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その願いは詛呪 ◆69lrpT6dfY



一人は、自身の特異で幸薄な運命を嘆いた。


とある刀鍛冶ととある剣士が巡り合った事で体系化された血刀の一族がいた。
その六代目にして大乱の英雄の娘として生まれた少女は、神様から余計な物を二つ授かってしまった。


一つは病弱なのに死ぬ事が許されない身体。
そのせいで幼い頃から何度も重度の病に侵された。
いっそう死んでしまった方が楽になれるのに、しかし死ねないため壮絶な苦痛をただひたすら耐えるしかなかった。

もう一つは規格外な強さ。
「人間一人に到底収まりきれぬ」程の力は、七歳にして歴史上最強と呼ばれる剣士と半年に渡って戦えるほどであり。
しかしその強さに身体が耐えられないため、他人の能力を習得することで力を抑える技も身につけた。
その天性の才能は実の父親にも危険視され、後に殺害されそうにもなった。


逸脱した存在であるがゆえに、少女は普通の人生など送る事はなかった。
一族全員で島流しの刑になり、他者との交流は隔絶され、後継者として認められず、普通の稽古もさせてもらえず。
しまいには己が放つ恐怖が原因で弟に父殺しという血塗られた運命を辿らせてしまった。

しかし、少女の感情は希薄であった。
常人では有り得ない人生を歩んだからなのか、それとも、これもまた神様からの余計な授かりものなのか。
家族に対する多少の愛憎はあるものの、他者に対しては殆ど興味を持ちえなかった。
邪魔する者がいれば、さも雑草をむしり取るように排除する。
無表情に。
無感情に。
彼女が島を出た後に、巡り廻った土地で数々の虐殺を繰り返す程に。
「草むしり」をする彼女には、他には興味なくただ刀を集め、先に島を出た弟に会うために動いていた。


そして少女は終焉を迎えた。
歪んだ心であろうとも、大切に思っていた弟に、殺された。
否、殺されたいと思い、死闘を演じて、殺された。
こうして彼女は一つの望みを叶えた。
死ねないなら殺されることで、苦痛から解放されるために。
真なる願いではない、哀しい願いを叶えたのであった。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



一人は、自身の数奇で不幸な宿命に絶望した。


大戦の最中、とある一族の若かりし当主と西洋から来訪した美女が恋に落ち、そして結ばれたのが呪いの始まりであった。
愛人は子供を産んだところで命を落としてしまい、その子供は一族や世間から隠されて育てられた。
子供は成長し、成人後には生前の愛する人と瓜二つの容姿になっていた。
亡くなってしまった愛人との再会に感激し、錯乱し、狂気に染まった一族の当主は、禁断の過ちを冒してしまった。
その後、その子供は不慮の事故で亡くなってしまった。


少女は物心ついた時から一人だった。
孤児として施設に育てられた少女は、やがてとある屋敷の使用人として勤めるようになった。
まだ幼いのに特別に使用人になった少女は、先輩の使用人たちから嫌がらせを受けていた。
だから少女は空想の友達を想像した。その教えに従い、悪戯し返してやった。

やがて少女は推理小説にはまり、共通の趣味を持つ男の子に初恋をし、そしてまた会えた日に返事をする事を待ち望んだ。
しかし、男の子は家庭の事情により家出した。一切の音信もなく、少女の想いに応えることはなかった。
待ち続ける事に耐えきれなくなり、さらに女性としての自身も失った少女は、新たな人格を作りだした。
情緒不安定だった心も、寡黙な少年と優しい少女を演じ分ける事で心の安定を取り戻した。


ある時、少女は館の中にある碑文の謎を解き明かした。
そして館を所有する一族の当主が隠し持っていた黄金の塊を発見し、真実を知る者に祝福された。
老齢の使用人達の進行で変装を施され一族の当主に謁見すると、感激の余り泣きつかれ謝罪の言葉を述べられた。
少女は状況が呑み込めぬまま、彼らから事の真相について知らされた。

