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八島聡美&アーチャー ◆wgC73NFT9I


 明るい雰囲気のレストランの中には、香ばしい肉の香りが漂っていた。
 そんな空調の涼やかな風が満ちるボックス席の角で、一人の少女が落ち着かない様子で座っている。

 無造作に切られたその髪は夜よりも黒い。
 身に纏っているピッチリとした長袖の黒いワンピースと黒いニーハイソックス、黒い指開き手袋に黒いブーツと、彼女は全身黒づくめだった。
 しかし一方でその肌は雪よりも白い。
 ある種、病的なほどに白く、皮膚のメラニン色素が欠損しているのではないかというほど、白よりもむしろ透明に近い肌だった。
 その瞳は青い。
 髪こそ黒いが、彼女は恐らく白色人種なのだろう。
 だが見つめていると、その瞳の下に透ける血の赤が、その青の奥から湧き出てくるようでもあった。

 座席の隣には、雨でもないのに黒く、太く、大きなこうもり傘が立てかけてある。
 だがそれをよくよく近づいて見てみるなら、その手元が銃把であり、中棒が銃身であることがわかるだろう。
 現実離れした、奇妙な形態のライフルだった。

 店内の軽快な音楽に合わせて、じゅうじゅうと脂の音を立てる鉄板が、そんな彼女の前に運ばれてくる。
 十字架のようにクロスされたチェダーチーズが、こんがりと焼けた大判ハンバーグの上に蕩けている。
 彼女の首には、ちょうどそれと同じような銀の十字架をあしらった首輪が嵌っていた。


「お待たせいたしました! 『チーズバーグステーキ300g』です! 遠慮なく食べてね!!」
「……本当に、いいわけ?」
「良いって良いって! 今はピークも過ぎたし、店長には友達が来てくれたって言ってあるから!」
「……そういうことなら。いただく」


 出来立てのハンバーグステーキを運んできたウェイトレスと口数少なに応対し、少女はナイフとフォークを手に取った。
 ウェイトレスはそんな少女の向かいに座って、大きく伸びをする。


「よっし、それじゃあどんな感じで聖杯戦争戦っていこっか?」
「ぶふっ――!?」


 少女は口に入れかけていたハンバーグを吹き出すところだった。
 フォークを置いてげほげほと咳き込みつつナプキンで口を拭い、慌てて彼女は店内を見回す。
 幸い繁忙期となる時間帯を過ぎていたためか客はほとんどおらず、ウェイトレスの今の発言を聞いた者は誰もいないようだ。
 少女は両の拳で静かにテーブルを叩いた。
 その手にはまるで自分を戒めるかのように、鎖のない手錠が嵌められていた。


「……アンタねぇ……! 声が大きすぎ!!」
「あたしは『アンタ』じゃなくて八島聡美。これから一緒に戦うんだし名前で呼んでよ」

 ウェイトレスの八島聡美はそう言って笑う。
 スポーティーに刈られたショートヘアの彼女は、頬杖を突く両手に、空手で使うようなサポーターを巻いていた。
 年に見合わぬ凛々しい表情で聡美は少女を見る。
 いつでも戦えるアピール、というところだろうか。

「本名がバレるのよ……? 出会ったばかりのアンタをマスターとも呼びたくないけど」
「マスターって、店長のことみたいでこそばゆいし混同するじゃん。戦いにエントリーしてる以上、隠してもしょうがないし。
 別に名前がバレたところで、誰もあたしたちのこと直接知ってるわけじゃないだろうし問題ないでしょ。
 アーチャーも、『熱っちゃあ!?』って驚いてるか『あっちゃー……』って落胆されてるみたいで嫌じゃない?」

