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エレン&キャスター ◆yy7mpGr1KA


◇ ◇ ◇


「これを聞く頃あなたは怒っているかもしれないけれど……でもこれが最善の手だと思っています」

「あなたは、彼女と闘うべきじゃない。だからあなたは、先に逃げてください」

「逃亡計画を伝えます。ロシア人との接触は3日後の月曜日。小樽市の市内に、清風亭という旅館があるから、そこで待機していてください」

「夜11時にボリスと名乗る男が迎えに来ます。後は、その男の指示に従って」

「わたしも後で清風亭に向かいます。もし…刻限までにわたしが旅館に現れなかったら、その時はわたしは死んだと思ってください」

「どうか悔んだり、自分を責めたりしないでほしい」

「あなたにエレンと呼ばれて以来、わたしの命はあなたを守るために在りました」

「あなたが生き延びてくれるなら、それがわたしが生きた証です」

「……それじゃあ、3日後に」


◇ ◇ ◇

そう、留守番電話に残してきた。
そして武装を整えて玲二の過去の亡霊、3代目のファントムとの闘いに臨む、そのつもりだった。
呼び出された礼拝堂、そこで祈りを奉げていた……そのはずだったのに。
確かにここは学校付の、礼拝堂だ。
しかし呼び出された、玲二と共に1年近く過ごした学園のではない。
通いなれた地とは異なる装飾に、なにより日本という国では感じられなかった昏く、黒い戦場の空気。
そして刻まれた知識、与えられたサーヴァント。
臨むはずだった闘争とは違う『聖杯戦争』という事象に、迷い続けている。
この地に来て幾日か経つが、学園に通い、終わるとここで祈りを奉げる毎日。

「今日も礼拝かい?」
「神父様」
「キャスターで構わない。今のわたしは君のサーヴァントなのだから」

召喚されたのは魔術師のクラスのサーヴァント。
生前は教戒師も務めたという神父様だった。
あまりに突拍子もない状況になってしまったが、それでもこの神父様に会えたことは感謝している。
わたしの罪はあまりに膨大で、いつか神様に直接懺悔したいと考えていた。
けれども英霊にまでなった神父様なら、告悔を聞いてもらえると思い、わたしの罪の全てを告げた。
数多の殺人、大切な人を謀ったこと、ついには憎しみに胸を焦がし己が意思で人を殺めんとしたこと。

「それは容易く赦されることではないでしょう……しかし贖罪の道はある」

告白を聞いた神父様はそう答えられた。
それは具体的にどんな方法なのですか、と問うていた。

「『天国』に行くために、無償の愛を積み重ねる事……その一歩として私に協力してもらいたい」


「『聖なる杯』は主の遺したもうた『天国』への道標だ。
 我が友と夢見た『天国』……そのために私は何としても聖杯を手にしなければならない」

……それはつまり、聖杯をとるために人を殺めるということでしょうか。

「言葉を取り繕わなければ、そうだ。
 我らの主は、人類すべての罪を背負われ昇天なされた。
 私もまた…というのはあまりに傲慢だが、人々の幸福のためならば罪を背負い磔刑になる覚悟はできている。
 それに、聖杯を『天国』の素晴らしさも何も理解できないような、愚か者に渡すわけにはいかない」

あまりに堂々としたお言葉に憧憬を覚えた。
わたしには、顔も知らない誰かのためにも、自らのためにも人を殺める強さはないから。
この神父様も、玲二に近似した――けれど全く異なる――強さを持っている。
そんなわたしの迷いを見抜いたか、さらに言葉をかけてくださった。

「人が人に親切にするのは、全て見返りを期待してのものだ。
 誰かに親切にするのは、自分も親切にしてもらうためであり、つきつめれば無償の愛というのはない。
 無償の愛とは、『天国』へ行くための見返りなのだから。
 君も、見返りを期待していい。君が『天国』に届かずとも、『天国』への扉が開けば他の誰かを救済することはできるだろう。
 君は救いたい誰かはいないか?隣人に無償の愛を届けようとは思わないかい?」

……少し考える時間を頂けないでしょうか、と呟くように返した。
玲二のことを考えて、闘う決意をしたはずなのに。
想定と違う戦場に来た途端に殺意は揺らいでしまった。

「もちろんいいとも。まだ本格的な開幕には猶予があるようだ。
 ゆっくりと考えるといい。
 ……願わくば、君の帰りを待つ隣人と、全ての人々に幸ある決断を」


そう言われて、幾日も悩み続けて。
救いと答えを求めて幾日も祈り続けて。
それでも、やっぱり銃を握るのはわたし一人ではできないと悟った。

「神父さ…キャスター」
「なにかな?」
「わたしは…わたしには誰かを殺せる意思がありません。
 もし、そんなわたしの力が必要だとおっしゃるならば……命じてください。
 『天国』に至るために、愛する隣人のために、聖杯を手にするのに最善を尽くせと」

