第五十話 もう少しお前と向き合って考える 投稿者:兄貴 投稿日:09/01/04-19:58 No.3790
武道会を終えてシモンたちはこれまでの状況を整理すべく、教会に集まり話し合っていた。色々とあったが、ようやくシモン、ヨーコ、ブータ、シャークティ、美空、ココネのメンバーが揃うことが出来た。
「さて、武道会での成績はともかくとして、超鈴音の計画は大まかに邪魔できたと思います」
「そうっすね~、魔法を世に広めるためにインターネットを使って裏でコソコソやってたみたいだけど、これはほとんど邪魔できたしね~。しかも気合で♪」
「そうね。ネギと・・・クウネルだっけ? あの二人の戦いのときは少し吹き返した感じがしたけど、まあ大丈夫でしょうね」
武道会の裏で行われた戦いは自分たちの勝利と思っていいだろうとシャークティたちも頷き合っていた。シモンもこれには異論はまったくなかった。
その後も話し合いは続いた。
他の魔法先生たちは未だに気づいていないこと。コッソリ調べたら、既に地下にあった大量のロボットが行方をくらましたこと。超のタイムマシンを使った戦闘手段。そして協力者。
今日の時点でも分かったことがこれだけあった。
魔法先生が未だに現状を把握していないのは先程も言ったとおり、魔法の話題がそれほど広まらなかったことが大きかった。
地下のロボットに関しては、超が場所を移動させ、準備を整えているからと考えた。
そして超の協力者、シモンとヨーコの報告によればネギの生徒のハカセと龍宮、そして茶々丸がそうである。
「・・・こんなところかな? 今分かっているのは・・・」
「そうね、後は明日までに体調を整えて迎え撃つって感じかしら・・・。そうなると問題はネギたちね・・・。美空はどう思う?」
ヨーコはクラスメートである美空の意見を聞いたが、その答えは美空自身もよく分かっていなかった。
「う~ん・・・、超の考えに賛成するかどうか・・・か~、どっちにしろネギ君のようにウルトラマジメ君は迷いまくるんだろうな~」
「たしかに、10歳の少年に答えを求めるには少し難題かもしれませんね・・・・」
「「「「「う~ん」」」」」
やはり難関はネギたちがどう動くかがポイントになるとシモンたちも感じた。ネギが動けば当然アスナや他の面子も動くことになる。かなり重要なポイントだと感じていた。
だがしかしネギたちの考えはネギにしか分からない。よってここでいくら考ええも、明日まで待つしか方法は無かったのである。
「・・・・まあ、どっちにしろ俺たちのやることは変わらない。俺たちの明日は、俺たち自身の手で決める!」
それこそが自分たちの役目であると言い聞かせた。その言葉に全員が強く頷き、気持ちを一つにした。
「よし! じゃあ明日勝つために、今日は最低限の警戒を忘れずに祭りを楽しもうぜ!!」
「「オオーーッ!!」」
シモンは立ち上がり、堅苦しい雰囲気はぶち壊して叫んだ。
それに美空とココネも立ち上がり拳を上げて叫んだ。
学園の仕事も警戒だけですみそうなので、今日は一般の学生として学園祭を満喫しようとハシャいだ。ヨーコとシャークティもその言葉に頷いて、今日はこれぐらいにしよう・・・・とおもったのだが、ヨーコが何かに気づいた。
「あれ? ・・・・今日やることって・・・もうこれだけだっけ?」
「「「はっ?」」」
「・・・何かまだあったような・・・・・・」
「なに言ってるんだヨーコ? もう報告も終わったし、後は明日を待つだけだろ?」
「う~ん・・・そうなんだけど・・・私じゃなくてアンタに用事があったような・・・・・」
「えっ、俺?」
ヨーコに問われてシモンも考え込んだ。
正直、超のことや格闘大会のことでもうやるべきことはやったと思っていた。そんな自分に他に予定があったかどうか思い出そうとしたが、まったく心当たりが無かった。
「兄貴に用事~? まさかデートの約束でもしてたの~?」
「デート? 兄貴デートするノ?」
「なに言ってる、超とのデートは明日だし、エヴァとも昨日ちゃんと一緒に学園祭回ったぞ? ・・・・・・・・・・・あっ・・・・・」
「「「・・・・・あっ・・・・」」」
美空はふざけて言ったのだが、その言葉で全員ようやく思い出した。
正にデートの約束。
シモンにこの世界で最初に告白した女性。
「「「「「木乃香(さん)!!」」」」
全員がその名を同時に呟きシモンを睨む。
「・・・・・・・・・・・・・・・・どうしよう・・・・・」
「「「行って来なさい(ぶうっ)!!!!」」」
うっかり忘れていてどうしようか尋ねようとした瞬間に物凄い剣幕でブータを含めて全員から命令されてしまい、シモンも思わず仰け反ってしまった。
「ちょっ・・・待ってくれよ、大体ヨーコはニアの味方なんじゃないのかよ?」
「ええ、当然よ。でもがんばってる子を応援してあげたい気にもなるのよ。のどかとか・・・刹那とか・・・・」
「でもなあ、たしかに木乃香の気持ちはうれしいけど・・・・、ノリで木乃香の挑戦は受けたけど、俺はハッキリ告白は断ってるんだよ? やっぱりこういうのは、よくないんじゃないかな?」
一緒に遊んだりするために学園祭を回るのならば、ちっとも問題は無いだろう。しかし木乃香の気持ちをハッキリ知っている以上、あまり中途半端な行為はしたくないというのが本音だった。だがそんなシモンにシャークティは首を横に振った。
「・・・行ってあげてください・・・シモンさん」
「シャークティ?」
シャークティが言うのは予想外だった。むしろ「ふしだら」などと言われて怒られると思っていただけにシモンも意外そうな顔をした。
「女性がもっとも傷つくのは、なんだと思いますか? それは好き嫌い以前に相手にもされないことです・・・」
「・・・・・・・相手にもされない・・・・」
「ニアさんへの愛は分かります。うらやましいぐらいに・・・。ですがニアさんを理由に最初から断るのではなく、少し彼女自身も見てあげてください。・・・そうでなければ・・・・あまりにも不憫です・・・・」
その言葉はシモンの心に残った。「相手にもされない」それは好きでも嫌いでも、どちらでもないということになる。もし自分のしている行為がそうなのだとしたら、たしかに失礼なのかもしれないと感じた。
「・・・・はあ、分かったよ。それじゃあ少し行ってくる。グレン団の格好のままじゃ少し変だから、着替えてから行くよ・・・・あと、木乃香にも電話しとかないとな・・・」
こうしてシャークティたちに諭されて、シモンもあまり乗り気ではなかったが、渋々と木乃香と会うための準備を始めた。
シモンは木乃香の電話番号を知らなかったため美空の携帯で掛けてみたら、木乃香はシモンの声を聞いて異常なほど取り乱したが、学園祭回りの話をしたら電話越しで何度も頷くほどの食い付きをみせた。
