アットウィキロゴ

45-縮めるって何を?

第四十五話 縮めるって何を? 投稿者:兄貴 投稿日:08/12/01-13:14 No.3752
『さあ続いての試合はもはや説明不要!子供でありながら大人顔負けの超実力者ネギ選手! 対するは意外と根は熱かった春日選手! ともに一回戦大活躍をした二人ですがはたして勝敗はどちらに転ぶか!?』


二人の選手が現れた瞬間に黄色い歓声と野太い声の声援が上がった。ネギへのコールはあたりまえだが、意外と美空への声援も大きかった。どうやら彼女も一躍人気者になり、少し照れたような表情を見せていた。そして目の前の少年を見た。彼は十歳でありながら自分の担任、彼の経緯は大まかに聞いてはいたが、まさかこうして戦う日が来るなどとは微塵も思っていなかった。なぜならこの少年の目、性格、夢、才能、そして皆から愛される可愛らしい顔、そして不幸な過去というオマケつき。どれをとっても物語の主人公にお似合いな少年に対して、自分は物語にいても居なくても進行に大した影響が無い、その他のキャラだとずっと思っていた。しかし・・・・


「ネギ君・・・言っとくけど・・・私ケッコー、今はマジだからね」


地面をトントンと足のつま先で何度か鳴らしながら美空はネギを見る。すると目の前の少年は真剣な目つきで自分に向かって構えた。


「はい! 美空さん相手に油断なんてしません! 僕だって真剣です!」


そう、ネギは・・・物語の主人公は今、自分のことを強敵と認め全力を出すことを決めている。これは美空にとっては衝撃だった。そして同時に胸が高鳴った。ここに居る観客も、そしてネギも、こんな自分を認めてくれている。考えただけでゾクゾクした、血が滾る、興奮が抑えられない。さすがにネギ相手に生身ではキツイので、今はココネに魔力を送ってもらい体中を満たしている、そのため多少の興奮はしていた。しかしここまで押さえられないものだとは思っていなかった。今の美空はとにかく早く走り出したい気持ちでいっぱいだった。


そしてクラスメートや家族たちの見守る中、ようやく朝倉が手を上げる。


『では、Fight!!』


その声とともに美空が直線的に走り出した。その身体からはココネから供給されている魔力が光っている。


「!?」


ネギは直線的に来た美空を落ち着いて迎え撃つ。美空が速いことなど既に承知済み、中国武術の中段の崩拳で迎え撃つ、しかし直撃かと思われた拳は空を切る、それと同時に後ろに気配が現れたことに気づき、伸ばした拳の肘を折り曲げそのまま後ろに裏拳の形で振り返る。


激しい衝撃音が響く。ネギの偶然出していた拳が丁度美空の飛び蹴りをガードする形でぶつかった。一瞬で背後を取ったと思った美空だが、アスナには通じた攻撃はネギには防がれた。ネギはすかさず美空を捕まえようともう一方の手を伸ばすが美空はネギの手を弾いて後方へ飛びのく、それを見てネギは美空が着地する寸前に瞬動術で接近をする。その瞬間観客の視界からネギの姿が消えた。そう錯覚させるほどのスピードだった。しかし動体視力の優れている美空は真横に交わす。


「くっ!?」


ネギの口から声が漏れる。急な方向転換が出来ない瞬動は直線に動いた後は一瞬動きを止めるしかない、しかし美空はその隙を逃さず右足の蹴りを振りかぶるが、ネギは下手に防御するより勢いに任せてそのまま前に倒れこんで蹴りをやり過ごす。


「わお!?」


当たると思っていただけに美空は驚きの声を上げる、そして勢いに任せて蹴ったにもかかわらず、空を切ったためバランスを崩し倒れそうになる。すかさずネギは倒れこんでそのまま地面で前転をして勢いに乗せ立ち上がり、肘打ちで美空に追撃する。


「外門頂肘!!」


ネギの肘が迫ってくる、その直撃の瞬間バランスを崩しながらも蹴りの体勢のまま自分を支えている左足を思いっきり地面を叩き、その反動でわずかにその場から飛びのく。


「これも当たらない!?」


「アブナ・・・・」


必殺技を放ったネギは更なる追撃ができずにその場で固まる。そして美空もゆっくりと着地した。


これが試合開始わずか数秒足らずの攻防だった。



『・・・あ・・・あの・・・え~と・・・・・・』


観客が気づいたら静まり返っていた。それはクラスメートや観客席に居るシモンもそうだった。はたして今の攻防を何人のものが見極められたか分からない、それほどのハイスピードだった。そしてようやく・・・


