雷の斧がシモンに襲い掛かる。
しかしシモンは避けようとも、シールドを張ろうともしない。
ネギの雷の斧をドリルで正面から突いた。
「なっ!?」
ネギの放った雷はシモンの突き刺したドリルによって阻まれるだけでなく、ドリルの先端の一点にエネルギーが溜められ中和されていくように見える。
以前この力を見たことがあった。
修学旅行でスクナと戦ったとき、シモンのドリルにネギの魔力を織り込んでスクナにぶつけて倒したことがある。
その時から、いやそれよりも以前から憧れた男とその魂であるドリル。それが本当にネギ自身に向けられていることがようやく実感できた。
「俺を誰だと思っている」
「・・・シモンさん・・・」
魔力を放った今のネギにこれ以上の手はなかった。
力を使い切り、その場に膝を突いてしまった。
そんなネギに向けてシモンは続ける。
「俺はシモンだ、新生大グレン団のリーダー、穴掘りシモンだ!」
ネギの瞼が徐々に重くなる。しかし薄れ行く意識の中、シモンの言葉が最後まで頭の中に入っていく。
「お前達がどれほどの答えと覚悟を背負おうと、俺の壁となって立ちはだかるなら、何度だって風穴開けて突き進む! それが俺のドリルなんだよッ!」
膝を突いたネギはそこで前が見えなくなり倒れ込む。
最後に見たのは自分に向けてではなく天に向かって溜めたエネルギーを放出したシモンの姿だった。
そして雷を込めたシモンの解放したエネルギーは天に向かって昇っていった。
そこでネギは完全に意識を失った。
天に昇る雷は、一度だけ大きな光を出して直ぐ消えた。だからその姿に気付いた者はいなかったかもしれない。
しかしこの場での勝負は、誰が何と言おうと既に決した。
「・・・さて・・・こんなものカナ?」
「ああ、・・・そうみたいだな・・・」
複雑な笑みを浮かべて苦笑する超。そしてシモンの顔には笑みは無かった。
自分達の行なってしまった結果にそれぞれ複雑な想いを浮かべてこの場を見渡していた。
しかし結果は出た。
残された木乃香たちにどうすることも出来ない。
この戦いはシモンと超の勝利だった。
「う・・・うそだろ・・・おい」
「うわあ・・・これ・・・ひょっとして私達・・・死んだ?」
「強い・・・た・・・高畑先生も、ネギ先生も・・・桜咲さんにアスナさんまで・・・」
当初圧倒的優勢だと思っていた自分達だったが、今のこの現状はどうだ?
のどか、古、タカミチは退場。
ネギ、アスナ、刹那は気を失っている。
この場で残っているのは木乃香、夕映、千雨、ハルナの四人だけである。
そして彼女達だけでどうにもならないことなど明らかだった。
「さあ、・・・通してもらうヨ」
超が静かに木乃香たちを睨み静かに近づいてくる。
「さ・・・させへん! ウチも・・・ウチも!・・・」
「木乃香!?」
「バッ、バカ! 私達じゃどうしようもねえだろ!」
震えながらも両手を広げて通せんぼする木乃香。
だが、超は無言でお構いなく近づいてくる。
そして手には特殊弾。
夕映たちも動こうとするが、どうしようもない実力差に足を踏み出すことが出来ない。
そして超はそのまま木乃香に特殊弾を使おうとする・・・
しかし・・・
「もう、いいだろ」
「むっ」
「シモンさん!?」
超の手をシモンが掴み、止めた。何のつもりかと超は見上げると・・・
「もう勝負はついた。これ以上ネギや木乃香たちにソレを使うな。残りの弾丸は全て俺のために使え。タイムマシンが壊れかかっている以上、これ以上のハンデはキツイぞ?」
突如告げるシモンの甘い考えに超は鼻で笑って拒否しようとする。
