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アルエット&アーチャー  ◆tHX1a.clL.


  ◆ ◆

  小さな頃の小さな記憶。
  『日晴』と書かれた地面の落書き。
  優しそうな父の笑顔。
  座ってこちらを眺める愛犬。
  彼らに囲まれ、屈託のない笑顔を振りまく少女。
  幸せな日々。
  いつまでも続くと思っていた日々。

  それが、少女が見た最後の世界。
  それが、少女が今も夢見ている世界。

  ◆ ◆

  ある日、少女の瞳は何も映さなくなった。
  彼女のくりくりとした瞳が微笑みを称えることもなくなり、ただ来る日も来る日も眩しい過去と涙で曇り続けることとなった。


  別れは唐突だった。
  突然父が居なくなった。ヤッターマン様の元で強制労働をすることになり有無を言う間もなく連行された。
  一緒に愛犬も居なくなった。父同様、ヤッターキングダムに連れて行かれた。
  母の居なかった少女は、突然一人ぼっちになってしまった。

  愛するものを急に奪われる、というのはどれほどの衝撃だろうか。
  少なくとも幼い彼女にとってそれは、『両目を潰してしまうほど』の衝撃だった。
  その一件以来、彼女は目が見えなくなった。
  瞳自体になんの変化もない。
  ただ、心が……深く傷ついた心が、今まで当然のように行ってきた『見る』ことを拒むようになった。

  彼女の心は、残酷な世界に耐えられなくなり、瞳を閉ざした。
  そうして少女は、世界と向き合えなくなった。


  でも、少女は幸せだった。
  たとえ目が見えなくても、彼女の中では幸せな世界が続いているから。
  父と愛犬は居なくなってしまったが、帰ってくると決まっているから。
  いつか『天使ちゃん』がふたりとも連れて帰ってきてくれるから。

  その時まで、彼女は幸せな世界で生き続けることを決めた。

  仮に現実では世界中に圧政を敷かれていようと。
  明日を迎えるのも困難なほどに貧窮していようとも。

  目を閉じ、耳を塞ぎ、幸せな世界だけを信じて生き続けていた。


  少女の名は『アルエット』と言った。

  ◆ ◆


「ふん、ふふんふん」

  どこかで聞いた歌を口ずさむ。
  思い出せないけど、それはきっと素敵な歌。

「ふん、ふふんふん」

  歌に合わせて壁に手をついて廊下を歩く。
  家具や扉の大体の位置は覚えているけど、それでも伝いながらではないと歩けない。
  暮らしていて少し不便は感じるけれど、慣れればそう問題ない。
  動き回るなら別だろうが、特に動く理由が彼女にはない。
  料理や洗濯をしているなら別だろうが、そういった『アルエットにとって危ないこと』は近所に住む幼なじみのガリナが助けてくれる。
  お昼は『学校』で会えないけど、朝も夜もご飯を作ってくれるし、洗濯もしてくれるし、お話の相手もしてくれる。

  ただ、ガリナが『学校』のお昼の間は、何もできることがないし、とっても暇だった。
  だから彼女は、お昼はいつも暇つぶしをしながらいつか来る『天使』を待ちながら過ごしていた。
  暇つぶしと言っても、『この世界では』焚き木を拾う必要もない。
  だから大半は自室で過ごし、待つのに飽きたら庭に出て、花を愛でたり(美しさは分からないが香りはわかる)、水を撒いたり(といっても何かを栽培しているわけではないが)している。

  今日もこれから少し庭に出てみようと思った。
  今朝、窓を開けるとうずうずとしている若草の匂いが漂っているような気がした。
  そろそろ春が近いのかもしれない。

「ふん、ふふん、ふんふん、ふん、ふふふん」

  鼻歌交じりに一歩を踏み出し、少しだけ足元を踏み外す。
  ちょっとだけバランスを崩してこけそうになってしまう、と。

「もう、危ないよ!」

  誰かがアルイエットの体を抱きかかえた。
  大きさは彼女の半分か、少し大きいかくらいの、アルエットの世界には居ない新しい『誰か』の感触。
  そろそろと手を伸ばして、触れてみる。

  ぷよぷよとしたほっぺた。
  頭には独特な角のような、しかし柔らかい突起。
  人間に比べて凹凸がなく、のっぺりとした顔。

「あなたはだあれ?」
「もしかしてガッちゃん、小さくなっちゃった?」

  ありえないことだろうが、一応聞いてみる。
  ガリナではない……はずだ。
  ガリナにはこんな角は付いてなかったし、鼻がちゃんと付いてた。
  でも、彼じゃないならどうやって入り込んだのだろう。
  まさか泥棒だろうかとアルイエットが訝しんでいると、小さな侵入者は彼女に『始まり』を告げた。

