ギャルゲ・ロワイアル@ wiki内検索 / 「誓いはここに果たされた」で検索した結果
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誓いはここに果たされた
誓いはここに果たされた ◆TFNAWZdzjA 「アセリア、その剣を貸してくれる?」 「ん……どうするんだ?」 「護身用よ。貴女は美凪たちと距離をとっておいて……絶対に、近寄らないで。何があってもよ?」 アセリアから永遠神剣『求め』を受け取る。これもまた自分を切り刻もうとした業物と同じ強力な武装だ。 ちなみにアセリアには『さん付け』を止めることにした。 よくよく考えれば誰が相手でも呼び捨てにしていたのだ、元に戻したのが正しい。 腰には『求め』、右手で注射器を握り……ぐったりとしている武へと近寄る。 (……ぼろぼろね、武) 酷い怪我だらけだった。喉は掻き毟った跡で見るに耐えないほど無残、掻いた爪のほうまでぐちゃぐちゃだ。 刀傷だらけの身体を見る。これは激戦の証……この地獄の島で自分以外の全てを信じられずに、無我夢中に抗った証拠。 最悪の再会だった。... -
【Ever17 -the out of infinity-】
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 193 贖罪/罪人たちと絶対の意志(前編)贖罪/罪人たちと絶対の意志(後編) ◆0Ni2nXIjdw 202 私たちに翼はない(Ⅰ)私たちに翼はない(Ⅱ)私たちに翼はない(Ⅲ)私たちに翼はない(Ⅳ) ◆tu4bghlMI 203 命を懸けて(前編)命を懸けて(中編)命を懸けて(後編) ◆4JreXf579k 205 さくら、さくら。空に舞い散るのは…… ◆UcWYhusQhw 210 We survive(前編)We survive(後編) ◆/P.KoBaieg 211 戦いの鐘は二度鳴った(前編)戦いの鐘は... -
【永遠のアセリア -この大地の果てで-】
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 アセリア 22 025 傀儡のアセリア ◆KZj7PmTWPo 043 戦い、それが自由 ◆A6ULKxWVEc 078 彼女は戦士だった ◆tu4bghlMIw 090 無垢なる刃 ◆Qz0e4gvs0s 094 瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(前編)瞬間、心、重ねて/さよならの囁き(後編) ◆guAWf4RW62 117 歩き出す ◆/Vb0OgMDJY 131 再会、混戦、決戦/Blue Tears(前編)再会、混戦、決戦/Blue Tears(中編)再会、混戦、決戦/Blue Tears(後編)... -
the end of infinity(前編)
... 184 誓いはここに果たされた 投下順に読む 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 時系列順に読む 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 倉成武 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 高嶺悠人 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた アセリア 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 小町つぐみ 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 千影 184 the end of infinity(後編) 184 誓いはここに果たされた 遠野美凪 184 the end of infinity(... -
第六回放送までの本編SS
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 氏 倉成武、高嶺悠人、アセリア、小町つぐみ、千影、遠野美凪 185 どんなときでも、ひとりじゃない ◆UcWYhusQhw 氏 大空寺あゆ、ハクオロ、朝倉純一、蟹沢きぬ、土永さん 186 牢獄の剣士 ◆0Ni2nXIjdw 氏 川澄舞 187 偽れぬ真実 ◆/Vb0OgMDJY 氏 宮小路瑞穂、一ノ瀬ことみ 188 三つの不幸、一つの見落とし ◆4JreXf579k 氏 北川潤、古手梨花 192 終着点~侵されざるもの~ ◆/Vb0OgMDJY 氏 佐藤良美、月宮あゆ、土永さん 【午前】 No. タイトル 作者 登場人物 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆gu... -
Ever――移ろいゆく心
...下順に読む 184 誓いはここに果たされた 183 ファイナル・ミッション/奪う者、奪われる者(後編) 時系列順に読む 184 誓いはここに果たされた 181 うたかたの恋人(後編) 倉成武 184 誓いはここに果たされた 175 クレイジートレイン/約束(後編) 高嶺悠人 184 誓いはここに果たされた 181 うたかたの恋人(後編) アセリア 184 誓いはここに果たされた 181 うたかたの恋人(後編) 小町つぐみ 184 誓いはここに果たされた 181 うたかたの恋人(後編) 千影 184 誓いはここに果たされた 181 うたかたの恋人(後編) 遠野美凪 184 誓いはここに果たされた -
◆TFNAWZdzjA 氏
