―――ピクッ!?
しかしその事は虫の知らせとして現実世界の女たちに届いた。
「せっちゃん・・・・」
「・・・・・はい・・・・・エヴァンジェリンさんはどうですか?」
「うむ、何か今・・・・ムカつくことがあった気がするな・・・・」
何故分かるのだ? そう尋ねれば彼女たちはきっとこう答えるだろう。それは「愛」の力だと。
「・・・・シモンさん関連でしょうか・・・・」
「分からん・・・・しかしどうも胸騒ぎがするな・・・・」
「うう~~~、シモンさん~・・・・・・・」
この世界の何処にもいない惚れた男を想い、ため息を漏らす少女たち。特に刹那は朝が朝だっただけに、その表情はいつも以上に曇っている。
するとそんな気落ちする彼女たちを見て、第三者のため息が聞こえてきた。
「ちっ、・・・・どいつもこいつも・・・・」
「千雨さん?」
「もう直ぐヤベエとこ行くっつうのに、どうしてお前らシリアスが長続きしねんだ? アンタらも・・・・あいつらも・・・」
もう少し緊張感が漂って良いはずの別荘内の今の空気を見て、千雨はあきれている様子である。それは刹那たちだけに対して言った言葉ではない。
ため息をつきながら視線を別のグループへ向ける千雨の目には、本当にこれから命懸けの世界に飛び込む前の者達の姿には見えなかった。
そこには・・・・
「ネギ~~~~、あのロケットおっぱいの女はど~こ~だ~?」
「ア、アーニャ落ち着いて!」
幼馴染に締め上げられて顔を青くしているネギが居た。
「だァくァルァーーーー、送ってきた写真に写ってた、あの胸がデカくて品の無い格好の女はどこだって聞いてんのよーーーー!!」
「だだ、だからヨーコさんはシモンさんと一緒に故郷に・・・・アーニャ・・・く、苦し・・・」
「ふ~ん、んで? アンタがその人のこと好きって噂を聞いたんだけど~~?」
「・・・・・・・・うっ・・・」
無言でアーニャの問いに真っ赤になって顔を逸らすネギ。その瞬間に、アーニャの炎のナックルがネギを彼方まで吹き飛ばした。
「やっぱ乳ね! 乳に誑かされたのね、このバカァーーー!!」
「ち、ちがッ!?」
殴り飛ばされるネギに慌てて駆け寄るのどかや夕映。アーニャにネギがヨーコに好意を持っているという情報を渡したのは二人からだった。その話を聞いたアーニャは激しくネギに問い詰めては殴る蹴るなどをしていた。
この少女が日本でネギたちと合流してから、毎回この様な光景が続いていた。
夏休みに入っても一向に帰ってこないネギが気になって、ネギの故郷の幼馴染の少女が日本に来日し、以来ネギたちと共に過ごし、共に魔法世界行きの意思を固めていた。
アーニャが来日したのは大体美空とココネがイギリスに向かった頃のため、二人と入れ違いになってここにやって来た。
以来アスナと共にネギに対する強力なツッコミ役として、別荘内の賑やかさは絶えることは無かった。
「ほ~んとにアンタは! チビでボケで田舎モンのネギのくせに、キレイな女の人と仮契約しまくったあげく、デカ乳女に鼻の下伸ばしてヘラヘラして、闇の悪女の弟子にまでなってるなんて最低! 女たらしの、スケコマシーーーーー!!」
「だ、だからそれには色々と事情が・・・・ぶほっ!?」
「う~ん・・・意外とあの子の言っていることも否定できないかも・・・・」
「そんな~、止めないとネギ先生が~~」
仮契約やエヴァンジェリンの弟子、そしてヨーコのことでアーニャの嫉妬の攻撃はネギと再会してから止まることが無かった。
「やれやれ、あっちのグループも同様に未だ混戦模様のようだな」
「ええ、のどかさん、夕映さん、アーニャさん、アスナさん。そして・・・・ヨーコさん」
「誰が抜きん出るかは、まだ分からんな~~~」
のんきな事態に現実主義者の千雨だけため息をついていた。
「ダメだ・・・・こいつら・・・・」
実際にネギたちの旅立ちは寸前まで近づいていた。
美空やココネより遅れたが、彼らももう直ぐにイギリスへ旅立ち、そこから魔法世界へと続く道を行くことになっている。