 聡美は軽い口調で少女を見るが、彼女は歯を噛んだまま睨みつけてくるだけだ。
 その様子に、聡美はもう一言付け加える。


「……それともリングネームでもつける?」
「キリエ。私の名前はキリエだから。サトミ」


 少女は即答した。
 忌々しそうにハンバーグを頬張った彼女だったが、噛み込んだその肉の味に目を丸くする。

「あ……。美味しい」
「そりゃあそうよ。あたしの勤めるこの『びっくりモンキー』は食材にも環境作りにもこだわってますから。
 例えこの店舗が聖杯に作られたものだとしても、伊達にここの看板背負って戦ってきたわけじゃないからね~、あたし。
 お肉は全てニュージーランドとオーストラリアのナチュラルビーフ!
 電力は地中熱ヒートポンプと太陽光発電で省電力だし、お客様へのノーマライゼーションやリラクゼーションにも心を砕いてます!」
「……ウザい」

 唐突に始まった聡美の店自慢を一言で突っぱね、キリエはまたもくもくとハンバーグを食べ進める。
 聡美はその反応を大して気にも止めず、白のブラウスにピンクのベストという制服の胸に腕組みし、今後の作戦を考え始めた。


「それはそうと、聖杯戦争って大会は、あたしたちみたくツーオンツーの変則試合形式なのよねぇ?
 やっぱりどうするのがセオリーだと思う? 二人で繁華街練り歩いて声かけていこうか?」
「バカじゃないの……!? っていうか、これは『戦争』であって、『試合』じゃないのよ?
 アンタそもそも、本気で殺し合いする覚悟があるわけ!?」


 キリエは、マスターの聡美のとんちんかんな発言で流石に声を荒げた。

 アーチャーのサーヴァントとして召還されたキリエは、南北戦争直後、西部開拓時代のアメリカをほぼ単身で横断し、『黒衣の者』と呼ばれる吸血鬼の王を追い詰めた少女だ。
 ギラつく日差しのアリゾナ。
 南北戦争の遺構にすがったテキサス。
 死の神輿が過ぎたニューメキシコ。
 血腥い戦場と銃声の嵐の中を掻い潜ってきた彼女からすれば、『戦争』とはとても身近にあった存在だ。

 こうして快適な環境を維持されたダイナーで、敵を気にする必要もなく美味しくて腹いっぱいの食事にありつけるというのは、夢にすら見れない魔法のようなことだった。
 それにつけてこの女は。
 ぬるい。
 あまい。
 ウザい。

 百何十年後の人間なのか知らないが、この少女・八島聡美は、現代の便利な生活に慣れすぎて少々ボケているのではなかろうかとキリエは思った。
 一体、戦争を何だと思っているのか――。


「――そもそも、『聖杯戦争』が『殺し合い』だとは言われてないじゃない。
 他の組を『脱落』させて最後まで勝ち残ればいいんでしょ?
 サーヴァントは元々呼ばれてきただけなんだから、倒してその『英霊の座』とかいうところに戻ってもらえばいいし。
 マスターの方が抵抗するなら、キュッと締めて落としちゃってどっかで寝ててもらえばいいだけでしょ?
 あたしが『V.G.大会』でやってきた試合よりむしろマシなんじゃないかしら」
「VG……? ヴァリアブル・ジオ……?」

 キリエの問い掛けに、聡美は腕組みをしたまま平然と答えた。
 聞き慣れない固有名詞をいぶかしんだキリエへ、聡美が説明する。


「あたしたちが、店の栄誉を賭して戦ってきた大会よ。最強のウェイトレスを決めるべく開かれたもので、賞金総額は10億円。
 そして選手の所属企業には、伝説の一等地が与えられる。不況の煽りを受けてた外食産業にはまさに救世主。
 それでウェイトレス同士が、殴る蹴るのガチンコの試合を衆人環視の中でやっちゃうわけ。
 まだ高校生だからアルバイトの身分なんだけどさ。あたしは空手やってるし、『能力』もあって、結構強いから。
 一応あたしもその大会の出場ウェイトレスなのよ」
「……なに……それ」
「だからこの『聖杯戦争』って大会聞いても、ああ、またお偉いさんが何か大会を開いたんだなご丁寧に誘拐までして。と思った」