電話越しで木乃香以外の生徒たちの声も聞こえた。おそらくアスナたちが大騒ぎしているのである。甲高い声がキャーキャー聞こえる中、取り合えず一時間後の噴水広場での待ち合わせと決定した。
約束を取り付け少しシモンはため息をついた。
「はぁ~、木乃香自身を見ろ・・・か~・・・・」
シモンは先程シャークティたちに言われた言葉を思い出し考えた。だがその言葉には少し無理があるだろうと思った。
(やっぱ歳の差離れすぎだからな~。恋愛対象で見ろって方が難しいよ・・・)
木乃香の年齢は15歳、たしかに7歳差のカップルは珍しくないし、アスナとタカミチほど年齢は離れていない。だが、歳の差よりもやはりまだ15というのはシモンから見たら子供のようにしか見えなかった。
シモンが14の時、アダイ村でグレン団の仲間になったギミーとダリー、当時七歳だった二人。今は木乃香たちと同じ年齢である。そう考えるとやはり木乃香たちは自分を慕ってくれる妹分のようにしか見えなかった。
(ヨーコやシャークティぐらいだったら俺だって考えられるけど・・・・、そりゃあ、俺だって女の子が嫌いなわけじゃないし、好意を持たれたらうれしいと思うけど・・・それが特別な存在としての好意だったら応えることなんて出来ないよ・・・)
自分なりに他の者からの好意について考えてみる。たしかにそれは男としてはうれしいという気持ちになる。
だがそれでも最後は同じ結論に至ってしまう。
(いや・・・仮に誰が相手だったとしても俺はやっぱり・・・・・・・ニアが・・・・)
やはりそれは譲れなかった。
「・・・・・っとまあそういうわけでして・・・・」
「そうか、・・・まあそれは人それぞれだからね・・・・」
噴水広場で木乃香を待つシモンは、これからアスナと学園祭を回ろうというタカミチと偶然出会い、自分の考えを伝えた。タカミチもシモンの心の中にいるニアについてはネギたちに大まかに聞いていたため、話の内容は理解できた。そしてタカミチはシモンの考えに反対するわけでもなく賛成するでもなく、頷くだけだった。
「・・・高畑さんは、どうなんですか? やっぱ・・・・モテるんでしょ?」
「さあね、・・・・少なくとも僕は7年かけて口説いてみせるだなんて言われたことはないよ・・・・」
「あっ・・・そこまで知ってたんですか・・・・」
互いに苦笑しながら少女たちの強い想いを感じていた。
「七年か~、・・・どうなることやら・・・・」
「ははは、どうなることかな・・・・」
この時タカミチは人事のように笑っているのだが、このときシモンは気づいた。ひょっとしたらタカミチはアスナの好意にまったく気づいていないのではと。
たしかアスナはタカミチに告白するようなことを言っていた。モチロンそのことを言うつもりなどはないが、この様子だと結果は見えているような気がした。
少しそのことを確かめたくてシモンは当たり障りのないように聞いてみた。
「高畑さんはアスナと一緒に回るんですよね? 高畑さんにとっても15のガキは恋愛対象外ですか?」
だが、タカミチはその問いに対して少し苦笑した笑みを浮かべて、
「ふふ、それ以前に僕は君と違って誰かに愛される資格はないよ・・・・」
(えっ・・・・あれっ・・・・ちょっとマズイこと聞いちゃったかな・・・)
タカミチの様子からシモンもタカミチの何らかの事情を察してこれ以上聞こうとはしなかった。だがタカミチの答えは自分にはよく分からなかったが、少なくともアスナに勝機がなさそうだというのは分かった。
(まあ、高畑さんは俺よりも年上だし、俺以上にアスナたちは対象外だろうけどな・・・・アスナも可哀想に・・・・)
だがその言葉が直接自分にも返ってくることがシモンにもすぐに気づいた。
(でも・・・俺も同じことをしているのかもな・・・・)
シャークティの言っていた通り、やはり相手にもされないのは不憫すぎるのだとシモンも感じた。
(しょうがない、俺も今日だけは木乃香を一人の女として見てみようかな。・・・それが・・・今の俺があの子にしてやれることだな・・・)
シモンも今日一日だけは木乃香を真正面から見ることにした。自分の答えはともかくとして、それが自分に好意を寄せてくれる女に対するせめてもの礼儀だと思ったのである。
そしてようやくその時が訪れた。
息を切らせながら駆け足で寄ってくる二つの気配。その一つがタカミチの前で止まった。
「ス、スミマセン高畑先生・・・おっ、お待たせしました・・・・」
「おっ・・・・」
「アスナ・・・・か?」
その姿を見てタカミチもシモンも思わず感心してしまった。いつもの活発でラフな格好をしていたアスナが、今日はその長いツインテールを下ろして、いつもより長めなスカートでかなり可愛らしい姿で現れたのである。一番驚くべきなのはその姿がとても似合っているということである。
タカミチとシモンの驚いた表情を見て、アスナは少し不安そうな顔を見せる。
「この格好・・・やっぱり変・・」
「いやいや、驚いた。キレイになったねアスナ君」
「えっ・・あのその・・・そんな・・・まさか・・・・」
「ホントだよ、ビックリした」
タカミチの一言で、顔が真っ赤になりとても照れた表情を浮かべた。
タカミチの言葉は決してお世辞には感じなかった。実際シモンも今のアスナにはかなり驚いた。意外にタカミチにも好印象であるため、ひょっとしたらアスナもひょっとするのかもしれないのではないかと感じた。
「シモンさんも一緒にいたんだ・・・ですね・・・・」
「ああ、俺もビックリしたよ、アスナ!・・・でも別に畏まらなくてもいいんじゃないか?・・・・高畑さんの前だからって・・・」
「あ・・・あはは、ちょっとテンパちゃって・・・。あ、木乃香もすぐ来るからさ。・・・・シモンさん・・・・驚かないでよね・・・」
「?」
するともう一つの足音が聞こえてきた。アスナ同様駆け足で息を切らせている。
「も~、アスナ速すぎや~。ウチじゃ追いつけん~」
「ゴ・・・ゴメンって。ほほ・・・ほら私も慌ててたからさ・・・・。でも、ホラ! シモンさんもここにいるよ」
「あっ! シモンさん、遅れてゴメンな~、ちょっと色々手間取ってもうて・・・・・」
「「・・・・って、木乃香(君)!?」」
どうやら二人は一緒に来たようである。しかし途中でアスナの足についていけず、木乃香が少し遅れた形になってしまったようである。アスナも夢中で走ってたためそれに気づかず置いていったことを謝罪していた。
だが、その会話がシモンには、そしてタカミチの耳にも聞こえていなかった。
なぜなら今の二人はアスナの登場以上の衝撃を受けて呆然としていたからである。
「あの・・・・木乃香・・・・その姿・・・・」
「こ・・・・木乃香君・・・・・」
「あっ・・・・やっぱ驚いたてもうた?」
木乃香の服装は、アスナと同じような感じである。膝元に届く辺りのスカートを履いている。だが木乃香の普段着は大体が可愛らしい服装のため、そこには何の問題はない。