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) 倉成武、高嶺悠人、アセリア、小町つぐみ、千影、遠野美凪 二日目 朝 186 牢獄の剣士 川澄舞 二日目 朝 193 贖罪/罪人たちと絶対の意志(前編)贖罪/罪人たちと絶対の意志(後編) 倉成武、鈴凛、坂上智代、羽入、田中優美清春香菜 二日目 昼 207 牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(前編)牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(後編) 川澄舞、桑古木涼権、ヒエン、田中優美清春香菜 二日目 夜 209 ワライ 鷹野三四、富竹ジロウ、ディー、鈴凛 二日目 夜中 211 戦いの鐘は二度鳴った(前編)戦いの鐘は二度鳴った(後編)その意志、刃に変えて誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 倉成武、鈴凛、桑古木涼権 三日目 黎明 148~184の作品は◆T... -
【AIR】
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 195 覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(前編)覚醒、決意、そして……アサクラジュンイチ(後編) ◆4JreXf579k 201 ひと時の安らぎ ◆/Vb0OgMDJY 202 私たちに翼はない(Ⅰ)私たちに翼はない(Ⅱ)私たちに翼はない(Ⅲ)私たちに翼はない(Ⅳ) ◆tu4bghlMI -
【Sister Princess】
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 四葉 4 017 Detective Life ◆nHFuKOoL/s 026 おはぎと仮面と校内放送と私 ◆rnjkXI1h76 056 連鎖する誤解~chain misunderstanding~ ◆3Dh54So5os 066 そこには、もう誰もいない ◆Qz0e4gvs0s -
【主催・その他の登場人物(超ネタバレ)】
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 190 CARNIVAL ◆tu4bghlMIw 193 贖罪/罪人たちと絶対の意志(前編)贖罪/罪人たちと絶対の意志(後編) ◆0Ni2nXIjdw 200 ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(前編)ブルーベリー・パニック/決戦の幕開け~宣戦布告~(後編) ◆guAWf4RW62 210 We survive(前編)We survive(後編) ◆/P.KoBaieg 211 終幕(前編)終幕(後編) ◆/Vb0OgMDJY 212 解放者――ウィツァルネミテア――(前編)解放者――ウィツァルネミテア――(中編)解放者――ウィツァルネミテア――(後編)運命――SADAME―― ◆guAWf4RW62 213 そ... -
第六回放送までの死者
...移ろいゆく心184 誓いはここに果たされた184 the end of infinity(前編)184 the end of infinity(後編) 斬殺(切り刻まれる) トウカの刀 朝 佐藤良美 月宮あゆ 192 終着点~侵されざるもの~ 刺殺(滅多刺しにされる) 永遠神剣第七位"献身" 午前 千影 高嶺悠人 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)189 求めのアセリア/Lost Days(後編) 斬殺(アセリアを庇う) 永遠神剣第三位"時詠" 午前 高嶺悠人 アセリア 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)189 求めのアセリア/Lost Days(後編) 消滅(マナ化) 永遠神剣第四位"求め" 午前 北川潤 川澄舞 191 世界で一番長く短い3分間 射殺(心臓を撃たれる) ニューナンブM60 ... -
誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる
誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる ◆0Ni2nXIjdw 「タイム――――アクセラレイトォオオオッ!!!!」 「オーラフォトン、レイッ!!!」 拡散する死の波動。 マナをオーラフォトンに変換し、弾丸のようにして敵を撃ち貫く攻撃。 一撃でも直撃すれば、たとえキュレイキャリアの武であろうとも無事ではすまない。 「ぬっ……ぉぉおおおおっ!!!」 武はその攻撃を全て避け、敵の懐に入り込まなければならない。 自分の時間だけを加速するタイムアクセラレイト。 超高速攻撃でも、桑古木の防御力には通じない。……否、通じないはずだった。 懐に入れるはずがない。 その瞬間、オーラフォトンレイの零距離攻撃で蒸発するのが関の山。 狙いはアヴ・カムゥすら葬った一撃を弾いた『誓い』そのもの。 決して効いていないはずがない。それを信じて、武は何度でも打ち据えて... -
151~200
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) ◆TFNAWZdzjA 倉成武、高嶺悠人、アセリア、小町つぐみ、千影、遠野美凪 185 どんなときでも、ひとりじゃない ◆UcWYhusQhw 大空寺あゆ、ハクオロ、朝倉純一、蟹沢きぬ、土永さん 186 牢獄の剣士 ◆0Ni2nXIjdw 川澄舞 187 偽れぬ真実 ◆/Vb0OgMDJY 宮小路瑞穂、一ノ瀬ことみ 188 三つの不幸、一つの見落とし ◆4JreXf579k 北川潤、古手梨花 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) ◆guAWf4RW62 アセリア、高嶺悠人、千影、倉成武、宮小路瑞穂、一ノ瀬ことみ 190 CARNIVAL ◆tu4bghlMIw 鈴凛、羽入、鷹野三四、ヒエン、ハウ... -
