Novel内検索 / 「ユリウス」で検索した結果
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EL4
「ユリウス!?」 イヴがユリウスのもとへと駆け寄り、彼の体を抱き起こした。 「ユーリ…。」 イヴが心配そうな声を出すと、ユリウスは剣を杖の代わりのようにつきながらゆっくりと起き上がった。 ユリウスは、優しく微笑み、イヴに話し掛けるように言った。 「あ…いや、心配ないよ。ちょっと疲れた…だ…け…。」 「で、でも…背中の傷…。」 「い、いえ。なんともありませ…」 ユリウスが全てを言う前に、イヴが彼の背中の傷を触った。 「…っ!!」 ユリウスは苦痛をこらえ、さきほどまでの優しい笑みの表情をゆがませた。 イヴは、瞬時に顔をしかませ、持っていたバッグから白く長い布を取り出した。 「やっぱり駄目よ。手当てしなきゃ。はい。これ包帯代わり。止血くらいしなきゃ。」 イヴはもっていたハンカチを水筒の水で濡らし、ユリウ... -
EL3
植えた獣を思わせるような唸り声。 ユリウスは、剣の柄を握りながら、周囲にいるコボルト達を睨みつけた。 背中に深く入り込んだ痛みを抑えながら、攻撃態勢を構えた。 「ガウッ!」 二匹のコボルトが一斉にユリウスに飛び掛った。 ユリウスは落ち着いてねらいを定め、剣を振り下ろした。 「はぁっ!」 気迫の入った声で、二匹のコボルトを切り捨てる。 二匹のコボルトは、儚い声で苦しみを味わう。ユリウスの刃には、その二匹の血がべっとりとついている。 それを見たほかのコボルト達は、ユリウスが強持てに見えたのか、森の奥へと群れて逃げ去った。 ユリウスは、コボルト達が見えなくなるまでずっと剣を構えていた。 やがて、コボルトが一匹も見当たらなくなると、彼は自分の剣をさやに収めた。 そして、脱力感を感じると、ひざをがくっと地につけ、前に... -
EL2
...隠されていた。 ユリウスといわれた少年は、コボルト達のほうに剣を構えて振り返った。 コボルトは、威嚇するように牙をむき出して唸り、じりじりとユリウスに近づいた。 ユリウスはそれに対抗するかのようにキッとコボルト達を睨みつけた。 「イヴ…さがってろ。」 ユリウスはイヴにそうささやいた。イヴは一歩後ろに下がり、心配そうにユリウスを見た。 Next -
EL1
「ユリウスッ!よけてッ!!」 一人の少女の叫び声が、しんと静まっていた森の中でこだまする。 その声に少年がしゃがみこんだ。それと同時に少年の頭の上を獣の陰が通り過ぎた。 少年は小さく舌打ちすると、銀に光る剣の柄を握って構えた。 少年の目の前には数匹のコボルト、いわゆる人食い狼。 奴らは数ヶ月なにも食べていないようで、肋骨がくっきりと浮かび上がるまでに見えている。 やわらかい肉を目の前に、コボルト達はゆだれを垂らしながら口を大きく上げ、息を荒げていた。 一匹のコボルトが少年に襲いかかった。少年は身をかわし、コボルトを斬りつけようとした。 しかし、コボルトのほうもすばやく、その刃をなんなく避けた。 するともう一匹のコボルトが、タイミングよく少年の背後を襲った。 「くっ…。」 少年は片目を瞑りながら振り返り、襲ってきたコボル... - @wiki全体から「ユリウス」で調べる