だが問題なのはアスナは可愛らしい歳相応の姿なのに対して、今の木乃香はどちらかというと大人の女性の綺麗という表現が合っていた。
しかしそれは当然であった。
なぜなら木乃香は大人の姿をしているからである。
「こ・・・木乃香・・・な・・・なんで?」
シモンはわけが分からず尋ねた。するとアダルト木乃香はその姿のまま顔を赤らめ照れながら口を開く。
「あんな・・・ほら、以前カモ君が持っとった魔法の薬あったやん・・・」
「あ・・・あ~、あれか・・・」
「今日は・・・その・・・今日はシモンさんと同じ年でいたかったんよ。・・・そんでカモ君にお願いして・・・・」
「――っ!」
思わず少しキテしまった・・・・。
長く美しい黒髪の似合う成人女性。正に大和撫子と言うべき存在かもしれない。
しかしその大人の姿でありながら、少女のように顔を赤くしてモジモジとする可愛らしい表情とのギャップに思わずシモンも心臓が高鳴ってしまった。
正に不意打ちのようなものだった。
今日は木乃香を正面から見ようと思った途端に、この攻撃は予想外だった。
教会で木乃香がこの姿で現れたときは、事前にかなりマジメな話し合いをヨーコたちとしていたため、急に大人の姿で現れた木乃香の存在にただビックリしただけだったのだが、今改めて木乃香を見てみると・・・・
(この前はよく見ていなかったけど・・・美・・・・人になるだな・・・・木乃香は・・・)
だがシモンの反応が分からず木乃香が不安そうに顔を覗きこんできた。
「・・・・に・・・似合っとらんかな~?」
「あ、いや・・・・すごく・・・・いいと思うよ・・・」
「ホンマ!」
アスナ同様シモンの一言で木乃香はとてもうれしそうな笑みを浮かべた。
その笑顔は美しさと可愛らしさを兼ねていた。
身長はやはりシモンの方が大きい。だが、当然木乃香の身長も伸びているわけで、覗き込んでくる木乃香の顔の位置は当然以前よりも近いため、ドアップで今の木乃香に顔を近づけられたら当然・・・
「あっ・・・その・・・ええっと・・・・あのだな・・・・」
「?」
当然健全な男なら動揺してしまうわけであった。首をかしげる木乃香。一度意識してしまったらそんな単純な動作ですらドキッとさせられてしまう。だが、我を忘れるわけにはいかない。シモンは懸命に心を落ち着かせる
(落ち着け・・・・落ち着くんだ俺・・・。そうだ、少し驚いただけだ・・・俺はそんな節操無しなんかじゃない!)
かなり動揺している様子だが、懸命に息を整えて落ち着こうとしている。その光景は周りから注目されてしまうほど奇怪な行動だったかもしれない。だが、シモンは懸命に心と戦っていた。
(そうだ、俺は決してやましいことは思ってないぞ! だから安心しろ、二ア! 俺を信じろ! お前が信じる俺を信じろ!)
だが、そんなシモンの葛藤を知ってかしらずか、側にいた木乃香が間近で顔を覗きこんでいた。
長く綺麗な黒髪を靡かせて、目のいる彼女からはとてもいい香がした。
「シモンさん、どうしたん?」
「い、・・・いや、・・・なんでもないというか・・・・その・・・木乃香・・・」
「ん~?」
動揺するシモンに首を傾げる木乃香。するとシモンはチラチラと木乃香を見ながら少し顔を赤くしていく。
「その・・・木乃香・・・あ、・・・あんまり顔を近づけたらダメだよ・・・・その・・・今は・・・ちょっと・・・」
「え~、なんでなん?」
「どうしてもだ」
分かっていて言っているのか、分かってないで言っているのかは分からない。しかし普段見慣れていたはずの木乃香の姿に、シモンが今動揺しているのは誰の目にも明らかだった。
少しずつ鼓動も整いシモンも落ち着いてきた。木乃香を見ると決めたにもかかわらず、必死に頭の中でニアを思い浮かべるだけで無理矢理気を落ち着かせたのである。
そして改めて木乃香を見て尋ねる。
「ええっと・・・その、俺と同じ歳でってのは、気持ちはうれしいけど・・・・やっぱそんな物には頼らないでいつもの木乃香の姿でよかったんじゃないか? 無理に背伸びをしても仕方ないじゃないか・・・」
動揺したくせにもっともらしいセリフでシモンは余裕を出そうとしていた。
だが、その言葉に木乃香は少し申し訳なさそうに己の心境を語っていった。
「ウン、・・・シモンさんはきっとそう言うと思っとった・・・・せやからウチもすごく悩んだんや・・・こんなズルしてシモンさんの気ぃ惹こう思っても、シモンさんに逆に怒られるんやないかって・・・・」
「だったら何で・・・」
「せやけど・・・・今日はウチにとって特別な日やから・・・・は、は・・・初めての日やから!・・・・シモンさんと少しでも同じ目線で同じ物みたい思ったんや・・・・」
「うっ・・・・・」
「せめて今は・・・体だけでもシモンさんと並びたい・・・・そう思って・・・・」
「――っ!」
そう言って木乃香は恥ずかしそうにハニカンだ。
一途すぎる想い、内心少しクラッとなりそうになった。長い人生でこれだけ強く異性から想われることなど滅多に無い。そして同時に申し訳ないような気がした。
シャークティの言うとおり刹那や木乃香に対してもやはり自分で思っているほど正面から向き合っていなかったのだと気づき、これまでニアを理由に問答無用で拒み続けてきたことに対して少し申し訳ないような気がした。
すると少し俯き気味だったシモンの背中をアスナがバシッと叩いた。
「ほら、シモンさん! いっつも天然でほんわかとしてる木乃香がどんだけ気合入れまくったか分かるでしょ!! だったらちゃんとそれに応えてあげてよね!!」
「アスナ・・・・」
そう言ってアスナは木乃香に向けてウインクした。それは互いの健闘を祈る合図だったのかもしれない。女に言われて引き下がるわけにもいかない。シモンはアスナと木乃香に向けて小さく頷いた。
「ああ、わかった。・・・・・・・そういうことらしいですよ、高畑さん? ガキも・・・・成長していくみたいですね」
「・・・・僕もネギ君たちを見ていると、そのことを実感させられるよ・・・・」
「ええ。・・・よしっ、行くか! それじゃあアスナ、・・・・お前もぶつかっていけ!!」
「ちょちょちょ、シモンさん!」
その一言で真っ赤になったアスナに背を向け、シモンは正面から木乃香を見た。
「じゃあ行くか・・・木乃香!!」
「んっ!!」
アスナとタカミチと別れ、木乃香はうれしそうに駆け足でシモンの隣に立ち、二人は並んで歩き出した。
並んで歩く二人は決して不自然には見えなかった。
魔法薬の効果もあり、シモンと木乃香が二人で並んで歩く姿は普通のカップルに見えなくも無かった。きっと周りの者にもそう思われているかもしれない。
(さて、・・・・どうしよう・・・・でも周りの人もチラチラ木乃香を見てる・・・・やっぱ美人なんだな~・・・って余計なことは考えちゃダメだ!)
