい、お名前をご記入してください」
「さらさら~っと。電話で確認した金額は変更なしですか?」
「変更ありません。では、直ぐに手術を開始します」
れいむは蚊帳の外で、とんとん拍子に話は進む。
煌く光る消毒済みの道具が、俺とれいむの前に並べられる。
良く切れそうな刃物だ。これで、さっくりと切り裂くんだな。
「ゆゆゆっ! ここは、ゆっくりできないかんじがするよっ!? そろーりそろーり…」
「何処に行くんだ?」
「ゆわぁあああっ゛!? はなじでぇえええっ゛!」
「バレバレだぞ」
「きょうは、けんさだけっでいったのにぃいいいっ゛!?」
「検査結果次第では、緊急な手術を要する事例もあるってことさ」
「れいむ、どこもわるぐないよぉおっ゛!?」
「はっはっは。悪いところがあったから手術するんだよ? れいむは馬鹿なの?」
「ゆぶぅううっ゛!? ぶぇえええええええんっ゛!」
俺の手で頭を押さえられているれいむは、びちびちと活きの良い魚みたいに暴れている。
目元から弾けた涙が周辺に飛び散って、医師の体に降りかかる。
だが、慣れた手つきで医師と看護士掃除を行っていた。
ここは、信頼できる病院かもな。
ある程度、準備が整ったところで、俺は医師の指示通りにれいむを仰向けにしてベットに寝かす。
今だ暴れるれいむの額の部分を押さえつけて補ていした。
「はなしてねっ!? ここはゆっくりできないよっ!」
「ゆっくり観念しろ。サイは投げられたんだ」
「ゆっ? そこは、れいむのだいじなところだよっ! さわらないでねっ」
医師は、れいむのまむまむを指で触れる。
嫌そうに足を振るれいむだったのだが、医師は容赦しなかった。
「ゆぎきいいいっ゛!?」
れいむが悲鳴をあげる。
太い指をまむまむの奥までぐりぐりと入れられた。
「やべでぇえええっ゛! れいぶのばーじんざんがぁああああああっ゛!?」
「アホな事叫ぶな。俺が恥ずかしい」
「いやぁあああっ゛! ぐりぐりじないでぇえええっ゛! おゆびを、ぬいでぇええええっ゛!?」
「先生、どうですか?」
「ふむ…、厄介ですね」
「おうぅっふぅううっ゛!? ゆぼぉおおっ゛!」
ちゅぽんと指を抜いた医師は、顔をしかめながら俺に状況を伝え出す。
内部の赤ちゃん部屋を奇麗に取り出す為には、危険が伴なうらしい。
『何故?』そう俺が医師に質問すると返ってきた答えは、
『中垂餡が胎内の近くにあって傷つけてしまう』とのことだ。
注水に傷を付ければ後遺症が残る可能性は避けられない。
この手術は、難易度の高い技術を要するとの説明を受けた。
「麻酔を最小限にして経過を見ながら取り出します」
「はい。解りました」
「辛い手術になりますが……よろしいですか?」
「オーケーです」
「"おーけーです" じゃ、ないでじょおおぉおおおっ゛!?」
れいむが悲しみのどん底から復活。
歯茎を剥き出しにしながら、大声を上げた。
「いたいのはおことわりだよっ!?
それいじょうに、まむまむがなくなっちゃのは、もっといやなんだよっ!」
「飼い主さん。どうしますか?」
「やっちゃって下さい」
「れいむは、かわいいあかちゃんを、いっぱいうみたいんだよっ!?
かいぬしさんにも、みせてあげるからゆっくりやめて……ゆぎゅぅおぉっ゛!」
れいむの尻に注射器が刺さった。
内容物が注入されていく。
「ゆっ……ぴりぴりしてきたよっ! あんよさんがうごかないよっ?
れいむ、びょうきになっちゃったみたいっ!?」
「それでは、術式開始します」
「ゆっ゛うびぃいいっ゛!」
医師は細長い棒をまむまむに突き刺した。
器具をくるくると回しながら、まむまむの奥深くに沈めていく。
「やっべっ゛! やべでぇえええええっ゛!?
