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84-2

「決まっている! 先手必勝だ! あの人ならそうするはずだ! はあーーーッ!! 神鳴流・斬岩剣!!」


「おっ、これは・・・・」


一撃必殺の剛剣。

しかしその刃を瀬田は軽々見切った。

しかも余裕の笑みとタバコを口に咥えたままである。


「こ、この男!?」


刹那は構わずに剣を振るう。

しかし瀬田は刹那の洗練された太刀筋を、ニコニコと笑いながら、素手でいなしていく。


「な、なに!?」


「せ、・・・せっちゃん」


「せ・・・刹那の剣を・・・」


刃の雨を繰り出す刹那。

しかし瀬田は一向に反撃する気配も無く、ただ刹那の剣を軽々と流していくだけだった。


(こ、・・・この男・・・・出来る! 私の剣をこうも無駄なく、・・・容易く・・・)


刹那とて自分をそれほど過信しているわけではないが、それなりに自信はあった。

力も精神もまだ未熟だと自分で思っていても、数々の実戦や修羅場を潜って来た数は並みの戦士を凌駕しているはずだ。

それなりに自分は出来ると思っていた。

しかし自分の攻撃を軽やかに交わしていく男の余裕の笑みからは、計り知れない力の差を感じずには入られなかった。

するとそんな動揺する刹那に追い討ちを掛けるように、瀬田は剣を交わしながら、口を開く。


「ふふふ、まさかこんな所で神鳴流剣士に会えるとはね・・・・」


「な、なにッ!?」


その瞬間、刹那の体が強張り、ほんの一瞬だけ硬直した。


「隙あり♪」


「あっ・・・・・・」


「刹那!?」


「せっちゃん!?」


「勝負ありだね?」


瀬田の直突きが、刹那の目の前で寸止めされた。

その拳にまったく反応が出来なかった刹那。

瀬田はやろうと思えば、今の一撃で、刹那にダメージを与えられたはずだ。

しかし瀬田は寸止めした拳を開き、二・三度軽く刹那の頭を優しく叩き、ニッコリと微笑んだ。


「うん、でもその年で大したのものだ。このまま功夫を積み重ねていけば、素子ちゃんクラスの剣士になれるかもね」


「な、なぜ!? ・・・・何故・・・・神鳴流を・・・・」


「ん? だってそれは・・・・・」


「悪いが助太刀させてもらおう!」


「ま、待て楓!」


「甲賀中忍、長瀬楓、参る!」


瀬田の実力と意外な言葉に目をパチクリさせる刹那だが、その瞬間、楓が持ち場を離れて瀬田に向かっていく。

刹那を軽くあしらった強敵だ。

自分も始めから全力で飛ばすべきだと本能で悟った。


「おっ、これは・・・・・」


瀬田は刹那の剣を見たときと同様に、迫り来る楓が十人以上に分身した姿を見て感嘆の声を上げる。


「これはすごい。影分身か、しかもこれほどの数を・・・この子といい才能溢れる子達だね。・・・・」


「余裕でござるな。痛い目をみるかもしれぬぞ?」


「さあ? それはどうかな?」


「何!?」


瀬田は大して動じるわけでもなく、服の中から両拳の中に何かを握り締め、分身した楓に向かって投げつける。


(これは、飛礫!?)


瀬田が投げつけたのは楓の分身体と同じ数だけの投石だった。

それは気も魔力も纏っていないように見える一見ただの石にしか見えない。

しかし瀬田の涼しい顔からは想像もできないほどの威力で十近くの石は、楓の分身体を一瞬で全て葬り去った。


「なっ、・・・」


「甘く見ないでくれたまえ、僕の投石は一発で飛行船をも打ち落とすんだよ♪」


一瞬で本体の楓一人だけが残ってしまった。


(せ、拙者の影分身が一瞬で・・・・)


いまだかつてこれほどアッサリと自分の特技が打ち破られることなど無かった。

だが、動揺している暇は無い。

気づいたときには瀬田は目の前にいた。


(い、いつの間に!? 瞬動で回避を・・・)


