ふたば系ゆっくりいじめ 194 おいまりさ、涙の味はおいしいか?

おいまりさ、涙の味はおいしいか? 17KB









「そーらそらじしんだぞ~!」

「ゆゆーん♪」

「おしょらをとんでりゅみちゃい♪」

父親まりさのお腹の上でぽよんぽよんと弾む妹達の姿を、姉まりさは遠くから見ていた。
晴れた日の庭は、陽光が暖かく、風の穏やかで過ごしやすいゆっくりした気候だった。
人間に「飼われて」いるゆっくりの一家はこの数日晴れの日が続いていたので日光浴のために外に出ていた。
ゆっくり達はゆっくりする事が何よりも好きである。
太陽の光を浴びて体を温め、運動し、お昼寝する。 ちょうちょやバッタを追いかけて遊ぶ。
山や森を主な住処にしているゆっくりも、都市部の公園周辺をねぐらにしているゆっくりも、だいたい好んで同じ事をする。
この一家は人間の庭の一角に住まわせてもらって居たが、ご多分に漏れずそうしたゆっくり行為を満喫していた。
脚を怪我して後遺症の残る父親まりさは追いかけっこが出来ないが、その分こうした別の遊びで子供らのうち二匹と遊んでやっている。
母親れいむも耐水性ダンボールのおうちに寄りかかって、側に寄り添う赤れいむにゆっくりおうたを聞かせている。
とても、ゆっくりしていて幸せそうな光景だった。

だが、両親の子であり、妹達の姉である子まりさだけはその家族の輪に入ることは出来なかった。
少し前に、姉まりさはおうちの中でちょっとした騒動を起こした。
簡単に言えば、我侭が過ぎたのである。 結果として、妹の一匹が永遠にゆっくりし、姉まりさは家族から追放された。
おうちに戻りたいと懇願しても、謝っても、両親の怒りが解けることは無かった。
姉まりさの所為で、愛情を注いできた我が子が一匹失われる事になったのだから、当然である。
我侭と一緒に両親への悪態をついた事も、悪印象を強めてしまっていた。
親に反抗した上に、妹を、家族を殺した凶状持ちの姉まりさは、もはや家族でもなんでもないとみなされてしまったのだ。
むしろ、自分がゆっくりしたいがために我が子を殺そうとする危険な外敵でしかなかった。
もっとも、姉まりさとて、両親が溺愛して守り育ててきた子である。
足が満足に動かないので狩りの出来ない父親まりさと、子を養っていくほど狩りの上手でない、
気立てのよさと歌が上手いというだけで夫にプロポーズされた母親れいむが人間に平身低頭してお情けと食べ物と住処を恵んでもらっているのは、
ひとえにかつて10匹もいた我が子の中で唯一生き残ったという姉まりさへの愛のためでもある。
全ては我が子を食わせていくため。 そのために、恐ろしくて暴力的で鬼の様な、ゆっくり出来ない人間に媚びへつらう事すら耐えてきた。
その愛するわが子に罵られた上に、大事な子を殺されたという悲しみが、姉まりさに裏切られたという失望となり、憎しみへと転換されたのかもしれない。

姉まりさは両目からぽろぽろと涙を流していた。
両親に嫌われてしまった今となっては、おうちに近づく事すら許してもらえない。
妹達と遊びたくても、近づくだけで恐ろしい顔をされて、ぷくー!と体を膨らませて威嚇される。
その時は姉まりさが思わずしーしーを漏らして泣き叫び、逃げ帰るほどに両親は容赦が無い。
かつて自分に優しく甘えさせてくれた面影は、全く感じられなかった。
だから、姉まりさはかつての家族達の楽しそうに遊ぶ様子を、庭の草の陰から離れてじっと見つめる事しか出来ない。
何故こんな事になってしまったのかと言えば全部、姉まりさ自身の所為だが。
だが今は、姉まりさは全てを後悔していた。 あの日、自分が吐いた我侭や不満や、両親への罵声の一つ一つを。