まむまむざんを、ぐりぐりじないでぇえええぇええっ゛!」
「痛みを感じているなら大丈夫です。順調ですね」
「だいじょうぶなわげ、ないでじょおおぉおおっ゛!?
れいぶのだいじな、せかんどば~じんさんがぁああああっ゛!」
残念な事になってしまった我が飼いれいむ。
まあ、それも運命さ。
「このまま胎内部を引き抜いて除去します」
「やべでねっ! やべでよぉおおぉおっ゛!?」
「慎重に……」
「ゆぎぎぎぎぎっ゛!? ずっごいいだいよっ゛! れいぶ、おがじぐなっぢゃうううっ゛!!」
医師は数本入れていた器具を、ゆっくりと引き抜いていく。
れいむのまむまむからは、黒い餡子が漏れ始めた。
術式は相当痛いらしい。
れいむは目を見開いて、びくんびくんと振動していた。
俺は無事に終わる事を祈りながら側で見守る。
「ふんっ!」
「ゆっぼぉおおおおおっ゛!?」
医師は器具を完全に引き抜いた。
その先端には、どろりとした塊が垂れ下がっている。
「術式完了です」
「意外と…、あっさりですね?」
「腕が良いのです」
「れいぶの……ゆっぐぢじだ、まむまむざんがあぁっ」
医師は摘出物を銀色のトレイに乗せた後、医療用のパッチをれいむのまむまむに押し込んだ。
「ぼういやぁああっ゛!? ゆっぐぢやべでよぉおおっ゛!」
「もう一枚入ります。ゆっくり我慢してね?」
「あひゅううぅううっ゛!」
「はい。これで痛くなくなるよ」
「ゆっ! ゆゆゆっ? なんか、くすぐったくなってきたよっ!」
人工的な皮を詰め込んでから筆でブドウ糖を塗りだす。
れいむは痛みが急速に治まって余裕がうまれたのだろう。
何故かと言えば、筆の刺激で小さなぺにぺにが天に向かい立ち始めたからだ。
「ゆっ! れいむのぺにぺにさん、おっきしちゃったよっ!」
頬を染めながら照れるれいむ。
恥を感じる知性はあったのか。
今日、初めて目にしたよ。
「そうだよっ! れいむには、すてきなぺにぺにさんがあるんだよっ!
これで、かわいいあかちゃんをつくってあげればいいんだねっ!」
れいむは自ら導き出した名案に体を震わせている。
赤ちゃんを作るお相手は、近所のまりさのことだろうな。
まあ、その願いも適わないのだが。
「それでは、ぺにを切除します」
「お願いします」
「ゆうっ゛?」
医師がれいむの小さなぺにぺにをピンセットで摘んだ。
そのまま、上に引っ張って伸ばしていく。
「いだだだだだっ゛!? れいぶのべにべにざんっ、そんだにのびだいよっ゛!」
「ゆっくりのって小さいんですよね?」
「全体的に小さいですね。……特に、このれいむさんのは…いえ、失礼」
「れいむのぺにぺにさんは、めがとんきゅうなんだよっ!? ばかにするならおこるよっ!」
「…もっと、引っ張って下さい」
「いだぁああああああいっ゛!? ぼうぅやべでぇえええっ゛!」
顔を左右に振りながら痛がるれいむ。
でも、実際に、どういう原理で妊娠しているのだろうか?
その疑問を医師にしてみた所、次のような答えが返ってきた。
まず、ゆっくりの達は、精子餡と例えられている粘着性のある物質で妊娠する。
精子餡は、主に愛情表現のすりすり等を互いに行い、
ゆっくりした気持ちを通り越して、興奮状態になった時に外皮から分泌される粘液だ。
「……この先からも精子餡とやらは出るんですか?」
俺はれいむのぺにぺにの先っちょを指差しながら質問した。
「いえ、出ません。ここは…えー、っと。あの部分みたいなものと言いますか…」
「はい?」
「うぃいだだだだだだっ! れいぶのぺにぺにさん、もげぢゃううううううっ゛!?」
医師は小声で俺に詳細を話し始めた。
この箇所は人間でいう女性が持つクリトリスに近い部分らしい。
先端からは精子餡は放出されず、ぺにぺに表面に精子餡の薄い膜を張ることしか出来ない。
だが、その小さな突起をまむまむに挿入して内壁に精子餡を擦りこむ事により、
動物性妊娠で子を宿すことが可能になるとの説明を受けた。
「は~。そうなんですか」
「ちなみに、まむまむすっきりでも植物性になる可能性は十分にありますよ。
動物性妊娠の確立が高くなるというだけで、その確定要因にはなりません」
「おはなじはああああっ゛!? みじかめにじでねえええええっ!