「おっと、そうはさせないよ。君のやろうとすることは、手に取るように分かる」


楓は慌てて大地を蹴り、その場から飛び退こうとしたが、瀬田の手が一瞬早かった。

瀬田は瞬動で逃げようとした楓の両肩を掴み、動きそのものを封じてしまった。


「ば、バカな・・・楓が捕らえられた!?」


刹那もこの事態に動揺を隠し切れない。

忍者の楓が、こうもアッサリと自分と同じようにやられてしまうとは、まったくの予想外だった。

普段掴みどころが無いような表情をしている楓も、この時ばかりは、いつもは細い両目を大きく見開いて、自分を捕まえた男を見ていた。

そして瀬田はまたしても、攻撃するわけでもなく、優しく微笑みながら楓の両肩から手を離した。


「君の影分身は見事だったけど、長年僕は遺跡やトラップを相手に戦ってきたからね。僕の目は本物と偽者を簡単に見抜く。実体を分身させる影分身にも、本体はいる」


「・・・・しかし、そう簡単ではござらんよ・・・・・」


「そうでもないさ。君は身のこなしに無駄がなさ過ぎて、逆に動きが先読みできてしまう。昔から悪の秘密結社だとか盗賊団相手に戦ってきたから、実戦経験の積み重ねで分かるんだよ♪」


軽くウインクをしながら、最初と変わらぬ表情で笑う瀬田。

そしてこの男は結果的にタバコ一本吸い終わる前に刹那と楓の戦意をそぎ取り、アスナを笑顔一発で倒してしまったのである。


戦いの最中、微塵も相手に殺気も気迫もぶつけず、ただ爽やかに微笑むだけ。


しかしそれが逆に底の見えなさを感じた。


これがラカンに続く、バグキャラ兼不死身の瀬田の登場だった。


そして・・・・


「さて、・・・まあ、このバカの格闘講座はそれまでにして・・・・」


「そ、そんな~はるか~、僕は彼女たちのためを思って・・・」


「黙れ。中学生かそこらの女に勝ったぐらいで調子に乗るんじゃない」


「えっ、でもあの子たちは十分一流の・・・・「いいから黙ってろ」 ぶろぱあーーーッ」


「と、飛んだ!?」


「な、なんという飛距離!?」


「せ、せっちゃんと楓ちゃんを倒した人を・・・アッサリ・・・・」


刹那と楓を軽くあしらった瀬田を、手首のスナップだけのパンチで高らかに殴り飛ばすハルカ。

正に最強夫婦との出会いだった。


「気を悪くしないでくれ。このバカも悪気があったわけじゃないし、私も事は起こしたくは無い。賞金は諦めて帰ってくれないか?」


「「「へっ??」」」


木乃香たちが揃って首を傾げた。

どうやらハルカと瀬田は、刹那たちを最初にいた男たちと同じ、自分たちの首を狙いに来た賞金稼ぎだと勘違いしていたようだ。

そのことが分かり、刹那は慌てて両手と首を横に振る。


「ち、違います! 我々は別に貴方たちの賞金が欲しかったわけでは・・・・ただ、己の身を守るために・・・・」


「・・・・なんだって?」


「う、うむ。賞金首と言われていたので、てっきり犯罪者だと・・・・しかし・・・・何やら事情がありそうでござるな」


どうも話がかみ合わない一同。その状況に瀬田は少し困ったような表情で唸りながら、とりあえず、話を少し前に進めることにした。


「・・・・う~ん・・・・これは意外な展開だね。・・・・仕方ない・・・まず話をしようか? え~とまず僕の名前は瀬田記康。この世界で言う旧世界、モルモル王国に住んでいる考古学者だよ。そして彼女が僕の妻のハルカだ」


「えっ? きゅ、旧世界?」


「モ、モルモル王国やて!?」


「しかも・・・・というよりひょっとして・・・いや、ひょっとしなくとも・・・」


「ん?」


「瀬田殿・・・旧世界出身ということは・・・ひょっとしてオヌシたちは・・・魔法世界の人間ではなく、日本人でござるか?」


「「へっ?」」


楓の問いに瀬田とハルカは初めて驚いた表情をした。

そして二人は互いを見合って、刹那、楓、木乃香を見て、納得したように頷いた。


「ひょっとして・・・お前たちもこの世界の者じゃないのかい?」


「は、はい! 私たちは旧世界、麻帆良学園中等部女子の生徒です!」


「麻帆良学園? あの、有名な学園都市で、すばらしい図書館島がある?」


「せ、せや! な~んや~、瀬田さんたちウチらと同じ日本人やったん? よかったわ~~」


「なんだ、なんだ! そうだったのかい? いや~~、賞金稼ぎにしては可愛らしい子達だと思っていたが、そうだったのか! いやいや、驚かせて済まなかったね。何分、僕たちは密入国で手配されていて、今日まで落ち着いていられなかったからね」


