2002年の夏からちょうど1年間、幻想郷にいた
8月下旬だったはずだけど、日にちは忘れた
日記で確認できるはずなので、後で確認して書く
ちなみに、日記といっても幻想郷内でのことを書いたものじゃないので、あしからず
幻想郷に入ったのは、たまたまだった
当時、高校卒業後何もせずにぶらぶらしてたんだが、とりあえず気分転換で一人旅をすることにした
子供のころ、よく家族で父の田舎の近くに旅行に行っていたので、そっちのほうに行くことにしたんだが、
ついでに墓参りでもしてこようかなという気になったので、寄り道をすることにした
父の田舎は山あいの地域にあるんだが、そこで道に迷って、いつの間にか幻想郷にいた
まあ、そのときは幻想郷なんて知りもしなかったから、正しい表現じゃないかもしれないが
もっと詳細に書くと、もともと舗装されてない道を歩いてたんだが、
それがだんだん獣道?みたいな感じになって、それでも引き返せば大丈夫だろうと思って進んで行ったら、
いつの間にか道が完全になくなっていた
振り向いても道らしいものは見えないし、引き返してみたけど、道は見つからなかった
そうこうしてるうちに、茂みがガサガサいうような音が聞こえたのでそっちを見たら、人がいた
猟銃みたいなものを持ってて、髪がぼさぼさで髭も生えてて、毛皮のベストみたいなものを着てた
ああ、助かった、と思ったんだけど、こっちが話しかける前に、向こうから
「お前、迷いこんだのか?」
というようなことを聞かれて、よくわからないまま
「はい」
と答えたら、
「一緒に来い」
というようなことを言われて、半ば強引に連れて行かれた
それほど歩かなかった気がするけど、それから山というか森(林?)を出ると、
田畑があって、その向こうにまた森や山があるような、割とよくある田舎の風景だった
ただ、その風景の中に、よくわからないものがあった
何だろうと思ったけど、聞くかどうか迷ってるうちに、
その人(と自分)がそこに向かっているようだと気付いたので、とりあえずそのときは聞かなかった
近くまで行くとわかったんだが、よくわからなかったものっていうのは、柵のようなものだった
確か、柵の向こうに、建物があるのも見えていたと思う
で、柵の端のほうにある門のような出入り口から、その中に入った
そこが、こちらでいうところの人里だった
中は、建物が明らかに古めかしい造りっぽかったり、着物らしきものを着ている人がいた
当然俺はそんな服じゃなかったから、場違いな感じからか、
自分がめずらしいものを見るような目で見られてるような気がして、居心地が悪かったのを覚えてる
このあたりでやっと、何かおかしなところに来てしまったのかもしれないと思い始めていたような気がする
で、それからもその人についていって、大きな日本家屋の御屋敷のようなところに通されて、
そこで待たされることになった
待っていると女の人が来て、お茶は熱いのと冷たいのとどちらがいいかと聞かれたので、
冷たいほうをお願いしたら、冷たい緑茶が出てきた
それを飲んでると、さっきの女の人が部屋に座布団を運んできて、丸く並べていった
さらにしばらくすると、十数人くらいの人たちが部屋に入ってきて、座布団に座った
中年の男の人が多かったと記憶してるけど、お爺さんお婆さんや、三十代くらいに見える人もいたと思う
最初に会って、俺をそこまで連れてきた男の人もいた
みんなこっちを見てきたので、とりあえず軽く会釈したけど、
そのときは何が始まるのかと落ち着かなかった
全員が座ったら、その人たちは俺抜きで話を始めた
別に声をひそめて話してたわけじゃなかったから、俺にも話自体は聞こえてたはず
でも、こんな状況で混乱してたということもあったし、内容が理解できなかったというか、
知らないことばかりだったということもあってか、何を話し合ってたのかは覚えていない
それで、自分には何もできなさそうだし、楽にしてようと思ってちょっと体の緊張を解いたら、
その瞬間に呼びかけられた
呼びかけてきたのは最初に会った男の人で、俺が置かれた状況や、
この土地がどういうところなのかということなどを説明してくれた
最初に、男の人が“高田”と名乗った
下の名前も聞いたような気がするけど、里の人たちはみんな苗字で呼んでたので、忘れてしまった
俺の名前も聞かれたので、素直に本名を名乗った
それから、そこで初めて、その土地の名前として『幻想郷』という言葉を聞いた
信じられないと思うけど、というような前置きをしてから、
俺のいた世界(こっちのことね)とは結界というもので隔てられていて自由に行き来できないこと、
こっち(これは幻想郷内のこと)には妖怪の類がいて、安全とは言いがたいということ、
外とは生活環境がまったく違うので暮らすとなると大変だろうということなど、
今となっては当たり前のようなことを説明された