れいむのぺにぺにさんが、まっかにそまっでゆっくりできなぐなっでるよおおおっ゛!」
長話でゆっくりしすぎてしまったようだ。
れいむのぺにぺには真紅に染まってとっても痛そう。
今、楽にしてやるからな!
「切っちゃってください」
「ラジャー」
「やべでえええぇえええぇえええええっ゛!?」
れいむが突然暴れ出した。
俺の親心が解らないなんてどうかしてるぜ。
「ぼぉう、ぺにぺにざんしかないんだよおおおおおっ゛!?
ゆっぐぢやめでよおおおおおおおっ゛!」
「別にいいじゃん。使い道ないんだし」
「あるよっ゛、あるよぉおぉっ゛!?
おどなりざんのまじざと、すっぎりー! するんだよっ!
けっごんのやぐぞくもじだんだよっ゛! だがら、ぎらないでえええええっ゛!?」
まりさか。
あー、つい先日遊びに来た時、部屋の隅でこそこそしていたのは、その約束をしてたのね。
そういえば、れいむのオモチャが一つ無くなっていたな。
「別に結婚してもいいけど? 反対はしないよ」
「ゆんっ!? だったら、ゆっくりぺにぺにさんを……」
「でも、ぺには切る。これは、許されない」
「ええええええええええええっ゛!? おがじいでじょおおぉおおぉおおおっ゛!」
大きな口を開けてビックリしているれいむ。
そのぺにぺにの根元に、容赦なくハサミが迫ってきた。
このままでは、確実にチョッキンされることだろう。
「おっ! おでがいじまずぅううぅううっ゛!?
まじざのあがぢゃんづくりだいんでずぅううっ゛!」
医師はハサミの先を両側に開いた後、刃の根元でぺにぺにを軽く挟む。
「おにいざんも、れいぶのあがじゃんみだいでじょおおおおっ゛!?
かわいくて、とってもゆっくりできるんだよっ゛!」
「別にいらない」
「あああっ゛!? ゆっくりぜずにかんがえなおじでねっ゛!
あかちゃんはとってもゆっく……あっ゛! はさみさんをとじないでえぇえええっ゛!?」
…チョキン。
「ゆあ」
閉じられたハサミ。
間の抜けたれいむの声。
「あ?……ゆあ」
痛みは無いのだろう。
まむまむと違って麻酔は適量を使用されたのだから。
れいむは、"ピュピュッ!" と、黒い餡子が小さな穴から外に噴射している所を見ながら、
ぼーぜんと目を見開いて放心していた。
医師はぺにぺにがあった箇所に焼印を押し込む。
この処置は、餡子の流出を食い止めると言うよりも、ぺにぺにの再結成化を抑える目的の為に行っている。
周囲に漂う焦げた餡子の甘い臭いを嗅いだれいむは、口元を歪ませて叫ぶ準備を整えた。
「ゆわああああああああああああああっ゛!?」
まじざあああっ゛! ごべんねええええっ! ごべんねええええええええっ゛!?」
大事な部分を喪失したれいむは、処置が終わってからも待合室で泣き続けた。
泣いたら何かが変わると信じて。
誰かが助けてくれると信じて。
だが、キャリーバックに入っていたれいむは、去勢された状態で病院を後にした。
これが人間にとっての正常な状態なのだから当然の結末だろう。
所詮、力無きゆっくりの主張など、そうそうまかり通ることはないのだ。
れいむはお気入りの座布団の上に座っていた。
しかし、その顔は暗く沈み、目は虚ろの状態で床を見つめたまま動かない。
「ゆう…うっ、うううううっ……」
視線の先にあるものは、新品のお祓い棒。
病院から帰る際に買ってもらったお望みの品だった。
でも、あれだけ欲しかった物を前にしても、れいむの心が晴れることは無い。
れいむは下半身に新しく貼られて馴染んだばっかりの皮を見つめて嗚咽を漏らす。
そこには、ゆっくりしていたまむまむとぺにぺにの姿は既に無く、小さく開けられたしーしー穴がぽっかりと表面に開いている。
「ばじざぁああああああああっ゛!」
れいむは愛しきまりさを思いながら大粒の涙を流す。
毀れた涙は新品のお祓い棒を湿らせて、甘い味をゆっくりと染み込ませていった。
「おーい。まりさが遊びに来たぞー」
「ゆゆゆゆっ゛!?」
れいむは飛び上がってビックリ仰天。
大きな体を物影に隠した。
「何、恥ずかしがってるんだ? 変なヤツだな」
「はずかしがってるんじゃないよおおっ!
