桐間紗路&キャスター ◆tHX1a.clL.
明らかな『異常』だ。
その場所を見ながら少女はその現象をそう感じ取った。
目の前にあるのはなんだ。
超大型の遊園地だ。
親子連れが、家族連れが、平日だというのに皆笑顔で遊び呆けている。
そこまではまだいい。
それだけならまだ正常だ。
だが、と手元の地図とその場所を見比べる。
『ない』のだ。
この場所には、遊園地など。
遊園地だけではない、ここの周囲1エリア分はそもそも建物が立っていないはずの場所だ。
そこに、ギンギンにきらめく遊園地が建ち、ご丁寧に送迎の電車まで開通している。
十分すぎるほどの異常だ。
少女にはその異常の原因が分かっていた。
奥に控える西洋の城をかたどったモニュメント。
そこから感じる強大な魔力。
遊園地全体を覆っている微量な魔力。
この遊園地は、おそらくキャスターのクラスのサーヴァントが何らかの目的から作成した『陣地』だ。
ぐっと拳を握りしめる。
彼女がその陣地と向かい合った理由は。
人々をたぶらかして何かを為そうとするこの陣地を、彼女の義憤が許せなかったから。
人々を守る。
彼女の心にあるのはそんな誇り高い勇気。
その勇気の名のもとに、キャスターを打倒し陣地を破壊する。
勝算はあった。
少女には近接戦闘に優れたバーサーカーが居る。
それに自分の魔力量はそれなりに多い、長時間の戦闘にも耐えられる。
遠距離魔術には覚えはないが、近距離まで一気に近寄れば巻けるはずがない。
少女は入り口で入場料を支払い、一歩踏み込む。
敵キャスターの陣地である『ハレルヤランド』へ。
◆
こんなこと望んでない。
こんなこと望むはずがない。
遊園地のキャスターのマスターである桐間紗路(シャロ)は泣きそうになるのを堪えながらバイト先である『フルール・ド・ラパン』への道を急いだ。
◆
聖杯戦争に呼ばれる前日。
仲良しな五人組で市外のアトラクションプールに行った日。
シャロだけは『フルール・ド・ラパン』でのアルバイトが入っていたため、先にお別れとなった。
市外から市内へ帰るためのバスに乗り込み。
とろとろとした心地良い疲れに身を溶かす中で、夢見心地にこう思った。
ああ、なんで私はお金持ちじゃないんだろう。
お金持ちだったら、バイトのために途中で帰ることもなかったのに。
お金持ちだったら、もっと天々座理世(リゼ)先輩と一緒に入られたのに。
お金持ちだったら、リゼ先輩と釣り合う人間だったかもしれないのに。
確かに彼女は願った。
ああ、お金持ちになりたいなぁ……と。
バスを降りて家路を急ぐ間、言いようのない違和感に襲われた。
野良うさぎが居ない。
いつもならこの道には数え切れないほどの野良うさぎが居たはずだが、今日は居ない。
そんな日もあるか、と割り切ろうとする彼女の意志とは裏腹に違和感はどんどん大きくなっていく。
こんなに無骨な街並みだっただろうか。
こんなに殺風景な景色だっただろうか。
こんなに活気のない通りだっただろうか。
一つ、一つと彼女の記憶の扉をこじ開け。
そして最後に目にした光景で違和感はピークに達する。
自身の家が変わっている。
あのおんぼろ屋敷が、庭付きのきれいな一戸建てに。
「確かに願ったな」
声が聞こえる。
振り向くと、そこには金色の鎧を来た大男が立っていた。
「『金が欲しい』と、聖杯に……この私に対して」
あわあわと慌てふためくシャロを、札束で作った遥かな高みから見下ろす男。
彼こそが少女のサーヴァント。
魔術師のクラス、キャスターで召喚された英霊。
名を『ハレクラニ』と言った。
◆
『聞こえるか、マスター』
涙目のシャロに念話が飛んでくる。
件の金ぴか鎧の大男、キャスターから。
何事かと耳をすませば、キャスターはえらく上機嫌にこう答えた。
『よかったな、これで生き残る可能性が増えたぞ』
「ど、どういう意味……?」
キャスターが鼻で笑い、まるで営業利益を報告するようにそっけなくこう続ける。
『マスターで
ある少女を一人、殺した』と。
衝撃的な事実に、思わず息を呑む。
生まれた沈黙を、キャスターの高笑いが切り裂く。
『ハーッハッハッハッハ!!!! どうした、怖気づいたか?
これが金を得るということだ! これがキサマの望んだ願いだ! キサマが呼び出したサーヴァントだ!!