残酷に満ちた、無知のままでいたかった真実を、胸に突き刺された。

少女の正体は当主の隠し子であり、隠し孫であり、当主の過ちによって生まれた不義の子であった。
そして赤ん坊の時に崖から落ちて死んだことになっていたが、後遺症を残しつつも奇跡的に一命を取り留めていた。
そのため、忠臣の使用人達によって秘密裏に育てられた。
機会が訪れた時に、現当主の悲願を叶え、少女を次期当主にするために。


しかし、少女にしてみれば拒絶したい真実でしかなかった。
その頃には少女は別の青年と恋をしており、別人格の少年は少女に好意を寄せられていた。
だがしかしその恋心は真実によって砕かれた。
自分は穢れた血で出来ている。その上、後遺症で女性としての機能も失っている。
その事実だけでも身の毛がよだつのに、さらに一族の者と恋を抱き将来を望んでいたなんて。
抱いた想いとは相反する倫理との板挟みに苛まれる。互いに寄せられてしまう血の呪いに、激しく嫌悪する。


少女は次期当主の座を凍結し、ただ悩み続け不安を募らせるだけだった。
自身の全てを知られた時、プロポーズしてきた青年は酷く拒絶するのではないかと悪夢に魘されるほどに。
それでも青年が迎えにくるのを待つしかなかったある日、初恋の人がまた戻ってくるという知らせを受ける。
再会の嬉しさ以上に、最悪のタイミングで決意を霧散させられたことで、彼女の歪んだ心は壊れてしまった。
どの恋を選んでも破滅しかない運命に絶望した少女は、生きる気力を失い、狂気に囚われた。
呪われた自分、一族、島も黄金もすべてを吹き飛ばしてしまおうと考え付き、計画を立てて実行できる所まで準備した。

最後に、少女は大切な人達を殺める事に躊躇いを覚えた。
だから少女は一縷の望みに期待して、事件当日を迎えた。
切なる願いを諦めて、自分を暴く事に願いを託した。


 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



二人の少女の歩み方は全く違い、比較しようもない壮絶なものであるが、共通する部分も多かった。
出自の不幸、不義の存在、骨肉の争い、そして転生の願い。
似た者同士で惹かれあうのは必然だったのか。
この見知らぬ地にて、一組の少女達が集うことに相成った。

少女は戸惑い混乱している。これから始める破滅の計画でもって心中するつもりだったのだから。
少女は少々呆れて答える。死んだはずの自分が喚ばれた事を嘆きながら、ここが願いの為に殺し合う舞台である事を説明した。
少女は一瞬の間を経て理解した。これから小説よりも奇なることを仕出かすつもりでいた少女にしてみれば、信じられないような出来事もすんなり受け入れられた。
少女は気だるげに決意した。この馬鹿げた強さでもって全てを殲滅し願いを叶えようと。もし万が一負けたら、その時はその時に考えよう。


こうして、大小あれど「普通の人間として生きたい」という願いを抱いた者同士、「安田紗代」と「鑢七実」は共に闘う契約を結んだ。



【マスター】
安田紗代@うみねこのなく頃に

※便宜上の名義を「安田紗代」とする。
 場合に応じて「ヤス」「紗音」「嘉音」「右代宮理音」「ベアトリーチェ」等と名前を変えられる。

【マスターとしての願い】
「血統の呪い」、「絶望的状況」からの解放。誰も不幸にならない最善を望む。

【能力・技能】
精神不安定、アイデンティティーの崩壊・希薄化により、複数の名を名乗り演じ分けるられる。
次期当主の権利を得た事で旧日本軍の残した兵器に所有していたため、火器や爆破物をある程度使える。
ミステリー作品に精通しており、六軒島を舞台に無限の殺人事件を構想できるほどにトリック・犯行の考案が得意。
彼女が遺した迷宮入りの謎が後世にて伝説にまで昇華されたため、死後にはキャスターとして英霊の座に召される事が確約されている。
その素質の高さから、毒素の多い現世の肉体でも魔力保有量は豊富な方である。

???
私は、だぁれ……?