かなしんでいるんだよおおぉおおおおっ゛!?」
れいむは大声で主張をあらわにした。
自分の姿を見たらまりさに嫌われてしまうと思っているのだろう。
しかし、実の所そんな心配をするだけ無駄だったのだ。
「れいむ……」
「ま、…まりさ……」
れいむが目にしたまりさの姿。
それは自分と同じく、まむまむに違和感の肌を貼りつけ、ぺにぺに部分は薄茶色の焦げ後が残っていた。
「まじざも、まむまむと、…ゆぐっ! べにべに……なぐなっぢゃっだよぉおおぉぉぉぉっ゛」
まりさは涙を流しながら報告した。
自分の情けない姿を。
それを聞いたれいむは、まりさの元へと駆け出していく。
肌と肌をピッタリと合わせる為に。
「まじざああああああああああっ゛!」
「れいぶううううううううううっ゛!」
涙をボロボロと流しながら、丸い体を押し込むように密着させた。
グニャングニャンと面白いように波打つ表面は、れいむ達の悲しみを大きさを象徴しているようでもある。
「「ゆっぐええええええんっ゛! ゆぐっえっ゛…ゆっゆゆゆっ、ゆゆゆゆゆっ゛!?」
大きく重ねていた肌を細かく振動させていくれいむ達。
悲しみが快感に少しずつ変わっていった。
頬を赤く染めながら、小さな快感を貪欲に求めて更なる高みへと昇華させていく。
「「ゆっ! ゆっ! ゆっ! ゆっ!?」
口元を窄めて目尻をだらしなく下げながら、甘く艶っぽい声を周囲に響かせた。
上下運動が次第に激しくなり、粘りを増した体は白いローションを被っているようにも見える。
「「すっきりーっ!」」
互いの体の全面を、"ギュッ!" と、押し付けた状態で絶頂に達した。
れいむ達は、ビクンビクンと大きく振動して快感に身を任せる。
そして、れいむの頭の上から生えてきた茎の先に複数の丸い粒が実り始めた。
「ゆーっ!? あかちゃんゆっくりしていってね!」
「あかちゃんができたよっ! まりさたちのあかちゃんだよっ!?」
小さな赤いリボンと黒い帽子を被った丸い粒。
それを見たれいむ達は歓喜の声をあげている。
「かわいーよっ! かわいいいよおおおっ゛!?」
「ゆーん! れいむはとってもゆっくりできるゆっくりだよっ!」
「はいはい。赤ゆを回収しますよー」
俺はブチッと茎を引っこ抜いた。
唖然とするれいむ達をその場に残して台所へと移動する。
そして、茎の小さな実を手で握り潰してから、溜めていた水に放り込んだ。
そのまま捨ててゴミ箱の中で繁殖したらたまらんからな。
……まあ、繁殖はしないか。
ゴミ箱から泣き声が聞こえてくるくらい?
冷静に考えると……それも中々嫌な体験になるな。
「「どぼじで、あがじゃんごろじじゃうのおおおおおおおっ゛!?」」
れいむ達は、やっと状況を認識したらしい。
遅すぎるだろ。
「ん?赤ゆはいらないから。それ以外の何があるんだ?」
「あかちゃんはいるでじょおおおおっ゛!?」
「ゆっくりかんがえなくても、わかることなんだぜええええええっ゛!?」
「あー、言い方が悪かったか。" 俺は " 赤ゆが欲しくないんだよ」
「「そんな……!」」
「いいかっ!」」
俺の後に続けて文句を放とうとしたれいむ達を遮るように強めの怒声を発した。
いきなりの大声に萎縮したれいむ達。
俺は言い聞かせるように優しい言葉で語りかける。
「俺は赤ゆはいらないんだよ。
これ以上増えるのは好ましくないし、何より煩くなるだろ?