臆病で、卑怯な言葉だ。
それでも縋るもののない今のわたしは、あまりに弱かった。
そんな罪人の言葉にもキャスターは微笑んで言葉を返してくれた。

「わたしは、君のサーヴァントだ。
 わたしが積み重ねた善行は君のものであり、君の犯した罪はわたしが背負うべきものだ。
 改めて頼もう。聖杯を手にし、『天国』へ至るために君の力を貸してくれ」

暖かい言葉。
それを受けて心中に引き金を絞るための冷たいものが満ちる。
これなら、殺せる。

「わかりました。それでは、行きましょうキャスター」

玲二を守るために準備した武装を整え、新たな戦場に挑む決意を固める。
キャスターと、玲二のために。今再びわたしはファントムに、一つの凶器になろう。

(玲二…あなたは悲しむかもしれないけど、わたしは戦います。
 あなたのいない無限の地獄で、それでもあなたが天国に至るためならばわたしは堕ちることも厭いません)

これが地獄を巡る贖罪なら、もうそれも恐れない。



その眼を虚無で満たしたエレンを、そのサーヴァント、エンリコ・プッチはじっと眺めていた。

(そうだ。お前は悪人ではない。だが数多の殺人を重ねた重罪人ではあるのだ。
 必要となれば天国へ至るための贄となってもらうぞ)

彼はすでに町のNPCを『天国』に至るための生贄としていた。
しかしその力は微々たるもので、天国への階段を作り出すには程遠かった。
生前の力、それを一端とはいえ振るうにはマスターの協力か……相応の犠牲が必要だろう。

(待っていてくれ、DIO。
 今度こそ君と二人、共に夢見た世界へ旅立とうッ!)

【クラス】
キャスター

【真名】
エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険

【パラメーター】
筋力E 耐久D 敏捷E 魔力B 幸運A 宝具EX

【属性】
中立・悪

【クラススキル】
陣地作成:D+→D++→EX
宝具によって獲得しているクラススキル。そのため宝具が変質するとランクも変動する。
D+なら中に存在するものを幻覚の中に取り込みゆっくり融かす、まるで『蛇の胃袋』のような空間を作り出す。そこに長時間存在した場合肉体が融け、あとにはDISCだけが残る。
幻覚の中で違和感を覚え、そこに外部からの刺激が加われば幻覚から目覚めることができる。
D++なら自身の周囲3kmを重力の反転した『天国への階段』にする。
EXなら宇宙全てを固有結界『天国』へと変えていくが、サーヴァントである今の状態では十全な力を発揮することはできない。

道具作成:B→―
宝具によって獲得しているクラススキル。そのため宝具が変質すると失われてしまう。
Bランクの場合DISCを作成できる。
人の記憶を保管しておく記憶DISCと能力を封じるスタンドDISC、空っぽのDISCを作成可能。
記憶DISCはただ記憶を封じるだけでなく、感覚だけを封じることで視覚や聴覚などの五感も抜き取ることが可能。
スタンドDISCもスタンドだけでなく魔術回路や魔術刻印、ものによってはスキルや宝具を抜き取ることも可能。

【保有スキル】
信仰の加護:A
一つの宗教観に殉じた者が持つスキル。加護とはいうが、最高存在からの恩恵はない。
あるのは信心から生まれる、自己の精神・肉体の絶対性のみである。

星の救済者:EX
人類史におけるターニングポイントとなった宗教家に与えられる特殊スキル。
あらゆる試練を“克服不可能”なまま“克服可能”なものとする。
彼は全宇宙の存在を『天国』に導き、また“星の痣の一族との因縁”を乗り越えた逸話を持つ。

引力:A
全てのものは引力を持つ(万有引力)。
スタンド使いは引かれあう。
エンリコ・プッチは特に数奇な運命を引き寄せる星の下に生まれた。
友を、敵を、試練を、啓示を、チャンスを、様々なものを引き寄せる。
幸運判定に成功した場合窮地を救う何かを手にすることができる。
ただしプッチ以外の誰かに契機を引き寄せてしまうこともある。

話術:D+
言論にて人を動かせる才。
交渉から詐略・口論まで幅広く有利な補正が与えられる。
宗教教戒師としての経験から罪悪感を抱くものや信徒に対しては上昇補正がかかる。
また素数を数えて落ち着くよう自分に言い聞かせることで同ランク以下の精神干渉を軽減することができる。

