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 菓子業界が仕掛けた甘い戦略。と、どこか冷めた目で居た私は、過去のもの。
 今年はイベントに紛れてでも、思いを伝えたい人がいる。

 似合わないと自覚しながら私は、デパートに特設されたチョコレート売り場で
行列にため息を付きながら、チョコレートを買っていた。

ガ「女さん!!」
 下校途中の彼女を呼び止めた声は、自分でも笑いたくなるくらい震えていた。
女「ん?…あっガチ、どうしたの?」
 振り向いた彼女は、不思議そうに首を傾げながら笑っていた。
ガ「あの、これ…今日、バレンタインだから、あなたに」
 日本語を覚えたての外国人にでもなった気分。言いたいことは山ほどあるのに
言葉が出てこない。
 震える手で、小さいのにやけに重く感じる紙袋を付きだした。
女「わぁ、チョコレート?」
 笑顔で紙袋を受け取ってくれた彼女に、カクカクと首を振った。
女「ありがとう、…ガチからは貰えないのかなぁ、って思ってた」
ガ「いつ渡そうか、いつ渡そうかと、ずっと考えてたんですけど、中々思い切れなくて」
 地面と睨めっこしながら、そう言うと、彼女はクスクスと笑った。 
女「おかしな人ね、あなた何時だって私に‘好きだ好きだ’って言うじゃない」
ガ「…冗談だと、いつものおふざけだと、思われたくなかったんです。
本当に好きだってこと伝えたかったんです」
 上擦った自分の声が遠い所で聞こえた。残ったのは、梅の匂いだけが残る沈黙。

女「……ガチ?」
 戸惑ったような声が聞こえる。
ガ「…好きです、大好きです。…あなたが好きです」
 壊れたアラームみたいに、ただ「好きです」と繰り返す。意図しない涙がこぼれていた。
女「ガチ…」
 柔らかい掌が、涙ごと頬をさすった。
女「ガチ、チョコレートありがとう。…私、随分前からあなたのこと好きよ、大好き」
 私は涙でぐちゃぐちゃな顔のまま彼女に抱きついた。

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最終更新:2007年03月28日 16:24