SSタイトル元ネタ
...er――移ろいゆく心誓いはここに果たされたthe end of infinity(前編)the end of infinity(後編) PS2ゲーム『Ever17-the out of infinity-』 185 どんなときでも、ひとりじゃない PSゲーム『ワイルドアームズ 2ndIgnition』OPテーマ 189 求めのアセリア/Lost Days(前編)求めのアセリア/Lost Days(後編) PCゲーム『永遠のアセリア』及び永遠神剣第四位『求め』 190 CARNIVAL PCゲーム『CARNIVAL』PS2ゲーム『ひぐらしのなく頃に 祭』 194 銀の意志、金の翼 PCゲーム『英雄伝説 空の軌跡SC』 主題歌『銀の意志、金の翼』 197 Miyanokoujimizuho s Mistery Reportageかけらむすび 漫画『MMR マガジンミステリー調査班』TVア... -
その意志、刃に変えて
その意志、刃に変えて ◆0Ni2nXIjdw 「鈴凛、発見。これより襲撃する」 「くっ……このおっ!!」 銃声がレムリア遺跡に木霊する。 一発、二発ではない。それこそ敵味方入り乱れて十発以上の弾丸が擦れ違う。 鳳8は若干、興奮した様子で進軍する。 それは中々捉えきれない敵に対しての憤りではなく、逃げる獲物を追う狩人のような高揚感だ。 「鳳8、まだ突撃はしないのか?」 「慌てるな、鳳5……敵はあの小娘だけじゃない。倉成武も一緒にいる可能性があるんだぞ?」 数字は残りの二人、鳳5と鳳6のほうが高い。 だが、鷹野直々に命令されている鳳8のほうが指揮権があった。何せ、鳳部隊での実質の第二席だ。 その彼が『じわじわと攻めろ』という命令を下している。 「多くの仲間がやられている以上、迂闊には手を出せんよ」 普段の慇懃無礼な態度とは打って変わっ... -
ゲーム終了までの死者
ゲーム終了までの死者 時間 名前 殺害者 死亡作品 死因 凶器 午後 一ノ瀬ことみ 大空寺あゆ 207 守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(前編)207 守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(後編) 射殺(梨花を庇う) S W M10 黎明 桑古木涼権 倉成武 211 戦いの鐘は二度鳴った(前編)211 戦いの鐘は二度鳴った(後編)211 その意志、刃に変えて211 誓いはここに残すから―――俺は、ここにいる 水没死 津波 黎明 富竹ジロウ 富竹ジロウ 211 終幕(前編)211 終幕(後編) 契約破棄(ディーとの契約の命に背く) なし 黎明 大空寺あゆ 富竹ジロウ 211 終幕(前編)211 終幕(後編) 失血死(太股を撃たれる) ベレッタM92F 黎明 ヒエン 山狗 211 哀しいと云えず云わず強がる理由を教えて/生き続ける事にきっと意味があるから。諦めないで、生きることを211 ... -
200~最終話
200~最終話 No. タイトル 作者 登場人物 201 ひと時の安らぎ ◆/Vb0OgMDJY 川澄舞、遠野美凪 202 私たちに翼はない(Ⅰ)私たちに翼はない(Ⅱ)私たちに翼はない(Ⅲ)私たちに翼はない(Ⅳ) ◆tu4bghlMI 川澄舞、遠野美凪、ハクオロ、大空寺あゆ、蟹沢きぬ、白鐘沙羅、倉成武、坂上智代、鷹野三四、桑古木涼権、ハウエンクア、ディー 203 命を懸けて(前編)命を懸けて(中編)命を懸けて(後編) ◆4JreXf579k 倉成武、坂上智代、月宮あゆ、蟹沢きぬ、鷹野三四、ディー 204 それぞれの「誓い」(前編)それぞれの「誓い」(後編)「求め」そして、「 」 ◆/Vb0OgMDJY 宮小路瑞穂、アセリア、一ノ瀬ことみ、古手梨花、大空寺あゆ、白鐘沙羅、桑古木涼権、ハウエンクア 205 さくら、さくら。空に舞い散るのは…… ◆UcWYhusQhw 倉成武、蟹沢きぬ、... -
ゲーム終了までの本編SS
ゲーム終了までの本編SS 【夜】 No. タイトル 作者 登場人物 206 守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(前編)守りたいもの/さよならの囁き(Ⅱ)(後編) ◆guAWf4RW62 氏 宮小路瑞穂、アセリア、一ノ瀬ことみ、大空寺あゆ、古手梨花、白鐘沙羅 207 牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(前編)牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(後編) ◆0Ni2nXIjdw 氏 川澄舞、桑古木涼権、ヒエン、田中優美清春香菜 208 機神胎動 ◆tu4bghlMI 氏 メカ鈴凛 209 ワライ ◆0Ni2nXIjdw 氏 鷹野三四、富竹ジロウ、ディー、鈴凛 三日目 【夜中~深夜】 210 We survive(前編)We survive(後編) ◆/P.KoBaieg 氏 宮小路瑞穂、アセリア、大空寺あゆ古手梨花、白鐘沙羅、川澄舞、倉成武、蟹沢きぬ、羽入 【黎明】 211 宮小路瑞穂... -
求め、誓い、空虚、因果(前編)
