第四十話 お前はグレン団の鑑だよ!! 投稿者:兄貴 投稿日:08/11/13-15:45 No.3733
一人の少女が生まれ変わった。クラスの中でも特に目立つことが無かった少女はわずか数分の戦いで多くの者の記憶にその存在を刻み付けた。今まで決して主役になったことなどない。面倒臭いなどと言っているが、本心では自分に自信がなく諦めていただけ。しかしたった一つのキッカケで大きく成長することが出来た。春日美空は生まれて初めて受ける大歓声に心を躍らせていた。
その大歓声は今リングの上に倒れているアスナの耳にも入っている、しかし頭の中には入ってこない。彼女は薄れ行く意識の中に見ている映像に心を囚われていた。血だらけの男に幼い少女は懸命に叫ぶ最後の言葉。
『ダメ、ガトーさん!いなくなっちゃやだ・・・!!』
その人物が誰なのか思い出せない、しかし無意識にアスナは立ち上がった。
「!?」
「・・はあ、はあ、はあ、はあ・・・・・・・・・・・・」
『おお~と!神楽坂選手立ち上がったー!まだ勝負を捨てていないのか?ものすごい根性です!!」
突如立ち上がったアスナに美空も観客たちも驚いた、完全に決まったと思うほどの強烈な蹴りだったはずだ。しかし立ち上がったアスナの様子がおかしい、息も荒く、目の焦点が合っていない。無言のまま不気味な雰囲気をかもし出すアスナ、その姿にネギたちは一気に不安になった。しかし降参する様子はなさそうである。有頂天になっている美空は気にせずアスナを指差しながら口を開く。
「私の蹴りをくらって立つとはやるじゃないかアスナ!しかし、これで終わりだ!」
美空はアスナに向かって駆け出した。自分は出来るという自信が今の彼女からは漲っていた。
「いくよ!思いつき必殺技!裂蹴・・」
その時だった!
―――ゾクリ
言い知れぬ悪寒が美空を襲った。自分の体を強烈な殺気で覆われるような感覚、まるで自分の命そのものを握られているような感覚だった。わずか一瞬だけ美空の体が強張った、その瞬間をアスナは見逃さず逆に自分から間合いを詰め、美空の衣服を掴んだ。
「しまっ!?」
一瞬の恐怖に集中力が途切れた、アスナは捕らえた美空の衣服を掴んだまま、美空がアスナにしたように腹部に膝蹴りを入れようとする。
「くっ!?」
―――ガシン!!!!
しかし美空はギリギリのところで足を出しアスナの膝を止め、その勢いを利用しアスナの膝を階段のように利用し、もう片方の足でアスナの顎を膝で打つ。
――ガコン!
咄嗟の攻防だったがその反動でアスナは美空の衣服を離す。その瞬間を見計らいアスナから後方へ飛び慌てて間合いを取る。間一髪で危機を逃れた美空のアクロバティックな動きに会場が盛り上がるが、当の本人からは冷たい汗が流れていた。
(今・・・もし当たってたら・・・・・)
もはやアスナの攻撃を生身で受ければ大ダメージは免れない、そして今のアスナは躊躇なく自分に攻撃を仕掛けていた。そう思ったら膝がガクガク震えてきた。ネギたちが何やら声を上げているが今のリングにいる二人の耳には入らない。美空は恐怖を感じていた、強烈な殺気を宿した瞳を持つアスナを。
美空の反撃が効いているかどうかは分からない、しかしアスナは無言のまま床に落ちているハリセンを拾い上げた。そしてその瞬間先程までとは比べ物にならないほどの強烈な光がアスナを覆った。光の強さは禍々しさを増し、そしてアスナのハリセンが巨大な大剣となった。
『神楽坂選手の反撃!・・しかし・・・アスナそれは、まずいって!?』
「アスナさん!?」
「まずい・・・避けろ!美空!!」
リングサイドでネギたちが大声を張り上げる、しかし美空は反応できない、身体が震えて言うことを利かない。無表情のアスナは大剣を振りかぶり美空へ襲い掛かる。
「あっ・・・・アスナ・・・あっ・・・ああ・・・・・」
「いけません!?」
「くっ・・・間に合え!?」
クウネルがらしく無い焦りの声を上げる。タカミチもポケットに手を入れアスナを力ずくで止めようとする。美空はまだ動けない、
しかし絶体絶命のその瞬間・・・・駆け出したアスナは急にその場に立ち止まった。
「えっ!?」
「ア・・・・・アスナ君・・」
攻撃しようと思った瞬間アスナは立ち止まった。その様子を見てタカミチは慌てて攻撃の手を取りやめた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
無言で立ち尽くすアスナ、会場が静まり返る。その時、無心のアスナの頭の中に一つの言葉が流れた。