この家でお歌やら何やら間違った教育方法はまっぴらゴメンだ」
「れいむは…!」
「あーあー。" れいむは " とか、どうでもいいから。
食わせてもらっている立場で意見するとかありえないから。
お前達は完全な家ゆだろ? 単独で外出する機会もないし」
「まりさは…!」
「はいはい。お外に出させてくれないね。知ってる知ってる」
俺はリビングの大きな窓を指す。
釣られてれいむ達が顔を移動させると、
向かいの窓からはまりさの飼い主が手を振ってこちらを見ていた。
「飼い主さんに聞いたから。
でも、それは愛しているからなんだぞ? 外は危険がいっぱいだ。
お前達が対処出来ない事故なんぞ山のようにある。
だから、ひとりで外出は絶対にさせないんだ。」
俺は窓の向こう側にいる飼い主に手を振ってかられいむ達を見つめなおす。
やっぱり、"何が何やらわからない!" と、いう顔をしていた。
それじゃあ、もっと解りやすく行こうか。
「赤ゆを作っても直ぐに潰す。
何度やっても無駄だ。生まれる事はない」
「「うわああああああああああああああっ゛!?」
「うわーっ。……めっちゃ煩い」
俺は両手で耳を塞ぎながら部屋を後にする。
どうせ、文句しか言われないのならば、部屋にいる必要性は無いからな。
れいむ達に伝えられることは終わりだ。
俺は部屋のドアから漏れる声に耳を傾ける。
『あかちゃんつくろうねっ!』
『こんどは、きっとだいじょうぶだよっ!』
「解りやすい奴等だな……」
ぬちょぬちょとした嫌な音が聞こえてきた。
また、懲りもせずにすっきりをしているらしい。
「まったく、しょうがない奴等だ」
俺は頭を掻きながら溜息を漏らす。
でも、呆れているだけだ。怒りは湧いてこない。
まあ、ガス抜きは必要だ。
すっきりを行為すると気持ちが良いのを知ったばかりなのだから仕方が無い。
多少は好きにさせてやるさ。
どうせ……直ぐに赤ゆが生えてこなくなるんだし。
本日、まむまむとぺにぺにの去勢を医者に頼んだのは、素人治療をしたくなかったからだ。
切り裂く処置は自信が無かったと言う理由もある。
餅は餅屋。医者に任せれば確実だからな。
そして、これは俺にも出来る家庭キットだ。
植物性妊娠をさせない為の飲み薬と塗り薬。
これで妊娠知らずのれいむが完成だな。
やっと一安心できる。
「すっきりを禁止させるのはかわいそうだしなー。これも全てれいむの為さ」
俺は説明書を軽く読みながら廊下に佇む。
意外と処方方法は簡単そうなので、これなら俺にも出来そうだ。
『『すっきりーっ!』』
『あかちゃんかわいいよーっ!』
『ゆっくりしないで、ゆっくりそだってねっ!?』
「……なんじゃそりゃ?」
俺はドアノブを掴んみながらツッコミを入れた。
時々、訳のわからない事をあいつ等は言う。
それだけテンパッているのだろうか?
