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一ノ瀬晴&セイバー ◆7DVSWG.5BE


「晴~一緒に放課後一緒にアイス食べに行かないっすか?」
「ごめんね、晴はちょっと用事あるから……」

金髪の少女が晴と呼ばれる馴れ馴れしく声をかけてくる。
晴と呼ばれる少女は申し訳に申し出を断り、教室の扉に向かっていく。

「おい走り、そんな暇があったら勉強しろ。そろそろ定期テストだぞ。長である私のクラスで赤点は出させないからな」
「ええ~勉強なんてめんどいっすよ」
「伊助もそろそろテスト勉強しようかしら」
「どうした伊助様?勉強しようだなんて頭でも打ったか?」
「殺すわよ春記♥パパが今度のテストで赤点回避したら好きなもの買ってくれるって言ってくれたのよ」
「赤点回避で好きなもの買ってくれるって、相変わらず甘やかされてるな伊助様」

本当であれば雑談に参加したかったが、やらなければならないと決めた用事があるためクラスメイトの会話を聞きながら名残惜しそうに教室を出て行った。
彼女が申し出を断ったのには理由。それは皆に贈るストラップを作るため。
本来ならクラスで初めて顔を合わせた時に友好の証しとして渡す予定だったがしかし手づくりで作成していることもあり、予想以上に時間が掛かってしまう。
いっそのこともっと手を込めてみようとクラスメイト一人一人の特徴を取り入れたものを作ろうとしたがそのせいでさらに時間を費やすことになった。

晴は街の雑貨屋で材料を購入した後、寮の自室に帰りストラップ作成に努める。
皆の喜ぶ顔を思い浮かべながら精を出す。
晴が所属しているクラスは比較的に仲が良かった。
まるで一度は共にクラスで過ごしたかのように相手のことを理解できていた気がした。

「できましたー!」
晴は作業が終わった解放感からか勢いよく背もたれにもたれ脱力した姿勢をとる。
ひとしきりリラックスをした後に今作ったものとすでに作ったものを机に並べ念のために仕上がりをチェックする。
「武智さんに、神長さん、春記さん、しえなちゃん、生田目さん、柩ちゃん、深夜ちゃんに真昼ちゃん、伊助さん、英さん、鳰」
クラスメイトに渡すものを一つ一つチェックをしたのち完成品をクラスの皆に渡すために箱に詰める。
そこで晴はある強烈な違和感を覚えた。
作ったストラップは11個、クラスメイトの人数は11人。
数は合っているはずなのに何故か一個足りない気がしてならなかった。

その時覚えのない映像が蘇る。
殺意を宿した瞳で襲い掛かってくる今のクラスメイト。
そのクラスメイトから自分を守るために隣に立つ青髪の少女。

晴はすべてを思い出した。
今生きている世界は偽りであると。
今のクラスメイトは自分が知っている存在とは似て非なる者であること。
そして聖杯戦争のこと。

「そこにいるのが晴のサーヴァントさん?」

晴は椅子にかけたまま独り言のように声をだす。
先ほどまでは分からなかったが自分の傍には何かが居る。そんな確信めいた予感があった。
すると晴の後ろから突如人影が現われる。
髪型は黒のセミロング、上下のサイバージャージに身を包んだ女性であり、その胸は平坦だった。

「ドーモ、マスター=サン。セイバーです」
「初めましてセイバーさん、一ノ瀬晴です」

セイバーは手を合わせて奥ゆかしくアイサツする。
晴も椅子から立ち上がり振り向いた後、ペコリと頭を下げてあいさつをする。

一ノ瀬晴にアイサツをしたサーヴァントはセイバーのクラスで召喚されたニンジャであった。

そして数秒間沈黙が場を支配する。
晴はサーヴァントという存在にどのような会話すればよいのかと悩み、セイバーもどちらかと言えば口下手な方なので会話のきっかけをきり出せずにいた。

「えっと……聖杯戦争についてのことは思い出した?」
「……うん。マスターとサーヴァントが一組になって複数の組が戦い合って最後の一組になった者の願いが叶うんだよね」

セイバーの問いに晴は一拍間を置いた後に俯きながら答える。
晴は表面上平静を保っているが心中は動揺していた。
幼少期から命を狙われ続け、12人の暗殺者に命を狙われた黒組を卒業し、命を狙われることなく、兎角と一緒に日向の道を歩けると思った。
しかし現実はどうだ?
今度は黒組以上に過酷な舞台で殺し合いを強要されている。
セイバーはニンジャ観察力で動揺の様子を感じ取りながらも話を続ける。

