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魔女たちのお茶会 ◆QNxvmG91pc


学園を巡回していた警備員は大きく欠伸をした。
現在の時刻は深夜を回る。
侵入者がいないか今日も見回りを徹底している。
しかし、見回るのは正直個人情報を保管してある職員室、事務室周辺ばかりだった。
上から侵入するにしても、目的と言うのはソレしかないのではないか。
警備員も理解していながら仕方なしに教室しかない校舎の三階へ到着していた。

その時、視界を隅で何かが輝く。
懐中電灯が光らせたものとは思えなかった。
警備員が発見した光というのは、機械的な輝きではなく、さらにはゆらゆらと生物のように揺れ動いている。
冷や汗を浮かべながら、ゆっくりとソレに近付いて見た。
警備員の姿は、彼の持つ懐中電灯の光で気付くはず。それでも光は微動だにしない。
この時点で、何者かが持つ明かりである可能性は消えた。

光の動きはまるで蝶のようだった。
蛍? いいや、そんな馬鹿な。たとえ蛍だとしても季節に似合わない。
だが、夜中に発光する生物は蛍のように存在するのだから、そういう生物だとすれば納得できた。

それでも、それでも確認しなくては。
不思議な使命感を覚えた警備員は、いよいよソレの目前まで接近してみた。

やはり――蝶だった。
黄金に輝く蝶。こんな蝶は始めて見る。蛍光塗料でも塗られた蝶なのだろうか?
だが、美しい蝶だった。本当に黄金の光を纏ったかのような輝きを続けていた。
違う。これは決して塗料の類ではない! 正真正銘、黄金の蝶なのだ!!
世紀の大発見ではないだろうか!?

ふと、警備員はある噂話を思い出す。
近頃、生徒の間で流行っている噂話である。

『黄金の魔女』の噂話。

千年を生きた魔女。
ある資産家に大量の黄金を授けた魔女。
この町で起こる不可思議な現象の全ての元凶。
猟奇殺人を起こした残玉非道な魔女。

そして、彼女が出現する前触れとして『黄金の蝶』が現れるというのだ。
はは、まさかと警備員は笑っていたが、ぼんやりとした光が見える。それは廊下の一番奥。
図書館から数多の光が漏れている。
警備員は息を飲む。その光は全てが黄金の蝶であったからだ。
図書館で女性の笑い声が響き渡った。
黄金の蝶が群れをなして警備員へ向かってくるのに、彼は恐怖を覚える。
光によって生み出された影でおぞましい魔女の姿を見て、ただ逃亡へ勤しむばかりであった。



「ふむ、順調だ。勘のいい奴は気付くであろうが、どう動くか見物だなぁ? くっくっくっ!」

噂される黄金の魔女・ベアトリーチェ。
聖杯戦争においては『キャスター』と称されるサーヴァントが笑う。
キャスターが図書館の鍵を開けるなど、造作もないことであった。
しかし、厳重に施錠した図書館の中で人間を嘲笑する魔女が実在するならば
いかなる場所へ逃げ込もうとも魔女からは逃れられぬという恐怖を味わうこととなる。

それと、魔女が出現したのが学園なのだ。
たちまち噂は広がるだろう。
そして――この噂はサーヴァントの所業だと、聖杯関係者は気付くはずだ。

「うーむ、これも中々……はぁ、一晩で読み切れないぞ」

キャスターのマスターである緑の魔女。
少女の名はジークリンデ・サリヴァン。
難しい文献に目を通しているが、彼女にとっては絵本のようにスラスラと読めてしまうらしい。
これも魔女であるからと彼女は言うが、実際は彼女の知力が優れているのが答えである。

キャスターが提案した。

「ならば、持って行ってしまえばいい」
「それは悪い気がする。また、ここに来るのは駄目なのか?」
「何、面倒なだけよ。それに本がなくなってしまったことも妾の仕業にしておく方が都合がよくてな」
「そうか。すまない、ベアトリーチェ卿……おっと、ここではキャスターだったか」
「誰も見ておらぬ内は問題ない。案ずるがいい、サリヴァン卿」

幾つかの書物を魔法でかき消す。正しくは、時空間魔法で一時的に転移させたのだ。
それからは、不気味にそれでいて不可思議に、図書館にある本という本を魔法で動かし
机の上に何かのオブジェのように山を組み立てて行く。
まるで子供が荒らし、馬鹿馬鹿しいほど無茶苦茶にしておきながらも、薄気味悪い本のオブジェは
見た人間を圧倒させること間違いないだろう。

サリヴァンはそれを眺めるだけでも楽しそうだった。
キャスターが問う。

「して、サリヴァン卿。聖杯に願う望みは決まったか?」
「ああ」
「件の人狼が求める瘴気とやらか」

否とサリヴァンが首を振る。

「『緑の魔女』の名にかけて究極魔法はボクの手で完成させる!」
「ほう! その覚悟はよし。流石は小さな魔女の一人だ」
「いいや、ボクなどまだ未熟だ。杖の一振りで物は浮かせられないし、使い魔を使役すらできない」