修行前からそのことを何度も脅された。
覚悟、危険、命懸け。
しかしその全てを全員が受け止め、自らを鍛え上げたこの数週間の日々は間違いなく本物だった。
たしかに千雨の言うとおり、たまにだがこのような話題で盛り上がったりなど、不謹慎に思えるような雰囲気が漂ったりもしていたが、これはこれで彼ららしく、これも息抜きだと思えばしっかりとしていた。
もうじき息をつく暇もないほどの世界と事件に巻き込まれるのだ。今はこの日常を謳歌するべきなのである。
「それにしても結局奴は帰ってこなかったな・・・・・・」
「そうですね・・・、一緒に来てくだされば心強かったのですけど・・・・」
「せやな~」
エヴァの呟きに頷く刹那と木乃香。
仕方なさと寂しさの入り混じったため息をついていた。
「お嬢様、何の本を買うんですか? 参考書か何かですか?」
「ちゃうよ~、料理の本や」
出発前の準備として、刹那と木乃香は共に買い物に出かけていた。
そしてその帰り際に荷物を抱えながら、木乃香がぶらっと本屋に立ち寄った。
「料理ですか? しかしお嬢様の料理の腕はもう十分のはずでは?」
木乃香の料理の腕前は周知の事実である。しかし木乃香は首を横に振る。
「それがなあ、美空ちゃんの話によると、シモンさんは一風変わった料理が好きなそうなんや」
「えっ、そうだったのですか?」
一つ訂正だが、シモンが好きなのは一風変わった料理ではなく、一風変わった味だった・・・
「もしシモンさんがウチらが居らんときに帰ってきてもうたら、エヴァンジェリンさんに抜け駆けされるからな~。今のうちにちょっとだけでもレパートリーも増やそう思てな。魔法も恋愛もがんばるゆうたしな~~」
そう言って木乃香は料理本のコーナーへと向かった。足取りも軽く、鼻歌交じりで本と睨めっこしている。
もうすぐ魔法世界だというのに、恋愛に対する努力も怠ったりはしていなかった。好きな人に手料理を食べてもらいたいという純粋な想いが、刹那も見ていて微笑ましく思えた。
(ふふ、本当に素敵な笑顔だ。シモンさんのことを本当に好きなんだな・・・)
別荘で好意度ランキングを見たときは正直自分も木乃香もショックが大きかったが、今ではそれが新たなる起爆剤となったのかもしれない。
好きな人を今よりもっと好きになる事。それが今の木乃香だった。
(今はまだでも、きっとお嬢様ならシモンさんの心の壁も突破できるはずだ・・・そうだ・・・それがもっともあるべき姿だ・・・妻妾同衾などする必要は無い、お二人が幸せになるのなら、私は本望だ・・・)
大切な二人が幸せになる。それは自分にとっても幸せではないか。そう、刹那は思い込もうとする。
それが自分にとっても幸せに感じるのなら、何も自分は間違っていない。そう思い込んで、一瞬チクッとした胸の痛みと寂しさを紛らわそうとする。
そして刹那は本選びに集中している木乃香に声を掛けるのを遠慮して、木乃香をその場において自分もぶらっと本屋の中を見て回った。
特に買いたい本があるわけではないが、他にやることも無かったため、ただ漠然と本を見て回った。
(最近本も読んでいないな・・・)
だが、その何となくが失敗だった。
棚に並べられている本の背表紙だけズラッと眺めていると、刹那はある一冊の本が気になり、手にとった。
(・・・ん? ・・・この本は・・・)
その本は特に有名なわけでも、お勧めの作品として紹介されているわけでもない。
しかし刹那はその本の著者の名前が気になった。
(著者・・・青山・・・素子? 青山素子!? あの人は小説なんて出しているのか・・・)
刹那はその人物を知っていた。
刹那と同じ神鳴流の使い手でありながら、大学にも進学した文武両道の剣士として有名だった。しかしまさか小説まで出しているというのは知らず、本を見た瞬間驚いてしまった。
(一体どんな内容なんだ? 何々・・・・ってイキナリ結婚式か!?)