「「「み、密入国!?」」」


「しかし・・・そーゆうお前たちはなんなんだい? 少しは強いみたいだが、中学生が来る世界じゃないだろ? 何か、ワケありか?」


「は、はい・・・・・実は私たちも色々と・・・・・・・」


どうやら互いが敵でないことは認識できたようだ。刹那と楓もハルカも、互いの武器をしまい、肩の力を抜いた。

木乃香も同じ日本人に会えたことがうれしかったらしく、すごくホッとしたような表情で笑った。


こうして出会った六人の賞金首たちは、一旦争いを中断させ、互いに今の状況について語り合ったのだった・・・・のだが・・・・


「あ・・・あの・・・・」


「ん?」


その前にどうしても確認しておきたいことがあったらしい。

木乃香は真剣な表情で瀬田とハルカに問いかける。


「一つ・・・・話をする前に・・・・ウチ・・・どうしても聞きたいことがあるんやけど・・・・」


「お嬢様?」


「木乃香殿・・・・・」


木乃香の仲間でもある楓たちにも今の木乃香からただ事ではない何かを感じ取った。

いつも天然でほんわかとした笑みで場を和ませてくれる木乃香らしからぬ表情である。


「なんだい? 僕たちで答えられる範囲のことなら答えるけど・・・・」


「何か・・・気になることでもあんのかい?」


「は・・・はい・・・。こんなん・・・・こんなん・・・いきなり聞いたら変やと思われるかも知れんけど・・・・その・・・・」


木乃香はスカートの裾をギュッと握り締め、言おうか言うまいかを真剣に悩んでいるようでる。

だが、一度目を瞑り、深呼吸をした後、意を決して顔を上げ、瀬田とハルカに向けて口を開く。

瀬田とハルカも、少女が一体何を問いかけるのかと少し気になりながら、言葉を待つ。


すると木乃香は顔を少し赤くしながら叫ぶ。



「あの、・・・・モルモル王国は結婚何人とでもしてええってホントなん?」



「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・へっ?」」」」



たしかに只事ではなかった。


「お、お、お、お嬢様ァ!?」


「・・・・木乃香殿・・・・」


「これはまた・・・・ディープな質問だね・・・・」


「はあ? 何とんでもないこと聞いてんだい?」


どう反応していいのか分からない木乃香のとんでもない質問に、一同揃って唖然としていた。

しかし至って真面目な木乃香は真剣に二人に問い続ける。


「だ、大事なことなんよ・・・・ウチらの将来に関係することなんや・・・・。そやろ、せっちゃん?」


「お嬢様・・・・」


少し涙目で問い続ける木乃香。

たしかに二人にとっては重要なことではあった。

理由をまったく知らない、瀬田とハルカも、真剣さは何故か感じ取ることが出来た。


「うーん・・・・どうだったっかな・・・・ハルカは知っているかい?」


するとハルカが何かを思い出したかのように頷いた。


「ああ~~、そう言えば・・・カオラの奴が法律変えたんだっけ? それで確かに、そんなよーな法律が成立したって聞いたな。・・・それがどう・・・・」


「やったわ~~~!!」


「えっ?」


その瞬間、ハルカが全てを言い終わる前に、木乃香は満面の笑みで飛び跳ねた。


(認められとるんや! やったら・・・もう何も不安なことは無い! ウチとせっちゃんの二人なら・・・・ウチらの勝ちや!)


その場で両手を広げてクルクル回ったり飛び跳ねながら、顔を赤くし、動揺する刹那に抱きついた。



「やったわ~~~。せっちゃ~ん! これで何の迷いも無くラブラブアタック出来るな♪」



「ッ!?」



「「「・・・・・・・・・・えっ?」」」



木乃香の問いも、喜びも、他人から見れば訳も分からぬ事でしかない。


(み、認められている!? 唯一の懸念だった法という壁も・・・・無い?)


