L:医師 = {
t:名称 = 医師(職業)
t:要点 = 白衣,メス
t:周辺環境 = 病院
t:評価 = 体格0,筋力-1,耐久力-1,外見0,敏捷0,器用2,感覚0,知識1,幸運-1
t:特殊 = {
*医師の職業カテゴリ = 基本職業アイドレスとして扱う。
*医師は治療行為ができ、この時、治療判定((器用+知識)÷2)を評価+3補正することを選択できる。補正を選択した場合燃料2万tを消費する。
}
t:→次のアイドレス = 岩田裕(ACE),サーラ・サーシャ(ACE),名医(職業)
}
医師 支倉玲
致命的に医療方面が弱いと言われている帝國の国々にあって、昨今は医療技術の導入や医師の育成に積極的になる国が増えているが、その中でも医療先進国の代表がFVBである。少なくとも、そう言いきれるくらいのマイルやマンパワーを医療方面に投入しており、意気込みすぎて建設した療養所施設をTLOにしてしまったという前科を持っているくらいだ。これは後始末にまた膨大な時間と予算を費やしているが、決して無駄ではなかった。医療とは常に試行錯誤の積み重ねだからだ。
そうした苦労の末に獲得した療養所から派生した職業アイドレスが「医師」である。そして早速自ら着用した者が、支倉玲と寂水であり、この2人によってFVB医学は夜明けを迎えたと言えよう。
だが、同じ医の道を志した2人の道は、その第一歩から大きく分かれた。
支倉は外科医の道を志したのである。
よく知られていることだが、実は外科も内科も泌尿器科も皮膚科も、医師免許の種類は同じである。ほとんど同じ勉強をしていて、最後の最後で看板をかけかえるだけのようなものである。だから、救急病院の当直で眼科医が骨折患者の治療をすることだってあるし、内科の医師だって水虫の飲み薬を処方してくれる。
だが、この外科と内科とは、その療法の違いが思想や性格の違いとなって表面化する。
そして、支倉玲は機関士であった。
機関士は機械の面倒をみる。航海中に壊れれば治すのも機関士の仕事である。
だが、戦闘で傷ついた艦や機体は修理し整備できるけれど、それに乗った人は治せない。どちらも一心同体となって戦った戦友であるはずなのに・・・・・・。
いらだたしさが支倉を包み込んでいた。
医師への道が開かれたとき、支倉が外科の道を選択したのは必然だった。
宇宙サイボーグ国家であるFVBにおいて、外科への道は近くて遠い道だった。
サイボーグ技術だけが突出して進んでいたがゆえに、わずかな負傷でもすぐに切断し、サイボーグパーツと交換してしまう傾向の強いFVBにおいて、切ったものはまたつないで元通りにする外科の技は、先祖返り的で面倒くさいといえるものだった。
「医師は肉屋ではない」
それが支倉の口癖だ。
16世紀の海軍じゃあるまいし、なんでもかんでも斬ればいいというもんじゃない。外科手術は巨人の体力と小妖精の繊細さと商人の集中力を要求される妙なる技である。この技の伝道者として、FVB国民のために、NWのために尽くしたいというのが支倉玲の野心だった。
支倉玲のパートナーである犬士lainは、支倉が医師業務をも引き受けることになったため手薄になりがちな部隊編成や戦力の評価計算など吏族業務の穴埋めに走り回っている。
相棒が医業に全力投球できるよう、離れた場所から全力サポートするのが彼らの関係だった。
外科医学とは、手術によって傷や病の治療を試みる医学の一分野である。
FVBにおいては遅れた分野の代表であったが、一気に発展するための材料は十二分にあった。サイボーグ化のための技術や設備がそっくりそのまんま外科用に転用できたのだ。考えてみれば、サイボーグ医療も外科の一分野に過ぎなかったのである。
医師 寂水
泣いている子供がいた。
何も言わず、ただ微笑んで息を引き取る女性がいた。
咳き込みながらも家族のために仕事に向かう父親がいた。
寂水が医師を志し内科医となったのは、そこに困っている人達がいて、それを助けたいと思ったから。それだけの話だ。
なんの特別なことはない。
ただ、彼にはエンパシー能力ともいえるほどの共感能力があった。人一倍相手の気持ちになってのめり込みやすいのである。外科医では辛いが、内科医には必要な能力である。
自分自身も過去に精神的な疾患にやられた事があり、それ以来精神的なケアも重視するようにしているし、患者の相談に親身になることができる。そのために、基本の内科学(循環器学、消化器学、呼吸器学、内分泌学、血液学、腎臓学、神経学、感染症、リウマチ学、心身医学、腫瘍学、等)だけでなく、精神医学についても十分な研鑽を積んでいる。
寂水のパートナーであるごん太は、寂水が内科医勤務を始めて以来、ますます昼寝の時間が増えました。患者を診察することが、寂水自身の心の安定をもたらしていると思っているのでしょうか。
とにかく安心した様子で、病院の中庭など日当たりの良い場所で寝転がっているのが今まで以上に見られるようになりました。ときには子供たちと並んで寝そべっていたりして、なんか楽しそうです。
でも、いったん何かあったら、ガバッと飛び起き走り出していくのでしょうね。
内科医学とは、身体の臓器を主な診療対象とするもので、古代より医学の基礎中心である。
もともとFVBにおける医学の原点も、ほとんど内科と考えて良い東方医学にある。そしてその医療の基本は、健康を害したとき、身体が足りないものを、患者が欲しているものを与えていくことによって治癒していこうという『補』の考えにあった。
これは一見すると迷信臭いと思えるかもしれないが、実際人間の身体のシステムとして不足している栄養分等を求めるようにできている。炎天下の砂漠を放浪すると水が欲しくなるのは、水が美味しいからではなく、身体が水分を欲しているからだ。
しかし、その考え方だけではすべての病に対応することはできない。『一つの学説に囚われては良い勉強は出来ない』という言葉は真理であり、いつの世にもどんな分野にも通用するものです。