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きみこ「バケツって何ですか。頭にかぶる以外、何するの」
菩鋳螺「まずバケツは頭に被る物じゃないと思うのだが……本来バケツとは物を入れて運搬する物のことだよ」
天河宵「中に入れたものをこぼさないための入れ物、ですね」
曲直瀬りま「まあ、軌道上から、ぽーんと荷物を投げ降ろしても落ちてはいくけど、それじゃあバラバラになっちゃうからね」
きみこ「あぶないよ? 壊れない?」
曲直瀬りま「で、荷物が壊れないように、クッションでくるんでパラシュートでゆっくり降りるように工夫したものの形が、バケツっぽかったんですね」
きみこ「あ、なるほど。それでバケツ」
菩鋳螺「まあ、ゆっくりといっても大きさと重さに対してだから。生身の人が中に入ったまま降りてきたら着地の衝撃で打撲ですめば幸運かな?」

 

 

往還式無人貨物運搬筒「バケツ」

 

 強襲降下用カプセルあるいは輸送用着陸機を「バケツ」などと、誰が呼び始めたかは定かではない。これが通常の上陸舟艇HLVと異なるのは、自力では帰投できないという点だ。ローコストを優先した、金食い宇宙軍を抱えたFVB究極のハイアンドロー・ミックス戦略の賜物と言って良い。

 FVB本国への輸送の場合は話は簡単だ。洋上に降下したのをタグボートで回収し、地上基地のマスドライバーで放り上げるだけなのだから。

 問題は敵地へ降下する場合だ。たとえ敗色濃厚となろうとも自力では帰投できないから、いやでも敵を駆逐するしかない。これを使用するときは、まさに背水の陣の覚悟が必要なのだ。

 正式採用されることになった往還式無人貨物運搬筒が初めて公開されたとき、実際に運用に携わる面々からの評価は賛否両論だった。
「喜べ、我々の棺が届いたぞ」
「げげぇー」
軍曹(FVB的には足軽頭)は強襲揚陸訓練用に運び込まれたバケツをうれしそうに部下に披露し、披露された軌道降下兵たちはげんなりとする。
「ここまでする必要があるのか?」
「バケツというより逆さ釣瓶落としですね」
パイロットはバケツの構造規格書を読んであきれ、オペレーターはバケツの運用方法の説明を聞いて素直な感想を述べた。
「なあ、この減速方法って、周りで水蒸気爆発が起きないか?」
「規格書を見なかったのか?外部での爆発的膨張は仕様の内さ」


 

★「バケツ」開発に至る経緯
長く燃料不足で本領を発揮できないまま悔しい思いをしていたFVBが、ついに念願の燃料採掘地を発見した。T10のことである。
だが、その採掘地は宇宙。宇宙国家をめざすFVBとしては願ってもないことのように思えたが、そこに一つの巨大な壁が立ちはだかった。
地上へ燃料を運びおろす手段がなかったのである。
いや、無いわけではないが、問題は山積していた。この頃、Tera領域は共和国天領軍との戦闘状態に突入しており、地上と宇宙を結ぶ輸送力は慢性的に不足していたのである。大型の宇宙輸送艦の開発も進んではいたものの、輸送力と低コストを優先する輸送艦には地上降下能力がない。軌道上と地上の行き来は、人員以外の輸送にはとても向かないT-STSを使わざるを得なかった。こうなったら、燃料採掘に行かない方が、燃料が儲かるというおかしな図式になってしまう。
一方、FVBは冒険艦という、地上離発着が可能で7つの世界を自由自在に飛び回れる強力な輸送手段を保持していたが、大きく資源を消費する冒険艦を資源不足のFVBがおいそれと使えるわけはなく、まして冒険艦を燃料輸送に使っていては戦闘力が皆無になってしまうという欠点があった。
つまり、宇宙に存在する燃料を安価で大量輸送できる手段が求められていたのである。

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「宇宙から地上に物を下ろす分には引力があるから、うまく落下速度さえ相殺してやれば、なんとかなるんじゃないか」
その一言がきっかけで、この手段を実現するための検討が開始された。
「軌道上から地上へ安全に降着する能力さえあればよい、打ち上げはマスドライバーで行えばよいのだから」
「省力化するために、軌道降下から着陸までの手順はコンピュータによる自動制御をデフォルトにしましょう」
「できるだけ沢山の物資を降ろせるようにしないと意味がないぞ」
「一基あたりの製造・運用コストも安い方が良い」

「欲を言えば、降下作戦で使用できるようにしたいな……」
など様々な意見を元に仕様が決定され、さまざまな紆余曲折を経てバケツの開発計画がスタートしたのであった。

 