【宝具】
『知恵の実を刈り取る白い蛇(ホワイトスネイク)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:0~10 最大捕捉:1人
『矢』に貫かれ獲得したスタンド。
ステータスは筋力C- 耐久:D- 敏捷:C- に相当する。遠隔操作型であり、本体から離れるとステータスが低下する。
本体が戦闘経験豊富とは言い難いため同格以上の相手にスペックで有利に立ち回るのは極めて難しい。能力の活用がカギとなる。

D+ランクの陣地作成スキルとBランクの道具作成スキルを獲得する。
陣地内に一度でも取り込んだ、またはスタンドヴィジョンか本体に触れてる者からDISCを取り出すことが可能。
空のDISCを作成し、命令を書き込むことはこのスタンドのみが可能であり、それにより洗脳まがいの行為が可能となる。
また直接脳に腕を差し込み直接命令を書き込むことも出来る。
基本的にはプッチの操作下におかれるが、スタンド自体にも自意識と言語能力を有する。
後述の宝具と融合し、多くの魔力を注ぐとスタンドは進化する。
通常ならば三日は進化に必要だが、令呪を用いれば短時間で進化できる。

『世界樹を育む魔人の遺体(グリーン・グリーン・グラス・オブ・ホーム)』
ランク:E+++ 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:36人
神の名を冠する吸血鬼の骨。
力ある者の魂を捧げ、14の言葉を唱えた者を『遺体』は友と認め、一つになる。
一つになるとその体質も獲得し、治癒能力が向上。首筋に星形の痣が浮かび、同じく痣を持つものの居場所がなんとなくわかるようになる。
捧げる魂の数はその魂の有するパワーによって異なる。
NPCでは何百集めても足しにはならない。
殺人以上の重罪を犯した者の魂で36人分。
サーヴァントならば人間より魂の比重がそれより大きいため少なく済む。

余談だが、聖人とは死後に二度奇跡を起こしたもの。
この骨の持ち主は人間をやめたのちに『100年の沈黙からの復活』『時間を止める』という奇跡を成している、魔人にして聖人。

『世界と天国の間を漂う新月(C-MOON)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:0~50 最大捕捉:1人
ホワイトスネイクがグリーン・グリーン・グラス・オブ・ホームと融合・進化したスタンド。
ステータスは筋力:E 耐久:C- 敏捷:C- に相当する。遠隔操作型であり、本体から離れるとステータスが低下する。筋力はもとより最低値であるため下がりようがない。
本体が戦闘経験豊富とは言い難いため同格以上の相手にスペックで有利に立ち回るのは極めて難しい。能力の活用がカギとなる。

D++ランクの陣地作成スキルを獲得し、プッチの肉体を基準に半径3kmの重力を逆転させる。
スタンドヴィジョンは拳に触れたものを反転させる能力と、プッチ自身の肉体を反転させる能力を持つ。
重力は時間と綿密な関係を持つためこのスタンドの保持者は時間操作に関わる能力に僅かながら耐性を持つ。
このスタンドを持って「新月」の重力を身に受けることで後述のスタンドに進化する。

『神と共に作り出した天国(メイド・イン・ヘブン)』
ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:0~99 最大捕捉:上限なし
C-MOONがさらに進化したスタンド。
ステータスは筋力:C 耐久:C 敏捷:EX に相当する。
本体が戦闘経験豊富とは言い難いため同格以上の相手にスペックで有利に立ち回るのは極めて難しいが、後述の能力により同格の速度に至れるものはそうはいないだろう。

EXランクの陣地作成スキルを獲得する。
本来なら固有結界『天国』を全宇宙の時を加速させ完成させる宝具なのだが、サーヴァントと化したことでそこまでは至らない。
固有結界を体内でのみ展開する固有時制御の発動が限度となっている。
倍速、三倍速などと生易しい速度ではなく一秒で数日が過ぎる、約100万倍速などという馬鹿げた固有時制御も可能。
世界の修正力による反動はスタンドの効果に加えサーヴァントであるため全く受けず、本来の能力の一端でしかないため魔力消費もさほどではない。
速度はずば抜けるがパワーや耐久力は並み程度なため、広範囲攻撃や掴まれての力比べ、強力な防御性能などには苦戦する可能性が高く、もし反撃を受ければダメージは小さくないだろう。


【weapon】
『DISC』
ホワイトスネイクが道具作成により生み出すもの。
一度作成すればホワイトスネイクを失った後も存在し続けるが、死にゆくものにDISCを挿入した場合、DISCもその死に引っ張られ消滅する。
空のDISCに命令を書き込むことでそれに従わせることができる。
人間相手に「空条除倫を始末せよ」「通行許可証を持たずに中庭に来たものを脱獄犯と見なし射殺せよ」「スタンドを使ってプッチの記憶を掘り起こせ」など、応用性はかなりのもの。
一度DISCを挿入した相手がホワイトスネイクのレンジ内に存在するならば改めて命令を下すことも可能。
動物相手なら「10m飛んだら破裂しろ」など無茶苦茶な命令も下せる。
スタンドや能力・宝具DISCは適応しない者では使用できない。