「マスター=サンは何を願うの?」

願い?自分の願いとは?その時ふと晴の家族の姿を思い出していた。自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた家族の姿を。願いで家族が生き返るかもしれない。それなら。

「生きて帰ること……晴は生きて元の世界へ帰ることを願います。兎角と一緒にあの世界で生きることを」

しかし晴は家族の生き返りを願いにしなかった。本当に生き返るかもしれない、しかし家族は自分が笑って生きるために命を犠牲にしてまで守ってくれた。
だからこそ一ノ瀬晴は今も笑って生きている。
だが、もしかしたら生き返らせたら家族の行為を無碍にしてしまうのではないかと晴は考えていた。
その考えは自分の傲慢なのかもしれない。だが多くの死を見続けてきた晴だからこそ生きること尊さ、そして死者が生き返ることはあり得ないと理解していたのだ。

「トカク=サンって?マスター=サンの知り合い?」

セイバーは兎角という言葉を発した瞬間に今まで険しかった晴の表情が一瞬和らいだのをニンジャ観察力で察知し問いかける。

「うん。晴の一番の友達。一緒にお買いものをしたり、映画観たりして、もっと兎角と一緒に過ごしたい。だから晴は元の世界に帰ります」

晴の言葉を聞いてセイバーは生前の友人であるアサリのことを思い出していた。空っぽだった自分にユウジョウを入れてくれた一番の大切な友人を。

ネオサイタマにあるアタバキ・ブシド・ハイスクールに転校し、転校生である自分に優しく接してくれたのがアサリだった。
その後親交を深めていったが、ニンジャソウルが憑依したことで自分の周りには悪意のあるニンジャが群がってくる。
そのことでアサリに害を及ぶことを恐れ、奥ゆかしくアサリの前から姿を消した。

短い時間だったがアサリと過ごしたオリガミ部での日々、そしてタラバ―・歌カニでのあの時間は自分にとっては宝物であり、一生忘れることはないだろう。
その後偶然にもアサリと再会することができたが、積極的には自分からアサリと会いに行くことはない。またアサリを争いに巻き込んでしまうことを恐れているからだ。

時々思うことがある。もし自分にニンジャソウルが憑依しなかったら?
そうなれば気兼ねなくアサリと会うことができ、もっと長い時間アサリと共に過ごせたのかもしれない。
そして目の前に一番の友人ともっと交流を深めたいという少女が自分の目の前に現れた。
自分はニンジャであるゆえに一般人である友人と距離を置かざるをえなかった。でもこの少女は元の世界に帰れば気兼ねなく一緒に過ごせる友人が待っている。
ならばこの少女には自分ができなかったことをやってもらいたいヤモトはそう願う。

「じゃあ聖杯戦争を勝ち抜こう。アタイがやるから、マスター=サンは見ているだけでいい」

ならばすべての参加者を倒して晴を元の世界に返すのみ。ヤモトは戦いに向けての覚悟を決めたが。

「晴は殺し合いをしません。他の参加者に会って戦わないように呼びかけます。そしてみんなで力を合わして元の世界に帰ります」

帰りたいが殺しあわない。このルールを無視した無謀でワガママと言える提案だが、晴には晴なりの考えがあった。

これはかつて自分が体験した10年黒組のシステムに似ている。報酬を求めてターゲットの晴を殺す。違いは自分一人を殺すか、自分以外のものを全員殺すかの違い。
もし参加者を全員説得して戦いがおきなければそうなればゲームは成立しない。そうなれば?
ゲーム不成立で参加者は強制的に元の世界に返されるかもしれないと考える。

しかしこれはなんの根拠もない晴の希望的推測だ。そのようなことになることはほぼ0パーセントである。それでも晴は他者を殺すことを拒絶する。

しかしセイバーは晴の考えを理解できなかった。大半の参加者は願いを叶える為に積極的に殺し合うだろう。その中で殺しあわず説得する?何より優勝する以外に元の世界へ帰る方法があるのか?ヤモトは問い質せずにはいられなかった。

「もし他の参加者が殺す気で襲ってきて、逃げられない状況だったら?」
「……戦います」
「もしどうやっても聖杯戦争で勝ち抜く以外に元の世界に帰る方法がなかったら」
「……最後の一人になるまで勝ち抜きます」

晴は険しい表情を作りながらもはっきりと口にして意志を示した「戦う」と。
命を狙われ続けたからこそ命の重さを理解しており、他者の生存を願っている。だからこそ戦わないという方針をセイバーに告げた。
ただ極限状態であれば、戦い相手の命を奪うことを辞さない。家族や犠牲になった人たちのためにも晴は最優先事項を自分の生存であると位置付ける。