 

★「バケツ」の外見と内部構造

 人の住む世界はいまだ重力井戸の底にある。
その井戸へスルスルと降ろすのだから、つるべとか桶と呼ぶべきなのかもしれないが、いくらなんでもそれはあんまりだということで、「バケツ」というのが正式な呼称となっている。
もっとも、バケツよりは「カップケーキ」や「プリン」に似ているという者もいるし、「パンケーキ」じゃないかという節もあるくらいであるが、「大気圏突入用カプセルとしては標準的な砲弾型」ではないかという意見は意外にも少数派であった。

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 船殻は大気圏再突入に耐えられるよう耐圧耐熱に優れた材質で構成され、特に船の底面では念入りに設計が行われており、稼動部などのウィークポイントとなりそうなものは設置されていない。
基本構造は大きく外装三箇所と内部ブロックという4区画で出来ており、接続ポイントによって内部ユニット、外装上部ユニットと外装中央・下部ユニットへの分離結合が簡単に行えるようになっている。
また、強襲降下時には大気圏内で二分割するため電子制御系とパラシュートには正副の二系統が準備されている。

以下は、それぞれの部位の説明である。

1.内部ブロック
地上に運びおろす貨物・兵員等を収納するブロックである。
これ単体でも貨物の保存が出来るコンテナとなっており、目的別に数種類ある。

バケツはブロックごとの分離を行えるため、時間のかかる貨物の積載を事前に行っておき、打ち上がって来たバケツの内部ブロックを換装することで時間の短縮を行い、効率的な物資の降下を行えるようになっている。

2.外装下部ブロック
外装下部ブロックには主フロートバルーン格納部、推進物質積載タンクおよび耐圧耐熱シールドが設置されている。
主フロートバルーンは膨らますことにより、陸上に降下した場合はエアバック代わりとなり、規定最大積載時に水面に着水した場合は、機体構造と合わして機体の上部約20%を水面上に出す浮力を得られる。
推進物質積載タンクは耐圧耐熱シールドとほぼ同等の耐圧耐熱性を持つタンクであり、そこに積載された、特殊溶剤を混ぜることにより熱容量を上げ蓄熱性を上げた水を外部に放出することで、減速用噴射物質とするのである。
また、耐圧耐熱シールドとも接しており、機体に伝わる熱は特殊溶剤を混ぜた水に伝わり高圧高温状態で蓄積される。
積載推進物質を出し切ったタンクは上記の浮力を得るための空間でもある。

3.外装中央ブロック
外装中央ブロックにはスラスターユニット、副パラシュート格納部と副電子制御系が設置されている。
スラスターユニットは宇宙での姿勢制御及び大気圏降下中の減速に使用するスラスターである。水に混ぜた特殊溶剤を分解するために強い磁界をかけることもあり、水の反磁性を使用して噴出させる。
大気圏降下の使用時には、機体に伝わった熱を蓄え高圧高温状態になっている物を下方に放出することにより排熱を行う。高圧状態からの開放と特殊溶剤を分解されたことにより、急激に気化する際の爆発的膨張の反動を減速に使用するため十分に頑丈に作られている。
副パラシュートは主パラシュートと同等の性能を与えられており主パラシュートが機能不全を起こしても降下可能とされている。
副電子制御系は、大気圏外用の能力と有人用コントロール室を削ることによって小型化されているが、強襲降下時は副パラシュートと合わせて外装中央・下部ブロックを降下させるのに十分な演算能力を持っている。

4.外装上部ブロック
外装上部ブロックにはドッキングユニット、主電子制御系と主パラシュートおよび補助フロートバルーン格納部が設置されている。
ドッキングユニットはその設計概念上、自己航行能力は付加されていないバケツが、移動するために別の船舶などによって牽引される際の接続口であり、内部ブロックまで貫通しているエアーロックを兼ねている。
主電子制御系は大気圏内外でバケツを自動運用するために高度な装置群となっている。緊急時の手動コントロールターミナルを含んでいる。
主パラシュートはバケツ全体を支え、ある程度の降下地点の修正を行う能力を与えられている。
補助フロートバルーンは、荒れた海などでの安定用の物であり、これだけでは外装上部ブロックを水上に浮かべるのに必要な浮力がかろうじて得られるかどうかの物である。

 


 

★バケツの運用について
バケツは以下の手順で運用される

1.打ち上げ
空荷状態のバケツは、推進物質タンクを水で満載にした状態で、地上基地のマスドライバーにより打ち上げられる。
軌道上に到達したバケツは、待機していた回収用の宇宙艇に牽引されて宇宙港などの貨物積載場所に移動する。