その上で、君(俺のこと)はそんな場所に迷いこんでしまって、帰ることもできるけど、
ここで暮らしたければ暮らすこともできるよ、どうする?という感じのことを聞かれた
当時俺は自分が何をすればいいのかわからなくて滅入っていたし腐ってもいたので、
半ばやけっぱちのような気持ちで、そこで暮らすことを決めて、それを高田さんに伝えた
こんないきさつで、幻想郷の人里で暮らすことになった
俺が高田さんの話を聞いてる間も、ほかの人たちは話し合いを続けていたみたいで、
里で暮らすことを伝えて高田さんの話が一段落してからも、まだ話し合いが続いていた
こちらは里で暮らすことを決めたけど、当然里の人たちにも都合があるわけで、
要するに、誰が(どこが)俺の面倒を見るかということを話し合っているようだということに、
そのあたりでなんとなく気付き始めた
あまり聞いてるとは思われないように、聞き耳を立てるようにして聞いてたら、
話がまとまったような空気になって、高田さんに「話がついたよ」というような言葉がかけられた
そこで何人かの人は帰っていって、残った人も、
俺に名前や歳なんかを聞いて一言二言話したら、帰っていった
最後に高田さんともうひとり、中年の男の人が残った
高田さんは俺の肩を叩いて、ようこそとか、なれないうちは大変だろうけど云々
というようなことを言って(残念ながらここはよく覚えていない)、
それから中年の男の人に対して、じゃあよろしくお願いします、みたいな感じのことを言ってから、
部屋を出ていった
中年の男の人とふたりきりになって、またお互いに自己紹介をした
その人は、山木さんという人だった
上で書いた組頭というのは、早い話が地区(組)の代表で、俺は山木さんの組にお世話になるということだった
で、今度は山木さんに連れられて、山木さんの家に行くことになった
御屋敷から御暇するということになったんだけど、ずっと正座をしていたので
足がしびれてしばらく立ち上がれなくて、ちょっと恥ずかしい思いをした
その建物は平屋で瓦葺屋根、一言で言えば日本の御屋敷という感じだった
区画の南西の角にあって、白い塀に囲まれていて、西側の塀の南の端に門があった
門から玄関までは、それほど歩かない
玄関に入ると、左手に下駄箱があって、右手の壁に鏡がかかってた
床は、玉砂利が埋まってるようなあれ(今調べたら、玉砂利洗い出しというらしい)だった
玄関に上がってすぐの正面が壁で、壁の下が床の間みたいに一段高くなっていて、
そこに確か、生け花が飾られていたと思う
玄関に上がって左側が廊下で、玄関に立ったときの正面方向にのびていく廊下と、
下駄箱の裏手にあたる場所に回ってから、同じく左側方向にのびていく廊下というか縁側?に分かれていた
前者の廊下に入ってすぐの右手(玄関正面の壁の裏手の位置)には、小部屋があるみたいだったけど、
戸を開けて中を見る機会がなかったので、よくはわからない
廊下をまっすぐ行くと土間に出て、そこから外に出てすぐのところに、トイレ(厠)があった
廊下は土間が突き当たりなんだけど、確かそこから左に廊下は続いていたと思う
後者の廊下は庭に面しているんだけど、建築には詳しくないので、これを縁側と言っていいのかどうかは
よくわからない
左手が庭で、右手が和室
和室は三つ並んでいて、玄関側からふたつは襖で仕切られているので、
襖を開けて(外して)大きな部屋として使えるようになっていた
俺が初めて連れてこられたときも、このふたつ目の部屋に通されて、襖を開けた状態で、
ひとつ目の部屋に組頭さんたちが集まってるという状況だった
ひとつ目の部屋は四方が襖(庭に面した面は障子だったかも)で、普段は家具の類は置かれていないようだった
ふたつ目の部屋は北側が壁になっていて、そこに床の間があって、
その隣に確か、作り付けの戸棚みたいなものがあった
庭に出たり、トイレに行ったりしたのを除くと、このふたつの部屋にしか入ったことがないので、
ほかの部屋のことは知らないし、建物全体の間取りもわからない
庭には確か、松らしき木や築山?があって、やっぱり和風な感じになっていた
この御屋敷は誰かの家というわけじゃなくて、里の集会所ということだった
管理してる人がいるとは聞いたはずだけど、詳細な話までは聞かなかったので、そこはそれ以上はわからない
山木さんの家は、集会所から見ると門の方向にあるので、確かもと来た道を戻るような感じだったと思う
高田さんに連れてこられたときは、道すがらの会話はなかったけど、
山木さんとは少し話したというか、話を聞かれた
俺が鞄を持っていたので、その中身を聞かれたり、眼鏡をかけていたので目は悪いのかとか、
そんな感じだった
山木さんの家は生け垣があって、茅葺屋根?で、集会所とは別のタイプの和風建築だった
また家の中に通されて、普通の畳敷きの部屋に案内された