妹を、その手にかけてしまった事を。




「ゆ~ゆゆ~ゆっくり~していってね~♪ ゆ~ゆゆゆ~ゆゆ~ゆ~♪」」

「ゆ~ゆゆ~!」

「ゆー!」

母親まりさの優しい歌声に合わせ、妹達の唱和する声を姉まりさはおうちの壁にぴったりと体をくっ付けて聞き取っていた。
既に日は落ち、家族は皆おうちの中に入ってゆっくりしている。
おうちの戸の木の板はしっかりと戸締りされ、隙間すら開いてはくれない。
姉まりさが入ろうとしても、入れるような余裕はどこにもなかった。
もっともおうちに入ったとしても、数秒で恐ろしい顔をした両親の手によって追い出され、外に放り投げられるだろう。
悪くすると体当たりまでして吹き飛ばされる。
家族だった頃は、両親に攻撃されるなんて全く無かった事だっただけに、成体ゆっくりのお腹の一撃を受けて
地面に打ち付けられる痛みは姉まりさに耐え難い苦痛を心と体の両方にもたらした。
一度、ご飯の時間に開けられたおうちの入り口の隙間を塗って、強引におうちの中に入ったことがある。
「あっ!」と叫ぶ父親まりさの脇を素早く通り抜け、元々姉まりさのお気に入りの寝床だった母親れいむの敷いてくれた気持ちのいい葉っぱのお布団に潜り込んだが、
即座に姉まりさは母親れいむに後ろ髪を口で掴まれて引きずり出され、外に放り投げられた。

「やじゃあああああ! ここはまりさのおふとんだよ!
おかーさんがまりさにつくってくれたおふとんなのぉぉぉぉ!! ゆんやぁぁぁぁぁ!!」

泣きながらお尻をふりふりして抵抗する姉まりさは、次の瞬間無重力感に包まれて、そして顔面から泥の上にちゅっちゅさせられた。
震えながら起き上がろうとする姉まりさに、父親まりさは冷たい罵声を浴びせた。

「おまえなんか、うちの子じゃないんだよ! 知らないよその子だよ!
かってにおうちに入ってこないでね! あのおふとんは、もういもうとたちのものだからね!!
つぎにおうちにちかづいたら、ゆっくりできなくさせるよ! ぷくぅぅぅぅぅ!!」

全身を膨らませて本気の威嚇をしてくる父親まりさの迫力と、告げられた言葉のショックに姉まりさは大声で泣き喚きながら
自分に与えられたちいさなおうちへと逃げ帰った。
そして、何も敷いてない剥き出しのダンボールの床の上に突っ伏して、何時間も泣いた。

あのおうちにある全てのものは、お布団も、家族も、お母さんのお歌も、大事な宝物のひとつひとつが、もう取り上げられてしまって自分の物では無くなってしまっている事を認識して、泣いた。





姉まりさがおうちを追い出されてから、人間によって与えられた小さなダンボールのおうちは、姉まりさの砦だった。
おうちの中にはいつも姉まりさがポツンとたたずむ以外、何も置かれていなかった。
大事なものも宝物も、元のお家に全部あった。 だがそれは、今は姉まりさの物ではない。
おそらく妹たちにでも与えられているのだろう。 床は冷たいわけではなかったが、お気に入りのお布団ほど寝心地がいいとは思えなかった。
かといって、両親に甘え尽くしだった姉まりさには、お布団の敷き方なんてわからない。
そもそもお布団にする葉っぱなんて、どこから持ってくるのかわからない。
人間に要求すれば実は持ってきてくれるものではあったのだが、姉まりさはそれを知らなかったし、考えようとも思わなかった。

姉まりさが大好きなお花は、茎が長すぎて姉まりさには取る事が出来なかった。
前は父親まりさに茎を齧り倒して取ってもらったのだ。
姉まりさが大好きなキラキラした小石は、お庭の中には見つけられなかった。
あれは父親まりさが泥の中から掘り返し、ぺろぺろして綺麗にして与えてくれたものだった。
姉まりさが興味深しげに何時間も見つめて飽きなかった、素敵なセミの抜け殻は、何処を探しても同じものが無かった。
母親れいむが偶然人間の家の壁にくっ付いているのを見つけて、人間にお願いして姉まりさのために貰ってきたものだったからだ。