『あの・・・申し訳ありません!! あまりの速さに解説出来ずに見入っていました!! そのため言える事は一つ! なんかこの二人スゴイです!!』



朝倉が視認出来なかったのも無理はない、観客の沈黙がそれを肯定していた。しかし今の朝倉の一言でようやく観客もハッとして声を上げる。


「お・・・おう! たしかにスゲエ!!」


「よく分からねえけどスゲエ!!」


ただ一言スゲエの連発だった。具体的には分からなかったが凄さが二人から伝わった、そんな様子である。二人の攻防に目がついていけた者たちでも息を呑んでいたのである。


「ふう~~、やるじゃないか美空君も」


「う~む・・・・・一芸というのは侮れないアルネ・・・」


「いや・・・・私全然見えなかったけど・・・・・・」


「ウチもや~~~」


高畑や楓、刹那、エヴァ、古、そしてシャークティはこの攻防をちゃんと見ることが出来た。それゆえの評価のため、いかに二人のレベルが高かったかを物語っている。アスナたちは目で追えなかったが、高畑たちの反応からそれを感じ取った。しかし・・・・


「となるとこの勝負・・・・・長引くかもしれませんね・・・」


「え? ・・・・なんで?」


刹那の言葉は素人のアスナたちにはよく分からなかったが、高畑たちは刹那の意見に頷いていた。



舞台は再び二人に戻される。先手の攻防を終えて二人は少し考えているようだった。


(美空さんは確かに速い・・・・でも攻撃は大雑把だから避けられる・・・・でもこっちの攻撃は当たらない・・)


美空は魔法使いの見習いのうえに修行をサボり気味だったため、攻撃はほとんど素人のようなものだった。アスナにはそれで通用したが、エヴァや古に短期間とはいえミッチリ鍛えられているネギなら、美空の動きをある程度予測して回避することが出来た。

一方で美空は、


(中国拳法か~動きは読みづらいけど、瞬間的な加速さえ気をつければ見極められる・・・・でも・・・・こっちの攻撃は読まれている・・・・)


両者攻撃を当てることが出来ない、それゆえに刹那たちも長期戦を予期した。しかし二人には決定的な違いがある。動きを先読みして交わすネギと、動きを読まなくても攻撃を交わせる美空、ならばネギが動きを先読みできなくなれば戦況は変わる。

美空がそこまで考えていたかどうかは分からない、しかし元々出来ることが一つしかない彼女はやるべきことは一つだけだった。


(もっと・・・速く・・・・いや・・・もっと疾く!!)


美空は意識を自分の足に集中させる、それを見て再び構える。


(カウンターだ・・・美空さんの動きを最後まで読み切れば・・・・)


ネギは自分からは仕掛けない、なぜなら自分から仕掛けても攻撃を交わされるだけである。魔力で身体を強化している美空には並みの攻撃は通用しない、大技出して交わされてその隙を攻撃されればたまったものではない。そのためネギに出来ることは美空の動きを先読みしてカウンターで迎え撃つ、それがネギのプランだった。それは決して間違えていない、しかしそれは美空のスピードを把握しきれていればの話である。


(大振りは当たらない・・・・ネギ君には手数で・・・いや・・足数で押し切る!)


(一撃だ・・・・耐え抜いて一撃に賭けるんだ!)


お互いの作戦は決まった。そして同時に美空が動いた。その瞬間にまた彼女は視界から消えた。


―――パパパパパン!!


その瞬間ネギにマシンガンのように前後左右から攻撃が襲う。アスナとの試合で見せたように美空がスピードでネギを囲みながら蹴りを撃つ、しかしネギは冷静に美空の気配と攻撃を察知して直撃を防ぐ。


『おお~と春日選手が再び風となる! ネギ選手は大丈夫か?』


傍目から見ればネギが押されているように見えるが、ネギの頭は冷静に回っている。


(大丈夫・・・・移動しながらの蹴りで腰が入っていない。これなら耐えられる!)


元々素人同然の美空の蹴りが余計に威力を落としている。ネギは一つ一つに対処していき、その瞬間を待つ・・・・そして・・・


(引き付けて・・・引き付けて・・・ここだ!!)


ネギは自信をもって拳を振り切っていた、


だが・・・そこには誰もいなかった。


「えっ・・・・あれ?」


辺りをキョロキョロ見ると、さっきまで自分の目の前にいた美空がリングの端で軽く飛び跳ねながら構えていた。そして・・・・


―――パパパパパン!!

「ぐっ!?」


美空が離れていたと思った瞬間、今度は目の前に現れた。一瞬のことでネギは油断し、何発か被弾する。しかし攻撃が当てられたことより別のことで頭がいっぱいだった。


(そんな・・・・完全に捉えたと思ったのに・・・・・)


しかし動揺している暇はない、現に美空は目の前にいる、もう一度神経を集中させ美空を見る、そして


(次こそは当て・・・・・)


次こそは当てようと拳を握った瞬間に美空は再び消えた。そして再び遠く離れたところでネギを見ていた。


「そ・・・・そんな!?」


ネギから思わず声が漏れる。


『これは春日選手、完璧なヒット・アンド・アウェイでネギ選手を翻弄しています!!』


散々攻撃を繰り出して、いざネギが反撃しようとする頃には既に手の届かないところにいる、そして次の瞬間また目の前に現れる。ネギの驚愕も朝倉の解説も正しかった。

―――パパパパパン!!