 キリエは理解が追いつかずに固まった。
 とりあえず、悪趣味な金持ちが奇妙なことを考えた末にそれを実行してしまったのだろうと、彼女はそう考えた。
 そういう意味では、キリエには近しいものが思いあたる。

 自分の隣にある、日傘の機能を持った愛銃も、突然変異を起こしたとしか思えない、南北戦争期に出現した数々の奇妙な銃たちの一丁だった。
 製作者が何を考えて、どうしてそんなものを作ってしまったのかはさっぱりわからない。
 だがそれらの奇銃は確かに出現し、そして確かに強力だった。
 キリエ自身も、何度この銃の力で窮地を切り抜けてきたかわからない。
 世の中そういうものなのかもしれない。

 聡美は言葉を続けた。

「……でね、『ヴァリアブル・ジオ』もまた、試合の敗北、脱落は『死』と同義だったわけよ」
「……それは何故?」

 聡美は一度、深呼吸した。


「……敗者は、そのまま全国中継のリング上で、店の制服を『全部』脱がなきゃいけなかった」
「……『全部』――!?」
「そう、『全部』。全国中継の、衆人環視の、泥と恥辱の中で、全部脱いで『ロンドを踊る』のよ。
 V.G.はそういうものだと覚悟はしてたけど、あれはねー……。うん、あの瞬間は。死んだな、あたし、と思った」

 驚愕に目を見開いたキリエの前で、聡美は明後日の方向を見て遠い目をしてしまう。
 八島聡美はそんな『ヴァリアブル・ジオ』という大会の参加者であり、そしてかつ、彼女の所属する『びっくりモンキー』は、今そんなに一等地にあるわけではない。


 つまり、そういうことなのだった。


 キリエにとっての敗北は、肉体的にいたぶられるものだった。
 それこそ、トンボの羽をむしるような。
 だが聡美の敗北は、それにとどまらなかった。
 キリエの経験したことの無い、辱めという敗北。
 どちらがきついことなのかは、比べられないし、比べる意味も無いだろう。

 しばらくして聡美は再び微笑んだ。


「まぁそれでも、社会的に死んでも叶えたい願いってのは、あるのよ。キリエだってそうでしょ?」
「……サトミのそれは、何なのよ」

 キリエは怒らせていた肩を落として、聡美を下の名で呼んだ。
 静かに言葉を継いだ聡美の表情は、真剣だった。


「……10億円とは言わず、生活に困らないだけのお金が欲しい」


 八島聡美は、弟との二人暮らしだ。
 両親は事故死した。
 弟は病弱で、彼の医療費も、自分の学費も、生活費も、聡美は全て自分のアルバイトで稼ぎ出さねばならなかった。

 店から帰れば、自宅は狭くて古いワンルームのアパートだ。
 カビの臭いがして、壁が薄くて、冬は布団を何枚被っても骨まで冷えるアパートだ。
 弟の体が弱いのは、その生活のせいもあるかもしれない。
 まかないを持って帰ってやって、つつましくもそれなりのものを食べさせてやれるのはいつまでか。
 自分が自転車のように働き続けなければ、崩れ落ちてしまう暮らし。
 どうせ聖杯が仮初の町を作ってくれるのなら、自宅くらいそのままじゃなくても良かったじゃないか。
 と、聡美はそうも思った。


 空調の風は薄ら寒く、軽快なBGMは調子ハズレだった。
 沈黙に凪いだボックス席で、まず聡美が軽く微笑みを作った。

「はは、ウケなかった? ごめんごめん、ハンバーグ冷めちゃったね」
「あ……、いや……」

 キリエは首を横に振り、慌ててナイフとフォークを掴みなおした。
 その前で、聡美はハンバーグの載った鉄板を指を添える。

 するとたちまち、その上で白く固まりかけていた脂が熱で溶け、再びじゅうじゅうと音を立てて跳ね始めていた。

「――……!?」
「これ、あたしの能力なのよ。発火能力。今はようやく使いこなせるようになったけど。
 昔はね、ひどかった。ボヤ騒ぎ起こしたり、いじめっ子に憤って大火傷させちゃったり……。
 『魔女』だの『鬼の子』だの言われて、親戚にも追い出されて。
 だからまぁ、今の境遇は半分自業自得みたいなもんでさ。そこはしょうがないんだ。
 でもじゃあ、『鬼の子』に明日はないのか、って。あたしも弟も生きてちゃいけないのか、って。
 そんなことあっちゃいけない。だから絶対、何をやっても明日はあたしの手で掴むって、そう決めたのよ」