(うう~・・・シモンさんと・・・シモンさんとウチが並んで歩いとる・・・・う~ニヤけてまいそうや~、・・・今のウチの姿なら・・・シモンさんとカップルに見えるんかな・・・・)
互いに無言のまま互いをチラチラ見ながら黙って歩く二人。木乃香はもとより、今のシモンも少し余裕が無かった。少なくとも隣にいる美人は自分にプロポーズまでしているのである。そのことを考えると再び緊張してきた。
(ああ~もう、何やってるんだよ俺! こんなんじゃ最低だ! ちゃんといつものように振舞わないと・・・・)
(アカン・・・ウチも緊張してきた・・・それに・・・シモンさんも難しい顔しとる・・・やっぱウチなんかとデートは嫌なんかな~・・・・)
それぞれの心の中で思いが重なり、次第に空気が重くなる。
(ダメだ・・・無理に意識しちゃダメだ! それに大人の俺がしっかりしないでどうするんだよ! 自然体だ! そうだ・・・)
(せっちゃんも勇気だしたんや・・・・ウチはウチの想いをぶつけなアカン! 積極的にや! せや・・・)
((気合だ(や)!!))
心の中で決意した二人は立ち止まり、同時に互いの顔を見合った。
「木乃香!」
「なんやシモンさん!」
「あっちに人だかりがある! 行ってみないか! おもしろそうだよ!」
「せやな! ウチも行ってみたいわ~、ほないこか!」
「「・・・・・・・・・・・・・・」」
上辺だけの会話だった・・・・・・・。二人とも笑顔だがその顔は引きつっていた。
(俺のバカ・・・・明らかに不自然じゃないか・・・・)
(う~、せっかく計画建てとったのにいきなりズレてもうた~)
シモンは空を見上げて自己嫌悪して、木乃香は必死で作った予定表をこっそり握りつぶし、二人はとりあえず人だかりのある場所へと向かっていった。
ただ偶然シモンの適当な提案で立ち寄ってみた場所、なにやら舞台が設置させられて、黄色い声援があがっていた。
「なんだろう・・・」
「なんかのイベント見たいやけど・・・・・」
『さあ~、盛り上がって参りましたベストカップルコンテスト!!』
「「・・・・・なっ!?」」
突如舞台から聞こえたアナウンスに二人は肩を震わせた。
そこで行われていたのは言葉どおりのコンテストで、男女のペアが舞台で仮装したりして競い合っているようである。
優勝商品は豪華商品らしいが・・・・
(こんなものやってるなんてな・・・・危なかった・・・・)
(お・・・惜しい・・・・もうちょい早ければ・・・・う~、シモンさんと出たかったな~・・・・)
既に始まっているため二人の出場は無く、ホッとするシモンと横で物凄く残念そうに落ち込む木乃香。しかし二人の顔は司会者の声で顔を上げる。
『さ~て続いてのペアはナギ&亜子ペア~! おお~っと、これはクオリティの高い美形の登場です!』
「「えっ?」」
呼ばれた名前に驚きの顔を浮かべる二人。すると舞台にはタキシード姿を来た大人バージョンのネギと生徒の和泉亜子がウエディングドレスを着て、結婚式スタイルで現れた。
その余りのレベルの高さに会場が息を呑んでしまった。
「な・・・・あのボウズは何をやってるんだ・・・・・」
「はは、ネギ君も魔法の薬飲んだんやな~」
「ったく・・・・武道会は決勝で負けたのは知ってたけど・・・・・なにやってるんだよ・・・・・」
ネギとクウネルの決勝戦をシモンは結果だけしか知らなかった。ネギの父親の問題が絡んだようだが、詳しく聞こうともしなかった。どのみち今の様子だと何も問題は無かったことだけは分かり、ため息だけをついた。
(それにしても・・・・結婚式・・・・か)
二人の姿を見つめ、シモンは何か昔を懐かしむかのように二人を見た。
「あ~ん、亜子羨ましいわ~、ウチもシモンさんと出たかったな~」
隣では木乃香が目を輝かせてウエディング姿の亜子に見惚れていた。その輝きはただ見惚れているだけではなく、憧れているようにも見えた。
(ウチもいつか・・・・)
チラッと木乃香はシモンを見上げ、また直ぐに顔を真っ赤にして舞台に視線を戻した。
(あ~も~、気ぃ早すぎるわ~、・・・せやけど・・・・海の日にプロポーズするてシモンさんにも言うたし・・・・)
舞台の二人とシモンを交互に何度も見て、木乃香は益々顔を赤くしていった。
(あっ・・・・・せやけどうちの場合はウエディングドレスは着んかもしれんな~・・・・もし京都で式なら着物・・・・って・・・・シモンさんはどっちがええんやろうな~)
一人勝手に将来の妄想を広げていく木乃香。それ以前に超えなければならぬ困難があるというのに、今の彼女には頭になかった。
「なあ~、シモンさんはドレスと着物、どっちがええ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・シモンさん?」
木乃香は相変わらず大胆な発言をしていくが、なぜかシモンは舞台に目が集中していて、木乃香の言葉が耳に入っていなかった。舞台にいるネギと亜子の姿をどこか複雑そうに見ていた。
(シモンさん? ・・・・どうしたんやろ・・・・真剣にネギ君と亜子を見て・・・・はっ!? シモンさんもウチとの未来を!? ・・・・・・なわけないか~・・・・)
ただ黙って舞台を見つめるシモンに木乃香は首を傾げる。
すると舞台にいるネギがパフォーマンスの一貫として亜子をお姫様抱っこし出した。
『おお~っと、伝説のお姫様抱っこです!』
ネギのパフォーマンスに観客達が沸きあがる。
「キャー、ネギ君スゴイわ~! ウチもあんなん好きな人にされたいわ~! なっ、シモン・・・・・・さん?」
木乃香は隣にいるシモンにハシャギながら声を掛けようとした。すると舞台を見つめるシモンの表情が複雑そうな表情から、一気に寂しげで切なそうな顔になった。
周りから見れば気付かない程度の変化、しかし曲がりなりにもシモンを見てきた木乃香には気付いた。
(シモンさん・・・・なんで・・・・そんな寂しそうな・・・・・)
『これは素晴らしい! シンデレラを迎えに来た王子様! まさに王道の最強結婚式です!!』
(結婚式・・・・・・結婚・・・・・・・・あっ!?)
そして木乃香は全てを理解した。シモンが今何を・・・・誰のことを想い、その様な表情をしているのかを理解してしまった。
そう、今シモンが思い出しているのはあの日のことだった。
(・・・・二ア・・・・・・)
結婚式の日、互いに永遠の愛を誓った日。
そして永久の別れの日である。
木乃香はそのことを知らない。だが、シモンが誰を考えているのかは直ぐに分かってしまった。それは自分が本当に超えねばならない相手だった。
思わずスカートの裾をギュッと木乃香は握り締めた。さっきまでの心の高鳴りが一気に落とされた気がした。
だが、それでも前を向かねばならない。
(っ・・・大丈夫や・・・・そんなんずっと前から知っとったことや・・・・・・。ウチは・・・・この人を振り向かせるて決めたんや・・・、こんなんで落ち込んでたらアカン!)
そして木乃香はギュッとシモンの腕を掴み取った。それに気付きようやくシモンもハッとして木乃香を見る。
すると木乃香はいつものように柔らかい笑みをシモンに向けた。
「ほな、シモンさん、ウチらは出られんみたいやし、次いこか~」
「・・・・木乃香・・・・」
「ふふ~ん、ウチな、今日のために色々と調べたんや! 今日はウチがシモンさんをエスコートしたる! まずは図書館島ツアーからや!!」
木乃香はそう言って自分の両手でシモンの腕抱きしめるように引っ張り、イベント会場に背を向けた。
(せや・・・ウチもがんばらなアカン・・・この人を・・・・ウチが幸せにするんや!)