しかし刹那には分かった。


(そうか・・・お嬢様の言っていた通りモルモル王国は・・・・。つまり・・・これで私たちの想いも・・・・将来も・・・・進むべき道も・・・決まった!!)


木乃香の想いは自分と同じで、自分たちの求める幸せの形が認められると分かったからこそ、木乃香の今の気持ちを、刹那は十分に理解できた。

だったら、これ以上何を迷う必要があろうか。


(そうだ・・・自分が選んだ一つのことが・・・私の真実・・・ならば・・・この道を行こう! どこまでも!)


そして己の本音を導き出した刹那は拳を握り締めて顔を上げる。


「~~~~ッ・・・は、はい! ・・・・・・そう・・・ですね・・・・・・噂は本当だったのですね・・・・これなら・・・ごご、・・・合法・・・つつつ、つまり・・・」


そして刹那も、もう誤魔化そうとは思わなかった。

ハルカの言葉に自分も心の底では激しく安堵していることに気づき、刹那は緊張の余り、肩と唇を震わせながらも、木乃香に頷いた。

それがうれしかったらしく、木乃香はいつものようにニコニコと笑って刹那の両腕を掴む。


「んふふふ~、せやせや。最近せっちゃんも隠さんようになってくれてうれしいわ~。でも、次回カモ君が作る好意度ランキングの順位は勝負やからな~」


「えええッ!? そそ、そんな・・・・私はご一緒できれば・・・その愛人でも二号でも・・・あっ、でもそれは一号がお嬢様だったらの話で・・・エヴァンジェリンさん等が介入するのであれば私も一号の座を・・・って・・・何を言っているのでしょう私は・・・・」


なんだか二人がどんどんヤバイ方向に進んでいくが、もはや誰も彼女たちを止めることは出来なかった。


「・・・う~ん、どうしたんだい? あの二人・・・」


「・・・・分からぬ・・・・もはや拙者の知っている刹那は居ないかもしれぬ・・・」


「・・・・何か数年前の素子を見ている気分だ・・・・ 」


訳が分からないが、あまり深く知るのも危険な感じのする木乃香と刹那のやり取りに、呆れつつも、暴走した木乃香とブッ壊れた刹那のタッグは周りの目も状況も気にせず、突き進んだ。


