佐倉杏子&アーチャー ◆KQwctnrg6E
少女が逃げる。
顔をくしゃくしゃにして、髪を振り乱して。それはまるで所業を白昼の下に晒された空き巣のようであった。
「はっ、惨めったらありゃしないね。負け犬らしいっちゃらしいけどな」
佐倉杏子はその後姿に侮蔑的な視線と言葉を吐き捨てる。
余程サーヴァントの力が優れていたのか、出会い頭こそ自信満々に死を宣告してくれた高飛車女。
その儚い自身も、彼女のサーヴァントが既に仕留められていた事に気づけば粉々に打ち砕かれた。
天国から地獄。一転し聖杯戦争の敗者となった彼女は無様をさらして逃げるのみとなったのだ。
「……マスターの方は仕留めなくてよろしかったのですか?」
その背後から黒衣の女性サーヴァントが杏子に声をかける。
つがえていた弓に現れる通りにアーチャーのサーヴァントである彼女は、”霊体化を解きながら”弓を降ろした。
「必要ないよ。サーヴァントを潰した時点であいつは脱落者だ。
仮にマスターを失った別のサーヴァントと手を組んだとしてもどのみち頭数は変わりやしねえし、
その可能性を摘む必要があるほどやり手じゃねえのはあの背中を見りゃ一目瞭然だ」
道端に寄せておいた紙袋を拾いながら答える杏子に、アーチャーは「そうですか」とだけ相槌をうち再び霊体化する。
「今日は引き上げる。あんたはともかく、あたしが闇討ちされない保証は無い」
『了解しました』
事務的な口調でそれだけ告げるアーチャーの声を聞き遂げた杏子は踵を返して教会に向かう。
本当ならもういないはずの両親と妹が待つ、その家に。
その後姿を見て、アーチャーは彼女が告げたこの聖杯戦争における目的を思い出していた。
――あたしは、願望機に頼るのはもう御免だ。
――かといってこの世界に居残りたくもない。
――だから、私はこの聖杯戦争を終わらせる。その過程でもし聖杯が手に入ったら、あんたが好きにしろ。
女神の願いに応じて馳せ参じる自分たちとはまるで逆だな、とアーチャーは考える。
佐倉杏子は家族を失った少女だ。
宇宙的存在の誘いに惑わされた彼女は、代償として魔法少女となる事を承諾し父の幸せを願う。
けれどもそれは造られた幸せ。絡繰りを知った父はそれを拒み、願った娘を罵って母と妹を連れてこの世から去った。
それは杏子の心に暗い影を落とす絶望の記憶で。
ゆえに彼女は、あの時とは別の存在といえども願望機を使って願いを叶える事を良しとしなかった。
仮に聖杯を手にしたとして、アーチャーが聖杯が不要と述べれば躊躇なく破壊するだろう。
――ならば、それで良いだろう。
アーチャーとて、聖杯にかける願いが無かった訳ではない。
「願いによって絶望した」事を聞いたぐらいで杏子の過去を聞いた訳でもない。
けれども、万能の願望機と失った幸せの偽造を嫌ったこの少女の目の前で願望機を望むつもりは無かった。
あの国は、きっとそんな都合の良いものが無くとも平和を勝ち取れる。
それは仕えた国を裏切る事になるだろうか。
それでもアーチャーは、己の望みよりも主の望みを立てる事を選んだ。
何も、今までとやる事は変わらない。主に仕え、影に生きて、影の中に消える。
ただ、戦う相手が変わっただけ。
魔物ではなく人間を相手取る事になったとしても構いやしない。
「……どうした、行くぞ」
『ええ。主命のままに』
一組の主従は闇の中に消えていく。
世界のためでもなく、正義のためでもなく。
ただただ、彼らだけのための戦いの中へ。
【クラス】
アーチャー
【真名】
漆黒の射手リタ@千年戦争アイギス
【パラメーター】
筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:D 幸運:B 宝具:C
【属性】
中立・善
【クラススキル】
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
単独行動:A
マスター不在でも行動できる。
ただし宝具の使用などの膨大な魔力を必要とする場合はマスターのバックアップが必要。
【保有スキル】
心眼(真):B
修行・鍛錬によって培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理”
逆転の可能性が1%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
気配遮断:B
サーヴァントとしての気配を絶つ。
完全に気配を絶てば発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
影矢:C
飛び道具を発射した時、その影を二つ目の飛び道具として具現化出来る。
影の発生しない場所ではこのスキルの効果は発動しない。
【宝具】
『隠密の射手』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:1人
存在を認知される事なく一方的に弓矢で射抜く、影なる弓兵としての宝具。
マスター、サーヴァント、双方に対し不可視と認識不能を伴い暗殺を試みる事が出来る。
(相手からの攻撃を無効化出来る訳ではない)
具体的にはこの宝具の使用中、アーチャーは霊体化状態で攻撃が可能となる。
加えて気配遮断のスキルを、デメリットを受ける事が無く使用出来る。
長時間維持する事は不可能。
『陰日向の兵舎』
ランク:C 種別:対地宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:10人
常に上を行く才能を持つ弓兵たちに隠れ、兵舎に忘れ去られたエピソードから来る宝具。
一軒家程度の建物をアーチャーの兵舎として定義する事が可能となる。
兵舎は一般人の認識から外れ、高い探知能力がなければ発見が難しい。
攻撃体制にない限り、内部の存在はアーチャーと同等の「気配遮断」の効果を得る。
この宝具を適用するには自分以外の動物等を除いた生物がいないか、
自分かマスターの居住地として定義される建物が必要となる。
【weapon】
弓と影
【人物背景】
影に紛れ気配を殺す事の出来る狙撃手。ぼーっとした性格。
ある時魔物に操られ王子一行に襲いかかり、正気に戻って仲間に加わった。
実力は高いのだが、同時期に優秀な弓兵たちが加入した事や
能力がニッチなため評価されず、三軍以下をしまっておく第二兵舎は
「リタちゃんハウス」と言われる始末。
ただし状況を選べば弱い訳ではない。
【サーヴァントとしての願い】
聖杯にかける願いはない。
【マスター】
佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ
【マスターとしての願い】
聖杯戦争を終わらせる。
【weapon】
魔法少女としての能力。
槍、多節棍、分銅鎖、鞭など。
幻影魔法も使用出来るがこちらは使いたがらない。
【能力・技能】
上記の通り魔法少女に変身出来る。
身体能力や魔力が人間に比べ大幅に上昇する。
人間ではなくなっているため、ソウルジェムを破壊されるか、
魔力の消費や絶望など負の感情によってこれが濁りきらない限り死ぬ事はない。
聖杯戦争においては魔力の消費によるソウルジェムの濁りが抑えられているほか、
敵サーヴァントを打倒する事によって(下したのがサーヴァントであっても)回復する。
【人物背景】
願いによって家族を失い、他人のための願いを否定する魔法少女。
他者が犠牲になっても構わないという価値観に基づき行動する。
それ以来自由きままに生きており、そのためには犯罪も厭わなかった。
しかしそんな生き方は内心嫌っており、正義感を持ち誰かの為に戦う
美樹さやかとの出会いでその心は少しずつ変わってゆく。
本当は不器用だが面倒見が良くて優しい少女。
【方針】
聖杯戦争を終わらせるために動く。
そのためには犠牲も覚悟の上。
最終更新:2015年05月02日 21:01