【方針】
優勝し、聖杯を獲る。

【クラス】
セイバー

【真名】
鑢七実

【パラメータ】
筋力:A 耐久:C 敏捷:A 魔力:D 幸運:E 宝具:B

【属性】
中立・悪

【クラス別スキル】
対魔力:C
 第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。

騎乗:-
 生前に騎乗したことはない。しかし『見稽古』で習得が可能。

【保有スキル】
虚刀流:A
 刀を扱う才覚が全くない鑢一族が用いる無刀の剣術。
 彼女は虚刀流の稽古を全く受けていないのだが、『見稽古』で父弟の稽古を見ることにより虚刀流の全ての技を身に着けている。
 なお、本来なら彼女も刀を扱えないのだが、これもまた『見稽古』により例外的に扱えるようになっている。

心眼(真):A
 修行・鍛錬によって培った洞察力。
 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
 彼女の場合、その天才性、『見稽古』によってあらゆる状況、敵の能力を見通すことができる。

病気持ち:A
 極度の病弱であり体力がなさ過ぎるため、長期戦になるとパラメーターが下がる。
 ただし、宝具『悪刀「鐚」』の効果によりこの欠点は解消されている。
 また常人ならば何度も死んでいるはずの病にかかり続けてきたため、状態異常に対し強い耐性をもつ。


【宝具】
『見稽古』(みげいこ)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:1人
 七実の異常性を象徴する、“化物”と呼ばれる程に特異な資質。
 相手の技を一度観ただけで体得、二度見れば万全に自らのものとすることができる。
 この特異体質により彼女は虚刀流を始め数々な技術・武術を体得でき、更には肉体変化・血族由来の身体能力すらも会得している。
 聖杯戦争においても相手の武術や能力を体得し、一部を除いたスキルや宝具すらも本来の使い手と同様以上に習得可能となる。
 そしてこの宝具の何よりの真骨頂は、七実自身の人知を超えた戦闘能力を抑えるために発揮されている事である。

『悪刀「鐚」』(アクトウ・ビタ)
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大補足:1人
 四季崎記紀が作りし“完成形変体刀十二本”の内の一本。「活性力」に主眼が置かれた刀。
 苦無の形をしており、身体に差し込むことによって所有者の疲弊も死も許さず人体を無理矢理に生かし続ける。
 この『悪刀「鐚」』の効果により、鑢七実は唯一の欠点である自身の体力の無さを克服する。曰く「弱点も隙もない」。
 ただし常時発動型の宝具になるので、狂戦士程ではないが多少の魔力消費をマスターは強いられる。平時には魔力消費量を抑制する事が可能。

 もう一つ、四季崎記紀の完成形変体刀十二本の特性として「刀の毒」による魅了効果を持つ。
 ランク:C以上の精神干渉などの耐性、もしくは強い意志を持っていなければ『悪刀「鐚」』に対する物欲が生まれる。
 もし『悪刀「鐚」』を所有した場合、その所有者の属性・性格が「悪」へと変質する。

『零・刀語』(ななみモンスター)
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:?? 最大補足:??
 そもそも呼称する必要も、宝具にする必要もない、ただのこじつけ。
 またの名を『奇刀「錵」』。四季崎記紀の思惑から外れている(はずの)、完了形変体刀の派生・異形・化物。
 『見稽古』『悪刀「鐚」』の使用をやめる事で、抑えていた本来の強さを解放する。
 パラメータが 筋力:A 耐久:B 敏捷:A++ 魔力:C 幸運:C、心眼(真)がA+に上昇する。
 その代わり魔力の消耗が甚大になり、いずれ体力のない身体が耐えられずに命が尽きてしまう。

【weapon】
彼女自身が刀以上の凶器である。

【人物背景】
虚刀流六代目であり大乱の英雄である鑢六枝の娘。
生まれながらにして病弱ではあるが、同時に“化物”“日本最強”と呼ばれるほどの驚異的な強さをもっている。
七代目当主にして弟の七花が完成形変体刀の収集のため奇策士・とがめに連れられてから数ヵ月後、彼女もまた独自に刀収集を始める。
その道中に数々の虐殺を起こし(彼女曰く「草むしり」)、悪刀「鐚」を得た後に弟と刀を掛けた対決の末に打ち倒された。

【サーヴァントとしての願い】
ただの人間として生まれ、生き、死にたい。

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最終更新:2015年05月02日 20:12