『幸せになりな・・・嬢ちゃん・・・・あんたにはその権利がある・・・』
その瞬間、無表情だったアスナの目に涙が浮かび上がる、そして彼女は震える唇で呟いた。
「・・・・・・ガトーさん・・・・・・・・・・・・・」
「「「!?」」」
彼女が不意に呟いた言葉にタカミチ、クウネル、そしてエヴァが驚愕の表情を浮かべる。そして一言呟いたアスナからはポロポロと大粒の涙が溢れ出す。そして彼女は歯を食いしばり顔を歪め、空を見上げて大声を上げる。
「・・・ガトーさん・・・ガトーさん!・・・ガトーさあああああああああああん!!!!うわああああああああああああああああああああーーーーっっ!!!!」
剣を手から離し両手で頭を抱えアスナはその場に膝をついて泣き叫んだ。嗚咽交じりで何度も何度も泣き叫んだ。
「アスナさん・・・・・まさま・・・・記憶が・・・・」
「そんな・・・し・・・師匠・・・」
「バカな・・・・・ガトーだと!?・・・なぜ・・・なぜ神楽坂明日菜が・・・・・」
クウネルたちが何を言っているのか分からない、しかしネギたちはただ呆然と見ていた。自分たちのクラスメートであり親しい友であるアスナの豹変振りに、今のアスナはただ子供のようにその場にうずくまり大声で泣き叫んでいた。
「・・・・・アスナ・・・?」
美空もようやく落ち着きを取り戻した。そんな彼女の目に入ったのはただ泣き叫ぶ弱弱しいアスナの姿だった。
「うっ・・うっ・・・くっ・・・はあ、はあ、はあ、はあ、」
徐々にアスナの息が整っていく。するとアスナは腕でゴシゴシ目元を拭きながら立ち上がった。
「アスナ・・・・どったの?」
「・・・・・・・わかんない・・・・」
答えるアスナは美空が知っているいつものアスナだった。試合前の先程の覇気はそこにはなかったが、アスナは息を整えながら口を開く。
「途中から訳わかんなくなっちゃって・・・・何か・・・大切なことを思い出した気がした・・・・」
少しでも冷静になろうと懸命にアスナは頭の中を整理しようとする。しかし肝心なところで記憶が途切れてしまう。そのことをとても歯痒く感じ、悔しさで顔を歪ませる。
「でも・・・もうそのことを思い出せない・・・・なんで自分が泣いていたのかも・・・ただ・・・涙が・・とまらなかった・」
「アスナ・・・・」
美空に対してアスナは首を横に振る、今の事態に自分自身が一番驚いていた。この様子に一人拳を強く握り締め切なそうな瞳でアスナを見つめるタカミチ、彼の様子に気づいたのはクウネルだけだった。
理由も分からぬ悲しみに涙するアスナ、しかし彼女はそこで一つの答えを導き出した。
「でも、・・・・これだけは分かった・・・・・今の私は好き勝手生きていいわけじゃない・・・・思い出せないけど・・・絶対に・・・今の私を与えてくれるために・・・・命を賭けてくれた人がいた!!その人がいたからこそ・・・私は今を幸せに生きている!!・・・・・そう思えてならないの・・・・」
アスナ自身も自分に何があったのかは分からなかった、しかし封じ込められた記憶の底にある自分の原点のようなものを感じ取った。そしてアスナは顔を上げた。
「ネギのためだけじゃない・・・・私は・・・・・一人で生きてきたわけじゃない・・・その人の命も・・・・私は背負って生きていかなくちゃいけないの・・・・・・」
「そっか・・・・よく分かんないけど、ネギ君といいアスナといい・・・刹那さんといい・・皆何かしら抱えてんだね・・・」
アスナの言葉を聞いてタカミチは涙が出そうになった、自分の口から今その答えを言うわけにはいかない、しかし今すぐにでも答えたい衝動に駆られていた。アスナはさらに続ける。
「記憶は思い出せなかったけど・・・・さっきまでの自分を覚えてる・・・・多分・・・あれが私の本当の姿だったのかも・・・・」
それはクラスメートを躊躇なく斬り捨てようとした強烈な殺気を放ったアスナの姿、それを聞いて美空も少し難しい顔をする。しかし
「でもっ!!・・・・私を救ってくれた人は・・・・思い出せないけど・・・・絶対にさっきまでの私じゃなく・・・今の私に・・・・今を幸せに生きている神楽坂アスナの姿を願っていたはず!!」
「アスナ・・・・」
「だからっ!・・・だから・・・踏みとどまることが出来た・・・・神楽坂アスナでいることが出来たの・・・・」
アスナの過去、美空やネギにも分かるはずが無い、アスナが誰の犠牲の上に今を生きているかは分からない、それは当の本人でも分からないこと。しかしそれでも彼女は今の神楽坂アスナでいることに、こだわった。