家の中は、まず玄関というか中に入ったところが土間になっていて、
そこを上がると囲炉裏のある板の間になっていて、
その左の部屋とさらに奥の俺が通された部屋が、畳敷きの部屋になっていたはず
それ以外の部屋は、チラッとは見たかもしれないけどよく覚えていない
山木さんに着いて部屋に行く途中、山木さんから奥さんを紹介された
山木さんとそれほど歳は離れてなさそうだった
ちなみに、山木さんも奥さんも、下の名前は聞いていなかったと思う
部屋にはちゃぶ台があって、確か座布団もあったと思う
家具は、茶箪笥のようなものがあったような気がする
何かしら家具があったのは確かだとは思うけど、記憶が曖昧なので、ここらへんはちょっと自信がない
俺がちゃぶ台を前にして座ってからだったか、その前だったかは忘れたけど、確か、
「ちょっと待ってて」とか「楽にしてて」というようなことを二言三言言って、山木さんはすぐに出ていった
それから奥さんが来て、お茶とお茶菓子を出してくれた
お茶は熱い緑茶で、お茶菓子は何種類かあったけど落雁らしきものをいただいた
確か、奥さんもすぐに部屋を出ていったけど、すぐにまた戻ってきたはず
それでまた、他愛もないことを聞かれたりした
そうこうしてるうちに(10分~20分くらいだったと思う)、山木さんが戻ってきた
山木さんは、うしろにおじいさんを連れていた
山木さんとおじいさんが来たら、山木さんの奥さんは部屋を出ていった
奥さんは俺の斜め前に座ってたんだけど、そこに山木さんが座った
おじいさんは、俺の前の席に座って、俺と向かい合う形になった
それで、お互い自己紹介をした
確か、最初に山木さんが「こちらが○○(俺の名前)君」(「○○さん」だったかも)というふうに、
俺のことをおじいさんに紹介して、それから俺が自分で名乗ったり、挨拶したりしたんだったと思う
それからおじいさんが自己紹介した
おじいさんは笠間遠吉(とおきち)という名前で、百姓をやっている、というようなことを言っていた
それから、またいくつか質問されたんだけど、体は丈夫かとか、ちょっと手を見せてみろというような、
それまであまり聞かれなかったことを聞かれて、
これはもしかして、俺もお百姓をやることになるのかな、と思った
そう思っていたら、山木さんと遠吉さんが顔を見合わせて、案の定、山木さんに、
君には田畑を耕してもらうから、最初は大変だと思うけど云々、というようなことを言われた
ただでさえ順応性がないのに、いきなり肉体労働をすることになって、正直言って、割とショックだった
ああ、やっぱり働かないといけないんだな、当たり前だよな、とか思いながら、半分上の空で聞いてたけど、
話の流れが変わったような空気になったからだったか、気を取り直して話をしっかり聞くようにしたら、
俺は遠吉さんのうちに住まわせてもらって、遠吉さんの田畑を借りて百姓生活をする、ということだった
確か山木さんに「それでいいかね?」という感じで聞かれたので、
あまりショックを隠すこともできずに一応肯定と取れるような返事をしたら、
「まあそんな大変なことじゃないから大丈夫だよ」みたいなことを言われて、笑われた
遠吉さんがどんな表情だったかは覚えていないというか、多分見る余裕もなかったと思う
で、山木さんの奥さんに見送られて、三人で遠吉さんの家に行ったんだけど、途中で蔵に寄った
寄ったというか、遠吉さんの家と蔵とは方向が違ったので、一度蔵に行ってから、
そこから改めて遠吉さんの家に向かったような感じだったと思う
蔵に関しては、後から知ったことも多いけど、とりあえずここでひととおり書いておく
外観は白い壁で、屋根は瓦葺だったと思う
中は暗かったので詳しくはわからなかったけど、棚があって、そこに色々置かれているような感じだった
蔵は組ごとにひとつずつあるということだったけど、
俺が見た限りでは、どこの組の蔵も同じような外観だった
ただ、大きさはまちまちだった
蔵は組の共有物で、大事なものを保管したりするらしかった
ちなみに、山木さんの組には、蔵の隣に農機具をしまっておく建物があった
こっちは造りが全然違って、木造で小屋に近いような感じだった
俺が蔵に連れてこられたのは、荷物を預かってもらうためだった
鞄をふたつ(肩掛け鞄とボストンバッグ)持ってたんだけど、
ふたつとも蔵で保管してもらうということになった
必要なものは持っていけばいいよ、とのことだったので、とりあえず鞄の中を見たんだけど、
何を持っていくべきなのかよくわからなかった
なので、生活が落ち着いてから必要になったものだけ取りに来たいと言ったら、快く許可してくれたので、
ひとまず鞄ふたつを蔵に預けて、遠吉さんの家に行った
山木さんの家から遠吉さんの家までは、何かぽつぽつと話をしたはずだけど、
具体的な内容はほとんど覚えていない