「うわっ!?」


攻撃が再開される。正直ダメージはほとんどないが、美空の攻撃は精神的に来た。なぜなら向こうからは好きなだけ攻撃できて、気づいたときにはもういない、そう思った瞬間に再び自分の前に現れる。それが現状だった。


(そんな!? ・・・・こんなに近くにいる人を・・・・)


苦し紛れに拳を突き出すが既にそこには誰も居ない。再びネギの攻撃は空を切った。そう、先程まで目の前にいたはず美空はすでにそこにいない。


(こんなに近くにいるのに・・・・見失うなんて・・・・)


遠く離れた美空をネギはやるせない瞳で見つめていた。

美空はネギの目を見て確信した。目の前の少年は決して嘘をつくことが出来ない、それゆえこの瞳は真実を物語っている。それはつまり、ネギは自分のスピードについていけないという事実である。それを確信してか、美空の頭はさらにスーっとした、もっと速く動ける気になっていく。


(ネギ君・・・それで限界だとしたら・・・・・物足りないよ!!)


美空は意識を集中し、再び走り出した。その瞬間美空の残像がリングに現れ、軽快な足音がリング上に響き渡る。


「うっ!?」


『春日選手今度は目にも留まらぬフットワークでリング上を駆け巡る!』


右へ左へ、背後へ、高速のステップワークで駆ける美空にネギは完全に翻弄され、いつのまにか攻撃を読むのを忘れ顔をキョロキョロさせて美空を目で追ってしまう。余りにも華麗にリングを舞う美空の姿に観客から思わず声が漏れる。


「お・・・おい・・・あの技・・・・」


「ああ・・・間違いない・・・・某東洋チャンピオンの必殺技・・・・」


観客がゴクリと息を呑む、そして美空は・・・・


「くらえ! スピード地獄!!」



「「「「「宮○くんだーーーーーー!!」」」」」



リングを縦横無尽に駆け巡り高速に揺れる美空がネギに襲い掛かる。


―――パパパパパン!!パパパパパン!!パパパパパン!!パパパパパン!!


「ぐあっ!?」


ネギは防御の構えをするが、まったく効果はなく、不規則に繰り出される高速の連打を全て受けてしまう。


(速い!? いや・・・速いことは最初から分かっていた・・・でもただ速いだけじゃない・・・動きが読めない!?)


先読みしようにも変幻自在のステップを織り交ぜたスピードにネギは完全に翻弄されてしまう。そんなネギの迷いが美空には手に取るように分かる。


(スゴイ集中力だ・・・アスナのときよりも進化している!)


完全にスイッチの入った美空に観客は盛り上がる。



「「「「言ってくれ~~~! あの・・・あの言葉を!!」」」」



ネギやアスナたちにはよく分からない観客の要求、しかしそれを一瞬で理解した美空は少し調子に乗りながら、


「ふっ・・・・・今日の私はキレてるぜ!!」



「「「「美空ちゃ~~~~ん!!!!」」」」



とにもかくにも会場のほとんどの男子生徒は美空の味方になってしまった。美空のパフォーマンスにシャークティたちは呆れたものの、美空の考えは間違っていない、アスナからの勝利により自信が確信に変わり、その力にネギも手が出せない状況にある、過信は行き過ぎではない・・・と美空は思っていた。


「はっ!!」


またも苦し紛れに拳を突き出すネギ、しかし美空に当たるはずも無い。美空はネギが演技ではなく本当に苦戦していることを感じ、更に調子に乗り、ボルテージの上がった観客へのパフォーマンスを開始する。


「これが夢見た君の力かな?」


「美空さん?」


ネギの拳を交わしながら美空が口を開く。そして


「だが足りない! 足ぁり無いぞォ!!」


「えっ? ・・・・何が・・・ですか?」


「・・・・・美空? ・・・・」


「・・・・・・美空ちゃん?」


「「「「「・・・・・まっ・・・・・・・まさかっ!?」」」」」


「どうしたんだ? ・・・・美空の奴・・・・・」


一見美空らしからぬ発言にネギやアスナたちは呆けてしまう、それはシャークティやタカミチ、シモンもそうである。しかし叫ぶ美空を見て会場中の男たちが息を呑んだ。そして美空は走り出した。そして


「君に足りないものは、それはーーーー、情熱思想理念じゅにょうきひっ・・やべっ噛んだ!? まあいいや、とりあえずなによりもォーーーーー速さが足りない!!」


走り出した美空は何かを叫びながらネギにミドルキックを叩き込み、呆けていたネギはまともに食らってしまった。


「ぐうっ!?」


本来なら避けられたのだが、美空の突然の行動に体の反応が遅れたネギはスピードに乗った美空の蹴りを受け倒れこんだ。美空は何か叫んでいたが早口の上に途中で噛んでしまったため、一部のものは理解できなかったが、男子生徒たちは涙を流し震えていた。そして・・・・・