中身が気になり、刹那が冒頭の部分を読んでみると、捲った瞬間結婚式の場面が描かれていた。恐らくこの小説のジャンルは恋愛小説なのだろう。
そして刹那はパラパラとページを捲り、読んでいく。
その内容は、幼い時に同じ大学に行って幸せになろうと約束をしていた二人が大人になって再会し、約束を果たすために共に受験勉強をし、途中で何度も躓いたり邪魔が入ったり失敗を繰り返しながらも、その約束を最後まで忘れずにいて結ばれた運命の二人の結婚式の日、それが始まりだった。
(いきなりクライマックスではないか? その途中の躓いたりの場面を何故書いていないんだ? ・・・しかし・・・ふふ、運命の二人の結婚式・・・お嬢様もいつかシモンさんの運命の人になるのでしょうか・・・)
刹那は不意に小説の中の運命の二人をシモンと木乃香に置き換えてうれしそうに微笑んでいた。
しかし次のページを捲ると、そこには衝撃的な展開が描かれていた。
「ん? えっ? するとその時・・・結婚式場に女剣士が乱入した? へっ?」
いきなり状況が一変してしまった。刹那が慌てて本の続きを読んでみると・・・
「そして女剣士は・・・・・・新郎を奪い去ったァ!? りゃ、りゃ、略奪愛ィ!?」
刹那は本を開いたまま、その衝撃の展開に固まってしまった。
「・・・な・・・な・・・・なんだこれはーーーー!? 衝撃的な展開過ぎるぞ!? あのお方はなんていう小説を書いているのだーーー!?」
運命の二人を頭の中で木乃香とシモンに置き換えた瞬間、女剣士というピンポイントな役が登場したことに刹那は衝撃を覚えた。
そう、この小説は約束の二人が主人公ではなく、その片方の男を好きになってしまった女剣士があきらめずに男を攫い、駆け落ちするという衝撃の内容だったのだ。
何故このような訳の分からない設定なのかは分からないが、少なくとも刹那にダメージは大きかった。
「ここ、こんなモラルを逸脱したような小説を、一体誰が買うというんだ・・・・」
しかし買った。
そして木乃香には内緒でコッソリ買った本を、刹那は寮の自室で読み続けた。そして数時間後、読み終わった刹那はため息をつきながらパタンと本を閉じた。
「・・・・結局全部読んでしまった・・・・」
あくまで声は冷静に。
「意外とおもしろかったな・・・モルモル王国で追っ手と戦う女剣士は熱かった・・・・・しかし・・・・・」
しかしその顔からは徐々に蒸気が溢れて真っ赤になっていく。
そしてプルプルと震えながら本を机の上におき、バタンと上から叩いた。
「ななな、なぜこれは年齢制限を設けていないのだ!? こんな・・・こんな淫らな本を・・・何故普通に売っているのだーーー!?」
駆け落ちしたり、熱く戦ったり、冒険したりと恋愛以外も取り入れた作品に刹那も集中して読んでしまったが、途中に出てくるラブシーンなど非常に濃厚すぎて、中学生でそういった経験が皆無の生真面目な刹那には刺激が強すぎた。
刹那は真っ赤になりながらうずくまり、机の上に置かれている本を眺める。
「はあ、・・・でも・・・私がこの女剣士だったら・・・・」
『まて・・・・刹那・・・俺には・・・俺にはアイツが・・・はむっ・・・せっ、刹那!?』
『ん、ちゅっ・・・はむっ、・・・じっと・・・していてください・・・」
私は彼の唇を塞ぎ、口内へ己の舌を侵入させ、蹂躙していく。
『ななな、何を・・・』
息も荒く激しく動揺する彼に対して、私は妖艶の笑みを浮かべて押し倒した彼の唇に人差し指を当てる。
『ふふ、この唇が・・・この口から出る言葉が私を喜ばせ・・・私の想いを断った・・・なんて憎たらしい・・・だから・・・・はむっ』
『うっ、はあ・・・せ、刹那・・・』
『そんなイケナイ唇にはお仕置きするんです♪』
息継ぎの暇も入れぬほど私は彼の唇に吸い付いた。
呼吸が出来ずに苦しむ彼。
しかし私は構わずに彼との距離をゼロ以上に縮めようと、彼の頭に回した両腕に力を入れる。
『れろ・・・あむ、・・・負けません、私だって・・・誰にも負けないぐらいアナタが好きなんですから・・・・』
そして私の手はなぞる様に彼の体を這わせ・・・・彼の・・・・
『シモンさん・・・・がっ・・・合体してくだ・・・・』
~10分後
休むことなく動いていた刹那の手に握られていたペンの動きが止まった。
そして・・・・
