77氏のSS→ガチを愛する女登場で複雑な旧女
に名称変更です。
学校を出て、家へと向かう道。
何の変哲もない、いつもと同じ道。
でも数週間前から、私にはまるで薔薇の咲き乱れる通りのようにも感じられる。
行きつけのコンビニに、大輪の華が咲いたから。
足取りは軽く、頭の中はお花畑。
こんな幸福な時間が、私の人生にあるなんて!
今日こそあの人に連絡先を聞こう!
そう誓って、私はあの人へと続く魔法のドアをくぐった。
レ「いらっしゃいませ~。あ、女さん!」
学校からほど近い某コンビニに、よく見知った顔がいた。
女「や。ガチってここでバイトしてたんだ~」
レ「つい最近入ったばかりですけどね。
でも女さんが来てくれるなんて感激です! きっと運命の赤い糸で…(ポッ」
女「あんたはまた公共の場で何言ってんのよ!
まぁお客さん一人もいないからいいようなものの…あ、お客さん来たわよ」
レ「あ、はい。いらっしゃいませー」
来店したその女の子は、律儀にもガチの形式上の挨拶に礼を返した。
『清楚』とか『純真』とかいった言葉がそのまま当てはまりそうな、綺麗な黒髪を腰あたりまで伸ばした子だ。
その子から睨まれてる気がするのはきっと気のせいだろう。
女「んじゃ、ガチ。お客さんも来たし私そろそろ帰るわ」
レ「えぇ!? もっといてくださいよ~!」
私に向けられているらしい視線が、より強くなった気がした。
あの女の人は誰なんだろう。
茶色がかった短かめの髪の、活発そうな女の人。
あの人、ガチって呼ばれてたっけ、彼女と親しいのかな。
一体どういう関係なのかな。
何故か嫉妬している自分に気付く。
私なんて、今まであの人の名前すら知らなかったのに…。
でも、とらえようによってはこれはチャンスだ。
上手くいけば自然にあの人、ガチさんと話せるかも…。
私は手早く買うものを手にとり、レジへ向かった。
女「だから、私はもう帰るっての!」
レ「そんな~…寂しいですよぉ」
女「あんた仕事あるでしょ!」
レ「でも~…」
ツ「あの…」
女「あ、ごめん! じゃ、私帰るから。また明日ね」
レ「はい女さん、また明日お会いしましょう!」
ツ「えっと…」
レ「あ、すみません! ちゃんと仕事します!
えっと…で、お会計は850円になります」
ツ「あ…はい(頑張れ私!) あの、ガチさん、でしたよね?」
レ「はい、そうですよ?」
ツ「わ、私、ツーっていいます。私と、えっと…お友達になって頂けませんか!?」
レ「はぁ…?」
ツ(ッ…駄目だ、不審に思われた! しかも大声を…うぅ…)
レ「…ええ、いいですよ(ニコッ」
ツ「(終わった…)って、え!? いいんですか?」
レ「ええ、あなたはいい人そうですから♪」
ツ「…///」
レ「じゃあ取り敢えず私の携帯のアドレスと電話番号を…レシートに書いてもいいですか?」
ツ「…///」
レ「あの…どうしました?」
ツ「はっとして我に帰る)え? あ、いえ! 何でもありません! 是非書いて下さい!」
レ「…? そうですか? じゃあ…はい、これが私の連絡先です。
あと二時間くらいでバイトも終わるので、そのくらいになったら連絡下さいね♪」
ツ「はい、私の命にかえても! それではまた!」ダッ
レ「あ、またのお越しを~。ふふ、楽しそうな人ですね…」
その日、私は本当に『天にも昇る」という気持ちを味わった。
ガチさんの連絡先がもらえただけでも夢のようなのに、電話で仲良くしましょうね、なんて言われてしまったり…
気を抜いたら本当に昇天してしまいそう…。
でも、その代わりに、これまで意識せずに済んだことを意識しなくてはいけなくなった。
気付いてしまったから。これが私の、初めての恋だということに。
「そーおーかいなっあいのシステムで ししゅんき、みったいなこうきしん♪」
ガチさんと始めて話せたあの日からもう六日も経った。
ガチさんは毎日私の下らない内容のメールに返事を返してくれるし、昨日電話してもいいですかと聞くと、快く許可してくれた。
そんなわけで私は今、柄にもなく鼻歌交じりで家事をこなしている。『最高にハイ』ってやつなのだ。
では、私のテンションを臨界点まで飛ばしたガチさんとのやり取りをどうぞ。
ツ「…(ドキドキ」
レ『はい、もしもし』
ツ「あ、ガチさん、わざわざ電話なんてしちゃってすみません」
レ『いえ、全然いいですよ~、どうせ暇ですし』
ツ「あ、ありがとうございますっ(って何に対してだ私!)
あの、ガチさん…(言え! 言うんだっ!)明日、お暇ですか?」
レ『はい、お暇ですよ~』
ツ「(やった!)じゃあ、あの、一緒にどこか遊びに行きませんか!?」
レ『どこか…ですか?』
ツ「はい(これは…失敗…?)」
レ『行き先は決まってないんですか?』
ツ「えっと、ガチさんの行きたい所で…私は特にないので」
レ『いいんですか? ならあの新しくできたお店なんかどうです?
確か…“小物屋”っていうそのまんまなネーミングの』
ツ「! はい、行きます、行きたいです!」
レ『クスッ、ツーちゃん明らかに声の感じが変わりましたよ?