求め、誓い、空虚、因果(前編) ◆TFNAWZdzjA 「誰もいませんね……」 「ん……」 時刻は間もなく夕刻といったところ。二人の美女が公園に立ち尽くす。 蒼宝玉の瞳と群青の長い髪、無骨な鎧を小柄な肢体に着込んだ少女の名をアセリア。 美しく長い髪と柔和そうな印象を与える、血塗れの制服姿を羽織った美女。その名は宮小路瑞穂。 二人の目的……それはある危険人物の捜索にあった。 国崎往人。 あの男だけは許さない、とアセリアは溜まった疲労を癒すこともせず、ただこの場に倒すべき敵がいないことに憤る。 公園に設置されていたゴミ箱を、鉄パイプで殴りつける。完全な八つ当たりなのだが、それほどアセリアには余裕がなかった。 (ユート……ハクオロ……見損なった、ひどい) 悔しかった。ただ、悔しかった。 悠人はエトランジェとして共に戦った仲だ。 最初こ... -
小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編)
小さなてのひら/第2ボタンの誓い(前編) ◆UcWYhusQhw ボクが目を開けたときには凄い風景が待ち受けていた。 空を見上げれば一面のピンク。青い空なんか見えなかった。 それは桜。本当に沢山の桜。 桜が舞散る中にボクはいた。 あ、あり? でもなんかおかしいぞ? たしかボクは殺し合いの中にいたはず。 なのにボクは呑気にベンチなんかに座っている? 訳解んないぜ。 「おーい! 蟹沢!」 混乱するボクに呼びかけながら走ってくる人がいる。 それはあの島で出会った大切な人。掛け替えのない人。絶対失いたくない人。 その顔を見るだけで笑いたくなる、本当に。 走ってくる少年は朝倉純一、大好きな人だった。 「悪い、待たせたようだな」 純一は息を整えながらそう言った。 両手には何故かクレープ。 男が両手で持ってるこの状態はとてもシュールな風景だった。 「ほ... -
それぞれの「誓い」(後編)
それぞれの「誓い」(後編) ◆/Vb0OgMDJY 「……よし! これで完成!」 「へーえ、これがかい」 やったよ、瑛理子。 ようやく、貴女にもらったコレが使えるようになった。 私とあゆは、ホテルに来ていた。 ハイキングコースに従って山頂を目指していたら、どうやらかなりの迂回路だったみたい。 途中で、ホテルと山頂の分かれ道になってた。 分かれ道にあった案内板によると、山頂の方が僅かに近い程度の距離。 と言っても、山を登る道と平坦な道では疲労度は登りの方が遥かに上。 そこで、あゆが一度ホテルの方に行くと言った。 理由は簡単。 私が余りにも疲弊しているから。 ここに来るまでの道のりで散々遅れておいてなんだけど、勿論反対はした。 でも、結局押し切られてしまった。 疲労の極地で塔までたどり着いても、結局ほとんど何も出来ないから。 今のペースだと... -
求め、誓い、空虚、因果(後編)
求め、誓い、空虚、因果(後編) ◆TFNAWZdzjA 「っ……!!」 アセリアは驚愕した。目の前の青年に目を見開いた。 本当に酷い状態だ。左腕は不自然に折り曲がり、もう動くことはないだろう。己の血と殺してきた者の返り血に染まった彼は修羅にすら見える。 だが、瑞穂にはそうは見えなかった。数時間前に戦った往人は、紛うことない羅刹の者だったはずだ。 それが今はどうだ。血だらけで戦うその姿には恐怖するし、困惑する。それは変わらないのに……どうしてその姿が尊いなどと思ったのだろう。 「立ち上がるのなら……また、倒すだけっ……!!」 「……来いっ!」 再び戦いが始まった。往人は銃を構え、アセリアは鉄パイプを振るっている。 二見瑛理子は自分にできることを模索する。銃に慣れていない者がトカレフで援護するなんて自殺行為だと理解している。 ならば、自分が... -
朝倉純一
朝倉純一 (あさくら じゅんいち) 【出典】D.C.P.S. 【声優】なし(原作ゲーム)、泰勇気(TVアニメ、アニメドラマCD) 【性別】男 【人称】 一人称:俺 二人称:お前、あんた 三人称:あいつ、おまえら、あんたら等 【関連人物への呼称】 朝倉音夢→音夢 芳乃さくら→さくら、さくらんぼ 白河ことり→ことり 杉並→杉並 【能力】 魔法使いであった祖母の魔力を受け継いでいて以下の二つの能力を有する。 1)誰かの見ている夢を見ることが出来る能力 『枯れない桜』の効力が存在している限り行使可能。 誰の夢を見るかは選べない。 2)自らの体力を素に手から和菓子を生み出す能力 そのまんま、自分の体内のカロリーを消費して同カロリー分の和菓子を生み出す能力。 こちらは『枯れない桜』が散った後でも行使可能。 あくまでも和菓子のみで... -
炎の魔法少女(前編)
炎の魔法少女(前編) ◆/P.KoBaieg 三回目の定時放送は彼女に何ら影響を与えなかった。 だから、彼女は目的地に向けて歩き続けた―― (千影はきっと神社にいる……) 川澄舞にとっての定時放送は、死者の数や名前よりもブローニングの予備弾を持っている筈の千影が まだ生きているか否かという事と禁止エリアを確認する以外の意味を持たなかった。 咲耶――千影の姉妹――が死んだという事実もまた、彼女の神社に到る歩みを止めることはなかった。 それより、今の舞にとっての気がかりは神社が禁止エリアに指定されたということだろう。 まだ時間に余裕があるものの、間違いなく放送を聞いているだろう千影がこれにより神社にいない可能性がでてきた。 だが、舞はそれでも神社へ向かう事をやめようとはしない。 理由は先ほどの放送内容にあった。 鷹野は、神社が禁止エリ... -
終幕(前編)
終幕(前編) ◆/Vb0OgMDJY 気が付けば、目の前には見たことの無い風景があった。 鉄製というわけでもなさそうだけど、鈍い色を放つ壁。 …木でもコンクリートでもなさそう 何個も存在する大きなテレビ……モニター? …よく解らない映像が映し出されている 壁に直接付けられている机と椅子。 その上の、用途の解らない様々な……多分、機械。 …あのパソコンに似た代物なのかしら 全てが、私にとって不可解な物質で占められた空間。 ここが、 ここに… 「鷹野達が……いるの?」 「そう、なんかね?」 答えた声は、あゆのものだ。 声のした方向を向いて、私は漸く、他のみんなの姿が無い事に気が付いた。 「……どうやら、逸れちまったみたいさね」 辺りを見回しながら、あゆが答える。 ここは…何らかの部屋の中だ。 大体、教室の倍程度の広さ。 見回してみて... -