 顔を上げた八島聡美の瞳は、炎のように赫く輝いていた。
 今一度その決意を口に出すことで、彼女の心にも、そうして炎が巻き起こるようだった。
 あるいはその意気こそ、彼女が聖杯に導かれた理由なのかもしれなかった。

「明日――……」

 その言葉は、キリエの胸にも疼きを走らせた。

 キリエは、『狂血病』という伝染病にかかっている。
 吸血衝動に駆られ、人の血を吸わねば理性が崩壊してゆく病だ。
 彼女の追い詰めた吸血鬼、『黒衣の者』から広まったその病で、アメリカ大陸は吸血鬼と化した人々に慄いた。
 キリエはその『黒衣の者』の、娘だった。

 狂血病の患者は発見され次第、『浄滅』という神の名の下に殺しつくされた。
 自分を最後まで守ってくれた修道女の母も、防疫修道会の神父たちに射殺された。
 その母の血肉を喰らい、神父たちと、生まれ育った村の人を殺しつくして逃げた。
 穢れた血は、許されないものだった。
 自分の存在が許されないことを知りながら、死に場所と希望を諸手で同時に探した。
 父である『黒衣の者』を倒す。
 それが贖罪なのか、生き甲斐なのか、そんなことはキリエにはもうわからなかった。


 狂血病患者に明日はなかった。
 赤貧の奨学生にも、明日はなかった。


「……明日は、あるわ。いつだって、あの血の色の果てに……!!」


 キリエは西の空に落ちていく赤黒い夕焼けの色に目を細めながら、歯を軋らせるように唸った。
 西へ、西へ、『黒衣の者』を追いながら結んだ誓いを思い出しつつ唸った。
 似ても似つかないと思っていた八島聡美という少女と自分との類似性を、キリエはそうして認識する。
 マスターへ向き直ったアーチャーの口は、自然と告白していた。


「サトミ。私は、狂血病という伝染病に掛かっているの。俗に言う、吸血鬼になってしまう病。
 定期的に血を吸わないと意識が保てず、理性がどんどんと崩壊していってしまうの。
 そしてその伝染病の発生源は、私の父である『黒衣の者』。
 奴を倒し、その血から狂血病のワクチンを作ることこそが、死んでも叶えたい、私の目的」
「え……!?」

 聡美の驚愕の顔がキリエの目に映った。
 恐怖するのは当然だ。もしかするとふとした拍子にマスターすら自分は毒牙にかけてしまうかもしれない。
 だが結局、隠していても二人で戦うのだからいつかは発覚してしまう事柄だ。
 それなら遅いより早いほうがいい。
 もし聡美がここで掌を返すように自分を邪険に扱ってもそれはそれで良い。
 彼女と志が同じことさえ確かめられたのだから、機械的に扱われるならむしろその方が互いの為に良い――。

 そう思ってキリエは目を閉じた。
 するとテーブルでその手が、聡美に握られた。


「それならそうと早く言ってくれれば良かったのに! 血の滴るレアで焼いてきてあげるのもできたんだから!
 早くしないとウェルダンになっちゃうから、ほら早く食べて食べて!」
「もむぅ――!?」

 キリエは聡美に無理矢理手を動かされ、再加熱されたチーズハンバーグを口に入れられた。
 牛の血で果たして吸血衝動が抑えられるのか甚だ疑問だったが、そんなことを言い出す前に口内は肉で埋まってしまう。

