正規分布に従うと仮定して

偏差値70 上位2.3%
偏差値60 上位15.9%
偏差値50 上位50.0%

ということになる。中高一貫校に進学する学生はごくごく一部なので、公立高校入試の偏差値は同世代の学力偏差値とほぼ等しいと考えていいだろう。2015年の大学の定員と18才人口ともに考えると、医学部~旧帝大は偏差値70以上だし、地方国立大~都市部有名私大は偏差値60以上である。

高校の学習範囲のほうが中学校より高度で範囲も広いので(例えば、英単語ベースで中学の範囲は約1000、高校の範囲は2000-3000以上)、中学までの学力だけでなく、高校での履修内容を吸収できるだけの伸びしろが学生にあるかが大学入試のためには大事である。実際は、センター試験の学校平均点は偏差値70の高校で7割、偏差値60の高校で6割と言われるから、偏差値70の高校で中位、偏差値60の高校で上位にいる学生でないと地方国立大学に入学できない。

公立高校の場合(国立を除く)、前倒しで授業が進められ文系なら2年生の秋、理系なら3年生の夏に履修範囲を終える。一方、中高一貫校の場合、中学生から前倒しして高校2年生まで(超進学校なら高校1年生まで)に高校の履修内容が終わるので、より長く演習がとれる。そのため、難関大学の受験対策としては中高一貫校が有利である。

試験者や国が高校生にどのくらいの知識やどういう学力を求めているのか(考える力の涵養とか生きる力の育成とか耳障りのいい目標はあるのだけれども)実はKPIとしてはっきりしていないのである。入試は学校の定員管理の道具であり、6-7割とれば合格という資格試験と大きく異なっているところだ。仮に高校の指導力がアップして高校生の学力が飛躍的にあがってセンター試験受験者全員が9割をとれるようになったとしても、10万人しか国立大学に入学できない。

例えば、現状5教科を受けるテストの場合、それぞれの測定する能力が独立であるのが望ましいと思うのだが、数学であえて図をみせずに文章だけの問題は、数学力を測りたいのか国語力を測りたいのかという疑問だったりする(ということではなく、問題を複雑にして点数をばらけさせたいというのが出題者の心理と思う)。また、理系科目は高校までの履修内容の不理解が大学での学習に差し支えるのでまだよいが、古典や社会科の内容が大学での勉学には直接的には関係ないはずである(受験に課しているのは受験者を振り落とすためなのだろう)。

入学試験を完全に否定するものではないが、大学入試が筆記だ複合問題だという前に、厳密な定員管理の道具である点、特別に訓練を要さないと合格できない点、大学の勉学と関係がない科目を試験にだすなど改める点があると思う。
最終更新:2016年05月07日 05:30