何もかも、両親がくれたものだった。
姉まりさには見つけられず、取ってこられない貴重な品物の数々だった。


あんなに「妹達に取られるので足りない、もっと食べたい!」と願っていたご飯だけは、自分の分を満足いくだけ与えてもらった。
しかし、与えられるたびにそれは地面にぶちまけられた上に、脚で踏まれて泥まみれにされていた。
そしてそれを自分で拾わなければならなかった。
父親まりさに持ってきてもらっていた時は、こんなでは無かった。
大事なご飯を無下に扱われ、こんなに惨めな思いをしながらおうちに持ち帰るなんて事はしなかった。
これだけの目に合わされながらも、ご飯を与えてくれる人間には毎日感謝の言葉を述べなければならなかった。
そうしなければ、泥まみれのご飯を与えてもらう事すら無いという屈辱と悲しみが、姉まりさを一層惨めにさせた。

「どおしでこんなことするのぉぉぉ!? まりさのごはんがあああああ!!
ゆわああああん! もうやだぁおうちかえるぅぅぅぅぅ!!」」

仕打ちに耐え切れず、泣き出してしまった事もある。 今までは、これは父親まりさの分担だった。
足の悪くて狩が出来ない父親同様、自分で狩をする術をなんら知らない姉まりさは、今はこうして屈辱を与えられながら
ご飯を貰っているという立場を、父親という壁を通さず自分の身で直接実感する事になった。
泥の味しかしないご飯を噛み締めながら、姉まりさはかつて父親まりさに言ってしまった言葉を激しく後悔していた。

『ごはんもろくにとっちぇこれにゃいおとーさんのくせに、えらそうにちちおやづりゃしにゃいでにぇ!』

食べても食べてもしあわせ~にはなれなかったし、満たされる事も無かった。
やがて、泥の味に涙の味が混じり始め、姉まりさはしゃくり上げながら孤独なご飯をむーしゃむーしゃした。







次の日も、日差しが程よく気温を上昇させて暖かかったので、家族は庭に出てゆっくりとしていた。
父親まりさは周囲をしきりに警戒し、何かを探している様子だったので、姉まりさは自分のおうちの中に引っ込んで出入り口から家族の様子を沈んだ表情で見つめていた。
探しているのは、自分の事だとわかっていたからだ。
度々前のおうちに戻ろうと侵入したり、近くで様子を窺っていた事があったので、両親は警戒を強め、少しの接近も許さないようになっていた。
完全に、自分はあの家族の外敵としか見なされていない。 そう思うと姉まりさの心は激しく痛み、ゆっくりできない辛さを訴えた。
やがて、姉まりさの姿が庭の中の何処にも無いというのを確信したのか、父親まりさは一旦おうちの中に戻り、妹らを帽子の上に乗せ、そして母親れいむを後ろに連れてまた外に出てきた。

「ゆっ! きょうもゆっくりできるね! たいようさんあったかいね! ゆっくりしていってね!」

「ゆっくちちていってね!」

「ゆっくちー! ゆっくちー!」

妹ゆっくりたちは父親まりさの帽子から順番にぴょんぴょんと草の上に降りると、めいめいに遊んだりゆっくりし始める。
それを見ながら、両親は穏やかな笑顔を浮かべた。 とてもゆっくりした優しい笑顔だった。
姉まりさは、それをとても羨ましく思った。 おうちを追い出されてからは、一度もあの笑顔を自分は向けてもらっていない。
前は、家族の一員だったときは、いくらでも向けてもらえた。 妹達が生まれる前は、自分だけが独占していた。
もう一度、あの笑顔が欲しい、温もりが欲しい、と姉まりさは思った。

あまりにも日差しが穏やかでゆっくりできていたのか、そのうち両親は妹達を遊ばせたまま寄り添ってお昼寝をし始めた。
ゆぴい、ゆぴい、ゆふう、ゆふう、という寝息が聞こえてくる。
そして、妹達は3匹で仲良くゆっくりと、跳ね回ったり転がりながら遊んでいる。
今なら、と姉まりさは思った。 そっと、両親に気配を悟られないようにそろーりそろーりと呟きながらおうちの外に出た。
庭はとても暖かく、日差しが眩しかった。 姉まりさは草の上を飛び跳ねるように、家族のほうへと近づいて行った。

