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新女大学-5

【新女大学・5】
 前条は学問というべきほどのことではない。貴賎貧富にかかわらず、女子教育の通則として行うべきものである。
 もちろん、学問の教育にいたっては女子も男子も相違ない。

 第一に物理学を土台にして、ここから諸科専門の研究に学ぶとよいだろう。
 これを例えるなら、日本の食物は米飯を、西洋諸国はパンを主食として、その後に副食があるように、学問の基本は物理学と心得て、まずその大概を理解してから後にそれぞれの好みによって勉強するのがよいだろう。

 極論を言えば、女子だからといって無用である学問といえばせいぜい兵学くらいのもので、その他は無用の学なしというべきくらいであるが、その勉学の程度については大いに注意したほうがよい。

 第一に女子は家の内事をつかさどる務めがあるのだから、学問を勉強する時間を作ることが難しい。
 これは財産の問題であり、金さえあれば家事を他人に託して独りで勉強することもできるが、女子の身体は男子と違って月経などの問題もあり、心身の自由を妨げられる事情がある。
 そればかりではなく、妊娠出産に引き続き、子供の哺乳養育は女子の専任であるから、そのために時を失うことが多いから、学問上では男子と同様のことができないのはごく当たり前のことであろう。

 特に我が日本国においては、古来から女性の学問教育をなおざりにしてきたことによる習慣が既に根強く浸透している。
 今日、にわかに事をおこして名門の学校に入れようとしてもなかなかうまくいくものではない。

 私は今後十年、二十年の短い年月のうちに多くを求めない。
 将来のことは将来の人々の責任として残し、今日は今日にとりあえずできることを考え、とにかく今の女子には文明社会での普通の常識を身につけてほしいと願うのである。

 物理、生理、衛生法の初歩から、地理、歴史などの大略を知るのはとても大切だが、本草(植物学)なども婦人には面白い教養となるであろう。

 特に私が日本女子に限ってぜひともその知識を身につけてほしいのは、社会における経済思想と法律思想、この二つである。
 女子に経済法律とは噛み合わないと思われるかもしれないが、女子社会が無力であることの大きな原因の一つがこの二つの学問を身につけていないということにある。

 だから、何はさておき、普通の学識を得る以上は同時に経済法律の大意を知ることが最も必要である。たとえるなら、この二つの学問は文明女子の懐剣といってもよいくらいである。


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新女大学-6

最終更新:2007年11月06日 21:19
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