「「「「か・・・噛んだけど・・・あ・・・アニキだーーーー!!」」」」


「むしろアネキと呼ばせてくれ~~!!」


「美空ちゃん! 君は女の子だけど熱い魂の申し子だ~~~~!!」


「それ教えてくれ~~! 俺を・・・・俺を弟子に~~~!!」


『強いぞ春日選手! さすがの子供先生も春日選手の前ではスロウリィです!!」


拳を握り締め、男たちは感動の涙を流しながら大盛り上がりしていた。それを聞いて美空は益々調子に乗り笑顔が顔中に広がっていく。



この状況はシモンにもうれしい誤算であった。


「すごいよ美空! さっきから何やってるかよく分からないけどネギを翻弄している! 長谷川、パソコンの反応はどうなってる? これは大盛況じゃないかな?」


美空の活躍に興奮気味のシモン、今のこの状況をネットではどう捉えられいるのかを期待しながら隣に居る千雨を見た。すると・・・


「くそっ・・・まじかよアイツ・・・・まさかこのまま衝撃のアレをやるんじゃねえだろうな・・・まさかできんのか?・・・アイツにあんな芸が出来たなんて・・・アイツだけは私と同じ常識人だと思ってたのに・・・」


元ネタを知る千雨はブツブツ言いながら美空を見ていた。


「長谷川?」


「だ~~、分かってますよ! え~と、ネットでは・・・世界を縮めた・・・って盛り上がってますけど・・・」


「縮めるって何を?」


「あ~~、シモンさんは知らなくていいですよ。でもこのままじゃ春日が勝ちそうですね」


それは客観的に見て普通の意見だった。素人の目から見ても明らかに美空が優勢だった。会場中もそう信じている。そして戦っている美空自身も手ごたえを感じていた。




しかし、専門家たちの考えはまったくの逆だった。






「高畑先生・・・この戦況をどう見ます?」


尋ねるのはシャークティだった、すると高畑は少し真剣な目つきでリング上の二人を交互に見て答える。


「さっきまでは五分五分でしたけど・・・今のでネギ君が有利になったと思います」


「・・・そうですか・・・私もそう思います」


高畑の目には美空ではなくネギが有利だと感じていた、その言葉にシャークティも同意した。


「ちょっ・・・だってネギ手も足も出ないじゃないですか!? 美空ちゃんの方が優勢じゃないんですか!?」


アスナの意見は木乃香や夕映たちの気持ちを代弁していた。自分たちの目から見ても美空のほうが優勢で余裕もあると見える。そこでその疑問を解消すべく、ネギが有利という理由、この意味をエヴァが解説する。


「先程までのぼーやは自分の予想を上回った美空の純粋な速さに戸惑っていた。予期していたものよりも鋭い動きに、まだ未熟なぼーやは対処できなかった・・・だが・・・今ので分かったはずだ、今の春日美空の攻撃力に警戒する必要はないということを」


「「「?」」」


アスナたちにはまだエヴァの説明は理解できなかった。だが、リングに居るネギは肌で直接、現在の美空の力を感じたことにより、勝機を見出した。




蹴りを食らって倒れたネギだが、身体をゆっくりと起こしていく。その間に美空は攻撃しようとはしなかった、余裕なのか、それとも美学なのかは分からない、しかしこれにより美空は一つの勝機を見逃していた。ネギは攻撃を食らったことにより逆に分かってしまったのである。


(美空さんの今の蹴りはそれなりに力を入れて打ったはず、でも・・・それほどダメージはない、美空さんも魔力で身体を強化しているけど、僕も同じだし美空さんのほうはまだ供給の仕方が甘い、・・・タカミチの居合い拳に比べると質が軽い!)


それこそネギと美空の決定的な差だった。いくらスピードに乗った蹴りでも、美空の攻撃の仕方は素人同然なために魔力で身体を強化しているネギには芯まで響かない。加えて美空は普段修行をサボっていたため、ココネからの魔力供給が全身までうまく行き届いていなかった。ほとんど完璧に魔力を体中に流せるネギからすれば、ノーダメージだった。

つまり、


(美空さんの攻撃は防御する必要なんてない! 被弾を恐れずに攻撃のみに集中すればいい!)