両親に近づいたら、また怖い顔で威嚇され、体当たりをされるだろう。
どんなに謝っても泣いても赦しを請うても、もはや両親には自分は憎い対象でしかないのかもしれない。
それでも姉まりさは、家族に戻りたかった。 もう一度両親に、優しい笑顔を向けてもらいたかった。
だから、妹たちの方に近づいた。
自分のご飯を取るから、両親の愛情を取ってしまうからと一時は嫌った事もある妹達だったが、だがやはり家族であり姉まりさの妹だった。
妹たちが生まれたときは、自分はお姉さんになるという事がとても誇らしかったし、嬉しかった。
前は9匹もの大勢の姉妹がいた事もあったし、姉妹という存在そのものが嫌なのではなかった。
もう一度、仲良く暮らしたいと姉まりさは思った。 両親に謝って許してもらえないのなら、妹に謝って許してもらおう、そう考えていた。

ごめんね、あの時言ったことは嘘だよ、またお姉ちゃんとゆっくりしようね…
そう言って上手く受け入れてもらえれば、また家族に戻れる。 おうちに入れてもらえる。
お布団も、お花も、他の大事な宝物も、また自分のものに戻ってくるだろう。
妹達と仲直りしたのを見れば、両親も許してくれるだろう。
姉まりさはそう希望的観測をしながら、どうやって言えば妹達と仲直りできるか、どう声を掛けようかと算段しながら、遊んでいる妹ゆっくりたちに近づいた。

一番先に気付いたのは、姉まりさと同じ姿をした妹まりさだった。
ちょうど、妹れいむとのーびのーびをして競っていた妹まりさは、背後で草を踏む小さな足音がしたのを耳にすると、ゆっくりと姉まりさの方を振り返った。
姉まりさは、数日振りに妹と対面を果たした。
両者の瞳が真っ直ぐ見つめあい、一瞬の間、お互い無言だった。

「ゆ…ゆっくりしていってね……ま、まりさ…」

姉まりさは、緊張しながら妹まりさに声を掛けた。
大丈夫、ちゃんと謝れば許してくれるよ。 だって、自分の家族なんだから。
ちょっとぐらいご飯を横取りして、お母さんの愛情を盗んじゃうけど、やっぱり自分の姉妹なんだから。
自分と仲良くしたいに決まっている……

しかし、妹まりさのポカン、としていた表情は次の瞬間には目を思い切り見開き、そしてとても恐ろしいものでも見たかのようにくしゃくしゃに歪んだ。

「ゆ…ゆわぁぁぁぁぁ! きょわいよぉぉぉぉぉ! まりしゃまだちにちゃくにゃいぃぃぃぃ!!」

大粒の涙を流し、大声で叫びながら妹まりさは踵を返して姉まりさの前から逃げ出し始めた。
他の妹れいむたちも、「ゆっ!?」と驚きの表情を上げてこっちを見る。
そして、妹まりさが寝ている両親の方へと向かって全速力で逃げてゆくのを見ると、釣られたように自分らも叫んでそれを追いかけ始めた。

「ゆううぅっ!? どおじでにげりゅのぉぉぉぉ!? まりしゃなんにもしちぇないよぉぉぉぉ!!
まっでよぉぉぉぉ!! まりしゃぁぁぁぁ!!」

「ゆあぁぁぁぁんおとーしゃんおかーしゃんたしゅけちぇぇぇぇぇ!! まりしゃおねーちゃんみたいにちゅぶされたくにゃいいいいい!!」

「ゆぅぅぅーーーん!」

「ゆぅーーーーー!!」

姉まりさは、妹まりさが怯え、泣きながら必死で逃げている理由がわからなかった。
別に自分は何もしていない。 ただ、声をかけようとし、挨拶をしただけだ。
それに、自分は仲直りにきただけだ。 謝って許してもらおうとしただけだ。
仲直りすれば、妹たちのことも許してあげるつもりでいたし、元の家族に戻ろうとしただけだ。
それなのに、妹達は何で逃げるのか?
実際にはこの時、姉まりさを恐れて逃げているのは妹まりさだけで、残りの妹れいむたちは分けもわからず
妹まりさが泣いて逃げ出し始めたので、反射的に一緒に叫んで走って逃げているだけだったのだが、後ろからそれを追う姉まりさには
妹達全員が自分を恐れ、距離を置こうと逃げているようにしか見えなかった。
だから、突然のそんな仕打ちに酷くショックを受け、また孤独になることへの恐れから、置いていかれまいとして必死に妹達を追いかけた。
自分は言葉を交わしたいだけなのだ。 仲直りがしたいだけなのだ。
そう、元の家族に戻れば、またゆっくりできるから。 寂しくないから。