そのうち里の中を案内してあげよう、このあたりは見て面白いようなものはないけど、みたいなことを
言われたような気がする
遠吉さんの家に着いたら、中からおばあさんが出てきた
おばあさんは、遠吉さんの奥さんで、カツさんという名前だった
ただ、そこらへんの説明をしてもらったのは玄関先だったか、中に入ってからだったかはよく覚えていない
山木さんとは玄関先で別れて、三人で家の中に入った
遠吉さんの家は、山木さんの家と似た感じだった
茅葺屋根らしき和風建築で、多少間取りは違ってたはずだけど、
土間があって、囲炉裏のある板の間があって、畳敷きの部屋がいくつかあった
ただ、生け垣はなかった
玄関から見て右奥の畳敷きの部屋が、俺の部屋ということになっていた
その部屋は、俺が入ったときにはすでに片付いていたというか、何も置かれてなかった
これまた失礼な話で、あんまり汚かったら嫌だなぁと思ってたけど、
掃除もしてあったみたいで、きれいなものだった
もともと使ってた部屋だったのかもしれない
部屋に案内されて、ふたりにありがとうございますとかよろしくお願いしますというようなことを
言って、それからふたりが、何かあれば遠慮なく云々というようなことを言ってから部屋を出ていって、
俺は自分の部屋にひとりきりになった
それからは確か、カツさんが夕飯の準備ができて呼びに来るまで、
畳に寝っ転がってぼーっとしたり、うとうとしたり、
障子を開けると縁側があってすぐ外なので、空を眺めたりしてたと思う
そのときはまだ腕時計をつけていたので、手持ち無沙汰で何度も時計を見てたはずだけど、
時間や時刻は覚えてない
完全によそから来た客のような立場だったのは、このあたりまでだったように思う
そこで、ここで一旦、話を区切ることにする
幻想郷で暮らして1年近くたったころに、無性に外のことが気になりだした
こんなこと(幻想入り)になるとはまったく思ってなかったので、
外でのことはすべてがやりっぱなしの中途半端な状態だったわけで、
それをどうにかしたい、という気持ちがやたらと強くなってきたような感じだったと思う
家族が心配してるだろうな、という思いも、何を今更、と自分でつっこみ(?)つつも消えなかったし、
毎月なんとなく読んでただけの雑誌ですら、気になって気になってしかたがなかった
仕事(農作業)にも身が入らなくて、困った
そんなだったので、向こうでできた友人と話をしてるときに、
最近外が気になる、とポロッともらしたら、帰りたいのか?と聞かれてしまった
不思議なもので、そのときまでは気になるという気持ちばかりが強いだけで帰りたいという自覚はなくて、
そのとき初めて、自分は元の生活に帰りたいのかもしれないということに気付いた
それで、遠吉さんには詳しいことは言わずに、ちょっと真面目に考えたいことがあるので、
というような説明をして、3日くらい仕事を休ませてもらって、そのことについて考えてみた
でも、何というか、上手くいかなかった
一応考えてはみるんだけど、すぐに、帰ったらこうしたい、という妄想みたいなものになってしまった
結局、精神状態としては、帰りたいという願望を認めざるを得ないような感じだった
それで、まずはその友人に相談することにした
その友人は、槇村太良(たいら)(もしかしたら漢字が違うかも)という人で、
年齢は俺より4歳上だったはずなので、23歳だったはず
俺と親しくしてくれて、遠吉さん・カツさん夫妻と同じくらいお世話になった人だった
いつもは里の茶屋や蕎麦屋みたいなところで飲み食いしたりしながら話をすることが多かったけど、
さすがにこのときは里では話しにくい気がしたので、釣りに誘った
釣りももとは太良から誘われて始めたんだけど、俺から誘ったのは確かこのときが初めてだったと思う
川に着いてしばらくは、普通に釣りをしてた
話を切り出すまでに、確か2、3匹の魚が釣れた
太良が何匹くらい釣ったかは、見てなかったのでわからない
2、3匹釣ったら、一度、釣り糸を垂らすのをやめて、話を切り出した
太良は確か、黙って聞いていたと思う
具体的にどんなことを話したかは、もうほとんど覚えていない
結果的にこのときの気持ちはきれいさっぱり解消されてしまったわけだから、
一緒に忘れてしまったんだろうと思ってる
確か、話が終わってまた釣り糸を垂らしたら、すぐに太良が話し始めた
いろいろ他愛もない細々としたことを言われたり聞かれたりした気がするけど、
太良が特に念を押してきたのは、
「本当に帰る気があるのか」と「出たらまず戻ってこれない」ということだった
そのときは、帰る気があるとはまだ言い切れない、ためらいみたいなものがあるような感じだった
多分、幻想郷そのものや、里や親しい人への未練のようなものがあったと思う
でも結局、もう少し考えさせてほしいとも、帰る気がないとも言えなかった