「げほっ……!? げっほげっほ……」
「もしどうしても人間の血が飲みたくなったら、死なない程度にあたしの飲んでいいから!
 あたし血の気多いし。近頃は売血なんてできないから、それでキリエが元気になるなら安いものよ!!
 ね、絶対勝ち残ろう!! 堂々と勝負して、二人して優勝商品をゲットしようよ!!」


 ほとんど塊で肉を呑んでしまい咳き込むキリエに向かい、聡美は制服の巻きスカートを振り立たせて立ち上がり、胸を叩いて言い放った。
 底抜けにお人よしそうな、それでいてとても力強い彼女の覇気に、キリエは歴戦の戦友の姿が重なって見えた。
 目の縁に涙が滲んだ。
 ハンバーグを飲み込むのが苦しかったからかもしれない。
 幸せな苦しさだった。


「……あ、ありがとう。サトミ」


 めったに言わない感謝の言葉を、言ってしまった。
 このマスターとなら、やっていけるかもしれない。と、そう思った。

 それで聡美は満足げに頷き、時計を見上げる。
 そろそろ夜のピークが近くなってきていた。

「……うん! それじゃあ今日のところはこの辺にしておこうか。あたしも仕事に戻んなきゃいけないし」
「……わかった。なら先に、サトミのアパートに向かっておく」
「あ、ちょっと待ってキリエ」

 サーヴァントやマスターという枠を超えた話し合いができたことに充足感を覚え、キリエは席を立つ。
 しかし、日傘のように銃を携えて店を出て行こうとする彼女に、後ろから聡美が声をかけた。


「お勘定」
「は……?」


 聡美は掌をくいくいと曲げ、『金を寄越せ』とジェスチャーをしていた。

「……あたしの生活状態言ったさっきの今で、キリエのハンバーグ代を払える余裕があると思いますか?」
「え、いや、だって、初めに遠慮なく食べてって言ってたじゃない――」
「そりゃあ自分のお金なら何注文して食べてくれても自由よ。厨房も空いてたから遠慮なく何頼んでくれても作れたわけで」
「あ、アンタ……ッ!?」

 米ドルでもいざ知らず、日本円などキリエは持っていない。
 狼狽を始めたキリエに対して、聡美の笑みは深くなってゆく。

「あら~、もしかしてお金がない感じかぁ、キリエは。これは働いて返すしかないようだねー」
「ちょっと待て、働くってまさかここででじゃないでしょうね!?」
「大丈夫大丈夫! 店長には友達が働きたがってるって言ってあるから!!」
「いつの間に!? さ、最初から狙ってたわけ!? このことを!?」


 単独行動持ちのアーチャーを縛り付けておく手なのかなんなのか、とにかくこの八島聡美という少女は、キリエが思っていた以上にしたたかだった。
 それはそうだろう。現代社会での辛酸は、キリエよりも遥かに聡美の方が多く舐めているのだ。
 ギリギリと歯を噛み締めるキリエの腕を引っつかみ、聡美は店の奥へ入っていく。


「聡美、休憩上がりました~。こちら、今晩から一緒に働いてくれるあたしの友達でーす!」
「ウザい! ウザい!! やっぱりアンタ、ウザ過ぎる!!」


 そのウザさはそれこそ、キリエがともに戦い抜いてきた、腹に一物も二物もある歴戦の戦友のようだった。


    ■■■■■■■■■■


【クラス】アーチャー
【真名】キリエ@吸血聖女キリエ
【属性】混沌・中庸

【パラメーター】
筋力:C+ 耐久:C+ 敏捷:B+ 魔力:D+ 幸運:C+ 宝具:A+

【クラススキル】
対魔力:E
 魔術に対する守り。
 無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

単独行動:A
 マスター不在でも行動できる。
 ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
 西部開拓時代のアメリカ大陸を5年間単独で生き延びてきた彼女ならば、独立して作戦行動をとることは容易い。