「甘いヨ。この場で退場させなければ何度でも彼らは来るヨ。それに木乃香さんがいる以上、ネギ坊主たちは直ぐに怪我を治して再び現われるネ」
せっかく邪魔者を排除できるチャンスでそれをふいにしようなど、もっての他だった。
しかしシモンも超の手を掴んで離さない。
「その時はその時だ。何度来たって関係ない。これは元々俺とお前の戦いだ。これ以上やれば目的も失うぞ。お前の言う大義って奴もな・・・」
「ふんっ」
超は少し不機嫌になりながらシモンの手を払いのける。そしてしぶしぶ弾丸を閉まった後にシモンを、そして木乃香をチラッと睨む。
「振った女の子に随分と優しいではないカ。のどかさんや高畑先生が消えた時には何も言わなかったのに・・・」
「たしかに・・・でも、もうこれ以上はダメだ。中途半端って思われるかもしれないけどな・・・」
超も覚悟をしていたとはいえ、やはりクラスメートと戦うことに心を痛めていた。それはシモンよりも彼女達と多くの時間を過ごしているため、シモン以上かもしれない。
だから決着がついた以上無駄な争いは止めろというシモンの言葉は理解できた。しかしシモンには素直になりたくなかった。
シモンに対して素直になってしまえば、自分の敗北を認めてしまうことになる。だからこそ、超は憎まれ口を叩いてしまった。
普段なら絶対に言ってはいけないと刻み込んでいたにもかかわらず、イラついた彼女は言ってしまった。
「仮にも自分を好きだと言った子が二度も目の前から消えるのはサスガのシモンさんでも・・・嫌カ?」
「ッ!?」
「・・・えっ?」
シモンはその言葉に肩を大きく揺らし、目を見開いた。そして木乃香は唖然としてしまった。
しかし超は構わず続けた。
「そう、一年前・・・アンチスパイラルのメッセンジャーとなったニアさんが・・・・・ッ!?」
だがその途中で超は慌てて口を止めた。
そして深く後悔した。
(しまった・・・私は・・・なんてことを・・・)
それだけは絶対に言ってはならないことだと思っていた。それは人間としての問題である。
いくらシモンと敵同士とはいえ、超はそのことだけは絶対に言ってはならなかったと自身を大きく責めた。
そして今の超の言葉に夕映たち、そして誰よりも木乃香は気になって仕方なかった。
(アンチスパイラル? メッセンジャー? なんのことなん? ニアさんのこと? ・・・それに・・・なんで超さんが知ってるん?)
超の言葉に頭の中で「?」が次々と浮かぶ木乃香たち、そして辛そうに俯く超。
だが、シモンはいつもと変わらない明るい声で口を開いた。
「そうだ、だからもうこれ以上はやめよう。後は全て俺とお前の決着だけだ」
シモンは取り乱したりなどしなかった。
それはヨーコのおかげだった。ヨーコとの武道会での戦いがあったからこそ、シモンは超の失言を笑って過ごすことが出来た。
そして超もそのシモンの笑顔に心を痛めて、ようやく身を引いた。
「わかった・・・シモンさん、決着をつけよう。私とアナタの舞台をすでに用意している」
「ああ、そうだな」
超の言葉にシモンも笑って頷いた。
そして未だに両手を広げて立ち尽くしている木乃香に振り向いた。
「木乃香・・・」
「・・・・シモンさん・・・あんな・・・・あんな・・・その・・・」
聞きたいことが頭の中でうまく整理が出来ず、木乃香は少し混乱してしまった。そんな木乃香にシモンは苦笑しながら尋ねた。
「俺のこと、嫌いになったか?」
容赦なくネギや刹那たちを倒したシモン、しかし木乃香は急にハッとして、慌てて頭を横に振った。
「そんなん絶対あらへん!!」
「・・・そうか・・・ありがとう・・・」