どんなに理屈ではわかっていても本能が抑えられないというか、いきなり現実的な喩えになるけど、
ダイエットなんかで食事制限が必要な場合でも、
制限が必要という事実だけでは食欲を抑えるのは難しいというような状況に似ているような気がする
まだ里で暮らしたい、今の暮らしから離れたくないという気持ちがあっても、
帰りたいという気持ちはそれとはまったく別のところにあって、影響が及ばない、というような
でも、はっきりと「帰る気がある」「帰りたい」という言葉を口にしたかは覚えてない
出たらまず戻ってこれないという話は、半信半疑のような感じだったと思う
ただ、純粋に半信半疑というよりは、そんなことはあるはずがないと思いたかっただけのような気がする
こんな感じで、自分でもわかるくらい煮え切らない態度だった
それからは、何も話さないまま釣りを続けてたんだけど、しばらくたって太良が
帰る気があるなら組頭さんに話せ、ということを言った
この日は、少なくとも帰りたいだの何だのについてはそれ以上は話さなかった
確か、日が傾いて空の色が変わってきたころに、どちらともなく釣りを切り上げて帰った
その日は確か、帰って夕飯食って寝た
なんとなく、遠吉さんたちに何か言われるかとちょっとびくびくしてたけど、何も言われなかった
翌日は、いつもどおり起きて普通に農作業をした
でも、やっぱりいまいち身が入らない感じで、そのせいなのか、
午後は休んでいいよ、と遠吉さんに言われてしまった
そのときには、申し訳ないなと思いつつも、もう組頭さんの家に行くつもりでいたと思う
でも、まだはっきりと「帰りたい」と言えるような心情でもなかった
昼食の後に、組頭さん(山木さん)の家に行った
玄関先で用件を言えずにいると、立ち話もなんだから、みたいな感じで中に通された
里に来た日に通されたのと同じ部屋で、確か、また奥さんがお茶とお茶菓子を出してくれた
山木さんとふたりで、最初は世間話みたいなことを話してたんだけど、やっぱりというかなんというか、
何か話があって来たんじゃないのか?ということを言われた
それで、前日に太良に話したようなことを、また話した
山木さんはうなずきながら聞いてくれた
俺の話が終わると、山木さんが話を始めた
開口一番、君はもといたところに帰ったほうがいい、と言われてしまった
そういうことになるのは当然なんだろうけど、これは結構ショックだった
で、その後の話によると、俺の感情というか欲求の原因は、
幻想郷と外の世界という性質の異なる世界をまたいでしまったから、とのことだった
外にいるときは幻想郷に入ることができる存在でも、幻想郷に入ったことが原因で
それが変化することもある、ということらしかった
ここらへんは、説明が難しいのか、山木さんもよくわかっていないのか、ひねり出すような話し方だった
なので、俺も間違った解釈をしてるかもしれない
もっといろいろ細かく説明してもらったはずだけど、覚えてるのはこのあたりだけ
ずっと山木さんがひとりで話して、最後に、
そういうわけだけど、どうする?帰るなら、手はずを整えないといけない、と聞かれた
帰れるのかと思うと、何というか、胸が高鳴ったというか、解放されたというか、少し気分がよくなった
まだ里での生活への未練があったけど、もうそれをどうにかして帰ろう、というような気持ちだったと思う
それで俺は、帰ります、でもやらなきゃいけないことがあるんでちょっと待ってください、
というようなことを言った
このときは、やっぱりうしろめたさがあったと記憶してるけど、
撤回もしなかったし、些細なものだったと思う
俺の返事に対して、山木さんは確か、すぐには帰ることにはならないと思う、
それに、帰るなら送別の宴会を開こう、というようなことを言ってくれた
それで、お礼を言ったり、今後のことを少し話したりして、その日は家に帰った
家に帰ったら、確か、夕飯まで今後のことを考えてた
もうすでに、半分、旅行から帰ってきたときの「やっぱり家が一番だね」
みたいな感じの気分になってたような気がする
残りの半分で、里での知人たちに何て言おうかと考えて、
結局、帰ることにしたということだけ話して、あとは言うべきことがあれば自然に出てくるだろう、
ということに落ち着いたんだったと思う
それで、夕飯が終わって晩酌のときに、遠吉さんとカツさんに切り出した
晩酌が始まる前に、話すことがあることを伝えるつもりだったんだけど、
やっぱり言い出しづらくて、みんな少し飲んでからになってしまった
で、もといたところに帰ることにしました、というようなことを言ったんだけど、あまり反応がなかった
話が続けづらいので黙っていたら、遠吉さんが、そうか、帰るか、というようなことをつぶやいた
俺は確か、はい、帰ります、という感じの鸚鵡返しのような返事をして、
