赤座あかり&セイバー ◆KQwctnrg6E
前触れもなく全てを思い出して、赤座あかりは長い間呆けていた。
いつも通り学校に行って、ごらく部の友人と変わりない日常を満喫する。家に帰って家族と過ごし、夜には一日の終わりを迎える。
ただそれだけの、何の変哲も無くてもかけがえのない日常だった。
今となっては造られた偽りの世界だとしても、手放しがたい平和だった。
それが唐突に、聖杯戦争などという血飛沫と幻想を混ぜこぜにした話に遮られて平静でいられる中学生などそうはいるまい。
どうすればいいのかも分からないで、今日もただただ。ぼんやりと自室の部屋を開いた。
「ただいま……って、えぇーっ!? 何してるのセイバー!?」
そして自室の片隅で震える少年を見て、さっきまでの消沈ぶりをどこへやらとばかりに見事なリアクションを見せるのだった。
◇ ◇ ◇
「そっかぁ……お姉ちゃんに見つかりそうになったんだね……」
「あぁ……実体化したのはほんの一瞬だってのに、なんで男がいたって分かるんだよあの人は」
うんうん、と同情しながら頷くあかりにセイバーは悪鬼の類でも見たように額に手を当てていた。
マスターと出会い、聖杯戦争の話していた途中にセイバーはこの部屋で一度実体化をして見せたことがある。
霊体化との違いを説明する為にやった事であってほんの数秒に満たない事だったのだが、つい先ほどあかりの部屋に入った姉はどういうわけかセイバーの痕跡を察知したのだ。
正確に言えば妹が部屋に男を招いたのではないか、と疑問を持ったぐらいであってサーヴァントの存在を見ぬいた訳ではないのだが。
とにかくその超人じみた能力と鬼気迫った反応に、セイバーはサーヴァントながらも一抹の恐怖を禁じ得なかった。
「ホントに舞台装置かよってぐらい人間離れ――――わ、悪い。こんなこと言うべきじゃなかったな」
舞台装置、という言葉に目を落としたあかりを見て、セイバーは慌てて取り繕う。
(あかりからすれば)ちょっと過保護だけど大事な家族が、この世界においては偽りの存在でしかないことはやはり一般人である彼女に暗い影を落としていたのだ。
「ううん、大丈夫だよ。ちょっと戸惑ってるだけで……また信じられないっていうか」
セイバーの言葉に顔を上げて、あかりは何でもない風に笑った。やはり良い子だと感ずると共に、どことなくセイバーは罪悪感を覚える。
マスターを自分が嘗て喪ったあの少女の代わりと見なしてしまいそうで。
「そういえば! 京子ちゃんたちに聞いてみたんだけど、やっぱりあかり存在感ないんだって……。
うう、どうせウソだったらちょっとぐらいあかりに気づけるようになってくれたっていいのにっ」
そうしてなお、偽りの日常を兄に話すように楽しげに語るあかりの姿にセイバーは儚さを感じずにはいられなかった。
このまま聖杯戦争に首を突っ込む事になれば、あかりはほぼ間違いないなくその人の良さからあえなく命を落とす事となるだろう。
「……マスターはよ。聖杯に願う事ってあるか?」
だからこそセイバーはあかりの雑談ををあえて断ち切った。それは情けのない残酷な行いであると自覚してなお、マスターが目を向けるべきは平和な日常でなく、命の遣り取りを行う戦争なのだと思ったから。
虚を突かれたあかりは、不具合を生じたパソコンのように動きを止める。ややあって、か細い声を不安げに漏らした。
「………………わかんない、かな」
それは嘘でもないし、本心でもないんだろうとセイバーは悟る。
聖杯にかける願いは、おそらく彼女にはある。元の世界に戻るというだけかもしれないし、死者の蘇生かもしれない。あるいは影の薄さを克服したいという俗な願いかもしれない。
そして彼女は、それを聖杯戦争を勝ち抜くという行為と天秤ににかけ。迷っているのだろうと考えた。
「そっか……じゃあ、それを見つけないとかな。でないとサーヴァントの俺は何やったらいいか分かんないしさ」
「ご、ごめんね」
苛々していると思われたのか、あかりは申し訳無さそうに謝罪した。
じれったさを感じていないといえば嘘になる。しかし彼女が迷う気持ちを理解できないセイバーでは無かった。
―― 戦争のない世界以上に幸せな世界なんて……あるはずがない!