しがみ付いた腕を放さぬように握り締め、木乃香は上を向いた。
シモンも木乃香はきっと自分に気を使ってくれたのであろうことに気付いた、
(木乃香・・・・ごめんな・・・・今日はお前を正面から見るって決めたのに・・・・・・・。・・・・・俺もまだまだだな・・・・ヨーコとの戦いで弱音を吐いたのに、ガキに気を使われてる・・・・・・、いや、木乃香は俺が思ってるほどガキじゃないのかもな・・・・)
自分の腕を引っ張り前を歩く木乃香を見て、シモンは頭を振って雑念を取り払った。そして空いているほうの手で自分の頬を数発叩き。目を覚ます。
その音が木乃香にも聞こえて何事かと振り返ったらそこにはいつもと変わらぬ笑みを浮かべたシモンがいた。
「よしっ! じゃあ今日は木乃香に任せる! 俺を楽しませてくれよな!」
ニッと笑うシモン。それだけで木乃香も再び心が高鳴った。腕を抱きしめながら笑みを浮かべて力強く頷いた。
この状況を影で除く複数の人影。
「気を使われるようじゃまだまだね」
「デモ木乃香さん美人・・・・・」
「たしかにヨーコさんほどじゃないけど胸も結構成長してるね。アイツは家事全般も得意だし、いい物件なんじゃないの?」
「ぶ~う」
「その前に後をつけるのは止めません?」
何だかんだで教会からずっと尾行していたグレン団のメンバー。シモンと木乃香の様子を温かく見守っていた。ヨーコはシモンとニアの親友として。美空は妹とクラスメートとして、と言っているが、案外暇だったのである。
「なに言ってるんすか、シスターシャークティ! 私たちの家族の戦いを見守るのは私たち家族の役目っすよ!」
「・・・・その割には随分と楽しそうですね・・・・」
ビシッと親指を立ててウインクする美空を呆れた目で見るシャークティ。と言いつつ彼女も結局来ているのでお互い様である。
そしてこの場にいるのは彼女たちだけではなかった。
「まあまあ、美空殿の言い分は間違ってないでござる。やはりここは見守ることは大切でござる」
「そうです。私もお嬢様の初デートは影から見守りたいと思います」
「・・・・・・そもそも何故アナタたちまでいるのですか! 桜咲さん! 長瀬さん!」
シャークティはビシッと二人に向けて指を指した。
元々刹那は学園の仕事の告白防止の仕事のために学園を見回り、その際に楓に助力を頼んでいたのである。しかし途中で実に怪しいグレン団の女たちの尾行を目撃してしまい、気づいたら合流していたのである。
「むっ、そう言っている場合ではないでござる! 木乃香殿は無理矢理シモンさんの腕に手を回しているでござるよ!」
「うっひょ~、やるね~木乃香! 身体だけじゃなく度胸もデカクなったか?」
「お嬢様とても幸せそう・・・良かったですね。シャークティ先生、あまり騒ぐと気づかれますので、もっと静かに行動しましょう」
「いえ・・・そもそも尾行する意味など・・・・」
しかしそう言っておきながら結局帰らないのが、シャークティに女性としての心があることを証明していた。
隣で木乃香を自分たちのように面白半分とは違って、温かい眼差しで見守る刹那。まるで母親のようである。だが、刹那の気持ちも既に学園の中で周知の事実なのである。
それが少しヨーコも気になった。
「でも刹那、アンタはいいの? アンタもシモンを好きなんでしょ? さらに親友の木乃香が目の前でシモンと一緒にいて何とも思わないの?」
「えっ・・・まあ、たしかにうらやましいですけど・・・・お嬢様がとても幸せそうなので今は・・・・」
「あっでもでも~、よくよく考えりゃ三角関係っすか?」
「美空、何故うれしそうなのですか?」
「と言っても二人ともフラられているのでござるがな~」
話が急に自分に振られて戸惑う刹那。今更自分の気持ちを隠す必要は無いが、今の木乃香を温かく見守りたいと思うのも事実である。
(このちゃん・・・・がんばってな・・・・)
心の底から親友を応援する刹那。そこにシモンと木乃香への嫉妬やわだかまりもなかった。その気持ちを感じ取り、ヨーコもそれ以上は聞こうとはしなかった。
影で尾行されているとは知らずに、木乃香とシモンは純粋に学園祭を楽しんでいた。木乃香の事細かに記された計画表どおり、図書館島ツアーや、遊園地顔負けのアトラクション、何個かエヴァと初日に行ったものと被ったりもしたが、木乃香には言わなかった。
「それにしても本当に広いよな~、この学園って・・・」
一休みのためにベンチに座り身体をグッと伸ばすシモンは改めてこの学園の広大さを感じ取った。正直学校の中を未だに全て把握し切れていないのは驚きだった。
「せやろ、さすがに全部は無理やけど、まだまだこれから行く場所がいっぱいあるえ」
そう言って木乃香は手に持っている予定表を確認した。それをチラッと覗き込んだが、字が小さくなるまで細かに書かれている予定表を見て、まだまだ終わらないことにシモンは口には出さないが、少し心が重くなった。
正直シモンはかなり疲れていた。今日一日ずっと武道大会でボロボロの試合を繰り返していたのである。怪我は癒えたものの、精神的にかなりマイッテいた。だが隣でウキウキしながら計画表を眺めている木乃香を見ると何も言えなかった。
だがそれでも限界は訪れる。自分の意思とは関係なく、自然に欠伸がこみ上げてウトウトしてきた。
(やばい・・・クラクラしてきた・・・・)
そうとは知らずに予定表の確認を終えた木乃香はポケットに紙を仕舞い込み、シモンを見る。
「ほなシモンさん、次・・・・・シモンさん?」
木乃香の言葉に返事は無かった。そのとき既にシモンは夢の中へと旅立ってしまった。
最初呆然としてしまったが、木乃香も慌てて頬を膨らませながらシモンを揺らす。
「もうシモンさん! デート中に居眠りなんてアカン! まだまだ行くところが・・・・・」
だが全てを言い終わる前に木乃香は揺らすのを止めた。シモンも起きる気配は無く、とうとう寝息まで聞こえてきた。
木乃香も最初怒りそうになった、しかしシモンの今日一日を思い出し、何も言うことなど出来なかったのである。
(そか・・・、シモンさんも疲れとるんやな・・・、ウチは知らんとはしゃぎ回って・・・・まだまだやな~)
木乃香は黙って隣に座りなおし、シモンの寝顔を見ながら自分の至らないところを感じ取った。そもそも半ば強引に今日の約束をこじつけて、それを疲れた身体を押してまで今日一緒に回ってくれたのだから、自分が文句を言うのは筋違いなのかもしれない。
(せやけどウチも欲張りやな~。もっと・・・・まわりたかったな~。・・・・こうゆうとこが子供なんかな~・・・)
だが残念だという気持ちも捨て切れなかった。
すると木乃香はシモンとの座る距離を少しずつ詰めていった。そして少し顔を赤らめながら手を震わせながらシモンの手に重ねようとしていく。
(せやからこれぐらいは許してもらわんとな~)
眠るシモンの手に自分の手を絡めようと思ったその時、シモンの頭が倒れてきて木乃香の肩に乗った。