そんな姉まりさの妹達を追いかける姿を、子らの叫び声で目を覚ました両親たちがどのように認識したのかは

「「ゆううううううう!! まりさ(れいむ)のちびちゃんたちを殺そうとするクソチビはゆっくりしないで死ね!!」」

「ぴぎぃぃぃぃぃぃっ!!!」

想像するに、難くない。












「…そういうわけだ。 お前のお姉ちゃんは、仲直りがしたかっただけなんだよ。
またお前たちと一緒に遊びたかっただけだ。 こんな残念な事になってしまったけどな」

「ゆ……そんな…そんにゃ…まりさは、あのときこわくちぇ……おねーちゃんにこりょされるとおもって……
だって、だっちぇ…おねーちゃんは…まりしゃたちのこときりゃいだっでぇぇぇぇぇ!!
いもーとなんかほしくなかっちゃっでぇぇぇぇ!! まりしゃたちいりゃないってでぇぇぇぇ!!
ゆっぐりできなぐなりぇばいいっでいっでだからぁぁぁっ!! だかりゃおねーぢゃんはまりしゃだちのごど、だいぎらいなんだっでおぼっにょにぃぃぃぃ!?
どうしぢぇ、どうしぢぇごんなごぢょぉぉぉぉぉ!?
ゆぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!! ごべんにゃしゃい! おねーじゃんごべんにゃしゃいぃぃぃ!!
ゆるじぢぇぇぇぇぇ!! ながなおりずるがりゃぁぁぁっ!! まりしゃっおねーじゃんどながなおりずるがりゃぁぁぁぁ!!
おねがいだがらいぎがえっでぇぇぇぇぇぇ!! ゆぁぁぁぁぁぁん!! おねぇぇぇぇぇじゃぁぁぁぁぁん!!」

かつて姉が住んでいた小さなダンボールのおうちを与えられた子まりさは、話を聞かされ終えると姉の形見の小さなお帽子にすがり付いて、
なんども頬を帽子に擦り付け、そして大粒の涙を染み込ませた。
前のように家族に戻りたいと願って近づいてきた姉を、思い込みで殺されると思って、結果的に両親に殺させた形となった子まりさには
「姉を死なせたのは自分だ」という罪悪感と自責の念から後悔して泣き喚いたが、失われた命は二度と帰ってこない。
元々妹達は姉まりさを嫌っているどころか、むしろ慕っていたのだから、姉まりさもあんな事件を起こさなければ
妹達には愛されるお姉さんで居た事だろう。
元はといえば姉まりさは過剰な我侭による自業自得の結果の延長として命を落としたと言えるが、一部は妹との誤解・すれ違いによるものも大きい。
同じく、自信の思いあがりの結果として家族に追放され、(それは俺が促したのだが)同様にこれから孤独な生活を送る事になる
子まりさは、今は姉まりさの孤独と後悔とを誰よりも共感できる事だろう。
良かったな、姉まりさ。 妹に泣いてもらえて。


「…まあ、半分くらいは俺の憶測と脚色と美化が入ってるんだけどな」

ボソリと呟いた一言は、泣きながら姉を呼び続ける子まりさには聞こえていない。
別に、嘘ではないぞ? 姉まりさが孤独で惨めな毎日を送りながら、家族のほうを毎日悲しげに見つめていたのは事実出し、
家に強引に入ろうとして何度も追い出されたのも事実。
おうちの壁を叩き、泣きながら家族に許しを求めていた事もあったし、母親れいむのおうたを聴こうと側に近寄って威嚇されて泣いて逃げ帰った事もある。
少なくとも俺が観察していて見たことは全て、事実に可能な限り忠実に子まりさに伝えた。

が、姉まりさが何を思って妹たちに接近して行ったのかは、定かではない。
本当に仲直りしようと近づいて行ったのかも、寂しくて、幸せそうな様子をせめて見るだけでも、と思ってつい近づきすぎたのかも、
はたまた、両親の愛情を独占している妹達に復讐しようというつもりで側に寄って行ったのかもしれない。
だがまあ、こんな不幸で悲しい話の一つぐらいあってもいいだろう。
妹に怖がられたまま死んでゆくなんて、姉まりさが可哀想だ。

そう思う程度には、俺は鬼にはなりきれないのだ。



「…充分鬼だと思うけどなあ。 ほーれほれ、ポンデリングが食べたい? もっとジャンプしないと食べられないよ?
まあキミは舌が焼けちゃってるから、これがどんなに美味しいかなんて一生わかんないんだけどねー♪」

「ゆぁぁぁぁぁん! たべしゃしぇちぇね! たべしゃしぇちぇね! まりしゃにもぽんでしゃんたべしゃしぇちぇよぉぉぉぉ!?」

…んで、お前は縁側で何をやってるんだ。
そういう意地悪は可哀想だからやめろよ。 というか、栄養が偏るからそういうものは与えないでくれないか?