【人物背景】

教皇を輩出したこともある名家に双子の兄として生まれる。
弟は生まれてすぐに命を落としたために、「なぜ神は自分でなく弟を連れて行ったのか?」を、ひいては運命について疑問を持ち続ける。
しかし神学校に入り、信者の懺悔を聞いたことで自分の弟は赤子の時点で入れ替えられており、まだ生きていることを知る。
そしてその弟がプッチの妹を肉親と知らず恋仲になっていることも。
懺悔を守秘する、兄妹での恋愛という二つの信仰に対する問題に悩み二人を別れさせようとするが、そのために雇った男の手により悲劇が起きる。
ただ幸せであろうと、正しくあろうとした兄弟は引き裂かれ、妹は兄と知らぬ恋人が死んだと思い身を投げた。
悲嘆にくれるとかつて通りすがった男ディオ・ブランドーに贈られた矢によってスタンド能力に目覚める……その影響で弟もまた。
弟の記憶を奪い、ディオを親友と呼ぶようになり、その思想に共感し、数多の善行と悪行を重ねる。
人はなぜ出会うのか?自分と弟と妹を取り巻く数奇な運命の果てに人の出会いは引力による運命であるとして、運命を操作・超越し全ての人類が幸福になる方法を探す。
そして神の選んだ運命『天国』に行きつき、その実現にまで至るが、正義の道を歩むという運命に敗れ死亡。

敬虔な神父であり民衆の幸福を願っているのは事実だが、同時にそのために必要ならばいかなる犠牲も教義への反抗も厭わない。
神の敵たる吸血鬼と通じ、信徒を利用し時には殺め、親友の信奉者や息子も切り捨てる。
生き別れになっていた実の弟曰く「自分が悪だと気付いていない、最もどす黒い悪。それこそ最悪だ」

【サーヴァントの願い】
親友と共に復活し、『天国』へと至る

【マスター】
エレン@Phantom -PHANTOM OF INFERNO-

【マスターとしての願い】
玲二の救済?『天国』に至る?

【weapon】
  • CZE Vz.61 “スコーピオン”
装弾数20発、発射速度は毎分750-850発、弾は7.65mmブローニング弾。
フルオートとセミオートの切り替えにより制圧射撃と精密射撃に併用可能。
ただし小口径のため、市街地や屋外での戦闘には向いていない。

  • コルトパイソン
装弾数6発、弾は357マグナム弾を撃つことができ、.38スペシャル弾も使用可能。

  • サバイバルナイフ×2

【能力・技能】
銃器、ナイフ、徒手格闘、狙撃、潜入など暗殺者として必要な技巧は一通り。
重武装したヤクザ数十人にシナリオによって勝ったり負けたりしているので、精神状態によるがその辺がボーダーか。
暗殺者として圧倒的な戦闘能力を有しているが、実は精神面は常人よりも遥かに脆弱であり、誰かの命令が無ければ自らの意志で人を殺すことが出来ないという弱点がある。
後に玲二を守りたいという強い想いによってその弱点を克服するが、今の彼女は自らのためだけの殺人はできないだろう。

【人物背景】
ソ連崩壊の余波を受けて混乱状態にあったモンゴルから人攫いによって中国の香港へ連れて行かれ、サイスと言う男に買われた。
その後サイスに師事し、ロサンゼルスのギャング組織、インフェルノのトップスナイパー・ファントムと呼ばれるようになる。
サイスの命令を受け、日本人の少年、吾妻玲二に暗殺者としての技術を教え込み、その少年と多くの任務をこなして組織に貢献する。
しかし幹部の権力抗争に巻き込まれ、重傷を負いアジトに戻ってきたところを玲二に救われ、「エレン」の名を与えられる。
その後、二人で組織を逃げ出そうとするも失敗し、再び師に囚われることになる。
再び権力抗争が巻き起こり、幹部の一人が死亡するとその間隙を突き、玲二と共に国外逃亡。
日本で学生の振りをして過ごすが、追手が向けられる。
その刺客から玲二を守るために武器をとった直後の参戦。

【方針】
迷っている。
無碍に命を落とすつもりはないが、積極的に殺して回りたくはない。
けれど神父様の言葉を無視はできない……だから彼が命じるならば手を汚す。

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最終更新:2015年04月28日 05:12