サリヴァンが落ち込むのに、キャスターは告げる。

「……ハッキリ言ってしまうが。サリヴァン卿の魔力は、魔女としては乏しいものだ」
「仕方のないことだと思う。先代から受け継がれた魔女の血が薄れてしまっているんだ……」
「それは違うぞ、サリヴァン卿」
「――どういうことだ?」
「魔女というのは人間にその存在を認め、屈服させることで力を身につける存在だ。
 魔力の低下は、サリヴァン卿のいる閉鎖された村が原因と言えよう」
「まさか! 先代以降力が弱まったのは、それが原因……!?」
「くっくっくっ、箱猫と同じ原理を先代は考えたようだが甘い甘い。
 逃げては何も始まらぬ。人間を恐れるのではない、人間こそ我らを恐れるべきなのだ!!」

嘲笑するキャスター。
サリヴァンは、キャスターから様々な話を聞かされた。
有限の魔女・ワルギリアの話。
奇跡の魔女・ベルンカステルの話。
絶対の魔女・ラムダデルタの話。
サリヴァンの知らぬ世界で、サリヴァンの知らぬ魔女たちが実在しているのだ。
それを知ったサリヴァンはより一層、外の世界への興味が湧く。


先代は人間からの迫害から逃れる為、人狼による閉鎖された空間を作った。
だが……それは間違いだったのか……!
人間から逃げ続けるだけでは、そうだ。何も変わらない!
人狼が求める究極魔法を完成させ、外の世界へ……!!


「ベアトリーチェ卿、ボクは皆と外の世界へ出る! そして、それを聖杯に願う!!」
「くっくくくく! そうでなくては!! 全ての人間を『魔女』の力で屈服させようぞ!!」

【クラス】キャスター
【真名】ベアトリーチェ@うみねこのなく頃に
【属性】混沌・悪

【パラメーター】
筋力:E 耐久:E 敏捷:E 魔力:E 幸運:E 宝具:E-


【クラス別スキル】
陣地作成:D
 様々な人間に『魔女』の存在を信じるよう噂話を広げる。
 大人を信じ込ませるのは容易ではないが、子供ならば簡単に信じてしまう。

道具作成:E
 お菓子や黄金の蝶など些細なものから、神秘性の帯びた塔や武器を作成する。

【保有スキル】
魔法(偽):A
 基礎的な魔法を一通り修得していることを表す。

使い魔(家具):E
 六軒島にいたとされる親族と使用人。
 黒山羊の頭の獣頭人身、煉獄の七姉妹、ロノウェ、ガァプを召喚できる。
 前述はNPC程度の存在で、後述はE-程度のステータスを持つサーヴァントである。


【宝具】
『黄金の魔女の心臓』(クレル・ヴォーブ・ベルナルドゥス)
ランク:E- 種別:対人(自身) レンジ:- 最大補足:∞
ベアトリーチェは魔女を信じぬ者、魔法を信じぬの者の前では無力。
魔法を使う事はおろか、姿を現す事すら叶わない。
故に、それが適応されるマスターあるいはサーヴァントがベアトリーチェを捉える事は不可能。
彼らに対しては気配遮断:EXとして効果を発揮する。

ただし、魔女を信じる者、魔法を信じる者の前では爆発的な能力を発揮させる。
異名通りの『無限の魔女』として、何度でも蘇り、殺した者を何度も蘇らせ
そうして無限に弄り続ける。彼女の機嫌が済むまで無限に。
この効果を発揮すると魔力の上限はほぼなく、文字通り無限の魔力で相手を圧倒させる。
魔女を信じる者が多く存在するほど、ベアトリーチェの力は強力になる。

【weapon】
煙管……ベアトリーチェにとっては杖代わりのもの

【サーヴァントとしての願い】
小さな魔女の為に協力する
個人的な願いならば魔女の存在を全人類に認めさせる

【人物背景】
黄金の魔女なんてどこにも“い”ない。




【マスター】
ジークリンデ・サリヴァン@黒執事

【マスターとしての願い】
村の皆と外の世界へ

【能力】
日常会話ができる程度の英語を一日で会得するほどの天才児。
彼女はそれを魔女であるから可能なのだと思い込んでいる。

緑の魔女の当主として歩けないよう、足を潰され、纏足を履いている。

膨大な魔術の知識を持っているが、それは魔術でも何でもない
ただの化学である。
彼女は『究極魔法』という最悪の化学兵器を作ろうとしている。
彼女はそれを知らない。


【人物背景】
緑の魔女なんてどこにも“い”ない。

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最終更新:2015年04月14日 16:48