【保有スキル】
狂血病:A++
 真祖にあたる原初の吸血鬼『黒衣の者』よりもたらされた伝染病。
 人の血をすすらずには意識を保てず、すすってもやがては理性を破壊され人間性を失うようになる。
 感染者は身体機能が向上し、ダメージをある程度無視して活動できる。
 ただし日光を浴びると疲労を感じ、十字架や銀製品(及びその反射光)に接触するとその部分が焼けただれるようになってしまう。
 黒衣の者の血液のみが、狂血病患者を救うワクチンとなりうる。
 『黒衣の者』の血をひく娘であるアーチャーは高いランクでこれを有し、ダメージを負うごとに幸運判定を行い、失敗すると吸血衝動に襲われる。
 吸血衝動の最中はその強さに応じてE~Aランクの狂化スキルが付加されてしまい、自制することが困難になる。
 発症時は、瞳が『血の色よりも赫い』赤色になることで識別できる。
 血液を摂取できれば衝動は解消され、また摂取した血液量に応じて肉体を再生することができる。
 ヒト一人分程度の十分な血液を摂取すると、上記の狂化スキルの効果を任意で、思考の曇り無しに享受することも可能になる。
 なおアーチャーの血液にも狂血病の感染性があるため、彼女の血を体内に取り込んだ者はEランク以上の狂血病スキルを得る。
 ランクが低いことによる違いは、理性の崩壊が急速であり、吸血衝動への耐性が低い点である。

怪力:C-
 筋力を1ランクアップさせることが可能。狂血病患者としての特性。
 ただし、このスキルの使用中は1ターンごとに幸運判定に成功しなければならず、失敗すると吸血衝動に襲われる。

千里眼:C
 視力の良さ。遠方の標的の捕捉、動体視力の向上。
 サンベルナルディノの自警団数人に囲まれた際にも、アーチャーは子供たちを守りながら彼らの銃だけを早打ちで破壊したという精密な射撃の腕前がある。

カリスマ:C+
 軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
 メキシコとの国境からアメリカ西部まで、キャラバンから果ては敵対する防疫修道会の面々まで率いて戦闘した経験に基づく。
 相手が死徒や吸血鬼だった場合は更にカリスマ性が上がる。


【宝具】
『傘に着て懸かる西部の陰(ハウ・ザ・ウエスト・ワズ・ウォン)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:16人
 アーチャーが愛用している、新型のヘンリー連発ライフルを改造した黒い日傘。
 ベースとなったヘンリーのレバーアクションライフルは、南北戦争において南軍から「北部野郎の銃は日曜日に弾を込めれば一週間ずっと撃てるのか、忌々しい!」と評された逸話を持つ、連射速度・装弾数・火力に優れた銃である。
 この宝具はその利点をそのままに、装弾機構をスペンサー式にすることで、ネックだった戦闘途中での給弾の難しさを解消しているなど、様々な改良を加えられている。
 銃身に沿ってジャンプ式の黒い傘が取り付けられており、ワイヤーの編み込んである傘は、そのままでも38口径程度の弾丸なら軽く弾き返せる。
 Cランクの対魔力スキルと矢避けの加護がエンチャントされており、傘の展開時には大抵の射撃攻撃・魔術をこの傘で防ぐことが可能。
 これにより、敵弾を防御しつつ一方的に相手へ射撃攻撃を加えることができる。
 銃口に専用の鉄針を取り付けて刺突武器として使うこともでき、日傘として用いれば直射日光による狂血病特有の疲労を軽減することも可能。
 南北戦争期に横行した奇銃の一種ではあるが、その性能は非常に高い。

『吸血聖女(サンタ・サングレ)』
ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1000人
 『黒衣の者』の娘として、高い狂血病スキルを持つが故の特性。
 狂血病発症時に、睥睨と咆哮で、Bランク以下の狂血病スキルを持った周囲の者全ての行動を意のままに操作することができる他、好きな時に自分の狂血病を発症させられる。
 だが当然、自分が正気を保っていなければこの効果は使えない。
 アーチャーは大抵、自分も吸血衝動で狂化Eランクとなりながら、凶暴化したその他の狂血病患者の吸血衝動を纏めて抑えるために使っていた。
 この効果は死徒や食屍鬼にもある程度有効。