安心しろ、約束通りキサマを世界一の大金持ちにしてやる!!!』
聖杯に願うまでもなく、な。と付け加え。
そのまままた、高笑いをしながら念話が切れる。
と同時に、『フルール・ド・ラパン』に向かっていたシャロの脚が止まる。
もう限界だった。
キャスターの人格、聖杯戦争という状況、自身を取り巻く環境、その全てが受け入れられなくなっていた。
膝から崩れ落ち、大粒の涙をこぼす。
脳裏に描くのは、あの日の思い出。
ココア、チノ、リゼ、千夜。仲の良い友達たちとの楽しい日々。
たった一度の愚かな願いで手元から離れていってしまった幸せたち。
逃げたい。
でも逃げられない。
がんじがらめの金で作られた蟻地獄。
そこで必死にもがきながら、シャロは心の底から願っていた。
「……誰か」
「誰か助けてぇ……誰か、誰かぁ……!」
お金なんていらない。
お金持ちになんかならなくていい。
だから、ハレクラニを止めてほしいと。
あの穏やかな日常に返して欲しいと。
そんなもう叶わない願いを、何度も、何度も、泣きながら願い続けていた。
【クラス】
キャスター
【真名】
ハレクラニ@ボボボーボ・ボーボボ
【パラメーター】
筋力:D 耐力:B 敏捷:C 魔力:C(財力:A) 幸運:A 宝具:E
【属性】
中立・悪
【クラススキル】
陣地作成:E
自身の陣地として『工房』を作成することが出来る。
彼の陣地とは彼の有したテーマパーク『ハレルヤランド』である。
D-4地区とは別の地区にある遊園地自体が陣地であり、彼の魔力の根源であり魔術の基である『財産』を生み出す場所である。
一般人が寄ってきて金を落とさなければならないという性質を持つ特殊な陣地であるため一般人でも目視・接触が可能である。
陣地自体が人を引き寄せ楽しませる魔力を持っているが、(客が逃げてはいけないので)他者を傷つけるような魔力の使用は出来ない。
遠距離からでも素質のあるものが見れば『陣地である』と見ぬくことが出来る。
道具生成:E
道具を生成出来る。
スキル:ゴージャス真拳発動時に財産に対して好きなように鋳造・彫像や宝石加工を行える。
【保有スキル】
ゴージャス真拳:A
選ばれた者のみが使える力、ゴージャスな物を用いて摩訶不思議な現象を起こす技。
このスキルを持つ者が自身の財産たる金銀財宝を操る場合に限りその攻撃は財産の使用量に応じて威力が上昇し、多額の金をつぎ込めば大魔法に匹敵する攻撃を放てる。
そして、このスキルが存在する限り『ゴージャス真拳』に分類される宝具を魔力ではなく財産の量を基準とした特殊ステータス・財力を消費して攻撃を行える。
なお、この聖杯戦争においては魔術と同等の力であるとし、対魔力で威力を軽減できるものとする。
黄金律:A
男は世界一金を欲し、世界は男に応え続けた。
彼が望む限り、彼の懐に財産は増え続ける。
例え無一文になろうとこのスキルを失わない限り、彼の宝物庫が空になることはない。
そしてこのスキルが陣地に対して間接的に『人を引きつける魅力』を与えている。
金は天下の回り物:-
バッドスキル。
彼が一度消費した財産は消失し、二度と使用することはできない。
これを利用することによって宝具『マネートラップ』で硬貨にしたマスターをそのものずばり消滅させることも可能である。
硬貨にしたサーヴァントにこのスキルが働いた場合実体の消失=霊体化(=身動きが取れる=逆説的に硬貨化が解除された)と判断され、宝具『マネートラップ』が解除されてしまう。
なお、消失した金は粒子レベルで分解されたあとピン札やキラ硬貨に生まれ変わり誰かの財布に帰っていく。エコロジー。
強者の誇り:-
気高い逸話からくる、実質的バッドスキル。
キャスターは自身に歯向かわない者に対して無闇矢鱈に攻撃を行わない。
ただし、相手がサーヴァントもしくはハジケリストである場合は別である。
【宝具】
『貴様らの値打ちを見せてみろ(マネートラップ)』
ランク:E 種別:対人 レンジ:1-20 最大捕捉:5
ゴージャス真拳の能力の一つ。
大金をばら撒く。この大金には抗いがたい魔力があり、俗物であればあるほどこの金を手にとってしまう。
金を手にとってしまった者、キャスターの意思で操られた金に包まれた者は価値相応の硬貨(最高500円玉)に変えられ、その姿のまま20ターン過ごさなければならない。ターン数は対魔力などで減少可能。
硬貨状態での攻撃は基本的に不可能。宝具も発動出来ず、身動きも取れない。ただし自動的に発動する宝具などは無効化できない。
例外としてギャグマンガのキャラの場合不思議な力が働いて1ターンくらいで戻ることが可能である。