(師匠・・・見ていますか・・・・師匠、・・あなたが賭けた命は・・・こんなに・・・・こんなにっ・・・強く・・・・・・・・・)
思わずタカミチは口元を手で覆ってしまった。必死に顔に出そうとしないタカミチだがクウネルにはすぐに分かった。彼はタカミチを温かい目で見て戦友に向かって心の中で呟いた。
(よかったですね・・・・・ガトー・・・・・アスナさんは本当に・・・強くなりました・・)
クウネルは再びリングを見上げる、そして自分の想像を遥かに上回った二人の少女の最後の決着を目に焼き付ける。
「美空ちゃん・・・ごめんね・・・・なんか私ひどい事したみたいで・・・」
自分の意識が途切れていたときの事をアスナは呟いた、しかし美空は高らかに笑い飛ばした。
「アスナ~、確かに剣で斬られたらまずかったけど、アスナは自分の力でそれを止めたんだしいいじゃん?細かいことは気にすんなって!それに私だって負ける気ないしね♪」
「・・・・・ありがとう・・・・美空ちゃん・・・・よし!」
美空がいつもと同じ笑顔を見せてくれてアスナの心は救われた。目元にある全ての涙を拭いアスナは再び瞳に輝きを取り戻した。そして美空に向かって指差した。
「私は神楽坂アスナ!!グレン団の春日美空!いざ・・・尋常に・・・・勝負!!」
「ふふ~ん、上等だアスナ~!」
「「「「「「「わあああああああ!!!!」」」」」」」
互いに最高の笑みを浮かべ、再び両者は構えた。
アスナは床をチラッと見ると自分のアーティファクトはいつの間にかただのハリセンに戻っていた。アスナは武器をもう一度掴み取り美空へ向ける。睨みあう両者、先に動いたのは美空だった。
「いくよ!多重残像拳!!」
『おお~と春日選手が急に増えた!これが噂の分身の術か!?』
アスナの周囲を囲みリング一杯に姿を現す美空の姿。
<豪徳寺さん、これは・・・>
<これは分身ではありません!春日選手の高速の動きによって発生した天然の残像!私も小学生の時に読んだ文献以来、生で初めて見ました!感動です!>
「おお~・・あの姉ちゃんあんなことも出来るんか?」
「やるで・・・ござるな・・」
驚嘆の声が漏れる会場、見るのは初めてでも意外とポピュラーなその技に多くのものが感心する。しかし一人、技よりも美空自身に注目するものがいた。
(見えない・・・・・本物は・・・・・分からないなら・・・・よし!)
徐々にアスナとの距離を近づける美空、その間合いがアスナの間合いギリギリに差し掛かったときアスナは動いた。
「今だ!!どりゃああああああああ!!!!」
「いっ!?」
アスナはなんとハリセンを大きく振りかぶりリングを思いっ切り叩きつける。
―――ダァーーーン!!!!
リング全体に衝撃が走り揺れる。足場が突如揺れた美空は体勢を崩し動きが止まり本体一人となった。その瞬間をアスナは見逃さず一気に攻める。
「くらえ!見よう見まね、斬岩剣!!」
(ステップを踏んでる暇は無い・・・・・なら・・・・・飛び込む!)
迫り来るアスナに美空は冷静に状況を判断し、崩れた体勢を利用して美空はそのまま片足だけ伸ばして宙返りをしてその反動の足をアスナに振り下ろす。
「旋風カカト落とし!!」
――ガキィィィーーーン!!
美空の足裏がタイミングよくアスナのハリセンとぶつかる。威力はアスナが少し勝っているもののお互いぶつかった衝撃で後方へ弾き飛ばされる。
「くっ!?すごい・・・・美空ちゃん・・・」
「かなりビビったよ!アスナ・・・・」
体勢を再び起こし悔しさで顔を歪ませるアスナと美空。
『だあ~!凄い攻防だ~~~!互いに一歩も譲りません!!』
「がんばれー美空ちゃーん!」
「バカレンジャーもシスターも、すげーぞー!」
ほとんどの観客が二人の間に何があったかは分からないが二人の少女に会場が再び熱を取り戻す。その熱気に当てられ再び二人に高揚感が戻ってきた。
<さて・・・・再び仕切りなおしとなりましたが豪徳寺さんはどう見ます?>
<はい・・・このまま決着がつかなければ判定となります・・・・・判定になると中盤の春日選手がリードと思われます。このままスピードで逃げ切れば春日選手が有利です>
制限時間も限られている、先程の攻撃を除けば確かにアスナは今日一度も美空に攻撃を入れることが出来なかった。正直このままいけば美空の勝ちになってしまう。そこでアスナは賭けに出た。
(このままじゃ・・・・なら・・・・・よ~し!)