「わかった」

ヤモトはしめやかに頷く。晴の意志を肯定するように。そして。

「アタイがアナタを守る」

ヤモトにはサーヴァントとしての願いは無かった。ただ晴と出会って願いができた。
晴が元の世界へ帰るまで守り抜く。そして晴が友達と一緒に幸せに過ごしてもらう。それが今の願い。

「でもそれは本当に本当の最後の手段。晴は諦めが悪いから!」

そう言うと晴はヤモトに満面の笑みを見せる。自分は大丈夫とセイバーを安心させるかのように。

それの笑顔を見たヤモトも微笑み返す。そして晴に感心していた。
殺し合いしか手段がない状況で他者の生存を考える優しさに。もしこの場にアサリが居たら晴と同じような行動を取っていたかもしれない。
だが極限状態であれば他者を殺して自分が生きると決断的に宣言した。晴から発するアトモスフィアから口だけではなく本当に実行するだろうと予測できる。

そしてもし晴が言う本当に本当の最後の手段を取らざるえない状況になったら。その時は自分がすべてやろうと決意する。
晴に手は汚させない。自分はニンジャで、彼女はモータル。手を汚すのは自分だけで充分であると。

「じゃあ改めてよろしくお願いね。セイバー」

『アナタを守る』このセリフに懐かしさを覚えながら、晴は笑みを浮かべて手を差し出す。友愛の意味を込めて、これから二人で頑張ろうという意味をこめて。

「よろしくおねがいします。マスター=サン」

ネオサイタマには握手の文化はないが、晴から感じるアトモスフィアから好意めいたものを感じ取れたので恐る恐る手を伸ばす。そしてヤモトの手を晴は握りしめた。

「よろしく。でも呼び方がマスターじゃなくて晴って名前で呼んでほしいな」

晴は提案するがヤモトが住んでいたネオサイタマにおいて人物の呼称は名字の後に=サンをつけるのが原則である。=サンをつけずに、さらに名前で呼ぶという行為は晴が考えている何十倍以上に失礼な行為なのである。

ヤモトは晴が一ノ瀬晴と名乗っていたのを思い出し、名前が晴ということは名字は一ノ瀬であると仮説を立てた。

「じゃあ……イチノセ=サンで……」

ぎこちなく自分の名字を呼ぶヤモトの姿がおもしろかったのか、晴はクスクスと笑う。

「晴でいいのに、それでセイバーは本当の名前なの?」
「セイバーはクラスの名前。本当の名前はヤモト・コキ。でも真名が相手に知られることは実際アブナイ。だから人前ではセイバーと呼んで」

「うん。わかったよ。セイバー」

セイバーと会話を弾ませながらも晴の心は不安が渦巻いていた。
黒組で生き残れたのは偶然が重なった結果である。
一歩間違えば殺されていた場面はいくらでもあった。
今度は聖杯戦争という黒組の暗殺者達がかわいく見えるような圧倒的な戦闘力を持つものが命を狙ってくる。
正直恐怖で押しつぶされそうになりそうだった。
しかしヤモト・コキが自分の傍にいる。
自分を守ってくれた東兎角と何処となく似ているサーヴァントがいる。
それだけで何とかなりそうな気がしていた。

晴には一種の懸念があった。
出会ってから少しだけの時間だがヤモトの人柄に好意を感じており、ヤモトも自分に敵意は向けていないと感じていた。
しかしその意志がヤモトの本来の意志ではなかったら?

―プライマー能力―

本人が無意識に他人を魅了し、操る能力。晴はその能力を持っていた疑いがあった。
その能力で家族を操りその身を犠牲にさせることで幼少期を生き残り、黒組でも一番の友人である東兎角を操り自分を守らせたのではないか?その疑念に晴は苦しんでいた。

だが東兎角は晴がプライマー能力を持っていないことを証明することにある行動を取った。『プライマーで操作されている人物がプライマー能力者を殺すことはできない、もし殺せればプライマー能力で操られていることではない』

そして東兎角は晴の胸の急所をナイフで刺すことに成功する。
だがそれは東兎角が考えるプライマー能力の否定である。
晴が兎角を操って無意識に急所を刺しても生きられるような場所に刺したのかもしれない。
手加減して刺したのかもしれない。
それを証明する手立てはない。故にプライマー能力の存在を証明することは誰にもできなのである。

晴は兎角が苦渋の想いで証明した結果を信じている。
それでも自分のプライマーがヤモトに作用しているのではという考えを完全に拭うことは出来なかった。

だが晴は信じる。自分にはプライマー能力はなく、女王蜂と働き蜂のような関係では無く、兎角と同じような信頼関係を築けることを。


こうしてひとりの少女とひとりの守護者の物語が始まる。

【クラス】
セイバー

【真名】
ヤモト・コキ@ニンジャスレイヤー

【パラメーター】
筋力C 耐久D 敏俊B 魔力D 幸運B 宝具C

【属性】
中立・中庸

【クラススキル】
対魔力:D
魔術に対する守り
一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。
魔力避けのアミュレット程度の対魔力