陣地の外で使うと金の魅力が激減してしまい、マスターやサーヴァントが飛びつきにくくなるという欠点を持つ。
『天の光は全て金(フィナーレ・オブ・100まんおく)』
ランク:E 種別:対城 レンジ:99 最大捕捉:999
ゴージャス真拳の能力の一つ。
空を覆い尽くす程の金の河。彼の財産の大半を解放し、蹂躙を開始する。
文字通り金に溺れさせ押しつぶす、一つ一つが大魔法級の威力を有した金の滝である。
単純だがその範囲の広さと物量から対城宝具と化した。
財力が大幅に減るため連発は不可能。
『終わらない大恐慌の嵐(デスマネースゴロク)』
ランク:E 種別:固有結界 レンジ:99 最大捕捉:999
ゴージャス真拳の能力の一つ。令呪ニ画を用いて使用が可能。
固有結界を展開して自身に敵対する者全てを『デスマネースゴロク』の世界に引きずり込む。
この世界では原則としてサイコロを振って出た目の数だけ進み、魂から資金をむしり取られる。
資金をむしり取られると次第に魂と身体がダイヤモンド化していき、その人物の価値を上回る金額を搾り取られた時点で完全にダイヤモンドと化して人間・サーヴァントではなくキャスターの財産の一部になり消滅する。
この世界ではキャスターに攻撃することは出来ず、攻撃した場合罰金50億が魂からむしり取られる。
スゴロクというがこの宝具に『あがり』はなく、仮にゴールに到達しても『第二部に続く』の看板が出てきてすぐに第二部スゴロクが開始する。
一度発動した場合、この固有結界の力を上回る固有結界で塗り替えるかマスターを殺す以外に発動をキャンセルすることは出来ない。
もしかしたら
「バゴアバゴア! 私はもとより硬度10のダイヤモンド・ボディに変換可能! 私の身体をダイヤモンドに変えるなど自ら死ににいくようなものよぉ~~~!!!」
と言うセイバーが居るかもしれないが、この宝具に対してその理論は通用しない。
この固有結界による『ダイヤモンド化』は身体の一部をそっくりそのまま同程度のダイヤモンドに挿げ替える能力である。
腕がダイヤモンドになれば腕は動かせなくなるし、足がダイヤモンドになれば歩けなくなる。マスターならば心臓や肺、頭がダイヤモンドになれば死に至る。
なお、サーヴァントが少しでもダイヤモンド化した場合、その身体は実在鉱物と融合した状態になるため、ダイヤモンド部分を切り落とさない限り霊体化が不可能になる。
【weapon】
硬貨に紙幣、金銀財宝、宝石他ゴージャスなもの。
宝石を射出、コインのナイトで身辺警護、紙幣を水の上に浮かべてその上を歩くなど色々出来る。
ちなみに戦争中実際に売買で使用することも可能。
【人物背景】
ハレルヤランドのオーナー。ゴージャス真拳の使い手。金ぴか鎧のキャスター。
世の中金なのだ。
【マスター】
桐間紗路(シャロ)@ご注文はうさぎですか?
【マスターとしての願い】
お金持ちになりたい(と願っていたせいで呼び出されてしまった)
【能力・技能】
カフェイン酔い
コーヒーを飲むと酔っ払う。チョコレートやお茶では酔っ払わない。
カフェイン含有量にかかわらず、コーヒーでのみ酔っ払う。
ブレンド方法によって酔いが変わるというご都合主義な体質。
【人物背景】
彼女の背景をあえて語るなら、『かつて貧乏であった』というだけで事足りるだろう。
【方針】
戦闘に備えて財産を増やしていくのが急務。
性質上遠目に見ても分かる陣地であるため、対城宝具などが放たれる可能性も考慮して、出来る限りシャロは外出する必要がある。
もしも単身乗り込んでくる参加者が居るならば、マネートラップで迎え撃つ。
攻撃毎に財産がどこどこ減っていくが、節制などと言っていたら負けてしまう。時には浪費も大切。
9:00~22:00は陣地内にNPCが居るので宝具が打たれることはないが、夜は注意が必要。
なお、陣地が破壊されても集めた財産は消えないし、陣地を新たに作ることも可能。
その気になればD-4の既存遊園地を基として陣地に改造することも可能。
シャロの『金持ちになりたい』を直球で叶えてくれるサーヴァント。
ハレクラニ側からは特に積極交戦はせず、ハレルヤランドの中央に位置するメインキャッスル『ハレクラニ城』で金の風呂を楽しみながら敵が来るのを待つばかり。
聖杯が必要かどうかは不明。なんせ寝ていても億単位の金が手に入るのだ。シャロの願いは叶ったも同然だろう。
だが、世の中というものは往々にして願いがかなっても幸せになれるかどうかは別問題なのである。
最終更新:2015年04月20日 22:00