「美空ちゃん、次の一撃で終わらせるわ!さあ、かかって来い!!私の全力全開で美空ちゃんを倒す!!」
アスナはなんとハリセンを野球のバッーターのように構え、自分の残りの気を全て身体中に漲らせる。一瞬意味が分からず呆けた美空だが、すぐに理解した。
「おいおいアスナ~、私に正面から来いって言ってんの?」
「そうよ・・・・それともグレン団の美空ちゃんはこのまま時間切れまで逃げ回る?」
「むっ!?そう来たか~」
アスナの挑発だった。自分から美空を捉えることは出来ない、ならば一か八か正面から美空を迎え撃つ、それが彼女の出した結論である。慣れない心理戦だがグレン団の名前を持ち出すことによってアスナは美空を自分の土俵に上げようとした。これはうまい手だった。美空は苦笑しながらアスナに呟く。
「ずり~ね~アスナは、それを言われたら私もやるしかねえじゃん?」
「えへへ、別に逃げてもいいのよ?正々堂々は美空ちゃんのキャラじゃないと思うし」
「無理だよ・・もう、今の私は敗北よりもこの背中のマークに恥じることが怖い、だから・・・・・やったろうじゃんか!!」
お互いがニヤリと笑い合う、ネギやシモンたちもゴクリと唾を飲み込み、二人を見届ける。すると美空は一度リングサイドをチラッと見た。
「これをやると筋肉痛になるからヤダったけど・・・・私の秘密兵器を見せるよ・・・・ココネ!」
不意にココネの名を呼ぶ美空、一同がココネに注目すると、彼女は美空の言いたいことが分かったのかコクリとうなずく。するとココネはとんでもないことをしでかした。
「契約執行(シス・メア・パルス) 30×秒間!! ココネの従者(ミニストラ・ココネ)春日美空!!」
「「「「「「なにィィィ!?」」」」」」
「はあ!?ちょっ・・・美空ちゃん!?」
なんとココネが契約執行し美空に魔力を送り出した。この予想外の事態にアスナを始めネギたちは驚きを隠せない。
「何驚いてんのさ?アスナはこれよりもっとすごい咸卦法やってんじゃん?・・・・でもこれで・・・・私も全開だ!」
『何と春日選手も神楽坂選手同様に光が体を包み込む!?そして・・・・春日選手も構える・・・・なんとこれは・・・陸上のクラウチングスタートだ!?』
美空は何と姿勢を低くして陸上の構えをしてアスナの正面を向く。
「チョロチョロ動かない、私も全力で真っ直ぐ突っ込むよアスナ!」
美空はゴールテープを睨むスプリンターの目になった。獲物を睨む獣のようなオーラにアスナはゾクゾクする。
「すごいね・・・美空ちゃん・・・・・美空ちゃんも・・・グレン団も・・・・」
「当たり前さ、この背中のマークは・・・15年生きてきた中で私が初めて手にした勲章なんだ!だから・・・・この誇りを裏切るわけにはいかないさ!」
美空の強い信念の目、今ここにいる春日美空はアスナにとって最強の相手、アスナは心を静かに目を閉じた。
『なんと神楽坂選手は目を閉じて構えます!?一体どういうつもりだ!?』
「私も細かい戦略なんて考えない!どうせ見えるわけ無いんだし・・・・・私も覚悟を決める・・・・自分の感覚を信じて・・・・迎え撃つ!」
「だったらその壁を私は突き破る!!受けろ、私の速さを!!!!」
まだ発展途上ながらお互いの全てをかけて向かい合う。シャークティはただ手を合わせ祈りを捧げていた。彼女が何に祈っているかは知らない、しかしそうせずにはいられなかった。
美空は呼吸を整えていく、今まで出場したどの陸上部の大会よりも緊張するスタート前だ。しかし今の彼女は緊張で押しつぶされたりはしない、懸命に「ヨーイドン」の合図を計っていた。そしてようやく膝を軽く浮かせた。
(いくよアスナ!!)
その瞬間美空は風になった。
『春日選手・・消えた!?』
「速い!?」
「春日君!?」
「アスナ殿!?」
美空の全力疾走、魔力で更に強化した美空の姿を大半の人間が目で見ることは出来なかった。しかしアスナの心は落ち着いていた。
(感じろ・・・・風が迫ってくる・・・この風が美空ちゃん!・・・・・・今だ!!)
アスナはハリセンを振りかぶる。そのタイミングはドンピシャである。
「捉えた!」
「タイミングが同時なら・・・・決着は・・」
「破壊力!」
「破壊力はアスナさんが上!!」
感じ取った美空の暴風、アスナのギリギリに追い詰められて手にした感覚が美空の動きを捉えた。
(今の私は何も思い出せない・・・でも・・いつか必ず思い出します・・・そして今の私があるのは・・・あなたのおかげですって・・・必ず言います!!)
振りかぶったアスナは心の中で未だ何も知らない過去の恩人へ誓った。
(さすがアスナ・・・やるね・・・・・でも!・・・)
優れた動体視力を持つ美空の目にはアスナの振りかぶるハリセンの軌道が見えていた。そしてこのままでは自分が負けることを。しかし陸上選手はこのままではない。
(えっ!?加速した!?)
完全に風の動きを読んだと思ったアスナだが、急に迫る風が速さを増したことに驚愕する。
(ゴール前の加速がスプリンターの命!そして私のこの背中のマークが後押ししてくれる!これはカミナさん達グレン団が命を賭けた誇り!同じものを背負ってるんだ・・・だから・・・・この勝負は・・・・・)
「女の魂完全燃焼美空アタッーーーーーーーーク!!」
――――――――ドガーーーン!!!!