当初カウンターという後手の先方をとったネギだが、予想を上回る美空の動きに目がくらみ、防御ばかりに意識が集中していた。しかし大振りの美空の蹴りをまともに食らったことにより、防御は捨ててもいいと分かった。やることが一つに絞られれば難しいことはない、立ち上がったネギの目は先程とは変わって一気に強気な目になった。


『ネギ先生立ち上がりました! しかし逆転の手は残されているのでしょうか!?』


「手段も何もやることは一つ、ぼーやが守りを捨てればいいだけだ」


「まってよ!? 私美空ちゃんの攻撃を受けたけど物凄い威力だったわよ!?」


「お前からすればそうなのだろう、言ってみればそれがお前とぼーやの歴然たる力の差だ、ここでハッキリと言っておくが、お前が思っているよりぼーやとお前の力の差は大きい。さらにぼーやは身体の使い方を知っているから直撃してもダメージを受け流せる」


「えっ・・・・・そんな・・・」


「その通りです。美空には決め手がない、そして今のネギ先生を倒せるだけの攻撃力がない。適当な思いつきの技では限度があります」


エヴァの言葉はアスナにはショックだった。なぜなら自分がパートナーとして今後護ろうとした少年は自分よりも遥かに強いと言われているのだ、さらに自分は美空にも負けているのだ、改めてこの世界での力の重要性を感じた。


そんなネギやエヴァたちの考えをよそに、美空はあくまで余裕の姿勢を崩さない。


(立ち上がったるとは流石だね~、でも今日の私はマジでイケル!!)


立ち上がり構えるネギ、その構えは実にオーソドックスな構えで左手を前にして両拳を顔の前で構える、ボクシングや空手のような形である。単純に左手で相手との距離をとり右の大砲で打ち抜くというシンプルなものである。しかし美空にそんな思惑が分かるはずもなく。


「さ~て、トドメだ!」


『春日選手再びダッシュ! 勝負を決めに来た!!』


美空は正面からネギに向かっていった。自分のスピードと反応さえあればネギには勝てるという自信だった。観客の9割は美空の勝利を、そして残りの一割のタカミチやエヴァなどの強者はネギの勝ちだと思った。しかし次の瞬間。


「!?」


美空は急に立ち止まった。


『春日選手止まったぞ!? これはどういうことだ!?』


急に立ち止まった美空に会場がざわつきだす。勝利を目前に立ち止まり、そして美空の額から汗が噴出しているからである。しかし美空はこれまで強敵相手には常に逃げ出していた経験が幸いして、直前に気づくことが出来たのである。


(・・・あれ・・・急にネギ君に近づけなくなったような・・・)


それは怯えではなく、察知である。ネギから突如かもし出され、魔力とは違う研ぎ澄まされた空気のような圧力を美空は感じ取ることが出来たのである。


(なんかネギ君の構えてる拳・・・・来ても避けられると思うけど・・・でも・・・)


ネギから感じるプレッシャーによりネギの攻撃力を自分の中で勝手に想像してしまった。その結果当たる可能性は低いが、もし当たれば大ダメージは免れないことを感じ取った。今にして思うとネギの身体を強化するために覆う魔法、自分のように不完全な供給ではない。自分がネギを倒すのにはまだ何発も当てる必要がある、しかしネギは一撃入れれば逆転できるほどの力を持っているのではないかと思ってしまった。


すると美空は軽いステップでネギの周りを素早く走り出した。


『おお~っと春日選手、ネギ選手の周りを走り翻弄しようとしています!』


しかし美空は翻弄する気などはなかった、だたネギの正面からは攻撃したくなかったのである。しかしネギの右に左に後ろに回りこんでみても、ネギは決してブレない。


(やば・・・・・急に自分の攻撃が入るイメージが無くなっちった・・・でも・・・正面からいくと100パーあの拳でカウンターされる気がする・・・)


ネギは何もせず構えているだけ、しかしそれだけで美空は動揺してしまった。当初は自分のペースで試合が出来ていたが、ここに来て開き直ったネギを前にして自分とネギとの力の差を理解してしまったのである。


(いや・・・勝ってるのは私!・・・ビビらず行け!)


胸に湧き上がる不安を振り払うように美空はネギに迫る、そして・・・


『春日選手、再び高速のラッシュです! ネギ先生はこれをどう破るのか?』


―――パパパパパン!!


再びラッシュが繰り出される、しかし先程とはまったく違うことがある。それは・・・


『なっ!? ネギ選手まったく防御しません!? 全て命中しています!?」


「なっ!?」


(タカミチの攻撃に比べれば・・・なんてことない!)


防御を捨てて意識を全て攻撃にまわすネギ。そして大きく一歩を踏み出す。


「風華崩拳!!」


風の力を身に纏った拳が美空に向かって放たれる。


「うわっ!?」


「よけろ、美空!」


凄まじい風がリングに広がる。ネギの放った拳圧がリングの外までに吹き、その勢いが壁まで激突する。


「はあ、はあ、・・・アブナ・・・」


かろうじて交わした美空はリングのギリギリまで逃げ、膝をつき息が荒かった。


『春日選手は再び交わした~!? 相変わらずのスピードです! これでまたもや仕切り直しです!?』


「えっ・・・・し・・・仕切りなおし・・・」


仕切りなおし、その言葉は美空の身体を震えさせた。


つまり今の一撃を交わしながら何度もネギに接近しろということである。今の風を纏ったネギの恐るべき拳圧に威力を思い出し、背筋が震える。


(無理無理!! あんなの直撃したらココネの魔力ごと吹っ飛ばされるって! でも・・・ネギ君、まだまだ相当元気っぽいし・・・)