「シ・・・シモンさん!?」
急に自分の肩に倒れてきたシモンに木乃香は動揺しまくってしまった。
「う~、シモンさん・・・・驚いたわ~、・・・・ホンマに疲れとるんやな~・・・・」
自分に寄りかかり寝息をたてるシモン。しかし重さは気にならなかった。今はこの状況だけしか木乃香は気にならなかった。
普通は女が背の高い男の肩に寄りかかるのだが、大人の姿になった木乃香との身長差はあまりなく、シモンにとっても無理な体勢ではなく、むしろより深い眠りを誘った。だが木乃香は逆に興奮が収まらずに心臓が高鳴っていた。
(なんかええな~・・・こうゆうん・・・)
気づいたらベンチを通り過ぎる多くの人たちがこの光景を見ながらクスクス笑っていた。
木乃香も急に周りの視線に恥ずかしくなり身を竦めた。しかしその瞬間シモンの頭が木乃香の肩からずり落ちて、・・・・
「あっ・・・・シモンさん・・・・・・」
「「「「「「おおおおお~~~~!!!!」」」」」」
シモンの頭が木乃香の太ももにダイブした。
俗に言う膝枕である。
既に絶滅したと思われた恋人たちの王道に思わず周りから歓声が上がった。
これだけ歓声が上がってもシモンは一向に起きる気配は無かった。木乃香一人、シモンの頭を膝の上で撫でながら、軽く会釈をして観客に応えた。
(アカン・・・・とろけてまいそうや・・・・・)
シモンの頭をサワサワと撫でながら木乃香はシモンの寝顔をずっと眺めている。
「減点ね・・・・シモン・・・」
「いや、むしろ高得点じゃ・・・・あ~あ、木乃香真っ赤になっちゃってるよ~。とにかく写メで保存♪」
「・・・・不潔です・・・・シモンさん・・・・」
「そうでござるか? あの空間だけとてもキラキラと輝いているように見えるが・・・・」
「お嬢様、とても幸せそう・・・・よかったですね」
草葉の陰から覗く面々、反応はそれぞれである。
一度居眠りを初めたシモンにヨーコが教師の癖でチョークを投げそうになったのを全員で押さえるというハプニングがあったが、今は黙って見物していた。
「シモンはいつから無自覚であんな技を覚えたのかしら・・・・最低ね・・・」
「そうっすね~、・・・・ところでなんでシスターシャークティ、ウズウズしてるんすか?」
「えっ!? ・・・・あっ・・・いえ・・・その・・・」
「まさか・・・・木乃香がうらやましいんすか?」
「ちちち、違います!」
顔を赤くしてうろたえるシャークティ。バレバレだった・・・・。
しかし事態はさらに変化した。
「木乃香サン・・・・アニキに顔近づけテル・・・・」
「「「「なにィ!?」」」」
ココネのとんでもない一言に全員が身を乗り出した。
するとそこには眠るシモンの顔に自分の唇を近づけようとしている木乃香がいた。
(こんなん・・・・寝てる人にこんなんしたらアカン・・・せやけど・・・)
木乃香は徐々に顔をおろしていく。今すぐシモンが起きないかどうか心臓がヒヤヒヤである。しかしそれでも少しずつシモンに顔を近づけていく。
「ちょっ、あの子なんてこと・・・・・」
「こ、これは流石に黙っておけません!」
「し~っ! 落ち着いてよ、ヨーコさんもシスターシャークティも、今すんごくいいとこなんだから!」
「いくでござるか、木乃香殿!」
「こここ、このちゃん!?」
シモンは一向に起きない。邪魔しようとするものも抑えられている。木乃香の前に立ちはだかる壁は今どこにも無い・・・・・かに見えた。
あと数センチをどうしても埋めることが出来なかった。
(やっぱこんなん、アカン・・・せやけど・・・・う~~~~、生殺しや~~~)
一度顔を上げて深呼吸をし直し、もう一度トライしようとするが、まともや失敗に終わる。深呼吸しなおしては口を近づけ、再び深呼吸の繰り返しである。この光景に草葉の陰から見守っている女性陣のイライラが溜まっていくのだが、木乃香はやはり出来なかった。
「あ~もう、何やってんのよあの子は!? やるんだったらさっさとやりなさいよ!!」
「お嬢様、もう一息です!!」
「ぬぬぬぬ、しかしそのもうちょっとが厄介のようでござる」
「だあ~~、また失敗してる。何回繰り返えしゃいいんだ!!」
「これはシモンさんの気持ちを無視した行為・・・止めなければ・・・・しかし・・・・」
「皆・・・暇人・・・・・」
「ぶう・・・・」
木乃香のキスひとつで悪戦苦闘する中学生らしい反応だが、今木乃香は大人の姿のため、一同イライラしながら眺めていた。ココネとブータだけは呆れてこの光景を眺めていた。
結局木乃香の攻防はシモンが目覚める夜まで続いた・・・・・・・・・・。
この時何時間もこの光景を見ていたヨーコたちのストレスがシモンにぶつけられるのはもう少し後の話である。
シモンは夢の中だが意識だけはあった。シモンは眠りの中で木乃香たちの好意と自分の気持ちについて考えていた。
正直ニアと一緒にいたときに一生分の愛を使い切ってしまったような気がした。それゆえこうやって他の女性の好意について考える日が来るとは思わなかった。わずか一年しか経っていないのである。一生ニアだけを想い続けることだけが残された自分の唯一出来ることだと思っていた。
だが、この世界の出会いを思い起こす。家族、友、仲間、そして自分を慕ってくれる女性。僅か一年の旅路でこれだけのものに巡り会えたのである。かつての仲間たちと比べようなどとはしないが、今では自分にとって大切な者たちである。そんな中で、ニアと自分の気持ちを知りながらも、想いを伝えてくれる子達がいた。
自分はそれを拒んだ。
しかしそれでも一途な想いをぶつけてくれる。
悪い気はしない。
気持ちは痛いほど伝わっている。
嫌いなわけではない。
しかし受け入れられなかった。受け入れてしまったら、ニアが自分の中から消えてしまう、それが一番怖かったのである。
木乃香と今日一緒にいて楽しいと思った。木乃香の美しさにドキッとしてしまった。しかしどうすればいいのか自分でも分からなかった。
「う~ん・・・ふわあ・・・・・」
結局答えが分からぬまま、シモンは目を覚ました。
まだ覚醒しないままボーっとする。今の自分の状況が分かっていなかった。とてもやわらかい感触が頭部に感じた。
「ん~っと・・・俺は・・・・・」
自分が今何をやってるのかは分からない。分かるのは・・・・目を瞑って唇を自分に近づけている木乃香が目の前にいるということである。
「うわあああああああああああああああああああああああああ!?!?」
一気に目が覚めてシモンは木乃香の肩を押し上げて、慌てて飛び起きた。
「こここここ、木乃香!?」
「あっ・・・・シモンさん・・・・起きた?」
「おおお、起きたじゃなくて・・・・何をって・・・・起きた? ・・・・・そうか・・・・俺・・・・寝てたのか・・・」
なぜ今こうなっているのか未だに分からない。だが、徐々に意識がハッキリしだし、シモンの顔が引きつってきた。
(そうだ・・・俺確か木乃香と学園祭を・・・でも途中で眠くなって!?)