残されたもの~case:八重桜~
残されたもの~case:八重桜~ 「えへへ……思い切って買っちゃった。やっぱり迷ったら買え、だよね。 ん~、もふもふ~……あれ?」 自分の背と同じくらいあるんじゃないかと思える位の大きなぬいぐるみを抱え、うきうき気分で家路に付いていた私は、 丁度通りかかった公園に見知った子がいるのを見つけて足を止めた。 「あれ? あのブランコに座ってる子、もしかしてリムちゃん……?」 リムちゃんことプリムラちゃんは稟くんの家で預かっている魔族の女の子だ 先日開かれた稟くんと神界のお姫さまの祝賀記念パーティーにお呼ばれした時に紹介してもらった子で、 口数こそ少なかったけど、純粋な良い子で、天使みたいな可愛い笑顔が印象的だった覚えがある。 だけど、今のリムちゃんの顔は遠目で見ても分かるくらい、暗く沈んでいた。 陰欝な表情でブランコを漕ぐわけでもなく、ただ腰掛けたまま、じっと地面ばかり見... -
それぞれの「誓い」(前編)
それぞれの「誓い」(前編) ◆/Vb0OgMDJY (さて、困ったもんだ) 電波塔に寄りかかり、辺りを見回しながら、人知れずに短く溜め息をつく。 (電波塔に寄りかかり、桜吹雪を眺めながら、タツタサンドを食らう……か) とりあえず自分には詩文の才能は無いな、などとどうでもいいことを考えながら、 先ほどからの溜め息の一因である、直ぐ近くでキャンプ用の椅子とテーブルを広げて堂々と食事を行っている当面の相方に目をやった。 「ふうん、見慣れない物だけど、なかなかイケルじゃないか」 長い銀髪で、そこそこ背が高く、そして、何よりも目立つウサギのような……いや、事実ウサギそのものにしか見えない長い耳を生やしている男を。 ウサギのような、といっても、俗に言うバニーガール等のデフォルメされた飾りでは無い。 人の耳の位置から、実際に生えているのだ。 似たような動物に近い耳の生えた参加者... -
If...~I wish~ -you-
If...~I wish~ -you- ◆Noo.im0tyw 紅に染まる髪を振り乱し、後ろを振り返ることもせず、暑い日差しを浴びながら 抱えきれない不安を抱いて『白河ことり』はただ走る。 息を切らして森を抜ければ、そこに広がるのは半壊している神社であった。 ことりは胸の動機を押さえながら、そっと中を覗いてみる。 「ひどい…・・・なんで、こんな……」 ことりは余りの恐怖にその場に膝をつく。 そこにあるのは、男と女の死体が1つずつ。どちらの死体も血の水溜りを形成し、その周りには使ったであろう武器が散乱していた。 鉈に銃、そしてそれに込める弾丸。挙句の果てには、ジャムや図鑑、リボンなんて物もあった。 大量の武器を使った死闘の成れの果て……。 ことりの眼下にはその光景のみが広がっていた。 (いつまでも、このままじゃだめだよね……) 未だ恐怖で震え... -
小さなてのひら/第2ボタンの誓い(後編)
小さなてのひら/第2ボタンの誓い(後編) ◆UcWYhusQhw ボクはずっとその言葉を聞いていた。 あゆのその怒りの言葉を。 その言葉はボクを奮わせた。 純一は生きて欲しいってそういってくれたのか。 なんで死のうとしたのかよ、ボク。 それは純一を否定するだけだったのか。 最悪じゃん……ボク。 でもボクには生きる勇気なんかできっこない。 誰もいない世界なんて。 そう思ってるのに。 この初対面の少女、沙羅はどうしてこう心に突き刺さる事を言うんだよ。 でもできっこない。 だって怖いんだ、嫌なんだ。その一歩を踏み出すのが。 「私達は生きなきゃいけない。この残酷の世界で怖くても辛くても苦しくてもね。でも決して一人じゃないのよ。そう一人じゃ。 だって私達は死んでった人達の思いを背負って生きてるから。だから一人じゃない。たとえ辛くなっても大丈... -
守りたい。ただ貴方だけを。貴方が生き続ける未来を。守りたい。優しさに包まれた、貴方の気高い心を
守りたい。ただ貴方だけを。貴方が生き続ける未来を。守りたい。優しさに包まれた、貴方の気高い心を◆UcWYhusQhw ――崖っぷちに立たされた時 苦難が僕の腕をつかみ 自分自信の在りかがはじめて見えたんだ 「ヒエン……何がおきたってんだよ」 おぼろげな意識の中できぬ殿の声が聞こえる。 自分に何が起きたというのだ? きぬ殿の手を取ろうとして、その後に変な音が聞こえて自分は地に伏せていた。 その疑問に答えるかのように男の声が聞こえてきた。 「やっぱり鷹野様の言った通りだ……この裏切り者め!」 「ああ……元々怪しいと思っていたが」 「なんだよー! お前ら!」 「俺達は山狗の雲雀部隊の者だ。その男、ヒエンが裏切らないか見張っていた」 「案の定裏切りおって……まあ始末はするから問題ない」 ああなるほど……鷹野殿の指図か。 やはり自分は裏切ると思... -
始まりの場所、見上げた月に落ちていく(前編)
始まりの場所、見上げた月に落ちていく(前編) ◆TFNAWZdzjA 「はっ……はっ……はっ……!」 校舎内の廊下を二人の影が疾走する。 ハクオロと衛はそれぞれの不安と焦りを押し殺しながら、とにかく背後から迫る脅威から逃げ回っていた。 後ろから響く駆動音、学校中に響く高笑い、暴力的な全身凶器が暴風となって襲い掛かってくる。 そんな危険な状況下でも、二人の思考は別のところにあった。 あんな大きな物体が狭い教室や廊下に入ってこれるはずがない。そんな余裕があったから、二人は別のことに思考を巡らせていた。 (どうすればいいのだ……) ハクオロは苦悩する。 仲間を募るために人手を割いて、こうして危険を冒しながらも保護をしてきたというのに。 少女、ことみはハクオロを誤解していた。仲間を殺した犯人なのだ、と。殺し合いに乗った男なのだ、と誤解されていた。 ... -
牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(後編)
牢獄の剣士(Ⅱ)――夢想歌――(後編) ◆0Ni2nXIjdw これが、舞と桑古木の差。 プロだから素人に対して余裕が生まれるとか、傲慢に舐めてかかるとか、そういう話ではなく。 隙を見せてなお、絶対に埋まらない力の差があってこそ、素人とプロの違い。 僅か二日の非日常の住人とは次元が違う。そんな世界で、桑古木はずっと勝ってきた。勝つしか、護れる術を知らなかった。 斬られた部分は制限の解けたキュレイの前では無力。 不完全とはいえ、桑古木を殺すには頭を破壊して脳を潰すか、心臓を取り出して潰すしかない。 だから桑古木は急所を確実に守るだけでよかった。あとは、時間が勝手に直してくれる。 所見の相手、キュレイの力を知らない者は確実な致命傷を与えたところで油断する。 その隙を突いて、桑古木は戦ってきた。今の戦いも、そして17年もの長い年月を。 「……鳳1より、本部」 ... -
地獄の島、向日葵の少女(中編)
地獄の島、向日葵の少女(中編) ◆TFNAWZdzjA 「……裏口に奴らの姿はない、か」 悠人は良美の助言どおり、裏口へとやってきた。 ここは一本道の廊下の先で、さすがに見過ごしたとは思えない。 途中で悠人の姿に気づき、正面から入ることにしたのか。それとも警戒しているだけですぐ近くにいるのか。 答えは出ないまま、考える。この場は部屋に戻り、ホテルから逃げ出したほうがいいかもしれない。 千影はここにはいない。悠人の到着が遅くなったんで、先に病院に行ったのだろう。そう判断した。 ならここで良美とことりを護りながら一戦を交えるより、病院でハクオロたちと力をあわせて撃退したほうがいいだろう、と。 (よし、裏口には敵はいない……戻って、ことりたちを呼んでこよう) 即断し、踵を返す。あの長い一本道の廊下へと目を向ける。 そこには薄暗い影、人の形をとった黒装... -
利用する者される者
利用する者される者 ◆VtbIiCrJOs 二挺拳銃の女――園崎詩音から辛くも逃亡を果たしたつぐみはいつしか森を抜け市街地に出ていた。 コンパスの指し示す北の方角と背後――南南東にそびえる山の頂を地図に照らし合わせると現在位置はB-3エリアあたりなのだろうか。 街は一切人の気配が感じられないのに関わらず、街灯だけが煌々と闇を照らし出していた。 「電気代がもったいないわね……」 ひとりごちるつぐみ、人がいないのにどこか生活臭がするある種異様な風景。 街は食べかけの朝食やカップに入ったままのコーヒーを残して船員全てが忽然と消失したマリー・セレスト号をつぐみの脳裏に思い出させていた。 つぐみは道の路肩に駐車している車に注目する。 普段なら白いチョークが引かれ違反キップが切られている、何の変哲のない白い乗用車。 もしかした乗れるかもと思い近... -
今、復讐が始まる
今、復讐が始まる ◆/P.KoBaieg 病院の敷地内に建つ研究棟―― 大空寺あゆはそこに至る道を一人歩み続けている。 右手にはS W M10、左手には催涙弾を握りしめて。 (待ってろや一ノ瀬、もうすぐお前に地獄を見せてやるからな……) 今、あゆの心にあるのはことみへのこれ以上にない殺意、憎悪、怨念、憤怒。 そして、ことみに殺された者達に対する同情、哀悼、弔意……。 これらが入り混じって暴風の如く彼女の心の中で荒れ狂っていた。 (時雨だけに飽き足らず、あんな子供まで惨たらしく殺すとは思いもしなかったさ……糞虫が!!) あゆは少し前にハクオロと共に病院へ辿り着き、そこで見た惨状を思い出す。 あれこそが一ノ瀬ことみという人間の本性を最もよく表したモノに違いないとすら思う。 (ああ、できれば二度と思い出したくない光景さ) ... -
せめて、安らかに/高嶺悠人の推理/衛の誓い
せめて、安らかに/高嶺悠人の推理/衛の誓い ◆/P.KoBaieg ――惨劇の後には更なる悲劇が待っていた――とでも言うべきだろうか。 二つの遺体を発見した悠人と衛が涼宮遙の変わり果てた姿を発見したのはそれから5分程後のことだった。 「遙あねぇ!どうしてこんなことに!」 遙の遺体を見るや衛は思わずそう叫び、手を握っていた悠人も絶句した。 まさか立て続けに三つもの遺体を発見する事となり、そのうち一人が衛の知り合いだったという事に。 だが、ここは先ほどの現場から歩いて5分とかからない場所である。 思えばあの銃声を聴き、更に遺体を発見した段階で衛の知り合いも こうなっているという最悪の結果を予想してしかるべきだった。 (こうなっているという予想はできた筈なのに……畜生!) 悠人は後悔の念をにじませながら隣にいる衛を見る。 ... -
解放者――ウィツァルネミテア――(前編)
解放者――ウィツァルネミテア――(前編)◆guAWf4RW62 風が凪いでいた。 暗闇に染まった空の下で、幾多もの亡骸が倒れ伏せている。 数多くの悲劇が繰り広げられた孤島――『インゼル・ヌル』。 その地下では、一連の惨劇も遂に最終局面を迎えようとしていた。 場所はLeMU、地下三階『ドリット・シュトック』。 ほんの数十分前まであれ程激しく鳴り響いていた銃声も、今はもう止んでいる。 周囲一帯に血の臭いが充満する中、白い廊下を歩いてゆく男が一人。 「っ……あ、はあ………はあ…………」 倉成武は息を荒ぶらせ、懸命に酸素を全身へと送り込んでいた。 何とか山狗部隊と桑古木涼権の打倒に成功したものの、その代償は重い。 無理を押して戦い続けて来た所為で、身体の調子は徐々に悪化しつつあった。 全身の節々が激しく痛み、斬り裂かれた左肩は強く熱を帯びている。 後頭... -
「求め」
