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走り出す - (2007/08/07 (火) 22:27:53) のソース
**歩き出す ◆/Vb0OgMDJY 新市街の一角の小さな公園、普段ならば付近の住人達の憩いの場となる場所に、三人の少女(?)が居た。 短い間ではあったが、共に過ごした仲間の少女――アルルゥのお墓を作ってあげたいと茜が提案し、瑞穂もアセリアも反対しなかった。 危険人物がいる博物館へと向かっている少女――蟹沢きぬのことが気にならない訳ではなかったが、病院を経由してから博物館に来るのではまだ時間がかかると判断し、先にアルルゥを葬り、その後蟹沢きぬが博物館に入る前に合流する方法を考えるという方針になった。 丁度定時放送も近く、考えたくはないが最悪の可能性――彼女の死――という場合もあり得たためである。 近くの民家でスコップを手に入れ、色々考えて土の軟らかい公園の花壇に埋めることにした。疲労の激しいアセリアには休んでいた方がとも提案したのだが、彼女は聞き入れなかった。 そうしてアルルゥを埋葬し終え、花壇の花――あいにく名前はわからなかったが、寄り添って咲く小さくて綺麗な花をその上に添えた。 アルルゥのデイパックは、アセリアが持つことになった。 彼女が蜂の巣をハクオロに渡すと言い出した為である。 そうして、アルルゥとのお別れが終わった頃、定時放送の時間が、来て、しまった。 僕には想像力が欠けていたのかもしれない。 よく言われる、「自分だけは大丈夫」という考えがあったのかもしれない。 こんな殺し合いの只中にあって、何故疑いも無く再会できると信じていたのだろうか。 僕は、何をしていたのだ? 僕は、一度再会しておきながら、何をやっていたのだ? 僕は、生涯をかけて彼女を愛すると誓ったのではなかったのか? 「貴子……さん」 そう、僕は彼女を、「厳島貴子」を守る――はずだった。 なのに、何故、彼女の名前が呼ばれた? 考えるまでも無い、考えたくも無い、彼女は――貴子さんは、死んでしまった。 僕は、彼女との誓いを果たせなかったのだ。 僕は、彼女を、守れなかったのだ。 「瑞穂さん……」 例の定期放送とやらが流れてから、ミズホは立ち尽くしていた。 よくわからないけど、多分、大切な人の名前が呼ばれたのだろう。 アカネは何かを知っているのか、ミズホに心配そうに声をかけていた。 その光景を見ながら、私は別のことを考えていた。 「エスペリア」 先ほどの放送で、確かにその名前が呼ばれていた。 多分、私の知っているエスペリアの事なのだろう。ミズホやアカネ、アルルゥやカニっちに知り合いがいて、私の知り合いがいないというのは、考えにくい。 なら、私の仲間「献身」のエスペリアが私と同じように、ここに呼ばれて、そして死んだ。いや、殺されたのだろう。 「……」 正直なところ、私はその事についてどう思っているのだろうか。 今の私は、アルルゥが死んだ時と同じような気持ちを抱いている。 私は、私達はスピリット――戦うための道具だ。 だから、戦うのは当然の事だし、力が足りなければ殺される。それだけの存在だ。 エスペリアが殺されたのは、単純に負けたというだけのこと、それだけの事実でしかありえない。 けれど、私はエスペリアが死んで、何かを感じている。 もう一度、エスペリアに会いたいと思っている。 エスペリアを殺した相手を――殺したいと思っている。 だから、今、私が感じているのはきっと、「悲しい」という感情なのだろう。 「……」 瑞穂さんは何の反応も返さなかった。 でも、無理も無いと思う。 先ほどの放送で呼ばれた名前、「厳島貴子」。詳しい関係は知らないけど、多分瑞穂さんとは親友だったんだろう。短い時間、温泉で出会っただけだけど、彼女達にはとても深い絆を感じた。 だから、無理も無いのだろう。 そして、アセリアさんも何か考えている。 彼女の知り合いの話は聞いていないけど、多分今の放送で呼ばれてしまったんだろう。 