答えが分かったシモンはガバッと起き上がり慌ててベンチから離れて立ち上がった。
「うわああああああ!? 俺・・・・・・・その・・・・ゴメンッ!! せっかく木乃香が・・・・その・・・本当にゴメン!!」
必死になって何度もシモンは頭を下げる。いくら疲れていたとはいえ、木乃香に最低なことをしてしまったと心の底から後悔していた。だがもう遅かった、なぜならすでに空は暗く、時刻は夜に回っていた。今から予定をこなすなど、どう考えても不可能である。だからシモンはどうすることも出来ずにただ何度も謝った。
すると木乃香は首を横に振る。
「ええんよシモンさん・・・ウチは怒っとらん・・・・」
「で・・・でも・・・・」
「今日はシモンさん独り占めに出来たからな、ウチはそれで満足や!」
木乃香は本心からの笑顔をシモンに向けた。再びドキッとさせられてしまったが、木乃香の心遣いが身にしみた。
「そうか・・・でも本当にゴメン・・・・って・・・あれ?」
「どうしたん?」
「・・・・そういえば・・・・さっきなんで・・・・木乃香・・・・・俺にその・・・キスをしようと・・・」
「へっ?」
その瞬間ボンッと音を立てて木乃香の顔が真っ赤に沸騰してしまった。
「あ、あああ、あれはな、シシ、シモンさんがあんまりにも隙だらけやったから、思わず・・・・せやけどしてへんよ! あとちょっとやったんやけど苦戦してもうて・・・」
「そそ、そうか・・・俺も急に起きてゴメン・・・じゃなくて・・・・・まあ、おお・・俺も悪かったし・・・」
二人揃ってあたふたし出し、頭を下げて謝罪しあう。だがどちらも動揺しまくって口もうまく回らない。シモンも自分の責任だと思い、何度も謝罪をやめなかった。
「とにかく本当にゴメン!! 俺の責任だ・・・・」
「そんな・・・シモンさんは悪くあらへん・・・・」
「いや・・・木乃香の気持ちを知っていながら、無責任に寝ちまったのが悪い・・・本当にゴメン!」
自分の責任であることは引けずに、シモンは何度も頭を下げた。しかし木乃香も少し計画がダメになったことが残念ではあったが、それでも疲れているのに付き合ってくれたシモンの気持ちと、今日一緒に入れたことだけで満足だった。
しかしシモンは引きそうに無い。だから木乃香はあることを思いついた。
それは欲張りな要求かもしれない。しかし木乃香は言ってしまった。
「せやったら・・・ウチのお願い・・・聞いてくれる?」
「ああ、俺に出来ることだったらな・・・・」
その言葉を聞いて木乃香はゴクリと唾を飲み込み、告白したときと同じ緊張感の中で伝える。
「シモンさんに・・・キスしてええ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ・・・・・・・・」
すると木乃香はシモンが答える前にシモンの胸に飛び込み腰に手を回してきた。
そして絶対に離さないよう力強くシモンに抱きつく。
「こ・・・木乃香・・・・」
「そんなんゆうんやったら・・・・これがウチのお願いや・・・・」
見上げる木乃香の顔は真剣である。それが瞬時にシモンにも伝わった。そしてつま先を伸ばし、ゆっくりとシモンに顔を近づけていく。
「で・・・でも・・・・」
「シモンさん・・・・・・ウチに・・・ちょっとでも可能性無いんかな・・・・ニアさんには一生敵わんかな?・・・・・」
「・・・お前はお前だ! そう・・・言っただろ・・・・」
「せや・・・せやからウチは・・・・負けたない! ウチは・・・・・子供かも知れんけど・・・・好きゆう気持ちだけやったら・・・負けたない」
今度こそ本気で木乃香はシモンに顔を近づけていった。
(木乃香・・・そんなに・・・俺のことを・・・)
だがシモンはどうすればいいのか分からない。たかがキス一つと言っても仮契約や親愛の類ではなく、木乃香は愛情を求めていた。
だからこそ、その想いにどうすればいいのか思いつかなかった。
(アニキ・・・こんなとき・・・アニキならどうする・・・)
こんなときシモンが心の中で問いかけるのはいつものあの男。だが、それは少々人選ミスのような気もするが、このときのシモンにはそれに気づく余裕もない。
シモンの頭の中の精神世界。
すると自分一人だけの暗闇の世界に一匹の悪魔が降り立った。
悪魔の羽と尻尾を生やし、サングラスをつけた悪魔は高らかと笑いながらシモンに向かって叫んだ。
[がっはっは! 悩んでるみたいじゃねえか、ええ~? シモン!]
(ア・・・アニキ!)
[バカヤロウ! 俺はアニキじゃねえ! 言ってみりゃあデビルカミナ様だッ!]
(やっぱ滅茶苦茶だ!?)
シモンの頭の中で一匹の悪魔が囁いた。
[にしてんもだ! 情けねえ~ぞ~、シモン! 男が女に退いてどうすんだ!]
(うっ・・・・でも・・・俺にはニアが・・・・)
[バカヤロウ!! 据え膳食わねえのは男失格! 不能屈折のダメ漢! いい女が向こうから迫ってきてんだ! ありがたくもらっちまえ!]
(で、でも俺にはニアがいる! そんなこと断じて出来ない! それに木乃香は真剣なんだよ・・・・だったら俺も場の雰囲気とかそんなもので応えるわけには・・・・・)
だがそんなシモンを「やれやれ」と言った感じでデビルカミナはため息をついた。
[っか~~、おめえってやつはよ~。いいかシモン、・・・愛といい女は別腹だ! ちょいちょいっと、やっとくのも経験だ! こんなおいしい場面は滅多にねえぞ! ]
(なな・・・なんだよそれー!?)
とんでもない滅茶苦茶な誘惑を囁くデビルに狼狽するシモン、
しかしその時だった。暗闇の世界に一筋の光が差し込んだ。
[うおっ!? この光は・・・・天使の光!?]
デビルカミナとシモンだけの精神世界に一人の天使が舞い降りた。
暗闇に包まれた世界に光をてらし白い翼を羽ばたかせる者、それは昔の出会った時のニアだった。
(ニ、ニニニ・・・ニア~~~!?)
懐かしい少女時代の二アの姿、すると天使はニコッとシモンに微笑んだ。
[ごきげんよう。私はエンジェルニアです]
(エンジェル・・・・でもニアなら納得だ・・・・)
思わず精神世界で泣きそうになるシモン。するとエンジェルニアはとても温かい笑みを送ってくれた。
[シモン、・・・シモンはアニキさんじゃない。シモンはシモンの思ったとおりにすればいいと思います]
(俺の・・・・思ったとおりに・・・・・)
同じようなことを昔本人に言われたような気がした。それはシモンにとっては生涯を通じて重要な言葉だった。
だが、その感動を遮るように悪魔は口を挟んできた。
[おうおうおう! 黙って聞いてりゃ言ってくれるじゃねえか! 俺はシモンの心に問いかけてんじゃねえ! 俺様が説いてるのは男としての常識だ!]