「求め」 ◆/Vb0OgMDJY 先ほど通った別れ道付近に差し掛かって、思わずブレーキを掛けた。 急ブレーキだったけど、沙羅は特に何も言わなかった。 …何故なら、 「……何さね……ありゃあ?」 「……何かしら…ね…?」 意味不明なものが、見えたから。 あー、うん、あれだ。 自慢じゃないけど、私はこの島に来てからそれなりに変なものは見てきたよ。 魔法やら、実物は見てないけど動いてる死体だったのやら、変な仮面やら、全裸や女装の変態。 明らかに人間離れした奴も見たし、さっき見た透明なのなんて極めつけだろうさ。 でもさ、 でもさ、アレは無いだろう? あの馬鹿みたいにデカイのは…何だろうねえ? 「あー、沙羅……言ってもいいかい?」 「うん、ということは……とりあえず、私の見てる幻ってわけじゃ無い訳ね」 「幻だって言えば幻にはならないかね?」 「うーん、... -
We survive(前編)
We Survive(前編) ◆/P.KoBaieg Scene1:7人が集う~武・きぬ・瑞穂・アセリア・梨花・あゆ・沙羅~ 神社外周にて。 ことみの死を最後に終結した争いの後、瑞穂たちは神社に向かい武たちとの合流を果たし、 ここまでの過程で各々が得た情報を交換していた。 「ディー……それが黒幕の名前……」 「黒幕が神とはね……非常識にも限度ってのがあるんじゃないかね……。でも、今なら信じられるさ」 「そのディーが武さんときぬさんの前に姿を見せたということは、つまり……」 「主催者側もこの殺人ゲームが破綻しつつあることを認識しているということだろう」 「そういえば、ディーの奴言っていたっけ『歯車はもう狂っている』って」 きぬの言葉はその場にいた7人全員に鷹野の目的が頓挫しつつある事を認識させ、自分達の脅威は未だゲームに 乗って... -
今、この場で生まれた私達の目的の違い
今、この場で生まれた私達の目的の違い ◆7NffU3G94s 「純一くん、あそこに人がいますっ!」 住宅地を歩く男女二人、人影を見つけた芙蓉楓が嬉しそうに声を上げる。 いくつもの無機質な住居がただ整列されているだけのこの場所、隣に頼れる仲間はいるものの不安が拭えたわけではない。 いつ誰に襲われるか、いつ誰が争っているか。もしそんな場面に遭遇してしまったらどうするか。 恐怖心は絶えず楓の心の体力を吸い取っていった、しかしそれと共にちょっとした期待もないわけではない。 土見稟が、ネリネが、時雨亜沙が。大事な友人等がひょっこり目の前に現れるかもしれないという可能性。 びくびくと怯えながら少しずつ移動をしていた楓にとって、それだけが心の支えであった。 それは、非現実な願いとしか言いようがない。 それでも期待せずにはいられないかった、この閑散とした空... -
温泉に集いし者たち(前編)
温泉に集いし者たち(前編) ◆4JreXf579k そこは温泉。 それ以上の何者でもないはずであった。 もしもこの島が観光地などであったなら、ガイドブックには美辞麗句に彩られた宣伝がなされていたかもしれない。 日頃の疲れを体の垢と共に洗い落とし、夜はうまい酒でも飲み、浮世の世知辛さを忘れることもできたであろう。 しかし、ここはリゾート地などではなく殺し合いをさせられるという絶望の孤島。 そんな状況でのんびりと温泉を楽しむ余裕などありはしない。 地図を見渡せば百貨店、学校、図書館、その他etc…… 温泉より重要そうな施設などそれこそ山ほどある。 しかし、何の因果かここに多数の人間が集うこととなるのだ。 ある者は必要に迫られて、ある者は探し人を求めて、ある者は神様のちょっぴり意地悪な偶然とともに…… これは時の中に刻まれた、温泉に集いし7人の戦士の物語である。 ... -
命を懸けて(後編)
命を懸けて(後編) ◆4JreXf579k 前原圭一の強さの秘訣が強く信じる心にあったのなら、その者の強さの秘訣は諦めないことにあるであろう。 どんな最悪の状況でも決して投げ出さず、最後まで可能性を信じる不屈の心。 倉成武はそういう強さをもっていた。 だからこそ崩壊の危機に揺れるLeMUでも心を閉ざしていた小町つぐみの信頼を勝ち取り、最善の未来を選び取れたのだ。 そしてこの島でもその不屈の心は健在している。 気絶から回復した武は痛む頭を抑えつつ現状の把握に努め、智代の危機を見るや否や矢のように飛び出し無造作にデイパックの中に手を突っ込んだ。 特になにか目当てのものがあったわけではない。 だが、それが結果的に功を奏した。 武の手にあったのは首輪。 そこにはNo.16と印されている。 つまりこれは厳島貴子の首輪なのだ。 「貴子! 力を貸してくれ!」 最後まで... -
命を懸けて(中編)
命を懸けて(中編) ◆4JreXf579k 武を掴んだまま上半身だけを起こしてあゆが哂う。 今の戦いで煮え湯を飲まされ続けていた怨敵をついにその手中に収めたのだ。 このまま握りつぶすのも面白いが最後に辞世の句を聞いてやるのもいいだろう。 今までコケにされ続けた分、苦しませ責めぬいて殺してやってもいい。 慌てて処分を決める必要はない。 時間はたくさんある。 「このまま殺してあげてもいいけど、最期に何か言いたいことがあれば聞いてあげる」 「狂っているな、お前は」 「狂ってないと出来ないこともあるよ。 圭一君みたいに正義の味方をやって死ぬよりはこっちの方がいいもん」 「圭一は俺が殺したんだけどな」 「へ? ……くくく、あは、あははははははは! どうして!? あんなに仲良くやってたよね!?」 「憎かったからな、あいつが」 「へぇ? ってことは圭一君を殺したくせに倉成... -
おとといは兎を見たの きのうは鹿、今日はあなた
おとといは兎を見たの きのうは鹿、今日はあなた ◆tu4bghlMI ASPECT⑤――ことみ 衛ちゃんから離れてすぐ、私は自己嫌悪で潰れそうになりながら病院を歩き回っていた。 ……最悪、なの。 人気の無い廊下でランタンを照らしながら私はトボトボと歩を進める。 胸に湧き上がるのは後悔。そして強い自責の念。 私は何て酷い事を言ってしまったのだろう。 年下の女の子に向かって面と向かって"おかしい"や"変"なんて言葉を平気でぶつけてしまうなんて。 配慮に欠けていた、無神経だったと言われても間違いじゃない。 どうして衛ちゃんがあんな事を言ったのか、少し考えれば分かっただろうに。 あの子は――あんな発言が当たり前のように出来るくらい、沢山の死体を見て来たのだ。 この二十四時間で命の灯りが消えて、... -