心を痛めたが、木乃香の想いでシモンも心が少し癒された気がした。
そして木乃香が何を言いたいのか大よそ察することが出来た。
木乃香が聞きたいのはニアについてだろう。だが、今それをこの場で話している暇は無い。だから一言だけ告げた。
「いつか話すよ・・・必ず。約束する」
「・・・っ!? ・・・・うん・・・」
木乃香も心に引っ掛かりがあったが、今はその言葉だけで納得した。少し目に涙を浮かべたものの、シモンの一言で十分だった。
そして一つの謎を残したまま、超は先に動いた。
「シモンさん・・・そろそろ・・・」
「分ってる」
超の言葉を聞いてシモンは背を向けた。そして超は先に走り出した。
夕映たちにはそれを黙って見ていることしか出来なかった。
そしてシモンも超の後を追いかけようとしたが、一度だけ立ち止まり、背を向けたまま口を開く。
「木乃香、・・・ネギにも言っておいてくれ。・・・いや、言わなくても分るか・・・今のお前達なら・・・」
その言葉に木乃香は涙を拭いながら強く頷いた。
「当然や。ウチらはあきらめへん! 何度だってシモンさんと超さんに会いに行ってみせるえ!」
シモンは決して振り返らず、しかし口元に笑みを浮かべながら再び走り出して超の後を追いかけた。
二人がどこに向かっているかは分らない。しかし絶対にその背中に追いついてみせると誓い、木乃香は動いた。
「夕映、ハルナ、千雨ちゃん。ネギ君たちのところに!」
「はい!」
「ああ、急いで目を開けさすぞ!」
ネギたちの治療のため、木乃香たちは一斉に倒れているネギたちの元へと走った。
「でもさ~、高畑先生までやらっれちゃったんだよ? ネギ君たちも・・・・」
「そうだな・・・まさか旦那と超の二人があれほどとはよ・・・」
「ハルナ、カモさん、何を言ってるんです!」
「せや、・・・まだ負けてへん! 壁にぶつかることが負けなんやない。壁の前で立ち尽くしたら負けなんや。ウチらはまだ・・・あきらめたらアカン! 何度だって立ち向かうえ!」
この勝負はネギパーティの完敗だった。しかし、まだ敗北したわけではない。彼女達の目はまだ敗者の目ではない。
シモンが庇ってくれたとはいえ、自分達はまだ退場していない。だから何度だって立ち向かってみせる。木乃香は心にそう誓っていた。
「私達は厄介なことをしたのを理解しているカ?」
前を走る超にシモンが追いつくと、超は振り返らずに走りながらシモンに言う。だが言っている意味が分からずに首を傾げると超は呆れながら呟いた。
「シモンさんもそうだったではないカ。武道大会でヨーコさんと戦っていたときも・・・」
「・・・何が言いたいんだ?」
「やれやれ、まだ分らないカ? 人がもっとも輝く時、それは順風満帆に進むことではない・・・」
「ああ、・・・そういうことか・・・。ネギもそうだってことか?」
シモンはようやく超の言葉の意味を理解し、尋ね返す。
「分らないヨ。しかし・・・敗北を知り・・・それでもどん底から這い上がった者ほど恐ろしい者はない・・・」
ネギたちはこのままでは終わらないだろう。
そして再び自分達の前に現れたときを想像し、超は少し複雑な心境になりながらシモンと二人並んで走った。
そしてネギたちの第一ラウンド目が終了した頃、別の場所で一つの戦いの決着がつこうとしていた。
「はあ、はあ、はあ、・・・くそっ・・・足が・・・」
息が完全に上がり、呼吸も荒い。
そして自慢の足は既に疲労が限界を超えてパンパンに腫れ上がっていた。
「美空・・・」
「へっ・・・へへ・・・だ、大丈夫だってココネ・・・」
美空だった。