「・・・・う・・・う・・・・うわああああああああ!! だから何故こうなるのだーーー!? 合体ではなくただの変態ではないかーーー!? ししし、しかも、しし、進化してしまった!? あんな小説を読んだばかりに・・・・」
机を真っ二つに叩き割り、刹那は再び部屋中興奮しながら駆け回った。
「ぬぬぬぬ~~~、だああああ!? いかん、いかんぞ! もうすぐ魔法世界だというのに、この状態のままではお嬢様を守どころの話ではない!? うう・・・~~ッ、全てあの人所為だ・・・」
千雨の指摘したとおり、まったく危機感が無いこの状況を打破できないことこそ、正に最大の危機だった。
「うううう~~~~、煩悩退散!! 素振り一万回だーーーッ!!」
しかしどうにか頭の中から妙な考えを追い払おうと、刹那は昼間修行したというのに、木刀を抱えてすぐさま外へと駆け出した。
自作の妄想小説を出しっぱなしにしていることをすっかり忘れて・・・・・
「ん? なんだいこれは? 机の上に出しっぱなしにして・・・」
当然ルームメイトの龍宮は直ぐに気づき、何気なくその禁断のノートを捲ってしまった。
「・・・なんだ? ふむ、・・・え~・・・馬乗りになる私が告げる・・・・シモンさん天を突くアナタのドリルで私を突い・・・って・・・えっ!?」
とてもじゃないが声に出して読むことは出来なかった。
「お、・・・おお・・・これは・・・まさか刹那が・・・ドリルが刹那を・・・ダダ、ダメだ、・・・これ以上は口に出して読めん!」
しかし一応全部読んだ・・・・
全てを読み終わったあとの龍宮の体は少し火照てり、その年齢からは想像も出来ない大人びた顔に、少女のように頬を染めたギャップに色気が溢れ出ていた。
「ふっ・・・シモンさん・・・・刹那が壊れてしまったよ・・・早く帰ってこないと、刹那の奴は小説家になってしまうよ? しかも年齢制限アリの・・・」
しかし龍宮の呟きも虚しく、シモンが帰ってくるはずは無い。
果たしてこの妄想が現実になるかどうかは、再会した時の刹那しだいである。
そんな身の毛も立つような女の想いをまったく知らず、この男は全てを忘れて新たなる世界で生きていた。
「これが・・・・俺の・・・コート・・・・」
「ぶい~~」
「スゴイ・・・・かっこいいじゃないか!!」
新品同様の皺一つ無いグレン団のマークの描かれているコートを広げてシモンは目を輝かせた。
事故の合った日にシモンの血がこびり付いたということで、学園の人が洗ってくれ、三日目の夜に初めてシモンの手元に届いた。
「大変だったんですよ。まったくの新品同様のコートだったので、なんとか血を残さないようにしていたら時間がかかってしまって・・・」
「いいって。ありがとう。うわあ・・・・本当にかっこいいや・・・」
受け取った物は、自分の心を大きく刺激するほどのものだった。見覚えのある炎のドクロのマークが、シモンの目に焼きついた。
「あっ、そういえばこれがコートの内ポケットに入っていたのですが・・・・」
シモンが目を輝かせていると学園の侍女の女性は思い出したかのようにもう一つのものをシモンに渡す。
「えっ!?」
それは一枚の写真が入った写真立てだった。
「これ、シモンさんですよね。一緒に写っている人・・・恋人ですか? 綺麗な人ですね」
コートを洗おうとした時に、侍女の女性は内ポケットに入っている写真に気づき取り出しておいたようだ。
「あっ・・・・・・・」
「ブミュウ!?」
そしてその写真こそ、出発前にココ爺から貰ったニアと一緒に写っている写真だった。
「これ、ひょっとしてシモンさんの記憶の手がかりに・・・・・・、シモンさん?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「シモンさん!?」
「・・・・・・・・・えっ?」
手渡された写真を見て呆然とするシモン。
写っているのは間違いなく自分。そして、その隣に居る自分の腕にしがみ付いた女。
その写真を見た瞬間、見覚えがあるどころではないほどの衝撃が全身に駆け巡った。
胸を襲う切なさが、シモンから離れなかった。
「あ、・・・その・・・俺、エミリィと文字の勉強する約束があるから!!」
「あっ、ちょっ、シモンさ・・・・・・行っちゃった・・・・」
今の自分の顔を誰にも見せたくなかった。