太良や山木さんに話したようなことをもう一度話してから、山木さんと話をして帰ることに決めた、
と説明した
やっぱりあまり反応がなくて、今までありがとうございました、とお礼を言っても、
何も言わずに酒を飲んでるだけだったと思う
カツさんも、何か言っていた記憶はない
それで、その日は確か、いまいち釈然としないまま晩酌も終わって、寝た
釈然とはしなかったけど、やるべきことをやったので、少しすっきりしてたとは思う
次の日から挨拶回りみたいなことをするつもりだったんだけど、習慣で朝早く起きてしまったので、
とりあえずその日は野良仕事から始まった
この日もまた昼までで仕事を切り上げさせてもらって、午後に、太良にちゃんと話をしに行った
このときは、太良の家にお邪魔した
太良の家は長屋の一番端の部屋で、それまでに何度か行ったことがあった
玄関に入ると土間があって、手前と奥、ふたつの畳敷きの部屋が襖で仕切られてるだけの、簡素な部屋だった
俺のほうから家を訪ねたり太良本人に会いに行ったりすることは、それほど多くはなかった
だいたい、太良が俺の(というか遠吉さんとカツさんの)家を訪ねてきたり、
俺が里をぶらぶらしてると声をかけてきたり、という感じだった
太良は俺の一連の事情を知っているので、話が切り出しやすかったと記憶している
もといたところに帰ることにした、今までありがとう、というようなことを言ったら、
やっぱりちょっと黙っていた
それから、帰っちゃうのか、もうちょっと外のことを聞きたかったなぁ、というようなことを言った
太良は外のことに興味があって、俺との会話の内容も、外の話題が多かった
だから、帰るって言ったら外の話が聞けなくなるって残念がるんだろうな、とは思ってた
その後は、思い出語りに花が咲いて、文字通り日が暮れた
ともすれば沈んだ空気になりそうな話だったけど、その日は明るい気持ちで別れられて、気分がよかった
その後4、5日くらいは、同じような感じで、お世話になった人、親交があった人を訪ねて、
事情の説明とお礼を言って回った
皆さん寂しがってくれたり、激励してくれたりで、改めて恵まれていたということを感じた
話した具体的な内容はそれほど覚えてないし、だいたい同じような感じだったはずなので、ここでは端折る
それから、その4、5日の間に山木さんと会うことがあって、今後の日取りが決まったことを知らされた
数日後が、俺が幻想郷に来てからちょうど1年で、
帰るならそのときがいいだろう、ということになったらしかった
送別の宴会は、その前日ということになっていた
そういう話を道端でしてたんだけど、確か、山木さんが俺の荷物のことを思い出したのがきっかけで、
そのまま蔵まで荷物を取りに行くことになった
蔵まで行って荷物を返してもらったら、そのまま別れて家に帰って、中身を確かめた
あるはずのものがなかった、ということはなかったはず
もちろん、ないはずのものがあったということもなかったはず
幻想郷から出る日までの数日の間に、就寝・起床時間を少しずつ遅らせるようにした
それに伴って、農作業はやめることになった
田んぼや畑はどうするのかと遠吉さんに聞いたら、
まあ元に戻るだけだろう、ということを言っていた
俺は遠吉さんが使っていた田畑の一部を借りていた
遠吉さんは、俺が借りた分だけ、もともと使っていなかった田畑を使えるようにして使っていた
だから、俺がいなくなったら、俺が使っていた田畑をまた遠吉さんが使って、
遠吉さんが使っていた田畑の一部は、また誰にも使われなくなる、ということのようだった
こうやって俺が幻想郷にいた痕跡がなくなっていくんだろうなぁ、と、寂しい気持ちになったのを覚えてる
宴会は、幻想郷から出る前日の夕方ごろから、
場所は、幻想郷に来た日にも連れてこられた、集会所だった
同じ組の人たちや、親しくなった人たちやお世話になった人たちが来てくれた
俺が山木さんに連れられて集会所に行くと、参加する人はもうみんな集まっているようだった
で、席に着くなり、山木さんに言われて、挨拶をすることになった
挨拶なんて考えてなかったし、あがり性なので、とりあえず
里と幻想郷を後にするにあたっての自分の気持ちを確かめながら言葉にするような感じだったと思う
それが精一杯だったので、内容は覚えていない
話し終わると、野次というか声援のような言葉が飛んできたけど、これもはっきりとは覚えていない
そのあとは、飲み食いしながら思い出話なんかをした
話の内容は覚えているものもあるけど、話の相手との間の出来事に関する話が多いし、
人物の説明も出来事の話もあまりしていない今のところは省く
ただ、このときのある記憶が、俺がスレで幻想入り体験談を書くひとつのきっかけになったことは、
書いておく
宴会が終わるころになるとというか、始まってから時間が経つと、俺は結構酔ってしまっていて、