それから、孝之さんの名前は呼ばれなかった。 もう会いたくないと思っているのに、私は多分彼が死んでいないことに安堵しているのだと思う。 だから、少しだけ無事を祈っておいた。 そうして、私達はしばらく無言で立ち尽くしていた。 そよ風が心地の良い公園だけど、このままここに居続けるわけにはいかない。 本当なら決めなければいけないことがいくつかあるのだけど、とてもそんなことを言い出せる雰囲気ではなかった。 それでも意を決して話し出そうとしたとき、顔面蒼白で立ち尽くしていた瑞穂さんが、いきなりふらふらと歩き出した。私達には目もくれず、ただふらふらと公園の出口に向かっていた。 「……瑞穂さん?」 その行動に、当然わたしは声をかけた。 「……」 けれど、瑞穂さんは何の反応も返さずに、歩き続けていた。 その反応に、何かを感じて、私は瑞穂さんの進もうとする先に立って 「瑞穂さん!」 と強い調子で声をかけた。 すると、瑞穂さんはようやく反応を返してきたけど、 「……どいていただきませんか、茜さん」 という、反応だった。 私も馬鹿じゃない、だから瑞穂さんの反応がどういうことなのかはわかる。 でも、だからこそ退くわけにはいかなかった。 「何処に行くの、瑞穂さん」 反応は大体予想できるけど、私は質問した。 「……貴子さんに、会いに、行きます」 そして予想通りの返事が返ってきた。 「……会ってどうする気ですか」 「…………謝らないと、いけませんね」 その後の質問には、予想以上の答えが返ってきた。 「貴子さんに、会ってあげないと。謝らないと。僕は、貴子さんを、愛するって、守るって、誓ったのに。 僕は、貴子さんを生涯かけて愛すると誓ったのに」 そして、堰を切ったように続けた。 「だから、もう何の意味も無い僕の人生で、せめて最後に貴子さんに会わないと」 そう、言い切った。 「最後……ってどういうこと」 「最後は最後です。意味がないなら、終わりにしないと」 その言葉の意味が、しばらく理解できない、いえ、理解したくなかった。 「だから、僕は行かないといけません」 そうして、瑞穂さんは私の横を通りすぎていく。 それに何か言おうとして、 「ミズホは、意味がある」 と、アセリアさんが話かけてきた。 「……どういうことですか?」 その言葉に瑞穂さんが反応する。 「ん、ミズホは私には意味がある。アルルゥにも、アカネにも、カニっちにも、多分タカコにも、ミズホは意味がある」 アセリアさんが答えた。 「ミズホには意味がある、だから最後でない」 その言葉は、私が言おうとしたことと、ほとんど同じだった。 だから、次の言葉は完全に不意打ちだった。 「だから、私とアカネもミズホと行く」 「え?」 私の驚きに、アセリアさんが不思議そうにこちらを向いた。 「アカネは、行かないのか?」 「いや、そうじゃなくて、なんでそうなるの?」 私の疑問は最もだと思うのだが、 「私は、ミズホに意味がある」 「うん」 「アカネも、ミズホに意味がある」 「うん」 「ミズホはタカコに会いに行く、だから私達は一緒に行く」 「う、うん。そ、そうだね」 と筋が通ってしまった。 「……僕が一緒に行く理由がないのですが」 瑞穂さんが言ったのだが、 「ん、私達には理由がある」 と一蹴されてしまった。 「それに、一人よりもタカコを探しやすい」 そして筋の通った事まで言われてしまった。 「それで、タカコは何処にいる?」 「えーと、温泉から住宅街のほうに行ったはずだけど」 まだ話をしていなかった私達の予定をアセリアさんに告げた。 「ん、それじゃあ博物館を迂回して、神社、学校を見ながら住宅街、でカニっちが向かった病院にいく」 「……勝手に決めないでもらえますか」 「どうせ何のあてもない、ならそのタケシに会いそうな道を行く」 「……」 再び筋が通ってしまった。どうもアセリアさんは以外と鋭い人なのかもしれない。 「それじゃあ行く、でもその前に、」 そしていざ出発、の前にアセリアが何か言い出した。 「アルルゥにお別れ言ってからにしよう」 そしてその言葉には反対意見など出なかった。 