きっともの凄く情けない顔をしているだろうと自分自身でも理解できた。それほどまでシモンの心は動揺していた。
居ても立っても居られずに部屋から外へ飛び出した。
そしてエミリィの部屋ではなく外へと走り出したシモンは、息を荒くしながら誰も人がまわりに居ないのを見計らって、もう一度写真を見る。
「・・・・はあ、はあ、はあ、・・・・・・・・この子は・・・・この子は・・・・」
全力で駆け出したために息も荒い。しかも呼吸は整うどころかむしろ余計に荒くなっている。
まるで心臓を鷲摑みにされたような衝撃だった。
「お前は・・・・この子を知っているのか?」
「ブム・・・・」
シモンは肩に乗っているブータに尋ねると、ブータは少し寂しそうな声で即答した。
隣に写っている女は知っているどころのレベルではない。
しかしそれをどう説明すればいいのかは分からない。
探すことも出来ない。
何故なら現実世界も魔法世界どころか次元を超えた世界も全銀河を見渡しても、彼女は既にこの世に居ないのだ。
それをブータが説明できるはずも無い。
「そうか・・・・この子・・・・俺にとってすごい大切な子なんだな・・・」
しかしシモンもブータが頷いただけで、隣に写る女がどれほど自分にとって大切なのかを理解できた。
しかし胸を襲う切なさの理由は分からない。
分からないが只、写真をとても愛おしそうに両腕で包み込み、シモンは胸の中で抱きしめた。
そしてその時だった。
「へへ、潜入成功♪」
「!?」
まったく聞き覚えの無い声が学園の中庭に降り立った。
(誰だ?)
シモンが慌てて建物の影に隠れて声の主を見る。
声の主は女で、恐らくコレットたちとそれほど変わらない年齢だろう。
色々と大荷物を抱えて、まるでどこかの探検家のような帽子と布切れのようなマントを身に纏い、サバイバルか冒険をするかのような姿である。
「ふう~~しかし密入国ってのもキツイよな~。おかけで賞金稼ぎが邪魔して来たり、ここの警備もヤバイし一苦労だったぞ~」
中庭に降り立った少女はヤレヤレといった感じでぼやいている。しかし今の話で聞き逃せないところがあった。
(密入国? 賞金稼ぎ? どういうことだ? あの子、何者だ?)
気配を殺しながら不法侵入した少女を見つめるシモン。
そして少女は辺りをキョロキョロ見渡した。
「さってと、さっさと用事を片付けて私も二人に合流しないとな~。まったく、つまんね~用事ばっかおしつけやがって。後で覚えてろよな~~」
粗野な言葉遣いで少女はそう言って隠れるように学園の建物の中へと進んでいく。
その様子を一部始終見ていたシモンも少女の後を追った。
受け取ったコートに袖を通して、写真を胸ポケットの中に入れ、少女に感づかれないように気配を殺した。
そしてこの日を最後に、シモンとブータは学園から・・・・いや、
この日を最後にシモンとブータはアリアドネーから姿を消した。
後書き。
コイツはオリキャラではありません。しかし分かる人と分からない人に分かれるかもしれません。この女の正体は次の話しで出します。あらかじめ言っておきますが、グレンラガンとはまったく関係ない人物です。キャルじゃねえか~? と思った人、違います。
正直ハァ? と思う人物だと思うので、深く考えないでください。正直なんでこんな奴出したんだ? と言われるかも知れませんが、あんま細かいこと気にしないでください。
さて、返信を。
九尾さん、感想読んでみて深く考えて作っていない私の方が学びました。たしかに今のシモンは正直危険状態かもしれません。そしてその危険状態の螺旋の力とシモンが、二・三話後に出そうと思います。
ニーアさん、そう言っていただけるとホッとします。まあ、誰を選ぶか選ばないかの問題は再会の時に再び出てくるでしょう。もっともニアだけでなく、木乃香や刹那などの事も当然忘れているので、そこらへんのゴタゴタも書こうと思います。
ラッケルさん、コアドリルに関しては二・三話後ぐらいにもう一度出てきます。と言ってもただの作者の都合のいい設定なので、これに関しては私もよく考えていません。しいて言うなら今のシモンは忘れた自身の記憶と遥か昔の同族の無念の想いが篭ったコアドリルの中の記憶、その二つがシモンの頭の中に流れ込んでいるという感じです。まあ、あまり気にしないでください。
最終更新:2011年05月12日 14:23