「僕はアーチャー、お姉ちゃんのサーヴァントさ!」

  『アーチャー』と名乗る小さな少年。
  アルエットの何も映さない瞳が少しだけ大きく見開かれる。

  アーチャーは小さく「ふむむむぅ」と唸ると、こう訂正を入れた。

「……アーチャーってなんかかっこよくないね。やっぱり『ボンバー』って呼んでよ! そっちのほうが僕っぽいし!」

  アーチャー……もとい、『ボンバー』のサーヴァント。
  まるで導火線に火の灯った爆弾のような頭の形をした彼は、人懐こい笑顔を振りまく。
  しかし、その笑顔はアルエットには届かない。

「なあんだ、天使ちゃんじゃないのね。がっかり」

  アルエットは、少し肩をすくめてみせる。
  見るからに『がっかり』といったその様子に、すぐにボンバーが食いついた。

「天使ちゃんって?」

「天使ちゃんは天使ちゃん。私はね、この家で天使ちゃんが来るを待ってるの。
 いつか天使ちゃんが、お父さんと、ワンちゃんを連れて帰ってきてくれるから」

  つらつらと口をついて出るのは、彼女の『世界』の真実。疑いようのない事実。

「へえー、すごいね!! 僕、いろんな人と会ったけど、天使はまだ会ったことないよ!」

「ふふ、すごいでしょう?」

  アルエットの言葉を一切疑わず、きゃっきゃとはしゃぐボンバー。
  その声に、今度は優しい微笑みを返す。

「あ、ごめんね」

  すると突然ボンバーが謝った。

「お庭に出る所だったんでしょ。ごめんね、邪魔だよね」

「あ、いいのよ。こけかけたところ、助けてもらっちゃったしね」

  ぺた、ぺたと何かが響く。
  聞きなれない音だけど、ボンバーの足音らしい。ボンバーが避けてくれたみたいだ。
  でも、すぐには庭に出れない。
  こけかけたせいで、少し場所がわからなくなってしまっている。
  手さぐりで場所を探していると、ボンバーが不思議そうに尋ねてきた。

「お姉ちゃん……もしかして、目が悪いの?」

  そう聞かれ、アルイエットはバツの悪そうな顔をする。
  ボンバーは特に気にした様子もなくこう切り出した。

「そっかぁ、じゃあはい!」

  壁についていたアルエットの右手に、きゅ、と小さな手のひらの感触が伝わってくる。
  アルエットには見えないが、ボンバーが彼女の手を取ったのだ。
  そして手を取ったボンバーは、彼女の手を優しく引いて導く。

「こうして手をつないで、僕が前を歩いてれば、お姉ちゃんはなんにも心配ないでしょ!」

  自信満々な言葉。
  眼が見えない彼女にも胸を張っている様がありありと見えるようだった。
  アルエットはその無邪気な優しさに顔を綻ばせる。

「……ふふふ、ありがとう。じゃあお願いするわね、ボンバーちゃん」

「うん!」

  ぺた、ぺた、という足音が響く。
  廊下を歩いているとも草の上を歩いているとも思えない、独特な足音。

  ボンバーは、とてもやさしい『人』だった。
  ボンバーは、アルエットの手を引きながら色々と話してくれる。
  外に出るよ、段差があるけど大丈夫、とか。
  あっちには何色の花の蕾があるよ、とか。
  今空に浮かんでいる雲は、なんだかお芋に似てるんだ、とか。
  そこには大きめの石があるから気をつけてね、とか。

  彼女の世界に、新しい登場人物が現れた。
  人より少し小さくて、ぷにぷにしてる男の子、ボンバー。
  優しい世界の、優しい人の一人。

「ねぇ、ボンバーちゃん。お家に戻りましょう」

「ええ? もういいの?」

「うん。それで、お家の中で、ボンバーちゃんのお話聞かせて。いろんな人と会ったんでしょう?」

「うん、いいよ! ふふん、でも、びっくりしちゃ駄目だよ?
 こう見えても僕、世界を救ったりしてるからね!! すーっごい話もあるからね!!」

「ふふふ、期待してるわね」

  ボンバーに手を引かれ、家の中に戻る。
  彼女の『幸せな世界』に、新たな登場人物と共に引き篭もる。

  ◆ ◆

  ボンバー(アーチャー)・シロボンと出会い。
  彼からいくつかの話を聞き。
  そうして再び床につき、寝るまで。
  彼女は終ぞ、彼と『サーヴァント』というものについて話し合わなかった。
  『聖杯戦争』という事実とは向き合わなかった。