2.貨物積載
宇宙港などで内部ブロック、外装上部ブロックと外装中央・下部ブロックに分離し、内部ブロックを事前に積載しておいた物と換装を行う。このとき、降下場所や誘導電波、降下軌道など必要なデータのインプットや、安全点検・整備などが行われた上で最接合される。
この一連の作業がポリバケツに物を入れる用に見えることが名前の由来ではないかとも言われている。

3.降下宙域へ移動
換装と点検が完了したバケツは、再び宇宙艇によって降下を開始する宙域まで牽引されて移動する。

4.降下開始から降着まで
降下宙域へ移動後、バケツはインプットされたデータに従い降下を開始する。
まずは、減速を行って自身を惑星の重力にとらえさせ、自身が燃え尽きない角度で突入を開始する。
空気抵抗をブレーキとして減速しながら降下し、ある程度降下し最終到達速度に達した時点でスラスターユニットを起動し推進物質を放出することにより全体で蓄えた熱量を減らすとともに、再減速と方向修正を行う。この際警報を兼ねた轟音を響かせる。
推進物質が残り1割をきった時点でパラシュートの展開準備を行い着陸・着水域に設置されたビーコンに接近するよう、再修正を行いながら地表を目指す。
地表面が近くなってきた時に、フロートバルーンを膨らませ着地に備える。

5.降着について
【貨物輸送カプセルとして】

貨物輸送におけるバケツの降着は、通常海への着水という形で行われる。理由としては、帝国tera領域の藩国のほとんどは海に面しているため、どの藩国への派遣にも水面への着水で可能ということ、降着域の誤差を吸収できるほど広い土地がFVBには存在せず、海の上の方が回収が楽ということがあげられる。
陸地へ着地した場合は、フロートバルーンの再利用率が落ち、移動に手間がかかるため砂漠などの着地できそうな地形があっても広い水面が得られるのなら水面に降りることとなる。
なお、着水地域に選ばれた海域には事前に告知がされ、バケツの回収まで一般の船の立ち入りができなくなる。

 着水後、タグボート等によって牽引することで港湾設備に回し、水上で外装上部を分離することによって内部ブロックにアクセスできるようにし、ガントリークレーンなどで内部ブロックより貨物を荷揚げする。
その際、推進物質タンクに水を注入していくことによって、喫水が下がるのを緩和させ積卸しへの影響を緩和させる。
貨物の積卸しが終了したら揚陸施設まで運ばれて、再び宇宙に打ち上げられる時を待つこととなる。

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 以上が一般的なバケツの運用となるが、もう一つバケツには使い道がある。それは、惑星への強襲揚陸作戦を行うときの降下カプセルとしての使い道である。

【強襲揚陸艇として】
普段の貨物輸送には邪魔だとして取り外されているが、バケツは当初から戦闘における部隊や物資の揚陸にも利用されることを前提としており、厚い装甲が用意されていた。

 しかし、強襲揚陸ということは、敵の迎撃が予想されるただ中に降下するということであり、少しくらい装甲を厚くしたところでミサイル1発あたればおしまいである。しかし、それでも「仕方がない」で諦めたり、「危険だからやらない」で戦いから逃げ回るわけにもいかないのであり、可能な限りの対抗手段が考え出された。

 


強襲揚陸時には、内部ブロックも装甲化された強襲揚陸用の物を使用することとなる。
これには無いよりマシ程度ではあるが簡易型の手動操縦装置もオプションで追加されるが、よほどのジャミングが行われていない限り、自動制御で降下した方が安全といわれており、操縦システムは兵員たちからは「お守り」と呼ばれている。
大気圏に突入したバケツは、高々度で光学・赤外線・音波センサーへのジャミングとして推進物質とチャフの緊急放出を行い、同時に外装中央・下部ブロックと内部・外装上部ブロックの連結を解除し、分離する。このとき分離した外装中央・下部ブロックは電波照準へのジャマーとなり、チャフとの相乗効果で可能な限り本体が標的とされるまでの時間を稼ぐ役目を担う。
また、本体のパラシュートはぎりぎりのタイミングまで展開しない。それは早めにパラシュートが開いてしまうと、分離したブロックとの降下速度に差が開いて発見されやすくなるためである。しかし、パラシュートを開くタイミングが遅れれば地上に激突してしまう。ぎりぎりのタイミングを競う地獄のバンジージャンプである。