美空はネギに何発攻撃を入れたかは覚えていない、しかし今にして思えばネギにまったくダメージは見られなかった。つまりネギを倒すには今よりさらに攻撃を当てるしかない、しかもより威力を込めた一撃を入れていく必要がある。しかし威力を込めるとモーションが大きくなり交わされ、カウンターをされる恐れが合ったためスピードを重視した。しかしその戦法ではネギには勝てないことがようやく分かった。


(どうする・・・・どうしよ・・・・このまま時間切れまで待てば判定で勝てると思うけど・・・まだ時間はある・・・それにそんな逃げ腰は兄貴たちの前で許されない・・・なら・・・)


美空は動きを止めてネギの正面に立った。そして・・・


『立ち止まったぞ美空選手! そしてこれは・・・・一回戦のときと同じ技です!』


立ち止まった美空は一回戦と同様にクラウチングスタートの構えをした。


「どうせ今の私にはこれしか出来ない! なら・・・当たって相手を砕け!」


「そうですか・・・でも・・・ぼくには通用しませんよ?」


美空は一発の被弾を警戒しながら連打を重ねるのは止めた、自分の一撃に賭け、ここで勝負を決めようとした。だが一回戦とは状況は違う、一回戦はアスナ自身が正面からのぶつかりを要求したため成立したが、ネギがそうするとは決まっていない、だが美空は恐れながら向かうよりも全身全霊でぶつかることを選択した。それに対してネギは静かに構えている、美空の特攻の姿勢を前に、とても落ち着いている。


(美空さん・・・本当にその手段で来るなら・・・僕は・・・別の手段がありますよ)


するとネギは構えを変えて、両手を身体の前に出した。それが何の意味があるかは美空には分からない、しかしネギは避けようとするそぶりは無い。美空もそれを見て足を軽く浮かせる・・・そして・・・


「いくよネギ君!!」


『春日選手消えた~~~~!! 神風特攻再び!!」


猛烈に加速して特攻する、恐れも全てなぎ払い、ネギだけを目掛けて走り出す。しかし・・・



(今だ!! 風障壁(バリエース・アエリアーリス)!!)


「いっ!?」


「「「「なっ!?」」」」


「ネギの奴、ズリー!?」


美空が正面突破しようとした瞬間、ネギは風障壁を発動。風障壁の効果は一瞬だけだが、その力はタカミチの居合い拳の一撃をも防ぐ、つまり・・・


「ぶへァ!?」


思わぬ壁に激突した美空は、ネギにぶつかる前に弾き飛ばされる。そして


「は・・・鼻うった・・・・」


全力疾走ゆえの自爆のダメージが美空を襲う。だがその瞬間ネギはすでに・・・


「美空~~~!ネギは後ろに居るぞ~~~!?」


「へっ?」


「遅いです!」


美空が痛がっている隙にネギは既に次の行動をとっていた。ネギは美空の後ろにすばやく回りこんでいた。


「あっ!?」


「美空さんの動体視力も相手が見えなければ意味がありません!」


『ネギ選手、一瞬で春日選手の後ろをとった~~~~~!?』


今の美空では相手の動きを気配などで察知する力はまだ無い、目に頼るのは当然であった。だから自分の目が逸れている間に行動されればどうしようもない。気づいたときには遅い、背後に回りこんだネギはゆっくりと美空の首筋に手刀をおとす。


――トンッ


「あっ・・・・・うっ・・・・あっ・・・」


「美空~~~!」


『ネギ選手の・・・いや、今大会初めて春日選手に攻撃がヒット! それは意外にもやさしい攻撃です!』


威力などはない、しかしそれで充分な一撃だった。シモンの叫びは届かず、ネギの手刀で美空は脳の中がグルングルンかき回されるような衝動に陥り、フラフラと身体を揺らし、そして「バタン」と音を立てリングの上に倒れた。


あまりの突然のことに一瞬観客が唖然とする。そして


『こ・・・これは・・・ネギ選手がよくわからない防御で春日選手を弾き飛ばし、ネギ選手の手刀が春日選手の脳を揺らし・・・気絶しています!! よって・・・ネギ選手の勝利です!! 序盤は完全に春日選手が圧倒していましたが、ネギ選手の作戦勝ち! ネギ選手準決勝進出です!!』


「「「美空ちゃ~~ん!?」」」


「アネキ~~~~!?」


盛り上がりに対してそれは実にあっけない幕切れだった。何名か首を傾げる者も多い。さらにこの大会で一気に学園の人気者になった美空に暑苦しい男たちが大声を出して叫んでいる。だがネギが勝利という結果は揺るがず、仕方なく観客もネギに拍手を送る。その声援を受け、ネギは気絶している美空を抱きかかえ、控え室へと向かった。