「こらああああああっ! 赤ゆをまた作ったなあああああああああっ」
「「うわあああああっ゛!? あがぢゃんにげでえええええええっ゛!」
勢い良く部屋に飛び込んだ俺にビビリまくるれいむ達。
今回はまりさの頭に赤ゆが実っていた。
れいむは俺の前に立ち塞がり、渾身のぷくーを披露したものの、あっさりと手で退かす事が出来た。
「やべでええええっ゛!? つぶざないでええええっ゛!」
「がわいいあがぢゃんでじょおおおおっ゛! どぼじでごんなごどずるのおおおおっ゛!?」
前と同じようにするのはちょっと面倒くさい。
深めの皿に魔法瓶からお湯を注いで、そこに茎一本丸ごと投入した。
「「いやああああああああっ゛!?」」
俺の足元で騒ぎ出すれいむ達。
赤ゆを助け出そうと必死に跳ねるその姿はとても可愛い。
そうだ、予定を遅めてもっと焦らす…って、駄目だな。
まりさの飼い主と約束したんだっけ。
イカンイカン。
「お詫びにこれを塗ってあげるよ」
俺はれいむ達のおでこに塗り薬を塗りつけて薬を飲ませた。
多少、疑っていたみたいだけど、甘い薬はお口にあったようだ。
ペロリと全て平らげたよ。本当になんというか……。
笑いを堪えながら部屋の外へと向かう。
また俺の姿が見えなくなったらすりすりを互いに行うハズだ。
でも、あれ飲んだら精子餡分泌されなくなっちゃうんだよねー。
乾燥した肌が擦れあって裂ける前に、急いで止めに入らないといけないな。
『まりさ…しよ? つぎこそだいじょうぶだよ』
『そうだねれいむ。かわいいあかちゃんつくろうねっ!』
れいむとまりさの肌が合わさる音が聞こえてきた。
本当にあいつら成長しないな…。
ちょっと、飼い主としては不安になってくる。
でも、そんな手のかかるヤツを面倒見るのも飼い主に与えられた醍醐味の一つ。
ほら、よく言うだろ?
馬鹿な子ほどかわいいってね。
『『 あああああっ゛!? ゆっくりできないいいいいいいいいっ!
どぼじで、きもじよぐならないのおおおおおっ゛!? おなかさけちゃううううううっ゛!』』
さて…と、行きますか。
赤ゆが作れなくなってしまったれいむ達の元へ。
「一体、どうしたんだっ」
「「うわああああんっ゛! おにいざあああああああんっ゛!?」」
ワザとらしく声を張り上げる俺に駆け寄ってくるれいむ達。
ヤッベ……めちゃくちゃ可愛すぎる。
「んんんっ! これは病気だな。ゆっくり病院へ行こう!」
「「びょういんざんは、ゆっぐぢできないいいいいいっ゛!?」
飼い主として、衣食住は保障しよう。
だから、……飼いゆとしての責任を果たしてくれよ?
俺をゆっくりさせてあげる。
あの日の言葉を真実に変えるために。
・医者に去勢をしてもらうお話
去勢をすることには抵抗がある!
そんな飼い主もいるかも
・ぺにぺになどの設定は完全に独自設定です
一応、注意を促してみました
暴露あきの過去作
挿絵 by儚いあき
トップページに戻る
このSSへの感想
※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね!
- 子孫を残したがるのは生物の本能なんで、そこを指してゲス呼ばわりするのはかわいそうかなと -- 2023-05-20 17:02:34
- 働かなくていい代わりにちんこもぎ取られるんか
人間で考えたら地獄やな 下手に人間に似てるから感情移入してしまうわ -- 2019-01-27 17:29:38
- 猫や犬もこんな気持ちなんだろうな・・・
病気なくすためにチンポもぎ取ろうね!とか普通に嫌すぎるわ -- 2012-10-03 21:01:21
- メガトン級wwwwwwwww -- 2012-05-08 17:00:25
- 発情する前に去勢するのが一番なんだけどねー。
確かに義務だ。誠実なお兄さんだよ -- 2010-12-03 20:40:19
- こういうのもいいな -- 2010-09-29 17:42:56
- なんでこんな不良品を買(飼)っちゃったのおおぉぉぉ!?子作りしたいと口に出すなんて欠陥品もいいところでしょおおおおぉぉぉぉ!!! -- 2010-09-20 19:26:49
- ゆっくりできました
こういうバカなら飼っていて楽しそうだ -- 2010-08-06 10:59:03
- 確かに義務だけど、子供欲しくないなら初めから去勢済みのを飼うのが一番だと思うけどな
このままじゃ、れいむやまりさにストレスが溜まって近い将来ストレスで死んだりしそうだな -- 2010-07-24 04:06:59
- 去勢はペットを繁殖させる気ないならやるのが義務だな -- 2010-07-24 02:13:08
最終更新:2010年03月17日 17:09