『煉滅弾(プルガトリオ)』
ランク:A+ 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1人
 狂血病を浄滅する防疫修道会の中核であるソリア七会士の一人『薬読のアンナロッテ』が作成した、強力な概念武装の銃弾。
 大口径の銀製の徹甲弾内に彼女の製作した特殊な薬剤が仕込まれており、命中した対象を内部から破壊し浄滅する。
 アーチャーが作成するには相応の魔力が必要だが、吸血鬼や死徒に対しては絶大な効果を誇り、確実にその命中部位の復元呪詛を無効化して死を齎しうる。
 その他のサーヴァントや防御魔術に対しても、着弾部位から拡散する薬剤で広範囲を焼灼し、治癒困難な呪的損傷を負わせる必殺の礼装である。

【weapon】
 日傘銃『傘に着て懸かる西部の陰』の他、ブーツの底に仕込みナイフを隠し持っている。
 アリゾナ州サンベルナルディノのシスター・セシリアよりもらった十字架を首輪に取り付けており、手裏剣のように投げて牽制したり、吸血鬼に対して有効な概念武装として使う(自身にも有効なため、これを掴んで吸血衝動を押さえ込んだりもする)。
 スコフィールド44口径、煉滅弾専用の単発拳銃などのサブ火器も携行している。


【人物背景】
 漫画『吸血聖女キリエ』の主人公。ミズーリ州ホーリーロックの生まれ。
 19世紀末のアメリカ合衆国では狂血病が流行しており、彼女はその元凶たる『黒衣の者』の血をひく娘。
 肌は雪よりも白く、髪は夜よりも黒く、瞳は血の赤より赫い。
 修道女の母親と慎ましく暮らしていたが、墓場が荒らされていることを不審に思った村人の通報により、その存在を修道防疫会に知られてしまう。
 キリエを庇って銃弾に倒れた母は、己の血肉をキリエ与え、ここから逃げるように言う。
 キリエは友人・ルーミーの目の前で母を食い、修道会の者や村人のほとんどを皆殺しにして逃走した。

 その後5年間単身で、狂血病患者の浄滅を掲げる教会、聖地ソリアより来たる者たちと戦いながら旅していた。
 自身も狂血病患者である彼女の旅の目的は生き別れとなった父親、『黒衣の者』と呼ばれる吸血鬼達の王を探し出し、その血液から狂血病患者を救うワクチンを作ることである。

 旅の果てに、ソリアを占拠した黒衣の者の元にたどり着いたキリエに、『黒衣の者』は、狂血病により神は人の魂を試していると語る。
 頭に茨の冠をつけた『黒衣の者』と戦うキリエは、片腕と片脚を失う重傷を負いながらも『黒衣の者』を追いつめ、特製の銃弾をその頭に撃ち込むことに成功した。
 それにより、彼の支配から解放された吸血鬼は朽ちていったが、原初の吸血鬼である『黒衣の者』はそれでも倒し切れず、血は手に入らなかった。

 日光に弱いため、銃を改造した傘を装備しており、太陽光を防ぐための黒い服と、自らを戒めるような首輪、手錠をしている。
 狂血病だが、他の狂血病患者とは違い、吸血鬼を王のように睥睨する力を持つ。
 口癖は「ウザい」。
 ちなみに、「キリエ」とは「主よ」を意味する。

【サーヴァントとしての願い】
 未だこの世に『黒衣の者』が生きているなら彼を倒す。また、狂血病を治療するワクチンを入手する。


【マスター】
八島聡美@ヴァリアブル・ジオ

【マスターとしての願い】
 聖杯戦争を勝ち抜いて優勝賞品を手にし、弟と二人暮しの極貧生活から抜け出す。

【能力・技能】
 旭神空手という流派を修めており、段位は4段。これに自身の発火能力を組み合わせて戦う。
 中学2年生の時にライバルである武内優香と出会うまでは空手大会を総ナメにしていた。
 少なくとも『ADVANCED V.G.』、『ADVANCED V.G.2』での技は全て使用可能。
 ことによるとOVA版の技も使える。
 また、びっくりモンキーというハンバーグレストランでアルバイトをしており、ウェイトレスとしての技能もある。