  だって彼女はそうやって見たくないものを見ずに生きてきた。
  苦しい現実を直視しなかった。辛い何かに触れて傷つこうとはしなかった。
  だからこれからも、彼女は目を背け続ける。
  父・ゴロゾウと愛犬ワンの死。
  本物のガリナがこの地に居ない事実。
  『願い』。
  『サーヴァント』。
  『聖杯戦争』。
  そんな、『彼女の楽園を脅かす全て』から。


  いや、目を背けるというのは正しくない。


  彼女は、彼女の理想の中で生き続ける。
  何も映さぬ瞳の奥に宿る、輝かしい理想郷の中で。
  これまでも、これからも。
  やがて目覚めるその日まで。



  ◇


  ひばりは舞い上がる、空高く。
  目覚めの春はまだ遠い。


  ◇

【クラス】
ボンバー(アーチャー)

【真名】
シロボン@ボンバーマンジェッターズ

【パラメーター】
筋力:E(B+) 耐力:C 敏捷:D 魔力:D 幸運:B 宝具:E

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:D(C)
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
ただし相手が放つ魔法が爆発かプラズマ系統だった場合、何度もぶつけられてそれなりに耐性があるためもう一段階強いものを無効化出来る。

単独行動:C
彼はジェッターズとしての活躍が有名だが、修行などでよく一人で行動をしていた。
また、ジェッターズのメンバーとはぐれる場面も多く、一人での行動を強いられていた。
そしてなにより、彼はただの子どもであるシロボンから一人前のボンバーマンとして立ち上がり、最後まで闘いぬいた。
その逸話から彼は『単独行動』のスキルを得た。
マスター死亡後も24時間は現界可能。

【保有スキル】
ボンバー星人:B
ボンバー星人である。
ボムを生成でき、ボムの生成にかかる魔力を抑え、ボムを投擲武器として使う時に限り筋力:B相当の攻撃が可能である。
ただし姿が一般的な人間のそれではないので姿を見られると(たとえ映像・写真越しだろうと)一発で参加者だとバレる。

ボムの力はボムにあらず:A
ボムの力はボムにあらず、心にあり。
いろいろなものの中に宿る力がボムであり、それを操るのは心次第。
それがアーチャーが兄であるマイティ教えられ、体得したボムの真髄。

アレンジボマー:C
様々な種類のボムが投げられる。
彼は通常のボム、ファイヤーボム、サンダーボム、ウォーターボムの他に風船ボム、コショウボム、ライトボム、花火ボム、アイスボム、焚き火用ボム、キャンディボムなど戦闘に一切役立たないボムを作ることが出来る。
そして上記スキル:ボムの力はボムにあらずと併用することで『狙ったものを狙ったように爆発させるボム』を放つことが出来る。
だが、『狙ったものを狙ったように爆発させるボム』の生成には多大な魔力を要し、一戦闘中の連発は不可能。

ボンバーシュート:A
アーチャーがボムを放つ際に発揮されるスキル。
ボムを放った際速度と距離にそれなりの補正を得て、更に若干の追尾補正を得る。

【宝具】
『燃える心のバーニングボム(バーニングファイヤーボム)』
ランク:E 種別:対人/対固有結界 レンジ:1-50 最大捕捉:1
炎属性のボム、バーニングファイヤーボムを生み出す。
アーチャーの手を離れるまで爆発することはない。
更に通常ボムとは違い筋力をAランクに向上する。炎よりも強い熱で敵を焼きつくす。
範囲はサンライズボムよりも劣るが、単独の敵を討つ場合には有効打となる。
そして、この宝具はフレイムボンバー戦・クレイボンバー戦の逸話により『固有結界破壊』の逸話を持つ。
もしも固有結界を展開している人物がこの宝具を受ければ、固有結界は大爆発を起こして粉々に砕け散る。
また、土属性に対しては威力が向上する。が、水属性に対しては威力が低下する。


『繋がる絆のサンライズボム(サンライズサンダーボム)』
ランク:E 種別:対人/対固有結界 レンジ:1-50 最大捕捉:20
雷属性のボム、サンライズサンダーボムを生み出す。
アーチャーの手を離れるまで爆発することはない。
更に通常ボムとは違い着弾時に炸裂し、周囲に対して雷撃を放つ。
威力はバーニングボムよりも劣るが、多数の敵を討つ場合には有効打となる。
そして、この宝具はマーメイドボンバー戦の逸話により『固有結界破壊』の逸話を持つ。
もしも固有結界を展開している人物がこの宝具を受ければ、固有結界は大爆発を起こして粉々に砕け散る。
また、水属性に対しては威力が向上する。が、土属性に対しては威力が低下する。