 さて、無事にパラシュートが開いたなら、一刻の猶予もならない。
軌道降下兵、宇宙の戦士など、多少でも自力での降下能力のある揚陸部隊は、空中から次々に放出されることになる。そして、歩兵や戦闘車輌、補給物資がまだ載っている本体、内部ブロックの降下支援にあたるのだ。

【脱出装置として】
T10での戦訓により、宇宙と地上を行き来する施設等が破壊された場合、宇宙に派遣された人員が取り残されてしまうことの危険性が、あらためて認識された。この当たり前といえば当たり前な非常事態に対応するため、内部ブロックが居住スペースとなっている物も用意されており、地上へ帰還できるようにしたいわば脱出カプセルタイプのバケツが作成されている。
このバケツは、宇宙港に係留され、通常の手段では地上に帰れなくなった際に使用されることとなった。

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「ん・・・困ったな・・・」
 簡単至便であるがゆえに、バケツの応用範囲は広がっていったが、所詮バケツである。しわ寄せは末端の現場と技術者に押し寄せた。

「強襲降下は考えてたけど、脱出カプセルとすることまでは考えて無かったな・・・」
「体を鍛えてる人以外じゃ着水の衝撃でも強すぎるからな・・・」
 パラシュート降下とはいえど、その衝撃は激しい。

 訓練を受けた軍人、戦闘用義体のものならともかく、並の事務官レベルでは脱出作業だけで死 屍累々となってしまう。

「できれば内部ブロックに飛行艇か救命艇を載せて、もう少しゆっくり降りれるようにしたいけど・・・予算がきついな・・・追加は無理かな・・・」
「開発中の没案に何かいい物無かったかな・・・」

 しかし、やらねばならない事実が突きつけられれば、それなりに解決策を見つけ出してくるのが実践派のスタッフの本領というものだろう。

「あ!これなんかよさそうだな。粘性が高いうえに、塩化ナトリウムで分解するから後の始末も楽そうだし」

 それは推進物質に付加する溶剤を開発する過程で出来た試作品の資料の中にあった。開発途中では目的に合致しない物も出てくる。そのような物の資料は他の物に転用できるかもしれないため一応まとめられ蓄積されていた。

「中に真水を満たしておいて、宇宙服を着た状態で中に入る。座席で固定して内部ブロックの生命維持系に接続した後に周りをこれを注入して固定したらいいか・・・」

 なるほど、これなら剥き出しのカプセルにクッションや座布団を詰め込むよりも実用的で、コストもあまりかからない。 

「琥珀羹(こはくかん)かうまそうだな、少しいいか?」
「別にいいが甘くは無いぞ、衝撃吸収剤の試供品だから」

 そしてまた宇宙開発の歴史がまた一歩進んだ。

 


 

L:バケツ = {
t:名称 = 再利用型投下降下機・バケツ(乗り物)
t:評価 = 装甲22
t:特殊 = {
*バケツの乗り物カテゴリ = 宇宙艦船として扱う。
*1ターンに1航路移動ができる。(宇宙から地上に向けてだけ、使用できる)
*30人/機の輸送力を持つ。あるいは10万tの輸送力を持つ。
*運用に1隻1ターンにつき資源1万tを使用する。
*艦船操縦者1名を必要とする。
*バケツの人機数 = 5人機として扱う。

t:→次のアイドレス = 強襲揚陸艦の開発(イベント),急造トーチカ(施設),ダミーバケツ(アイテム),降下作戦技術(技術)

/*/

L:宇宙機・バケツの開発 = {
t:名称 = 宇宙機・バケツの開発(イベント)

t:要点 = 一般性能要求{
バケツは軌道上から惑星上に降下するだけの機能を持った安易な着陸機である。
強襲揚陸を見越して装甲を厚くつくってあるが、無事に降りられるかは運次第という代物である。もっとも普段は装甲すら外して宇宙にあるFVBの精製燃料輸送などに使われた。
燃料を入れて落とし、宇宙開発センターでバケツを再打ち上げして再利用するのである。

t:周辺環境 = 低軌道

t:評価 = なし
t:特殊 = {
*宇宙機・バケツの開発のイベントカテゴリ = 藩国イベントとして扱う。
*宇宙機・バケツの開発の位置づけ = 生産イベントとして扱う。
*その国用のバケツ(乗り物)を作成できる。

t:→次のアイドレス = なし

 


 

 【文:栗田雷一@文族,菩鋳螺@文族,曲直瀬りま@天戸文族 絵:曲直瀬りま@技族,夜狗樹@技族 その他協力:鍋野沙子@文族】

最終更新:2008年07月01日 09:02