「その子はこれから雑草だけで飼う、なんて虐待する人には言われたくありませーん。
あと、コレは私が拾ってきたものだし? 買って与えるぐらい別にいいでしょ」

そいつは体調が整ってきたから明日から庭の一家に養子として預けさせる予定なんだ。
慣れない物を与えて健康バランスを崩させないでくれるか。
あと、世話をしてるのと、餌を与えてるのは俺なんだが。

「よし、じゃあキミには悪いけど、あのお兄さんがダメと言うのでポンデさんはあげられません!
私が代わりに食べちゃます。 むーしゃむーしゃ幸せー あーもっちもち」

「ゆぁぁぁぁぁぁん! まりしゃもたべちゃいのにぃぃぃぃぃ!!
どおじでごんにゃごぢょしゅるにょぉぉぉぉぉぉぉ!!」

…お前、実はかなり鬼だろう。


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感想

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  • コメント見る感じ、確かに姉まりさ可哀想。(俺も同情しそうになった)
    だけど、元々お家宣言するような一家だし、
    理由も聞かず問答無用で我が子を殺す母れいむだし、
    ゲス因子の強い野良ゆっくり一家だけどね~ww -- 2018-01-03 14:26:34
  • 姉まりさ悪気がなかったけどころしてしまったことに反省も後悔もしているのに、元はといえば、親
    が無計画にすっきりしたせいだろ、それを責任転嫁して姉まりさの所為っていうのはひどい、しかも
    話も聞かずに殺すのは、どう見てもゲスだろ。姉まりさ生きて欲しかった。 -- 2017-09-24 10:20:13
  • 結局両親が子供を増やしたから子供が不幸になってるんじゃんばかじゃないの?いやバカだったねゆっくりは 餡子脳だったね -- 2016-09-12 01:49:12
  • 妹の勘違いでしんだ姉魔理沙に泣いてしまった -- 2016-06-27 22:58:08
  • このシリーズは大好き。人気投票あったら一位のめいさく。 -- 2014-01-25 01:23:17
  • >元々姉まりさのお気に入りの寝床だった母親れいむの敷いてくれた気持ちのいい葉っぱのお布団に潜り込んだが、
    >即座に姉まりさは母親れいむに後ろ髪を口で掴まれて引きずり出され、外に放り投げられた。

    こういうの大好き。かつての場所に戻れないのは悲しいだろうな。ざまああああああああ。
    最高にゆっくりできるよ! -- 2012-12-08 19:57:25
  • この連作は(・∀・)イイ!!
    こういうまんじゅう家族をもてあそぶ精神的なのも(・∀・)イイ!! -- 2011-06-02 04:05:36
  • 妹ゆっくりが逃げる最中の文で『仲直りすれば、妹たちのことも許してなげるつもりでいたし』とか自分の罪(妹殺し)を反省してない。なにより、妹を使って家族に戻ろう思う時点で性根か腐ってやがる。潰されて少しはスッキリしたけど、その後の飼い主が余計なことを親ゆっくり達にいうから、なんか中途半端。
    ゲスはゲスのままでいいでしょうが、ハァ・・・・・・乙
    -- 2011-04-30 00:27:41
  • この話の時点ではもう二番目の追放者として、この盾突きまりさが追放されてるわけだよな
    どうしてこのタイミングでこの男は「姉まりさ」の死の真相を教えたんだろう? -- 2010-12-27 05:34:15
  • 相変わらず友人がウザい -- 2010-11-13 02:26:42
  • ゆっくりは生かさず殺さずですか? -- 2010-08-21 22:43:11
  • この生殺しな感じがたまりませんなぁ -- 2010-08-02 23:00:11
最終更新:2009年10月20日 15:42
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