強烈な衝撃音とともに噴出した風と閃光がリングを覆う、美空は自身の身体を弾丸と変え、アスナに体当たりをした。
『両雄激突!はたして・・・・・・・勝ったのは・・・・・・・』
朝倉が目を凝らしてリングに注目する・・・・すると光が晴れリングの上には両手と膝を地面につけている美空がいた。
『リングには春日選手!そして・・・神楽坂選手は・・・・いました・・・・場外です!』
朝倉がキョロキョロと辺りを見渡す・・・すると場外に飛ばされ仰向けになって倒れているアスナがいた。どうやら気を失っているようだ。その瞬間美空が立ち上がった。
「勝負はわずか一歩差・・・・踏み出した勇気と気合と・・・背負った誇りの差で・・・今回は・・私の勝ちだ!!!!」
高らかに宣言する美空は拳を思わず天に向かって突き上げた、そしてその言葉を受けて朝倉が手を上げる。
『勝負あり!戦闘続行不可能!よって・・・・春日選手の勝利です!!!!』
「「「「「「うおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」
「すごかったぜ美空ちゃん!俺ファンになっちまったよ!」
「ハリセンの姉ちゃんも凄かったぜ!」
『色物勝負かと思われましたが予想を遥かに上回る大激戦でした!その戦いを制したのは謎のシスターの謎を明らかにした春日美空の勝利です!春日選手2回戦進出です!!』
それはまさに紙一重の差だった。アスナの振りかぶったハリセンが美空が踏み込む一歩分より速ければアスナの勝ちだった。しかしその踏み出した一歩の差が決着を着けた。グレン団美空は初めての勝利を手にしたのだ。鳴り止まない大歓声、その拍手は勝者の美空と、全力を出したアスナの両名に送られた。
「う~ん・・・・ん~・・・・あれ・・・ここは?」
意識を取り戻し、身体を起こすアスナ、目を見開き辺りを見渡すとそこには心配そうに自分を覗き込むネギや刹那たち、そして美空の姿があった。
「アスナさん!」
「ネギ?・・・・それに皆・・・・・ハッ!?試合は!?」
一瞬頭がボーっとして目覚めていなかった頭が一気に目が覚めた。アスナは勢いよく飛び上がりネギに問いただす、しかしネギや刹那たちが言いづらそうにしている様子を見て全てに気づいた。
「あの・・・アスナさん・・その・・・」
「いいわよもう、・・・そっか・・・・私負けたんだ・・・・・」
興奮気味だったが結果を理解したアスナはすぐに肩の力が抜けた。自身の全てを賭けた勝負だったが力及ばず敗北したことが分かった。
「でも、アスナさん凄かったですよ!僕、アスナさんにも美空さんにも感動しました!」
「そうですアスナさん!ネギ先生だけでなくアスナさんの力は会場中の者が知っています!」
落ち込むアスナにフォローしようとネギも刹那もアスナを懸命に励まそうとする。木乃香やハルナたちもアスナは凄かったと口をそろえて言っているが、それでもアスナの悔しさは大きかった。
「はいはい、ありがと・・・・・・でも・・・・美空ちゃん・・・・本当に強かったよ・・・」
アスナは視線を美空へ向ける。すると彼女は少し照れくさそうにハニカンだ。美空に話が振られ、その言葉に古や楓も頷く。アスナも凄かったが美空の力は本当に予想外だった、
「そうでござる、一度手合わせ願いたいでござるな」
「せや、美空ちゃん凄かったな~」
「はは・・ありがと・・」
未だに人に褒められることになれていない美空はポリポリと顔を少し恥ずかしそうにしていた。
「見事でしたよ・・・美空」
「ああ、カッコよかったよ!」
「美空スゴカッた」
「ホント、私も驚いたわ」
「ぶひ~」
勢いよくブータが美空の肩によじ登る、ココネも美空の手を繋ぎ見上げる。グレン団のメンバーが美空の健闘を称えにやってきた。
「うは~皆・・・・いや~恥ずかしいっすね~」
「何を恥じるの?胸を張りなさいって!私もネギの言うとおり感動したわ!」
「ああ!困難に立ち向かって風穴空けたお前はグレン団の鑑だよ!!」
ヨーコとシモンも美空へ駆け寄りポンポンとその頭を軽く叩く、決してお世辞ではない彼らの言葉がとてもうれしかった。そして・・・・
「シスターシャークティ・・・・・」
「美空・・・・・・・」
シャークティと美空の目が合う、美空は少し戸惑ってしまった、試合には勝ったものの途中ではシャークティに叫ばせるほど無様な姿を見せたと本人は思っていた。しかしそんな美空の心情を察してかシャークティはゆっくり美空に近づき手を美空の頭の上に置いた。
「あっ・・・あの・・・・・」
呆ける美空、するとシャークティは手をチョップの形にして美空の頭を何度も叩く。
「まったく・・・なんです?最初のあの情けなさは、一体アナタはどれだけの期間修行していると思っているのですか?」
「あっ・・いや~・・あっはは・・痛いっすよ~・」