始まりの場所、見上げた月に落ちていく(後編)
始まりの場所、見上げた月に落ちていく(後編) ◆TFNAWZdzjA 「あああぁあああああっ!!!」 「うあっ……!?」 ことみの投げナイフを、ギリギリのところで銃で受け止める。 完全にことみは錯乱してしまって、こちらの声を聞くつもりはないと言わんばかりにナイフを閃かせる。 「衛ちゃんから離れるの、この人殺しっ……!!」 「待て、違う……!」 「騙されないの! 貴方が四葉ちゃんをっ……衛ちゃんをっ……!!」 もはや決別は決定的だった。 今のハクオロでは誤解を解く方法など、何一つない。ことみを止める手段なんてない。 もともと武装や身体能力において、ことみがハクオロに勝てるものなどない。 戦う気のなかったハクオロだが、こうなっては仕方ない。ことみの手首を捻りあげると、そのまま地面に押し倒すしかなかった。 「うあっ……放すのっ……!!」 「聞... -
希望は爆発と共に
希望は爆発と共に ◆A6ULKxWVEc 最初に.txt バトル・ロワイアル攻略情報.txt 最後に.txt 「……これだけ?」 レジャービルの一角のネットカフェに辿り付き、早速FDの中身を確認した沙羅は少々落胆していた。 「もっとこう、フロッピーを一枚差してくごとに、ぶわ~っと魔法が発動して光の柱が登ったりとか、何かそういうの無いわけ?」 どこの葉鍵ロワイ○ルだよ! 残念ながら、突っ込んでくれる筈の恋太郎や双樹はここには居ない。 「ま、いいわ。文句を言うのは中身を確認してからにしましょ」 まずは“最初に.txt”をダブルクリック。 『このフロッピーディスクにはこのバトルロワイアルを生き抜くために役に立つ様々な情報が入っています。やったね!』 「ふ~ん。何か地味ね。」 “情報”という単語に探偵助手としてはあるまじき反応を見せる... -
Detective Life
Detective Life ◆nHFuKOoL/s 俺が飛ばされた場所は学校の屋上だった。 飛ばされた時間が深夜の零時三分、あのホールで確認した時は十一時五十五分ごろ。 ――と言うことは何だ、悪の秘密結社の新兵器か、はたまた宇宙人のオーバーテクノロジーか、俺たちは各々別々の場所に文字通りワープしたってことか? ただわかってたのはあの連中が普通じゃなかったってことだけだ。 これからは落ち着いて考えてから行動しないと命を失うことになるだろう。 とりあえず俺は屋上から見える学校の周りを確認することにした。 いくつかのめぼしい施設を見ているときに、ふと目の端に動くものが見えた。 (あれは……人か?) ここからでは良く見えないが誰かがこの学校に向かって歩いてくる。 そして俺はさらに気づいた、そいつの背後から気づかれないようにもう一人の人間が尾行しているのを。... -
哀しいと云えず云わず強がる理由を教えて/生き続ける事にきっと意味があるから。諦めないで、生きることを
哀しいと云えず云わず強がる理由を教えて/生き続ける事にきっと意味があるから。諦めないで、生きることを◆UcWYhusQhw ――教えて”強さ”の定義 自分 貫くことかな それとも自分さえ捨ててまでまもるべきもの守る事ですか? (ここに来たら叩き潰すだけ……ただそれだけなんだ) 自分は未だに迷っていた。もうすぐ参加者がこちらに来るというのに。 振り切ろうにも振り切れない。 彼らが大神に抗うことなど出来る筈が無い。 ここで叩き潰すのがせめてもの情け。 そう思っているのに。 (何故だ……何故それを自分は受け入れる事ができない……自分は彼らの足掻きを認めるのか?……いや認めてはいけない……いけないんだ) そう認めてはいけないのだ、彼らの足掻きを。 認めれば何かが音を立てて崩れてゆく気がして。 例えそれが自分の意志に反していても。 (... -
二人の出会いは
二人の出会いは ◆i8opowxlh 「まったく。何の冗談だよこれは……」 倉成武は地図を見ながら暗い森の中で呟いた。 目が覚めたら訳の分からない場所にいて、訳の分からない連中に殺し合いをしろと言われた。 誰もが思っていた疑問をぶつけた男の額には大きな風穴が開けられ、首輪が爆発することを皆に知らせるためという理不尽な理由で一人の少女が死んだ。 まったくもって冗談のような出来事である。しかし、 「冗談じゃないんだよな……」 そう。これは夢でも幻でも冗談でも、ましてやあのメガネの少年が言っていたドッキリでもない。正真正銘のデスゲームなのだ。 立ち止まってる暇はない。 自分の現在位置と支給品を確認するとすぐに走り出す。 幸か不幸か、自分の知り合いでこのゲームに参加しているのは小町つぐみただ一人。 ならば最初にすべきこと、そしてそれからの行動方針は自ずと... -
第五回定時放送
第五回定時放送 ◆TFNAWZdzjA かつ、かつ、かつ。 青年は白い通路を闊歩していた。ただ一人で、その目には感情もなく。 時刻は放送が始まる10分前。主催者側の一人として、道化師が重い足音を立てながら歩いていく。 「………………」 中性子浮力エレベーター、EI(アイ)に乗って最下層を目指す。 自分たちがいる場所は皮肉にも海の中。途中、通ってきた広間は水族館のように魚が自由気ままに泳いでいた。 もちろん、ガラスは防弾仕様。かつて起きた惨劇を繰り返さないためにも、慎重に慎重を重ねて作り出した空間だ。 「あっ……隊長、お疲れ様です。そろそろ放送のお時間が」 「ああ、分かっている。今向かっているところだ」 エレベーターを降りると部下の一人と出くわした。 山狗という部隊。指揮官こそ鷹野だが、実際に彼らを取り纏めているのはこの青年の力だ。 青年は部... - @wiki全体から「誓いはここに果たされた」で調べる