【weapon】
 拳や足に自前のサポーターを身に着けている。
 聡美が自身の魔術で火を灯しても焼き切れたりはしない。
 火属性の強化が施されたこの装備は、旭神空手の技『応報』で、神秘性の低い射撃攻撃や魔術なら弾き返すことすらできる。


【人物背景】
 格闘ゲーム『ヴァリアブル・ジオ』シリーズのキャラクター。アニメではライバルとして出演し、小説では主役となった。 
 『ヴァリアブル・ジオ』とは、最強のウェイトレスを決めるべく、超多国籍企業・謝華グループの主催で年に1度行われる格闘技大会である。
 賞金総額は10億円。選手の所属企業には、伝説の一等地が与えられる。
 不況の煽りを受け、業績不振に苦しむ外食産業にとっては願ってもない賞品であった。
 各企業に謝華グループから送られてきた1通のFAXから始まったこの大会に不参加を表明する企業は無く、いつしか年に1度の恒例となっていたが、開催から3度を数えるも未だ参加企業からの優勝者はなく、謝華グループの総帥であるレイミ・謝華がその栄誉を守ったままであった。
 V.G.大会への彼女の参加理由は、「10億円とは言わず、生活に困らないだけのお金が欲しい」である。

 高校3年生の17才。誕生日は10月22日(天秤座)で血液型はO型。
 154㎝・41㎏、3サイズは上から78/51/82。将来の夢は体育教師。
 両親を事故で亡くした為、遠縁の親戚に引き取られたが、自らの発火能力が発現して、遠縁の横暴な男に火傷を負わせてしまったことがあるようだ。
 各所で望まずとも不良を成敗した事なども問題となり、こうした経緯から聡美は「魔女」「鬼の子」と疎まれたこともあった。
 ついにどこも引き取り手がなく、アパートで小学6年生の弟・大介と2人で生きていく事を余儀なくされたらしい。
 その件から必死に常人を演じていたこともある。
 弟を養いながら学費と生活費をアルバイトで稼いでいる。

 シリーズの主人公格である武内優香とは同門の仲間。
 お互いを良きライバルとして認めているが、内心では優香との才能の差にコンプレックスを抱いている。
 性格は直情熱血型で、常に熱血しているタイプだが、『V.G.2』の時点では、冷静・知的でどこか影のある雰囲気も帯びてきた。
 最近は道場で小学生組の指導を始めている。

【基本戦術、方針、運用法】
 マスターである聡美の意向により、積極的に聖杯戦争で勝ち抜くことを考えているが、マスターは殺さず、基本的にサーヴァントだけを落とす方針で動く。
 そうは言っても、少女のマスターであれ、締め落として無力化するくらいのことはやる。

 アーチャーもマスターも基本的に、地の利を鑑みつつの直接戦闘をするだろうが、それなりに戦闘もできるマスターを敢えて囮にし、物陰から狙撃するという手も用いるかもしれない。
 引けるタイミングがあればヒットアンドアウェイを繰り返して相手のスキを伺い、切り札の『煉滅弾』を撃ち込んで相手を屠ることを狙う。
 マスターは魔術の指導を受けていないとはいえ、人並み外れた火属性の魔術回路を有しているため、アーチャーの礼装である『煉滅弾』も、それ以外に魔力を使わなければ生活に支障なく1日1発作る程度の魔力は供給することができるだろう。

 アーチャーが血液を散布して方々の人に飲ませるか、無差別吸血行為に及べば、一帯に狂血病のパンデミックが起きて、吸血鬼の群れを率いた軍すら作れてしまう。
 が、アーチャーは自ら忌み嫌う穢れた血でそんな行為を起こすことは絶対にしないだろう。
 血液の感染性は、日光や外気にある程度晒してしまえばなくなるようだ。

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最終更新:2015年05月02日 06:31