「笑い事ではありません、それについ最近から修行を始めた神楽坂さん相手に・・・・・」
シモンもヨーコも笑ってしまった。本当は誰よりも美空を褒めてあげたいとシャークティは思っているはずなのに、シャークティはここで美空に調子に乗らせて今後の修行を疎かにさせないよう、教師としての立場を崩さないでいた。
「大体中盤で攻撃が当たらないのを良いことに調子に乗って!そもそも実戦経験の少ない神楽坂さん相手なら避けられて当然です!オマケに途中で相手に怯えるなど・・・・情けない!」
「う~・・・面目ないっす~・・・・」
するとシャークティは手を止め美空に背を向ける。
「ただ・・・最後の覚悟と勇気は見事でした・・・・次の試合もがんばりなさい・・・」
それは美空にとっては彼女からの最大限の褒め言葉だった、厳しさを崩さないシャークティだがそれでも美空にとってはシャークティに褒められるということはとてつもない喜びだった。
「うっす!わかりやした!!」
美空は満面の笑みで力強く頷いた。シャークティはヨーコに「素直じゃないわね」などとからかわれていた。この光景にネギやタカミチたちも笑っていた。アスナも敗れたとはいえ、全力を出し切ったことにより清々しい気持ちだった。
「さて・・・次のエヴァの試合が終われば、その次は俺か・・・・色々準備しておこうかな~」
「そうね・・・私も少し疼いて来た・・・・シモン・・・リングで会いましょう!」
柔軟をして身体をポキポキ鳴らすシモンとヨーコは少し真面目な顔をしてこの場を後にしようとする。
「むっ!?おいシモンよ、私の試合を見ないつもりか?」
エヴァがシモンに少しむっとした態度で言う。
「見てるよ、でも俺も色々と準備運動とかしたいからな、それに今は勝った後のことより目の前のことに集中だ」
エヴァは対戦相手として見ておけという意味で言ったのではないのだが、それでも真面目な顔で告げるシモンにこれ以上文句を言うのに戸惑ってしまった。
「刹那もエヴァもガンバレよ、どっちが勝っても必ず俺もそこへ行く!」
シモンは二人に告げコートを翻してその場を後にした。不満そうなエヴァ、その様子にクウネルが口を開く。
「ふふふ、随分不満そうですね、そんなに彼とキスがしたかったですか?」
「・・・・・・・・んっ?・・」
「「「「・・・・あっ・・・・・」」」」
その言葉で全員今頃になって思い出した。試合前にしたシモンとクウネルの賭けをようやく思い出した。しかし美空とアスナの熱い戦いの所為ですっかりそのことを忘れていた。その瞬間エヴァはワナワナと震えだす。
「うがああああああああ!?神楽坂アースーナー!キサマ~・・・よくも負けたなー!!!!」
「ごご・・ごめんなさーーーーい!!」
「美空ちゃん!よう勝ってくれたわ!」
「私は信じていました美空さん!!」
「あはは・・ありがと」
爽やかな空気が一気に弾けてしまった。エヴァが怒り狂い、木乃香と刹那は美空の手を握りながら感謝していた。シモンとヨーコの耳にはその騒ぎの声が聞こえていたが、それを気にせずに二人は分かれた。
「さ~て・・・あいつの所へでも行ってみようかな~」
ヨーコと途中で分かれ一人になったシモンは、エヴァと刹那の試合を見る前にとある人物を思い出し、その人物の元へ向かった。
見渡す限りにコンピューターが並ぶ薄暗い部屋、盛り上がる会場近くのこの部屋に今二人の女がいた。
「ネット上の噂拡散震度及び進行速度全て異常なしです」
「よし、魔法近い側からの介入があるまでは現状維持ネ」
薄暗い部屋でカタカタとパソコンを打ち込むのはネギの生徒の一人の葉加瀬ことハカセだった。そして彼女といるのは超鈴音、大会主催者である彼女だが、試合の状況を直接ではなくこの部屋にある巨大なモニターで確認していた。
「となると問題は・・・このフードの人ですね」
ハカセがスクリーンにクウネルの姿を映し出した。
「ウム、さっき高畑先生たちの会話を盗聴したがサウザンドマスターの仲間で間違いないようネ」
「ええ~!?それってネギ先生のお父さんの・・・・まずいですね・・・」
超の言葉に驚くハカセ、しかし超はそれほど慌てた様子はなかった。
その時、
「―――そうか、クウネルさんはネギのお父さんの仲間だったのか・・・」
「「!?」」
不意に男の声がした。二人が勢いよく後ろを振り返るとそこには、
「よう、祭りの日に引きこもるのはよくないと思うよ?せっかくこんなに盛り上がってるんだから」
軽く手を上げて笑うシモンがいた。
「ウソ!?センサーに何も反応しなかった・・・どうやって・・・・」
「気合で♪なんてな、超のことばかり考えてたからかな?」
その言葉を聞いて超は軽くため息をつく
「やれやれ、ワープかナ?シモンさんはそんなことも出来たのカ?」