そうして、彼女(?)達は今度こそアルルゥの眠る場所から立ち去った。 その後に残るのは盛りあがった土と、その上にある小さな花のみ。 【B-3 公園 /1日目 日中】 【女子三人】 1:蟹沢きぬ、倉成武を探しながら貴子の亡骸を探す。 2:博物館を迂回して、神社→学校→住宅街→病院に向かう。 (施設に立ち寄るかはそのときの判断による。状況によりルートは変化) 【涼宮茜@君が望む永遠】 【装備:国崎最高ボタン、投げナイフ2本】 【所持品:支給品一式、手製の廃坑内部の地図(全体の2~3割ほど完成)、左手首に手錠】 【状態:若干の不安、腹部打撲】 【思考・行動】 基本:ゲームには乗らない 0:そういえば瑞穂さん、僕って? 1:アセリア、瑞穂と共に行動する 2:諦めずに、必ず生き残る 3:鳴海さんとは二度と会いたくない 4:国崎往人を強く警戒 【アセリア@永遠のアセリア】 【装備:鉄パイプ(頑丈だがかなり重い、長さ二メートル程、太さは手で握れるくらい)】 【所持品:支給品一式 鉄串(短)x1、ひぐらし@ひぐらしのなく頃に、フカヒレのコンドーム(12/12)@つよきす-Mighty Heart-】 【状態:悲しい、肉体的疲労大。右耳損失(応急手当済み)。軽い頭痛。 ガラスの破片による裂傷(応急手当済み)。殴られたことによる打撲】 【思考・行動】 基本:ゲームには乗らない 0:エスペリア以外にも知り合いがいるかも 1:仲間を守る 2:無闇に人を殺さない(但し、クニサキユキトとエスペリアを殺した相手と襲撃者は殺す) 3:ハクオロに蜂の巣を届ける 4:ハクオロと戦う(ただし殺さない) 5:強者と戦う 6:永遠神剣を探す 7:もっと使い勝手の良い武器を手に入れる ※フカヒレのコンドーム アレでナニをする時に使う道具。12個入り。 パッケージの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してある。 レオがエリカルートの屋上でフカヒレから手渡された思い出の品。 薄型がウリでフィット感が凄い、らしい。 ※ひぐらし 雛見沢に生息するひぐらしを瓶に無理やり詰め込んだもの。 全て生きています。 【宮小路瑞穂@乙女はお姉さまに恋してる】 【装備:投げナイフ1本】 【所持品:支給品一式、フカヒレのギャルゲー@つよきす-Mighty Heart-、爆弾付きの首輪(朝倉音夢が装着させられていた物)】 【状態:深い悲しみ、ほぼ自失状態、中度の肉体的疲労】 【思考・行動】 1:貴子を探す 2:アセリア、茜と一緒に行動する 【備考】 ※陽平には男であることを隠し続けることにしました。 ※アルルゥにも男性であることは話していません。 ※蟹沢きぬにも男性であることは話していません。 ※アセリアにも男性であることは話していません。他の人にどうするかはお任せ ※アセリアに対する警戒は完全に消えました ※貴子の死体を見つけたあとどうするかは後続の書き手さんにおまかせします。(死ぬ気は納まっている) ※フカヒレのギャルゲー@つよきす について プラスチックケースと中のディスクでセットです。 ケースの外側に鮫菅新一と名前が油性ペンで記してあります。 ディスクの内容は不明です。 |116:[[ただこの願いだけが、私を走らせる力になる]]|投下順に読む|118:[[心のかたち、愛のかたち]]| |116:[[ただこの願いだけが、私を走らせる力になる]]|時系列順に読む|118:[[心のかたち、愛のかたち]]| |094:[[瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編)]]|アセリア|| |094:[[瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編)]]|宮小路瑞穂|| |094:[[瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編)]]|涼宮茜|| ----