肩にココネを乗せているものの、誰がどう見ても疲労困憊の姿である。
「美空殿・・・拙者には誤魔化しの力は通用しないでござるよ」
建物の屋根の上から息一つ乱れぬ声で告げるのは楓だった。当初互角に思えていた両者の戦いだったが、いつの間にか形勢は完全に傾いていた。
「楓・・・はあ、はあ、うっ・・・・」
「美空!?」
とうとうよろけ出した美空。ココネも慌てて肩から飛び降りて美空を支える。
美空は心配して覗き込むココネに心配をかけない様に無理やり笑顔を作ろうとするが、出来なかった。
今の美空はココネに支えられなければ立っていられないほど完全にガス欠してしまったのである。
「ちっ・・・くしょう・・・」
「美空・・・」
なんとか強がろうとするがそれも出来ず、それどころか自分の今の不甲斐なさに思わず涙が浮かび上がってきた。
パートナーが悔しそうに流す涙にココネも思わず涙ぐんできてしまった。
「美空殿、お主はよくやった。真剣な鍛錬もせずに才能のみで戦って、拙者がここまで時間が掛かるとは思わなかった・・・」
最初は互角・・・だった。
しかし徐々に経験の差。そして体力の差。積み重ねてきた物の差が浮き彫りになってしまった。
幾多の修羅場を潜り抜け、今でも鍛錬を怠らない楓。そんな女を能力のみで上回るにも限界があった。
最初は間近で美空のスピードに舌を巻いたものの、訓練不足ゆえの体力不足、そして格闘技術も半端であるがゆえに、どうしても攻撃が単調になってしまった。
その動きに慣れるまで楓は分身の術などでやり過ごし長期戦を挑んだ。しかし初めからペース配分などなく全開で飛ばしていた美空にはそこまで考えが回らなかった。
そして多少の時間が掛かったものの、このような結果になった。
攻撃が当たらないことが強みだった美空も、自慢の足が使えなくなってはどうしようもなかった。
「これ以上は無意味、拙者はネギ坊主たちと共にシモンさんの下へ行く」
これ以上クラスメート同士で争うことは楓も望むものではない。美空を残し、シモンを探しに行こうとした。
しかし
「ま・・・待て!」
美空はもう一度立ち上がった。
ボロボロだが楓の足を止めた。
「無理をするな、美空殿。拙者もネギ坊主の想いに賭けた以上、いつまでもここに居るわけにはいかぬ」
だが、美空は頷くことは出来なかった。
勝算は無い。考えも無い。今の自分には一欠けらの意地しか残っていない。
だがそれでも叫んだ。
「ガタガタうるさいんだよーー!! 兄貴が・・・兄貴が認めてくれた私は・・・こんなとこで負けてられないんだよーーーー!!」
「美空!?」
美空は走り出した。
しかしそれは走っていると呼べるほどのスピードは無かった。
高速の動きが見る影も無く、普通にランニングしているようなスピードだった。
しかし走った。
「私は・・・グレン団・・・私を・・・誰だと・・・思って・・・うわあああああああ!!」
ココネを振り切り、残された意地だけで楓に向かっていった。
「美空殿・・・」
無視してもよかった。
どうせ今の美空では走った楓に追いつくことなど出来ないからである。
しかし楓は美空の目に、胸が熱くなった。
ガムシャラで醜く見えるかもしれない美空の最後の走りだが、流れる汗、そして振り切る涙に、武人として無視することは出来なかった。
「わかったでござる。受けよう!」
楓は振り返り、建物の屋上から飛び降りて真っ直ぐ美空に向かっていった。
とどめの一撃を容赦なく叩き込むつもりである。
「美空!」
美空は前だけを見て走っている。
楓は拳を振り上げる。
(兄貴・・・兄貴・・・・兄貴――――ッ!!)