「ほな、これで尚更早よう帰らなアカン理由が出来たな~? ウチらの親友合体で・・・・」


「・・・はい、・・・あの人と・・・愛と・・・あ、あ、愛のぶつかり合い・・・の・・・アレを・・・」


「そや! アレや!」


木乃香りが語る。


「惚れたあの人のデッカイ背中を、捕まえ、離さず、振り向かせる~! ほら、せっちゃん! 続きや続き!」


刹那が応える。


「え、え? えっと・・・ふ、不屈の愛を・・ドリルに変えて、つつ・・・突き抜けて見せようこの想い!」


そして二人同時に、あの言葉。


「「ウチら(私たち)を誰だと思ってやがる~~~ッ!」」


胸を張って満足したかのような木乃香の笑み。恥ずかしながらも突き進んだ刹那。


「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」


瀬田ですら呆気に取られるこの状況。周りの反応は悪いが、しかし木乃香は自信満々に刹那に告げる。


「完璧や~~ッ! これ、練習しよな♪ ウチらの親友合体で、シモンさんと夫婦合体グレンラガンの関係や~」


「は、は・・・・はい! 目指しましょう! 天元突破を!」



木乃香と刹那のやり取りは暫く続いた。


「なんかよく分からんが・・・最近の中学生はああなのか? 大胆というか・・・ぶっ飛んだアホというか・・・・子供というか・・・・」


「うむ、・・・厄介な伝染病のようなものが数ヶ月前から我らの学園に浸透しているのでござるよ・・・感染源は二人の惚れた殿方からでござるよ」


「しかしあの年でそこまでの境地に辿り着くとは・・・・・・・・・」


どうにかして話を前に進めるため、口を挟もうと試みる一同だったが、二人の語らいに介入することは出来ず、時間だけが過ぎていった。









――ブルッ


「?」


突如悪寒に襲われたシモンは肩を震わせた。


「どうしたんだよシモン、トイレか?」


「いや・・・・なんか・・・少し寒気が。・・・最近よくゾッとするな」


度重なる強敵との出会いで、シモンは何度体を震わせたか分からない。しかしこの時は少し違う気がしたが、その理由は分からなかった。


「なんだ~? 誰かお前の噂でもしてんのか? アリアドネーに置いてきた女とかか?」


「う~ん・・・どうだろう・・・、何か・・・・胸の中に何かが響いたような気がして・・・・」


「なんだそりゃ?」


ある意味で、恋する女たちの想いは遠く離れていてもちゃんと届いていた。

しかしそれがちゃんと伝わったかどうかは、別問題であった。

少なくとも今のシモンは、ただの気のせいだと思い、首を横に振った。


「俺はいいよ。それで、サラのお父さんとお母さんのいる所はまだか?」


「う~ん、・・・まだ掛かりそうだな~。やっぱグラニクスに行ってたから、少し遠回りになっちゃったからな~」


メカタマの甲羅であぐらを掻きながら、世界地図を広げて現在地と目的地を確認する。

今日はこれまでと違って邪魔も入らず真っ直ぐ移動に時間を費やせたのだが、まだ半分近くの距離が残っていることは分かった。

本当はサラも早く父たちと再会したかったのだが、夕日が沈み始め、徐々に辺りも暗くなって来ている。

シモンもサラの言葉を聞いて、地上を見渡しながら仕方なく告げる。


「まあ、しょうがないか・・・、よしっ、それじゃあ今日は途中の街で休もうよ」


「そうだな~。・・・まあ、ちょっとならお金もあるし、一部屋ぐらいなら・・・・。シモンは金あるか?」


「無いッ!」


「ったく、自信満々に言いやがってよ~。仕方ないな~。それじゃあ、私と一緒の部屋に泊めてやるよ」


「いいのか?」


「ん、まあ別にいいよ・・・・・・・・」


魔法世界の脅威は魔法使いたちだけではない。大空を翔る魔獣や竜族なども行き交っているのである。

そんな大空を暗闇の中これ以上進むことは良くないとサラも判断し、シモンの提案に異議を唱えず近くの街、もしくは村を探し始めた。


そして、自分の失言に気づいた。


(・・・・・アレ?)


先ほどは大して考えもせずシモンに了承してしまったが、自分がとんでもないことを言ったのだと気づいた。


(一緒の部屋? ・・・一緒の部屋で泊まる・・・・シモンと?・・・同じ部屋で・・・・)


思い出しただけで顔が一瞬で真っ赤になってしまった。



「いいわけないじゃんかよッ!? あわわわわ、このままじゃ・・・本当に合体・・・・・ってグラニクスでも同じ部屋だったか・・・・・じゃあ、・・・・・・いっか・・・・」



しかし流した!











「「ムッ!?」」


だがこの事態を何故か彼女たちは遠く離れた地でも察知していた。


「何か今・・・・・・・」


「はい・・・・・・妙な胸騒ぎが・・・・・」


「む~~、なんやろ・・・どうも最近ウチ嫌な予感がするんよ・・・・」


「私もです・・・・」


同時に同じ方向を見つめて、何やら心配そうな顔をする木乃香と刹那だった。

そしてその方向の先には寸分の狂いも無くシモンとサラがいたのだが、まだ彼女たちは胸騒ぎの正体には気づいていなかった。


「ふあ~あ、まだやってるのかい? あの二人は・・・・」


「僕たちもそろそろ休まないかい?」


「んー・・・、もう少し掛かりそうでござるなー。ほれ、アスナ殿もいい加減おきるでござるよ」


「う・・・・うう・・・・男の渋み・・・・髭・・・・タバコ・・・・・完璧すぎ・・・」


「う~む、何故こうも恋愛がらみになると、我々のクラスの人間は人が変わるのでござろう?」


楓の呟きと共に、今日の魔法世界は比較的平和に終わったのだった。
最終更新:2011年05月12日 14:30
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