『明日へ踏み出すシャイニングボム(シャイニングファイヤーボム)』
ランク:C 種別:対人 レンジ:1-99 最大捕捉:1
バーニングファイヤーボムの強化版、シャイニングファイヤーボムを生み出す。
筋力が一段階向上し、どんな宝具・スキルの効果も貫通してボムをぶつけることができる。
この宝具の発動にはマスターが己の過去を振り返り、その全てを受け入れて一歩を踏み出す必要がある。


【weapon】
ボム。
宝具以外にも武器として生成できる。

【人物背景】
『ボンバーマンジェッターズ』の主人公。
10歳のボンバー星人の少年。
少年であるが、『7つ』のボムスターを得たボンバーマン。
子供らしい優しさ、純粋さを持っている。少々図に乗りやすい。
ラーメン屋で働いていたので炊事・洗濯・掃除はどれもそれなりに出来る。
元々は我儘で自分勝手で手前味噌な性格だったが、精神的に大きく成長したので、我儘を言うことも少なくなった。

あえてカッコ付きで『7つ』と書いているのは、最終回まで見てくれた人なら意味がわかるはず。
分からない人は見て、どうぞ。

【マスター】
アルエット@夜ノヤッターマン

【マスターとしての願い】
???

【能力・技能】
盲目。
精神的な原因からくる盲目。目を開いていても物を見ることはできない。
彼女の世界は真っ暗闇であり、戦闘どころではなく生活にも支障を来たす。
慣れ親しんだ家でも手探りでなければ進めないほど。
唯一、精神的な傷を乗り越えることで見えるようになる。

逃避。
現実から逃げ続けている。
彼女は全ての事柄を理解しているが、目を閉じ、耳をふさいでいる。
心の底ではお父さんもワンちゃんも死んでおり、この世界のガッちゃんは偽物で、天使なんか居ないことを知っている。
だが、それを認めるのはあまりに辛いので、彼女は目を閉じ続けている。
きっと願いも持っているし、聖杯を欲しているが、彼女が自らその事実と向き合うことはない。


【人物背景】
彼女が見ている世界は、きっととても美しい。


【方針】
特になし。
どこともしれない家の中で、お父さん、ワンちゃん、天使ちゃんを待つ。
身の回りのことはボンバーちゃん(シロボン)に手伝ってもらっていつも通りの暮らしを続ける。

アルエットはレパードと出会う前(塞ぎこんでいて世界を見ようとしていない時)参戦なのでシロボンが保護者として先導しなければならないというギャグのような状態。
ガリナ次第でもあるが、平常時はシロボンがこまめに実体化して彼女をサポートしていく必要がある。
(ちなみにこの世界のガリナは両親もおり、普通に学校に通っているNPC。そのため休日以外の日中のサポートは全てシロボンが行う)
単独行動持ちなお陰で魔力消費は問題ないが、スキル:ボンバー星人で他人に見られれば一発で参加者(サーヴァント)だとバレる。

なお、シロボンはアーチャーにしては戦闘性能が悪い。というよりアーチャークラスで言えば最低レベル。
近づかれれば負ける。逆に射程の外から攻撃されても負ける。
更にアルエットは聖杯戦争を見ようとしていないからシロボンが守り続けなければならない。気を抜けばアルエットが殺されて負ける。
ご覧のとおりの原作ジェッターズでは絶対に起こりえなかった超ハードモードである。
戦闘ではスキル:アレンジボマーから繰り出せるいろいろなボムで撹乱し、敵を見つけ次第バーニングもしくはサンライズを放つ。これしかない。
彼の持つ最高戦力シャイニングファイヤーボムだが、これはアルエットが目覚めなければ使えない。
本編でも私の天使ちゃんレパードと幼なじみのガリナの二人がかりでようやくこじ開けられた瞳、ガリナは偽物で、話を聞かず、自分の世界に閉じこもっている現状ではまず不可能だろう。
そして、ある意味最強の『望んだものを望んだように爆発させるボム』だが、これは奥の手。最後の最後まで出し惜しんだほうがいいだろう。

なお、アーチャーがボンバーと名乗るのはランサーがランチャーと呼ばれるようなものである。
エクストラクラスというわけではなく呼び名が変わるだけで性能は普通のアーチャーから特に変化はない。

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最終更新:2015年04月26日 06:02