結局どういう形で宴会がお開きになったのかは記憶にない
太良に肩を貸してもらって夜道を歩いてるときに、ふと意識が戻って、
ああ、これが幻想郷での最後の夜か、と思いながら夜空の星を見上げたような記憶があるけど、
本当にそういうことがあったかどうかもわからない
翌日の目覚めは、前日酔っぱらって記憶がほとんどなかったにもかかわらず、それほど悪くはなかった
起きたら、遠吉さんはもう畑に出ていていなかった
遅めの朝食を食べている間、確か、カツさんはずっと一緒に部屋にいた
何をするわけでもなく、一緒にちゃぶ台を前に座って、にこにこしてたと思う
食べ終わって、ごちそうさまの一言を言うのに、俺はやけに緊張してたような記憶がある
ごちそうさまでした、と言ったあとに、
今まで、本当にありがとうございました、と言葉を続けた
カツさんは確か、どういたしまして、というような普通の返事をして、
普通に食器を片付けて部屋から出ていった
俺も自分の部屋に戻って、身支度をした
といっても、前日までにやるべきことはだいたいやっておいたので、
来たときに着ていた服に着替えること以外には、
もう一度やり残したことがないか確認することくらいしか、やることはなかったと思う
それを終えたら、荷物を持って、本当に最後の挨拶をしに、カツさんのところに行った
カツさんは台所にいて、こちらに背を向けて何かしていた
声をかけなくちゃいけないんだけど、なかなか声がかけられなくて、
数分くらいそのままだったような気もする
そうしているうちに、こっちから声をかける前に、カツさんが振り返った
確か、もう行くのね、というようなことを言いながら俺に近づいてきて、
はい、これ、ちゃんと食べなきゃ駄目よ、みたいなことを言って、包みを手渡してきた
それは、竹の皮に包まれたおむすびだった
1日通して農作業をするときには、よく昼食として持っていくようにと用意してくれたものと同じだった
これも最後かと思うと、涙が出てきて、慌ててポケットからハンカチを出して目を押さえた
俺の目のほうが落ち着いたら、最後の挨拶をした
何度目だろうと思いながらだったと思うけど、お世話になりました、
今までありがとうございました、というようなことを言った
カツさんは、元気でね、というようなことなどをいろいろ言いながら、俺の背中をさすってくれた
外に出ると、カツさんも出てきてくれて、見送ってくれた
確か、曲がり角で振り向いたときに、まだ玄関先に立っていてくれてるのが見えたので、
手を振ったりおじぎをしたりしてから、角を曲がった
家を出たら、山木さんの家に向かった
確か、前に書いた出るまでの日取りを聞いたときに一緒に聞いたんだったと思うけど、
山木さんと高田さんが博麗神社まで送ってくれて、
そこから博麗の巫女が外に出してくれる、という話になっていた
山木さんの家の前では、山木さんと高田さん、それから太良が待っていた
俺が行くとすぐに、じゃあ行こうか、ということになった
太良は、途中まで送ってくれるということだった
山木さんが家の中に向かって、行ってくるよ、というような声をかけると、
奥さんが出てきて、別れを惜しんでくれた
それから俺たちは山木さんの家を発って、最初に俺が里に入るときに通った門から、里の外に出た
ここで俺は、ちょっといいですか、最後の挨拶をしてきたいので、と断って、
小走りで、農作業をしている遠吉さんのところに向かった
遠吉さんは田んぼに入っていたので近づけなくて、遠くから声をかけた
何度か呼びかけて、やっと気づいてもらえたようで、こっちに近づいてきてくれた
これから出るということを説明したら、確か、そうか、元気でな、とか、
これからさびしくなる、というようなことを言っていたと思う
それまで、俺が外に戻ることについて、遠吉さんからはほとんど何も言ってくれなかったので、
胸のつかえがとれた感じだった気がする
それで、俺は確か、今までありがとうございました、一生忘れません、みたいなことを言ってから、
最後に、お元気で、と言って、門で待ってるみんなのところに走っていった
門からは、おおまかに言って東に向かって歩いていった
しばらく歩くと川があるわけだけど、前に書いた、釣りに行くときに通る道とは別の道を通った
川までは、ずっと太良と話していた気がする
内容は、いつも話していたような、外のことの話や、里の噂話や世間話だったと思う
そういうことを話しているうちに、川に着いた
川には橋がかかっていて、太良とはここまでということだった
橋の前で、みんな一旦足を止めた
誰だったか忘れたけど、誰かが、太良はここまで、ということを言った
太良は、ほんとに行くんだな、というような、半ば問いかけのようなことを言ってたと思う
冗談交じりに、もしもまた来れるようだったら、外の写真や本を持ってきてくれ、
というようなことも言ってた