ツーちゃんも行きたかったんですね~♪』
ツ「(あぁ何て魅力的な明るい声…立ち眩みが…)そ、そうなんです、行きたかったのです。
じゃあ待ち合わせとかどうします?」
レ『そーですね、取り敢えずいつものコンビニの近くの駅とかでどうです?』
ツ「はい! 噴水の前、え~と、三時くらいでいいですか?」
レ『ええ、そうしましょう。明日が楽しみですね』
ツ「(『明日が楽しみ』…何て甘美な響き…)はい、楽しみですっ!」
レ『クスクス)では、明日また会いましょう』
ツ「はい、また明日に。お休みなさい」
これって…これって…私の人生における初デートだぁぁぁぁぁぁーーー!!!
YYYYYEEEAAHHHHOOOOO!!!(ガタン
ハァ…ハァ…
疲れた、もう寝よう。明日はデート、気合いを入れて臨まねば!
さて、今私は駅前の噴水の辺りにいます。
今週は私達の住む市のちょっとした事情で市内の学校はどこも午前授業、さらに木曜日なので私のバイトは休みと相成っております。
私の腕の時計が指し示す時刻はだいたい二時半くらい。そろそろ…あっ、きましたね。
ツ「ガチさん!? なんで…まだ二時半ですよ!?」
待ち合わせの相手、ツーちゃんが慌てて駆けてきます。可愛い…私の周囲にはいないタイプです。
ガ「あなたはこのくらい早くくるタイプだと思ったんですよ」
…と、恐縮してしまったみたいですね、よかれと思ってやったのですが。
取り敢えず微笑みかけて緊張をほぐしてあげましょう。
あぁ…私としたことが、遅れて来てしまうなんて…
いや、時間的には決して遅れていないけど、まさかガチさんの方が早いなんて思いもしなかった。
でもそんな私にガチさんは…
ガ「いいんですよ、私が勝手に来ただけなんですから。ね?(ニコッ」
くぅうぅああぁぁぁぁーーーー!!!
何て破壊的なスマイル! What a devastating smile it is!
こんなにも容易く私の心を打ち抜くなんてっ!
ガ「どうしたんです、ツーちゃん? 口がパクパクしてますよ?」
ツ「だ、大丈夫です! さ、行きましょう!」
ガ「あ、ツーちゃん! もう、そんなにあのお店に行きたかったんですね」
駄目だ、この人と何時間も一緒にいて理性がもつだろうか…
とにかく、今とてつもなく幸福なことだけは確かだ。
私とガチさんは店内を取り敢えず一周し、出入り口の近くにあるレジまで戻ってきた。
ツ「すごい品揃えでしたね…」
レ「他の店にないタイプの小物がたくさんありましたねぇ、あっ!」
ツ「どうしたんです?」
レ「見てくださいコレ! 小さなアクィラ(銀鷲旗)ですよ、見逃してましたねぇ」
ツ「アクィラ…って何です?」
レ「天下無敵のローマ軍の象徴ですよ~。
かつて誇り高いローマの戦士達は、この銀色の鷲を掲げて戦に赴いたのです!」
ツ「へぇ~…ローマとか詳しいんですか?」
レ「ローマというか、軍事全般ですね。武器の類いにも結構詳しいです」
ツ「そうなんですか(勉強しないと…いや、待てよ…)。
凄いんですね、私なんかその方向の知識ほとんどないですよー」
レ「そうなんですか? でも大丈夫!
これから私が手取り足取り教えてあげますから♪」
ツ「(予想通り!)ほんとですか? 楽しみです!」
レ「ふふ、こうやって軍事マニアの輪がまた広がってゆく…
嬉しい限りですね。あっ、ちょっと待っててくださいね!」
そう言い放つと、ガチさんはレジへと小走りに駆けていった。
…
レ「お待たせしました。はい、どうぞ!」
ガチさんはそう言いながら、綺麗な小袋を持っている右手を私の方に出す。
ツ「えっ? え!? いいんですか?」
ガ「いいんです、そんなに高いものでもありませんし」
ツ「でも…もらうだけなんて何か、申し訳ないですよぉ…」
ガ「大丈夫ですよ、もっと軽く考えてください。
ツーちゃんが本当に軍事に詳しくなってくれたら、今日は新しい仲間に出会えた記念日なんです。
だから、ね?」
ツ「はい…ありがとうございます」
ガチさんの右手の下に、両手を差し出す。
好きな人からのプレゼントに、思わず頬が熱くなる。
私の手の平に包みを置きながら、ガチさんは祈るように、こう言ってくれた。
「女神ローマの恩寵が、あなたにありますように」
一瞬、私は魂が外に出てゆくのを感じた。
あー、幸せ…
「ゆがんだーstepで、とびーだしてく ときにいきおいまーかせ、はしりぬーけたいー♪」
女神様、じゃない、ガチさんから頂いたアクィラを首から下げて、今日も私はノリノリで家事に勤しむ。
ガチさんには軽く考えるようにと言われたけど、私としても始めて大好きな人とデートできた記念の日なので、私からもプレゼントをあげた。
私の大好きなバンドの名前を連想させる、真紅色の小さな鳥の形をしたアクセサリー。
とても幸福で、満たされた気分だった。
でも、私は知ってしまうことになる。
こんな浮かれた日々を、いつまでも続けてはいられないことを。
これは未完でしょうか…?
最終更新:2007年03月28日 15:30