心の中で何度もシモンに叫ぶ。
背中に背負った誇りに恥じたくない。そう誓いながらただ走った。
そしてココネの叫びが響き渡ると同時に美空と楓がぶつかろうとした瞬間、
「・・・美空殿・・・」
楓は寸前に動きを止めた。
美空と楓はぶつかることなく、美空はそのまま前のめりに倒れてしまった。
倒れた美空の前で楓は振り上げた拳の行き場を失い、一瞬呆然と見下ろした。
「美空! 起キロ! 起キロ!」
倒れた美空に慌てて駆け寄るココネ、しかし何度揺らしても美空は起き上がらない。
それでも何度もココネは美空の肩を揺らした。
「美空殿・・・」
立っているのは楓。ならばこの勝負は文句無く楓の勝だった。しかし楓は心の中を勝利で埋め尽くすことが出来なかった。
力の差は明らかだった。
しかし最後の最後まで前のめりに倒れた美空を敗者だと決して思えなかった。
複雑な想いが絡みつき、尚且つ掛ける言葉も見つからない。
だから楓は無言で自分の戦った相手に一礼をして、そのままその場から立ち去った。
「美空・・・シッカリ・・・美空・・・」
後に残されたココネはいつまでも美空に呼びかける。
すると・・・
「・・・うっ・・・ココネ・・・」
「美空!」
顔を埋めながら美空は声を漏らした。ココネの顔にも安堵の色が広がり、少しホッとした。
「いやあ~~負けちまったよ、どうすんべ~~?」
「・・・美空?」
前のめりに倒れたまま急に美空から明るい声が聞こえてきて、ココネは肩がズルッと落ちてしまった。
「そりゃあさ~、楓に勝てると思ってなかったし~、私の役目は足止めなんだからもう十分なんだろうけどさ~、いや~~これがシスターシャークティにバレたらまたお説教っすね~~」
先ほどまでバテバテだったのに急に元気な声を響かせる美空に、ココネも流石に少し呆れて、未だにうつ伏せになっている美空を無理やり起こそうとした。
だが、少し様子が違った。
「あ~あ~、薫ちんとか他の連中はどうなったかな~~、つうか負けたの私だけだったらどうしよ~~、」
「美空・・・」
声は相変わらずの能天気な声だった。しかし彼女をよく知るココネを誤魔化すことは出来なかった。
「でもさ~、・・・せっかく熱血になったのにさ~、や、やっぱ・・・私じゃ・・・勝て、ない・・・」
美空は地面に顔を埋めたまま、起き上がらない。それどころか徐々に嗚咽が聞こえてきた。
「美空・・・?」
ココネは直ぐに分った。
「あ~あ・・・かっこ悪・・・うっ・・・ぐすっ・・・・うううっ・・・・」
そう、美空は泣いていた。
「ココネ・・・私・・・、負けちゃったよ・・・ひっぐ・・・ぐっす・・・ううう・・・」
パートナーであるココネですら初めて見る姿だった。
意気揚々と戦場に出て、仮初の自信で有頂天になり、その結果敗北してしまった。
今まで明るく、軽いノリで生きてきた彼女が初めて流す種類の涙。
そう、悔し涙だった。
「美空だけじゃナイ・・・ココネも・・・負ケタ・・・・」
文字通り二人掛りで戦ったのである。直接手は出していないものの、ココネも自分の敗北を実感した。
すると美空はうつ伏せになりながら激しく泣き出した。
「くそ・・・・くそおォォーー! 強く・・・強くなりたい・・・強くなりたいよ~。自分の無理が・・・自分の無理が通せるぐらい・・・強くなりたいよ・・・」
空元気は続かなかった。
必死に明るく誤魔化そうとしたが耐え切れずに、美空は泣きじゃくった。
15年という短い人生の中で最も真剣になった今日、その想いが届かなかった。それがなによりも悔しかった。
そんな彼女の背中にココネは優しく手を置いた。
相変わらず無表情だが、ココネの目にも涙が溜まっていた。
「ココネも・・・強くナル・・・」
だが、涙を懸命に零そうとせずに言葉を告げる。
「美空・・・一緒に強くナル・・・」
「!?」
一緒に強くなろう。
そのパートナーの言葉に美空は体をようやく起こし、ココネを力強く抱きしめた。
そしてココネを抱きしめながら何度も頷いた。
「うん、・・・一緒に強くなろう。そして・・・今度こそ勝とうね・・・」
「ん!」
一度だけ美空の顔に笑みが戻った。
だがその直ぐ後に自然と再び涙が込み上げてしまい、ココネを抱きしめたまま大声で泣いた。
「うっ・・・・うわあああああああああああああん」
そしてココネも、堪えた涙がとうとう決壊してしまい、彼女も美空の腕の中で泣いた。学園が戦場と化し、辺りに爆音が響く中、二人の少女の鳴き声が響き渡った。
結果的に彼女達は敗北してしまった。
だが、共に敗北の味を知った美空とココネ、二人の絆はこの日を境により一層強くなった。
そしてこの悔しさから這い出して、二人で強くなることを共に誓った。
後書き。
熱いと言ってもらえるのは最高の褒め言葉です!これからも王道でありながら、少しだけ捻りながら突き進んでいきます!
最終更新:2011年05月11日 15:48