「まあ、細かいことは気にするなよ、それでクウネルさんの話だろ?どうせだから教えてくれよ」
シモンはお構いなしに二人の下へ歩み寄った、一瞬呆けていたハカセだが超の顔を見て「別にかまわない」というような目をしていたので構わず話を進めることにした。
「では・・え~、本名は『アルビレオ・イマ』といっても魔法界の資料にも詳しいことは載っていませんけど・・・しかしサウザンドマスターの仲間となるとエヴァンジェリンさんクラスと思っていいでしょう・・・」
「へえ~それはスゴイな~、それで・・どうするんだ超?」
「安心するネ、私の勘では・・・この男は私たちの戦いに関係ない、おそらく大丈夫ネ」
超はニヤリとシモンを見上げる、根拠はないがシモンもその言葉をアッサリと信じることにした。
「そうか、まあお前がそう言うんならそれでいいさ・・・」
「単純ネ、そういうとこ好きでもあるし嫌いでもあるネ」
「はは、そうか?」
それは他愛のないやり取りであった。二人が敵対関係であることはハカセも知ってはいるがとても今の二人にそれほどのギスギスした空気を感じられず、ハカセは少し首をかしげた。
「それで何しに来たネ?ただの様子見なんてことないネ?」
「いや、本当にただの様子見だよ」
「「・・・・・・・・・」」
シモンの行動に何か狙いがあるのかと一瞬危惧したが、どうやら本当にただの様子見なようで超は呆れてため息をついた。
特に用事が無かったため、このまま帰ってもよかったがシモンはある言葉を疑問に思いたずねた。
「さっきハカセが魔法界って言ってたけど・・・・魔法使いってそんなに多いのか?」
具体的に魔法使いの存在は学園の人間しかシモンは知らなかったため、それ以外の者たちに少し興味を持った。聞かれて超も少し考えたが隠すことでもないと思い、シモンの質問に答える。
「世界に散らばる魔法使いの人口、私の調べによると・・・・合計6千7百万人ネ!」
「は・・・・はあ!?ちょっ・・・そんなにいるのか!?」
「シモンさんも知らなかったようネ、そう・・これはかなりの人数ネ、さらに彼らは異界と呼ばれる場所にいくつかの国まで持っているネ」
その膨大な人口にシモンは開いた口が塞がらなかった。そもそも彼の故郷からしたら考えられないほどの数である。
「俺の世界じゃ100万人超えるか超えないかで一時世界が滅びかけたのに・・・俺も狭い世界にいたのかもしれないな~」
「むっ!?それはたしかアンチスパイラルの人類殲滅システムのことカ!?あれは事実だったカ!?」
シモンの呟きに超が身を乗り出して反応した。
「そうだよ、地上の人間の数が100万人を超えて空に輝く月が落っこちて来そうになったんだよ」
「おお!ではその月はアンチスパイラルに乗っ取られた大型のガンメンだったというのも・・・・」
「なんだ、よく知ってるじゃないか!」
「当然ネ!それで他にも聞きたいことがあるがいいカ?」
「ああ、いいぜ!何が聞きたい?」
それは異様な光景だった。少なくともハカセにはそう見えた。二人はお互いの信念を掛けて戦いあう敵同士のはずの二人がとても楽しそうに談笑している。シモンは立ち上がり身振り手振りで超に当時の状況や様子を語っている。それに対して超鈴音はまるで御伽噺を聞かされている子供のように目を輝かせてシモンの話を何度も頷きながら聞いて、時には手を挙げて質問したりしていた。
「ではラガンはやはり特別なガンメンだたカ?」
「そうだな、専門家はそういうふうに言ってたよ」
「う~む、興味深いネ・・・それと螺旋王についても聞きたいが・・・」
「ロージェノムのこと?どんなこと?」
話は終わりが見えなかった。超は物語の作者と出会ったときのような様子でシモンに次から次へと質問をしていく。あまりにもそれが幸せそうでハカセは何も言えずに黙って見ていた。
時間がコクコクと過ぎていく、さすがにそろそろと思いハカセが口を挟む。
「あの~、シモンさん次試合ですよね?そろそろ準備しなくていいんですか?」
「えっ?もうそんな時間?しまった・・・エヴァと刹那の試合見てないや・・・」
「そうか~もっと話を聞きたかったが残念ネ・・・・」
超は少し不満そうに頬を膨らませる、彼女の初めて見るふてくされた態度にハカセは驚いた。シモンは超の態度に少しからかおうか思ったが止めた。きっと意地を張ってごまかすだろうと思っていたからだ。シモンは苦笑しながら会場に戻ろうとしたが一つだけ気になったことがあった。
「そうだ、さっき言ってた異界って?」
「私も詳しくは無いが、この世界とは位相の場所にある魔法世界と呼ばれる場所ネ、興味あるカ?」
「新たな世界を掘り続けるのが俺の遣り甲斐だからな、・・・そうか~この世界にはまだまだ多くの未知な世界があるんだな~、本当にスゴイや~」