騎乗:E
騎乗の才能。しかし騎乗に関する逸話がないため申し訳程度
バイクや自動車を乗りこなせる程度のスキル

【保有スキル】

サクラ・エンハンスメント・ジツ:A
ユニーク・ジツの一つ。物質にエンハンスメントを込めることでサクラ色に輝き、只の道具でもサーヴァントにダメージを与えることも可能になる。またある程度の軽い物質ならサイキックめいて操作することが可能

心眼(真):C
カラテ、ニンジャ感覚、数々の戦闘の経験によって培われた洞察力
窮地において自身の状況と敵の能力把握し、その場に残された活路を導き出す戦闘論理

アイサツ:D
アンブッシュで相手を仕留めきれなかった際、自分の名前を名乗らなければならない。
名乗らない場合にはステータスが大幅に下がる。
ニンジャにとってアイサツは絶対である。古事記にもそう書かれている。

魔力補給:D
スシを補給することにより通常の食事より多くの魔力を回復することができる。
特にオーガニック・スシの大トロは普通のスシより多くの魔力回復が見込める

【宝具】

『折紙誘導弾(オリガミ・ミサイル)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ1~50 最大補足人数:1~10

ヤモト・コキの象徴的なジツが宝具化したもの。
オリガミにサクラ・エンハンスメントを込めてツル、紙飛行機などの形に折りそれを操作して相手にぶつけるジツ。オリガミはぶつかると爆発する。
この宝具は霊的な存在には対しては多大な効果を発揮する。
普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。
但し、通常の普通の紙にエンハンスメントを込めてオリガミ・ミサイルをぶつけるのに比べて魔力消費は多くなる。

『折紙桜色蝶(サクラ・エンハンスメント・デバフ)』

ランクC 種別:対人宝具 レンジ1 最大補足人数:1

オリガミ・ミサイルが違う形に変化したジツ。
蝶々に形になったオリガミが相手に纏わりつき、相手の攻撃の射線上に蝶があり破壊された場合は小爆発をおこし勢いを削ぐことができる。また蝶が破壊された様子からヤモトの培ったカラテによって攻撃の先読みを容易にする。
また蝶が纏わりついた物質はヤモトによってある程度の操作が可能。武器に纏わりせれば攻撃の軌道を変えることができ、さらに相手の得物も奪うことができる。
この宝具を使用することで武器を持っているサーヴァントは筋力、敏俊のステータス、近接戦闘に有用なスキルのランクがワンランク下がる
普段は紙が無ければオリガミ・ミサイルは使えなかったが英霊として召喚されたことにより自分で紙を作りオリガミ・ミサイルを使うことが可能になった。
但し、普通の紙にエンハンスメントを込めるのに比べて魔力消費は多くなる。

【weapon】
カロウシ、ナンバン
刀匠キタエタの逸品たる双刀

【人物背景】
ある学生の自殺に巻き込まれ瀕死になった際にシ・ニンジャのソウルが憑依してニンジャとなる。ニンジャになったことにより運命は大きく変わる。多くの人と出会い別れながらも人間と成長し、マッポー都市ネオサイタマで懸命に生きていく。

【サーヴァントとしての願い】
願いはなかったが、晴と出会い晴を元の世界に帰すことが願いになる

【マスター】
一ノ瀬晴@悪魔のリドル

【マスターとしての願い】
元の世界へ帰る

【能力・技能】
戦闘能力はないが数々の暗殺者から狙われたことにより修羅場慣れしており、常人より生存能力は高い。

プライマー
意識的あるいは無意識に人を引き付け魅了し支配し操作する能力。しかし一ノ瀬晴がこの能力を持っていたかそうではないかは作中でも完全に判明していない。

【人物背景】
幼少期からある事情で命を狙われ続けた少女。家族、親しい人物は晴を守り、また巻き込まれて死んでいき天涯孤独。
そんな壮絶な人生を歩みながらも性格は明るく天真爛漫。そしてお人よし。
基本的に人の言うことは疑わないので、騙されて窮地に立たされることがしばしば有る。

【方針】
聖杯戦争を中止させみんなで協力して元の世界へ帰る。
ただ最後の一組になるまで元の世界に帰る方法が無いと分かれば方針を勝ち残りに変更する可能性は十分にある

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最終更新:2015年04月30日 18:41