この光景に、観客席で千雨とともにパソコンと格闘しながら見学していたシモンは、


「美空・・・負けちまったか・・・結構いい線行ってたと思ったんだけどな~、まあネギも強かったからしょうがないかな?」


とても残念そうなため息をついた。ネギの力は知っているし、二人とも自分にとっては大切な存在だが、妹分が負けたことには素直に残念そうだった。


「・・・それで・・・長谷川・・・どう?」


シモンはパソコンと睨めっこしている千雨を見る、すると千雨は少しため息をつきながら画面を見せる。


「今のネギ先生の防御に魔法派が復活しました。もっとも負けたとはいえ春日の気合というよりも人気が急上昇したようだが・・・」


「う~ん・・・美空の奴・・・気合じゃなくて「速さ」がどうのこうのって叫んでたからな~~」


気合で戦えといったにもかかわらず、美空は魔法でも気合でもなく気づいたら速さを武器にして戦っていた。そのためネット上では気合派が意外と伸びていなかった。シモンも少し「う~ん」と唸って考えた。

しかしその時あることに気づいた。


「美空の人気が急上昇って?」


「えっ?・・・そりゃあ、あんだけ派手にやらかしたから、憧れるバカも出てくるってことですよ。現に観客の男もそういうのが結構居ると思いますよ」


その言葉を聞いてシモンは周りを見る。すると確かに美空の名を叫んでいる観客がかなり居た。それに気づきシモンは拳を握り締めた。


(よしっ! 気合はともかく、これはこれで順調そうだ。美空はもう大会には出ないから、後は俺がどこまで出来るかなんだけどな・・・)


シモンは自分の気合普及以外のもう一つの計画が徐々にうまくいっていることに満足した。そしてそれを成功させるにはこの後自分がより一層がんばる必要があることも。


「もう・・・一回戦の時みたいに無様なことは出来ないからな・・・それこそ気合で乗り越えないとな」


もし一回戦のようにだらしない姿を見せたら美空の今のがんばりが全て無駄になってしまう。そのことをかみ締め、シモンは次の己の試合に向けて意気込んだ。





場所は変わって控え室、気絶している美空を横に寝かせて、ネギは今アスナに説教されていた。


「美空ちゃん・・・負けちゃった・・・でもネギもずるいわよ、魔法使うなんて!」


「そんな~~、でも美空さんも強くてあれぐらいしか・・・」


ネギを応援していたが、少し納得のいかないアスナは魔法という言葉の部分をハルナたちに聞こえないように小声で文句を言う、しかしエヴァがそれを否定する。


「ルール上詠唱を唱えなければ問題は無い、それに戦いの場に立てば女も男も関係なく等しく戦士だ。手を緩める必要も無い」


「うっ・・・でも・・・」


「まあ、少し調子に乗った美空にもいい薬になったでしょう」


「シャークティ先生まで!?」


「美空は結局無傷で負けました、まだネギ先生にはそれだけの気遣いが出来るほど差があるということです。努力を怠らない天才少年と戦ったことによって、あの子も何かを感じ取ってもらえたならいいんですけどね・・・」


シャークティはまるでこうなることが分かっていたかのような口ぶりで、横たわる美空を見下ろしながら告げる。おそらく美空自身よりも美空を知っている彼女だからこそかもしれない。そして彼女の言葉どおり、この大会がキッカケでアスナや美空が急成長するのはもう少し後の話だった。

何はともあれネギの勝利に木乃香やハルナたちが沸きあがる。


「まあまあ、美空ちゃんもがんばったし、ネギ君がまた勝ったってことでいいじゃん♪」


「せや、これでネギ君はベスト4や~」


「ホントにスゴかったよね~~二人とも、・・・・まるで・・・・魔法みたいに♪」


「「「「「「いっ!?」」」」」」


一般人ハルナのいやらしい笑みを浮かべた発言に全員の顔が引きつった。全員のその反応を見て、ハルナの口元が更に不気味に吊り上る。その結果、ハルナが新たな世界に足を踏み入れるまでの時間は、美空やアスナの成長よりも遥かに早いことになった。


「う~~ん・・・・・あれっ? ・・・・ここは?」


ハルナの発言により騒がしくなり、気絶していた美空が首を抑えながら目を覚ました。


「あっ、美空ちゃん!」



「・・・・アスナ? ・・・それにネギ君も・・・みんなも・・・・あっ!? ・・・試合は!?」


目を開けた瞬間に飛び込んだアスナたちの顔に一瞬戸惑ったがすぐに目が覚めて頭が働き出した。慌てて試合の経緯を聞こうとするが、シャークティが首を横に振る。それを見て美空も全てを理解した。