宇宙を左右する戦いをしたシモンはこの世の全てを知った気になっていたのかもしれない、しかしたった一年の旅で自分の知らなかった世界、そしてまだ見ぬ世界が限りなく存在する。それがシモンの無限の好奇心を刺激した。
「俺は・・・・いや・・・俺たちもアンチスパイラルも・・・・ひょっとしたら狭い宇宙を争ってたのかもしれないな・・・・・・」
100万を遥かに超える人類が住む世界、異形の力を使うものたち、魔法、全てが驚きと興奮の出会いだったことを改めて感じた。そんなシモンを見て超は告げる。
「興味があるなら行ってみればいい、とどまることの無い螺旋族の本能がシモンさんたちネ」
「そうだな・・・・・・アイツとの約束が・・決着がまだだしな・・・・」
その時シモンはこの世界に来て出会った強敵、白髪の少年を思い出した。再戦の約束をしたまま京都で別れた男を。するとシモンはいつものように笑い超を見る。
「だったらその前に・・・・・意地っ張りなお嬢さんと決着をつけないとな・・・・・・」
シモンの笑顔を見て超も笑顔を返す。
「フフフ、試合を楽しみにしてるヨ、シモンさんが魔法使いたちに完敗して恥かく姿を眺めてるヨ」
超の軽い皮肉を受けてシモンは手だけを上げてその場を後にした。結局本当にただ顔を出しただけで終わったが、超の様子にハカセは心配そうに尋ねた。
「あの・・・超さん・・・」
ハカセは超がシモンと本当に戦う気なのか疑問に思っていた。シモンの言うとおり本当に意地を張っているだけなのかもしれないと思った。もしそうだとしたらこの計画自体が意味を無くす危険性を感じた。すると超は少し悲しい笑みを浮かべていた。
「ハカセ・・・大丈夫ヨ・・・・そんなことシモンさんも分かってるネ・・・」
「でも・・・今の超さんを見てると・・・・」
「ハカセ・・・私は・・・エヴァンジェリンや木乃香さんより・・・美空が羨ましかたヨ・・・・」
「えっ・・・美空さんが?・・・・それは・・・シモンさんの家族だから・・・・」
「いや・・・そうじゃないネ・・・」
超は首だけ振りそれ以上を言おうとしなかった。ハカセもこれ以上聞くことは出来ないと思い、少し気になったが無理に聞き出すのをやめた。そして再びパソコンの画面に顔を向けた。
「茶々丸から通信です、どうやら千雨さんがパソコンで私たちの妨害をしようとしているようです・・・」
「ウム、もっとも彼女一人でどうにか出来ると思えないが警戒はしとくネ」
超も再び仕事に取り掛かった。先程までの彼女にとっては夢のような時間は全て忘れ、自分がなすべきことを進めていった。
(とても言えないネ・・・・うらやましかた理由なんて・・・・)
超はシモンに自分の気持ちを素直にぶつけるエヴァや木乃香がうらやましいわけではない、兄貴と慕う美空たちがうらやましいわけではない、ただ超は美空がその背に付けていたサングラスを掛けた炎のドクロのマークがうらやましかったのだ。
しかし彼女はその考えを捨てるように頭を振る。
(私にはあれを堂々と付ける資格はない・・・ならば倒すまで!・・・螺旋王やアンチスパイラルでも倒せなかった彼らを・・・私が倒すネ!)
少し寂しそうな目を浮かべ、超は一人心の中で誓った。
後書き。
皆様いつもやる気が出る感想をありがとうございます。美空が好評でうれしいです。しかも世界を縮めるあの兄貴のネタをいつか混ぜようかと考えていることをすでに見抜かれているのも驚きです。与作さん、刈夜さん、ビビリました。しかし嬉しい限りです。
思えばこの小説を書き始める前にシモンの側にいる人物を考える時悩みました。シモンの事情を知りつつ尚且つ恋愛には発展しない、シモンの辛い過去を知りながらも、シモンと肩を組みながらノリについていけるネギのクラスの魔法関係者の生徒、美空はドンピシャでした。本当は美空を京都の戦いで鬼相手に大活躍させる予定でしたが、あの時点でやるとネギパーティ側やシモンの活躍も薄れてしまうと思ったため、先送りにしました。
しかし本当は美空が活躍することはお蔵入りになる予定でした。というのもぶっちゃけた話ここまで続くとは思っていませんでした。実は第二十七話辺りで終わらせる気満々でした。カミナの名言もあの時無くなってきて、会話文ばかりの小説に限界を感じたため、ヘルマン戦でアバヨダチ公をやってネギ復活「シモンさんはもういない!だけど・・・・」という流れにする予定でしたが感想板が立っている事に気付き、妄想突破してしまい、もっと自分でも続けたくなり無理矢理、いくぜダチ公にしました。シモン死亡フラグを匂わせておいてアッサリ生き残った理由はそこにあります。実はあの時本当に死ぬか元の世界に帰る予定でしたが、慌てて書き換えました。今更ですが与作さんありがとうございます。おかげで美空を出せました。
まだ続けるつもりなので今後もよろしくお願いします。
最終更新:2011年05月10日 14:57