最後の言葉は確か、向こうに行ってもがんばれよ、じゃあな、ということだった
俺も、じゃあな、楽しかったよ、ありがとう、と返して、
山木さんと高田さんに、じゃあ行きましょう、と言って、三人で橋を渡った
橋は木でできているらしく、少しギシギシ言ってた
両側に欄干があって、つり橋ではなかったため、揺れたりはしなかった
ボロボロではなく、かといって真新しい感じでもなかったと思う
橋を渡って振り向いたら、当たり前だけど、まだ太良がいた
○○(俺の名前)、元気でな、と叫んでいたので、俺も、太良も元気でな、と叫び返した
橋を渡ってからの道は、割と自然のままのような感じだったと記憶してる
釣りに行くときに通る道と比べて、あまり踏み固められてないんだなぁ、と思った記憶がある
場所によっては、草木が茂って道が途切れたようになってるところもあった
そういう道を、高田さん、俺、山木さんの順番で、列を作って歩いていった
どれくらい歩いたかは、計っていなかった
というか、歩いても歩いてもなかなか着かない気がして、
出発のときに時間を確認しておいて計ればよかったと、あとになって後悔した
そんなこんなで、黙々と歩いてるうちに、そろそろだよ、と高田さんが言った
それから確か1分も経たないうちに、広めの道のようになったところに出て、それからすぐに、石段が見えた
確か山木さんだったと思うけど、ここが博麗神社だよ、と教えてくれた
そのまま三人で石段を上って、鳥居をくぐって、とりあえず何事もなく、博麗神社に辿り着けた
博麗神社の境内(鳥居より中が境内で合ってたっけ?)では、博麗霊夢が待っていた
博麗霊夢と博麗神社のことは、外に帰るということになるより前にすでに聞いていたので、
そこにいた女の子が博麗霊夢だということは、すぐに認識できた
子供だと聞いていたので、漠然と十歳未満の小さい子供を想像してたんだけど、
ギリギリ中学生に見えるくらいだったので、なんだ、子供っていってもこんなもんか、と思った記憶がある
服も、東方ではおなじみの巫女装束には見えないあの服っぽいものだったんだけど、
どこかとどこかの折衷っぽい感じの服は里でも見かけてたので、
巫女さんでもこんな服なんだ、くらいにしか思わなかったと思う
で、まず山木さんが進み出て、挨拶したり、よろしくお願いしてくれたりしていたようだった
それから、少し離れたところで見ていた俺を呼んで、お互いをお互いに紹介してくれたり、
博麗霊夢が結界を管理していて、その関係で俺を外に出すことができるといったことを説明してくれた
山木さんからの紹介はあったけど、博麗霊夢本人からは、最後まで自己紹介されなかった気がする
俺からは、お世話になります、とか、よろしくお願いします、みたいなことを言ったと思う
それから、せっかくだから賽銭でも入れておこう、ということになった
俺は、外では使えないだろうし、里の人たちのものでもあるから、という理由で
あちらのお金は置いてきてしまったので、賽銭くらい出すよ、という山木さんの好意に甘えて、
小銭をもらって、三人で賽銭を入れて柏手を打った
それが終わったら、もう役目は終わったということで、山木さんと高田さんは帰ることになった
ふたりには、博麗神社まで送ってくれたことも含めて、改めてお礼を言った
ふたりからは、元気で、とか、がんばって、とか、忘れるなよ、とか言われた気がする
高田さんからは、冗談交じりっぽく、外でも妖怪には気をつけろよ、と言われた
最後に、さようなら、と言い合ってから、ふたりは鳥居をくぐって、石段を下りていった
ふたりが帰っても、博麗霊夢が何かをする様子はなかった
あとはもう出るだけだと思っていたので、その場でふたりで突っ立ってるだけの状況に、
何なんだろう、やることがあるなら早くしてくれればいいのに、と思ってた気がする
でも、確か俺から何か聞く前に、ちょっと待ってて、と言われてしまった
それでどうこう思う間もなく、博麗霊夢が何かに反応したように見えたので、
何だろうと思って周りを確認したら、うしろに女の人がいた
女の人は、あなたが外に帰る人ね、というようなことを言ったので、
よくわからないまま、はい、そうです、という感じに答えた
女の人は、変わったドレスのような服を着て、金髪をアップにしていた
うわ、暑そうだな、と思った記憶がある
歳は、ぱっと見二十歳前後のような感じもしたけど、はっきりいってよくわからなかった
あと、変な話というか変態的な話だけど、近づいたときに、いい匂いがした
甘い匂いなんだけど、香水やシャンプーみたいなとってつけたような匂いじゃなくて、
何というか、自然で落ち着くような匂いだった
後々、外に出てからしばらく経って永夜抄の体験版をプレイしたときに初めて、
その女の人が八雲紫だということを理解した
最終更新:2022年06月19日 00:30