[いいえ、違います! シモンの常識を決めるのはシモンなのです! 周りが決めた常識など打ち破るのがシモンなのです!]
すると頭の中で天使と悪魔が喧嘩を始めた。当事者でありながらシモンはそれをハラハラしながら眺めていた。
すると天使はビシッと悪魔に向かって指を指した。
[デビルさん、アナタは間違っています! この子が真剣ならシモンはそれを真剣に考えて応えるべきなのです!]
[何言ってやがる! やりてえもんはやりてえ! それが漢ってもんだ! 漢をなんだと思ってやがる! 俺たちのドリルは女の都合どおりに出来ちゃいねえんだよ!]
デビルも一歩も退かずに指を天に向かって指した。
両者の意見は未だに纏まらない。そこで天使と悪魔はようやくシモンへ振り向き。
[もういい! シモン、お前が決めろ!]
[もういいです! シモン、アナタが決めるのです!!]
(結局それか~~!?)
再び頭を悩ませるシモン、現実世界では刻一刻と木乃香の唇が迫ってくる。
[がっはっは! 天使のお許しも出たんだ、怖いものわねえ! ほらシモン、いただいちまえ!!]
(ななな、何ガンメンを奪うときみたいなノリで言ってるんだよ~~)
悪魔が高らかに笑う。
すると天使があることに気付いた。
[あっ、でもこの状況は・・・なんて言えばいいのでしょう・・・]
(ニア?)
[シモンは私が好きで・・・私もシモンのことが大好きで・・・でもこの子もシモンのことが好きで・・・・これは・・・・]
(・・・・ニア?)
首を傾げるニア、すると疑問の答えに気付き、シモンにビシッと指を指した。
[そうです! これは浮気です!]
(なッッッA○×B□△D~~~~~~!?!?)
それは最強の一撃だった・・・・・・。
プクッと頬を膨らめせる昔の二アは可愛いなと思いながらも、純粋なその言葉はシモンの心に大きなダメージを与えた。
「シモンさん!?」
「ハッ!? ・・・・ゴ・・・ゴメン、少し意識が飛んでて・・・・・・」
天使の一言により、シモンは一瞬で現実に引き戻されてしまった。目の前には心配そうに顔を覗きこむ木乃香。
すると木乃香はさっきの続きを求めるかのように再び目を瞑り顔を近づけてきた。
だが今は先程と違ってシモンも冷静になれた。シモンは木乃香の両肩を掴み遠ざけた。そしてハニカンだ笑みを木乃香に送った。
「ゴメンな、・・・今日のところは・・・俺とニアの勝ちだ」
「――っ!」
「そうだ・・・・お前が真剣だからこそ・・・・まだまだまだまだ、揺るげないんだ・・・・」
そう言っていつものように笑うシモン。それが今のシモンの答えだった。すると木乃香もようやく肩の力を抜いてシモンに気の抜けた笑みを送った。
「せやろな・・・・やっぱこれ以上の背伸びはまだ早いか~・・・・」
苦笑しながらモジモジする木乃香。告白した時以上の勇気と気合を使用したため、落ち着いた途端に自身の行動が恥ずかしくなってきた。
「木乃香・・・・・・・ホントにゴメン・・・・今日のことといい・・・今といい・・・俺は本当に最低なことをしちまった・・・・」
「ううん、・・・シモンさんが真剣にウチの気持ちを考えてくれた・・・・・それだけで満足や・・・・・」
「今日のところは」とあとで付け足して木乃香はウインクした。その言葉がシモンの心に響き、シモンは少し考えたあと、ある決意をした。
「木乃香・・・・今日はこれ以上は無理だ・・・・でも・・・・今度からはもう少し・・・お前と向き合ってみようと思う・・・」
「えっ?」
木乃香は慌ててシモンを見た。そこにあるのは真剣なシモンの表情だった。
「正直俺は・・・ニアが全てだった・・・だからお前の7年後のプロポーズとかあまり考えていなかった・・・・」
それは今まで考えられなかったことだった。
「俺は一回元の世界に帰ってニアに会いに行く。・・・・でもそれからは・・・・・ニアがどうのこうのじゃない、俺が近衛木乃香をどう思っているのか、もう少しお前と向き合って考えることにするよ・・・・・」
「シモンさん・・・・」
「だからと言って、お前を好きになるとは限らない。それに木乃香だって今後他の男を好きに・・・「それは絶対あらへん!」・・・・・でも・・・・やっぱり未来はどうなるのか分からない・・・・、でも今度からはニアを理由にしたりはしない。・・・・それでも・・・いいかな?」
木乃香は拒む理由など無い。それは大きな前進であった。「俺がニアを好きでいる限り、他の誰かを好きになることは無い」と言っていたシモンにようやく少しだけ近づけたのである。可能性がゼロでは無くなったのである。それは大きな成果だった。これで少なくとも土俵の上に立つことが出来たのである。ならば後は自分をもっとシモンに知ってもらうだけである。
「今日は俺も楽しかったよ・・・。木乃香と一緒にいて・・・・楽しかった・・・・」
その言葉を聞いて木乃香はシモンに向かって満面の笑みで頷いた。
「シモンさん・・・・ありがとな・・・・」
涙が出そうになった。一度はあきらめた恋だったが、ようやく少しだけ前進できたのである。未だに片思いではあるが、木乃香はそれだけでうれしかった。
「う~ん、よしっ! ホンマは今からロマンチックなイベントが多いんやけど、今日は大人しく引き下がることにするわ~」
「そうか、・・・そうだな・・・明日も色々あるからな・・・・お互いにな」
「・・・超さんのことなん?」
「まあな、・・・木乃香には悪いけど最終日はアイツとの予定が入ってるからな~」
「む~、それやっぱうらやましいわ~、ええな~超さん」
互いに冗談めいた言葉で笑いあい、シモンは木乃香に背を向けた。
「それじゃあ、・・・・・また明日」
「ん! 必ずネギ君たちと一緒にシモンさんに会いに行くからな~」
こうして学園祭二日目が終わろうとしていた。
あきらめずに突き進んだ少女の想いが少しだけ前に進んだ日だった。
教会への帰路の途中、泣きながら走るアスナとすれ違ったが声を掛けそびれた。恐らく彼女の想いは届かなかったのだろう。しかし自分が何もしなくてもアスナも、そしてたくさんの仲間がいるのだから心配は要らないだろうと思い、アスナの背中を見送った。
後は明日を迎えるだけである。少なくともこの時はそう思っていた。
しかし超は待ってはいなかった。
間もなく本格的な大決戦が始まることに、まだシモンは気づいていなかった。
後書き。
あけましておめでとうございます。今年も気合で書いていきます。よろしくお願いします。
今回の話は最初もう少し細かにデートを書いていたのですが、そうなると長くなる上に、二話三話も書いてもしょうがないと思い、一話にまとめました。進行も滞るので・・・・
そのうち外伝などで投稿するかもしれません。
書いていて何度もシモンとニアは最高のカップルだったんだな~、何で二アは死んでしまったんだと思いました。しかし木乃香が不憫すぎたので少しだけ前進してもらいました。
最終更新:2011年05月10日 15:03