「あ~~~あ~~、負けちゃったのか~~、イケルと思ったんだけどな~~」


美空は体を大の字になりがら床に横たえた。


「途中で調子に乗りすぎましたね。まったく、今のアナタの何処にそんな余裕があるのですか? 自信を持てとは言いましたが、過信しろとは言っていませんよ」


「いや~~、私の人生であんな経験なかったから、つい調子に乗っちゃってさ~、」


申し訳なさそうに笑う美空、あまり反省してなさそうなのでシャークティも少し呆れてため息をつくが、今はこれ以上は言わなかった。負けたとはいえ、自分の弟子はこの大会で一皮剥けたので、それだけでよしとした。


すると・・・


「でも美空ちゃんすごかったな~~~。あんなこと出来るなんて驚いたよ~~」


ハルナがニヤニヤと笑いながら、美空に詰め寄る。ネギたちも先程のハルナの呟いた発言を思い出し、慌て出した。しかしハルナはそんなネギたちの思惑を無視して美空に問い詰める。


「それで~、美空ちゃんはどうしてあんなに足が速いのかにゃ~?」


「えっ?」


美空はチラッとネギたちを見た、すると何かを訴えているような目だった。そのことから美空も何かを察して、少し間を置いてから・・


「・・・えっと・・・パシリで鍛えて・・・」


だがそんなことでハルナが納得するはずも無い。


「ふふ~~ん、そんなアメフト選手みたいな言い訳が通用すると思ってるのかにゃ~? 美空ちゃんの足が速いのは知ってるけどさ~、私を誤魔化せると思ってるのかにゃ~?ね~、のどか、夕映?」


「「えっ!?」」


急に名前を呼ばれて過剰な反応をしてしまった。そのためハルナの目は再び光、不気味な笑いがさらに聞こえる。


「ふふふふ、その反応・・・君達は知っていたのかな?」


「「ひっ!?」」


「ちょ~~っと話が聞きたいね~~」


もはやこれまでか?そう思った瞬間、援護が意外なところから来た。


「気合だよ」


「えっ? ・・・高畑先生?」


「タカミチ?」


「ハルナ君、さっきの美空君の力は気合だよ。そうだよね美空君?」


タカミチはウインクをしながら美空を見る。それを受けて美空も勢いよく頷く。


「そうそう! いや~、あれこそグレン団が誇る気合の力っ! まあ、未熟な私はまだまだ足りなかったってことだけどね~~」


「そうそう、あれが美空ちゃんの気合よ! シモンさん流で、気合があれば何でも出来るってことよ~」


美空に便乗して気合で押し切ろうとするアスナたち、しかし、


「ふ~~ん、美空ちゃんはそうなんだ~~」


「「「「美空ちゃんは?」」」」


「じゃあ、ネギ君はどうなのかな~~? 気合じゃないよね~~~?」


「「「「いっ!?」」」」


押し切れなかった。ポーカー勝負で相手になるはずが無く、アスナたちは徐々おされていく。タカミチとシャークティも少し困ったような表情をしていた。






ネット上以外でも魔法についての論争があったことはシモンには分からず、今は次に迫った自分の試合に集中していた。


(最低でも次ぐらいは勝たないとな・・・・相手は刹那・・・微妙なところだな・・・)


さすがに自分まで負けてしまったら全てが水の泡である。さらに超の失望も大きいだろう、それゆえ負けられないと意気込むシモン。そんなシモンの様子を見て、千雨は尋ねる。


「なあ、シモンさん・・・アンタは魔法使いじゃないんだろ?・・・何が目的なんだ?」


「長谷川?」


「気合も魔法も私から見たら大して変わらないですよ、どっちも常識外れの力。どっちが普及されても一般人の私達は困りますよ。・・・アンタは気合を普及して何がしたいんだ?」


どちらも異形の力、それが千雨の素直な感想だった。しかしシモンは首を横に振る。


「そうかもな・・・でも・・・魔法は魔法だ。鍛錬しなければ扱うことは出来ない、でも気合はどうかな? 気合は誰だって持っている。気合を出せるか出せないかは本人のココ次第だ!」


シモンはそう言って己の胸を叩いた。


「いや・・・気合で体が光ったりされても・・・・」


「俺の目的は捻じ曲がっちまった俺達の物語の真実を・・・ある女に教えるためだ。魔法がどうのこうのは、別の話。でもそれも防ぐ、アイツにも勝つ、それが目的かな・・・」


「・・・・・・・全然分かりません・・・」


『さあ、2回戦最後の試合です!!桜咲選手、シモン選手、リングまでお越しください!!』



朝倉のアナウンスを受けてシモンはコートを翻してリングへ向かう。


「まあ見てろって、長谷川。この背中のマークに賭けて、お前が困るような世界にはしない! 全部俺が・・・俺達が勝てば変わらない明日が来るんだから」


シモンは背を向けたまま手を上げて、その場を後にした。残されたち千雨は少し納得いかないような表情になりながら、再びパソコンに言葉を打ち込んでいった。
最終更新:2011年05月10日 14:59
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。