嘗て自分が叫んだ言葉が蘇る。
戦わなければ、守りたいものも守れない。そう信じて戦い続ける事が出来たのは、自分が戦争の中を生きたからだ。
しかしあかりは違う。セイバーが望んだ平和な世界を生き、そして戦争の中に引きずり込まれた存在だった。
セイバーはそんな存在がここに在る事に憤りを感じていた。だからこそ彼女の力になってやりたいとも思う。
そのためには、自分のように戦う事を理解させなくてはならないと思っていた。何を望むにも、戦わなくちゃならないことを。
それに――セイバーとて、聖杯にかける願いにおいて迷いを持っているのは確かなのだ。
「もう戻らない、家族と過ごした幸せな日々」。自分が戦いを終えてなお、欲していたもの。
戦火に消えた家族。守れなかった少女。セイバーはそれを聖杯にかけても取り戻したいと思っている。
そして同時に、平和を守るための戦いを謳いながら独り善がりに願っていいのかと迷ってもいた。
戦いに身を置いていた頃のセイバーなら、ほぼ間違いなく迷いなしに聖杯を求めただろう。
そうとはならず迷いを持っているのは、戦いを終えて憎んだ相手と和解を果たした事。サーヴァントであること。そして、マスターとの出会いがあったから、なのかもしれない。
――答えを出さなきゃな。
自分の迷いについても。マスターの迷いについても。
セイバーはマスターの少女を前に使命のようなものを帯びる。
それは騎兵ではなく、「最優」たる剣士のクラスとして召喚されたがゆえ、なのかもしれない。
【クラス】
セイバー
【真名】
シン・アスカ@機動戦士ガンダムSEED DESTINY
【パラメータ】
筋力C(A) 耐久D(B) 敏捷C(A) 魔力E(C) 幸運E 宝具A
【属性】
中立・善
【クラススキル】
対魔力:D
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力。
ビーム兵器を用いた戦いをこじつけ気味に引っ張った上で、クラス補整をかけてようやくこのランク。
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。というか生物には乗れない。
MSという兵器を駆り戦場を駆け抜けたエースとしての活躍がランクを押し上げている。
【保有スキル】
対英雄:C
英雄を相手にした場合、そのパラメーターをダウンさせる。
ランクCの場合、相手のパラメーターを全て1ランク下の物に変換する。
反英雄には効果が無い。
世界を変革した英雄、キラ・ヤマトと相反し一度は撃墜せしめた逸話から得たスキル。
直感:A
戦闘時に常に自身にとって最適な展開を“感じ取る”能力。
研ぎ澄まされた第六感はもはや未来予知に近い。視覚・聴覚に干渉する妨害を半減させる。
コーディネイターとして、パイロットとしての経験から生じたスキル。
矢よけの加護:A
飛び道具に対する防御。
視界外の狙撃手からの攻撃であっても投擲武装であれば、対処できる。
ただし超遠距離からの直接攻撃は該当せず、広範囲の全体攻撃にも該当しない。
【宝具】
『蒼天貫く運命の業火』(デスティニーガンダム)
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~20 最大補足:50人
自身を嘗て搭乗した兵器「デスティニーガンダム」と定め、一体となって戦場を舞い飛ぶ。
デスティニーガンダムのサイズはシンを一回り大きくした程度であり、兵器であるMSより小さく言わば「パワードスーツ」に近い。
これはMSに騎乗する騎兵ではなく、剣士のクラスとして召喚されたために得た力である為。
自身のランクをステータス欄の()内まで上昇させ、高エネルギー長射程ビーム砲、フラッシュエッジ、パルマフィオキーナ
といったデスティニーガンダムに搭載される兵器の数々が使用可能となる。
兵器の運用ではなく、自己強化の類であるためオリジナルのMSとしての兵装より劣化を起こしている。
発動にこそ魔力を要するものの、『ハイパーデュートリオン』の定義により維持による魔力切れを起こさない。
ただし宝具の損傷、兵装の損失次第では、再使用や修復・復元に多大な魔力を必要とする。
また兵器としての側面を持つため、内部を異次元空間の巨大MSとしてマスターをサイズを無視し収容する事も可能。
『無毀なる湖光』(アロンダイト)
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大補足:1人
円卓の騎士ランスロットが持つ神造兵装と名を同じくする、デスティニーガンダムに装備された大型ビームソード。
対MSのみならず艦船においても破格の威力を持ち、斬艦刀の別名を持つ。
ランスロットのそれとは当然ながら性質は全く異なるが、その名前が付けられている為類似した能力が付随されている。
全てのパラメーターを1ランク上昇させ、近代兵器及び自身の倍以上のサイズを持つ存在に対して追加ダメージを負わせる。
この宝具は『蒼天貫く運命の業火』の使用中にのみ開放出来る。
【weapon】
宝具未使用時は拳銃のみ。
【人物背景】
コズミック・イラ世界で戦争にその運命を大きく動かされた少年。
機動兵器モビルスーツを駆るパイロットであり、エースである。
戦火によって家族を失い、その無念から守る力を求め軍人としての道を選ぶ。
その後は戦いの中で先輩との敵対、とある強化人間の少女との出逢いと死別等
さまざまな出来事を経て最終的には親友と共に最後の戦いに望んだ。
【サーヴァントとしての願い】
家族とステラの蘇生。あるいは平和を守ること。
【マスター】
赤座あかり@ゆるゆり
【マスターとしての願い】
わからない。元の世界に戻りたいが戦いたくはない。
【weapon】
なし。
【能力・技能】
特にはないが、影が薄い。生来の性格の良さによるものなのか、体質なのかは謎。
【人物背景】
七森中のごらく部のひとりであって中学1年生。
慈愛に溢れ心優しい、気配りの出来るとっても良い子で人を傷つける事を好まない。
しかしどうにも存在感が薄く、存在を忘れられたり空気扱いされたりして本人も気にしている模様。
そのためか、優しい性格の裏にチヤホラされたいという願望が無いわけではなかったり。
ちなみに(事故に巻き込まれたりはするが)特に女性同士の恋愛に関心や接点がある訳ではない。
【方針】
どうしたらいいのかわからない。
最終更新:2015年05月01日 01:11